2025年度 大学入学共通テスト 本試験 地学基礎 解答・解説

目次

解答

解説

第1問

問101:正解1

<解説>
太陽系の天体が大気をもつかどうかは、主に天体の質量と太陽からの距離の影響を受ける。月と水星は質量が小さく重力が弱いうえ、太陽に近く表面温度も上がりやすい。そのため、もともと存在した気体も宇宙空間へ逃げやすく、ほとんど大気が見られない。一方、木星や土星は質量が非常に大きく重力が強いうえ、太陽から遠いことで低温でもあり、水素やヘリウムのような軽い気体でも保持しやすいため、厚い大気をもっている。

問102:正解3

<解説>
プレート同士が収束する境界のうち、海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込む場合には海溝や島弧が形成される。一方、ヒマラヤ山脈のように大陸プレート同士が衝突して巨大な山脈をつくる場合は「衝突帯」と呼ばれる。この衝突帯が生じるのは、両方とも大陸プレートで構成されているため密度が小さく、マントルへ沈み込みにくいことが要因である。大陸プレートは海洋プレートに比べて軽いため、沈み込まずに互いに押し合い、大規模な山脈を形成しやすい。

問103:正解2

<解説>
火成岩は主に「SiO₂量(ケイ酸の割合)」と組織(結晶の大きさや形状)によって区別できる。通常、SiO₂量が高いものほど酸性岩(花こう岩・流紋岩)に、低いものほど苦鉄質岩(斑れい岩・玄武岩)に分類される。また、マグマが地表付近で急冷されてできた火成岩は細粒の「緻密(ちみつ)な組織」をもつ火山岩、地下深くでゆっくり冷却された火成岩は大きな結晶をもつ深成岩となる。
問題文の表を見ると、AはSiO₂量が中間的、BはSiO₂量が低く苦鉄質、CはSiO₂量が高く酸性岩にあたる。また、Aは緻密な火山岩、BとCは等粒状の深成岩という記述がある。これらを踏まえると、Aが安山岩(中間質の火山岩)、Bが斑れい岩(苦鉄質の深成岩)、Cが花こう岩(酸性の深成岩)に対応する。

問104:正解2

<解説>
ベスビオ火山のように爆発的な噴火が起こると、噴煙柱が大気中を非常に高い高度まで上昇し、成層圏に達する場合がある。実際、噴煙が高度20 km付近にまで達したことが火山灰や軽石の広範囲な分布から推定されている。また、激しい噴火に伴って発生する火砕流は、高温の火山ガスや火山砕屑物が高速で斜面を流れ下る現象であり、ベスビオ噴火ではこれがポンペイの街を厚く覆い、多くの住民が被害を受けたとされる。

問105:正解2

<解説>
地層に見られる代表的な堆積構造として、「漣痕(リップルマーク)」「級化構造(粒子が下部ほど大きく上部に向かって小さくなる)」「斜交葉理(クロスラミナ)」などがある。写真Aは波打つような連続した小さなうねりが見られ、リップルマークと考えられる。写真Bは層理面が斜めに入り組んでおり、斜交葉理の特徴を示す。写真Dは下部がやや粒子が大きく、上部ほど細かい層へ移行している様子がうかがえるため、級化構造と判断できる。

問106:正解1

<解説>
堆積構造には、堆積当時の流れの向きや運搬方向を推定できるものと、そうでないものがある。リップルマーク(漣痕)は波状の形の非対称な場合、急斜面側が下流方向になるため流れの向きを推定できる。斜交葉理(クロスラミナ)も、砂などの粒子が流れに伴って斜めに積み重なった結果が記録されるため、層理の傾きから流水方向を復元可能である。一方、級化構造などは流水の強さや堆積速度を推定する材料となるが、流れの方向自体を示す指標にはなりにくい。よって、リップルマークと斜交葉理を組み合わせることで水流の方向を復元できる。

第2問

問107:正解4

<解説>
晴れて風の弱い夜には、地表が日中に受け取った熱が主に赤外線として宇宙空間へ放出される。この現象が放射冷却である。赤外線による放射冷却は雲や水蒸気が少ないほど強まりやすい。問題文の天気図を比べると、高気圧に覆われて晴天・弱風になりやすい状態のほうが地表からの赤外線放射が増し、翌朝の気温が大きく下がることが推定できる。

問108:正解1

<解説>
地球上では、低緯度の海洋付近(回帰線付近)で蒸発量が降水量より大きくなり、逆に赤道付近や高緯度付近では降水量が蒸発量を上回るため、差(降水量-蒸発量)の分布が緯度ごとに異なっている。水蒸気は蒸発が盛んな地域(差が負になる地域)から、降水が盛んな地域(差が正になる地域)へ大気の循環によって運ばれやすい。
一般的に、北半球と南半球ではそれぞれ中緯度の乾燥帯から赤道方向・高緯度方向へ向かう水蒸気の輸送がみられる。そのため、図で示されるように「南向き→北向き→南向き→北向き」というような水蒸気の流れが想定される。

問109:正解1

<解説>
海水1 kgあたりに溶けている塩類の質量をパーミル(‰)で表すと、平均的な海水の塩分はおよそ35‰程度とされる。ただし、河川から真水が流れ込む沿岸部などでは塩分がやや低くなる。一方で、強い日差しなどで海水が蒸発すると水の体積が減少し、海水中の塩類濃度が相対的に上がりやすい。そのため、蒸発が進む地域や閉じた湾などでは塩分が高くなる傾向が見られる。

第3問

問110:正解4

<解説>
宇宙は約138億年前にビッグバンで始まったとされ、時間の経過とともに膨張し、その結果として温度が低下していったと考えられている。宇宙の温度が十分に下がると、ビッグバン後約38万年頃に電子と陽子が結合し始め、光が直進できるようになった(「宇宙の晴れ上がり」)。さらに、ビッグバンから約92億年後に太陽系が形成されることで、現在のような惑星などが存在する環境へとつながったと推定されている。

問111:正解3

<解説>
「宇宙の晴れ上がり」とは、ビッグバン後の高温状態が徐々に冷却され、自由電子が陽子やヘリウム原子核と結合して中性の水素原子やヘリウム原子が形成された現象を指す。自由電子がほとんどなくなると光が散乱されにくくなり、宇宙が透明になって光が直進できるようになった。これにより、現在観測されている宇宙背景放射(CMB)が放出されたとされる。

問112:正解1

<解説>
銀河系(天の川銀河)を真横から見ると、中心のバルジ(膨らみ)と円盤部に大きく分けられる。図では円盤状に広がる部分がA、中央付近の厚みのある部分がBで表されることが多い。太陽系は銀河系の中心からある程度離れた円盤部(A)付近に位置している。夜空に見える天の川が帯状に見えるのは、この円盤部の中から円盤面を見ているためである。

第4問

問113:正解3

<解説>
自然現象や人為起源の現象は、発生の時間スケールと空間スケールが異なる。図のように、狭い範囲かつ短時間に起こる代表例が津波であり、やや広域・数日から1週間程度のスケールで台風がある。エルニーニョ現象はさらに広範囲の海域(太平洋赤道域)で数か月から1年以上続くことが多い。一方、人為起源の地球温暖化は数十年以上からさらに長期の影響を及ぼし、地球規模で進行する点が特徴的である。

問114:正解2

<解説>
湖や内湾の堆積物コアを調べると、通常の泥層の間に海由来の砂層が挟まっている場合、それが津波痕跡として解釈されることがある。泥層と砂層はそれぞれが堆積する期間や環境を反映しており、砂層の厚さはその直下の泥層が堆積した時間や堆積環境の変化と密接に関係しやすい。たとえば、長期間にわたって泥が堆積した後に大規模な津波が到達すれば、比較的厚い砂層となって記録される可能性が高い。

問115:正解2

<解説>
大地震が連続して発生する際に、最大規模の地震を「本震」、それ以前に起こるやや小規模な地震を「前震」、本震の後に続く地震を「余震」と呼ぶ。問題文では、先にマグニチュード6.5の地震(地震a)が起こり、後からマグニチュード7.0の地震(地震b)が発生して最大規模となったとある。このような場合、先に起こった地震aは後に起こる大きな地震bの前震だったとみなされる。

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