2019年度 大学入試センター試験 本試験 物理基礎 解答・解説

目次

解答

解説

第1問

問1:正解2

<解説>
質量のある物体が床から離れるのは、ばねの引く力が物体の重さとつり合ったときです。ばねの長さを自然長から少し伸ばしただけで物体が床から離れたという状況は、ばねの伸びがちょうど物体の重さに対応する大きさになったことを示しています。このときのばねの伸びの量は、物体の重さをばねの硬さを表す値で割ったものに相当します。

問2:正解2

<解説>
小物体がなめらかな床のうえを一定の速さで進み、途中であらい床面を通過する場合、あらい部分では一定の摩擦力が働き、速度は一定の割合で減少していきます。そして再びなめらかな床に出たあとは摩擦力がほぼ働かなくなるので、減少した速度のまま一定になります。よって、速度は最初と最後でそれぞれ一定の値をとり、あらい部分で直線的に下がるグラフが適切です。

問3:正解3

<解説>
電磁波は、一般的に振動数が低い(小さい)側から順に赤外線、可視光線、紫外線、X線、γ線などと分類されます。赤外線は可視光線の赤い側の外にある波で、紫外線は可視光線の紫の側の外にあり、より振動数が高いものです。問題文で求められているのは、周波数の大小関係から赤外線と紫外線の配置を判断するものなので、赤外線を“振動数が低いほう”、紫外線を“振動数が高いほう”として並べる選択肢が該当します。

問4:正解3

<解説>
私たちは日常生活の中で、食べ物や空気、大地、さらには宇宙からやってくる自然放射線を常に浴びています。選択肢の内容を見比べると、これが正しく放射線について述べている記述にあたります。他の選択肢は、元素の決まり方や放射線の種類による影響、あるいはX線の性質などについて正しくない説明や一部誤解を含むものです。

問5:正解4

<解説>
湯沸器の出力が示す1秒あたりの熱量と、水を温めるのに必要な熱量を比較して、どのくらいの時間がかかるかを考えます。まず、水の質量と温度変化、そして水の比熱を掛け合わせることで必要な総熱量を求め、その熱量を1秒あたりの供給熱量で割ると加熱に要する時間が得られます。そうすると、だいたい100秒より少し長めの値になり、選択肢の中では100秒台のものが最も適切となります。

第2問

問6:正解2

<解説>
ガラス管における音の共鳴は、管の端の状態(両端が開いているか、片端が閉じているか)によって生じる振動の様子が異なることで決まります。片端が閉じた管のほうは、閉じた端が振動の節、開いた端が振動の腹になり、ある長さに応じて特定の周波数の音波だけが強く響きます。問題文では、まず閉管で共鳴が起こり、周波数を少しずつ変化させたときに次の共鳴がどの管で生じるかを観察しており、管の長さや端の状態から最も適切と考えられる周波数を導くと、この選択肢が妥当となります。

問7:正解7

<解説>
空気中の音速よりも大きい音速をもつヘリウムガスの中では、同じ管を使っても振動が成立する音波の周波数は空気中の場合と比べて高い値になります。問題文では、ヘリウムガス中での音速を空気中の3倍とみなしており、空気中で発生した共鳴の周波数を基準とすると、ヘリウムガス中ではそれがおよそ3倍になることがわかります。また、閉管の基本振動では管の中に節が一つだけできるような波の形になります。そのため、これらの条件を併せて考えると、該当する選択肢が成立します。

問8:正解4

<解説>
20オームと30オームの抵抗を6.0ボルトの電源につなぐ回路で、図を見ると2つの抵抗が並列につながっていることがわかります。並列回路では、各抵抗には同じ電圧がかかり、それぞれに流れる電流を合わせたものが回路全体の電流になります。抵抗が小さいほど多くの電流が流れ、並列全体としての抵抗値は個々の抵抗単体よりも小さくなります。こうした仕組みから、電源から見た全体の電流を調べると、ちょうど選択肢で示されている値程度となるのが妥当です。

問9:正解3

<解説>
同じ素材で円柱状の抵抗CとDを用意し、Dの直径と長さをCの2倍にしたとき、抵抗値は材料の長さに比例し、断面積(直径の2乗に相当)に反比例する性質があります。直径が2倍になると断面積は4倍になりますが、長さも2倍なので、抵抗値はCの半分ほどになります。問題文の回路図を見るとCとDは直列接続のように描かれており、直列では同じ電流が流れるため、抵抗の小さいほうが電力の消費量も小さくなります。よってDはCの抵抗値の半分となり、Dの消費電力もCのおよそ半分と考えられ、該当する選択肢が最も適切といえます。

第3問

問10:正解5

<解説>
客車Aと客車Bがともにつながれて同じ加速度で動くとき、ひも2(客車Bを引くひも)にかかる力は、全体を引く力よりも小さくなります。これは、加速させる対象がBだけでなくAも含まれるために、力が全体の質量に応じて分担されるイメージで捉えられます。その結果、ひも2がBを引く力は、Bの質量の割合に見合った値となるので、Aを引く力よりも小さい一定の比率になります。

問11:正解2

<解説>
問題文の設定では、客車Aに働く向きの異なる力のうち、前方向への引く力と後ろ方向の引く力(後ろの客車を引っ張る側)の差がAを加速させる実質的な推進力となります。ある一定の加速度で距離Lだけ走行したとき、客車Aが得る運動エネルギーの増加量は、この実質的な推進力と移動距離との積になります。つまり、客車Aの運動エネルギー増加分は「大きいほうの力と小さいほうの力の差」に応じた値となります。

問12:正解3

<解説>
乾電池の中にはエネルギー源として物質が化学的なかたちで蓄えられています。機関車が客車を引く力を発生させるにはモーターなどを動かす電力が必要ですが、その電力は乾電池の内部で起こる化学変化によって取り出されるものです。したがって、客車A・Bの運動エネルギーの増加分は、乾電池がもともと持っていた化学的なエネルギーの一部が変換されたものだと考えられます。

問13:正解1

<解説>
斜面AはBより傾きが小さいため、同じ質量の小物体を静かに滑らせた場合、斜面から受ける垂直抗力は角度が小さいぶん大きくなります。また、傾斜が小さいほど滑り落ちる際の加速度が小さくなるため、到達に要する時間は長くなります。よって、垂直抗力の大小関係はAのほうが大きく、到達時間はAのほうが長くなります。

問14:正解5

<解説>
なめらかな斜面を質量が同じ小物体が滑り落ちるとき、斜面からの垂直抗力は運動の向きに対して常に垂直に作用します。そのため、斜面からの力は仕事をしないと考えられます。一方、重力は物体が高さを下げるぶんだけ確実に仕事をしますが、二つの物体は同じ高さから落下して最終的に床に到達するため、重力がそれぞれの物体にする仕事は同じになります。したがって、二つの物体で比較すると、重力のする仕事の大きさは等しいといえます。

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