解答
解説
第1問
問1:正解4
<解説>
地球が球形であることを示す代表的な根拠としては、月食時に地球の影が丸く映ることや、緯度によって北極星の高度が変わることなどがよく挙げられます。船舶が遠方から接近するとき、高い山の頂が先に見えてくる現象も、球形であることと矛盾しません。一方、岬の先端から水平線を見渡したときに「視界の水平線そのものがはっきり丸く見える」というのは、肉眼で捉えられる地平線・水平線の範囲では明確に丸さを認識しにくいため、地球の球形を示す確実な観察例とはいえません。したがって、他の選択肢と比べると「岬から海を見渡すと水平線が丸く見える」という内容は、地球が球形である証拠としては不適当な例と考えられます。
問2:正解4
<解説>
地震波には、伝わる速さが速いP波と、それより遅いS波があります。地震計の記録波形では、先に到達するP波と後に到達するS波の到着時刻の差から、震源と観測点との距離を見積もることができます。本問では、P波とS波の伝わる速さの差に基づいて到着時刻差を検討すると、観測点まで比較的まとまった距離があると考えられます。選択肢の中で妥当とされる値は、P波とS波の速度差および到着時間差から算出した約30km程度であると推定されます。
問3:正解3
<解説>
ハワイ諸島は、固定されたホットスポットの上をプレートが移動し続けることで次々に新しい火山島が形成され、古い火山島はホットスポットから離れた位置へ移動していくと考えられています。問題文では、A島が約40万年前、B島が約130万年前、C島が約370万年前、D島が約510万年前に形成されたとされ、年代が新しいほど現在のホットスポットに近い位置にあります。プレートがほぼ北西方向に移動しているとすると、最も古いD島が一番北西側、新しいA島が一番南東側になるような分布が、年代の順序と一致します。
問4:正解2
<解説>
露頭の断面図からは、まず堆積した地層(A層など)の上に噴出物を伴う新たな地層(B層)が重なり、その後マグマの貫入が起こった形跡や、地層ごと西方向に傾斜している様子などが読み取れます。また、東西方向の圧縮によるしゅう曲(褶曲)や断層の発生順を考えると、「地層がもともと水平に堆積」「B層が別の地層を押しかぶる形で衝上」「全体が傾動」「マグマが貫入」という一連の流れが推定されます。このような変形の順番を正しく整理すると、選択肢の中では2番目のものが最も適切と考えられます。
問5:正解3
<解説>
地球の大気は元来、水蒸気やアンモニアなどを主成分としていたと考えられています。しかし、光合成微生物の出現により酸素が放出されると、大気中の酸素濃度が少しずつ高まりました。その結果、オゾン層が形成され、紫外線が地表に届きにくくなり、生物の陸上進出が可能になったと考えられています。こうした古い時代の酸素発生の証拠としては、「二酸化炭素が多く存在していたこと」と、それを裏づける地質学的証拠(たとえば原始的陸上植物の化石)などが鍵となります。本問では、古い地質時代の大気成分における二酸化炭素の比重と、クックソニアのような初期陸上植物の存在が組み合わさる選択肢が、最も整合的といえます。
問6:正解2
<解説>
離れた2つの露頭(XとY)を対比する際、それぞれに見られる地層や示準化石の重なり方をもとに「同時代の地層どうしを結びつける」作業を行います。本問では、露頭Xのある地層が、露頭Yにおける別の地層と同一時代である可能性を、示準化石や堆積の順序から判別します。図を見ると、最下部の層(たとえばO層など)から上位の層へ連続的に堆積していった痕跡と、示準化石の分布が示唆する地質年代の一致度から、O層とD層を対応させる組み合わせが、両露頭を対比する上で最も適切といえます。
問7:正解1
<解説>
火山の形(ドーム状、緩やかな傾斜、円すい形など)は噴出するマグマの粘性に大きく左右されます。粘性が非常に高い流紋岩質マグマでは溶岩ドームのように盛り上がった形になり、安山岩質では比較的急な円すい状(成層火山など)になり、玄武岩質のマグマは粘性が低いため緩やかな傾斜の盾状火山になる傾向があります。図a・b・cの火山体の形状から、それぞれ流紋岩質・安山岩質・玄武岩質の組み合わせが当てはまると考えられます。
問8:正解3
<解説>
問題の図には、角閃石や斜長石、黒雲母など複数の造岩鉱物が1mm間隔の格子内で描かれています。これらの鉱物の相対的な面積比(色指数)から、火成岩がどの程度の“有色鉱物”を含むかを推定できます。図中に示された黒い部分(有色鉱物)の割合が全体の3割程度になっている例が読み取れることから、選択肢の中ではおよそ32%程度がもっとも近い色指数と見なされます。
問9:正解2
<解説>
マグマが地表付近で急速に冷却されると、火成岩は結晶が細かくなる(またはガラス質になる)傾向があります。一方で、地下深部でゆっくり冷える場合は大きな結晶が成長しやすく、組織が粗粒になると考えられます。また、SiO₂(ケイ酸)含有量の違いは岩石の分類に影響し、60%前後であれば中性岩(安山岩質など)に相当します。本問では、地表付近で比較的急速に冷えた火成岩かつSiO₂含有量が60%台前半の組み合わせが妥当と考えられます。
第2問
問10:正解3
<解説>
図に示された地上天気図では、等圧線の間隔が場所によって異なり、等圧線の間隔が狭いほど気圧傾度(気圧差)が大きくなります。気圧傾度が大きい所では、空気に作用する力(気圧傾度力)も大きくなり、強い風が吹きやすくなります。問題文中の地点AとBを比較すると、一般的に等圧線が込み入っている地点のほうが気圧傾度が大きいと考えられ、そこではより強い風が見られる傾向にあります。このように「水平面での気圧差が大きいほど、空気に作用する力が強くなる」という事柄を踏まえて考えると、最も適切な文が導かれます。
問11:正解2
<解説>
冬型の気圧配置が強まっているときの衛星赤外画像では、日本海から大陸側にかけて筋状の雲が伸びたり、日本の東側に低気圧があって雲の渦が形成されたりする様子が特徴的に表れます。問題文の天気図は、1月下旬の典型的な冬型配置で、西高東低の気圧分布になっています。そこで赤外画像を見ると、寒気が流れ出して生じた雲や低気圧付近の渦状の雲が見られるものが該当しやすく、選択肢の中では冬の季節風が強い状態を示す画像が最も適切といえます。
問12:正解4
<解説>
冬季の日本付近は、大陸の内陸部に高気圧が発達しやすく、日本海側へ向けて冷たく乾いた空気が吹き出します。この空気が比較的暖かい海面の上を通過する際に海面からの水蒸気を受け取り、雲が発生しやすくなります。その結果、日本海側では曇りや雪が多くなり、太平洋側では山脈を越えて乾いた風が吹くため晴れが多くなるという冬型の気象が典型的に見られます。
第3問
問13:正解6
<解説>
星の誕生は、星間空間にある星雲(主にガスやちりからなる巨大な雲)でガスが収縮していくプロセスから始まると考えられています。ガスが互いの重力を受け合い、次第に密度の高い領域が生まれ、やがて中心部に「原始星」と呼ばれる段階を経て核融合を始めると、太陽のような主系列星に至ります。会話文中では、そうした星雲からの収縮や衝突合体によって誕生した原始星が、徐々に安定期を迎え、寿命を経るまで核融合反応を続ける流れが示唆されています。これらの過程をまとめると「星間雲 → ガスが重力で収縮 → 原始星 → (安定段階) → …」という順序が最も自然です。
問14:正解3
<解説>
(a)「ヘリウムはすべてビッグバン直後につくられた」という表現は、厳密には誤りです。ビッグバンの初期宇宙で大量のヘリウムが生成されたのは事実ですが、その後の星の内部で行われる核融合反応によってもヘリウムが生成され続けています。
(b)「太陽が赤色巨星になった後、その中心部で核融合により炭素がつくられる」というプロセスは、恒星の進化理論で広く受け入れられています。太陽程度の質量の恒星でも、中心核の温度が上昇すると、ヘリウム核融合が起こり、炭素などの元素が生じるとされています。
問15:正解1
<解説>
宇宙の誕生直後は極めて高温・高密度の状態でしたが、ビッグバンからわずか数分後には陽子や中性子などの基本的な粒子が形成されたと考えられています。宇宙最初期の核子(陽子・中性子)は急激に冷却されて安定し、やがてビッグバン元素合成と呼ばれる過程を経て水素やヘリウムなどの軽元素がつくられていきます。これらの粒子の誕生は、宇宙誕生後ごく短い時間スケールで起こった重要な現象のひとつです。