2025年度 大学入学共通テスト 本試験 地学基礎 解答・解説

2025年度 大学入学共通テスト 本試験「地学基礎」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。

目次
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解答

解説

2025年度 大学入学共通テスト 本試験の「地学基礎」は、全15項目・50点満点です。理科①(「基礎」を付した科目)は2科目を選んで解答し、試験時間は2科目あわせて60分です。大問は4つで、すべて必答。配点は第1問20点、第2問10点、第3問10点、第4問10点です。

第1問はA・B・Cの3つの区分からなります。Aは太陽系天体の質量と太陽からの平均距離を示した散布図から大気の有無を判断し、続いてプレートの収束境界のうち衝突帯ができる条件を問います。Bは火成岩3種の化学組成表からの岩石名の判定と、西暦79年のベスビアス火山の噴火でポンペイが埋没した記録の読み取り。Cは堆積構造4枚の写真から漣痕・級化構造・斜交葉理を見分け、さらに水流の方向の復元に使える構造を選びます。

第2問は大気と海洋で、放射冷却が強く効く日を2枚の天気図から選ぶ問題、降水量と蒸発量の差の緯度分布から大気中の水蒸気輸送の向きを決める問題、海水の塩分の3問。第3問は宇宙で、Aがビッグバン以降の宇宙の進化と「宇宙の晴れ上がり」の仕組み、Bが銀河系の構造と天の川の見え方。第4問は自然災害と人為起源の現象で、現象の時間・空間スケールの模式図、湖底に残された津波堆積物の柱状図、活断層で起きた地震活動と地形ごとの災害を扱います。

この回で差がつきやすいのは、図やグラフの数値を最後まで詰められるかどうかです。第2問問1の天気図は「気圧の数値が高いほう」ではなく「地点Aのまわりの等圧線が疎で前線が遠いほう」を選ぶ問題ですし、第2問問2は差P−Eが0の線より下に落ち込む緯度帯を先に見つけてから矢印を当てにいく必要があります。第4問問1も、縦軸に打たれた1時間・1日・1年・100年の目盛りに各領域の中心を当てて読めば迷いません。一方で第1問問2、第3問問1・問2のように、原理を1つ思い出せば即決できる設問も多く、ここは確実に取りたいところです。

第1問(必答) A 太陽系天体の大気とプレートの衝突帯

太陽系天体の質量と太陽からの平均距離を示した散布図から大気の有無を判断する問1と、収束境界のうち衝突帯ができる条件を問う問2。第1問は全体で20点、このAは7点です。

問1:正解 ①(解答番号101/配点4)

<問題要旨>
太陽系の代表的な天体について、質量(地球を1とした値)を横軸、太陽からの平均距離(天文単位)を縦軸にとった図1が与えられます。図中の灰色の領域が示すグループX(月・水星)とグループY(木星・土星)それぞれの大気の特徴を述べた文a・bの正誤を判定する設問です。

<考え方>
天体が大気を保てるかどうかは、質量が大きいほど重力が強く気体分子を引きとめやすいこと、太陽から遠いほど低温で気体分子が逃げにくいことで決まります。図1は横軸が質量、縦軸が太陽からの距離なので、グループXが図の左下(質量が小さい側)、グループYが図の右上(質量が大きく距離も大きい側)にあることをそのまま読み取り、実際の天体の性質と照らし合わせればよい設問です。

【a 月と水星(グループX)について】
図1の横軸を読む
 月  = 0.01 をわずかに超えるあたり
 水星 = 0.05 程度
 火星 = 0.1 程度  金星・地球 = 1 前後  土星・木星 = 100 以上
グループXの2天体は図中で最も左にあり 質量が最も小さい
質量が小さい = 重力が弱く 気体分子を引きとめられない
実際に月と水星には大気がほとんどない
よって a は 正

【b 木星と土星(グループY)について】
図1の縦軸を読む
 木星 = 約5天文単位  土星 = 約10天文単位
 他の天体(水星・金星・地球・月・火星)はいずれも1.5天文単位以下
よって「その他の天体にくらべて太陽からの平均距離が長い」は図のとおり
木星・土星は水素とヘリウムを主成分とする厚い大気をもつ巨大ガス惑星
よって b は 正

a = 正  b = 正
よって ①

グループXの決め手は質量の小ささです。月も水星も太陽からの距離は約1天文単位以下で、距離だけでは大気の有無は説明できません。質量と温度の両方が効くことを、図の2つの軸がそのまま表しています。

問2:正解 ③(解答番号102/配点3)

<問題要旨>
収束境界には海溝や島弧を伴う沈み込み帯と、ヒマラヤ山脈のような大山脈を伴う衝突帯があるという文章の空欄ア・イを埋める設問です。衝突帯ができるのはどの種類のプレートどうしが収束したときか、またそれらが重なり合う要因は何かを選びます。

<考え方>
プレートが沈み込めるかどうかは、そのプレートの上部を占める地殻の密度で決まります。海洋地殻は玄武岩質で密度が大きくマントルに沈み込めますが、大陸地殻は花こう岩質で密度が小さく浮力が大きいため沈み込めません。したがって大陸プレートどうしが収束すると、どちらも沈めずに重なり合い、衝突帯になります。

【ア 衝突帯をつくるプレートの種類】
海洋プレートが関わる収束 → 海洋プレートが沈み込み 海溝・島弧ができる(沈み込み帯)
大陸プレートどうしの収束 → どちらも沈めず重なり合う(衝突帯)
ヒマラヤ山脈はインド・オーストラリアプレートとユーラシアプレートの衝突でできた
よって ア = 大陸

【イ 沈み込みにくい要因】
大陸地殻(花こう岩質)の密度  約2.7 g/cm³
海洋地殻(玄武岩質)の密度   約3.0 g/cm³
マントル(かんらん岩)の密度  約3.3 g/cm³
大陸地殻は密度が小さい → 浮力が大きく マントルの中に沈み込めない
よって イ = 密度が小さい

【「温度が低い」が選べない理由】
同じ岩石なら 温度が低いほど収縮して密度は大きくなる
温度が低いプレートはむしろ重く 沈み込みやすい
「沈み込みにくい理由」としては向きが逆になる

ア = 大陸  イ = 密度が小さい
よって ③

海洋プレートは海嶺から離れて冷えて古くなるほど密度が大きくなり、沈み込みやすくなります。「温度が低い」は沈み込みやすさの説明であって、沈み込みにくさの説明にはなりません。

第1問(必答) B 火成岩の分類とベスビアス火山の噴火

火成岩の組織と化学組成から岩石名を決める問3と、西暦79年のベスビアス(ヴェズヴィオ)火山の噴火でポンペイが埋没した経過を読み取る問4。配点は7点です。

問3:正解 ②(解答番号103/配点3)

<問題要旨>
斑状組織をもつ火成岩Aと、等粒状組織をもつ火成岩B・Cについて、SiO₂・Al₂O₃・FeO+Fe₂O₃・MgO・CaO・Na₂O・K₂Oのおもな化学組成(質量%)を示した表1が与えられます。A〜Cの岩石名の組合せを選ぶ設問です。

<考え方>
火成岩は「組織」と「SiO₂の量」の2つで分類できます。斑状組織は地表付近で急冷した火山岩、等粒状組織は地下深部でゆっくり冷えた深成岩です。SiO₂は質量%でおよそ52%未満が苦鉄質(玄武岩・斑れい岩)、約52〜66%が中間質(安山岩・閃緑岩)、約66%以上が珪長質(流紋岩・花こう岩)と区分されます。

【手順1 組織で火山岩か深成岩かを決める】
A 斑状組織 → 火山岩(玄武岩・安山岩・流紋岩のいずれか)
B・C 等粒状組織 → 深成岩(斑れい岩・閃緑岩・花こう岩のいずれか)

【手順2 表1のSiO₂で区分を決める】
A SiO₂ = 59.59%  52% < 59.59% < 66% → 中間質 → 火山岩なので 安山岩
B SiO₂ = 48.24%  48.24% < 52%    → 苦鉄質 → 深成岩なので 斑れい岩
C SiO₂ = 70.18%  70.18% > 66%    → 珪長質 → 深成岩なので 花こう岩

【検算 他の成分の並び方と合うか】
苦鉄質ほど多い MgO  B 7.51 > A 2.75 > C 0.88 … Bが最も苦鉄質
苦鉄質ほど多い CaO  B 10.99 > A 5.80 > C 1.99 … 同じ順
珪長質ほど多い K₂O  C 4.11 > A 2.04 > B 0.89 … Cが最も珪長質
いずれもSiO₂による判定と矛盾しない

A = 安山岩  B = 斑れい岩  C = 花こう岩
よって ②

選択肢には「A=斑れい岩」「A=玄武岩」も並びますが、斑れい岩は等粒状組織なので斑状組織のAにはなれず、玄武岩はSiO₂が52%未満なのでAの59.59%と合いません。組織とSiO₂の二段構えで切れば一意に決まります。

問4:正解 ②(解答番号104/配点4)

<問題要旨>
西暦79年8月24日の昼ごろに始まったベスビアス火山の噴火で、火口から約9km離れたポンペイが埋没した経過を述べた文章の空欄ウ・エを埋める設問です。噴煙が達した高度20km付近が大気のどの層にあたるか、また翌25日の朝に火山砕屑物とともに高速で斜面を流れ下って火砕流をつくったものは何かを選びます。

<考え方>
ウは大気の鉛直構造、エは火砕流の定義で決まります。対流圏と成層圏の境(対流圏界面)は中緯度でおよそ11km、成層圏と中間圏の境(成層圏界面)はおよそ50kmなので、高度20kmは成層圏の中にあります。火砕流は高温の火山ガスと火山砕屑物が混ざり合い、一体となって斜面を高速で流れ下る現象です。

【ウ 高度20 kmはどの層か】
対流圏  地表 〜 約11 km(中緯度)
成層圏  約11 km 〜 約50 km
中間圏  約50 km 〜 約80 km
11 km < 20 km < 50 km
よって ウ = 成層圏

【エ 火砕流をつくるもの】
火砕流 = 高温の火山ガスと火山砕屑物が混合し 一体となって高速で斜面を流れ下る現象
雨水と火山砕屑物が混じって流れ下るのは火山泥流(ラハール)であり 別の現象
本文には噴火開始からの降雨の記述はなく 「すでに2 m以上の厚さで軽石に覆われていた」とある
よって エ = 火山ガス

ウ = 成層圏  エ = 火山ガス
よって ②

火口から約9km離れたポンペイに大量の軽石が降り積もったのは、噴煙が成層圏に達する高さまで立ちのぼり、北西の風に乗って南東へ運ばれたためです。噴煙の高度と軽石の分布範囲が結びついていることが、本文の「軽石の分布から、噴煙は高度20km付近に達していたと推定される」という一文の意味です。

第1問(必答) C 堆積構造の判別と水流方向の復元

地層の層理面や断面で観察される4種類の堆積構造の写真をもとに、名称を同定する問5と、そのうち水流の方向を復元できるものを選ぶ問6。配点は6点です。

問5:正解 ②(解答番号105/配点3)

<問題要旨>
地層の層理面(A)や断面(B〜D)で観察される4種類の堆積構造の写真が図3として示されます。このうち漣痕(リプルマーク)・級化構造(級化層理)・斜交葉理(クロスラミナ)を示すものの組合せを選ぶ設問です。

<考え方>
3つの構造は「どの面で見えるか」と「1枚の層の中でどう見えるか」で区別できます。漣痕は水流や波が砂の表面につくる波状の起伏なので、層理面(地層面)を見たときに現れます。斜交葉理は1枚の層の中に斜めの葉理が重なり、上位の層の面に切られる形で断面に現れます。級化構造は1枚の層の中で下部が粗粒、上方ほど細粒になる粒度変化として断面に現れます。

【手順1 観察している面で切る】
設問文は「地層の層理面(A)や断面(B〜D)」と明記している
層理面で観察される構造は 漣痕
断面で観察される構造は 級化構造・斜交葉理
よって 漣痕 = A (この時点で選択肢は ①②③ に絞られる)

【手順2 B(スケールバー1 m)を見る】
層の中に斜めに並んだ細かい葉理が多数見える
同じ向きに傾いた葉理の組が 上位の層の境界面で切られて上下に重なっている
粒の大小による変化ではない → 斜交葉理

【手順3 D(スケールバー10 cm)を見る】
1枚の層の下部に粗い粒が集まり 上方へ向かうほど粒が細かくなっている
層の下面は下位の層との明瞭な境界になっている → 級化構造

漣痕 = A  級化構造 = D  斜交葉理 = B
よって ②

【残る選択肢の確認】
① 級化構造をB 斜交葉理をDとするが Bは斜めの葉理であって粒度変化ではないので不可
③ 斜交葉理をCとするが Cには斜めに重なる葉理の組が見られないので不可

最初の関門は、漣痕が層理面を見た写真、級化構造と斜交葉理が地層を横から切った断面の写真だと気づくことです。写真に添えられたスケールバー(20cm、1m、10cm)も、どの大きさの構造を見ているかの手がかりになります。

問6:正解 ①(解答番号106/配点3)

<問題要旨>
図3のA〜Dのなかで、砕屑物を運搬・堆積させた水流の方向の復元に利用できる堆積構造の組合せを選ぶ設問です。問5で同定した構造が、それぞれ何を記録しているかが問われます。

<考え方>
堆積構造から復元できる情報は構造ごとに違います。漣痕と斜交葉理は、砂粒が水流の下流側へ運ばれて斜面をつくるため、その形や葉理の傾く向きに水流の向きが記録されます。一方、級化構造が記録しているのは粒子が沈降した順序、すなわち地層の上下関係であって、水平方向の流れの向きではありません。

A 漣痕
  流水がつくる漣痕は断面が非対称になり ゆるい斜面が上流側 急な斜面が下流側になる
  起伏の並ぶ向きと斜面の非対称性から水流の向きが決まる → 利用できる

B 斜交葉理
  砂は水流の下流側へ運ばれて斜面に積もるので 葉理は下流側へ傾く
  葉理の傾く向きがそのまま水流の向きを示す → 利用できる

C 漣痕・級化構造・斜交葉理のいずれでもない構造
  斜めに重なる葉理も上方への粒度変化も見られず 流れの向きを示す指標にならない → 利用できない

D 級化構造
  下部が粗く上方ほど細かいという粒度変化は 粒子が沈降した順序の記録
  地層の上下(逆転しているかどうか)の判定には使えるが 水平方向の向きは決まらない → 利用できない

利用できるのは A と B
よって ①

級化構造と漣痕・斜交葉理は「何を復元できるか」が違います。級化構造は地層の上下、漣痕と斜交葉理は水流の向き、と整理しておくと、問5と問6がひと続きの問いになっていることが見えてきます。

第2問(必答) 放射冷却・水蒸気輸送・海水の塩分

大気と海洋に関する3問。放射冷却が強く効く日を2枚の天気図から選ぶ問1、降水量と蒸発量の差の緯度分布から大気中の水蒸気輸送の向きを決める問2、海水の塩分を扱う問3で、配点は10点です。

問1:正解 ④(解答番号107/配点3)

<問題要旨>
「風が弱い晴れた秋の夜間は、地表からアが放射されて地上気温が下がる。これを放射冷却という。雲・水蒸気が多いときや風が強いときは放射冷却の効果は弱まる」という文章の空欄アと、秋の異なる2日(a・b)の夜9時の天気図(図1)のうち、地点Aで放射冷却によって翌朝の気温がより低下する日イを選ぶ設問です。

<考え方>
アは地表面が出す放射の波長で決まります。地表面の温度は約300 Kなので、放射のピークは波長10 μm前後の赤外線にあります(紫外線を強く出すのは太陽のような高温の天体です)。イは、本文が挙げた「雲・水蒸気が少ない」「風が弱い」という2条件を天気図の読み方に置き換える設問で、地点Aが高気圧に広く覆われ、まわりの等圧線が疎であるほど条件がそろいます。

【ア 地表から放射されるもの】
地表面の温度は約300 K → 放射が最も強い波長は10 μm前後 → 赤外線
紫外線を強く出すのは太陽のように数千 K以上の高温の天体
よって ア = 赤外線

【イ 地点Aのまわりを天気図で読む】
図1a
 地点Aのすぐ北西を 中心気圧1000 hPaの低気圧からのびる前線が通過している
 東にある高気圧1032 hPaの閉じた等圧線の外側にあり 前線に近い
 → 雲が多く 放射冷却は弱まる
図1b
 地点Aは 中心気圧1028 hPaの高気圧を囲む閉じた等圧線の内側にある
 地点Aの近くには等圧線がほとんど引かれていない → 気圧傾度が小さく 風が弱い
 高気圧に覆われて下降気流となり 雲ができにくい → 晴れ

雲が少なく風も弱いのは b
よって イ = b

ア = 赤外線  イ = b
よって ④

【検算】
放射冷却が強い夜の翌朝は 霜が降りたり放射霧が発生したりする
これは移動性高気圧に覆われた晴天・無風の夜に起こる現象であり bの状況と一致する

天気図は「中心気圧の数値が大きいほう」で選ぶのではなく、「地点Aのまわりの等圧線が疎か密か」「前線が近いか遠いか」で読みます。等圧線の混み具合が風の強さ、高気圧・低気圧と前線の位置が雲の多さに対応しています。

問2:正解 ①(解答番号108/配点3)

<問題要旨>
年平均の降水量P、蒸発量E、その差P−Eの緯度分布を示した模式図(図2)が与えられます。同じ緯度では蒸発量と降水量が等しくなく、大気による水蒸気の輸送で大気中の水収支がつり合っているという条件のもと、大気中の水蒸気輸送の向きを模式的に示した図を①〜④から選ぶ設問です。

<考え方>
大気中の水収支がつり合っているので、蒸発が降水を上回る緯度帯(P−E<0)が水蒸気の供給源、降水が蒸発を上回る緯度帯(P−E>0)が受け取り先になります。したがって水蒸気は、P−Eが負の緯度帯から、その南北両側にあるP−Eが正の緯度帯へ向かって運ばれます。図2でP−Eの実線が0の線より下に落ち込む緯度を先に見つけ、そこを起点に矢印が両側へ分かれている図を選べば決まります。

【手順1 図2でP−Eの符号を緯度ごとに読む】
45°S付近         P−E > 0(実線が0の線より上で山をつくる)
45°Sと赤道の間(およそ20〜30°S) P−E < 0(実線が0の線より下に落ち込む)
赤道付近         P−E > 0(実線が大きな山をつくる)
赤道と45°Nの間(およそ20〜30°N) P−E < 0
45°N付近         P−E > 0

【手順2 供給源と行き先を決める】
P−E < 0 = 蒸発超過 = 水蒸気の供給源 … 両半球の亜熱帯
P−E > 0 = 降水超過 = 水蒸気の行き先 … 赤道付近と45°付近

【手順3 矢印の向きに直す(図の左が90°S 右が90°N)】
南半球の亜熱帯 → 45°S側へ … 南向き
南半球の亜熱帯 → 赤道側へ … 北向き
北半球の亜熱帯 → 赤道側へ … 南向き
北半球の亜熱帯 → 45°N側へ … 北向き

左から順に 南向き・北向き・南向き・北向き
この並びになっているのは ①
よって ①

【検算】
赤道へ向かう向きは貿易風(北半球は北東貿易風 南半球は南東貿易風)が吹く向きと一致する
中緯度へ向かう向きは 偏西風帯の下層で水蒸気が高緯度側へ運ばれることと一致する

②③④はいずれも、亜熱帯を挟む2本の矢印が同じ向きになっているか、赤道を起点に外向きになっており、亜熱帯が水蒸気の供給源であることを表していません。「矢印が亜熱帯から両側へ分かれているか」という1点だけで①に絞れます。

問3:正解 ①(解答番号109/配点4)

<問題要旨>
塩分の定義(海水1 kgに溶けているすべての塩類の質量をグラムで表し、単位は千分率パーミル‰を用いる)を述べた文章の空欄ウ・エを埋める設問です。陸水の影響を受けない外洋の海水の平均塩分の値と、その周囲の海水の塩分が高くなる場面を選びます。

<考え方>
ウは外洋の平均塩分の数値そのもので、海水1 kgに約35 gの塩類が溶けているので約35‰です。エは、塩分が変わるのは水が出入りするか塩類が出入りするかのどちらかだ、という原則で決まります。海水が凍るとき、できる氷には塩類がほとんど取り込まれず水だけが抜けていくので、残された海水の塩分は高くなります。

【ウ 外洋の平均塩分】
海水1 kg中に溶けている塩類 約35 g
塩分 = 35 g ÷ 1000 g = 35/1000 = 35‰
質量%になおすと 3.5%
単位は‰(千分率)と指定されているので ウ = 35
(3.5‰ならば海水1 kgに塩類3.5 g = 0.35%となり 海水ではなく淡水に近い値になる)

【エ 周囲の海水の塩分が高くなる場面】
海水が凍結 … できる海氷にはほとんど塩類が入らず 水だけが氷になる
        残された海水に塩類が濃縮される → 周囲の海水の塩分は 高くなる
海氷が融解 … 塩分のごく低い氷が溶けて水が加わり 海水が薄まる
        → 周囲の海水の塩分は 低くなる (本文の「高くなる」と逆)
よって エ = 海水が凍結

ウ = 35  エ = 海水が凍結
よって ①

本文が「河川の近くの海水は塩分が低い」と述べているのも、淡水が加わって薄まるためで、同じ考え方で説明できます。凍結・融解・降水・蒸発・河川水の流入は、いずれも「水が増えるか減るか」で塩分の増減が決まります。

第3問(必答) A 宇宙の進化と宇宙の晴れ上がり

ビッグバン以降の宇宙の膨張と温度変化、おもな出来事の順序を問う問1と、宇宙の晴れ上がりが起きた仕組みを問う問2。第3問は全体で10点、このAは7点です。

問1:正解 ④(解答番号110/配点4)

<問題要旨>
「宇宙は約138億年前のビッグバンで始まり、時間とともにアして、温度がイなったと考えられている。この現象は、地球上で空気塊が上昇・下降するときに温度が変化する現象と共通点がある。ビッグバンから約38万年後にウ、約92億年後にエ」という文章の空欄ア〜エを埋める設問です。

<考え方>
アとイは断熱変化の考え方で決まります。上昇する空気塊がまわりの気圧の低下によって膨張し、外に仕事をして温度が下がるのと同じで、宇宙も膨張すれば温度は下がります。ウとエは年代の引き算で決まります。宇宙の晴れ上がりはビッグバンから約38万年後、太陽系の誕生は約46億年前なので、ビッグバンからは138億−46億=92億年後にあたります。

【ア・イ 膨張か収縮か 温度は高いか低いか】
上昇する空気塊 … まわりの気圧が下がるので膨張し 外へ仕事をして温度が下がる(断熱膨張)
下降する空気塊 … 圧縮されて温度が上がる
宇宙も同じく 膨張すれば温度は下がる
よって ア = 膨張  イ = 低く

【ウ・エ 出来事の年代】
宇宙の晴れ上がり … ビッグバンから約38万年後 = 約4×10⁵ 年後
太陽系の誕生 … 約46億年前
  138億年 − 46億年 = 92億年
  → ビッグバンから約92億年後 = 約9.2×10⁹ 年後
よって ウ = 宇宙が晴れ上がり  エ = 太陽系が誕生した

ア = 膨張  イ = 低く  ウ = 宇宙が晴れ上がり  エ = 太陽系が誕生した
よって ④

【検算】
38万年と92億年では4桁以上の開きがあり 順序を取り違えることはない
ウとエを入れかえた選択肢は 宇宙が晴れ上がる前に太陽系ができたことになり
恒星や惑星の材料が集まるより前に太陽系が存在することになって成り立たない

宇宙が膨張して温度が下がるという流れは、そのあとに起こる出来事(軽い元素の原子核の合成、晴れ上がり、恒星や銀河の形成)が、すべて温度低下をきっかけに進むことの土台になります。

問2:正解 ③(解答番号111/配点3)

<問題要旨>
宇宙の晴れ上がりとは、それまでまっすぐ進めなかった光が直進できるようになり、宇宙を見通すことができるようになった現象です。その原因として最も適当なものを、4つの文から選ぶ設問です。

<考え方>
光の直進をさまたげていたのは自由電子です。電子は電荷をもち光(電磁波)を強く散乱するため、自由電子が大量にある状態では光はあらゆる方向に散らされて直進できません。宇宙の温度が約3000 Kまで下がると、原子核が自由電子を捕らえて中性の原子ができ、自由電子が激減した結果、光がまっすぐ進めるようになりました。よって「自由な電子の数が減った」と述べている文を選びます。

① 誤 陽子と中性子が結合してヘリウムの原子核ができたのはビッグバンから約3分後の出来事で
    晴れ上がり(約38万年後)とは時期が大きく異なる
    また光を散乱していたのは陽子ではなく自由電子なので 自由な陽子が減っても光は直進できない
② 誤 自由な陽子が増えれば 電荷をもつ粒子はかえって増える
    光が直進しやすくなる向きの変化ではない
③ 正 温度が下がって水素やヘリウムの原子核が電子を捕らえ 中性の水素原子・ヘリウム原子ができた
    その結果 光を散乱していた自由な電子の数が減り 光が直進できるようになった
④ 誤 原子から電子が分離して自由な電子が増えるのは電離であり 晴れ上がりとは逆向きの変化
    自由電子が増えれば光はいっそう散乱され 宇宙はますます見通せなくなる

よって ③

晴れ上がりの直後に四方へ進み始めた光が、その後の宇宙の膨張で波長を引き伸ばされ、今も観測されているのが宇宙マイクロ波背景放射です。晴れ上がりは「宇宙で最初に見通せるようになった瞬間」であり、それより昔を光で直接見ることはできません。

第3問(必答) B 銀河系の構造と天の川の見え方

銀河系(天の川銀河)を真横から見た模式図をもとに、太陽系が銀河系のどこにあるか、そのために天の川がどう見えるかを問う1問。配点は3点です。

問3:正解 ①(解答番号112/配点3)

<問題要旨>
銀河系を真横から見た模式図(図1)に、中央の膨らんだバルジと、それを取り囲む円盤状の部分(ディスク)が描かれ、円盤部の中の点Aとバルジの中の点Bが示されます。太陽系が位置する記号オと、そのために銀河系が地球の夜空にどう見えるかを表す語カの組合せを選ぶ設問です。

<考え方>
オは、太陽系が銀河系の中心から約2万8千光年離れた円盤部の中にあることで決まります。図1でバルジの中にあるのがB、バルジから離れた薄い円盤部の中にあるのがAなので、太陽系はAです。カは「円盤の内部から円盤面に沿って見ると恒星が幾重にも重なって濃く見え、円盤面から外れた方向では恒星が少ない」という関係で決まり、その結果、天の川は夜空を横切る帯として見えます。

【オ 太陽系の位置】
図1のB … 中央の膨らんだ部分=バルジの中にある
図1のA … バルジから離れた薄い円盤部(ディスク)の中にある
太陽系は銀河系の中心から約2万8千光年離れた円盤部にある
よって オ = A

【カ 地球の夜空での見え方】
太陽系は円盤の内部にある
 円盤面に沿った方向 … 遠くまで恒星が重なって見える → 明るく濃く見える
 円盤面と垂直な方向 … 円盤は薄いので恒星が少ない → 暗い
したがって 空を一周する細長い帯(天の川)として見える
よって カ = 帯状

【「渦巻き状」が選べない理由】
渦巻きの形が見えるのは 円盤を真上または真下からじゅうぶん離れて眺めた場合
円盤の内部にいる地球からは 渦の全体を見渡すことはできない

オ = A  カ = 帯状
よって ①

「銀河系は渦巻銀河である」という知識と「地球から天の川がどう見えるか」は別の話です。渦巻きの形は外から見た姿、帯状は円盤の内側から見た姿、と区別しておきましょう。

第4問(必答) 自然災害と人為起源の現象

自然災害や人為起源の現象に関する3問。現象の時間・空間スケールの模式図から名称を当てる問1、湖底の地層の柱状図から過去の津波を読み取る問2、活断層で起きた地震活動と地形ごとの災害を判定する問3で、配点は10点です。

問1:正解 ③(解答番号113/配点3)

<問題要旨>
自然または人為的な要因で生じる現象について、継続時間を縦軸(年)、影響範囲を横軸(空間スケール km)にとった模式図(図1)が与えられます。図には深層循環と地震動の位置も示されており、災害を引き起こす現象A〜Dの名称の組合せを選ぶ設問です。

<考え方>
2つの軸の値をそのまま現象の継続時間と広がりに読み替えればよい設問です。縦軸には1秒・1分・1時間・1日・1年・100年・1万年の矢印が打たれているので、各領域の中心がどの矢印の高さにあるかを読みます。横軸には琵琶湖・四国・日本列島・地球の円周の位置が示されているので、広がりの目安もそのまま読めます。

【手順1 図1の縦軸・横軸で各領域の位置を読む】
A 縦軸の中心は「1時間」の矢印の高さ(10⁻⁴年付近)
  横軸は10¹ km台から10³ km台まで横に長く伸びる
B 縦軸の中心は「1日」の矢印より少し上(10⁻²年付近)
  横軸は10² 〜 10³ km(四国から日本列島の規模)
C 縦軸の中心は「1年」と「100年」の矢印の間(数年)
  横軸は10³ 〜 10⁴ km
D 縦軸の中心は「100年」の矢印の高さ
  横軸は10⁴ km付近(地球の円周)

【手順2 実際の現象と対応させる】
津波 … 継続時間は数分〜数時間 伝わる範囲は近海から太平洋を横断する1万 kmまで → A
     図でAが地震動の領域のすぐ上に接していることとも合う
台風 … 寿命は数日 大きさは数百〜千 km → B
エルニーニョ現象 … 数年続き 太平洋赤道域という1万 km規模の広がりをもつ → C
人為起源の地球温暖化 … 産業革命以降の100年規模 地球全体に及ぶ → D

A = 津波  B = 台風  C = エルニーニョ現象  D = 人為起源の地球温暖化
よって ③

【検算 縦方向の並び順】
下から 地震動(秒〜分) → A 津波(分〜時間) → B 台風(日)
    → C エルニーニョ現象(数年) → D 地球温暖化(100年) → 深層循環(1000年規模)
図の上下の並びと矛盾しない

AとBの区別は横軸の広がりで決めるのが確実です。Aは10 km台から1万 km近くまで横に長く伸びており、近くの海岸にも遠い対岸にも届くという津波の性質がそのまま表れています。台風は発生から消滅まで日単位で、影響範囲は津波ほど広がりません。

問2:正解 ②(解答番号114/配点4)

<問題要旨>
日本の太平洋沿岸の海岸線から内陸側に200 m離れた低地に位置する湖の底に堆積した、完新世の地層の柱状図(図2)が与えられます。連続的に堆積した泥層に6枚の砂層が挟まれ、それぞれ1950年ごろ3 cm、1850年ごろ5 cm、1700年ごろ20 cm、1600年ごろ5 cm、1500年ごろ4 cm、1400年ごろ5 cmで、いずれも西暦1400年ごろ以降に内陸へ押し寄せた大きな津波で形成されたとわかっています。この図から考えられることを述べた文のうち、下線部に誤りを含むものを選ぶ設問です。

<考え方>
柱状図は上ほど新しく下ほど古いので、砂層の年代と厚さ、砂層どうしの年代差(=その間に挟まれた泥層が堆積した期間)を並べて比べればよい設問です。「比例する」と主張している選択肢は、同じ期間なのに厚さが違う例が1つでもあれば崩れます。

【砂層の厚さと その直下の泥層が堆積した期間を並べる】
1950年ごろ  3 cm   直下の泥層の期間 1850 → 1950 = 100年
1850年ごろ  5 cm   直下の泥層の期間 1700 → 1850 = 150年
1700年ごろ 20 cm   直下の泥層の期間 1600 → 1700 = 100年
1600年ごろ  5 cm   直下の泥層の期間 1500 → 1600 = 100年
1500年ごろ  4 cm   直下の泥層の期間 1400 → 1500 = 100年

① 正 湖底に連続して堆積した地層なので 地層累重の法則どおり下位ほど古い
    柱状図でも深さ2.0 m側の砂層が1400年ごろ 深さ0側の砂層が1950年ごろで整合する
② 誤 直下の泥層の期間が同じ100年でも 砂層の厚さは 3 cm・20 cm・5 cm・4 cm とばらばら
    とくに1700年ごろの20 cmと1950年ごろの3 cmは 期間が同じ100年なのに約7倍の差がある
    よって砂層の厚さは直下の泥層の堆積期間に比例しない
③ 正 泥層の堆積期間は100年か150年でほぼそろい 泥層の厚さも大きくは変わらない
    一方でその直上の砂層の厚さは 3 cm 〜 20 cm と大きく変わる → 比例していない
④ 正 砂層の年代差は 1400 → 1500 → 1600 → 1700 → 1850 → 1950 で
    100年・100年・100年・150年・100年 → 約100年〜150年である

下線部に誤りを含むのは ②
よって ②

【検算】
砂層の厚さは 津波の規模(押し寄せた水の量や運ばれた砂の量)で決まる量であり
その前に泥がたまっていた時間の長さとは別の要因である → ②が誤りであることと整合する

泥層は湖底に絶えず積もる細粒の堆積物なので時間の目盛りの役割をし、砂層は津波という一度きりの出来事の記録です。両者の役割の違いをつかむと、どの量とどの量を比べるべきかが見えてきます。

問3:正解 ②(解答番号115/配点3)

<問題要旨>
ある平野の活断層で地震が発生した場合を考えます。まず地震a(マグニチュード6.5)が発生し、その翌日に同じ深さで地震b(マグニチュード7.0)が発生しました。この前後の期間にも地震が多く発生し、最大規模のものは地震bでした。活断層と震央分布、現在の河川、河川を埋め立てた旧河川、山地、市街地を模式的に示した図3をもとに、これらの地震活動や自然災害について述べた文のうち、下線部に誤りを含むものを選ぶ設問です。

<考え方>
前震・本震・余震は、起きた時刻と規模の関係で決まる用語です。一連の地震活動のうち最大のものが本震、それより前に起きたものが前震、あとに起きたものが余震です。ここでは最大規模が地震bなので、その前日の地震aは前震にあたります。残りの選択肢は、初期微動継続時間が震源距離に比例すること、埋め立て地や旧河道には地下水を含む緩い砂層があり液状化しやすいこと、急斜面では土砂災害が起こりやすいことで判定します。

① 正 図3で地点Xは市街地の中にあり 地震aの震央はXのすぐ近く
    地震bの震央はそれより北東へ離れた位置にある
    両者は同じ深さなので 震源距離は 地震a < 地震b
    初期微動継続時間はP波とS波の到達時刻の差で 震源距離に比例して長くなる
    よって地点Xでは地震aのほうが初期微動継続時間は短い
② 誤 一連の地震活動のうち最大規模は地震b(M7.0)で これが本震にあたる
    地震a(M6.5)は本震の前日に起きているので 余震ではなく前震である
③ 正 地点Yは河川を埋め立てた旧河川の中にある
    旧河道の埋め土は地下水を含む緩い砂層で 強い揺れによって液状化現象が起こりやすい
④ 正 地点Zは 図で灰色に示された急斜面の多い山地の斜面上にある
    地震の揺れで斜面が崩れ 崖崩れや地すべりなどの土砂災害が発生しやすい

下線部に誤りを含むのは ②
よって ②

【検算】
余震かどうかは「本震より前か後か」だけで決まる
本文に「この前後の期間にも地震が多く発生し 最大規模のものは地震bであった」と明記されているので
本震は地震bで確定し その前日の地震aは前震になる

前震があっても、本震がいつ来るかを事前に知ることはできません。最大の地震が起きるまで、その一連の活動のどれが本震かは決まらないという点が、この設問の下敷きになっています。

※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

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