2020年度 大学入試センター試験 本試験 地学基礎 解答・解説

目次

解答

解説

第1問

問1:正解4

<解説>
地震が発生すると、まず初期微動(P波)が伝わり、その後に主要動(S波)が到達します。初期微動継続時間(P波とS波の到着時刻差)は、観測点が震源から離れているほど長くなり、逆に震源に近いほど短くなります。したがって、「震源が近いほど初期微動継続時間は短くなる」という説明が、地震波の伝わり方の特徴をよくとらえていると考えられます。

問2:正解4

<解説>
プレートテクトニクスの理論では、プレート同士の境界で地殻変動・火山活動・造山帯形成が説明されます。アイスランドの大きな裂け目(ギャオ)はプレートが広がる境界にあたり、ヒマラヤ山脈やアルプス山脈は衝突型の造山帯として理解され、日本列島のような島弧は沈み込み帯で火山活動や地震が頻発します。一方で、ハワイ諸島のようなホットスポットはプレート境界とは直接関係しない場所に形成されることが多いとされ、マントル深部から上昇する柱状の熱い領域(マントルプルーム)による現象と説明されることが一般的です。そのため、ホットスポットの成立過程はプレートの境界運動とはやや異なる考え方が必要とされます。

問3:正解2

<解説>
露頭で砂岩層(a)にクロスラミナ(斜交葉理)が見られ、砂岩層(b)には級化層理(粒子の大きさが上部へいくほど細かくなる層序)が見られたとします。通常、級化層理は堆積当初の上面方向が粒子の大きさが小さいほうになります。観察された地層がほぼ垂直に立っているため、「どちら側が新しい層か」と「粒子が細かくなる方向はどちらか」を突き止めることがポイントです。たとえば、東から西へ向かうにつれて層が古くなる(= 東が新しい側)場合、砂岩層(b)で粒子が大きい側から細かい側への順序が東側に向かって細かくなる様子と一致すれば、新しい地層が東向きに重なっていったと考えられます。

問4:正解3

<解説>
地質時代における代表的な植物の出現や酸素濃度の変化を整理すると、次のように大まかに位置づけられます。

  • クックソニアの出現:古生代のシルル紀(約4億2千万年以上前)に最古の維管束植物として知られています。
  • リンボクなどの繁栄と大気酸素濃度の上昇:石炭紀(約3億6千万年前以降)にシダ植物(リンボクやフウインボク等)が巨大化・大繁栄したことで、大気中の酸素濃度が上昇したと考えられています。
  • 被子植物の出現:中生代の白亜紀(約1億4千万年前ごろ)に現れ、その後多様化・急速な発展をとげました。

これらの出来事を地質年代順(古い→新しい)に並べると、「クックソニア(c)→リンボクなどの繁栄(a)→被子植物の出現(b)」となるのが一般的です。

問5:正解1

<解説>
安山岩質の火成岩には、一般的に斜長石や輝石(あるいは角閃石など)が主要造岩鉱物として含まれます。問題文で示されている白色の鉱物Aと黒色~暗緑色の鉱物Bという組合せを偏光顕微鏡で見たとき、安山岩では以下のことがしばしば確認されます。

  • 鉱物A(白色):斜長石(細長い柱状や板状の結晶)
  • 鉱物B(黒色~暗緑色):輝石(または角閃石など)

また、安山岩は火山ガラスを母地として、斜長石や輝石などの斑晶が散在する斑状組織を示すことが多いのも特徴です。

問6:正解2

<解説>
変成岩は「もとの岩石が圧力や温度などの作用を受けて、鉱物組成や組織が変化した岩石」です。広域変成作用を受けると、もともと泥岩のような粒子の細かい堆積岩が、温度・圧力の上昇に伴い板状や片状の鉱物が再結晶して層理状の構造をもつ結晶片岩(片岩)になることがよく知られています。一方、大理石はもともと石灰岩が変成したもの、ホルンフェルスは接触変成作用により砂岩・泥岩などが硬く焼かれて生成されるものとして整理することができます。

第2問

問7:正解2

<解説>
台風が西から東へと並ぶ複数の観測所付近を通過するとき、それぞれの観測所では台風中心の通過に伴う気圧変化や風向・風力の変化の仕方が異なります。

  • 台風の中心をもっとも近く通過する観測所では、気圧が大きく低下したあと急激に上昇し、風向も大きく変化するのが特徴です。
  • 中心から離れた観測所では、台風が最接近しても気圧の低下がそこまで大きくはならず、風向・風力の変化も比較的緩やかです。

問題文には「台風の中心は観測所Bの近くを通過した」とあり、図中でもっとも気圧が大きく低下してから短時間で上昇するデータ(Z)が「B」に対応すると考えられます。さらに、西側の観測所Aでは台風が近づく過程で気圧の低下がやや早めに始まり、東側の観測所Cではその後に台風の影響が強く現れるため、風や気圧の変化の時系列にも差が生じます。各データの気圧変化と風向の推移を比較することで、観測所AがX、BがZ、CがYに対応すると推定できます。

問8:正解4

<解説>
温帯低気圧は、北半球の場合、寒気側と暖気側それぞれに前線をともなって発達します。一般には、暖気側の前線は温暖前線とよばれ、傾斜が緩やかで層状の雲(乱層雲など)ができやすく、広範囲にわたって弱い雨が降りやすくなります。一方、寒気側の前線は寒冷前線とよばれ、傾斜が急で積乱雲が発達し、狭い範囲で激しい雨が降ることがあります。
問題の模式図では、温帯低気圧の中心付近にできる温暖前線と寒冷前線の位置関係、およびその鉛直断面を北側から見たときの雲の様子や空気の境界が描かれています。温暖前線が緩い傾斜で暖気が冷気の上に這い上がるようになり、寒冷前線側では寒気が暖気を押し上げて積乱雲を発達させる、といった典型的な構造に着目すると、選択肢の図4のような形が最も一般的な温帯低気圧の断面モデルと一致します。

問9:正解1

<解説>
極付近の海域では、海面の水温が下がり、水が冷却されることで密度が大きくなります。また、海氷が生成される際、氷になる部分には塩分がほとんど含まれないため、残った海水の塩分濃度がさらに高まります。このように、水温の低下と塩分濃度の上昇が重なることで、表層水が深層へ沈み込みやすくなるほど密度が高くなる現象がみられます。したがって、「a:海水の温度が低下するため」「b:海氷の生成に伴って海水の塩分が増加するため」という2つの理由はいずれも、表層で高密度の海水が生じる一因として正しいと考えられます。

第3問

問10:正解2

<解説>
宇宙の誕生後、ビッグバンによって初期の恒星が多数生まれ、やがて太陽系が誕生しました。さらに将来、太陽は水素燃焼が終わりに近づくと膨張して赤色巨星段階に移行すると考えられています。時間軸上で見ると、最初の恒星が生まれたのは宇宙誕生に近い時期、太陽系の誕生はそれからかなり後、そして太陽の赤色巨星化はまだ先の未来に当たります。それぞれの出来事が宇宙史の流れの中でどの位置に入るかを考えると、この順序の並びになるのが妥当です。

問11:正解3

<解説>
提示された天体の写真 a・b・c は、それぞれスケールの異なる天体を撮影したものとみられます。銀河団や銀河、星団、惑星状星雲などは、その大きさに大きな差があります。銀河団は多数の銀河が集まった大規模な構造であり、星団は銀河の中にある比較的コンパクトな恒星の集まり、惑星状星雲はさらに小規模な天体です。写真の見た目や構造の違いを比べると、もっとも大きいスケールのものから順に並べると b → a → c の順になると推定できます。

問12:正解3

<解説>
地球・木星・天王星のうち、質量が最も大きいのは木星です。平均密度については、一般に小型で岩石質の惑星(地球など)が大型でガス主体の惑星(木星や天王星など)よりも大きくなる傾向にあります。実際、地球は水素・ヘリウムを主成分とする巨大ガス惑星よりも平均密度が高いため、「質量が最大の惑星=木星、平均密度が最大の惑星=地球」という組合せが妥当だと考えられます。

第4問

問13:正解3

<解説>
(1) 地盤が硬い場所ほど地震動(揺れ)が増幅されやすいかどうかについては、一般には軟弱な地盤ほど揺れが大きくなる傾向があります。したがって、「硬い場所ほど揺れが増幅されやすい」というのは誤りです。
(2) 津波は沖合から水深の浅い海岸近くに進むにつれ、波のエネルギーが狭い範囲に集中することなどから波高が大きくなる現象がよく知られています。よって、こちらは正しい説明だと考えられます。

問14:正解2

<解説>
火山噴火の際には、噴火口付近では溶岩流や火砕流が直接到達する恐れが大きく、さらに風向などによって広範囲に火山灰が降下する可能性があります。噴火口から比較的近い地点は、単に火砕流や溶岩流の通過リスクだけでなく、火山灰の大量降下も起こりやすいと想定されます。ハザードマップの等高線や流れの方向、風向の影響範囲を照らし合わせると、そのような地点ではどちらの現象も生じる可能性が高いと考えられます。

問15:正解3

<解説>
噴火直後から12時間後まで継続すると予測される風によって、噴煙や火山灰が運ばれる方向や到達時刻を見積もることができます。たとえば「北西から南東方向へ毎秒10メートルほどの風が吹き続ける」と想定すると、噴火口から南東方向に離れた地点では、火山灰が到達するまでのおおよその時間は、噴火口とその地点の距離を風速で割った値に相当します。問題文ではその風の向き・吹き続ける時間・距離が与えられ、組合せとしては「北西からの風」で「数時間後に灰が到達する」という説明が最も適切だと考えられます。

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