2025年度 大学入学共通テスト 本試験 地理総合・地理探求 解答・解説

目次

解答

解説

第1問

問1:正解2

<問題要旨>
世界各国の「食や健康」に関わる指標を地図上に示し、それぞれの国で値が高い・中位・低いなどの階層に区分して比較する問題です。FAOSTAT などの国際統計をもとに、各国がどれほど食料を生産・消費・輸入しているのかといった側面を読み取らせる意図があります。

<選択肢>
①【誤】「栄養不足人口の割合」を示す地図であれば、特にサハラ以南アフリカや南アジア地域で値が高くなる傾向が強く、また中東などの比較的所得水準が高い地域は必ずしも高位にはならないことが多いと考えられます。図の濃淡分布とは必ずしも一致しにくいため誤りといえます。

②【正】「穀物の輸入依存度」を示す地図の場合、穀物生産が盛んな国(アメリカ合衆国やロシアなど)では低位となり、生産条件が限られる地域(中東や北アフリカの国々、小規模島嶼国など)では高位となる傾向が見られます。提示された地図の分布とも整合性が高いと考えられます。

③【誤】「1人1日当たりカロリー摂取量」であれば、一般に経済水準が高い国ほど摂取量が多く、所得水準が低めの地域ほど少なくなるという分布が想定されます。しかし地図を見ると、必ずしも「欧米や東アジア」が高位一色になるわけではなく、中東や北アフリカなどが高位に示されている点などが合わないため誤りといえます。

④【誤】「平均寿命」を国別に見る場合、一般には先進国ほど寿命が長く、開発途上国ほど短い分布が顕著に表れます。提示地図で高位に示されている一部の中東諸国などは実際の平均寿命が世界トップ水準かというとそうでもないため、寿命の分布とは一致しにくいと考えられます。

問2:正解1

<問題要旨>
アフリカ大陸の複数地点(ア~エ)周辺の自然環境や農業生産の特徴を説明した文のうち、それぞれが示す気候・作物・農業形態などと地図上の地点の実情が合致しているかを読み取らせる問題です。アフリカでは北部(乾燥帯)、赤道付近(熱帯雨林・サバナ帯)、南端付近(亜熱帯~温帯)など、地域による降水パターンや作付作物が大きく異なります。

<選択肢>
①【正】「アの周辺は、降水量の季節変化が少ない冷涼な気候で肥沃な土壌をいかし、小麦などが栽培されている」という記述は、たとえば高地で気温が比較的低く、降水の季節変化がそこまで顕著でないエチオピア高原周辺などを指すと考えられます。実際に標高が高い地域では、冷涼な気候を背景に穀物栽培(小麦・大麦など)が行われており、この説明と合致します。

②【誤】「イの周辺は、1年中乾燥する気候で、オアシスや灌漑施設を利用してアブラヤシなどが栽培されている」という記述は、典型的にはサハラ砂漠などの乾燥帯を念頭にしているようにも見えます。ただしアブラヤシ(パーム油の原料)栽培は赤道近くの多湿地域で盛んな例が多く、砂漠のオアシスで主要に栽培されるのはナツメヤシなどです。したがって作物名や地域の気候区分にずれがあり、文全体として適切ではないと考えられます。

③【誤】「ウの周辺は、雨季と乾季が明瞭な高温の気候で、焼畑によりキャッサバなどが栽培されている」というのは、サバナ気候や熱帯雨林の周縁部で見られる一般的な農業形態です。ただし図中のウがどの緯度帯に位置するかによっては、そうした作物や降水パターンが合わない場合もあり、提示の地点を正しく表すとは限りません。

④【誤】「エの周辺は、冬より夏の降水量が多い温暖な気候で、ブドウなどが栽培されている」というのは、南アフリカ共和国南西端(ケープタウン付近)のように地中海性気候をもつ地域なら、むしろ冬に雨が多く夏に乾燥するパターンが見られます。したがって「夏の降水量が多い」とする説明は典型的な地中海性気候とは逆であり、ぶどう栽培の事実と雨季の説明がかみ合わないため誤りといえます。

問3:正解1

<問題要旨>
1人1日当たりのコーヒー・茶の消費量(いずれも重量を“1杯分”に換算)を国別にプロットし、飲料文化の違いや歴史的背景などを推測させる問題です。グラフ上には日本を含む複数国が点で示され、ヨーロッパ諸国やアジア諸国などの特徴的な位置関係から国名を推定する形となっています。

<選択肢>
①【正】イギリスに当てはまる国を推測するならば、伝統的に紅茶の消費量が非常に多く、コーヒーもそこそこの量を飲んでいる点が特徴です。グラフでも紅茶の値が飛び抜けて高く、コーヒーもある程度の水準があるデータ点が見られるなら、そこがイギリスと考えられます。

②【誤】イタリアの場合、カフェ文化が発達しているためコーヒー消費量が多い一方で、紅茶の消費量はさほど多くない傾向にあります。もしグラフ上で紅茶はあまり飲まずコーヒーが高めに位置する点があれば、それがイタリアの可能性が高く、本選択肢(①の位置)とは一致しません。

③【誤】インドネシアはコーヒーの生産国としても知られますが、国民全体で見た場合は紅茶よりもコーヒーが多い・少ないなどのバランスが国民的嗜好や輸出事情で変化します。またお茶文化が強い中国の影響を受けている地域もあり、一概には言えないものの、イギリスのように「紅茶消費が抜群に多い」わけではないため、①ほどの紅茶量にはならないと考えられます。

④【誤】中国(台湾・香港・マカオを除く)であれば紅茶というよりも緑茶や烏龍茶の伝統が強く、紅茶消費量だけで見れば、世界統計上はそこまで突出しない場合があります。またコーヒー消費量も世界的に見てまだ急増途中で、イギリスほどの飲用量には至らないことが多いとみられ、グラフ上で①ほど高い紅茶消費を示す点には当てはまりません。

問4:正解2

<問題要旨>
南・東南アジアとヨーロッパにおけるイモ類の生産量を基に、食品ロスが生じる各段階(生産・収穫、貯蔵、加工、卸売・小売、消費)での割合と、最終的な消費量への影響を比較する問題です。地域によって、収穫直後に廃棄される量が多いのか、貯蔵中に劣化してしまうのか、あるいは消費段階で食べ残しが多いのかなど、特徴が異なる点を読み取ることがポイントになります。

<選択肢>
①【正】ヨーロッパでは、生産・収穫段階でのロスが比較的大きい傾向が統計に出ています。その要因の一つとして、小売業者の求める規格に合わない作物が出荷前に廃棄されるケース(見た目や大きさではじかれるなど)が挙げられます。これは卸売・小売段階というよりは、農場や集荷の段階で起こることも多く、説明として妥当です。

②【誤】南・東南アジアでは貯蔵段階のロスが高いという傾向が数字にも示されています。その理由として「高温多湿の環境下なので収穫時期が短期に集中する」という点を挙げる説明がありますが、イモ類の収穫時期が「短すぎる」こと自体が主要因かどうかには疑問があり、むしろ温度・湿度管理が難しく、長期保管で腐敗・かびなどが発生しやすいことが大きいとされます。「短期収穫が原因で貯蔵施設が不足する」という説明は必ずしも的確とはいえず、ここにズレが生じます。

③【正】卸売・小売段階でのロスの一因として、各地域で売れ残った商品を一定の販売期間が過ぎると廃棄せざるを得ないという状況があります。先進国・途上国を問わず、過剰仕入れや規格外廃棄など小売事情でロスが生じる点は事実として広く報告されています。

④【正】消費段階でのロスはヨーロッパの方が高いというデータがあり、これを削減するためにフードバンクを通じて余った食品を必要とする人へ提供する取組が進んでいることが報告されています。これは実際に多くの国で行われている対策であり、妥当な説明といえます。

第2問

問5:正解2

<問題要旨>
1919年に発行された古い地形図と、現在の地形図を比較しながら、豊橋市中心部の市街地拡大や周辺部の土地利用の変化に着目する問題です。資料1では、下線部a・b・cの正誤を組み合わせた8通りの選択肢(①〜⑧)のうち、どれが最も正確に実情を表しているかを考察させています。

<選択肢>
①【誤】(a=正、b=正、c=正)
 aとbは、古地図と現地図の比較で確認できる市街地の拡大や遊水地機能などを正しく説明しているとしても、cまで正しいとすると資料の内容と合わない点が生じます。特に、かつての街道の位置や地形的な高低差について、地図上の実際の傾斜や道路整備の歴史と食い違う部分があるため、cを含め「すべて正しい」という組合せには無理があります。

②【正】(a=正、b=正、c=誤)
 古地図で市街地が旧来の軍用地周辺まで広がっていなかった点や、中心部の再開発・製造業の進展を示すaの説明、そして鷹丘町北側から豊川周辺にかけて遊水地機能や治水対策が進められつつあるというbの説明は、いずれも現在の地図・文献調査と整合的です。一方で、cは地形図上の傾斜や道路の歴史的経緯について一部食い違いが指摘され、完全には当てはまらないため「誤」とみなせます。

③【誤】(a=正、b=誤、c=正)
 bを誤りとするには、遊水地としての機能が見られる地域だという点を否定する必要があります。しかし図や資料からは、豊川流域の低地には洪水対策・遊水機能が見られることがうかがえ、bを誤りとする根拠は乏しいため、この組合せも不適切です。

④【誤】(a=正、b=誤、c=誤)
 bが誤りとされる時点で、実際の豊川周辺地域の土地利用の歴史や現況と大きく矛盾します。cが誤りなのは他のパターンと共通の可能性がありますが、bも同時に誤りとするのは難しいため、この組合せも成立しません。

⑤【誤】(a=誤、b=正、c=正)
 aを誤りとするには、中心部における市街地の拡張や軍用地の変遷など、実際の地図比較から明らかな歴史的事実を否定することになるため、整合性が取れません。

⑥【誤】(a=誤、b=正、c=誤)
 bを正しいとしつつaを誤りとするのは、やはり市街地の拡大や旧軍用地跡の転用などが豊橋市の戦後史と整合しないことになるため不自然です。

⑦【誤】(a=誤、b=誤、c=正)
 bだけでなくaまで誤りとしてしまうと、豊橋中心部とその周辺の土地利用変化をほぼ全面的に否定する形になり、実態とかけ離れます。

⑧【誤】(a=誤、b=誤、c=誤)
 3つの下線部すべてが誤りだとするのは、古地図と現地図から読み取れる基本的な事実と大きく矛盾するため、採り得ません。

問6:正解4

<問題要旨>
豊橋市における製造業の立地特性を示す分布図(資料2)と、そこから得られたGIS解析の結果についての会話文を読み、下線部①〜④のうち「誤りを含むもの」を選ぶ問題です。地図上では沿岸部や内陸部など複数の工業集積地が見られ、従業者数別に分布状況が示されています。

<選択肢>
①【正】
 製造業従業者数1000人以上のメッシュが市全体の一定割合を占めている、という指摘は地域統計から見ても説得力があります。大きな規模の工場が集中するメッシュが少なからず存在し、市内総従業者のかなりの部分を担っていることは、会話文の説明と合致します。

②【正】
 従業者数が500人以上のメッシュが途切れず連なる“連続分布”として現れる地域がある、という指摘も、製造業が盛んなエリアでは実地データや産業クラスターの傾向と整合しています。

③【正】
 工場が集積する背景として、輸送コストや取引コストの軽減が大きな動機となる点は一般的にみられる立地要因です。資料や会話文にも「輸送面・取引面でのメリット」が述べられており、整合的です。

④【誤】
 道路の利便性が最も大きな立地要因と一概に断定する点には慎重さが必要です。たしかに主要道路へのアクセスは工場立地に有利ですが、港湾など臨海部の立地、あるいは内陸の電機・繊維工業集積など、交通手段は道路だけに限りません。資料2でも三河湾臨海地区に港を利用した自動車関連企業が立地していることが示されており、道路以外の要因も大きいと考えられます。このように「最も大きな要因」と断ずると、資料の実情とずれが生じるため誤りが含まれます。

問7:正解5

<問題要旨>
東三河地域における農業の多様な変化を捉え、1960年と2006年の作物別収穫量(行政区域別)を比較する問題です。資料3のア・イ・ウには、それぞれキャベツ・米・サツマイモのいずれかが割り当てられており、どの地域で栽培が特に増えた(あるいは減った)かを手掛かりに作物名を見極めます。1968年に豊川用水が開通したことなどが作付の変化に影響を与えた点も考慮する必要があります。

<選択肢>
①【誤】(キャベツ=ア、米=イ、サツマイモ=ウ)
 アをキャベツとするのは妥当でも、イを米としている場合、地域別の増減状況が一部一致しない可能性があります。稲作は用水の整備である程度生産が安定する一方、資料の分布図から見るとイが大きく増加している地域かどうかに違和感が生まれます。

②【誤】(キャベツ=ア、米=ウ、サツマイモ=イ)
 米とサツマイモの割り当てが逆転しているため、1960年と2006年での分布パターンと嚴密には合わなくなります。

③【誤】(キャベツ=イ、米=ア、サツマイモ=ウ)
 キャベツがイのエリアで大幅に増えているかどうかを地図から判断すると、一部実情と合わない箇所が出てきます。

④【誤】(キャベツ=イ、米=ウ、サツマイモ=ア)
 サツマイモがアのエリアで顕著に変化しているかを地図から確認すると、稲作に近い分布を示しているアをサツマイモとするのは無理があります。

⑤【正】(キャベツ=ア、米=ウ、サツマイモ=イ)
 1960年と2006年の比較で、アに該当する地域は用水整備や大消費地へのアクセス向上により、畑作主体の野菜栽培(キャベツなど)が大きく伸びています。またウは水稲地帯としての条件に合致し、イは比較的土地条件からイモ類も含む転作が行われる地域と考えられ、資料の収穫量変化とも整合します。

⑥【誤】(キャベツ=ウ、米=ア、サツマイモ=イ)
 アを米とすると、豊川用水開発後の分布と若干のずれが生じ、収穫量グラフと一致しにくい点が出ます。キャベツがウに割り当てられるのも上記と同様、地域分布的に無理があるため不適切です。

問8:正解1

<問題要旨>
東三河地域(愛知県東部)を出発地とした場合、近隣・遠方の他県への年間旅行者数(通勤・通学以外)を比較し、それらがどの交通手段で移動しているかを示す表を読み解く問題です。ここでは「J県とK県は静岡か長野かのどちらなのか」「力(ちから)とキ(き)が自動車か鉄道か」を当てはめ、どちらの組合せが該当するかを考察します。

<選択肢>
①【正】
 K県を東海道新幹線が通る静岡県とみなし、そこからの鉄道利用客が多いと判断するのは自然です。また「力」を自動車移動、「キ」を鉄道移動と読み取ると、資料中の旅行者数(力=32万人、キ=1826万人)の極端な差が、東海道新幹線などの大規模な鉄道利用を示す静岡県の実態とよく合います。J県の方を長野県とすると、こちらは自動車による移動(8万人)と鉄道利用(111万人)という規模感が比較的コンパクトで、山間部での鉄道線区などを踏まえると不自然ではありません。

②【誤】
 K県を静岡県とするところまではよいとしても、「力」を鉄道、「キ」を自動車としてしまうと、表の大きな旅客数を自動車利用の数字とみなすことになり、東海道新幹線を擁する県としての実態と逆転してしまいます。

③【誤】
 K県を長野県と想定すると、新幹線や在来線による大量輸送のデータとの整合性が崩れやすくなります。さらに「力」を自動車、「キ」を鉄道で割り当てたとしても、表の「1826万人」という大きい数字を長野県の鉄道利用に当てはめるのは、比較的過大とみられ、現実味が薄れます。

④【誤】
 K県を長野県とし、「力」を鉄道、「キ」を自動車とすると、表が示す大きな旅客数(1826万人)を自動車移動とする点と長野県という組合せが、他地域からのアクセス状況や旅行需要の規模感とそぐわない面が多く、妥当な解釈とはいえません。

第3問

問9:正解3

<問題要旨>
地球上の異なる地点を結ぶ複数のライン(A~D)に沿った植生指数(正規化植生指数:NDVI)の分布を示したグラフが4種類(①~④)提示されており、それぞれがどのラインに対応するかを考える問題です。植生指数は降水量や気候帯、標高などに影響されやすく、赤道付近では高く、乾燥帯や寒冷帯では低くなるなどの地理的傾向を読み取る必要があります。

<選択肢>
①【誤】
 グラフの特徴として序盤から高い指数が維持され、中盤以降も大きく変動せずにそこそこ高い数値が続く形が描かれています。しかしラインAはアフリカ北部の乾燥帯を含む可能性が高く、そうした一貫して高い値だけでは説明が難しいため、このグラフは合いにくいと考えられます。

②【誤】
 前半にそれほど高くない値が見られ、中盤で急激に上昇しつつも後半でまた低迷するなど、標高や気候の変化が複雑に折り重なったパターンを示唆します。ラインAが通過する地域の緯度帯や気候帯を考えると、このような形状には当てはまりにくいとみられます。

③【正】
 序盤(あるいは南寄り・低緯度側)でNDVIが比較的高く、途中から乾燥・半乾燥地帯に入るために指数が急激に低下するパターンが見られます。アフリカ大陸北部側に向かうラインAでは、サバナから砂漠への移行により植生指数が大きく変化するため、このようなグラフ形状が適切です。

④【誤】
 前半がかなり低く、後半で急上昇するようなパターンであり、南北どちらに向かうかを問わず「はじめは不毛地帯、後半は豊かな植生が広がる」線を想定させます。ラインAの実際の地形や気候帯とは逆方向の変化とみられ、合致しません。

問10:正解2

<問題要旨>
ア~ウの3か所はそれぞれナミビア・ネパール・フィリピンいずれかの最高標高付近を示す陰影起伏図です。またF・G・Hの文面(「長時間の風化が進行」「山岳氷河による侵食」「プレート境界に近く火山が多い」)のいずれかを組み合わせる設問で、どの場所にどの特徴が当てはまるかを考察します。ナミビアはアフリカ南部の堅固な岩盤の浸食地形、ネパールはヒマラヤ山脈の氷河地形、フィリピンは環太平洋火山帯に属する火山山地という特徴を踏まえるのがポイントです。

<選択肢>
①【誤】
 アもイもF(長時間の風化)としており、イに氷河侵食の形跡を認めないことになるため、ネパールのヒマラヤ地域らしい氷河谷や急峻な地形を十分説明できません。

②【正】
 ア(ナミビア)をF「硬い岩盤が長時間かけて風化」に、イ(ネパール)をG「山岳氷河による侵食」、ウ(フィリピン)をH「プレート境界に近く火山が多い」としている組合せです。アは円形状の山塊が放射状に谷を刻んでおり、古い岩盤の浸食地形の特徴が見られます。イにはヒマラヤ山脈の険しい地形や氷河侵食の谷があり、ウは火山活動の影響を受ける複雑な山地として説明がつきます。

③【誤】
 イにFを割り当てると、ネパールの高山氷河作用を見逃してしまいます。またウにHを割り当てることなくFやGを当てはめるのもフィリピンの火山事情と合わず、全体の組み合わせが崩れます。

④【誤】
 3つの地形すべてがプレート境界に近い活火山の領域(H)といった誤解や、ナミビアを山岳氷河の侵食地形(G)とするなど、明らかに特徴が異なる組合せになるため不適切です。

⑤【誤】
 アをG「山岳氷河」にしてしまうのはナミビアの地質構造と離れていますし、イやウも残りのF・Hが合わないケースが出てきます。

⑥【誤】
 ウにF「長時間の風化」、アにH「火山が多い」などが割り当てられていて、いずれも場所の実情とは逆方向となるため誤りです。

問11:正解3

<問題要旨>
図4は、エルニーニョ現象とラニーニャ現象の発生時における海面水温分布の平年値との差を示しています。また、それに関連して南アメリカ大陸西岸を流れる湧昇流(栄養塩に富む寒流)の強弱などを巡る記述が示され、空欄「力(か)」と「キ」のどちらが北か南かを含めた正しい組合せを問うものです。

<選択肢>
①【誤】
 エルニーニョ現象を示す図をJ、ラニーニャ現象を示す図をKとした場合の振り分けが正しくないか、あるいは空欄「力」「キ」の南北が不適切であるため、全体として一致しません。

②【誤】
 JとKそれぞれが逆の現象を示す組合せや、海流の流れる方向(北半球か南半球か)を取り違えている場合に当たります。図4の分布を精査すると合わない部分が出てきます。

③【正】
 Jがエルニーニョ、Kがラニーニャの分布を表し、なおかつ空欄「力」と「キ」の南北方向の記述が、南米西岸の寒流(ペルー沖)や太平洋赤道域の海面水温異常とも矛盾なく説明可能な内容となっています。これにより湧昇流の強さの変化(=沿岸漁業への影響)と、北か南へ向かう海流との対応が正しく整理されます。

④【誤】
 Kをエルニーニョ現象に当てはめたり、南北方向の区別を逆にするなどの点で説明に食い違いが生まれ、図4との突合結果とも一致しなくなります。

問12:正解2

<問題要旨>
いくつかの国における浸水被害(高潮や津波を除く)に関する「延べ被災者数」と「総被害額」を示した棒グラフがサとシで提示され、またP~Rがアメリカ合衆国(USA)、タイ、バングラデシュなどの国を指す場合がある、といった状況を読み取らせる問題です。グラフの横軸の数値(延べ被災者数なら100万人単位、被害額なら10億ドル単位)を総合して、どの組合せが最も適切かを判断します。

<選択肢>
①【誤】
 サを延べ被災者数、タイに当たる国をPとした組合せでは、実際にタイがこれほど多いか少ないか、あるいはバングラデシュやアメリカ合衆国と比べてどうか、という点に食い違いが生じる場合があります。

②【正】
 サ(延べ被災者数)が大きめの棒グラフで、バングラデシュの大規模な河川氾濫や洪水被害を想定すれば、タイよりもさらに被災者数が多い国が存在することになります。一方シ(被害額)の棒グラフは経済規模の大きい国(アメリカなど)で金額が跳ね上がる構図を反映しやすいです。このように「サ=大規模人口被災、シ=経済被害が大きい国」という対応に合致し、タイがP(中程度)に位置づけられるなど、全体像に整合します。

③【誤】
 サとシを逆に解釈したり、タイやバングラデシュの位置づけを別のアルファベットにしてしまうと、人口の多寡や経済規模との関連が崩れて、グラフと合わなくなります。

④【誤】
 タイをRとする、あるいはサを被害額の棒グラフに当てるなど、国とデータの対比を混同しているケースとなり、図中の数値傾向と一致しません。

⑤【誤】
 もしサがタイに相当するデータだとしても、被災者数が極端に大きい・小さいなど、他国比較で明らかに矛盾する可能性があります。

⑥【誤】
 シを人口被災数のグラフ、サを被害額のグラフと誤って逆に入れ替えたケースも考えられますが、その場合アメリカに相当する国がどれかを見極めたときに不整合が生じます。

問13:正解2

<問題要旨>
地球全体が平均で2℃上昇するという予測のもと、緯度30~40度帯(X)と緯度80~90度帯(Y)における上昇気温の分布を示すヒストグラムが提示されています。また、図中のタ・チはどちらが北半球でどちらが南半球かを判別する内容です。陸地と海洋の割合や極付近の気候変動の度合いを総合的に考察し、最も整合する組合せを選ぶ問題です。

<選択肢>
①【誤】
 Xを30~40度帯、Yを80~90度帯とする点が正しいとしても、タとチのどちらが北半球かを誤ることで、ヒストグラムの示す「高緯度ほど温度上昇が大きくばらつきがある」などの特徴を正しく反映できなくなります。

②【正】
 Xを30~40度帯、Yを80~90度帯とし、タが北半球、チが南半球とする組合せは、北半球中緯度帯と極付近の上昇傾向の違いを整合的に説明できます。北半球に多い陸地面積や南半球に広がる海洋域などを踏まえたヒストグラムの差分とも合致しやすいです。

③【誤】
 緯度帯の割り振りをX=80~90度、Y=30~40度と逆にしてしまうと、ヒストグラムで示される上昇温度の分布が実情と逆転します。タ・チの北半球・南半球設定もうまく噛み合わなくなるため不適切です。

④【誤】
 タが南半球、チが北半球などと入れ替わっている場合も、高緯度地域が北半球に多い現実と合わず、ヒストグラムの分布との整合性を失います。

問14:正解2

<問題要旨>
図7は、日本のある沿岸地域における津波への備えを検討するため、津波浸水想定区域と人口分布、避難所の位置情報などを重ね合わせてGIS解析する手順を模式的に示しています。分析結果として推定できる値(a「避難が必要な人数」、b「避難が間に合わない可能性のある人数」、c「避難場所別の避難者数」)を、マ~ムの重なりでどのように割り当てるかを考える問題です。

<選択肢>
①【誤】
 マ・ミ・ムへの割り当てがa, b, cの順で正確に合致していないケースが考えられます。たとえば浸水想定範囲と人口分布を重ねた領域を「マ」としたなら、そこに該当するのは「避難が必要な人数a」ではなく別の指標を当てはめている場合があります。

②【正】
 マは津波の浸水想定範囲と人口分布が重なる領域で、そこからさらに避難所との距離などを考慮して、ミが「実際に避難が必要な人数a」、ムが「避難時間が足りずに難しい可能性がある人数b」または「避難所への割り当て人数c」など、資料内のフローと照合して合理的に解釈できる組合せになっています。

③【誤】
 ミやムにそれぞれa, b, cを割り当てる手順が、実際のGIS解析手順と違う順序で説明されている場合があります。結果的にaが「避難の必要人数」に当たらず、bが「避難所別の人数」となってしまうなど、資料の示す手順と不整合を生じます。

④【誤】
 マを「避難が間に合わない人数b」やムを「避難が必要な人数a」とするなど、範囲の重ね合わせから想定される人員区分と矛盾しやすい組合せになってしまいます。

⑤【誤】
 c「避難場所別の避難者数」を中間の段階で割り当てると、最終的な地図上の重ね合わせ手順と流れがかみ合いません。結局、ミやムが別の値と混同されてしまう可能性があります。

⑥【誤】
 a, b, cの割り振りがいずれも実際の避難計画の段階的な推定手順と噛み合わない組合せになります。GIS解析の意図とかけ離れた内容となるため不適切です。

第4問

問15:正解3

<問題要旨>
表1には、2010年から2019年までの発電量増加率を「火力・原子力・水力・太陽光・地熱・風力」の区分ごとに示した3つの数値列(ア・イ・ウ)があり、日本・中国*・ドイツのいずれかに対応しています。各国がそれぞれ火力や原子力をどの程度伸ばしてきたか、あるいは太陽光などの新エネルギー導入をどれほど拡大したかに注目することで、ア・イ・ウの割り振りを判断する問題です。
(*台湾・香港・マカオを除く)

<選択肢>
①【誤】
 日本をア、中国をイ、ドイツをウとする組合せでは、ア(原子力が大幅増)という数字が日本の実情と大きくかけ離れます。日本は2011年以降、原発稼働が抑制される動きもあり、原子力の増加率が高いとは考えにくいため、矛盾が生じます。

②【誤】
 日本をア、中国をウ、ドイツをイとするには、原子力が大幅増のアを日本に当てる点が前項同様に不自然です。さらに太陽光の伸びが極端に大きいアを中国以外に割り当てることにも無理があり、組合せとして成立しにくいです。

③【正】
 イ(原子力が大幅にマイナス)を日本、ア(火力も太陽光も大幅増)を中国、ウ(原子力がややマイナスで再生可能エネルギーもある程度伸ばしている)をドイツとすると、近年の各国のエネルギー政策や発電実績の変化と整合します。特に中国は太陽光・風力の導入を急拡大し、原子力も積極的に増強してきたため、アの特徴と合致しやすいです。

④【誤】
 日本をイ、中国をウ、ドイツをアとする組合せでは、ドイツが「原子力・火力ともに急増」という数値になるアを割り当てることになり、実際の脱原発方針や再生可能エネルギー重視の動きと合わなくなります。

⑤【誤】
 日本をウ、中国をア、ドイツをイとする場合、ウ(火力がマイナス)を日本が担うことになります。火力発電を一定程度維持する日本の傾向とは矛盾する面があり、またドイツをイ(原子力マイナス幅が極端に大きい数字)に当てる場合の太陽光などの伸び率とも食い違いが出てきます。

⑥【誤】
 日本をウ、中国をイ、ドイツをアとする組合せでは、太陽光導入を急激に進めてきた中国の特徴に合う数値がイにならず、再生可能エネルギー拡大が極端に大きいアをドイツが担当する形となり、全体のバランスが合わなくなります。

問16:正解6

<問題要旨>
ドイツの経済学者ウェーバーが提唱した「工業立地論」に基づき、製品製造過程での原料指数(原材料が最終製品に対してどの程度重量として削減されるか)に注目する問題です。ここでは醤油製造・石油精製・ワイン製造の3業種をA~Cに振り分け、(1) 原料指数が1よりかなり大きい場合(重量が大幅に減る=原料地立地型)、(2) およそ1の場合(広い意味でどこでも成り立ちやすい=中立型)、(3) 1よりかなり小さい場合(消費地立地型)に対応させます。

<選択肢>
①【誤】A=醤油製造、B=石油精製、C=ワイン製造
 ワイン製造はブドウの重さに対し製品(ワイン)として取り出される量が小さいため、重量減が非常に大きい(原料指数>>1)業種とみられます。よって「A=醤油」ではなく「A=ワイン」の可能性が高く、ここは不適切です。

②【誤】A=醤油製造、B=石油精製、C=ワイン製造
 ①と同じ割り当てであり、説明の矛盾は解消されません。

③【誤】A=石油精製、B=醤油製造、C=ワイン製造
 石油精製は、原油をガソリン・軽油などへ分留する過程である程度の質量変化はあるものの、「ブドウからわずかな量の果汁を搾り取ってワインを造る」ほどの極端な重量減には至らないと考えられます。よってAに石油精製を置くのは適切ではありません。

④【誤】A=石油精製、B=ワイン製造、C=醤油製造
 ワインをBにすると「原料指数がおよそ1」に相当する業種として扱うことになり、重量が大幅に減少するはずのワイン製造と整合しません。

⑤【誤】A=ワイン製造、B=石油精製、C=醤油製造
 一見、ワインを「重量減が大きいA」に、石油精製を「およそ1のB」に、醤油製造を「1よりかなり小さいC」としているため、直感的には正しそうですが、実際には「醤油製造で失われる重量」がそこまで大きいかどうかが論点となります。さらに「油分が抽出される石油精製は大きく重量減が起こる」という見方もあり、この配置に疑問が残ります。

⑥【正】A=ワイン製造、B=醤油製造、C=石油精製
 ブドウ(果皮や種、果肉)を搾汁した後、長期熟成に回すワイン製造は原料に対し製品重量がかなり小さくなるため(原料指数が大きい)原料地立地型=Aに該当します。一方で、醤油製造は大豆や小麦を仕込むものの、水・塩など比較的どこでも調達可能な要素を除くと、原料産地・消費地いずれでも立地しやすい中間的性質=Bとみなせます。さらに石油精製は、原油から多彩な石油製品を分離し、大幅に重量が減少するケースもあるため、「消費地に近い方が有利」とされるCよりは、むしろ重量減が大きい業種とみる見解もありますが、本問では原料指数が1よりかなり小さい業種に当てはめる形(=C)として整理されています。総合的に見ると、この組合せが最も妥当とされます。

問17:正解1

<問題要旨>
全国の都道府県別に「繊維・衣服にかかわる (1)製造品出荷額、(2)卸売販売額、(3)小売販売額」の構成比を地図上に示したものがカ・キ・クの3パターンで与えられています。どの地図がどの指標に相当するかを見極める問題です。製造は産地に分布が偏りやすく、卸売は大都市圏での流通拠点に集中、小売はより広域に分散しつつ主要都市で大きなシェアを占める傾向などが手掛かりとなります。

<選択肢>
①【正】
 カを「製造品出荷額」、キを「卸売販売額」、クを「小売販売額」とする場合、実際の地図からも製造業が集積しやすい地域(例:北陸の繊維産地、または愛知・大阪など)で比率が大きいのがカに見られ、卸売は都市圏中心(東京や大阪)のキ、小売は全国的に広く分布しながら特大都市で特に比率が高いク、という構図と合致します。

②【誤】
 カを「製造」ではなく「卸売」とするなど、都道府県別比率の分布パターンが崩れるため、地図の特徴と一致しません。

③【誤】
 キを「小売」、クを「卸売」と取り違えてしまうと、大消費地とされる大都市(例えば東京)での比率分布の見え方がかみ合わなくなります。

④【誤】
 製造と流通(卸売・小売)を混同して割り当てる場合、全国地図上で繊維産地が高い割合を示しているかどうかが説明できなくなります。

⑤【誤】
 カ・キ・クのうち、製造出荷の分布を全国的に広がる小売額だと解釈するなど、データの特徴が明らかに異なる組合せとなるため適切ではありません。

⑥【誤】
 カを「小売」やキを「製造」など、いずれも統計上の地域分布を反映できないため、不適切です。

問18:正解2

<問題要旨>
いくつかの国(日本、スペイン、タイ、ドイツ)の国際観光収支(観光収入と観光支出)を2010年と2019年で比較したグラフが4つ(①~④)示され、その中からドイツに当てはまるものを選ぶ問題です。ドイツは旅行者が海外に出る支出の規模も大きく、一方で欧州域内外からの観光客が訪れる収入も相応にある特徴を持ちます。

<選択肢>
①【誤】
 収入(インバウンド)は非常に大きいが、支出(アウトバウンド)がそこまで大きくない形になっているなど、ドイツの実情とずれが見られます。

②【正】
 ドイツはヨーロッパ有数の経済大国であり、国民の海外旅行需要も高いため、観光支出が大きめに表れる一方、観光収入も欧州観光地として一定程度大きいことが分かります。このバランスを比較すると、提示グラフの中で②が最もドイツの特徴(収入も支出もいずれも大きい)と合致します。

③【誤】
 観光収入が極端に高く、支出面で中規模にとどまる様子を示していると、地理的・経済的背景が異なるスペインやタイのような観光立国に近いパターンとも考えられ、ドイツとは整合しません。

④【誤】
 観光支出の棒グラフが極端に低く、国内への観光収入の比率が高いというパターンはドイツらしさがなく、他国の特徴を表している可能性が高いです。

問19:正解4

<問題要旨>
ファブレス企業を例に、製造工程の一部を社外に委託しながら、商品開発やマーケティングなどに注力するサプライチェーンの模式図が示されています。これに関連する下線部①~④のうち、「適当でない(誤りが含まれる)」ものを選ぶ問題です。

<選択肢>
①【正】
 「多大な設備投資を必要とする製造部門を切り離している」というのは、ファブレス企業によく見られる戦略で、変化する需要に柔軟に対応できるように専門工場に委託する仕組みと合致します。

②【正】
 「E社本体は商品開発やマーケティングなど先端技術産業の集積地に立地している」というのも一般的なファブレス企業の姿です。研究開発や営業拠点を大都市に置き、製造は外部委託する形が多く見られます。

③【正】
 「複数の企業から製造工程の一部を委託されている」というのは、下請け工場側の特徴としてもよくあり、サプライチェーンを水平的に構築する近年の生産体制で説明される内容です。

④【誤】
 「部品製造の工場と製品の消費地とが近接する傾向がある」という断定は、ファブレス企業の実態とは必ずしも一致しません。実際には部品工場が世界各地に点在し、輸送コストや関税の兼ね合い、労働力の確保など様々な要因で分散される場合が多いです。必ずしも「消費地に近い」だけを決め手に立地するわけではないため、本文でいう下線部としては誤りが含まれます。

問20:正解3

<問題要旨>
日本・アメリカ合衆国・中国の3か国における産業別の貿易収支(中間財・最終財、部品や加工品など)を比較し、どの国が「サ」「シ」のいずれかに該当し、さらに「J」「K」が家庭用電気機械(家電)か輸送機械(自動車など)かを読み取る問題です。アメリカの輸送機械の貿易収支は大きくマイナスになりがちな傾向、また中国が家電などで輸出超過になりやすい特徴を踏まえる必要があります。

<選択肢>
①【誤】
 アメリカ合衆国をサとし、輸送機械をJとするのは、表の数値が示す特徴と整わない部分があります。とくに米国が輸送機械で負債的(赤字)になる場合、該当する記号の増減率や数値が合致するか精査すると矛盾が出てきます。

②【誤】
 アメリカ合衆国をサとし、輸送機械をKと割り当てるパターンでも、表で示されるサの中間財や最終財の収支を検討すると不自然な点が出てきます。さらに中国をシとするならば家電や輸送機械の数値がどう割り当てられるかに齟齬が生じます。

③【正】
 シをアメリカ合衆国、サを中国とみなし、輸送機械をJ、家電などをKと読み取ると、表の数値(中間財や最終財におけるプラス・マイナスの度合い)が比較的うまく説明できます。アメリカは輸送機械で大きくマイナスを抱える一方、中国は家電系の分野で輸出超過を示すケースが多いなど、世界貿易統計の実態とも合致します。

④【誤】
 シをアメリカ合衆国として輸送機械をKにすると、具体的な数値の赤字・黒字の振れ方が一致しにくいです。またサを中国にしたうえで家電をJにするなどの逆転配置では、家電分野のデータと齟齬が生じます。

第5問

問21:正解2

<問題要旨>
日本における工業用地の推移について、三大都市圏と地方圏それぞれの面積変化を示す資料を基に、その背景となる要因を2つの期間(1965~1975年、1975~1995年)に対応させる問題です。資料1の棒グラフでは、AとBがそれぞれ三大都市圏・地方圏を表し、さらに空欄アとイのいずれかが「加工組立工業が成長し、生産工場が地方圏に立地した(j)」、または「基礎素材型工業の臨海部整備が進められた(k)」に相当するかを組み合わせて考えます。

<選択肢>
①【誤】(三大都市圏 = A、ア = j、地方圏 = B、イ = k)
 1965~1975年をj「加工組立工業が成長し…」とするのは、この時期の日本では大規模な重化学工業(基礎素材型)の港湾整備(k)が先行した例が多いとされるため整合しません。

②【正】(三大都市圏 = A、ア = k、地方圏 = B、イ = j)
 1965~1975年の高度経済成長前半期は、鉄鋼・石油化学など基礎素材型工業の拠点を沿岸部に整えた動きが顕著であり(k)、その後1975~1995年にかけて加工組立工業が伸びて地方へ生産拠点を分散する動きが加速(j)しました。資料の棒グラフの変化とも比較的矛盾せず、整合しています。

③【誤】(三大都市圏 = B、ア = j、地方圏 = A、イ = k)
 三大都市圏をB、地方圏をAとするのは、棒グラフの伸びの様子から考えても逆転します。また高度成長期に臨海部で基礎素材型工業が拡大したエリアを「地方圏」に当てはめると、一部の地域分布は説明できても東京湾・大阪湾・名古屋港など主要都市圏の動きが当てはまらず矛盾します。

④【誤】(三大都市圏 = B、ア = k、地方圏 = A、イ = j)
 そもそもAを地方圏、Bを三大都市圏としてしまう逆転配置が、資料の棒グラフから読み取れる増加量の大小などと合わなくなります。

問22:正解1

<問題要旨>
首都圏の市区Dと市区Eについて、それぞれ1990年と2015年の人口ピラミッド(図1中のカ、キ)を提示し、さらに「都心からおよそ15kmの位置にあり工場跡地の再開発が進む」「都心からおよそ40kmの農地・山林が宅地化された」などの特徴(x, y)と対応づける問題です。問題文では2015年に当たる人口ピラミッドがどちらなのか、また市区Dがxかyかを正しく組み合わせて考察する必要があります。

<選択肢>
①【正】(2015年 = カ、D = x)
 カはより若年層から中年層にかけて人口が増加傾向を示し、都心から15kmほどの工場混在エリアが再開発され、マンションや商業施設が建設されたため若い世代が流入していると説明しやすいです。

②【誤】(2015年 = カ、D = y)
 Dをy「都心から約40kmの農山村地帯が宅地化した」地域とすると、ピラミッドの変化や人口増加の特徴が都市近接部らしい現象とは合いにくくなります。

③【誤】(2015年 = キ、D = x)
 キは高齢化がより進行しつつ、若年人口比率がそれほど増えていないピラミッド構成が示唆されます。もしDが都心から近く再開発の進んだ地域だとするなら、若年層の流入が顕著なカの方が整合するため、この組合せはずれます。

④【誤】(2015年 = キ、D = y)
 Dを郊外の農地転用地域としても、キは比較的高齢比率が大きめに移行しているピラミッドに見え、必ずしも宅地開発のピークを迎えた地域の人口構成には合致しません。

問23:正解4

<問題要旨>
イタリア・オーストラリア・韓国の3か国をサ~スに振り分け、グラフに示される「都市人口率とGDPに占める製造業の割合」の1970年→1995年→2020年までの変化パターンを比較する問題です。それぞれ工業化の時期やサービス業化の進み方、都市化率の上昇速度が異なるため、各点がどの国を示すかを推定します。

<選択肢>
①【誤】(イタリア=サ、オーストラリア=シ、韓国=ス)
 イタリアは比較的早期に工業先進国化しており、製造業の割合が高まった後にサービス化が進み始めるなどの歴史がある一方、韓国は急速な工業化と都市化が同時並行で進んだ経緯があります。この組合せでは韓国をスとする点がグラフ上の動きと必ずしも合わない場合が多いです。

②【誤】(イタリア=サ、オーストラリア=ス、韓国=シ)
 オーストラリアをスとすると、都市人口率はかなり高い水準にありつつ、製造業の割合はあまり高くない傾向になるはずです。グラフで見られる「ス」は1970年から2020年まで通してもやや低めに推移している形が示唆され、必ずしもオーストラリアの特徴には合わない点があります。

③【誤】(イタリア=シ、オーストラリア=サ、韓国=ス)
 イタリアをシとし、オーストラリアをサと入れ替えると、工業化度合いと都市化度合いの推移が混乱し、いずれもグラフ中の位置と噛み合わなくなります。

④【正】(イタリア=シ、オーストラリア=ス、韓国=サ)
 韓国は1970年時点で製造業の比率が比較的低かったが、その後急激に工業化し、都市化も大きく進行した特徴を示します。イタリアはすでに産業構造が多角化しており、製造業の割合がある程度高めから徐々にサービス業へ移行していくパターン。オーストラリアは古くから都市化が進んでいて、製造業比率はそれほど高くなく、経済は鉱業や畜産・サービス分野に重きを置いてきたため、グラフ上で高い都市人口率と低めの製造業比率を示す国として適合します。この組合せが全体を整合的に説明できます。

⑤【誤】(イタリア=ス、オーストラリア=シ、韓国=サ)
 オーストラリアとイタリアを逆転させると、サービス化の先行度合いや都市人口率の推移が合いません。

⑥【誤】(イタリア=ス、オーストラリア=サ、韓国=シ)
 韓国をシとすると、1970年代時点で製造業比率や都市化率があまり高くなかった動きに合わなくなるなど、時系列の特徴が説明できません。

問24:正解2

<問題要旨>
「情報関連産業」を構成する複数の業種(出版業・新聞業・ソフトウェア業など)について、全国従業者数に占める東京都の割合(2016年)と、2006~2016年の従業者数増減率が示された表1(タ・チ・ツの3種 + 放送業)を読み取り、各業種をタ・チ・ツのどれに当てはめるかを問う問題です。出版や新聞は近年減少傾向が見られ、ソフトウェアは首都圏集中が比較的高く、かつ成長も著しいなどの特徴を踏まえます。

<選択肢>
①【誤】(出版業=タ、新聞業=チ、ソフトウェア=ツ)
 タ「67.6%・-29.5%」、チ「51.4%・27.9%」、ツ「38.0%・-25.4%」という数値が挙がっている場合、タを出版とするのは東京都集中率の高さを考えれば一理ありますが、-29.5%という急減が妥当かは要注意です。一方、新聞業も近年従業者数の減少傾向がみられる可能性が高く、整合しづらい点が出ます。

②【正】(出版業=タ、新聞業=ツ、ソフトウェア=チ)
 タの高い東京都集中率と顕著な減少率は出版業に合致します。新聞業は全国的に従業者数がある程度減少傾向にあるものの、出版ほどの集中率ではなく、表の「ツ」に割り当てられる数値とも一致しやすいです。ソフトウェア業は首都圏集中が高く、なおかつ従業者数が増えている点(チ「51.4%・+27.9%」)と整合します。

③【誤】(出版業=チ、新聞業=ツ、ソフトウェア=タ)
 ソフトウェアをタとすると、「67.6%・-29.5%」という大幅な従業者数減少がソフトウェア産業の実情と真逆になります。

④【誤】(出版業=チ、新聞業=タ、ソフトウェア=ツ)
 新聞業をタとすると、極端に減少していることになり、出版業との比較で新聞業がここまで落ち込んでいるかは疑問です。さらにソフトウェアをツにすると東京都集中率や増減率が合わなくなります。

⑤【誤】
 いずれも業種を割り当てる際、首都圏集中や増減率の特徴と食い違いが生じます。

⑥【誤】
 同様に業種と数値の不整合が大きく、正解として成立しません。

問25:正解3

<問題要旨>
世界都市の一例としてロンドンを取り上げ、インナー・ロンドンを含む各地区の「外国生まれの人の割合」「高度な経営・専門業務の従事者割合」「失業率」などの分布を示す地図(図3)を考察する問題です。会話文には、外生まれの人が多い地域やウォーターフロント開発後の様子、高度専門業務が多い中心部などの言及があります。そこから誤りを含む下線部①~④の記述を探し出します。

<選択肢>
①【正】
 「高度な経営・専門業務の従事者割合が高い地区の分布と、失業率が高い地区の分布は中心から外側にかけて異なる傾向がある」という指摘は概ね妥当です。シティ周辺は専門的職業が集中する一方、失業率が高いのは別の周辺地区に顕著に出る傾向があります。

②【正】
 「外国で生まれた人の割合と、高度な経営・専門業務の従事者割合が共に高い地区はインナー・ロンドン(中心部)に多い」というのも、移民労働者の中に高技能人材を含むケースが集積する大都市中心部の実情と合致します。

③【誤】
 「失業率は、シティを中心に同心円状に高位から低位へ分布する傾向にある」という記述は誤り気味です。実際の地図を見ると、中心部は専門業務が集積して雇用機会が多く、周辺部に行くほど失業率が高まる地域も散見されます。いわゆる内側が低失業率・外側が高失業率というパターンを想定すると、「中心から外側に行くほど失業率が上がる」可能性が高いので、下線部のように「中心が失業率の高位」とする同心円の図式は齟齬があるのです。

④【正】
 ドックランズはかつて倉庫業・造船業が衰退したのち、ウォーターフロント開発で再生が進められ、高度なオフィス機能の導入や富裕層向けの高層住宅地域化が行われてきたというのはロンドン再開発の代表例として知られています。この説明自体は正しく、誤りではありません。

第6問

問26:正解4

<問題要旨>
インド洋周辺の地図(図1)に示された5つの地域(ア~エ)のうち、サイクロン(熱帯低気圧)の上陸頻度が最も低い地域を問う問題です。サイクロンの発生や通過が多いのは一般に南アジアの東岸や湾岸、オーストラリア北西岸などが挙げられますが、それらとは異なる地点を見分けることがポイントになります。

<選択肢>
①【誤】ア
 インド東岸(ベンガル湾沿岸)に近い位置と考えられ、サイクロン発生・上陸が比較的多い地域です。

②【誤】イ
 オーストラリア北西部沿岸では、熱帯低気圧(サイクロン)がよく発生・上陸することが知られています。

③【誤】ウ
 マダガスカルやその周辺の南西インド洋は、サイクロンの発生・通過が珍しくありません。

④【正】エ
 アフリカ東海岸の中でも緯度や海洋条件の関係でサイクロンが上陸しづらい地域に当たります。他の地点に比べてサイクロンの上陸頻度は顕著に低いとされます。

問27:正解1

<問題要旨>
図1のA~Dの4か所のうち、稲作で主に天水田(灌漑施設を用いず雨水に依存した水田)が利用される地域ではないものを選ぶ問題です。南アジアや東南アジアの一部では豊富な降水を利用した天水田が多い一方、降水の季節分布や地形条件によって灌漑が必要な地域もあります。

<選択肢>
①【正】A
 ここは降水の季節性や量の面で天水田が成立しづらく、灌漑など別の手段に依存した稲作、もしくは稲作以外の農業が多いと考えられます。そのため「主に天水田」は当てはまりません。

②【誤】B
 熱帯モンスーンの影響を受ける場所に近く、雨期を利用した天水田が成立しやすい地域だとみられます。

③【誤】C
 一定のモンスーン降雨が見込まれるため、比較的天水依存の稲作が行われやすい可能性が高いです。

④【誤】D
 熱帯地域のうち、季節風や降水が十分あるエリアでは天水田が大きな比率を占めるケースがみられます。

問28:正解2

<問題要旨>
いくつかの国(カ・キ・ク)とインドとの間で示されている「輸出額(矢印の太さ)」「移民数(矢印の太さ)」の相互関係を読み取り、それらの国がアラブ首長国連邦、インドネシア、シンガポールのどれに当たるかを判断する問題です。石油や天然ガス関連の貿易規模、人口規模、労働移民の流入・流出バランスなどが手掛かりとなります。

<選択肢>
①【誤】(アラブ首長国連邦=カ、インドネシア=キ、シンガポール=ク)
 貿易・移民の矢印パターンが一致せず、特にアラブ首長国連邦との移民数や石油関連輸出入が誤って割り当てられやすいです。

②【正】(アラブ首長国連邦=カ、インドネシア=ク、シンガポール=キ)
 アラブ首長国連邦(カ)はインドからの出稼ぎ労働が多く、さらにエネルギー関連を中心とした貿易額も大きいことと合致します。インドネシア(ク)は人口が多く労働力移動の流れがあり、シンガポール(キ)は小国ながら貿易額が大きく高付加価値品の輸出入を行う特徴と照らして矢印の太さが説明できます。

③【誤】(アラブ首長国連邦=キ、インドネシア=カ、シンガポール=ク)
 アラブ首長国連邦をキとし、インドネシアをカとすると貿易や移民フローの規模感が合わず、逆転しがちです。

④【誤】(アラブ首長国連邦=キ、インドネシア=ク、シンガポール=カ)
 同様に労働移民の大きな流れがアラブ首長国連邦へ向かう構図が再現できなくなります。

⑤【誤】(アラブ首長国連邦=ク、インドネシア=カ、シンガポール=キ)
 アラブ首長国連邦をクとすると、貿易・移民の量が逆になり、インドネシアをカとする説明も合いません。

⑥【誤】(アラブ首長国連邦=ク、インドネシア=キ、シンガポール=カ)
 いずれも貿易規模と移民数の対応を逆転させてしまい、地図中の矢印パターンと合いません。

問29:正解5

<問題要旨>
図3はインド洋に面する各国における宗教人口の第1位の割合を塗り分けで示し、それに関連して3か国(F~H)の宗教事情を説明する文(サ~ス)を組み合わせる問題です。各国の主要宗教(イスラム教・ヒンドゥー教・仏教・キリスト教など)や植民地支配の歴史、近年の紛争などが手掛かりになります。

<選択肢>
①【誤】(F=サ, G=シ, H=ス)
 FやGに当たる国の宗教人口比率がサやシの記述と食い違います。

②【誤】(F=サ, G=ス, H=シ)
 サ「かつてムスリムによる帝国が栄え…」などの歴史を誤った国に割り当てると合わなくなる可能性が高いです。

③【誤】(F=シ, G=サ, H=ス)
 Fをシ「植民地時代以前に仏教とムスリムが…」とするには、マレー半島など東南アジアの歴史とも矛盾する部分が出る可能性があります。

④【誤】(F=シ, G=ス, H=サ)
 同様に地図中F・G・Hの宗教分布状況との整合性が取れません。

⑤【正】(F=サ, G=ス, H=シ)
 Fは「かつてムスリム帝国が栄え、現在でも世界有数のムスリム人口を擁する国だが、第1位はイスラム教ではない」という文脈に合う国とみられます(たとえばインドはヒンドゥー多数派だがムスリム人口も多い)。Gは「ムスリム商人の言語と地域の言語が混ざり合って共通語が生まれ、その後キリスト教が浸透」といった島嶼部の歴史を語る可能性がある国、Hは「植民地時代以前に仏教とムスリムが共存し、近年まで紛争や難民問題が発生している」といった背景に該当する国を想定でき、地図の宗教分布とも対応します。

⑥【誤】(F=ス, G=シ, H=サ)
 Fをス、Gをシ、Hをサにすると、地図中の90%以上が占める宗教や80~90%に留まる宗教と歴史背景の説明が噛み合わず、正しい対応にはなりません。

問30:正解2

<問題要旨>
モーリシャスとモルディブというインド洋の島嶼国に関する資料が示され、主な産業や宗教、植民地支配の変遷などを比較する問題です。本文に記載された下線部①~④のうち、どれが事実と異なっているかを考察します。モーリシャスは元々火山島でサトウキビプランテーションなどが盛んに行われ、移民労働の影響で多様な宗教が根づきました。一方モルディブは珊瑚礁島の観光が主産業で、イスラム教が国教です。

<選択肢>
①【正】
 モーリシャスでプランテーションが発展し、その後も製糖業・繊維産業を中心に多様な移民労働者による宗教が広まったという歴史的背景は概ね正しいです。

②【誤】
 「フランス統治期に導入された移民労働者の宗教が反映されている」とだけ記述するには注意が必要です。モーリシャスの旧宗主国にはオランダやイギリスも含まれ、多様な移民形態があったため、特定の宗主国による宗教導入が単独で決定的役割を果たしたと断定するのは不自然です。あるいはモルディブの歴史の説明と取り違えている可能性もあり、本文の提示内容とはずれがあります。

③【正】
 モルディブでは地球温暖化による海面上昇リスクや国土面積の縮小が懸念されるという点は広く知られており、本文にもそうした環境問題の言及が見られます。

④【正】
 モルディブが中国沿海部から東アフリカを経由する「海上シルクロード」の要衝に位置するとされ、2010年代以降、中国の投資やインフラ整備への関与が増しているという事象は実際に報じられています。

投稿を友達にもシェアしよう!
  • URLをコピーしました!
目次