2025年度 大学入学共通テスト 本試験 物理基礎 解答・解説

目次

解答

解説

第1問

問1:正解1

<解説>
放射線の性質や利用についての記述を検討すると、放射線源からの距離を大きく取ったり遮蔽物を使用したり照射時間を短くしたりすることで被ばくを減らせることは、放射線防護の基本的な考え方としてよく知られている。また、放射線は医療分野の検査・治療機器や工業製品の検査装置、農業分野の育種などさまざまな分野で実際に利用されてきた。一方、ウランなどの不安定な原子核そのものを放射線と呼ぶのは誤りであり、中性子線の透過力は通常、β線よりも大きいとされる。これらを踏まえると、正しい文の組合せは放射線防護の考え方と放射線利用に関する記述の二つとなる。

問2:正解6

<解説>
同じ質量で同じ初速度を与えられた物体がそれぞれ異なる方向に打ち出されたとき、到達する最高点の床からの高さは、物体が持つ鉛直方向の速度成分が大きいほど高くなる。ただし、斜面上を長く移動してから打ち出される場合には、結果的に鉛直方向に得る速度が物体Aと同程度になることがあり、物体Bよりも高く上がるケースもある。問題文の設定では、物体Aと物体Cが同じ程度の高さまで上がり、物体Bはそれよりも低い高さにとどまる、という関係になる。

問3:正解6

<解説>
ふたつの音を同時に聞いたときに生じるうなりの回数は、それぞれの音の振動数の差の大きさと対応している。問題では、最初に聞こえたうなりの回数が1秒間あたり2回程度であったことから、Aさんの音の振動数とBさんの音(1004Hz)の差は2前後と考えられる。次にBさんが1Hzだけ振動数を上げると、うなりの回数が減少したため、その差が小さくなる(1などになる)ほうの振動数がAさんの音ということになる。これらの状況を整理すると、Aさんが出している音は、Bさんが1004Hzからさらに1Hz上げたときに差が1になる値、すなわち1006Hzと推定できる。

問4:正解5

<解説>
ばねに沿って縦波を伝えるとき、節(動かない点)と腹(最も振幅が大きい点)が現れる。問題文中の図では、AやCに比べてBが最も大きく振動している様子が示されているため、変位が最大となる点はBとみなせる。また、振動数を変えずに振幅だけを大きくしても、波としては波長が変わらないため、ばねが最も詰まる部分同士の間隔も大きくは変化しない。そのため、「最大変位の点はB」「最も密になる点の間隔は変わらない」という組合せが妥当となる。

第2問

問105:正解2

<解説>
問題文にあるように、二つのおもりの質量が等しい状態で鉛直方向に一定の速さで動かしたときは、全体として加速せずに等速直線運動している。そのため、一方のおもりを引き上げる糸の張力は、そのおもり自身の重力に相当する大きさになる。すなわち、糸が引き上げている質量と重力がつり合うと考えると、糸の張力は質量に重力加速度を掛けたものに等しくなる。

問106:正解3

<解説>
質量の大きいおもりが静かに落下を始めて、初速度がゼロの状態から距離を落下したときの最終的な速さとの関係を考えると、落下中の加速度が一定であれば「落下距離と最終的な速さの二乗」が対応する比例関係を持つことが知られている。ここでは落下距離が大きいほど最終的な速さも大きくなり、その比から加速度を導くと、最終的な速さの二乗を「2倍の落下距離」で割った値に相当するかたちになる。

問107:正解5

<解説>
おもりCがパイプ上端で止まった後、おもりBだけがパイプ内部を一定の速度で床まで移動している状況を考える。もしおもりBが床に達するまでの時間が分かっていて、移動した距離が決まっているならば、速さは「移動距離を経過時間で割ったもの」として表せる。この問題では、おもりBが一定の速度で高さ分を落下すると見なせるため、その速さは高さを時間で割った形になる。

問108:正解1

<解説>
距離を変化させて測定した結果を、横軸を距離、縦軸を速さの二乗としてプロットすると、加速度が一定であれば「速さの二乗」と「移動した距離」が比例関係を示す。実験で得られる点がほぼ直線上に並ぶことから、その直線が原点を通る形で右上がりになるグラフが最も適切だと判断できる。

問109:正解3

<解説>
前問のグラフから求められる「速さの二乗」と「距離」の比例定数(傾き)は、加速度の大きさに対応する量になる。この装置でのおもり同士のつり合い方や運動状態を考慮すると、加速度は質量の組合せによって決まるため、その比から重力加速度を導き出すと、「重力加速度は、(重りの質量の和に基づく係数) × (前問の直線の傾き)」の形で表される。問題文の条件を整理すると、質量Mとmの関係から導かれる結果は「2M + m を 2m で割ったものに傾きを掛けた形」となる。

第3問

問110:正解4

<解説>
物体に熱を加えると温度が上昇するが、同じ熱量でも熱容量が大きい物体は温度が変化しにくい。一方で温度が上がったあと冷めるときも同じ理由で変化しにくくなる。つまり「熱容量が大きい物体ほど温まりにくく、冷めにくい」という性質から、該当する言葉の組合せが導かれる。

問111:正解3

<解説>
抵抗器に電流を一定時間流すと、その間に発生する熱の大きさは「抵抗の性質・電流の大きさ・通電時間」がそろって決まり、その熱がすべて物体の温度上昇に使われたと考えれば、得られた熱量を物体の熱容量で割って温度上昇分を求められる。このとき、電流が大きいほど短時間でも大きな熱が発生し、温度上昇が大きくなる。問題では、その関係をもとにした式が正しい温度変化を示すものとして選ばれている。

問112:正解2

<解説>
液体中の抵抗(電熱線)を通して電流を流し、そのときの電流と抵抗の両端の電圧を正しく測定する必要がある。電流計は抵抗線を流れる電流を計るために直列に接続し、電圧計は抵抗両端の電圧を測るために並列につなぐのが一般的な測定方法である。問題で示されている配線図では、電流計と電圧計の接続位置がそれぞれ適切に配置されているかどうかが判断のポイントとなる。

問113:正解6

<解説>
抵抗による発熱量は、「電圧・電流・通電時間」の積によって求められ、その発熱が一定と考えられる時間帯が示されている。実際の実験では、電流と電圧がともに一定で、通電していた時間も明示されているため、その時間中に生じた熱量の総和を計算できる。問題の条件で計算すると、数値としては大きめの値になり、その中から最も適切なものが選ばれる。

問114:正解3

<解説>
実験で得られた発熱量と、加熱によって上昇した液体の温度変化、それに対する液体の質量を用いて比熱を求めるとき、比熱は「発熱量を、質量と温度上昇分の積で割った値」に相当する。問題文に示された加熱時間、電流、電圧、そして液体の質量と温度変化を合わせて整理すると、水に近い大きさの比熱に対応する選択肢が導かれる。

問115:正解1

<解説>
問題文の測定では、抵抗で発生した熱がすべて液体の温度上昇に使われるものとして計算している。しかし、実際には容器や抵抗そのもの、かき混ぜ棒などの温度上昇にも一部の熱が使われるため、液体だけで見ると本来よりも多めの比熱の値が出てしまう。容器などの影響は、液体の量を増やしてやるほど、液体が受け取る熱に対して容器が奪う熱の比率が相対的に小さくなるため、差も小さくなる。つまり容器などに奪われる熱が無視できない場合、液体量を多くすればその誤差は小さくできるという考え方につながる。

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