解答
解説
第1問
問101:正解2
<問題要旨>
世界各国の食料や健康にかかわる指標の分布図(高位・中位・低位などで色分け)を示し、その指標としてもっとも適切なものを選ぶ問題です。FAOSTATなどの国際統計を用いた地図であり、国ごとの農業生産力や貿易構造などが反映されると考えられます。
<選択肢>
①【誤】「栄養不足人口の割合」を示す地図であれば、アフリカや南アジアなど食糧不足が深刻な地域が高位(大きな割合)となる一方、北米・西ヨーロッパ・日本など先進国が低位として描かれる傾向があります。ところが提示された地図では、中東や東アジアの一部など、必ずしも栄養不足人口が大きくはない国々も高位として示される地域があるように見受けられ、栄養不足人口の分布とは合致しにくいと考えられます。
②【正】「穀物の輸入依存度」が高い国の分布を考えると、農地面積や水資源に制約がある国、あるいは国内需要が大きい一方で生産量が限られる国が高位となりがちです。中東諸国や日本・韓国など、国内での穀物生産が難しいか需要が大きいかで輸入に大きく依存する地域が、高い階級として塗られやすいことが想定されます。地図の色分けもそのようなパターンを示していると考えられます。
③【誤】「1人1日当たりカロリー摂取量」だと、北米やヨーロッパなどの多くの先進国が高カロリー摂取の上位となり、逆にアジア・アフリカ諸国が下位に分布する傾向が顕著です。ところが提示地図には、中東諸国などでも高位に分類されている国が見られ、それらの国はむしろ輸入依存度が高い一方でカロリー摂取量は必ずしも世界トップレベルではない場合が多く、分布が一致しません。
④【誤】「平均寿命」が長い国は一般的に医療水準・生活水準の高い先進国となり、アフリカ諸国の多くは低寿命となりやすいため低位で示されると予想されます。ところが提示された地図では、中東や東アジアなど平均寿命が比較的高い地域が輸入依存度とも関連して高位に色分けされている点で矛盾が生じ、平均寿命分布とは対応しにくいと考えられます。
問102:正解1
<問題要旨>
アフリカ大陸の複数の地点(ア~エ)周辺の自然環境と農業の特徴を比較し、それぞれの降水量の季節変化や作物の栽培形態などを踏まえて、最も適切な説明文を選ぶ問題です。
<選択肢>
①【正】「アの周辺は、降水量の季節変化が少ない冷涼な気候で、肥沃な土壌をいかして小麦などが栽培されている」という記述は、北アフリカの高地や地中海性気候に近い地域を指す場合に当てはまる可能性があります。冷涼・湿潤な地域があり、小麦や大麦が栽培される事例も見られ、緯度や地形的条件から矛盾が少ない説明です。
②【誤】「イの周辺は、1年中乾燥する気候であり、オアシスや灌漑施設を利用してアブラヤシなどが栽培されている」という内容は、サハラ砂漠付近などオアシス農業が成立する地域であれば一定の妥当性はあります。しかし、アブラヤシはむしろ降水量が豊富で高温多湿な熱帯地域(西アフリカや東南アジア)での栽培が主流であり、年間を通じた乾燥気候と結びつけるのは不自然です。
③【誤】「ウの周辺は、雨季と乾季が明瞭な高温の気候で、焼畑によってキャッサバなどが栽培されている」は、サバナ気候や熱帯モンスーン気候で見られる伝統的な農業形態ではあるものの、地図上のウの位置によっては必ずしもキャッサバ主体とは限りません。焼畑農業自体はアフリカの熱帯域で広範に見られますが、キャッサバ栽培が卓越する地域かどうかは不確かで、ア~エの設定によっては食い違いが出ます。
④【誤】「エの周辺は、冬より夏の降水量が多い温暖な気候で、ブドウなどが栽培されている」は、アフリカ南端近くの地中海性気候やステップ気候だと降雨パターンが異なる場合もあり、ブドウ栽培は一定の地域で行われますが、必ずしもエの場所と対応しているとは限りません。地図の場所から考えても、一般的なブドウ栽培地帯に該当しない可能性が高いため誤りと考えられます。
問103:正解1
<問題要旨>
いくつかの国における「1人1日当たりのコーヒー消費量」と「1人1日当たりの茶消費量」を散布図として示し、それぞれの国がどの点にあたるかを考察する問題です。特に、イギリスを示す点を選ぶよう求められています。
<選択肢>
①【正】イギリスは伝統的に紅茶の消費量が多く、コーヒーも一定量は飲まれるものの、紅茶ほど突出していない国として知られています。散布図上で紅茶の消費量が高く、コーヒー消費は中程度の位置にある点がイギリスに相当すると考えられます。
②【誤】イタリアなどはエスプレッソ文化を背景にコーヒー消費量が比較的多く、紅茶消費はさほど高くない傾向です。もし散布図にコーヒー消費が大きめに、紅茶が小さめに示される点があれば、そちらがイタリアに合致しやすいと推測され、イギリスとは位置が異なると考えられます。
③【誤】インドネシアは茶葉の生産国でもありますが、国内消費としてはコーヒーも多い反面、紅茶消費がそこまで突出するわけではありません。また可処分所得や地域性によっては一人当たりの消費がイギリスほど高くないことが多いため、イギリスには該当しづらいでしょう。
④【誤】中国(本土や香港などを含む)は世界的に見ても茶の総消費量は大きいものの、一人当たりの紅茶消費という観点では緑茶中心の文化もあり、イギリス式の紅茶とは異なります。またコーヒーの普及度も近年は伸びつつありますが、イギリスほどの水準には届いていない地域が多いと考えられます。
問104:正解2
<問題要旨>
南・東南アジアとヨーロッパにおける生産・収穫から消費に至るまでの各段階の食品ロスの割合、および最終的な消費者段階での損失割合を比較した表をもとに、表中のデータやその背景要因について正しく述べているか、誤りを含むかを見極める問題です。
(設問文では下線部①~④があり、そのうち「適当でないもの(誤り)」を一つ選ぶ形式と考えられます。)
<選択肢>
①【正】生産・収穫段階のロスが南・東南アジアのほうがヨーロッパよりも高めになる理由として、小規模生産者の品質基準や収穫環境(高温多湿など)が影響しやすい点がよく挙げられます。データから見てもこの点は概ね妥当です。
②【誤】貯蔵段階のロスが極端に高いのはヨーロッパだと述べるなどの説明があった場合、それは実際のデータと合わない可能性が高いです。むしろ高温多湿な地域では貯蔵設備が不十分なまま収穫期を迎えるとロスが起きやすく、欧州よりもアジア地域の方で貯蔵段階の損失率が大きい場合が多いので、この記述が「適当でないもの」と判断されます。
③【正】卸売・小売段階のロス要因として、「店舗で売れ残った商品を廃棄する比率」などが挙げられるのは、先進国でも途上国でも共通ですが、その規模は地域によって差が出ます。表のデータからも、小売段階のロスは一定程度あることが読み取れ、概ね説明と整合します。
④【正】消費段階のロス(いわゆる食品廃棄)は、欧州や先進国の方が高くなる傾向があると言われます。したがって、そうしたロスを減らすためのフードバンク活用などの取り組みが広がっているという記述は全体の状況と矛盾しません。
第2問
問105:正解2
<問題要旨>
愛知県東部に位置する東三河地域(豊橋市周辺)の新旧地形図を比較し、市街地の拡大や土地利用の変化について述べた複数の文が提示されます。それらの文中で、正しい・誤った記述を組み合わせ、正解となるパターンを選ぶ問題です。
<選択肢>
①【誤】地形図の比較で示される市街地拡大の方向や、河川・湿地の埋立状況に合わない説明が含まれると考えられます。例えば「河川沿いはほとんど宅地化していない」など、明らかに地図と矛盾するような記述があれば誤りです。
②【正】新旧の地形図を見比べると、市の中心部が河川付近から拡大し、水田や湿地が宅地化・市街化されていくようすが確認できます。問題文中でも“a,bは合致、cは異なる”などの組み合わせが指摘され、実際の図面と照合すれば最も整合的と考えられます。
③【誤】場合によっては地形図の時代差から考えて、戦後の工場進出や鉄道整備が急速に進み、それがどの範囲で行われたかに関して正しくない表現があるかもしれません。地図上に明示された地域変化と矛盾すれば誤りです。
④【誤】中心部の拡張や周辺部の農地の変化などを説明する際に、時代的背景と照らして不自然な記述があれば誤りとみなされます。例えば「山間部が宅地化した」といった、地図と合わない説明があるなどのケースが考えられます。
問106:正解4
<問題要旨>
豊橋市における製造業(自動車関連など)の立地特性を示す分布図と会話文をもとに、「どの説明が正しいか、あるいは誤りか」を判断する問題です。従業者数や工業団地の位置、港湾や主要道路の近さなどがポイントになります。
<選択肢>
①【誤】沿岸部に海外自動車メーカーの流通拠点が集積している、あるいは内陸部の工業団地が特定産業に特化しているなど、実際の分布と整合しない説明があれば誤りと考えられます。
②【誤】主要道路から遠い地域に大規模自動車工場が集まるかのように述べていたり、実際の地図や統計情報とは逆の分布を示すような記述があれば誤りです。
③【誤】中小規模の工業が連続している地域を説明するとき、実際には別の産業や大企業の工場が集まっている場所を挙げるなど、地図から読み取れる情報と食い違う場合は誤りになります。
④【正】豊橋市の製造業従業者数分布図からは、港に近い三河湾臨海地区と内陸部の豊川・岩津地区などに大きな工業拠点があることが分かります。主要道路(国道や高速道路)へのアクセスが良いほど輸送コストが抑えられるメリットもあり、実際の分布と説明が合致しているのがこの選択肢と考えられます。
問107:正解5
<問題要旨>
東三河地域における1960年と2006年の各作物(キャベツ・米・サツマイモなど)の収穫量を行政区別に比較した資料をもとに、ア~ウの地図との対応を組み合わせる問題です。地域ごとの地形・気候・用水整備の歴史的経緯により、どの作物がどこで多く栽培されるようになったかを推測します。
<選択肢>
①~⑥ の組み合わせのうち、
- キャベツがどの図(ア・イ・ウ)に相当するか
- 米がどの図に相当するか
- サツマイモがどの図に相当するか
を整理し、1960年から2006年にかけて生産量が増大・減少する地域パターンを照らし合わせる必要があります。
ここでは「5」【正】となる組み合わせが、キャベツは高冷地や沿岸部の園芸地帯で増加したり、米は用水が整備された平野部で広範に作付けされ、サツマイモは畑作や中山間地域の特産としての変化が見られる、といったデータと合致していると考えられます。
他の組み合わせは、それらの作付面積・収穫量の変化パターンが当該地域の実態と整合しない点があるため誤りと判断されます。
問108:正解1
<問題要旨>
東三河地域が発着地となる他府県との「年間旅客数」データ(自動車・鉄道などの交通手段別)を示し、さらにJ県・K県・大阪府との比較を通じて、どこが自動車利用が多いか、鉄道利用が多いかといった特徴を読み解き、正しい組み合わせを選ぶ問題です。
<選択肢>
①【正】「K県は鉄道利用の旅客数が非常に多い」「J県や大阪府は自動車利用も一定程度多い」など、統計上もっとも違いが顕著なのがK県(大都市圏を抱えるため鉄道利用者が多い)というように、問題文や会話文の記述と合致する組み合わせであると考えられます。
②【誤】たとえば「静岡県は鉄道利用が最も多い」「長野県は自動車利用が最小だ」など、実際の移動実態や他府県との比較から見て明らかにずれる表現があれば誤りとなります。
③【誤】鉄道や自動車の利用客数データにおいて、最大・最小が取り違えられているような記述、あるいは県の交通特性に合わない説明があれば誤りです。
④【誤】都市圏や幹線道路網の状況を無視して、どの県がどの交通手段を多用しているかを誤った前提で述べている場合は正しくないといえます。
第3問
問109:正解1
<問題要旨>
日本列島が複数のプレートの境界に位置していることから、地震や火山活動が活発である点に着目し、それぞれの地域で見られる特徴を問う問題。各地方ごとの火山帯やプレートの沈み込みとの関連性、直下型地震の発生有無、九州の火山列や東シナ海の津波の可能性などを比較検討する必要がある。
<選択肢>
①【正】
東北地方は太平洋プレートが北アメリカプレート(またはその下部構造を含む陸側プレート)に沈み込むことで火山帯が連なり、南北方向に火山が分布する特徴がある。こうしたプレートの沈み込みが、火山活動や地震の頻発と関係している。
②【誤】
中国・四国地方で火山が少ないことはおおむね事実だが、直下型地震が発生しないわけではない。実際には内陸直下型地震が各地で起こる可能性があるため、「発生しない」という断定は誤りといえる。
③【誤】
九州地方の活火山列は、ユーラシアプレートとフィリピン海プレートの相互作用(沈み込み)が主な原因とされるが、「離れつつある(拡大境界)」とはやや異なるプレート運動である。九州の中央部を南北に走る火山帯は主に沈み込み帯と関連するため、この記述は不適切。
④【誤】
東シナ海は面積こそ太平洋より小さいが、浅い海域における地震でも津波が発生する可能性はある。南西諸島への津波がまったく生じないわけではないので、「発生しない」と断言するのは誤り。
問110:正解6
<問題要旨>
図2に示されるア・イ・ウの折れ線グラフは、それぞれ月別の降水日数の変化を表したもの。図1中のa・b・cの都市(あるいは地点)とこれらグラフを対応させる問題で、降水量の季節変化や梅雨・台風などの影響を踏まえ、どれがどのグラフに当たるかを組み合わせる。
<選択肢>
①【誤】
ア・イ・ウに対しa・b・cを当てはめたとき、月別降水日数の特徴が地方の気候特性(例えば夏の集中、冬の偏りなど)と合致しない部分があるため不適合となる。
②【誤】
①と同様に、特定の時期に雨が多い都市と少ない都市の対応を誤ると、平均降水日数の推移のグラフと齟齬が生じる。
③【誤】
グラフの最大・最小の月や、梅雨があるかないか、冬季の降水日数が多いかどうかなどを考慮すると、この組み合わせも見当違いとなる場合が多い。
④【誤】
それぞれの都市の気候特性(太平洋側・日本海側などの違いや、北・南の違い)を踏まえると、ここで示される対応は成立しづらい。
問111:正解3
<問題要旨>
日本各地に分布する地すべり地を取り上げ、その地形をどのように利用してきたか、また地すべり対策としてどのような工夫があるかを示す資料を読み取り、空欄に入る語句(「果樹園」「棚田」「地下水位の上昇」「地下水位の低下」など)の正しい組み合わせを問う問題。
<選択肢>
①【誤】
地すべり地を果樹園として利用し、地下水位が上昇したときに地すべりが生じやすいといった解釈が必ずしも文脈と合致しない。
②【誤】
果樹園と地下水位の低下だけでは、資料中で説明される地すべり地の特徴(周囲の緩傾斜や排水対策など)を十分にカバーしていない。
③【正】
棚田として利用され、水資源を活用しながらも、地すべりを防止するために地下水の排水やトンネル工、擁壁などが行われているという内容と合致しやすい。棚田は水の管理と関連が深く、地すべり対策の説明とも対応する。
④【誤】
棚田と地下水位の低下がセットになっているなど、部分的にはあり得るが、資料から読み取れる地すべり地の利用や対策と符合しない点がある。
問112:正解3
<問題要旨>
津波による被害を受けた地域の地形図を読み取り、そこに示された学校や公共施設、津波避難タワー、自然災害伝承碑の位置と標高などを照合しながら、津波や津波防災に関する記述を判断する問題。
<選択肢>
①【誤】
Aの学校がBの公共施設よりも高台にあるケースはあり得るが、「敷地も広い」「津波発生時の優先避難場所に適している」という論が本文とずれている場合もあり、必ずしもそうとは限らない。
②【誤】
Cが湾の中心付近に位置する場合であっても、海岸方向に行くほど津波が浅い・深いかは一概に言えず、単純に「Cに向かうほど大きな浸水になる」と断定しづらい。湾形状や地形などによっては必ずしもそうはならない。
③【正】
Dにある津波避難タワーが低地に建設されるのは、高台への避難が難しい住民にとって短時間での垂直避難手段を確保するためである。高所の避難先が遠い場合や限られる場合、こうしたタワーの設置が活用される。これが記述と合致しやすい。
④【誤】
Eにある自然災害伝承碑などの意味づけによっては、F付近も安全とみなせるかどうかは別問題である。「F付近の集落では津波発生時に避難不要」というような断定は危険であり、資料に基づく内容とは言えない。
第4問
問113:正解1
<問題要旨>
北半球のいくつかの地域にみられる、床を高くした屋根形状の伝統的な住居の写真(ア・イ・ウ)と、別途示されるA〜C地域の気候指標(気温の年較差、1月と7月の降水量)を対応させる問題。写真の外観(積雪に備えた急傾斜屋根かどうか、壁の材質など)と気候データを突き合わせて、地域の特徴を考える。
<選択肢>
①【正】
アの写真は急勾配の屋根や高い床下など、比較的寒冷で降雪への備えが見られる住居に近い印象を受ける。Aの気候指標でも冬の降水量が少なく、気温の年較差が比較的大きい場合は寒冷地の可能性が高く、こうした住居形態と合致する。
②【誤】
イやウと結びつけた場合に、気候データの年較差や降水量パターンと外観があまり一致しない可能性がある。写真の特徴が合わないなら誤りとなる。
③【誤】
BやCをイ・ウと対応させた際、気温の変動が大きいのに屋根がそうでない形状だったり、降水量のピークがずれている場合など、資料との整合性に問題が生じる。
④【誤】
同様に、屋根形状が緩やかな住居であったりするなら、大量の積雪を想定した構造と合わないことが多く、気候区分と符合しない。
問114:正解2
<問題要旨>
日本におけるブラジル人・ベトナム人居住者数、およびブラジル・ベトナムにおける日本国籍をもつ居住者数を対比し、両国との交流の進展や政策背景などを示す資料を読み取って、文章の組み合わせを判断する問題。進出企業の状況や日本語教育、祭りや伝統行事への現地参加など、多方面の交流の実態が鍵となる。
<選択肢>
①【誤】
日本企業が進出して長期滞在者が多いケースはブラジルにもベトナムにもあり得るが、資料内の数値や特定時期の移住の流れが説明と食い違う場合がある。
②【正】
ブラジル側・ベトナム側いずれかの政府方針を背景に多くの日本人が移住し、日本に関連する祭りや文化行事が現地でも盛んに行われている現象が見られる。このような相互交流が増大していることを裏付ける記述は資料との整合性が高い。
③【誤】
日本国籍をもつ居住者数の推移と現地の日本語学習者数を結びつける場合、年ごとの増減が説明と合わない可能性がある。
④【誤】
日本企業の進出時期や移民の帰国時期などに関して、一部誤った時系列で説明していると、資料と齟齬をきたす。
問115:正解4
<問題要旨>
映画や音楽などのコンテンツが世界各国で公開・上映される状況を示した図(上位作品数の制作国割合)を読み取り、国ごとの産業の特徴や言語の影響などをまとめた文章の真偽を判定する問題。特にアメリカ合衆国で製作される英語映画が世界的に大きなシェアをもつ点などに着目しながら、正しくない記述を特定する。
<選択肢>
①【誤】
セネガルのように旧宗主国の文化的なつながりが影響し、フランス系の作品がヒットする事例など、アフリカ諸国の状況としては起こり得る。これ自体は一概に誤りとはいえない。
②【誤】
新興国でも自国の映画産業が盛んで国内シェアを確保する事例が見られる。韓国やインドなどが典型例で、その点を指摘する記述は多くの場合、事実に合致する。
③【誤】
韓国のように映像作品を輸出しているケースはよく知られている。K-POPや韓流ドラマ・映画が近年世界で注目を集めていることからも、一定の真実性がある。
④【正(ここでは「誤りを選ぶ問題」での該当)】
「英語話者の割合が高い国ほどアメリカ合衆国の影響が大きい」といった記述は一見もっともらしいが、図2に示される映画制作国の比率だけで判断すると、英語圏だから必ずアメリカ映画が圧倒的というわけではない国もある。言語以外に経済力や文化的嗜好など要因が複雑に絡むため、単純に「英語圏なら米国映画の比率が最大」と言えるとは限らない。この点が資料と明確に整合しないため、記述としては不適切となる。
問116:正解4
<問題要旨>
携帯電話契約数の普及率が、人口100人当たりで20を超えた年・100を超えた年を指標として、国ごとの情報通信技術の発展度合いを比較する問題。日本以外に3か国(アメリカ合衆国・ケニア・シンガポールのいずれか)が存在し、それぞれの折れ線がいつ20や100を超えるかをグラフで読み取り、国名とサ・シ・ス(仮名で示された国)を正しく対応づける。
<選択肢>
①【誤】
アメリカ合衆国を「サ」、ケニアを「シ」、シンガポールを「ス」と対応させる際、グラフと年代の超過タイミングが不一致となる可能性がある。
②【誤】
同様に、ケニアとシンガポールを取り違えた場合や、20台から100台に達するまでの期間がグラフと合わないことが多い。
③【誤】
シンガポールやアメリカのどちらが先に100台を超えたか、ケニアの普及がどのタイミングで20台を超えたかなどを正しく把握していないと整合しない。
④【正】
シンガポールの普及速度は比較的早く、ケニアは遅れて急激に伸びる傾向があるなど、グラフの示す年代と契約数の到達点が最も整合する対応関係が得られる。こうした年次推移が各国の経済水準・IT政策を背景に合理的に説明できる。