解答
解説
第1問
問1:正解1
<解説>
斜面上の物体をゆっくりと持ち上げるとき、最終的には「高さがどれだけ変化したか」がポイントになります。斜面にそって引き上げても、物体が得る位置エネルギーは物体の質量と重力加速度、それに垂直方向の上昇量で決まります。ゆっくり動かしているので、余分な運動エネルギーの変化を考えなくてよく、最終的には斜面の角度に依存せず「垂直方向にどれだけ上げたか」で仕事量が決まります。これにより、答えが決まります。
問2:正解2
<解説>
水平面内で3本のひもがそれぞれ異なる方向に張られている場合、物体が静止するためには、3本の張力のベクトル和がつり合わなければなりません。図では、ひもAとひもBが互いに直角方向、ひもCはそれらと特定の角度(図では45°)になるように配置されています。ひもAとひもBは同じ大きさの張力で釣り合い、そこにもう一つの斜めの張力が合成されることで、全体として平衡状態を保ちます。左右と上下の成分をつき合わせると、最終的に「2本分の合力」となっているひもCの張力が、他の2本と比べてある比率で大きくなることがわかります。その比が「同じ : 同じ : 斜め方向」の形になり、数値としては一対一対ある値という形で示されます。
問3:正解8
<解説>
ガラス棒を絹布でこすると、ガラス棒から一部の電子が移動して棒が正に帯電します。電気には正・負の2種類があり、同種どうしは反発し合い、異なる種類どうしは引き合います。したがって、同じ電荷を帯びた物体どうしは近づけると離れようとします。さらに、電荷の量を表す国際単位はクーロンであって、電流の単位であるアンペアとは区別されます。問題文の流れから「電子が移動」「同種の電荷は反発」「単位はクーロン」という選択肢が最も適切になります。
問4:正解5
<解説>
ピストルの音を観測者が直接聞くまでの時間と、ビルに反射して戻ってきた音を聞くまでの時間を比べると、音が往復する距離の差がわかります。音速は大気中でおよそ毎秒数百メートル程度で、ここではその標準的な値が与えられています。直接届く音との差が1秒あるということは、その1秒間で音がある追加の距離を往復したことになるので、それを手掛かりにビルまでの大まかな距離を推定できます。問題文では、ビルからの反射音を聞いた合計時間が2秒、直接音が1秒なので、残り1秒で移動した音の道のりがちょうどビルまで行って戻ってくる一部の区間に相当し、そこから建物までのおよその距離が求まります。
問5:正解9
<解説>
温度50度の物体Aと18度の物体Bを接触させ、長時間後に両方が30度で落ち着いたという状況です。Aは温度が20度下がり、Bは12度上がっています。温度変化の差から、Bのほうが「同じ温度変化あたりに必要な熱量」が大きい、つまり熱容量が大きいことが推測できます。Aが放出した熱量はBが受け取った熱量と等しくなり、Aはある程度大きな温度差で冷却しているわりに最終温度が30度に落ち着いたので、放出した熱量は一定の大きさに収まります。ここでは、Aが下げた温度差とA自身の熱容量を考慮すると、およそ数千ジュール台の放出となり、またBの熱容量はAより大きいと判断できます。
第2問
問6:正解7
<解説>
わずかに振動数が異なる二つの波を同じ位置で重ね合わせると、時間とともに振幅が大きくなったり小さくなったりする現象が起こります。これが「うなり」です。図を比べると、短い周期で繰り返す基本的な波の振動の上に、振幅がゆっくり変化する包絡線が現れています。その包絡線が示す間隔が「うなり」の周期にあたります。選択肢の中で、振幅変化の山と谷がはっきり一つの周期として示され、その時間間隔がA、より細かい振動の周期がBとして描かれているものが該当し、見比べると(エ)のグラフでAがうなりの周期、Bが各波の振動周期である様子が最もよく当てはまります。
問7:正解2
<解説>
二つの振動数が異なる波を重ねるとき、両波の振動数の差が小さいほど、振幅の包絡線がゆっくりと変化する、すなわち「うなり」の周期が長くなります。反対に振動数の差が大きいほど、うなりの周期は短くなります。したがって、うなりの周期は両方の振動数の差に反比例し、その周期を表す式は「振動数の差の逆数」となるものが妥当です。
問8:正解4
<解説>
一定の電圧をかけて1秒間に生じたジュール熱の大きさから、抵抗値を逆算できます。電圧と電流から考えると、加えた電力がジュール熱として放出されています。このとき、例えば電力と時間をかけ合わせれば放出エネルギーになり、そこから抵抗値を推定できます。具体的には、電圧が一定で放出エネルギー(熱量)が分かっているので、抵抗が大きすぎても小さすぎても合わないことがわかり、最終的には選択肢の中で適切な値に一致するものが3.0オームとなります。
問9:正解6
<解説>
抵抗値は「素材の抵抗率」と「長さ」に比例し、「断面積」に反比例します。表を見ると、aは銅で抵抗率が最も低く、長さと断面積も標準的なので抵抗値は小さめになります。bは鉄でaより抵抗率が高いため、同じ長さ・断面積ならaより抵抗値が大きくなります。cはbと同じ鉄ですが、長さが2倍かつ断面積がさらに小さいため、bよりも大きな抵抗値になります。結果として、cが最も大きく、次いでb、最も小さいのはaの順になります。
第3問
問10:正解2
<解説>
台車が静止している状態で、小球を真上に打ち出したときの最高点に達するまでの時間は、はじめに与えられた打ち出し速度が重力によって減速されて最終的に速度がゼロになるまでの間隔と考えられます。重力による速度の減少率から、その時間は最も簡明な形で「はじめの速度を重力加速度で割った値」になるので、選択肢の中ではそれに対応するものが答えとなります。
問11:正解9
<解説>
台車を一定の速さで水平に動かしていても、小球が鉛直方向に飛び上がる様子は重力しか受けないため、最高点の高さ自体は台車が止まっているときと変わりません。また、台車と小球は最初に同じ水平方向の速度をもっているので、打ち出し後も小球は水平方向に等速運動し、台車も同じ速さで動き続けるなら、最終的に同じ位置関係で落下します。よって最高点の高さは「変わらず」、小球は「真上に飛び、同じ位置に落ちる」状態になります。
問12:正解4
<解説>
同じ質量をもつ3つの物体が糸などで連結され、全体として静止している場合、1つの物体を引っ張る糸には、特定の張力がかかります。図で、物体Aはちょうどほかの物体とつり合う位置に保たれています。そのとき、Aを引っ張る糸の張力は「A自身の重さを支えるための大きさ」に相当します。同じ質量である他の物体の影響は、別の糸や支点が分担しているので、この張力はA1個分の重力に合致する値となります。
問13:正解1
<解説>
Aの下部の糸を静かに外して物体Aを動かすと、3つの質量が連なった全体の中で、Aだけが落下方向に加速します。ただし、ほかの物体と糸とのつり合い関係が同時に成り立つため、Aには自身の重力すべてが加速に使われるわけではありません。全体を考慮すると、複数の物体が関わる分だけ加速は重力より小さくなり、その結果、Aが得る加速度は重力加速度の1/3となります。