2020年度 大学入試センター試験 本試験「地学基礎」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。
解答
解説
2020年度 大学入試センター試験 本試験「地学基礎」は、全15項目・満点50点です。試験時間は理科①(基礎を付した科目)として、2科目あわせて60分。大問は4つですべて必答、配点は第1問20点・第2問10点・第3問10点・第4問10点です。なお、この年度の地学基礎は解答番号が1から始まります(理科基礎の解答番号が101から始まる年度と混同しないようにしてください)。
第1問は固体地球と地質分野です。Aが地震の性質とプレートテクトニクス、Bが露頭のスケッチから地層の新旧を読み取る問題と地球・生物の歴史の年表、Cが火成岩の薄片スケッチからの鉱物同定と変成岩のでき方です。第2問は大気と海洋で、Aが台風通過時の3観測所の記録の対応づけと温帯低気圧の鉛直断面、Bが深層へ沈み込む高密度海水のでき方を扱います。
第3問は宇宙分野で、宇宙の誕生から現在までの年表、銀河群・星団・惑星状星雲の実際の大きさ比べ、地球・木星・天王星の質量と平均密度の3題。第4問は自然災害で、地震動と津波の性質、成層火山のハザードマップの読み取り、噴火直後の降灰分布予測図から風向と到達時刻を求める問題が並びます。
この回は図を正確に読めるかどうかで差がつく構成です。第1問問3のクロスラミナ(斜交葉理)、第2問問1の矢羽根と気圧の記録、第4問問2のハザードマップの凡例、第4問問3の等距離線は、いずれも「図のどこを見るか」が決まれば一本道で答えが出ます。逆に、なんとなく形が似ている選択肢を選ぶと外れるようにできています。知識だけで解こうとせず、図の目盛りと凡例に戻る習慣をつけてください。
第1問(必答) A 地震の性質とプレートテクトニクス
第1問は地球に関する大問で配点20点。そのAは、地震の基本用語を定義に戻して確かめる問1と、プレートテクトニクスで説明できる現象・できない現象を仕分ける問2の2題です。どちらも用語の意味を正確に覚えているかが問われます。
問1:正解 ④(解答番号1/配点3)
<問題要旨>
地震について述べた4つの文から、最も適当なものを一つ選ぶ問題です。プレート内部で起こる地震、マグニチュード、緊急地震速報、初期微動継続時間という、地震分野の基本用語が一つずつ取り上げられています。
<考え方>
用語を一つずつ定義に戻して確かめれば決まります。とくに、マグニチュードは地震そのものの規模を表す量で観測点によって変わらないこと、初期微動継続時間はP波とS波の到達時刻の差なので震源距離に比例すること、緊急地震速報は先に届くP波をとらえて出す「地震発生後」の情報であること、の3点が決め手です。
① 誤 プレート内部でも地震は起こる。日本の内陸で活断層が動いて起こる地震(内陸地殻内地震)がその例で、プレートが固いことは地震が起こらない理由にならない ② 誤 マグニチュードは地震そのものの規模を表す量で、1つの地震に対して1つしか決まらない。観測点ごとに変わるのは震度のほう ③ 誤 緊急地震速報は、震源に近い地震計が先に到達するP波をとらえ、大きな揺れをもたらすS波が届く前に知らせるしくみ。地震の発生そのものを前もって予測しているわけではない ④ 正 初期微動継続時間 T は、S波の到達時刻とP波の到達時刻の差なので、震源距離を d、P波・S波の速さを Vp・Vs とすると T = d ×(1/Vs − 1/Vp) となり、T は d に比例する。したがって震源が近いほど T は短くなる 【検算】大森公式 d = k·T(k は約6〜8 km/s)も、震源距離と初期微動継続時間が比例することを表している。式の形からも④が正しいと確かめられる よって ④
「マグニチュードと震度の区別」は地学基礎で最も繰り返し問われる点です。マグニチュードが1大きくなるとエネルギーは約32倍、2大きくなると約1000倍になることもあわせて覚えておきましょう。
問2:正解 ④(解答番号2/配点3)
<問題要旨>
プレートテクトニクスの考え方によって説明されることがらとして、適当でないものを一つ選ぶ問題です。アイスランドのギャオ、ヒマラヤ山脈やアルプス山脈、日本列島のような島弧、ハワイ島のようなホットスポットの4つが挙げられています。
<考え方>
プレートテクトニクスは、プレートの運動とプレート境界で起こる現象を説明する考え方です。3種類のプレート境界(離れていく発散境界、近づく収束境界、すれ違うトランスフォーム断層)のどれかに当てはまるかどうかで仕分け、どれにも当てはまらないものを選べば決まります。
① 説明できる アイスランドのギャオは、大西洋中央海嶺(発散境界)が海面上に現れた部分にある裂け目。プレートが左右に離れていくことでできる ② 説明できる ヒマラヤ山脈やアルプス山脈は、大陸プレートどうしが衝突してできた大山脈(収束境界) ③ 説明できる 日本列島のような島弧は、海洋プレートが沈み込む収束境界にあたり、そのため地震と火山活動が活発になる ④ 説明できない ハワイ島のようなホットスポットは、プレート境界とはまったく無関係な場所にある。マントル深部から上昇してくる高温の物質(プルーム)がプレートを貫いてマグマをつくるもので、プレートの運動と境界だけを扱うプレートテクトニクスの枠組みでは説明できない よって ④
ホットスポットはプレートに対して位置を変えないため、その上を通り過ぎるプレートに火山島の列(ハワイ-天皇海山列)が残ります。これはプレートの動きを知る手がかりになりますが、ホットスポットそのものができる理由はプレートテクトニクスの外側にあります。
第1問(必答) B 地層の新旧の判定と地球・生物の歴史
Bは、露頭のスケッチから堆積構造を読み取って地層の上下を決める問3と、陸上植物の進化史を年表に当てはめる問4です。問3はこの回で最も図の読み取りが効く設問です。
問3:正解 ②(解答番号3/配点3)
<問題要旨>
図1は、層理面(地層面)がほぼ垂直に立った砂岩泥岩互層の露頭を、南西から北東へ斜めに見たスケッチです。砂岩層aの断面にはクロスラミナ(斜交葉理)が、砂岩層bの断面には級化層理(級化成層)が見られます。クロスラミナは西-東の向きで拡大して示されています。この露頭で地層が新しくなる向きと、砂岩層bの級化層理で粒子が細かくなる向きの組合せを選びます。
<考え方>
堆積構造から地層の上下を決める問題なので、戻るべき原理は2つです。1つは、級化層理では上位ほど粒子が細かくなること。もう1つは、クロスラミナの葉理は上位側の境界面で斜めに切られ、下位側の境界面にはなめらかに寝てすり寄って合流すること。層理面が垂直に立っているので、この露頭では「上位」の向きが水平方向(東または西)になります。
【第1段階 級化層理の定義で選択肢を半分に減らす】 級化層理は下部ほど粗く、上位ほど粒子が細かくなる構造である →「地層が新しくなる向き」と「粒子が細かくなる向き」は必ず一致しなければならない ① 東へ新しくなる/西へ細かくなる … 向きが逆なので不成立 ④ 西へ新しくなる/東へ細かくなる … 向きが逆なので不成立 残るのは ② 東・東 と ③ 西・西 の2つ 【第2段階 クロスラミナで上位側を決める】 クロスラミナの1つのセットを、上下の境界面(層理面)とそれにはさまれた斜めの葉理に分けて見る ・一方の境界面では、斜めの葉理が角度をもってスパッと切られて途切れる(削り取られた面) ・もう一方の境界面では、葉理が寝てきて境界面になめらかに合流する(接するようにつながる) 切られている側が上位、すり寄っている側が下位である (上に積もる前に、水流が上面を削ってから次のセットが重なるため) 図1の拡大図(左が西、右が東)で葉理を1本ずつ目で追うと、 葉理は東側の境界面に対して角度をもって切られて途切れ、 西側の境界面へはゆるやかに寝ながら合流している → 上位は東 【まとめ】 上位=東 → 東へ向かって地層が新しくなる 級化層理も上位に向かって細かくなるので、東へ向かって粒子が細かくなる よって ②
クロスラミナが読み取れなくても、①と④は級化層理の定義そのものと矛盾するので先に落とせます。残った②と③のどちらかを決める作業に集中できるので、この「先に半分に減らす」手順は必ず踏んでください。
問4:正解 ③(解答番号4/配点4)
<問題要旨>
地球と生物の歴史に関わる3つのできごと、a リンボクなどの繁栄に伴う大気酸素濃度の上昇、b 被子植物の出現、c クックソニアの出現が、それぞれいつごろ起こったかを示した図を6つの中から選びます。図はどれも6億年前から現在までの数直線で、灰色の太線がそのできごとのおおよその時期を表しています。
<考え方>
陸上植物の進化史の順序をおさえれば大半が決まります。クックソニア(最古級の陸上植物)はシルル紀、リンボクなど大型のシダ植物が森林をつくって大気酸素濃度が上昇したのは石炭紀、被子植物の出現は白亜紀です。順序で選択肢を絞ったうえで、数直線の「4」「2」の目盛りに灰色の太線を当てて位置を確かめます。
【できごとと地質時代】 c クックソニアの出現 … シルル紀 = 約4.4〜4.2億年前 a リンボクの繁栄と大気酸素濃度の上昇 … 石炭紀〜ペルム紀 = 約3.6〜2.5億年前 b 被子植物の出現 … 白亜紀 = 約1.3億年前 【第1段階 順序で絞る】 古い順に c → a → b ① a→c→b … 順序が違う ② c→b→a … 順序が違う ④ a→c→b … 順序が違う ⑤ c→b→a … 順序が違う 残るのは ③ と ⑥ 【第2段階 目盛りの数値で決める】 ③ … c は「4」の目盛りのすぐ左側(約4.3億年前) a は「4」と「2」のほぼ中間(約3.3〜2.5億年前) b は「2」と「現在」の間(約1.4〜0.7億年前) ⑥ … c は「4」の目盛りより右側(約3.5億年前) a は「2」の目盛りのすぐ左(約2.1億年前) ⑥ では c がシルル紀(4.4〜4.2億年前)に届かず、 a も石炭紀から外れて中生代の三畳紀に入ってしまう ③ は3つとも上で挙げた地質時代とぴったり重なる よって ③
「石炭紀」という名前は、このとき繁栄した大型のシダ植物が枯れて埋没し、石炭になったことに由来します。植物が大量の二酸化炭素を固定した結果として大気の酸素濃度が上がった、という因果もあわせて押さえておきましょう。
第1問(必答) C 火成岩の組織と変成岩
Cは、安山岩質溶岩の薄片スケッチから斑晶鉱物を同定する問5と、変成岩のでき方を問う問6です。問5はへき開の有無という具体的な手がかりが図に描き込まれています。
問5:正解 ①(解答番号5/配点4)
<問題要旨>
安山岩質溶岩から採取した岩石を肉眼観察すると、斑晶として白色の鉱物Aと、黒色や暗緑色の鉱物Bを含んでいました。図2はその薄片を偏光顕微鏡で観察した組織のスケッチで、斑晶と火山ガラスからなり、斑晶中の実線はへき開を表すと注記されています。鉱物AとBの組合せを選びます。
<考え方>
造岩鉱物は「その岩石の化学組成に合うか」と「へき開があるか」の2点で絞れます。安山岩は中間質の火山岩で、斑晶は斜長石と輝石(や角閃石)が主です。石英は安山岩の斑晶としてはふつう出ず、かんらん石は玄武岩のような苦鉄質の岩石の鉱物です。そのうえで、図2の鉱物Aにへき開の実線が描かれていることが決め手になります。
【白色の鉱物A 候補は 斜長石 か 石英】 石英はへき開をもたない(割れると貝殻状の面になる) 斜長石は2方向のはっきりしたへき開をもつ 図2で鉱物Aを指す白色の結晶には、直線的なへき開が描き込まれている → 鉱物A = 斜長石 (安山岩質の溶岩で石英が斑晶として出ることはふつうない、という点からも同じ結論になる) 【黒色・暗緑色の鉱物B 候補は 輝石 か かんらん石】 かんらん石は苦鉄質のマグマ(玄武岩質)に含まれる鉱物で、安山岩質溶岩の斑晶としては出にくい 安山岩の有色鉱物の斑晶は輝石や角閃石 → 鉱物B = 輝石 【選択肢の判定】 ① 斜長石・輝石 … 正 ② 斜長石・かんらん石 … 鉱物Bが誤り ③ 石英・輝石 … 鉱物Aが誤り ④ 石英・かんらん石 … 両方誤り 【検算】鉱物Aと鉱物Bがともに安山岩の斑晶としてふつうに現れる組合せは①だけである よって ①
大きな斑晶と細かい石基(ここでは火山ガラス)からなる組織を斑状組織といい、マグマが地下でゆっくり結晶を育てたあと地表付近へ上がって急冷したことを示します。深成岩の等粒状組織との対比で覚えておきましょう。
問6:正解 ②(解答番号6/配点3)
<問題要旨>
変成岩について述べた4つの文から、最も適当なものを一つ選ぶ問題です。広域変成作用と接触変成作用の区別、および原岩と変成岩の対応関係が問われています。
<考え方>
変成岩は「どんな変成作用を受けたか」と「もとの岩石(原岩)は何か」の2つの軸で整理します。広域変成作用(造山帯で広い範囲に温度と圧力が作用)では結晶片岩や片麻岩ができ、接触変成作用(貫入したマグマの熱)ではホルンフェルスや大理石ができます。原岩は、泥岩から結晶片岩・片麻岩・ホルンフェルス、石灰岩から大理石、砂岩やチャートから硬い珪質の岩石(ケイ岩)です。
① 誤 大理石の原岩は石灰岩である。チャートは二酸化ケイ素からなる岩石なので、変成作用を受けても大理石にはならない。また大理石をつくるのは主に接触変成作用 ② 正 泥岩が広域変成作用を受けると、鉱物が一定方向に並んで薄くはがれる片理が発達し、結晶片岩になる ③ 誤 片麻岩は広域変成作用によってできる変成岩で、接触変成作用ではできない ④ 誤 ホルンフェルスは、熱を「与えた」マグマが固まった岩石ではなく、熱を「受けた」まわりの岩石が変成してできた岩石である。主語と目的語が入れかわっている よって ②
結晶片岩は薄くはがれる片理、片麻岩は白黒の縞模様(片麻状組織)が目印で、どちらも広域変成岩です。ホルンフェルスは緻密で硬く、方向性のない組織をもつ接触変成岩、という対比で覚えると混乱しません。
第2問(必答) A 台風と温帯低気圧
第2問は大気と海洋に関する大問で配点10点。そのAは、熱帯低気圧と温帯低気圧の共通点と違いを述べたリード文につづき、台風通過時の観測記録を3つの観測所に割り当てる問1と、温帯低気圧の鉛直断面を選ぶ問2です。どちらも「北半球では反時計回り」という性質が土台になります。
問1:正解 ②(解答番号7/配点3)
<問題要旨>
ある年の9月初旬、14時頃に本州の南岸を台風が南から北へ通過しました。図1のように西から東へ観測所A、B、Cが数十km間隔で並び、台風の中心は観測所Bの近くを通過しています。図2のX、Y、Zは、12時から16時までの風向・風力(矢羽根)と気圧の変化を示した3つの記録で、これらをA、B、Cに対応させる問題です。
<考え方>
台風は北半球では反時計回りに吹き込む渦なので、観測点が台風の進路のどちら側にあるかによって、風向が時間とともに回る向きが決まります。進路の西側では風向が反時計回りに(北東→北→北西)、東側では時計回りに(南東→南→南西)変化します。加えて、中心が最も近くを通る観測点では気圧が最も低くなります。この2つで3つとも決まります。
【第1段階 気圧の最低値で観測所Bを決める】 中心が最も近くを通った観測点ほど、気圧は低くまで下がる X の最低気圧 = 973 hPa(13時) Y の最低気圧 = 963 hPa(14時) Z の最低気圧 = 954 hPa(14時) 最も低いのは Z → Z = 観測所B 【第2段階 風向の回り方でAとCを分ける】 台風の風は中心のまわりを反時計回りに吹く 矢羽根は、軸が風の吹いてくる方向へのびている(羽根の数が風力) 進路の西側にある観測所A では 中心が南にあるうち … 北東の風 中心が真東に来たとき … 北の風 中心が北へ通り過ぎたあと … 北西の風、さらに西寄りへ → 風向は反時計回りに変わる 進路の東側にある観測所C では 中心が南にあるうち … 南東の風 中心が真西に来たとき … 南の風 中心が北へ通り過ぎたあと … 南西の風、さらに西寄りへ → 風向は時計回りに変わる 図2の矢羽根を12時から16時まで順に読むと X … 北東 → 北北東 → 北西 → 西南西 → 西南西 (反時計回り) Y … 東北東 → 東南東 → 南 → 南西 → 南西 (時計回り) → X = 観測所A、Y = 観測所C 【検算】観測所Bにあたる Z は、気圧が最も深く下がるだけでなく、 中心が近くを通る前後で風向が大きく変わっている。中心の通過という状況と矛盾しない よって ②
風向は「風が吹いてくる方向」で呼びます。「北東の風」は北東から南西へ吹く風のことです。気圧の最低値だけでAとCは決まらないので、風向がどちら回りかを必ず確認してください。
問2:正解 ④(解答番号8/配点3)
<問題要旨>
図3は北半球の温帯低気圧の等圧線と前線の模式図で、低気圧の中心から南西へ寒冷前線が、南東へ温暖前線がのびています。破線DEは東西にひかれた直線で、Dが西側、Eが東側です。このDEに沿った鉛直断面を北側から見た構造を、4つの図から選びます。
<考え方>
温帯低気圧の断面は「地表の寒気・暖気の配置」と「前線面の傾きと雲の種類」で決まります。地表では、温暖前線の前方(東側)が寒気、温暖前線と寒冷前線にはさまれた暖域が暖気、寒冷前線の後方(西側)が寒気です。前線面は温暖前線側がゆるやかで乱層雲、寒冷前線側が急で積乱雲。さらに「北側から見る」ので、断面図では東が左・西が右になります。
【第1段階 DE線が横切る順序】 図3で、Dから東へ進むと D(西)→ 寒冷前線(三角の記号)→ 暖域 → 温暖前線(半円の記号)→ E(東) 【第2段階 地表の気団の並び】 寒冷前線の西側(D側) … 寒気 暖域(2つの前線の間) … 暖気 温暖前線の東側(E側) … 寒気 【第3段階 前線面の傾きと雲】 温暖前線(E側)… 暖気が寒気の上をゆるやかな傾きではい上がる → 乱層雲が広く水平に広がる 寒冷前線(D側)… 寒気が暖気の下にもぐり込んで急な傾きの面をつくる → 暖気が押し上げられて積乱雲が立ち上がる 【第4段階 見る向き】 北側から南を向いて見る断面なので、左手が東、右手が西 選択肢の図はどれも左がE、右がDで、この向きと一致している 【選択肢の判定】 ① 誤 乱層雲がD(西)側、積乱雲がE寄りになっており、2つの前線が左右逆 ② 誤 ①と同じく前線の左右が逆 ③ 誤 雲の配置は正しいが、地表の気団が 暖気-寒気-暖気 となっていて寒暖が逆 ④ 正 E(東)側に乱層雲とゆるやかな前線面、D(西)寄りに積乱雲と急な前線面、地表は 寒気-暖気-寒気 よって ④
温暖前線の前方に広がる乱層雲は長時間のおだやかな雨を、寒冷前線に伴う積乱雲は短時間の激しい雨や突風をもたらします。「どちらから見た断面か」の指定を読み飛ばすと左右を取り違えるので、必ず最初に確認してください。
第2問(必答) B 海水の密度と深層循環
Bは1題のみ。南極周辺海域や北大西洋北部で、表層に密度の大きい海水ができる理由を問う問題です。海水の密度を決める2つの量に戻れば決まります。
問3:正解 ①(解答番号9/配点4)
<問題要旨>
南極周辺海域や北大西洋北部では、表層で密度の大きい海水ができて深層へ沈み込みます。その理由として挙げられた文a「海水の温度が低下するため」と文b「海氷の生成に伴って海水の塩分が増加するため」について、正誤の組合せを選びます。
<考え方>
海水の密度は、温度が低いほど大きく、塩分が高いほど大きくなります。深層水ができる海域では、この2つの効果がどちらも密度を大きくする向きに働いていることを確かめればよいだけです。
【海水の密度を決める2つの量】 温度が低いほど密度は大きい 塩分が高いほど密度は大きい a 海水の温度が低下するため 高緯度の海域では海水が強く冷やされる → 密度は大きくなる … 正 b 海氷の生成に伴って海水の塩分が増加するため 海水が凍って海氷ができるとき、塩分は氷にはほとんど取り込まれず、 残った海水のほうへ吐き出される → まわりの海水の塩分が上がり、密度は大きくなる … 正 【組合せ】 ① a 正・b 正 ② a 正・b 誤 ③ a 誤・b 正 ④ a 誤・b 誤 aもbも正なので① 【検算】南極周辺も北大西洋北部も、冬に海氷ができる高緯度の海域である。 aとbが同時に働く場所として、問題文が挙げた海域と矛盾しない よって ①
こうして沈み込んだ海水は南極底層水や北大西洋深層水となり、1000年以上の時間をかけて世界の海をめぐります。この大きな循環を深層循環(熱塩循環)といい、温度と塩分が駆動している点が名前の由来です。
第3問(必答) 宇宙の歴史・天体の大きさ・太陽系の惑星
第3問は宇宙に関する大問で配点10点、区分はなく問1〜問3の3題です。宇宙の年表、天体の実際の大きさの比較、惑星の質量と密度と、いずれも「数値の桁」を覚えているかが問われます。
問1:正解 ②(解答番号10/配点3)
<問題要旨>
図1は宇宙の誕生から現在を含む時間の流れを1本の矢印で表したもので、矢印の始点(宇宙の誕生)から各記号までの長さが、宇宙の誕生からの経過時間に比例しています。始点がa、途中に「現在」の目盛りがあり、その前後にb〜fが並びます。「最初の恒星の誕生」「太陽系の誕生」「太陽が巨星(赤色巨星)になるとき」がa〜fのどれにあたるかの組合せを選びます。
<考え方>
覚えておくべき数値は3つ、宇宙の誕生が約138億年前、太陽系の誕生が約46億年前、太陽が赤色巨星になるのが今から約50億年後です。これらをすべて「宇宙の誕生からの経過時間」に直し、図で始点aから「現在」までの長さが138億年にあたることを物差しにして当てはめます。
【宇宙の誕生からの経過時間に直す】 宇宙の誕生 … 0 最初の恒星の誕生 … 宇宙の誕生から数億年後 太陽系の誕生 … 46億年前 = 138 − 46 = 92億年後 現在 … 138億年後 太陽が巨星になる … 今から約50億年後 = 138 + 50 = 188億年後 【図の目盛りに当てる】 図1では a が宇宙の誕生。a から「現在」までの長さが138億年にあたる ・最初の恒星の誕生 数億年は138億年に比べればごくわずかで、図の上では始点とほとんど区別がつかない → a ・太陽系の誕生 92 ÷ 138 = 約0.67 → a から「現在」までの3分の2ほどの位置。b・c・dのうち、この位置にあるのは d ・太陽が巨星になる 188 ÷ 138 = 約1.36 → a から「現在」までの長さの約1.4倍の位置。e と f のうち、この位置にあるのは e 【検算】 b は a から「現在」までの約4分の1の位置で、宇宙の誕生から約37億年後にあたる。 最初の恒星が生まれたのは宇宙の誕生から数億年後なので、b では遅すぎる f は a から「現在」までの長さの約1.7倍で、宇宙の誕生から約230億年後、つまり今から約90億年後。 太陽が巨星になるのは今から約50億年後なので、f では先すぎる よって ②
宇宙の年齢138億年に対して太陽系の年齢は46億年なので、宇宙の歴史の後ろ3分の1ほどになってようやく太陽系が生まれたことになります。この比の感覚をもっていると、図の位置をすぐ当てられます。
問2:正解 ③(解答番号11/配点4)
<問題要旨>
銀河群、星団、惑星状星雲のいずれかを撮影した3枚の画像a〜cについて、写っている天体の実際の大きさを大きいものから小さいものへ並べます。画像の見かけの大きさではなく、実際の大きさの順が問われている点が要点です。
<考え方>
まず3枚の写真がそれぞれ何を写したものかを姿で見分け、そのうえで3種類の天体の実際の大きさの桁を思い出せば決まります。銀河群は銀河が数個から数十個集まったもので数百万光年、星団は恒星の集団で数十光年、惑星状星雲は恒星が放出したガスの殻で1光年ほどです。
【第1段階 3枚が何かを見分ける】 a … 明るい星がいくつも点在し、そのまわりが淡く光っている → 恒星が集まったもの = 星団 b … 明るくふくらんだ天体と、真横から見た細長い円盤状の天体が、同じ画面に複数写っている → 銀河がいくつも集まったもの = 銀河群 c … 中央が暗く、そのまわりが輪のように光っている → 恒星が外層のガスを放出してできた殻 = 惑星状星雲 【第2段階 実際の大きさの桁】 銀河群 … 数百万光年 星団 … 数十光年 惑星状星雲 … 約1光年 【大きい順に並べる】 銀河群(b) > 星団(a) > 惑星状星雲(c) 【検算】銀河1個の直径が約10万光年で、それがいくつも集まるのが銀河群。 星団は1つの銀河の中に含まれる天体、惑星状星雲は恒星1個から生じる天体なので、 b > a > c の順は入れ子の関係とも矛盾しない よって ③
見かけの大きさは天体までの距離によっていくらでも変わるので、写真の写り方だけでは順序は決まりません。天体の種類を特定してから、その種類の実際の大きさを比べる、という手順を守ってください。
問3:正解 ③(解答番号12/配点3)
<問題要旨>
太陽系の惑星のうち、地球・木星・天王星の三つについて、質量が最も大きい惑星と平均密度が最も大きい惑星の組合せを選ぶ問題です。
<考え方>
惑星は地球型惑星(水星・金星・地球・火星)と木星型惑星(木星・土星・天王星・海王星)に分かれ、質量は木星型のほうが大きく、平均密度は地球型のほうが大きい、という対比で決まります。木星型のなかでも木星は太陽系最大の惑星です。
【質量を比べる】 木星 … 地球の約318倍 天王星 … 地球の約14.5倍 地球 … 1 → 最も大きいのは 木星 【平均密度を比べる】 地球 … 約5.5 g/cm³(岩石と金属が主成分) 木星 … 約1.3 g/cm³(水素とヘリウムが主成分) 天王星 … 約1.3 g/cm³(水素・ヘリウムと氷) → 最も大きいのは 地球 【組合せ】 質量が最も大きい惑星 = 木星 平均密度が最も大きい惑星 = 地球 【検算】水の密度は 1 g/cm³。木星型惑星の平均密度は水の1〜2倍程度にしかならないのに対し、 地球型惑星は水の5倍前後。主成分の違いがそのまま密度の差になっている よって ③
「大きくて重い惑星ほど密度も大きい」と思い込むと②や④を選んでしまいます。木星型惑星は軽い物質が大量に集まったもので、質量は大きいが平均密度は小さい、という関係を押さえておきましょう。
第4問(必答) 自然災害とハザードマップ
第4問は自然災害に関する大問で配点10点、区分はなく問1〜問3の3題です。リード文はハザードマップの予測範囲が状況によって変わりうること、災害によっては発生直後に被害予測が行われることに触れており、問2・問3はその2点をそれぞれ図で確かめさせる構成になっています。
問1:正解 ③(解答番号13/配点4)
<問題要旨>
自然災害を引き起こす現象について述べた文a「地盤が固い場所ほど地震による揺れ(地震動)が増幅されやすい」と、文b「津波が沖合から海岸に近づくと、津波の高さは高くなる」について、正誤の組合せを選びます。
<考え方>
地震動が増幅されるかどうかは地盤のやわらかさで決まり、津波の高さは水深の変化で決まります。どちらも「やわらかいほう、浅いほうで大きくなる」と押さえておけば判断できます。
a 地盤が固い場所ほど地震による揺れが増幅されやすい 実際は逆で、埋立地や沖積低地のようなやわらかい地盤ほど揺れは大きく増幅される 固い岩盤の上では増幅は小さい … 誤 b 津波が沖合から海岸に近づくと、津波の高さは高くなる 津波の伝わる速さは水深が浅いほど遅くなる → 海岸に近づくと先行する波が減速し、後ろの波が追いついて波長が縮む → 同じエネルギーがせまい範囲に集まるので波高が高くなる … 正 【組合せ】 ① a 正・b 正 ② a 正・b 誤 ③ a 誤・b 正 ④ a 誤・b 誤 a が誤、b が正なので③ よって ③
同じ地震でも地盤によって震度が変わるため、自治体は「揺れやすさマップ」を作成しています。aの内容はこの取り組みの前提をちょうど裏返したものなので、誤りと気づきやすいはずです。
問2:正解 ②(解答番号14/配点3)
<問題要旨>
図1は、成層火山であるX岳が現在の火口から噴火したと想定したハザードマップで、火砕流、溶岩流、火山岩塊の落下、厚さ100 cm以上の火山灰の堆積が予想される範囲が、地形等高線や川と重ねて示されています。この火山が想定どおりの噴火をしたときに地点ア〜エで起きる現象の可能性について述べた4文から、最も適当なものを選びます。
<考え方>
ハザードマップの問題は、まず各地点が凡例のどの範囲の内側にあるかを一つずつ拾い、そのうえで現象ごとの性質(流れ下る速さ、風の影響を受けるかどうか、範囲を示す線が何を意味するか)で文の当否を判定します。範囲線を「その外では何も起きない線」と読み違えないことが要点です。
【各地点がどの範囲にあるかを凡例と照らす】 ア … 火砕流を示す灰色の帯の上にある。火山岩塊の実線円の外、火山灰の破線円の外 イ … 溶岩流の網かけの内側、火砕流の灰色の内側、火山灰の破線円の内側 ウ … 火山岩塊を示す実線円の内側、火山灰の破線円の内側 エ … 溶岩流の範囲の外、火山岩塊の実線円の外 【選択肢の判定】 ① 誤 火砕流は高温の火山灰と火山ガスが一体となって時速100 kmを超える速さで流れ下る現象で、 火口から十数kmの地点アへは数分から十数分で到達する。「数時間経って」では遅すぎる ② 正 地点イは溶岩流と火砕流の範囲内にあるだけでなく、 厚さ100 cm以上の火山灰の堆積が予想される破線円の内側にもある。 したがって流下だけでなく降灰の可能性も高い ③ 誤 火山岩塊は大きく重い弾道放出物で、火口から放り出されて飛ぶため風にはほとんど流されない。 地点ウは火山岩塊の実線円の内側にあるので、火口に対して風上側であっても落下の可能性は低くない ④ 誤 破線円は「厚さ100 cm以上の火山灰が堆積する」と予想される範囲を示す線であって、 火山灰が降る範囲そのものの外縁ではない。円の外側にも、これより薄い火山灰は降る よって ②
ハザードマップの範囲線は、ある想定とある基準値に対して引かれた線です。リード文の「示された自然災害の範囲の予測は、状況によって変化する場合がある」という一文は、まさにこのことを指しています。
問3:正解 ③(解答番号15/配点3)
<問題要旨>
図2は、火山Aが噴火した直後に発表された12時間後までの降灰分布予測図です。予測降灰量10 cm以上と2 cm以上の範囲が楕円で示され、火口から50 km・100 kmの等距離線が同心円で描かれています。B市は火山Aの南東にあります。この地域で吹くと予測されている風向(空欄ア)と、風速が10 m/sのときB市で火山灰が降り始めるまでの時間(空欄イ)の組合せを選びます。
<考え方>
降灰の範囲は火山灰が風に流されて広がる向きにのびるので、楕円がどちらへのびているかを見れば風向が決まります。到達までの時間は「距離÷風速」で、距離は図の同心円(50 km・100 kmの等距離線)を物差しにしてB市の位置を読み取ればよいだけです。
【ア:風向を決める】 降灰の予測範囲を示す楕円は、火山Aから南東へ細長くのびている → 火山灰は南東へ運ばれている → 風は北西から南東へ向かって吹いている 風向は「風が吹いてくる方向」で呼ぶので、これは 北西の風 (もし南東の風なら火山灰は北西へ運ばれ、図と合わない) 【イ:到達時間を求める】 B市の位置を同心円と照らすと、火山Aの火口から約100 km 風速 10 m/s を時速に直すと 10 m/s = 10 × 3600 ÷ 1000 = 36 km/h 到達時間 = 100 ÷ 36 = 約2.8 時間 → およそ 3 時間後 【検算】イが10時間だとすると、火山灰が進む距離は 36 × 10 = 360 km となり、図に描かれた100 kmの円のはるか外側になってしまう。10は合わない 【組合せ】 ア = 北西、イ = 3 よって ③
風向を「風が吹いていく方向」と取り違えると①や②を選んでしまいます。北西の風は北西から南東へ吹く風であり、降灰域が南東にのびていることと過不足なく一致します。
※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

