2025年度 大学入学共通テスト 追試験 地理総合・地理探求 解答・解説

2025年度 大学入学共通テスト 追試験「地理総合・地理探求」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。

目次
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解答

解説

2025年度大学入学共通テスト追試験の「地理総合,地理探究」は、100点満点・試験時間60分、大問6つ・解答番号30か所という構成です。大問ごとの配点は第1問13点・第2問12点・第3問20点・第4問21点・第5問17点・第6問17点で、自然環境を扱う第3問(20点)と資源・産業を扱う第4問(21点)の2つで全体の4割を占めます。設問はすべてマークシート式で、配点は3点か4点のどちらかです。

第1問は三大穀物の生産・貿易と米の食文化、第2問は愛媛県今治市の地域調査(地形図・展望写真・県内の主題図・タオル産地の統計)、第3問は世界の自然環境と自然災害(変動帯、火山噴火の影響、降水の季節性、林野火災、地球環境の時系列、造成地の地形図)、第4問は世界の資源と産業(穀物の生産性と用途、森林資源、直接投資と送金、日本のサービス産業と工業)、第5問は都市の規模と機能をめぐる探究学習、第6問は北アメリカと中央アメリカの地誌です。

この回で差がつくのは、統計を「割合」と「実数」のどちらで読むかを間違えない設問と、地形図・写真・主題図を数値や分布の形で確かめる設問です。第2問問3の3枚の主題図、第3問問6の切土・盛土、第5問問3の東京圏の住宅3指標は、いずれも中心部と外縁部のどちらが高位かを1か所ずつ確かめれば決まります。逆に第1問問4や第5問問4のように、グラフの数値自体は読めても「その変化の理由づけ」が誤っている選択肢を落とす設問もあり、下線部の主張と資料の数値を突き合わせる姿勢が必要です。

第1問 三大穀物の生産・貿易と米の食文化(配点13)

小麦・米・トウモロコシの輸出統計、米を使った料理の写真、アフリカ2国の穀物構成、収穫面積と収量の長期変化という4つの資料から、三大穀物の性格の違いを読み取らせる大問です。統計表とグラフの数値を根拠に判断できるかが問われます。

問1:正解 ②(解答番号1/配点3)

<問題要旨>

表1には、小麦・米・トウモロコシのいずれかであるア〜ウについて、世界生産量に対する輸出量の比率と、輸出量が最も多い地域とその割合が示されています。3つの穀物とア〜ウの組合せを選ぶ設問です。

<考え方>

三大穀物は「どれだけ国境を越えるか」と「どの地域が輸出を握るか」で性格が分かれます。表1でアは輸出比率24.4%で、輸出元の57.9%がロシアを含むヨーロッパ。イは16.8%で中央・南アメリカが43.1%。ウは輸出比率が5.7%しかなく、アジアが78.2%を占めます。生産の大半が生産国内で消費され、輸出も同じアジア域内に向かうのが米、ロシア・EU・ウクライナが輸出を担うのが小麦、ブラジル・アルゼンチンの伸びが大きいのがトウモロコシです。

<選択肢>

ア=小麦【正】

輸出比率24.4%は三大穀物で最も高く、輸出元の57.9%がヨーロッパ(ロシアを含む)という点が、ロシア・EU・ウクライナが世界の輸出を握る小麦と一致します。米やトウモロコシではヨーロッパがここまでの割合を占めません。

イ=トウモロコシ【正】

輸出比率16.8%で、輸出元は中央・南アメリカが43.1%。ブラジル・アルゼンチンが飼料用の輸出を伸ばしたトウモロコシに合います。アメリカ合衆国は北アメリカに区分されるため、この43.1%は南米の寄与だと読む必要があります。

ウ=米【正】

輸出比率が5.7%と極端に低く、輸出元の78.2%がアジア。生産量の9割以上が生産国内で消費され、輸出もインド・タイ・ベトナムからアジア域内に向かう米の特徴です。ここを小麦としてしまうのが典型的な誤りです。

正解【②】

輸出比率が最も高くヨーロッパが輸出元のアが小麦、中央・南アメリカが4割を占めるイがトウモロコシ、輸出比率5.7%でアジアが8割を占めるウが米となるため、組合せは②です。

問2:正解 ②(解答番号2/配点3)

<問題要旨>

写真1には、米を使った特徴的な料理4枚とその説明が示され、図1にはA〜Dの4地点が示されています。地点Cの周辺でみられる料理を選ぶ設問です。図1のAは南アメリカのアンデス、Bは地中海に面したイベリア半島南部、Cはインドネシアのジャワ島付近、Dは台湾付近にあります。

<考え方>

料理の材料と調理法は、その土地で得られる作物・油脂・調味料に対応します。ココナッツ(ヤシ)は湿潤な熱帯の産物、オリーブオイルは地中海性気候の産物、笹の葉と醤油は中国南部から台湾にかけての食文化、ジャガイモとトウガラシはアンデス原産という対応をつくれば、4枚を4地点に割り振れます。地点Cは赤道付近のジャワ島なので、ココナッツミルクを使う料理が選べます。

<選択肢>

①【誤】

米を魚介類やトマトとオリーブオイルで炒めて炊いた料理で、オリーブオイルとトマトは地中海性気候の産物です。イベリア半島南部の地点Bに対応し、Cではありません。

②【正】

米をココナッツミルクで炊き、ゆで卵や野菜を添えた料理です。ココヤシが育つ湿潤熱帯の料理で、ジャワ島付近の地点Cに対応します。

③【誤】

醤油で味付けしたもち米と豚肉を笹の葉にくるんで蒸した料理で、中国南部から台湾にかけての食文化にあたります。地点Dに対応します。

④【誤】

ゆでたジャガイモと米に鶏肉とトウガラシのソースをかけた料理です。ジャガイモとトウガラシはアンデス原産で、地点Aに対応します。

正解【②】

熱帯のジャワ島付近ではココヤシが広く栽培され、ココナッツミルクで米を炊く料理が日常的にみられるため、②が地点Cの料理です。

問3:正解 ①(解答番号3/配点4)

<問題要旨>

図2には、アフリカの2国(x国とy国)における穀物の収穫面積の構成が円グラフで示され、凡例のF・Gが小麦とモロコシのいずれかになっています。小麦に該当する凡例と、「x国における稲作では主に( カ )が利用されている」に入る語句(灌漑施設/天水田)の組合せを選ぶ設問です。図2でx国はエジプト、y国はサハラ南縁のチャドにあたります。

<考え方>

円グラフの内訳をそれぞれの国の農業と照合します。x国の円ではF(黒)が約45%で最大、次にトウモロコシが約32%、米が約15%と続き、これはエジプトの収穫面積が小麦・トウモロコシ・米の順に並ぶ構成と一致するのでF=小麦です。一方、y国ではFがまったく現れずG(薄い網)が約42%と最大で、小麦が育たずモロコシ(ソルガム)やトウジンビエが主作物となるサハラ南縁の姿に合います。カについては、x国=エジプトの年降水量がカイロでも20mm台しかないことに戻れば、雨水だけに頼る水田は成立せず、ナイル川の水を引く灌漑施設によって稲作が行われていると決まります。

<選択肢>

小麦=F【正】

x国(エジプト)の円でFが約45%を占め最大である一方、y国ではFが皆無です。小麦は冬に一定の降水があり灌漑も可能なエジプトで最大の収穫面積をもち、サハラ南縁では栽培できないという分布に合致します。

小麦=G【誤】

Gはy国で約42%と最大になる凡例です。サハラ南縁で主作物となるのはモロコシ(ソルガム)やトウジンビエであり、Gを小麦とするとy国で小麦が主作物になってしまい、乾燥と高温の環境に合いません。

カ=灌漑施設【正】

エジプトはナイル川流域以外がほぼ砂漠で、年降水量は数十mmにすぎません。稲作はナイル川の水を引く灌漑施設によってデルタ地帯で行われています。

カ=天水田【誤】

天水田は灌漑施設を用いず雨水のみに依存する水田で、モンスーンアジアのように夏に多雨となる地域で成り立ちます。降水がほとんどないエジプトでは雨水だけで水田を維持できません。

正解【①】

x国(エジプト)で最大となるFが小麦、その稲作はナイル川の水を用いる灌漑施設に依存するため、組合せは①です。

問4:正解 ②(解答番号4/配点3)

<問題要旨>

図3は、世界の三大穀物と大豆について、1960年代から2000年代までの収穫面積(横軸)と1ha当たりの収量(縦軸)の変化を10年ごとに結んだものです。図3について述べた4つの文のうち、下線部が最も適当なものを選ぶ設問です。

<考え方>

この型は、グラフから読める事実と、下線部が主張している「理由」や「倍率」を別々に検証します。1ha当たりの収量は、トウモロコシが2.17→4.65t(+約2.5t)、米が2.03→4.00t(+約2.0t)、小麦が1.22→2.78t(+約1.6t)、大豆が1.28→2.32t(+約1.0t)で、増加が最も大きいのはトウモロコシです。収穫面積では大豆が27→85百万haと約58百万ha拡大しており、小麦は1980年代の228百万haから2000年代の214百万haへ減少しています。数値そのものと、その数値に付けられた理由づけの両方を確かめます。

<選択肢>

①【誤】

大豆の収穫面積が27→85百万haと最も大きく拡大したのは事実ですが、その主な要因を「気候変動によって栽培適地が拡大したこと」とするのは因果の取り違えです。拡大は搾油用・飼料用需要の急増とブラジルなどでの農地開発によるものです。

②【正】

1ha当たりの収量の増加はトウモロコシが2.17→4.65tで+約2.5tと4作物中最大で、米(+約2.0t)や小麦(+約1.6t)を上回ります。下線部の「他の作物と比べて収量が最も増えた」はグラフの数値どおりです。

③【誤】

米の1ha当たり収量は2.03→4.00tで約2.0倍にとどまり、「3倍以上」という数字の言い切りは成り立ちません。3倍なら6t以上に達している必要があります。

④【誤】

小麦の収穫面積が1980年代の228百万haから2000年代の214百万haへ減ったことは読み取れますが、その理由を「世界の食料需要に対して十分な供給が行われたこと」とするのは根拠のない理由づけです。面積の減少は他作物との競合や生産地の再編によるもので、収量の上昇が面積減を補っています。

正解【②】

4作物のうち1ha当たり収量の増加が最も大きいのはトウモロコシ(2.17→4.65t)であり、下線部が図3の数値と一致するのは②です。

第2問 愛媛県今治市の地域調査(配点12)

広島県の高校生が愛媛県今治市を調査するという設定で、波止浜湾周辺の地形図と展望写真、四国への幹線交通の統計、愛媛県内の市町別主題図、今治のタオル産地の統計が扱われます。図と統計を現地の景観や産業の変化に結び付ける力が問われます。

問1:正解 ③(解答番号5/配点3)

<問題要旨>

波止浜湾周辺の地形図に地点A〜Dと撮影方向を示す矢印が描かれ、写真1には4枚の展望写真が示されています。地点Aから矢印の方向に撮影した写真を選ぶ設問です。

<考え方>

展望写真の設問は、(1)視点の位置、(2)視線の方向、(3)その方向にある近景と遠景、の3つを地形図で順に確かめます。地点Aは湾の北西岸にあり、矢印は東を向いています。地形図で東へ線を延ばすと、約400m先に対岸の丘(三角点96.9m)があり、その先の北東には来島海峡をまたぐ来島海峡大橋と海峡を横断する送電線の鉄塔があります。したがってAからの写真は、近い丘が画面の右半分を大きく占め、その背後に吊橋の主塔と鉄塔が並ぶ構図になります。他の3地点も同じ手順で処理でき、Bから東は対岸の造船所、Cから北は1km以上離れた低い丘陵、Dから南西は波止浜の市街地と背後の山地です。

<選択肢>

①【誤】

遠景に長い山並みが横に連なり、その麓に市街地が帯状に続く構図です。1km以上離れた山地と市街地を見ているので、対岸まで約400mしかないAからの東向きの景観ではなく、湾の東岸から南西を見た地点Dに対応します。

②【誤】

左端に工場の建屋があり、遠景の丘陵が低く水平に伸びています。丘が低く見えるのは視点から遠いためで、湾の南東側から北へ1km以上先の対岸を見た地点Cの景観です。

③【正】

画面右半分を近距離の丘が大きく占め、その背後に吊橋の主塔、左手に海峡を渡る鉄塔列が写ります。約400m先の対岸の丘(96.9m)と、その先の北東にある来島海峡大橋という、Aから東を向いたときの近景・遠景の重なりに一致します。

④【誤】

右手に造船所の大型クレーンと建屋が大きく写っています。造船所は湾の東岸から南東岸に立地しているため、湾の南西岸から東を向いた地点Bの景観です。

正解【③】

地点Aから東を向くと、約400m先の対岸の丘とその背後の来島海峡大橋が重なって見えるため、③がAからの写真です。

問2:正解 ⑥(解答番号6/配点3)

<問題要旨>

表1は、四国以外から四国へ向かう旅客のうち、幹線バスと幹線旅客船の利用者数(人/日)を1995年と2015年で比較したもので、香川県のほかF〜Hが徳島県・愛媛県・高知県のいずれかです。県名とF〜Hの組合せを選ぶ設問です。

<考え方>

1990年代の本州四国連絡橋の開通と、それによる航路の廃止・バス路線の増加に戻ります。表1でGは1995年の旅客船が5,130人と突出し、2015年も909人が残ります。Hは1995年の2,484人が2015年には81人へ落ち込み、代わって幹線バスが317人から1,614人へ増えて4県中最多になります。Fは1995年でも旅客船が579人と少なく、2015年は28人です。広島〜松山の高速船・フェリーが現在も運航している愛媛県が旅客船の残るG、1998年の明石海峡大橋開通で神戸〜徳島の航路が廃止され阪神への高速バスが四国で最も多くなった徳島県がH、もともと海上交通が乏しい高知県がFとなります。

<選択肢>

徳島県=H【正】

1995年に2,484人あった旅客船が2015年に81人へ激減し、幹線バスが317人から1,614人へ増えて最多になっています。明石海峡大橋の開通で神戸〜徳島の航路が姿を消し、阪神方面への高速バスに置き換わった徳島県の変化そのものです。

愛媛県=G【正】

1995年の旅客船が5,130人と4県で最も多く、2015年でも909人が残ります。広島・呉から松山への高速船とフェリーが現在も運航しており、瀬戸内海を横切る航路が生き残っている愛媛県に対応します。

高知県=F【正】

1995年の旅客船が579人と最も少なく、2015年には28人になっています。四国の南側に位置し本州との間に定期航路をほとんど持たない高知県で、本州との往来はバスと鉄道が中心です。

正解【⑥】

旅客船が5,130人から909人へと残るGが愛媛県、2,484人から81人へ消えバスが1,614人で最多となるHが徳島県、もともと船が少ないFが高知県なので、組合せは⑥です。

問3:正解 ⑤(解答番号7/配点3)

<問題要旨>

図2には、愛媛県の市町別の人口密度の図と、指標名が伏せられたJ〜Lの3枚の主題図(いずれも高位・中位・低位の3区分)が示されています。1km²当たり事業所数、第二次産業就業者割合、1人当たり農業産出額とJ〜Lの組合せを選ぶ設問です。

<考え方>

3指標は「人口の多い都市部で高いもの」「工業地域で高いもの」「農村部で高いもの」に分かれるので、松山市・今治市・東予の工業都市・南予の山間部という4か所を1つずつ確かめます。Lは松山市が高位で、今治市・新居浜市に加えて面積の小さい八幡浜市や上島町も高位となっており、面積で割る事業所密度の特徴が出ています。Jは松山市が低位で、今治市から西条市・新居浜市・四国中央市へと連なる東予の帯と上島町が高位なので、製紙・化学・造船が集まる工業地域を示す第二次産業就業者割合です。Kは都市部が低位で、大洲市・内子町・西予市・久万高原町など中予南部から南予北部の農村が高位になっており、人口が少なく農業が盛んな市町で大きくなる1人当たり農業産出額です。

<選択肢>

1km²当たり事業所数=L【正】

人口密度が最も高い松山市が高位で、今治市・新居浜市のほか、面積の小さい八幡浜市や上島町も高位になります。面積で割る指標なので、狭い市町で値が大きくなるという性質と一致します。

第二次産業就業者割合=J【正】

松山市が低位となる一方、今治市・西条市・新居浜市・四国中央市という東予の工業都市が連続して高位になります。第三次産業が中心の県庁所在都市で低く、製紙・化学・造船が集まる東予で高いという分布です。

1人当たり農業産出額=K【正】

松山市・今治市・新居浜市・四国中央市がそろって低位で、大洲市・内子町・西予市・久万高原町などの農村部が高位です。分母が人口なので、人口が少なく農業の盛んな市町で値が大きくなります。

正解【⑤】

松山市が高位となるLが事業所密度、東予の工業都市が帯状に高位となるJが第二次産業就業者割合、農村部が高位となるKが1人当たり農業産出額なので、組合せは⑤です。

問4:正解 ③(解答番号8/配点3)

<問題要旨>

今治のタオル産地について、生産量と事業所数の推移を示した図3と、輸入品の割合の資料をもとに交わされた会話文で、空欄Pには生産量増加の要因(生産設備の大型化/複数の事業所による分業化)、空欄Qには価格競争の相手(国内の他産地/先進国の産地/発展途上国の産地)が入ります。PとQの組合せを選ぶ設問です。

<考え方>

生産量と事業所数を「実数」と「1事業所当たり」に分けて考えます。図3では1975年から1990年にかけて事業所数が約490から約380へ減少しているのに、生産量は29千トンから49千トンへ増えています。事業所が減って総生産が増えたのだから、1事業所当たりの生産規模が拡大したことになり、Pは生産設備の大型化です。1990年代半ば以降は、生産量が減る一方で国内消費に占める輸入品の割合が40%台から80%へ上昇しており、安価な輸入品の出どころは中国・ベトナムなどの発展途上国です。

<選択肢>

P=ア(各事業所における生産設備の大型化)【正】

事業所数が約490から約380へ減りながら生産量が29千トンから49千トンへ増えているので、1事業所当たりの生産量が大きく伸びたことになります。設備の大型化による規模拡大がこの動きを説明します。

P=イ(複数の事業所による作業工程の分業化)【誤】

工程を分けて多数の事業所が担う体制が強まったのなら事業所数は増えるか維持されるはずで、約490から約380への減少と噛み合いません。

Q=z(発展途上国の産地)【正】

1990年代半ば以降に輸入品の割合が40%台から80%へ上昇しており、その供給元は中国・ベトナムなど労働費の安い発展途上国です。価格競争の激化が生産量減少につながりました。

Q=x(国内の他産地)【誤】

国内の他産地との競争なら、国内消費に占める輸入品の割合が80%まで上昇する事実を説明できません。泉州などの国内産地も同時期に縮小しています。

Q=y(先進国の産地)【誤】

先進国の産地は労働費が高く、安価なタオルで日本市場を押さえることはできません。輸入品の急増をもたらしたのは低コストの途上国産です。

正解【③】

事業所数が減る中で生産量が増えた1975〜1990年はPが設備の大型化、輸入品の割合が80%へ上昇した1990年代半ば以降はQが発展途上国の産地となるため、組合せは③です。

第3問 世界の自然環境と自然災害(配点20)

変動帯と氷河地形、火山噴火の影響の広がり、南北両半球の都市の降水、オーストラリアの林野火災、地球環境の長期変化、丘陵地の造成という6つの題材で、自然環境の仕組みと災害への備えを問う大問です。配点20点で、図の数値と分布の形を読む設問が並びます。

問1:正解 ②(解答番号9/配点3)

<問題要旨>

図1には地殻変動がみられる4つの地域(①北アメリカ西海岸、②南アメリカ南部のアンデス、③ヨーロッパのアルプス周辺、④スマトラ島からジャワ島にかけて)が示され、文アは「海洋プレートの沈み込みに伴う火山や地震の活動が活発で、広範囲に津波被害をもたらす海溝型巨大地震が発生する」、文イは「最終氷期に拡大した氷河の影響で形成された氷河湖やモレーンが山麓の平原に多数分布する」と述べています。アとイの両方が当てはまる地域を選ぶ設問です。

<考え方>

2つの条件を別々に判定して、両方を満たす地域だけを残します。アはプレートの沈み込み帯(海溝のある変動帯)であることを、イは最終氷期に山岳氷河が大きく発達し、その末端に氷河湖やモレーンが残っていることを求めています。沈み込み帯は②と④、氷河地形が山麓に広く分布するのは②と③です。両方に入るのは②だけで、チリ南部は1960年チリ地震の巨大津波を起こしたナスカプレートの沈み込み帯であり、かつパタゴニアに氷河湖とモレーンが数多く残ります。

<選択肢>

①【誤】

北アメリカ西海岸のカリフォルニア付近はサンアンドレアス断層に代表されるトランスフォーム断層(プレートのすれ違い)で、海洋プレートの沈み込みによる海溝型巨大地震は起こりません。アを満たしません。

②【正】

南アメリカ南部のアンデスはナスカプレートが沈み込む変動帯で、海溝型巨大地震と津波が発生します(アを満たす)。同時にパタゴニアには最終氷期の氷河がつくった氷河湖やモレーンが山麓に多数分布します(イを満たす)。

③【誤】

アルプスは大陸プレート同士の衝突による褶曲山脈で、氷河湖やモレーンは豊富(イは満たす)ですが、海洋プレートの沈み込みによる海溝型巨大地震は起こらないためアを満たしません。

④【誤】

スマトラ島からジャワ島にかけては沈み込み帯で、2004年のスマトラ島沖地震のように海溝型巨大地震と津波が発生します(アは満たす)が、赤道直下の低緯度で最終氷期にも山麓に氷河湖やモレーンが広く形成されず、イを満たしません。

正解【②】

沈み込み帯であることと最終氷期の氷河地形が残ることを同時に満たすのは南アメリカ南部のアンデスだけなので、②が正解です。

問2:正解 ②(解答番号10/配点3)

<問題要旨>

図2に示された4つの火山A〜Dの噴火について、その後の影響を述べた文の下線部①〜④が示され、下線部が最も適当なものを選ぶ設問です。火山Aはアイスランド、Bは日本の南方の海域、Cはフィリピン、Dは南太平洋のトンガ付近に位置します。

<考え方>

火山噴火の影響は「何が運ばれるか」で伝わる速さと続く時間が決まります。火山灰は風で数日規模、軽石は海流で数か月、成層圏に達した硫酸エアロゾルによる気温低下は1〜2年、爆発の空振による潮位変化は音速に近い速さで数時間です。下線部にある時間の長さがこの対応と合っているかを1つずつ確かめます。

<選択肢>

①【誤】

偏西風で運ばれた火山灰が北海周辺の空域を「数年間にわたり」飛行禁止にしたという時間の長さが誤りです。火山灰は数日から1週間程度で拡散し、航空路の閉鎖もその範囲にとどまります。

②【正】

噴出した大量の軽石が海流に乗って漂流し、数か月後に日本の太平洋岸へ漂着して船舶の航行や漁業に影響したという説明は、軽石が海流で運ばれる速さと漂着までの時間に合っています。

③【誤】

大量の火山灰やガスによる気温変化が「世界中で数時間後に観測され」たとする時間が誤りです。成層圏に達した硫酸エアロゾルが日射を遮って気温を下げる効果は、1〜2年をかけて現れます。

④【誤】

爆発の衝撃による潮位変化が太平洋沿岸で「数週間後」に観測されたという時間が誤りです。空振は音速に近い速さで伝わるため、潮位変化は数時間後に観測されました。

正解【②】

軽石が海流で運ばれて数か月後に漂着するという時間の対応が正しいのは②だけで、他の3つは影響が現れるまでの時間が実際と食い違っています。

問3:正解 ④(解答番号11/配点4)

<問題要旨>

図3には、北半球と南半球にそれぞれ1都市ずつを組み合わせた都市群F〜Hが示され、図4には最寒月降水量(横軸)と最暖月降水量(縦軸)の関係が凡例カ〜クで示されています。カ〜クと都市群F〜Hの組合せを選ぶ設問です。

<考え方>

最暖月と最寒月の降水量を比べれば、夏乾燥型・年中湿潤型・乾燥型の3つを数値で切り分けられます。図4のクは最暖月が0mmと8mm、最寒月が48mmと96mmで、夏に降水がほとんどない地中海性気候の値です。キは最寒月68mm・最暖月144mmと最寒月112mm・最暖月86mmで、どちらの月も60mmを超える年中湿潤型です。カは最寒月30mm・最暖月3mmと最寒月3mm・最暖月88mmで、いずれも年降水量が小さい乾燥域の値です。図3で都市群Fは大陸西岸の中緯度(イベリア半島南西部と南アメリカ中部の太平洋岸)、Gは内陸(カスピ海の南とアンデス東麓)、Hは大陸東岸(中国の東岸と南アメリカの東岸)なので、夏乾燥のクがF、乾燥のカがG、年中湿潤のキがHと決まります。

<選択肢>

カ=G【正】

最寒月30mm・最暖月3mmの点と最寒月3mm・最暖月88mmの点はどちらも年降水量が小さく、大陸内部の乾燥域の値です。図3のGはカスピ海の南側の内陸とアンデス東麓の内陸にあり、山脈の風下で降水が少ない位置に当たります。

キ=H【正】

最寒月68mm・最暖月144mm、最寒月112mm・最暖月86mmとどちらの月も多雨で、乾季をもたない年中湿潤型です。図3のHは中国東岸と南アメリカ東岸という大陸東岸にあり、季節風や海洋からの湿った気流で年間を通して降水があります。

ク=F【正】

最暖月が0mmと8mmに対し最寒月が48mmと96mmで、夏に極端に乾燥し冬に降水が集中する地中海性気候の値です。図3のFはイベリア半島南西部と南アメリカ中部の太平洋岸という大陸西岸の中緯度で、夏は亜熱帯高圧帯、冬は偏西風帯に入ります。

正解【④】

最暖月がほぼ0mmで冬に降水が集中するクが大陸西岸のF、年降水量の小さいカが内陸のG、どちらの月も多雨のキが大陸東岸のHとなるため、組合せは④です。

問4:正解 ④(解答番号12/配点3)

<問題要旨>

図5には、オーストラリアの林野火災地域を示した2枚の図JとKが示され、文章の空欄aには火災の時期(1月/7月)、空欄bには内陸部で火災が少ない理由(湖沼の多さ/樹木の乏しさ)が入ります。「図5中のKが( a )を示したもの」となるよう、aとbの組合せを選ぶ設問です。

<考え方>

熱帯収束帯の季節移動に戻ります。南半球の夏である1月には熱帯収束帯が南下して大陸北部が雨季になり、冬の7月には北上して北部が乾季になります。図5のKは大陸北部(アーネムランド一帯)に火災が密集しており、北部が乾季となる7月に対応します。東部・南東部の沿岸に火災が集中するJが、地中海性気候や温帯の地域が高温乾燥となる1月です。内陸部について火災が少ない理由は、砂漠が広がり燃える植生そのものが乏しいためで、乾燥大陸の内陸に湖沼が多いわけではありません。

<選択肢>

a=7月【正】

Kでは大陸北部に火災が集中しています。7月は熱帯収束帯が北上して北部のサバナが乾季に入る時期で、乾いた草本や低木が燃える野火が多発します。

a=1月【誤】

1月は熱帯収束帯が南下して大陸北部が雨季となるため、北部に火災が集中するKの分布と合いません。1月に対応するのは東部・南東部の沿岸で火災が多いJです。

b=樹木の乏しさ【正】

内陸部はグレートサンディー砂漠やグレートヴィクトリア砂漠が広がる乾燥地で、燃える樹木そのものがありません。火災の有無は発火条件だけでなく燃える植生の量で決まります。

b=湖沼の多さ【誤】

オーストラリアの内陸はエアー湖のような塩湖が乾季に干上がる乾燥地域で、湖沼が多いために火災が起きないという説明は実態と逆です。

正解【④】

北部に火災が集中するKは北部が乾季となる7月を示し、内陸で火災が少ないのは砂漠で燃える樹木が乏しいためなので、組合せは④です。

問5:正解 ⑤(解答番号13/配点4)

<問題要旨>

図6には、1980年代以降の3つの指標の推移がサ〜スとして示され、それぞれ北極の海氷面積、東京の気温、ハワイの二酸化炭素濃度のいずれかです。指標名とサ〜スの組合せを選ぶ設問です。

<考え方>

時系列のグラフは「季節変動の振幅」と「長期傾向」の2つを分けて読みます。シは季節変動が小さく、右上がりの上昇が一貫して続く形で、これは有名なキーリング曲線、すなわちハワイの二酸化炭素濃度です。サは大きな季節変動をもちながら極大・極小の水準がほぼ変わらず、毎年同じ範囲を往復しており、年較差の大きい東京の気温に当たります。スは大きな季節変動に加えて極大・極小がともに低下し、2012年前後に観測期間中の最小値をとる形で、減少が続く北極の海氷面積です。

<選択肢>

北極の海氷面積=ス【正】

季節変動を伴いながら夏の極小値・冬の極大値がともに低下し、2012年前後に期間中の最小値をとります。温暖化による海氷の減少傾向が振幅の中に重なって現れた形です。

東京の気温=サ【正】

20℃前後の年較差をもつ大きな季節変動を示しつつ、極大・極小の水準がほぼ一定で明確な傾向が見えません。気温の上昇分は季節変動の振幅に比べて小さいため、この形になります。

ハワイの二酸化炭素濃度=シ【正】

北半球の植物の活動による小さな季節変動を伴いながら、右上がりの上昇が一貫して続きます。季節変動の幅が長期上昇量に比べて小さいことが決め手です。

正解【⑤】

一貫した上昇を示すシが二酸化炭素濃度、振幅一定で傾向のないサが東京の気温、極大・極小がともに低下するスが北極の海氷面積なので、組合せは⑤です。

問6:正解 ④(解答番号14/配点3)

<問題要旨>

ある丘陵地について、開発前と開発後の同じ範囲の地形図が並べて示され、開発後の図では凡例XとYが切土地・盛土地のいずれかを表しています。また文章の空欄タには、大規模な地震で揺れが大きくなり災害が生じやすい土地(切土地/盛土地)が入ります。Xとタの組合せを選ぶ設問です。

<考え方>

造成地の判定は、開発前と開発後の等高線を同じ範囲で重ね、「もとの標高より低くなった場所=切土地」「もとの標高より高くなった場所=盛土地」に分けるのが基本です。開発前の図では、中央左に標高130mを超える細長い尾根の頂部があり、そこから南西へ110mまで下る斜面が広がり、中央から南にかけては140m・150mの高い尾根があります。開発後の図でYが分布するのは、この尾根の細長い頂部と140〜150m台の高所で、Xが覆うのは110〜130mの谷や斜面です。開発後の等高線は左半でおおむね130m前後の緩やかな面になっているため、高所を削った側がY=切土地、低所を埋めた側がX=盛土地と決まります。タについては、盛土地は締固めが不十分になりやすく地下水も集まりやすいため、地震の揺れが増幅し、谷埋め盛土の変形や崩壊が生じやすいことに戻ります。

<選択肢>

X=盛土地【正】

Xは開発前に110〜130mだった谷や斜面を広く覆い、開発後はその一帯が130m前後の平坦な面になっています。もとの標高より高くなっているので、土を盛った盛土地です。

X=切土地【誤】

Xの範囲には開発前に110m台だった低い谷底が含まれており、開発後にそこが130m前後まで上がっています。低い土地を削ってさらに高い面にすることはできないため、切土地ではありません。

タ=盛土地【正】

盛土地は人工的に土を盛った土地で締固めが不十分になりやすく、谷を埋めた部分には地下水も集まります。地震時には揺れが増幅し、地盤の変形や崩壊による被害が生じやすくなります。

タ=切土地【誤】

切土地はもとの地山を削り出した土地で、比較的固い地盤が地表近くに現れます。盛土地に比べて揺れは増幅しにくく、地震時に被害が生じやすい土地としては当てはまりません。

正解【④】

開発前後の等高線を重ねると、高所の尾根を削った側がY、低い谷を埋めて標高を上げた側がXであり、地震で揺れが大きくなるのは盛土地なので、組合せは④です。

第4問 世界の資源と産業(配点21)

穀物農業の生産性と用途、森林資源の貿易、直接投資と出稼ぎ送金、日本のサービス産業と高速道路沿線の工業という6つの資料を通して、資源と産業の地域差を読み取る大問です。配点21点で6問中3問が4点配点と、この回で最も比重の大きい大問です。

問1:正解 ②(解答番号15/配点3)

<問題要旨>

図1は、いくつかの国を2か国ずつまとめたA〜Cについて、耕地1ha当たりの穀物生産額(横軸)と農民1人当たりの穀物生産額(縦軸)を示したものです。文アは広大な土地で輸出向けに穀物を生産する企業的農業、文イは農地の多くを水田とし多くの労働力を用いる稲作、文ウは地力維持のため多様な作物を輪作する畑作農業を述べています。A〜Cとア〜ウの組合せを選ぶ設問です。

<考え方>

縦軸は労働生産性、横軸は土地生産性を表すので、2つの軸の高低の組合せで農業の型が決まります。図1でAは農民1人当たりの値が400を超えるのに耕地1ha当たりは3〜5にとどまり、少ない労働力で広い土地を耕す型です。Cは逆に農民1人当たりが5前後と極端に低く、耕地1ha当たりは11〜15と最も高く、狭い土地に多くの労働力を投じる型です。Bは農民1人当たり180前後、耕地1ha当たり6〜7で両者の中間に位置します。

<選択肢>

A=ア【正】

農民1人当たりが400超で耕地1ha当たりが3〜5という「労働生産性は高いが土地生産性は低い」型で、大型機械を使って広大な農地を少人数で経営し輸出向けに生産するアメリカ合衆国・カナダ型の企業的穀物農業に当たります。

B=ウ【正】

農民1人当たり180前後、耕地1ha当たり6〜7でどちらも中位です。家畜の飼料作物や根菜を組み込んだ輪作で地力を保ちながら、機械化も進んだヨーロッパの混合農業・畑作に対応します。

C=イ【正】

農民1人当たりが5前後で最も低く、耕地1ha当たりは11〜15で最も高い「土地生産性は高いが労働生産性は低い」型です。狭い水田に多くの労働力を投入するモンスーンアジアの稲作の特徴です。

正解【②】

労働生産性が突出して高いAが企業的農業のア、土地生産性が最も高く労働生産性が低いCが水田稲作のイ、中間のBが輪作による畑作のウなので、組合せは②です。

問2:正解 ⑥(解答番号16/配点4)

<問題要旨>

図2には、EとFの2つの穀物(自動車ではなくトウモロコシと麦類のいずれか)について、カ〜クの3か国における用途別(食用・飼料用・燃料用など)の割合が帯グラフで示されています。カ〜クはアメリカ合衆国・ナイジェリア・フランスのいずれかです。麦類に当たる記号と、アメリカ合衆国に当たる記号の組合せを選ぶ設問です。

<考え方>

穀物の用途は、その国の所得水準と畜産・エネルギー政策で決まります。Eのクは食用がほぼ0、飼料用が約45%、残り約55%が燃料用などで、トウモロコシをバイオエタノールと飼料に大量に振り向けるアメリカ合衆国の姿です。Eのキは食用約8%・飼料用約64%で、飼料用が中心のフランス、Eのカは食用約56%で主食として食べるナイジェリアです。Fではカが食用約96%、クが食用約74%・飼料用約11%、キが食用約31%・飼料用約43%となり、輸入小麦をほぼ食用に回すナイジェリア(カ)、小麦を食用としつつ大麦を飼料に使うフランス(キ)、食用中心のアメリカ(ク)という対応になります。両図でカ=ナイジェリア、キ=フランス、ク=アメリカ合衆国が一貫し、燃料用の大きいEがトウモロコシ、燃料用をもたないFが麦類です。

<選択肢>

麦類=F【正】

Fでは燃料用の区分がほとんどなく、どの国でも食用の割合が高い(カ96%、ク74%)ことが特徴です。エタノール原料として大量に使われるトウモロコシと異なり、麦類は食用と飼料用が中心なのでFが麦類です。

麦類=E【誤】

Eのクでは食用がほぼ0で燃料用などが約55%に達します。これはバイオエタノール向けのトウモロコシの用途構成で、主食として食べられる麦類では食用がほぼ0になることはありません。

アメリカ合衆国=ク【正】

Eのクは食用ほぼ0・飼料用約45%・燃料用など約55%で、トウモロコシをエタノールと飼料に大量に使うアメリカ合衆国に一致します。Fのクも食用約74%で、小麦を食用・輸出に回す姿と合います。

アメリカ合衆国=カ【誤】

カはEで食用約56%、Fで食用約96%と、どちらの穀物も主食として食べる構成です。畜産とエタノール向けの需要が大きいアメリカ合衆国ではなく、輸入小麦を食用にするナイジェリアに当たります。

アメリカ合衆国=キ【誤】

キはEで飼料用が約64%と最大で、Fでも飼料用が約43%あります。燃料用の比重が小さいので、畜産向けが中心のフランスであり、エタノール利用の大きいアメリカ合衆国ではありません。

正解【⑥】

燃料用を欠き食用中心のFが麦類、トウモロコシで食用ほぼ0・燃料用約55%となるクがアメリカ合衆国なので、組合せは⑥です。

問3:正解 ⑥(解答番号17/配点3)

<問題要旨>

表1には、木材の伐採量(燃料用を含む)・輸出量・輸入量のいずれかであるサ〜スについて、世界の上位5か国とその占める割合が示されています。項目名とサ〜スの組合せを選ぶ設問です。

<考え方>

上位に並ぶ国の性格で3項目を分けます。スはアメリカ合衆国11.0%・インド9.0%・中国8.3%・ブラジル7.1%・ロシア5.6%と、森林面積と人口の大きい国が並びます。燃料用(薪炭材)を含む伐採量では、薪を日常的に使うインドのような人口大国が上位に入るのが決め手です。シはロシア15.8%・カナダ11.0%・ドイツ8.0%・ニュージーランド7.4%・チェコ7.4%で、いずれも国内消費を上回る林産物を輸出する国、すなわち輸出量です。サは中国が32.5%と圧倒的で、アメリカ合衆国9.6%に続きオーストリア・ドイツ・ベルギーというヨーロッパの木材加工・消費国が並ぶので輸入量です。

<選択肢>

伐採量=ス【正】

アメリカ合衆国11.0%・インド9.0%・中国8.3%・ブラジル7.1%・ロシア5.6%と森林面積と人口の大きい国が並びます。燃料用を含むため、薪炭材の消費が多いインドが2位に入る点が決め手です。

輸出量=シ【正】

ロシア15.8%・カナダ11.0%・ドイツ8.0%・ニュージーランド7.4%・チェコ7.4%と、針葉樹林や人工林を背景に林産物を輸出する国が並びます。ニュージーランドのように人口が少なくても上位に入るのは輸出だからです。

輸入量=サ【正】

中国が32.5%と3分の1近くを占め、オーストリア・ドイツ・ベルギーというヨーロッパの加工・消費国が続きます。木材を輸入して製品化する国の構成であり、伐採量や輸出量ではこのような偏りは生じません。

正解【⑥】

人口大国が並ぶスが燃料用を含む伐採量、ロシア・カナダなど林産物輸出国が並ぶシが輸出量、中国が32.5%を占めるサが輸入量なので、組合せは⑥です。

問4:正解 ④(解答番号18/配点4)

<問題要旨>

図3には、中国・インド・J・Kの4か国について、外国からの直接投資の受け入れ額と国外出稼ぎ者からの送金額のいずれかであるタとチが棒グラフで示されています。JとKはフィリピンとロシアのいずれかです。送金額に当たる記号とフィリピンに当たる記号の組合せを選ぶ設問です。

<考え方>

よく知られた国の数値を手がかりに凡例を確定してから、残りの2か国を判定します。図3で中国はタが約1,400億ドル、チが約690億ドル。インドはタが約510億ドル、チが約830億ドルです。直接投資の受け入れは中国が世界有数の規模、出稼ぎ送金の受取はインドが世界第1位という対応に合うのは、タ=直接投資、チ=送金額の組合せです。そのうえでJはタ約320億ドル・チ約110億ドル、Kはタ約90億ドル・チ約350億ドルなので、送金額が投資額を大きく上回るKが、多数の労働者を海外に送り出すフィリピンです。

<選択肢>

国外出稼ぎ者からの送金額=チ【正】

チではインド(約830億ドル)が中国(約690億ドル)を上回ります。海外に多くの労働者を送り出すインドが送金受取で世界第1位である事実と一致します。

国外出稼ぎ者からの送金額=タ【誤】

タでは中国が約1,400億ドルで最大です。これは世界有数の規模で外国企業を受け入れてきた直接投資の額であり、送金額としては大きすぎます。

フィリピン=K【正】

Kは直接投資が約90億ドルにとどまる一方、送金額が約350億ドルに達します。看護師や船員など多数の労働者が海外で働き、その送金が経済を支えるフィリピンの構図です。

フィリピン=J【誤】

Jは直接投資約320億ドルに対し送金約110億ドルで、投資の受け入れが送金を上回ります。資源開発などで投資を集める一方、送金受取の比重が小さいロシアに当たります。

正解【④】

インドが中国を上回るチが送金額、送金が投資を大きく上回るKがフィリピンなので、組合せは④です。

問5:正解 ⑥(解答番号19/配点3)

<問題要旨>

図4には、いくつかのサービス産業の従業者数について、日本全体に占める都道府県ごとの割合を円の大きさで示した3枚の地図マ〜ムが示されています(凡例は5%・25%・70%)。マ〜ムはインターネット関連サービス業、研究開発事業、社会福祉・介護事業のいずれかです。業種名とマ〜ムの組合せを選ぶ設問です。

<考え方>

サービス産業は「人口に比例して全国に散らばるもの」「大都市圏に集まるもの」「東京に極端に集中するもの」に分かれます。ムは東京の円が凡例の70%に近い大きさで、他の都道府県はごく小さく、情報の受発信が東京に集まるインターネット関連サービス業です。ミは東京・神奈川が大きく、茨城・埼玉・千葉・静岡・愛知・大阪が続き、東北や九州の円は小さいという分布で、研究所が関東から東海に集まる研究開発事業です。マは全都道府県に相応の大きさの円があり、北海道・福岡・広島など地方の円も大きく、人口分布に近い形なので社会福祉・介護事業です。

<選択肢>

インターネット関連サービス業=ム【正】

東京の円だけが凡例の70%に迫る大きさで、他の都道府県は小さいままです。ウェブコンテンツ配信やサイト運営は情報・人材・取引先が集まる東京に極端に集中します。

研究開発事業=ミ【正】

東京・神奈川が大きく、つくばを抱える茨城や自動車工業の愛知、大阪が続き、地方の円は小さくなります。企業や公的機関の研究所が関東から東海の太平洋ベルトに偏る分布です。

社会福祉・介護事業=マ【正】

すべての都道府県に相応の大きさの円が分布し、北海道や福岡など地方の円も大きくなります。高齢者や利用者のいる場所でサービスが提供されるため、人口分布に近い形になります。

正解【⑥】

東京に極端に集中するムがインターネット関連サービス業、関東から東海に偏るミが研究開発事業、人口分布に近いマが社会福祉・介護事業なので、組合せは⑥です。

問6:正解 ⑤(解答番号20/配点4)

<問題要旨>

図5には、東名・名神高速道路沿線の都府県と、東京都および東北自動車道沿線の県について、工業出荷額第1位であった業種を1950年から2020年まで10年ごとに記号で示した表が示されています。凡例P〜Rは食料品・電気機械・輸送機械のいずれかです。業種名とP〜Rの組合せを選ぶ設問です。

<考え方>

「どの県で長く1位だったか」を1つ決めれば残りが連鎖的に決まります。愛知県は1970年以降すべての年次がQ、静岡県も1960年以降ほぼ全年次がQで、この2県で一貫して1位の業種は輸送機械(愛知の自動車、静岡の自動車・二輪)です。したがってQ=輸送機械。Rは宮城県・岩手県・青森県の1950〜1990年代にだけ現れる記号で、水産加工を中心とする食料品です。残るPは滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県や栃木県・福島県・秋田県に広く現れており、1960年代の東京都でも1位だった電気機械に当たります。

<選択肢>

食料品=R【正】

Rが現れるのは宮城県・岩手県・青森県の1950年から1990年代までに限られます。水産物の加工が工業出荷額の柱だった東北太平洋側の県の姿で、その後は電気機械(P)に置き換わっています。

電気機械=P【正】

Pは滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県、東北では栃木県・福島県・秋田県などに広く現れます。1960〜70年代の東京都で1位だったこと、内陸の高速道路沿線に電子部品工場が進出したことと一致します。

輸送機械=Q【正】

愛知県は1970年以降すべての年次で、静岡県は1960年以降ほぼ全年次でQです。自動車産業が圧倒的な愛知県と、自動車・二輪車の生産が続く静岡県で一貫して1位となる業種は輸送機械しかありません。

正解【⑤】

愛知県・静岡県で一貫して1位のQが輸送機械、東北3県の古い年次に限られるRが食料品、残るPが電気機械なので、組合せは⑤です。

第5問 都市の規模と機能をめぐる探究(配点17)

高校生のハルキさんたちが、都市の規模や機能の違いとそれが生む課題を調べていくという探究学習の形式です。都市圏人口の順位、大企業の本社と支所、東京圏の住宅、長野県の人口動態、フランスとドイツの都市システムという5つの資料が順に示されます。

問1:正解 ②(解答番号21/配点4)

<問題要旨>

図1には、国内総人口に占める上位都市圏の人口割合を、人口規模の順位1位から10位まで折れ線で示したA〜Cが示され、それぞれ日本・アメリカ合衆国・インドネシアのいずれかです。国名とA〜Cの組合せを選ぶ設問です。

<考え方>

首位都市圏の割合と、2位以下の落ち方の2点で判定します。Aは1位が約30%、2位が約12%、3位が約7.5%と大きな値が3つ続きます。Bは1位が約13%で2位以下は2.5%程度に急落します。Cは1位が約6.5%、2位が約4.7%で、10位まで2%前後の都市圏が並びます。日本は東京大都市圏がおよそ3,700万人で総人口1億2,600万人の約29%、次に大阪、名古屋と大きな都市圏が続くためA。インドネシアはジャカルタ都市圏が約13%を占める一方、第2の都市との差が大きいためB。アメリカ合衆国はニューヨークでも総人口の6%台で、同規模の都市圏が各地に分散するためCです。

<選択肢>

日本=A【正】

1位が約30%、2位約12%、3位約7.5%と上位3つが大きく、東京・大阪・名古屋の三大都市圏に人口が集まる日本の構造に一致します。国土が狭く人口が太平洋ベルトに集中するため首位の割合が極端に高くなります。

アメリカ合衆国=C【正】

1位が約6.5%、2位が約4.7%で、10位まで2%前後の都市圏が並びます。国土が広く、ニューヨークのほかロサンゼルス、シカゴ、ヒューストンなど同規模の都市圏が各地に分散していることを示します。

インドネシア=B【正】

1位が約13%と大きい一方、2位以下は2.5%程度へ急落します。ジャカルタ都市圏に人口が集中し、スラバヤなど第2位以下の都市との規模の差が非常に大きい首位都市型の分布です。

正解【②】

上位3都市圏がいずれも大きいAが日本、首位のみ突出するBがインドネシア、同規模の都市圏が分散するCがアメリカ合衆国なので、組合せは②です。

問2:正解 ③(解答番号22/配点3)

<問題要旨>

表1には、日本のいくつかの都市における大企業(2020年の証券取引所上場企業)の本社数と支所数が示され、東京都区部と札幌市のほか①〜④が大阪市・名古屋市・福岡市・横浜市のいずれかです。横浜市に該当するものを選ぶ設問です。

<考え方>

本社数は「その都市を拠点とする企業の多さ」、支所数は「その都市が周囲の市場を束ねる範囲の広さ」を表します。東京都区部は本社1,324・支所1,920で両方が最大です。①は本社307・支所1,471で、本社が東京に次いで多い大阪市。②は本社112・支所1,337で名古屋市。④は本社が37と少ないのに支所1,122と多く、札幌市(本社29・支所832)と同じ支店経済都市、すなわち九州全体を束ねる福岡市です。残る③は本社75に対して支所608と支所が少なく、東京に隣接して支店機能が東京に吸収される横浜市です。

<選択肢>

①【誤】

本社307・支所1,471で、本社数が東京都区部に次いで多い都市です。多くの大企業が本社を置き、西日本の中心として支所も集まる大阪市に当たります。

②【誤】

本社112・支所1,337で、支所が多く本社も一定数あります。自動車関連の企業が本社を置き、中部地方を束ねる名古屋市に当たります。

③【正】

本社75に対して支所が608と、④や札幌市よりも少なくなっています。人口370万を超える大都市であるにもかかわらず支所が少ないのは、東京に隣接し企業の支店機能が東京都区部に置かれてしまうためで、横浜市の特徴です。

④【誤】

本社が37と少ないのに支所が1,122と多い、典型的な支店経済都市です。九州各県を管轄する支社・支店が集まる福岡市に当たり、同じ性格の札幌市(本社29・支所832)と並びます。

正解【③】

大都市でありながら支所が608と少ないのは、支店機能が隣接する東京都区部に集約されるためで、③が横浜市です。

問3:正解 ④(解答番号23/配点4)

<問題要旨>

図2には、東京とその周辺の市区町村について、共同住宅の戸数、持ち家戸建て住宅の戸数、単身世帯のいずれかの割合を高位・中位・低位で示した3枚の主題図E〜Gが示されています。指標名とE〜Gの組合せを選ぶ設問です。

<考え方>

3指標のうち2つは住宅の種類で、互いにほぼ裏返しの分布になります。Fは東京都区部を中心に高位が広がり、周辺へ中位、外縁で低位というきれいな同心円状の分布で、地価が高い都心でマンションやアパートが選ばれる共同住宅の割合です。Gはその正反対で、都心が低位、房総半島や埼玉北部などの外縁が高位となるため持ち家戸建て住宅の割合です。残るEは、都心の区と房総・県境部の農漁村がともに高位になり、その間の郊外住宅地が低位というモザイク状の分布で、単身の若年層が集まる都心と高齢の単身世帯が多い過疎地域の両方で高くなる単身世帯の割合です。

<選択肢>

共同住宅の戸数=F【正】

東京都区部が最も高位で、そこから同心円状に中位・低位へ移る分布です。地価の高い都心では土地を高度利用する集合住宅が住宅の大半を占めるため、中心が高位になります。

持ち家戸建て住宅の戸数=G【正】

都心が低位で、房総半島や埼玉北部などの外縁部が高位という、Fと裏返しの同心円状の分布です。地価の安い外縁では一戸建てを取得しやすいことを示します。

単身世帯=E【正】

都心の区と外縁の農漁村がともに高位で、その間のファミリー層が多い郊外住宅地が低位というモザイク状の分布です。単身世帯は進学・就職で流入する若年層が集まる都心と、高齢単身者が残る過疎地域の両方で高くなるため、住宅の種類の2指標とは形が違います。

正解【④】

都心を中心とする同心円状のFが共同住宅、その裏返しのGが持ち家戸建て住宅、都心と外縁の双方が高位のEが単身世帯なので、組合せは④です。

問4:正解 ②(解答番号24/配点3)

<問題要旨>

資料1には、長野県の社会増減(転入数−転出数)と自然増減(出生数−死亡数)を1965年から2020年まで示したグラフと、その背景・影響を説明した文章が示されています。文章中の下線部①〜④のうち、誤りを含むものを選ぶ設問です。

<考え方>

人口の増減は社会増減と自然増減の「合計」で決まるので、片方だけを見て総人口の動きを語る記述は疑います。グラフでは1965年の社会増減が約−1.6万人、自然増減が約+1.4万人。1970年代後半は社会増減が0〜−0.2万人まで縮小する一方、自然増減は+1.4〜+1.6万人と大きいままです。1983〜84年や1990〜94年には社会増減がプラスに転じ、2000年代以降は社会減が−0.2〜−0.45万人で続き、自然減は2020年に約−1.25万人まで拡大します。

<選択肢>

①【該当しない】

1960年代後半に社会増減の減少幅が大きいのは、高度経済成長期に若年層が大都市圏へ大量に流出したためで、グラフの約−1.6万人という値と歴史的背景が一致します。

②【該当する】

1970年代後半に社会増減の減少幅が縮小したことは正しいものの、この時期の自然増減は+1.4〜+1.6万人と大きく、合計では年1.3万人前後の増加となります。したがって「総人口は横ばい傾向となった」という部分が誤りで、実際には増加していました。

③【該当しない】

1983〜84年や1990〜94年には社会増減がプラスに転じており、「社会増減が減少から増加に転じる期間もみられた」という記述はグラフと一致します。

④【該当しない】

2000年代以降は社会減が続くうえに自然減が拡大し、2020年には自然増減が約−1.25万人となっています。人口減少が進んだ地域で過疎化が著しく進行したという説明は妥当です。

正解【②】

1970年代後半は社会減が縮小した一方で自然増が+1.4〜+1.6万人あり、合計では総人口が増加していたため、「横ばい傾向」とする②が誤りです。

問5:正解 ④(解答番号25/配点3)

<問題要旨>

図3には、フランスとドイツについて、人口上位10都市と高速鉄道・高速道路の分布を示した地図と、中央銀行・主な中央官庁数・大企業(売上高上位10社)の本社数の立地を示した地図が示されています。これをもとにした会話文の下線部①〜④のうち、誤りを含むものを選ぶ設問です。

<考え方>

都市システムは「一極集中型」と「分散型」に分かれ、それぞれ長所と短所が裏返しになります。図3のフランスでは中央銀行・中央官庁・大企業本社10社の記号がすべてパリ周辺に集まり、ドイツではベルリンのほか西部と南部の都市に本社の記号が分かれています。一極集中の長所は機能の集積による効率、短所は首都の過密・住宅問題と災害時の脆弱性です。分散型はその逆になります。この対応に照らして各下線部を判定します。

<選択肢>

①【該当しない】

図3のフランス側では、中央銀行・主な中央官庁・大企業の本社を示す記号がいずれもパリとその周辺にしか置かれていません。人口第2位以下の都市に大企業の本社や中央官庁が立地していないという指摘は図と一致します。

②【該当しない】

ドイツ側では人口100万人以上の都市が複数あり、大企業の本社を示す星が西部(ライン川沿岸)と南部(ミュンヘンやシュトゥットガルト)にも置かれています。本社が分散して立地しているという指摘は正しいです。

③【該当しない】

機能が複数の都市に分散しているドイツ型では、首都が災害などで機能不全になっても他都市が代替できるため、影響が小さくなります。一極集中との比較として妥当な指摘です。

④【該当する】

首都に人口と機能が集中するフランス型では、首都の過密や住宅価格の上昇といった都市問題はむしろ深刻化します。都市問題が緩和されやすいのは機能が分散したドイツ型であり、長所と短所が入れ替わっている点が誤りです。

正解【④】

パリに人口と中枢管理機能が集中するフランス型では首都の過密・住宅問題が深刻になるため、それが緩和されやすいとする④が誤りです。

第6問 北アメリカと中央アメリカ(配点17)

北アメリカと中央アメリカを題材に、東西方向の年降水量の変化、国境の景観写真、中央アメリカ諸国の社会・経済統計、アメリカ・カナダ・メキシコ3国間の貿易、旅行者の動向を扱う地誌の大問です。

問1:正解 ④(解答番号26/配点3)

<問題要旨>

図1のA〜Cは、図2に示された経度10度分の長さの線ア〜ウのいずれかに沿って、西端から東端まで年降水量の推計値を棒グラフで並べたものです。A〜Cとア〜ウの組合せを選ぶ設問です。図2のアはカナダ南西部の太平洋岸から内陸へ、イはグレートプレーンズからミシシッピ川下流域へ、ウはメキシコの太平洋岸からメキシコ湾側へ延びています。

<考え方>

地形と風系から、断面に沿った降水量の形を先に予想します。西岸に山脈がある中緯度では、西端で偏西風が山脈にぶつかって多雨となり、内陸に入ると雨陰で急減します。プレーンズからミシシッピ川へ東進する断面では、メキシコ湾からの湿った気流が届くほど降水が増えるので単調増加になります。低緯度のメキシコを横切る断面では、太平洋側の山地斜面と湾側の山地斜面で多く、その間の高原内陸で少ないという二山型になります。図1のCは西端2,800mmから内陸の500〜600mmへ急減し、その先の山地で1,200mm前後に戻る形。Aは0.65千mmから1.25千mmへ滑らかに増え続ける形。Bは西寄りに1,250mmのピーク、中央で270mmの極小、東寄りに930mmの第2のピークをもつ形です。

<選択肢>

A=イ【正】

西端0.65千mmから東端1.25千mmへ単調に増加する形で、西経100度付近の半乾燥のグレートプレーンズから、メキシコ湾からの湿気が届くミシシッピ川下流域へ東進する断面に一致します。

B=ウ【正】

西寄りに1,250mmのピーク、中央で270mmの極小、東寄りに930mmの第2のピークという二山型です。太平洋側の山地斜面、乾燥したメキシコ高原の内陸、メキシコ湾側の山地斜面という順に並ぶ低緯度の断面に対応します。

C=ア【正】

西端が2,800mmと際立って多く、内陸で500〜600mmまで急減した後、山地で1,200mm前後に戻ります。偏西風が海岸山脈にぶつかって多雨となり、その東側が雨陰で乾燥し、さらに東のロッキー山脈で再び増えるという太平洋岸からの断面です。

正解【④】

西端が2,800mmで急減するCが太平洋岸からのア、単調増加のAがプレーンズから東へのイ、二山型のBがメキシコを横切るウなので、組合せは④です。

問2:正解 ②(解答番号27/配点3)

<問題要旨>

写真1のカ〜ケには、アメリカ合衆国とカナダまたはメキシコとの国境周辺の景観が示されています。カは巨大な滝と橋、キは森林の中を直線的に伐開した帯と国境を示す標石、クは国境をはさんで建物が密集する都市の空中写真、ケは背の高い壁です。これらについて述べた文のうち、下線部が適当でないものを選ぶ設問です。

<考え方>

国境は「自然的国境(河川・山脈・分水嶺など地形に沿うもの)」と「人為的国境(経緯線など地形と無関係に引かれたもの)」に分けられます。キの直線的な伐開帯は、地形を無視してまっすぐ森林を切り開いているところが決め手で、アメリカ合衆国とカナダの国境の大部分を占める北緯49度線のような経緯線に沿った人為的国境です。分水嶺に沿うなら尾根の形に合わせて曲がるはずで、直線にはなりません。

<選択肢>

①【該当しない】

カの巨大な滝はナイアガラの滝で、両国の側から観光客が訪れ、橋を介した往来も盛んです。観光目的の往来が多いという説明は適当です。

②【該当する】

キの直線的な伐採地は、地形と無関係に一直線に延びていることから経緯線に沿って引かれた人為的国境です。「分水嶺に沿った自然的国境」という説明は、人為的国境を自然的国境とすり替えている点で誤りです。

③【該当しない】

クではメキシコ側に建物が密集しています。アメリカ合衆国での就労や越境通勤を目的に人々が国境都市へ集まり、マキラドーラなどの工場も立地して人口が急増したという説明は適当です。

④【該当しない】

ケの壁は、アメリカ合衆国がメキシコからの不法入国や密輸への対策として建設したものです。国家間の関係が国境の景観に表れた例として適当な説明です。

正解【②】

森林を直線的に伐開した国境は経緯線に沿う人為的国境であり、「分水嶺に沿った自然的国境」とする②が適当ではありません。

問3:正解 ⑥(解答番号28/配点4)

<問題要旨>

図3のサ〜スは、中央アメリカの主な13か国について、国土に占める農地面積の割合、GDPに占める第三次産業の割合、人種・民族構成に占めるアフリカ系の割合のいずれかを円グラフで示したものです。指標名とサ〜スの組合せを選ぶ設問です。

<考え方>

分布の「端」で決めます。サはハイチ・ジャマイカ・バハマの3か国だけが該当割合のほとんどを占め、メキシコや中央アメリカ地峡の国々はごくわずかです。植民地期にプランテーションの労働力として多くのアフリカ系の人々が連れてこられた西インド諸島と、先住民や混血が多数を占める大陸部の対比であり、サがアフリカ系の割合です。シはどの国でも5割を超え、観光業に依存するバハマが約9割で最大なのでGDPに占める第三次産業の割合。スはバハマがごくわずかでエルサルバドルが最大という分布で、サンゴ礁の島々で農地が広がらず、火山灰土の平地が耕地化されたエルサルバドルで高くなる農地面積の割合です。

<選択肢>

国土に占める農地面積の割合=ス【正】

石灰岩とサンゴ礁からなり農地に適した土地が乏しいバハマで極端に小さく、国土の大半が耕地・牧場となっているエルサルバドルで最大になります。国土の自然条件の差が表れた分布です。

GDPに占める第三次産業の割合=シ【正】

13か国すべてで5割を超え、観光業が経済の柱であるバハマが約9割で最も大きくなります。パナマ(運河と金融)やジャマイカ(観光)も大きく、サービス経済化の度合いを示します。

人種・民族構成に占めるアフリカ系の割合=サ【正】

ハイチ・ジャマイカ・バハマの3か国だけが大きく、他の国はごくわずかです。砂糖のプランテーションに多くのアフリカ系の人々が連れてこられた西インド諸島と、先住民・混血が多数を占める大陸部との違いが表れています。

正解【⑥】

西インド諸島の3か国だけが大きいサがアフリカ系の割合、全ての国で5割を超えバハマが最大のシが第三次産業の割合、バハマが極小のスが農地面積の割合なので、組合せは⑥です。

問4:正解 ④(解答番号29/配点4)

<問題要旨>

図4には、アメリカ合衆国・カナダ・メキシコのそれぞれの国から他の2か国への輸出総額の推移が、2つの品目(自動車(部品を含む)と石炭・石油・天然ガス)について示されています。タとチが品目、EとFがアメリカ合衆国とメキシコのいずれかです。自動車に当たる記号とメキシコに当たる記号の組合せを選ぶ設問です。

<考え方>

3国の産業構造と、資源価格に左右される品目かどうかで判定します。タではカナダが一貫して最大で、2008年に約1,200億ドル、2022年には約1,600億ドルへ跳ね上がります。カナダの対米輸出の柱は原油であり、2022年の急増は資源価格の上昇に対応するので、タが石炭・石油・天然ガスです。チではFが2019年に約1,100億ドル、2022年に約1,150億ドルで最大となり、カナダは約450億ドルで横ばいです。北米自由貿易の枠組みのもとで自動車の対米輸出を伸ばしてきたのはメキシコなので、F=メキシコ、チ=自動車です。タでもFは2008年前後に約400億ドルあった後、2019年以降ほぼ0になっており、これは原油生産の減少で輸出が縮小したメキシコの動きと一致します。

<選択肢>

自動車=チ【正】

チではFが1,100億ドル規模で最大となり、カナダは約450億ドルで横ばいです。生産拠点の移転によって対米輸出を伸ばした国が突出する構図で、資源価格に左右される石油・ガスではなく自動車の推移です。

自動車=タ【誤】

タはカナダが一貫して最大で、2022年に約1,600億ドルへ急増します。カナダの対米輸出でこの規模になるのは原油であり、2022年の資源価格上昇に連動している点からも自動車ではありません。

メキシコ=F【正】

Fはチ(自動車)で1,100億ドル規模の最大となる一方、タ(石油・ガス)では2019年以降ほぼ0になります。自動車の輸出が伸び、原油輸出が縮小したメキシコの変化と一致します。

メキシコ=E【誤】

Eはタ(石油・ガス)で2022年に約900億ドルまで増え、チ(自動車)でも約750億ドルあります。シェール革命で石油・ガスの輸出を伸ばしつつ自動車も輸出するアメリカ合衆国に当たります。

正解【④】

カナダが最大で2022年に急増するタが石炭・石油・天然ガス、残るチが自動車であり、その最大国Fがメキシコなので、組合せは④です。

問5:正解 ③(解答番号30/配点3)

<問題要旨>

表1のマ〜ムは、カナダ・キューバ・メキシコのいずれかについて、インバウンド旅行者数に占めるヨーロッパからの旅行者数の割合と、インバウンド旅行者数に対するアウトバウンド旅行者数の比率を示したものです。国名とマ〜ムの組合せを選ぶ設問です。

<考え方>

2つの指標を別々に使います。アウトバウンド/インバウンドの比率は、所得水準が高く国外旅行に出かける人が多い国で高くなります。表1でミは120.2%と出国者が入国者を上回り、所得水準が高く冬季に南へ旅行する人が多いカナダに当たります。ムは44.0%で、アメリカ合衆国から大量の旅行者を受け入れる一方、出国は少ないメキシコです。もう一方のヨーロッパからの割合では、マが29.5%と高く、これはアメリカ合衆国との往来が長く制限され、スペインやロシアなどヨーロッパからの観光に依存してきたキューバの特徴で、しかも出国比率は15.2%と最も低くなります。メキシコが4.7%と低いのは、旅行者の大半が隣国アメリカ合衆国からであるためです。

<選択肢>

カナダ=ミ【正】

アウトバウンドがインバウンドの120.2%に達し、出国者が入国者を上回っています。所得水準が高く、冬季にアメリカ合衆国やカリブ海へ出かける人が多い国の姿です。ヨーロッパからの割合14.2%も、イギリス・フランス・ドイツとの結び付きに見合います。

キューバ=マ【正】

ヨーロッパからの割合が29.5%と3か国で最も高く、出国比率は15.2%と最も低くなっています。アメリカ合衆国との往来が長く制限され、スペインなどヨーロッパからの観光に依存してきた一方、国民の所得水準が低く国外旅行が少ないことを示します。

メキシコ=ム【正】

ヨーロッパからの割合が4.7%と極端に低く、出国比率は44.0%です。旅行者の大半が隣接するアメリカ合衆国から訪れるため相対的にヨーロッパの比重が下がり、インバウンドが大きいので比率も100%を下回ります。

正解【③】

出国が入国を上回る120.2%のミがカナダ、ヨーロッパからが29.5%で出国が最も少ないマがキューバ、ヨーロッパからが4.7%のムがメキシコなので、組合せは③です。

※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

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