解答
解説
第1問
問1:正解7
<解説>
問題文では、長さの異なる2台の電車が同じ線路の並行区間で反対向きに一定速度で通過し合う様子が描かれています。乗客が乗っている電車の先頭座席の真横を相手の電車の先頭が通過し始めてから、相手の電車の最後尾が通り過ぎるまでに要する時間を求める設定です。
まず、2台の電車が反対向きに動いているので、互いから見ると速度は両方の速度を足し合わせた大きさになります。そのため、相手電車を「乗客から見てどのくらいの速さで近づいてくるか」を考えると、電車Aと電車Bそれぞれの速度を合計したものが相対速度になります。
次に、乗客は電車Aの先頭に座っているので、相手電車Bが通り過ぎる間に必要な距離は「相手電車Bの全長」に相当します。あとは、その距離を先ほどの相対速度で割った時間が「相手電車の先頭が来てから最後尾が過ぎ去るまで」にかかる時間です。問題文に書かれている数字を当てはめて考えると、ちょうど回答群の中で該当する組合せが導かれます。結果として、相対速度と通過に要する時間の組合せが該当番号7となります。
問2:正解4
<解説>
手に糸でつるした重りに働く糸の張力が、時間の経過とともに「重力とつり合ったまま」→「重力より大きい」→「重力と再びつり合う」という順番で変化する状況が示されています。
はじめは重りが静止しており、糸の張力が重力と同じ大きさならば重りは動き始めないので、その区間では重りは止まったままです。次の区間では、糸の張力が重力より大きくなるため、重りは上向きに加速して速度が増していきます。最後の区間では、糸の張力が再び重力と等しくなるので、重りは上向きに一定の速さで動き続けることになります。
問題文の各区間を「静止している」「一定の加速で上向きの速度が増す」「一定の速さで上向きに動く」と対応づけると、表中の組合せが回答番号4のものになります。
問3:正解9
<解説>
鉛直上向きに投げ上げた小球の運動で、小球が最高点まで上昇し、再び元の高さに戻ってくるまでの間の「位置エネルギーと運動エネルギー」の関係を、上昇中と下降中それぞれで考察する問題です。空気抵抗は無視できるとされています。
小球が上昇している間は、高さが大きくなるにつれて位置エネルギーが増加し、そのぶん運動エネルギーは減少していきます。最高点で速度がゼロになったのち、下降し始めると、逆に位置エネルギーが減るいっぽうで運動エネルギーが増えていきます。空気抵抗の影響がない場合、上昇中と下降中のエネルギー変化は同じ形で繰り返されるので、両方とも同じタイプのグラフで示されます。結果として、問題文に示されたグラフのうち、上昇中も下降中も同じパターンになる組合せが回答番号9に当たります。
問4:正解5
<解説>
縦波に関する問題で、連続した疎密の波が右向きに伝わっていく様子が描かれています。縦波は、媒質の振動方向が波の進む方向と同じか反対向きになる波です。問題文では、ある瞬間から次の同じような状態になるまでの時間をTとしたとき、縦波が媒質中を伝わる速さは、波がその間に進む距離をTで割ったもので表されます。ここでは、その距離として問題文中で示される「媒質の印の間隔L」を用いて考察し、表にある「ウ」に相当する量は「LをTで割った値」という形になります。
また、縦波では疎密の波が伝わる際、媒質の粒子の変位(ずれる方向)は波の進む方向と平行なので、問題文に示された区間aやbなどで粒子がどちら向きに動いているかを読み取ります。すると、指定された区間で粒子は一定の向きに動いていることがわかり、その組合せを表の中から選ぶと回答番号5のものと一致します。
第2問
問5:正解3
<解説>
図1では、電熱線Aと電熱線Bを直列につないで、それぞれを同じ温度の水に入れた実験のようすが示されています。直列回路では、どちらの電熱線を流れる電流も同じ大きさになります。ところが、温度を測ったところ、電熱線Aを入れたほうの水の温度が高くなりました。
直列回路で消費される電力は、流れる電流と電熱線の抵抗値やそこにかかる電圧に関係します。電流が同じである以上、抵抗が大きいほうがより大きな電圧を分担し、より多くの電力を消費して、水をより高温にします。つまり、水をより高温にした電熱線Aのほうが抵抗が大きく、そこにかかる電圧も大きくなります。一方、直列なので電流自体は両方とも等しく、電熱線Aだけが大きい電流を流しているわけではありません。こうした理由から、アとイの記述は誤りで、ウの記述が正しいことになります。
問6:正解4
<解説>
図2では、電熱線Cと電熱線Dを並列につないで、それぞれを同じ温度の水に入れた実験のようすが示されています。並列回路では、接続された各電熱線の両端には同じ電圧がかかりますが、抵抗値が異なると流れる電流の大きさが変わり、消費する電力も変わります。
実験結果として、電熱線Cを入れた水のほうが高温になったということは、Cのほうがより多くの電力を消費していると考えられます。並列回路では、抵抗が小さいほど大きい電流が流れて電力が大きくなるので、電熱線Cが電熱線Dより小さい抵抗で、結果的にCを流れる電流がDよりも大きいことがわかります。一方、並列回路では電圧はすべて同じなので、電熱線Cと電熱線Dのあいだで電圧に差があるわけではありません。よって、アとイが正しく、ウは誤りであることが導かれます。
問7:正解4
<解説>
ドライヤー全体で消費される電力を考えると、中には電熱線とモーターがあり、それぞれが並列で交流電源につながれています。電熱線が熱を発生させ、モーターはファンを回して温風を送り出す、という仕組みです。
ドライヤー内部にほかの電力消費装置はないと考えられるため、ドライヤー全体が消費する電力は電熱線で消費される電力とモーターで消費される電力の合計とみなせます。そのため、ドライヤーの合計の消費電力Pは、電熱線の消費電力Phとモーターの消費電力Pmを足し合わせたものになるわけです。
問8:正解1
<解説>
電熱線の抵抗値が一定であるドライヤーを、ある時間だけ動かしたときに消費されるエネルギー量を求める問題です。ここでは、電圧が一定であること、電熱線とモーターがそれぞれ独立に動作しうることなどが前提になっています。
電熱線にかかる電圧がわかり、抵抗値がわかれば、電熱線で消費する電力は電圧や抵抗の情報から割り出すことができます。さらに、その電力に運転時間をかけると、消費されたエネルギー量が得られます。問題文から得られる数値を当てはめて考えると、およそ「1点何とかける10の5乗」程度の値になるため、ここで空欄◯8に入るのが「1」に相当すると判断できます。
問9:正解2
<解説>
問8と同じく、電熱線で消費されるエネルギー量の具体的な値を10のべき乗で表記する際の空欄を決める問題です。時間を秒数に直して考えたり、電力を計算してエネルギーに変換する手順を踏むと、「10の5乗」に相当する大きさになることがわかります。ここでは、その指数部分や小数点の扱いから、空欄◯9が「2」の記述と一致すると判断できます。
第3問
問10:正解1
<解説>
スプーンAとスプーンBを同じ温度に加熱したうえで、それぞれ同じ質量の冷たい水に入れて水の温度上昇を比べる実験を行っています。すると、水の最終温度がわずかに異なりました。
質量が同じ金属同士を同じ温度から同じ水に入れた場合、比熱容量がより大きいほうがより多くの熱エネルギーを放出できるので、水がやや高い温度まで上昇します。問題文中の結果では、スプーンBを入れた水のほうがわずかに高温になりました。そのため、スプーンBはスプーンAよりも比熱容量が大きいのではないか、という考察につながります。
問11:正解2
<解説>
職人の主張として、「もし水の量が変わっていれば、今回の温度差はもっと顕著になったかもしれない」という趣旨の説明があります。水の質量が少なくなるほど、同じ量の熱が加わったときの水の温度変化は大きくなります。したがって、問題文にあるように水の量を半分にすれば、水の温度の違いがより大きく表れたはずだというわけです。
問12:正解1
<解説>
同じく職人の主張として、「もしスプーンと水の温度差をもっと大きくしていれば、温度変化の差が顕著になったかもしれない」という指摘があります。スプーンと水が初めに大きく温度差をもっていれば、それだけスプーンが放出(あるいは吸収)できる熱量も増え、水側の温度変化も大きくなります。よって、より顕著な温度差が確認できた可能性があるということです。
問13:正解3
<解説>
王女が次に注目したのは、スプーンAとスプーンBの密度を比べることで、それぞれが純金製なのかどうかを確かめようとする点です。密度は、質量が同じでも体積が異なれば値が変化します。もし同じ質量なのに体積に差があるとすれば、密度が異なる金属であるとわかる可能性があるからです。
問14:正解1
<解説>
スプーンAとスプーンBを水中に入れたときに、スプーンBのほうがより大きな浮力を受けている様子が描かれています。浮力の大きさは、物体が排除する水の量(つまり物体の体積)に比例します。スプーンBの浮力がより大きいのは、同じ質量なのにBの体積がAより大きいためだと考えられます。
問15:正解1
<解説>
浮力が大きいスプーンBの体積は、スプーンAの体積よりも大きいと推定されます。ところが、問題文中では「スプーンAとスプーンBはともに100.0gの質量」とされているので、質量が同じで体積が大きいBは、Aより密度が小さいことになります。純金よりも密度が低い金属が混ざっているのでは、と王女が疑う理由の一つになっています。
問16:正解3
<解説>
王女はスプーンA・Bとは別に、針金A・Bを用いてそれぞれ電気抵抗を測定する実験も行っています。グラフには、電圧を変化させたときの電流の大きさが示されていますが、針金Bの電流の増え方がAに比べて明らかに小さく、結果として針金Bの抵抗値は大きい値となります。問題文中のグラフの傾きから読み取ると、その抵抗値が「およそ4.1オーム」に相当するということがわかります。
問17:正解4
<解説>
針金の抵抗と、その針金を構成する金属の抵抗率(比抵抗)の関係式を利用して、針金Bの金属の比抵抗が純金の既知の値と大きく異なることを示す場面です。ここでは、針金の長さと断面積、そして測定で得られた抵抗から比抵抗を求める式として、問題文中では「抵抗値に断面積を掛け、長さで割る」という形が示されています。これは一般に、比抵抗が「抵抗値 × (断面積/長さ)」で表されることを表しています。したがって、スプーンBは純金と明らかに異なる金属であることが分かるというわけです。