解答
解説
第1問
問1:正解2
<解説>
地球の核(内核と外核を合わせた部分)は,半径がおよそ地球全体の半径の半分程度に相当し,体積比では全体のおよそ6分の1ほどを占める。図中で核を灰色に示したとき,核が半径の半分程度になる描かれ方をしている断面図がもっとも実際に近い。選択肢のうち,核の割合が大きすぎるものや小さすぎるものは地震波などの観測結果と合わず,核の大きさが地球の中心から約半径半分ほどを示している図が適切と判断できる。
問2:正解4
<解説>
a「リソスフェアはアセノスフェアよりやわらかく流動しやすい」は,リソスフェア(地殻と上部マントルの固い最外層)がむしろ剛体的な層で,その下のアセノスフェアがやや可塑性が高いことを踏まえると誤りである。
b「大陸地域よりも海洋地域のほうがモホ面(地殻とマントルの境界)が深い」は,実際には大陸下のほうが厚い地殻をもつためモホ面が深く,海洋下では浅い。よってこの文も事実と反する。したがって両方とも誤りと判断できる。
問3:正解4
<解説>
問題文の図から,ある地点までのP波到着時刻は震源からの距離に比例して増加する。また「この地域では震源距離と初期微動継続時間(P波到着からS波到着までの時間)との間に D=8.0×T の関係がある」と示されている。たとえば震源から40km離れた地点では,図からP波が到着するのに約6秒かかり,その地点の初期微動継続時間は5秒程度と求まる(震源距離40kmを8で割った値が5秒に相当する)。するとS波は地震発生から約11秒後に到着する計算となる。
一方,問題文では地震発生から3秒後に緊急地震速報が同時に届くとされているため,速報を受け取った時刻からS波到着まではさらに約8秒あることになる。これによって揺れが到達するまでの猶予が生じることがわかる。
問4:正解1
<解説>
露頭に見られる地層や地質構造をたどると,まず堆積岩が地殻変動により圧縮されて褶曲(しゅうきょく)を起こし,その後,長い侵食や海退などによって不整合面が形成される。さらに,後の時代にマグマが割れ目を通って貫入した結果,岩脈が入り込む。したがって,褶曲 →(侵食・時間経過)→ 不整合 →(貫入)→ 岩脈,という順序が最も自然に解釈できる。
問5:正解4
<解説>
露頭Yの石灰岩はサンゴなどの生物遺骸からなる海成堆積物であり,古生代など比較的古い時代に形成されたものと考えられる。一方,露頭Zの泥岩にはより新しい時代の化石が含まれていたとすると,両者の間に大きな時間差があることを示す不整合関係が想定される。具体的には,石灰岩中に三葉虫のような古生代の代表的な化石が含まれ,泥岩にデスモスチルスのような新生代中期の哺乳類化石が含まれていれば,両者を区別する地質時代の隔たりが大きいことがわかるため,不整合を裏づける証拠となる。
問6:正解3
<解説>
火成岩は含まれる二酸化ケイ素(SiO₂)の割合によって,大きく塩基性(苦鉄質),中性質,珪長質(酸性)などに区分される。それぞれで含まれる造岩鉱物の種類や比率が異なり,塩基性の岩石ほどかんらん石や輝石など鉄・マグネシウムに富む鉱物を多く含む。中間質になると角閃石などが主体になり,珪長質の岩石では石英やカリ長石などSiO₂の豊富な鉱物が主となる。図のA~Cの領域をそれぞれの特徴的な鉱物群と照らし合わせて判断すると,A(塩基性)はかんらん石中心,B(中性)は輝石や角閃石,C(酸性)は石英や長石類が多い,という対応が最も自然である。
問7:正解1
<解説>
問題文では,ある火成岩が4種類の代表的な造岩鉱物から構成されており,そのうち石英が20体積%含まれるとある。一般に石英は明るい色調の鉱物で,マフィック(暗色系)の鉱物が増えるほど「色指数」は大きくなる。石英が比較的多い(20%)ということは,暗色鉱物の割合があまり高くなく,色指数は低めと考えられる。図に示された範囲から判断すると,色指数が小さい部類(たとえば10程度)の値がもっとも整合的だとわかる。
問8:正解2
<解説>
接触変成作用とは,基本的にマグマの貫入や上昇によって周囲の地層が熱を受けるごく近傍で生じる現象である。その影響範囲は数km程度が一般的で,数十〜数百kmにもわたるような広範囲には及びにくい。したがって「マグマとの接触部から数十〜数百kmにわたって発生する」という説明は誤りであり,大規模に広がる変成帯は広域変成作用のほうで説明される。ほかの選択肢にある片麻岩の特徴やホルンフェルスの性質などは,一般的な変成作用の解説としておおむね正しい内容である。
第2問
問9:正解1
<解説>
文中では湯気の正体に関して、「湯の表面から立ち上った熱い水蒸気が冷えて小さなしずくとなり、無数に群がっている様子」として描写されている。これは雲や霧が形成されるしくみにも似ており、液体の微小な粒子が漂っている状態を指す。したがって、熱い湯から立ち上る蒸気が冷やされて小さな粒状の水滴になったものだとわかる。
問10:正解4
<解説>
湯が冷える仕組みとしては、空気との熱伝導や表面での蒸発に加え、湯の表面からの放射(特に赤外線)も重要な役割を果たす。可視光や紫外線の反射・放射では十分な冷却効果は説明しにくく、二酸化炭素が放出されるわけでもない。湯表面から赤外線として放射される熱エネルギーが失われることで冷却が進む点がもっとも自然な考え方である。
問11:正解2
<解説>
問題文では、温度差により生じる上下方向の流れが全体に大きな循環をもたらす現象に触れている。海洋の深層循環や大気のハドレー循環などは、大規模な鉛直方向の流れとして知られる。一方「続成作用」は、堆積物が固結して岩石になる過程を指し、流体の大きな循環運動とは無関係であるため、ここでいう上下方向の動きとは結びつかない。
問12:正解4
<解説>
茶碗の湯から立ち上る湯気が渦を巻く様子を、著者は「煙が上昇気流に乗り旋回する様子」と対比している。自然界でも上昇気流が発達すれば、積乱雲が発生して激しいにわか雨や雷雨をもたらすことがある。オゾンホールや火砕流などの現象は、上昇気流とは別の原因で発生・進行するため、本問の文脈では強い上昇気流が引き起こす雨・雷雨との関連がもっとも適切だとわかる。
第3問
問13:正解2
<解説>
原始太陽の中心部では、高温・高圧条件により水素の核融合反応が起こり、主系列星としての太陽が誕生すると考えられている。また、成長した原始地球の表面温度が上昇し、岩石が溶融して生じた広範囲の高温状態は「マグマオーシャン」と呼ばれる。これらの語句の組み合わせは、太陽系の形成と原始地球の進化過程を理解するうえで基本的な知識となる。
問14:正解3
<解説>
星間物質には恒星が放出したガスや、超新星爆発によって生成された重元素なども含まれる。星間空間に漂うガスや塵は、恒星風や星間衝突によって再供給され、星間雲を形成する要因ともなる。したがって「星間ガスは恒星から放出された物質を含む」という点は、恒星演化や銀河規模での元素循環を考えるうえで重要な事実である。
問15:正解4
<解説>
原始地球の表面温度を大きく上昇させる要因としては、微惑星や小天体の衝突が盛んに起きていた時期に放出された衝突熱、そして形成された大気の温室効果が挙げられる。太陽風や地球内部の核融合反応は(核融合は太陽など恒星の中心核で起こるもので)原始地球の主な加熱要因とは考えにくい。大気による保温と衝突エネルギーによる加熱が、初期の地球を溶融状態に導いた主要なしくみである。