2026年度 大学入学共通テスト 追試験 地理総合 解答・解説

2026年度 大学入学共通テスト 追試験「地理総合」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。

目次

解答

解説

2026年度大学入学共通テスト追試験の「地理総合」は4大問・16問、50点満点、試験時間30分です。配点は第1問13、第2問12、第3問13、第4問12で、全問必答です。単独科目の「地理総合」は「歴史総合」「公共」と1冊にまとめられ、3科目のうち2科目を選択して計60分で解答する形式のため、解答番号は1ではなく101から始まります(101〜116)。

第1問は、世界各地の祭礼の写真、ワーキングホリデービザによる往来人数、家計消費支出の割合、都道府県別の余暇関連施設という4つの資料から、世界と日本の生活文化の多様性を読み取らせます。第2問は、山口県周南市の高校に通うサトミさんたちが周南地域(周南市・下松市・光市)の発展を調べるという枠組みで、海岸地形の景観写真、新旧地形図、港湾の貨物取引、人口増減と医療機関の分布を扱う地域調査です。第3問は日本の自然環境と防災で、河川の月平均流量、空中写真に写る沖積地形と土地利用、島嶼のハザードマップ、洪水時の避難経路が題材になります。第4問は地球的課題で、地域別の環境問題、世界の穀物の生産量と消費量、アフリカの経済指標の上位10か国、少数言語の保護が問われます。

この回は16問の多くが組合せ選択で、しかもその大半が2枚以上の資料を同時に見ないと決まりません。つまずきやすいのは、第3問問1の流量グラフのように「融雪出水は春、梅雨・台風は夏」という気候の型に戻らないと地点が決まらない設問、第3問問3のように凡例のどちらが津波浸水想定かを分布の形から確定させる設問、第4問問2のように割合の大小そのものではなく「生産量と消費量で北アメリカやアフリカの割合がどちらで大きいか」という差の向きで決める設問です。いずれも図の印象で選ばず、目盛りから読んだ数値と分布の端で切るのが確実です。

第1問 世界各地の生活文化の多様性(配点13)

世界各地の祭礼、ワーキングホリデービザによる人の往来、家計消費支出の構成、日本の都道府県別統計地図という4つの資料をもとに、生活文化と社会の地域差を読み取らせる大問です。いずれも印象ではなく数値の大小と分布の偏りで判定させる作りになっています。

問1:正解 ④(解答番号101/配点3)

<問題要旨>

世界地図上に4地点(アンデス高地、ブラジル南東部、スカンディナビア半島南部、インドシナ半島)を示し、祭礼の様子を写した4枚の写真とその説明文のうち、スカンディナビア半島南部の地点周辺でみられるものを選ばせる設問です。写真の説明には祭礼の内容と行われる月が添えられています。

<考え方>

祭礼は、その地域の自然環境(緯度による日照時間、雨季と乾季)や主要作物、宗教と結びついている。高緯度のヨーロッパ北部では冬至の前後に昼が最も短くなるため、日照時間の回復を祝うキリスト教の行事が12月に行われる。行われる月と内容を、4地点それぞれの気候・作物・宗教に突き合わせると、4つとも一対一に対応する。

<選択肢>

①【誤】

サンバのリズムに合わせて踊る祭礼が3月頃に行われるとある。サンバはブラジルの音楽舞踊で、南半球の夏にあたる2〜3月のカーニバルに対応する。ブラジル南東部の地点にあたる。

②【誤】

像に水をかける祭礼が4月に行われるとある。仏像に水をかけて新年を祝う行事は東南アジア大陸部の水かけ祭りで、乾季の終わる4月に行われる。仏教徒が多いインドシナ半島の地点にあたる。

③【誤】

神にトウモロコシの酒をささげる祭礼が6月に行われるとある。トウモロコシはアンデス高地の主要作物で、南半球の冬至にあたる6月に太陽神をまつる祭礼が行われる。アンデス高地の地点にあたる。

④【正】

日が長くなり始めることを祝う祭礼が12月に行われるとある。高緯度地域では冬至の前後に昼が最も短くなるため、12月に日照時間の回復を祝う行事が行われる。白い衣をまとった人々が教会に並ぶ写真とも一致し、スカンディナビア半島南部の地点にあたる。

正解【④】

高緯度ほど冬の日照時間が短いという自然環境の差が祭礼の内容と時期に表れるため、12月に日の長さの回復を祝う④が該当します。

問2:正解 ①(解答番号102/配点4)

<問題要旨>

ワーキングホリデービザによって日本との間を往来した人の数を、3か国について2000年と2018年の双方向で示した図を与え、A〜Cがオーストラリア・韓国・フランスのどれかを判定させる設問です。矢印の太さと数値で、どちらの方向の流れが大きいかが示されています。

<考え方>

矢印の向きを取り違えると3か国すべてが崩れるので、まず日本から出る流れと日本に入る流れを数値ごとに分けて確認する。Aは日本発が8982人から11436人へと圧倒的に大きく、Bは相手国発が973人から6534人へ約6.7倍に急増し、Cは双方とも数百人から1300人台にとどまる。日本人の渡航先として最も多い国、訪日側が多く近年急増した国、双方が小規模な国という3つの型に当てはめる。

<選択肢>

①【正】

オーストラリアA・韓国B・フランスC。日本人のワーキングホリデー渡航先は英語圏のオーストラリアが最も多く、日本発が1万人を超えるAに対応する。訪日側が多く急増したBは距離が近く若年層の往来が多い韓国、双方が1000人前後で釣り合うCが査証発給枠の小さいフランスにあたる。

②【誤】

オーストラリアA・韓国C・フランスB。BはCの約5倍の訪日者があり、発給枠が限られるフランスの規模を大きく超える。韓国とフランスが入れ替わっている。

③【誤】

オーストラリアB・韓国A・フランスC。Aは日本発が相手国発の8倍以上あり、韓国から日本への往来が多いという実態と向きが逆になる。

④【誤】

オーストラリアB・韓国C・フランスA。日本発が相手国発を大きく上回るのはオーストラリアの特徴で、往来がほぼ釣り合うフランスには当てはまらない。

⑤【誤】

オーストラリアC・韓国A・フランスB。Cは双方1000人前後の小規模で、日本人の渡航先として最も多いオーストラリアの規模と合わない。

⑥【誤】

オーストラリアC・韓国B・フランスA。韓国Bは合うが、Cの規模がオーストラリアに合わず、日本発が最大のAをフランスとするのも実態に反する。

正解【①】

日本発が圧倒的に多いAがオーストラリア、訪日が急増したBが韓国、双方が小規模なCがフランスとなる①が正解です。

問3:正解 ④(解答番号103/配点3)

<問題要旨>

日本・アメリカ合衆国・インドの家計消費支出の割合を帯グラフで示し、E〜Gの国名と、凡例カ・キが娯楽・文化と住宅・光熱のどちらにあたるかを組合せで判定させる設問です。帯グラフには食料、外食・宿泊、保健・医療の割合も示されています。

<考え方>

家計消費に占める食料費の割合(エンゲル係数)は、1人当たり所得が低い国ほど高くなる。食料が約36%に達するGは所得水準の低いインド、保健・医療が約22%と3か国で唯一突出するFは公的医療保険の適用範囲が狭いアメリカ合衆国、残るEが日本。凡例はカがどの国でも17〜30%で最大級、キは3〜9%にとどまるので、家計の最大支出項目である住宅・光熱がカ、娯楽・文化がキと決まる。

<選択肢>

①【誤】

アメリカ合衆国E・娯楽・文化カ。Eは保健・医療が約3%しかなく、医療費の家計負担が重いアメリカ合衆国の特徴と合わない。カは3か国すべてで最大の項目であり、娯楽・文化の水準を大きく超える。

②【誤】

アメリカ合衆国E・娯楽・文化キ。娯楽・文化がキという判定は正しいが、Eは食料約17%・保健医療約3%で日本にあたる。

③【誤】

アメリカ合衆国F・娯楽・文化カ。国の判定は正しいが、カは3か国すべてで最大の項目で、娯楽・文化ではなく住宅・光熱である。

④【正】

アメリカ合衆国F・娯楽・文化キ。Fは保健・医療が約22%と3か国で唯一突出し、アメリカ合衆国に対応する。キは3〜9%で住宅・光熱より小さく、娯楽・文化にあたる。

⑤【誤】

アメリカ合衆国G・娯楽・文化カ。Gは食料が約36%と最も高く、所得水準が低いインドの特徴である。カの判定も誤り。

⑥【誤】

アメリカ合衆国G・娯楽・文化キ。娯楽・文化がキは正しいが、食料費の割合が最大のGをアメリカ合衆国とする点が誤り。

正解【④】

保健・医療が約22%で突出するFがアメリカ合衆国、割合が小さいキが娯楽・文化となる④が正解です。

問4:正解 ⑥(解答番号104/配点3)

<問題要旨>

都道府県別の統計を円の大きさで表した3枚の地図J〜Lを与え、それぞれが温泉の源泉数・公立図書館数・スキー場数のどれにあたるかを組合せで判定させる設問です。

<考え方>

自然条件に強く左右される指標と、人口や市町村数にほぼ比例する指標を分けるのが筋道になる。Jは長野・新潟・岐阜・北海道など積雪の多い山地の県に大きな円が集中し、九州や四国にはほとんど円がないのでスキー場数。Lは大分が最大で鹿児島・静岡・北海道が続き、火山地帯に偏るので温泉の源泉数。Kは全都道府県に大小の円が広く分布し、人口の多い都府県で大きくなるので公立図書館数である。

<選択肢>

①【誤】

温泉J・図書館K・スキーL。Jは九州にほとんど円がなく、源泉数が全国最多の大分を含む九州で大きくなるはずの温泉の源泉数には当てはまらない。

②【誤】

温泉J・図書館L・スキーK。Lは大分・鹿児島に大きな円が集まる偏った分布で、市町村数に比例する公立図書館の分布にはならない。

③【誤】

温泉K・図書館J・スキーL。Jは中部山岳と北海道に偏っており、全国に満遍なく置かれる公立図書館の分布とは異なる。

④【誤】

温泉K・図書館L・スキーJ。スキー場がJという判定は正しいが、Kは全国に広く分布しており、火山地帯に偏る源泉数には合わない。

⑤【誤】

温泉L・図書館J・スキーK。温泉がLは正しいが、図書館とスキー場が入れ替わっている。Kは近畿・中国・四国にも円が多く、積雪地に限られるスキー場の分布ではない。

⑥【正】

温泉L・図書館K・スキーJ。Lは大分が最大で火山地帯に偏る温泉の源泉数、Kは全都道府県に分布して人口規模に対応する公立図書館数、Jは積雪の多い山地の県に集中するスキー場数である。

正解【⑥】

火山地帯に偏るLが温泉の源泉数、全国に広く分布するKが公立図書館数、積雪山地に集中するJがスキー場数となる⑥が正解です。

第2問 山口県周南地域の地域調査(配点12)

山口県周南市の高校生が周南地域(周南市・下松市・光市)の発展について行った地域調査という枠組みで、光市の海岸地形の景観写真、新旧地形図の比較、徳山下松港の貨物取引、人口増減と医療機関の分布が順に扱われます。

問1:正解 ②(解答番号105/配点3)

<問題要旨>

光市の地形図上に撮影地点A〜Cと撮影方向の矢印を示し、3枚の景観写真ア〜ウがどの地点からどの方向を撮ったものかを組合せで判定させる設問です。地形図には砂浜、陸繋砂州、岬などの海岸地形が表現されています。

<考え方>

撮影方向の矢印をたどり、その先に地形図上で何があるかを確かめるのが基本になる。Aは北部の砂浜海岸上にあり矢印は南を向き、南側には丘陵性の岬が続く。Bは南部の低地にあり矢印は西を向き、西側には等高線の詰まった急斜面の岬と小さな浜がある。Cは陸繋砂州の基部にあり矢印は北を向き、細長い砂州とその先の陸繋島、さらに湾を越えた市街地と山地が視野に入る。

<選択肢>

①【誤】

A=ア・B=イ・C=ウ。アの砂浜をAとするのは正しいが、イには護岸を伴う細長い砂州と陸繋島が写っており、砂州の基部にあたるCからの眺望である。

②【正】

A=ア・B=ウ・C=イ。アは手前に砂浜、右手すなわち西側に海、奥に岬の丘陵が写り南向きのAと一致する。ウは急斜面の樹林と足元の小さな浜で西向きのB、イは細長い砂州と陸繋島、奥に湾越しの市街地と山地が写り北向きのCと一致する。

③【誤】

A=イ・B=ア・C=ウ。イには砂州と陸繋島が写るが、A付近の海岸は直線的な砂浜で、砂州は存在しない。

④【誤】

A=イ・B=ウ・C=ア。B=ウは正しいが、アの広く開けた砂浜は砂州の基部Cから北を向いた眺望ではない。

⑤【誤】

A=ウ・B=ア・C=イ。C=イは正しいが、ウの急斜面と小さな浜はA付近の平坦な砂浜海岸には見られない。

⑥【誤】

A=ウ・B=イ・C=ア。3つすべてで矢印の先にある地形と写真の内容が食い違う。

正解【②】

矢印の先にある地形(砂浜と岬、急斜面と小さな浜、砂州と陸繋島)で一意に決まり、A=ア・B=ウ・C=イの②が正解です。

問2:正解 ②(解答番号106/配点3)

<問題要旨>

1960年発行の5万分の1地形図と現在の地形図を並べ、周南地域の変化について述べた文章の下線部①〜④から適当でないものを1つ選ばせる設問です。海の埋立て、市役所の位置、市街地化、バイパスの整備目的が下線になっています。

<考え方>

新旧地形図の比較では、主張された施設や土地利用が実際にどこにあるかを両方の図で1つずつ確かめる。市役所の記号は旧図では中心市街地の中にあり、現在の図でも徳山駅の北側の同じ中心市街地内にあって、位置は変わっていない。一方、沿岸の埋立てと工場の立地、北部の正重地区から辻地区にかけての市街地化、バイパスが通過交通を分離するという整備目的は、いずれも図の変化や道路の機能と整合する。

<選択肢>

①【適当】

海の埋立てが進められ工場がつくられた。現在の図では海岸線が直線的になり、旧図で海だった場所に大きな工場の敷地が並んでいる。図の変化と一致する。

②【適当でない】

市役所は中心市街地から郊外に移転した。市役所の記号は新旧いずれの図でも中心市街地の中にあり、郊外へ移転していない。施設の位置を実際と入れ替えた誤りである。

③【適当】

正重地区から辻地区にかけては市街地化が進んだ。旧図で田や畑が広がっていた北部一帯が、現在の図では建物の記号で埋まっている。

④【適当】

周南バイパスは中心市街地を通過する自動車交通量の抑制を主な目的として整備された。バイパスは市街地を迂回させて通過交通を分離する道路であり、整備目的の説明として適当である。

正解【②】

市役所は新旧の図で同じ中心市街地内にあり郊外へ移転していないため、②が適当でありません。

問3:正解 ①(解答番号107/配点3)

<問題要旨>

徳山下松港の貨物取引量の割合を品目別の円グラフで4つ示し、国内と国外、輸出・移出と輸入・移入の組合せのうち、国内への移出に該当するものを選ばせる設問です。あわせて、国内自給率の高い資源を用いて加工する工場が立地していること、石炭を一時貯蔵して国内の他の港へ移出する施設があることが示されています。

<考え方>

4つの円グラフは2×2の表に配置されているので、まず品目から行と列を確定させる。原塩とガソリン・ナフサを含み石炭が過半を占める図は、国内でほとんど生産されない原塩があることから国外からの輸入で確定する。これで右の列が輸入・移入、下の段が国外と決まり、上の段が国内、左の列が輸出・移出となる。求める国内への移出は左の列の上の段である。石灰石が過半を占める図が国内自給率の高い資源の移入、化学薬品とセメントだけの図が国外への輸出となり、いずれも整合する。

<選択肢>

①【正】

化学薬品・セメント・石炭・その他からなる図。左の列の上の段にあたり、国内への移出である。石炭を一時貯蔵して国内の他の港へ移出する施設があるという説明と、石炭が含まれることが一致する。

②【誤】

石灰石・化学薬品・鋼材・その他からなる図。石灰石はセメント工場向けに国内の産地から運び込まれる資源で、国内からの移入にあたる。移出ではない。

③【誤】

化学薬品・セメント・その他からなる図。原料の移入品目を含まず製品だけで構成され、下の段の左の列、すなわち国外への輸出にあたる。

④【誤】

石炭・ガソリン・ナフサ・原塩・その他からなる図。原塩は国内でほとんど生産されず輸入に依存する品目で、この図は国外からの輸入である。

正解【①】

原塩を含む図を国外からの輸入と確定させると2×2の表の向きが決まり、石炭を含む①が国内への移出となります。

問4:正解 ③(解答番号108/配点3)

<問題要旨>

周南地域の人口増減をメッシュで示した図と医療機関の分布図、高速交通網の図と1970年を100とした人口推移のグラフを与え、生徒の会話の下線部①〜④から適当でないものを1つ選ばせる設問です。

<考え方>

会話の中で主張された分布が実際にどこにあるかを図で確かめる。医療機関の分布図では病院の記号は沿岸の市街地に密集しており、高速道路のインターチェンジは内陸に位置してその周辺には病院がほとんど描かれていない。人口推移のグラフでは下松市だけが2000年以降も上昇して112程度に達し、周南市と光市は104程度から94程度まで低下するので、減少の顕著さの比較は成り立つ。巡回診療所の記号は北部の内陸と島に置かれている。

<選択肢>

①【適当】

2000年以降の人口推移をみると、下松市に比べて周南市と光市の人口減少が顕著である。グラフで下松市だけが上昇を続け、周南市と光市は2000年の104程度から2020年の94程度まで下がっている。

②【適当】

人口が増えたメッシュが多く分布しているのは、周南市と下松市の境界付近のうち海に近い地域である。増加したメッシュは沿岸の市街地帯、とくに両市の境界付近にまとまって分布している。

③【適当でない】

高速道路のインターチェンジ周辺に病院が集中している。病院は沿岸の市街地に集中しており、インターチェンジがある内陸側には病院がほとんどない。分布している場所を実際と入れ替えた誤りである。

④【適当】

巡回診療所が開設されているのは、内陸部や島嶼部の住民が医療サービスを受けやすくするためである。巡回診療所の記号は北部の内陸と島に置かれており、医療機関が少ない地域を補う配置になっている。

正解【③】

病院が集中しているのは沿岸の市街地であってインターチェンジ周辺ではないため、③が適当でありません。

第3問 日本の自然環境と防災(配点13)

日本の自然環境と防災をテーマにした4問で、会話文はなく、河川流量のグラフ・空中写真・ハザードマップ・避難経路図といった図をそのまま読ませる構成です。問1・問2が自然環境(河川の流量と沖積地形)、問3・問4が防災(島嶼の災害リスクと避難行動)にあたり、問4だけが配点4で最も重い設問になっています。

問1:正解 ③(解答番号109/配点3)

<問題要旨>

図1に日本の3つの河川の流量観測地点A〜Cと、それぞれの地点より上流の流域が示されています。図2のア〜ウは、A〜Cのいずれかにおける月平均流量(2013〜2022年の平均)の棒グラフで、A〜Cとア〜ウの正しい組合せを選びます。

<考え方>

河川流量の年変化は流域の降水・降雪の季節配分をそのまま映すので、①雪の多い地域は春の融雪出水、②太平洋側の多雨地域は梅雨末期から台風期、③瀬戸内は年間を通じて少雨、という3つの型に当てはめれば決まります。図2のイは1月65・2月62m³/秒と極端に少なく、4月に362m³/秒まで跳ね上がって5月295m³/秒と続くので、冬の降水が雪として蓄えられ春に一気に流出する融雪出水型で、流域が北海道北東部にあるAです。アは7月352・8月315・9月313m³/秒と梅雨末期から台風期にかけて大きく、年平均も約180m³/秒に達するので、日本有数の多雨地域である紀伊半島南部のBです。ウは最大でも7月の約100m³/秒、年平均約55m³/秒と小さく、瀬戸内海へ南流する中国地方の少雨地域のCになります。

<選択肢>

A=イ【正】

1〜3月が60〜110m³/秒と少ないのに4月に362m³/秒でピークをつけるのは融雪出水の型です。流域が北海道北東部にあり、冬季の降水が積雪として蓄えられるため、雪がとける春に流量が集中します。夏に大きいアやウでは、この4月の突出を説明できません。

B=ア【正】

7〜9月に310〜350m³/秒が並び、年平均も約180m³/秒と3つの中で最も多い型です。流域は紀伊半島南部で、梅雨末期の豪雨と台風による降水が重なる日本有数の多雨地域にあたります。同じ夏に多いウは流量の規模が3分の1以下なので、多雨地域の値としては小さすぎます。

C=ウ【正】

年間を通じて100m³/秒を超えず、年平均も約55m³/秒にとどまる型です。流域は中国地方で瀬戸内海へ南流し、中国山地と四国山地にはさまれて夏・冬いずれの季節風の影響も弱まる少雨地域にあたります。冬に極端に少なくなるイのような融雪出水の落差は見られません。

正解【③】

4月に突出するイが融雪出水の北海道のA、夏の多雨で流量が最大のアが紀伊半島南部のB、年間を通じて流量が小さいウが瀬戸内のCとなるので③です。

問2:正解 ④(解答番号110/配点3)

<問題要旨>

地理院地図による空中写真(図3)に範囲E〜Hが円で示され、①〜④の4つの文がそれぞれE〜Hのいずれかの地形と土地利用を説明しています。このうちFについて述べた文を選びます。

<考え方>

①〜④はそれぞれ海成段丘・自然堤防・旧河道・浜堤という異なる成り立ちの地形を述べているので、E〜Hを「分布のかたち」で凡例に割り当てる要領で対応させれば決まります。Fは湾の奥で弧を描く砂浜のすぐ背後にあり、海岸線に平行して住宅が帯状に並ぶ範囲なので、波が打ち上げた砂礫が汀線に平行に積み上がった浜堤(砂州)です。周囲より一段高く水はけがよいため、古くから宅地として利用されます。残りは、丘陵の縁にある一段高い平坦面に白い施設が集まるEが海成段丘と施設栽培、農地の中を帯状に屈曲するGが旧河道、河川沿いの微高地に集落が細長く連なるHが自然堤防です。

<選択肢>

①【誤】

「海底の平坦面が隆起や海面の低下によって陸地化した地形」は海成段丘で、施設栽培地として使われているのは、丘陵の縁にある一段高い平坦面のEにあたります。Fは砂浜のすぐ背後にあって段丘崖で区切られた高い平坦面ではなく、地形の成り立ちが入れ替わっています。

②【誤】

洪水のときに河川があふれて砂礫を堆積させた地形は自然堤防で、河川沿いに細長い微高地として現れるHにあたります。Fは河川から離れた湾奥の海岸沿いにあり、河川の氾濫でできた地形ではありません。「砂礫が堆積してできた宅地」という点だけが④と共通で、堆積させた主体(河川か波か)がすり替えられています。

③【誤】

かつての河道が帯状に屈曲して残る旧河道の説明で、農地の中に弧状の帯として見えるGにあたります。旧河道は周囲より低く湿っているため主に農地として使われる点も、住宅が並ぶFとは合いません。

④【正】

波の作用で打ち上げられた砂礫が汀線に平行に堆積してできた浜堤(砂州)の説明です。Fは湾奥の砂浜の背後で、海岸線に沿って住宅が帯状に並ぶ範囲であり、周囲より高く乾いているため宅地として利用されています。

正解【④】

Fは砂浜の背後に海岸線と平行に伸びる浜堤で、周囲より高い乾いた土地として宅地に使われているので④です。

問3:正解 ①(解答番号111/配点3)

<問題要旨>

図4に瀬戸内海の島と南西諸島の島のハザードマップが並び、凡例LとMは津波浸水想定の範囲と土砂災害警戒区域のいずれかです。Mに該当する語句と、「橋梁によって他の地域とつながっていないこれらの島では、Mに関して主に(カ)が想定されている」という文章の空欄カに入る語句の組合せを選びます。

<考え方>

凡例の割り当ては「この地形ならその区域を引けるか」という可否で決めます。南西諸島の島はほぼ平坦な隆起サンゴ礁の島で、内陸は道路が格子状に走る平地であり、ここに引かれているのはM(灰色)が海岸を一周する帯だけで、L(網掛け)は1か所もありません。急斜面や谷のない平坦な島に土砂災害警戒区域が引かれないのは当然ですが、外洋に面した低平な島に津波浸水想定がまったく無いことはあり得ないので、海岸を取り巻くMが津波浸水想定の範囲です。瀬戸内海の島でもMは汀線に沿う細い帯で、港や集落のある低地でだけ幅が広がり、Lは斜面や谷筋を面的に覆っていて、両者が重なる黒い部分は急斜面が海に迫る汀線に現れるので、この割り当てで矛盾が生じません。そのうえで、津波は発生の直前に全島民を島外へ運び出すような避難ができず、橋のない島では港湾施設と船舶航路が使えなくなって救援も物資も届かないため、想定されるのは発生後の長期間の孤立です。

<選択肢>

M=津波浸水想定の範囲【正】

南西諸島の島は平坦な隆起サンゴ礁で内陸に急斜面がなく、土砂災害警戒区域を引く余地がないにもかかわらず、Mは海岸を一周して引かれています。瀬戸内海の島でもMは汀線に沿う細い帯で、低平な港や集落の部分でだけ幅が広がるという、津波浸水の範囲に特有の形を示しています。

M=土砂災害警戒区域【誤】

Mを土砂災害警戒区域とすると、南西諸島の島には津波浸水想定がまったく示されていないことになり、外洋に面した低平な島の想定として成り立ちません。斜面や谷筋を面的に覆っているのは網掛けのLの側で、二つの凡例が入れ替わっています。

カ=発生後の長期間の孤立【正】

津波は到達までの時間が短く、発生前に島の全住民を島外へ移すことはできません。一方で、橋でつながっていない島では津波によって港湾施設と船舶航路が使えなくなり、救援や物資の到着が遅れて長期間孤立するおそれがあります。図4に船舶航路と道路だけが描かれているのは、島外との連絡手段が船に限られることを示しています。

カ=発生前の全島避難【誤】

発生前の全島避難が想定されるのは、前兆現象をとらえて時間的余裕をもって判断できる火山噴火などの場合です。津波警報から浸水までの時間は短く、島外への移動手段が船に限られる島では、事前に全島民を運び出す避難はそもそも成り立ちません。想定される時期が発生後から発生前へ入れ替えられています。

正解【①】

平坦な南西諸島の島にも引かれている海岸沿いの帯がMなのでM=津波浸水想定の範囲、橋のない島で津波後に想定されるのは長期間の孤立なので①です。

問4:正解 ③(解答番号112/配点4)

<問題要旨>

図5に、地点Qから避難場所a〜cへの避難経路、陰影起伏図、洪水時の浸水想定区域の3枚が同じ範囲で示され、文章サ〜スがa〜cのいずれかについて徒歩による避難経路と避難場所の特徴を述べています。a〜cとサ〜スの組合せを選びます。

<考え方>

サ〜スは「避難場所が浸水するか」「経路に土砂災害の危険があるか」「距離が長いか短いか」の3点だけで書き分けられているので、3枚の図から各避難場所についてこの3点を確定させれば決まります。浸水想定区域の図ではQ自体が区域内にあり、cも区域内、aとbは区域外なので、避難場所が浸水の可能性をもつのはcだけです。経路の長さはスケールバー(250m)で換算するとQ→cが約175m、Q→bが約325m、Q→aが約430mで、cが最短、aが最長になります。陰影起伏図ではQの東に独立した急斜面の丘があり、bへの経路はその裾を回り込むので土砂災害の危険がある一方、aへの経路は平坦な市街地を北へ進むだけで土砂災害の危険はなく、その代わり浸水想定区域を抜けるまでの距離が長くなります。

<選択肢>

a=シ【正】

aへの経路は平坦な市街地を北へ進むだけで、陰影起伏図に急斜面が現れないため避難途中の土砂災害の危険は低いです。ただし約430mで3か所の中では最も長く、浸水想定区域の外へ出るまで北上を続けることになります。避難場所a自体は区域外なので浸水の危険は低く、「土砂災害の危険がある」とするサとは合いません。

b=サ【正】

bは浸水想定区域の外にあり、約325mでaより短い距離で到達できますが、経路はQの東にある独立した丘の急斜面の裾を回り込むため、土砂災害に遭遇する危険があります。避難場所自体は区域外で浸水の危険は低いので、「土砂災害の危険が低い」とするシではなくサに対応します。

c=ス【正】

cへの経路は約175mで3か所の中では最短ですが、c自身が浸水想定区域の中にあるため、避難場所が浸水する可能性があります。「距離が短い」ことと「避難場所が浸水しない」ことは別の条件で、ここを混同するとサやシと入れ替わります。

正解【③】

浸水想定区域内にある避難場所はcだけなのでcがス、残るaとbのうち急斜面の裾を通る短い経路のbがサ、平坦だが距離の長いaがシとなるので③です。

第4問 地球的課題(配点12)

地球的課題をテーマにした4問で、世界地図上の地点ごとの環境問題、穀物の需給、アフリカの経済指標、少数言語という順に、環境・食料・経済・文化の各領域を1問ずつ扱います。資料は世界地図・帯グラフ・アフリカの主題図・写真とキャプションで、いずれも1問完結の形式です。

問1:正解 ③(解答番号113/配点3)

<問題要旨>

図1の世界地図に地点ア〜エが示され、①〜④はそれぞれの周辺で生じている環境問題を述べています。下線部が適当でないものを選ぶ設問で、下線が引かれているのは環境問題の原因にあたる部分です。

<考え方>

問われているのは環境問題そのものではなく、その原因として下線が引かれた部分の当否です。地点を確定させると、アは南アメリカのアマゾン川流域、イはアフリカのサハラ砂漠南縁のサヘル、ウは中央アジア(北緯40〜45度・東経60度付近)のアラル海周辺、エはヒマラヤ山脈南麓にあたります。アラル海の面積を大幅に縮小させたのは、アムダリア川・シルダリア川から大量に取水して行われた綿花などの灌漑栽培であり、コーヒー豆ではありません。コーヒー豆は熱帯・亜熱帯の高原で栽培される作物で、乾燥した中央アジアの内陸湖の周辺とは結び付きません。

<選択肢>

①【適当】

アはアマゾン川流域です。牛の放牧地や大豆畑をつくるための大規模な開発が熱帯林の減少を引き起こしており、下線部の「放牧地や農地の大規模な開発」は原因として適当です。

②【適当】

イはサヘルです。人口増加に伴う過放牧・過耕作と、気候変動による降水量の減少・干ばつが重なって砂漠化が進行しており、下線部の内容は原因として適当です。

③【適当でない】

ウはアラル海周辺です。湖の面積が大幅に縮小した原因が大規模な灌漑であること自体は正しいものの、その目的は綿花などの栽培であってコーヒー豆ではありません。作物名だけがすり替えられた誤りです。

④【適当】

エはヒマラヤ山脈南麓です。地球温暖化による氷河の融解で氷河湖が拡大し、その決壊によって下流域で大規模な洪水被害が生じており、下線部の内容は原因として適当です。

正解【③】

アラル海を縮小させた大規模灌漑の目的は綿花などの栽培であり、コーヒー豆としている③が適当でありません。

問2:正解 ②(解答番号114/配点3)

<問題要旨>

図2は2019年の世界の穀物について、生産量と消費量を地域別割合で示した2本の帯グラフで、カとキが生産量・消費量のいずれか、凡例AとBがアジア・アフリカのいずれかです。消費量とアフリカの正しい組合せを選びます。ヨーロッパにはロシアが含まれ、北アメリカはアメリカ合衆国とカナダです。

<考え方>

生産量と消費量の区別は、割合そのものの大小ではなく「同じ地域の割合がどちらで大きいか」という差の向きで決まります。穀物を大量に輸出する地域は生産量の割合が消費量の割合より大きく、輸入する地域はその逆になります。目盛りから読むと、カはA52.3%・ヨーロッパ14.8%・北アメリカ13.3%・B10.1%・その他9.5%、キはA47.7%・ヨーロッパ18.6%・北アメリカ15.8%・B7.6%・その他10.4%です。世界最大の穀物輸出地域である北アメリカの割合が大きいキが生産量、小さいカが消費量と決まります。AとBはどちらも消費量のカで割合が大きい純輸入地域ですが、5割前後を占めるAが世界人口の約6割を抱えるアジア、1割前後のBがアフリカです。

<選択肢>

消費量=カ【正】

北アメリカは穀物の純輸出地域なので、生産量の割合が消費量の割合を上回ります。北アメリカが13.3%にとどまるカが消費量、15.8%を占めるキが生産量です。ロシアを含むヨーロッパも輸出地域で、カ14.8%に対しキ18.6%と生産量側で大きく、同じ向きの差が出ています。

消費量=キ【誤】

キを消費量とすると、北アメリカとヨーロッパは生産する以上に消費し、アジアとアフリカは消費する以上に生産していることになります。穀物の主要な輸出地域と輸入地域の関係が逆転してしまうため成り立ちません。

アフリカ=B【正】

Bは消費量のカで10.1%、生産量のキで7.6%と、消費量側で割合が大きい純輸入地域です。世界の穀物の1割前後という規模はアフリカに対応し、穀物の輸入に頼る地域であることとも合います。

アフリカ=A【誤】

Aは2本の帯グラフでいずれも5割前後を占めています。世界人口の約6割が集まり、米と小麦の生産・消費がともに世界最大となるアジアの値であり、アフリカの規模とは桁が合いません。

正解【②】

北アメリカの割合が小さいカが消費量、消費量側で割合が大きく1割前後のBがアフリカなので②です。

問3:正解 ⑥(解答番号115/配点3)

<問題要旨>

図3のサ〜スは、アフリカにおける1人当たりGNI、2009年から2019年のGDPの増加率、原油産出量のいずれかについて、島嶼国とデータなしの国・地域を除いた上位10か国を塗り分けた主題図です。指標名とサ〜スの正しい組合せを選びます。

<考え方>

3枚とも「上位10か国」を塗った白地図なので、塗られた国の顔ぶれに共通する性格を1つ見つければ決まります。サで塗られているのはアルジェリア・リビア・エジプト・ナイジェリア・ガーナ・南スーダン・ガボン(赤道ギニア)・コンゴ共和国・アンゴラで、ギニア湾岸・北アフリカ・アンゴラという産油国が並ぶので原油産出量です。スで塗られているのはモロッコ・アルジェリア・チュニジア・リビア・ガボン(赤道ギニア)・ナミビア・ボツワナ・南アフリカ共和国・エスワティニで、地中海沿岸のマグレブ諸国とアフリカ南部の中所得国という所得の高い国の分布なので1人当たりGNIです。残るシはギニア・ガーナ・ニジェール・エチオピア・ジブチ・コンゴ民主共和国・ケニア・タンザニアなど、資源に恵まれず所得水準も高くないのにこの10年間に高い成長を続けた東アフリカ中心の国々なので、GDPの増加率になります。

<選択肢>

1人当たりGNI=ス【正】

マグレブ諸国(モロッコ・アルジェリア・チュニジア)とリビア、産油国のガボン・赤道ギニア、アフリカ南部のナミビア・ボツワナ・南アフリカ共和国・エスワティニという中所得国が並びます。島嶼国のセーシェルやモーリシャスが除かれているという注記とも整合し、所得水準の高い国の分布であることが決め手になります。

2009年から2019年のGDPの増加率=シ【正】

エチオピア・ケニア・タンザニア・コンゴ民主共和国などの東アフリカと、ガーナ・ニジェール・ギニアといった西アフリカの国が中心で、1人当たりGNIの上位である北アフリカやアフリカ南部は含まれません。出発点の水準が低い国が高い伸び率を示すという増加率の性質が、そのまま分布に出ています。

原油産出量=サ【正】

ナイジェリア・アンゴラ・アルジェリア・リビア・エジプト・南スーダン・コンゴ共和国・ガボンと、ギニア湾岸と北アフリカの産油国が並びます。北アフリカとガボンで1人当たりGNIのスと重なりますが、サには所得の低い産油国であるナイジェリアや南スーダンが入り、スのモロッコ・ボツワナ・南アフリカ共和国が入らない点で区別できます。

正解【⑥】

産油国が並ぶサが原油産出量、マグレブ諸国とアフリカ南部の中所得国が並ぶスが1人当たりGNI、東アフリカ中心の高成長国が並ぶシがGDPの増加率なので⑥です。

問4:正解 ④(解答番号116/配点3)

<問題要旨>

写真1の①〜④は、言語に関する4つの取組みを写真とキャプションで示しています。このうち少数言語の保護や振興を目的とした取組みとして最も適当なものを選びます。なお②の写真は問題冊子では省略されており、キャプションのみが示されています。

<考え方>

判定の基準は、その取組みが対象としている言語が「話し手の少ない言語・先住民の言語」であるかどうかの1点です。国際的に広く通じる言語を足す取組みや、言語そのものを使わずに情報を伝える取組みは、多言語への対応や利便性の向上であって少数言語の保護にはなりません。マオリ語はニュージーランドの先住民マオリの言語で、話者の減少を受けて1987年に公用語とされ、復興の取組みが進められてきた言語です。紙幣という国を代表する媒体に英語と並べてマオリ語を記載することは、その言語の地位を公に認め、人々が日常的に目にする機会を増やす措置であり、保護・振興の取組みにあたります。

<選択肢>

①【誤】

交通標識をピクトグラムで表示するのは、使用言語に関係なく意味が伝わるようにする取組みです。特定の言語を使わないことで成り立つ方法なので、少数言語を守り、それが使われる場面を増やすことにはつながりません。

②【誤】

キャプションに示された英語・フランス語・スペイン語は、いずれも複数の大陸で公用語とされる話者数の多い国際語です。国際機関が利用者の多い言語でウェブサイトを公開する多言語対応の取組みであり、少数言語の保護を目的とするものではありません。写真は問題冊子では省略されていますが、取組みの内容はキャプションに挙げられた3つの言語から判定できます。

③【誤】

日本の駅の通路標識に英語を併記するのは、日本語を読めない利用者に案内を届けるための取組みです。併記されているのが世界で最も広く使われる言語の一つであり、少数言語の話し手を支える措置ではありません。

④【正】

マオリ語はニュージーランドの先住民マオリの言語で、公用語として復興が図られてきた少数言語です。紙幣に英語とともにマオリ語を記載することは、その言語を国の公式な場で用い、社会的な地位と使用の機会を高める取組みであり、保護・振興を目的としたものといえます。

正解【④】

先住民の言語であるマオリ語を紙幣に記載する④だけが少数言語そのものの地位と使用機会を高める取組みであり、他は国際語への対応か、言語を使わない表示です。

※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

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