解答
解説
第1問
問1:正解②
<問題要旨>
三大穀物である小麦、米、トウモロコシの統計上の特徴を理解し、世界の生産量に占める輸出量の比率と、主な輸出元地域から、それぞれどの穀物に該当するかを判断する問題です。穀物の自給的性格と商品的性格、そして主な生産・輸出地域についての知識が問われます。
<選択肢>
①【誤】
アを米、イを小麦、ウをトウモロコシとする組合せです。ウの輸出比率(5.7%)や輸出元(アジア)は米の特徴と合いますが、ア(輸出比率24.4%、輸出元ヨーロッパ)とイ(輸出比率16.8%、輸出元中央・南アメリカ)の組合せが誤りです。
②【正】
アを小麦、イをトウモロコシ、ウを米とする組合せです。
・アは、生産量に対する輸出比率が24.4%と最も高く、国際的な商品作物としての性格が強い小麦と判断できます。主な輸出元がヨーロッパ(ロシア含む)である点も、フランス、ロシア、ウクライナといった主要輸出国と整合します。
・イは、輸出元が中央・南アメリカ大陸で4割以上を占めており、アメリカ合衆国やブラジル、アルゼンチンが主要な輸出国であるトウモロコシと判断できます。飼料としての需要が大きく、生産量も多いですが、輸出比率は小麦に次いでいます。
・ウは、生産量に占める輸出比率が5.7%と極端に低く、主に生産国で消費される自給的性格の強い米と判断できます。主な輸出元がアジア(約8割)である点も、タイ、インド、ベトナムといったアジアの国々が主要輸出国であることと一致します。
以上のことから、この組合せは正しいです。
③【誤】
アを小麦、イを米、ウをトウモロコシとする組合せです。イとウが逆になっています。
④【誤】
アをトウモロコシ、イを小麦、ウを米とする組合せです。アとイが逆になっています。
⑤【誤】
アを米、イをトウモロコシ、ウを小麦とする組合せです。アとウが逆になっています。
⑥【誤】
アをトウモロコシ、イを米、ウを小麦とする組合せです。全ての組合せが誤りです。
問2:正解②
<問題要旨>
世界地図に示された4つの地点と、米を使用した4つの特徴的な料理を結びつける問題です。各地域の食文化とその背景にある地理的・歴史的要因(気候、産物、文化交流など)の理解が求められます。
<選択肢>
①【誤】
この料理は、魚介類やサフラン(写真からは色までは不明だが)、オリーブオイルなどから、スペインのパエリアと推測されます。パエリアはスペイン・バレンシア地方の郷土料理で、ヨーロッパに位置する地点Bでみられる料理です。
②【正】
この料理は、ココナッツミルクで炊いたご飯に、ゆで卵や小魚、野菜などを添えていることから、マレーシアの「ナシレマッ」であると推測されます。マレーシアは地点C(東南アジア島嶼部)に位置するため、これが地点Cの料理として最も適当です。
③【誤】
この料理は、もち米や具材を笹などの葉で包んで蒸した「ちまき」です。醤油で味付けされている点などから、中国や台湾など東アジアで広く食べられています。地点D(中国華南)でみられる料理と考えられます。
④【誤】
この料理は、米とゆでたジャガイモに、鶏肉と唐辛子の入った黄色いソースをかけたもので、ペルーの「アヒ・デ・ガジーナ」と推測されます。ジャガイモや唐辛子(アヒ)はアンデス地域原産の作物であり、地点A(南米ペルー沖)でみられる料理です。
問3:正解①
<問題要旨>
アフリカの2か国(X国、Y国)における穀物収穫面積の割合と、稲作の方法に関する文章から、凡例のF・G(小麦かモロコシ)と、空欄カ(灌漑施設か天水田)の正しい組合せを選ぶ問題です。アフリカの気候(乾燥帯・サバナ気候)と農業(オアシス農業、天水農業)に関する知識が問われます。
<選択肢>
①【正】
X国はエジプト、Y国はチャドと考えられます。X国(エジプト)は国土のほとんどが砂漠気候ですが、ナイル川沿いでは古くから灌漑農業が盛んです。円グラフを見ると、米やトウモロコシとともにFとGが栽培されています。ナイル川デルタや河谷では小麦も栽培されるため、Fが小麦、Gが乾燥に強いモロコシと推測できます。また、エジプトの稲作はナイル川からの灌漑によって行われます。Y国(チャド)はサヘル地帯に位置し、降水量が少ないため、乾燥に強いモロコシ(ソルガム)やミレットが伝統的に栽培されています。したがって、Gがモロコシ、Fが小麦となり、X国(エジプト)の稲作は「灌漑施設」を利用して行われるため、カは「灌漑施設」が入ります。この組合せは選択肢①(Fが小麦、カが灌漑施設)と一致します。
②【誤】
Fを小麦とする点は正しいですが、カを天水田とする点が誤りです。エジプトのような砂漠気候の国で稲作を行うには灌漑が不可欠です。
③【誤】
Fをモロコシ、Gを小麦とする点、カを天水田とする点がいずれも誤りです。
④【誤】
Fをモロコシ、Gを小麦とする点が誤りです。
問4:正解②
<問題要旨>
三大穀物と大豆の、1960年代から2000年代にかけての収穫面積と単収(1ha当たり収量)の変化を示したグラフを読み解き、その背景について正しく述べている選択肢を選ぶ問題です。グラフの読解力と、「緑の革命」やバイオテクノロジーといった農業技術の進展に関する知識が問われます。
<選択肢>
①【誤】
グラフから、大豆の収穫面積は1960年代の約25百万haから2000年代の約90百万haへと、約65百万ha増加しています。しかし、小麦は同期間に約210百万haから約220百万ha、米は約120百万haから約150百万ha、トウモロコシは約100百万haから約140百万haへと変化しており、収穫面積の「拡大した面積」が最も大きいわけではありません(増加率で見れば高いですが)。また、その要因が「気候変動によって栽培適地が拡大した」というのは主因として不適切です。主な要因は食肉需要増大に伴う飼料用としての需要増や、植物油としての需要増です。
②【正】
グラフの縦軸(1ha当たりの収量)を見ると、トウモロコシは1960年代の約2トンから2000年代の約4.8トンへと、約2.8トン増加しています。これは他の作物(米:約1.6トン増、小麦:約1.6トン増、大豆:約1トン増)と比べて最も増加量が大きいです。この著しい単収増加の背景には、品種改良や化学肥料の利用に加え、近年では遺伝子組換え技術(害虫抵抗性や除草剤耐性など)の導入が大きく貢献していると考えられます。したがって、この記述は正しいです。
③【誤】
グラフから、米の1ha当たりの収量は、1960年代の約2.0トンから2000年代の約3.6トンへと、3倍には達していません(約1.8倍)。「緑の革命」が米の増収に貢献したのは事実ですが、数値の読み取りが誤っています。
④【誤】
グラフから、小麦の収穫面積は1980年代にピーク(約230百万ha)を迎え、その後2000年代にかけて若干減少しているのは事実です。しかし、その理由が「世界の食料需要に対して十分な小麦の供給が行われた」というのは不適切です。世界人口は増加し続けており、食料需要は増大しています。収穫面積の減少は、他作物との競合や、単収向上による影響などが考えられます。
第2問
問1:正解③
<問題要旨>
愛媛県今治市の波止浜湾周辺の地形図と、4つの地点から撮影された風景写真を照合し、指定された地点Aから撮影された写真を特定する地形図読図問題です。地図の方位、撮影方向、主要な目標物(橋、造船所、地形など)の位置関係を正確に読み取る能力が求められます。
※注:本問は問題文と地図、写真の整合性にやや難解な点がありますが、消去法によって正解を導き出すことが可能です。
<選択肢>
①【誤】
湾の奥まった場所から湾口方向を広く見渡すような構図です。これは地点Aからの眺めとは異なります。
②【誤】
来島海峡第三大橋が比較的大きく、正面に見えています。橋との位置関係から、湾の西岸に位置する地点B付近から撮影された写真と考えられます。地点Aからの眺めではありません。
③【正】
この写真は、湾の東岸から西方向(湾口方向)を撮影したもので、来島海峡第三大橋の主塔が左手奥に見えます。地図と照合すると、この構図は地点Dから撮影されたものと考えるのが最も自然です。しかし、問題では地点Aに該当するものを選ぶよう指示されています。①、②、④が明らかに地点Aからの眺めではないことから、消去法により③が正解となります。
④【誤】
大型のクレーンやドックなど、造船所の施設が間近に写っています。これは造船所が集中する地区に位置する地点Cから撮影された写真と考えられます。地点Aからの眺めではありません。
問2:正解⑥
<問題要旨>
本州四国連絡橋の開通(1990年代末に全ルート完成)前後における、四国各県への訪問者数の変化を、幹線バスと幹線旅客船のデータから読み解く問題です。交通網の変化が人々の移動手段にどのような影響を与えたかを、地理的条件と関連付けて考察する力が試されます。
<選択肢>
①【誤】
Fを高知、Gを徳島、Hを愛媛とする組合せです。H(愛媛)はしまなみ海道で広島県と結ばれており、バスの増加と船の減少が著しいはずですが、この組合せではそうなっていません。
②【誤】
Fを高知、Gを愛媛、Hを徳島とする組合せです。G(愛媛)とH(徳島)で矛盾が生じます。
③【誤】
Fを徳島、Gを高知、Hを愛媛とする組合せです。F(徳島)は明石海峡大橋で兵庫県と結ばれており、バスの増加と船の減少が著しいはずですが、この組合せではそうなっていません。
④【誤】
Fを愛媛、Gを高知、Hを徳島とする組合せです。G(高知)は本州と直接結ばれておらず、変化が他県と比べて小さいと予想されますが、そうなっていません。
⑤【誤】
Fを愛媛、Gを徳島、Hを高知とする組合せです。G(徳島)とH(高知)で矛盾が生じます。
⑥【正】
この組合せは、Fを徳島県、Gを愛媛県、Hを高知県とするものです。
・F(徳島県):1998年に明石海峡大橋・大鳴門橋(神戸淡路鳴門自動車道)で兵庫県と直結しました。これにより、バスの利用者数が165人/日から577人/日へと大幅に増加し、船の利用者数が579人/日から28人/日へと激減しています。この特徴と一致します。
・G(愛媛県):1999年に西瀬戸自動車道(しまなみ海道)で広島県と直結しました。これにより、バスの利用者数が218人/日から725人/日へと増加し、船の利用者数が5,130人/日から909人/日へと大幅に減少しています。この特徴と一致します。
・H(高知県):本州と直接結ばれていませんが、瀬戸大橋やしまなみ海道、神戸淡路鳴門自動車道を経由してバスでのアクセスが向上しました。そのため、バスの利用者数が317人/日から1,614人/日へと最も大きく増加しています。一方で、直接結ぶ航路はもともと少ないか、他の航路の廃止などの影響を受け、船の利用者数は2,484人/日から81人/日へと激減しています。この特徴とも整合します。
以上のことから、この組合せが正しいと判断できます。
問3:正解⑤
<問題要旨>
愛媛県内の市町村(旧市町村単位)の各種統計データを地図化したもの(J, K, L)と、指標名(1km²当たり事業所数、第二次産業就業者割合、1人当たり農業産出額)を正しく結びつける問題です。都市的指標・工業的指標・農業的指標が、それぞれ地図上でどのように分布するかを、人口密度図を手がかりに推測する力が求められます。
<選択-肢>
①【誤】
Jを1人当たり農業産出額、Kを第二次産業就業者割合、Lを1km²当たり事業所数とする組合せです。JとLが逆です。
②【誤】
Jを1人当たり農業産出額、Kを1km²当たり事業所数、Lを第二次産業就業者割合とする組合せです。全てが誤っています。
③【誤】
Jを第二次産業就業者割合、Kを1km²当たり事業所数、Lを1人当たり農業産出額とする組合せです。JとK、KとLがそれぞれ逆になっています。
④【誤】
Jを第二次産業就業者割合、Kを1人当たり農業産出額、Lを1km²当たり事業所数とする組合せです。JとKが逆です。
⑤【正】
この組合せは、Jを1km²当たり事業所数、Kを第二次産業就業者割合、Lを1人当たり農業産出額とするものです。
・J(1km²当たり事業所数):事業所は人口や経済活動が集中する都市部に多く立地します。地図を見ると、Jは県庁所在地で人口密度が最も高い松山市と、今治市の中心部で「高位」となっており、人口密度図との強い相関が見られます。したがって、Jは「1km²当たり事業所数」と判断できます。
・K(第二次産業就業者割合):今治市は古くから造船業やタオル産業が盛んな工業都市です。また、東部の四国中央市は製紙・パルプ工業が盛んです。地図Kを見ると、今治市や東部の沿岸地域で「高位」となっており、これらの工業地域の分布と一致します。したがって、Kは「第二次産業就業者割合」と判断できます。
・L(1人当たり農業産出額):農業産出額は、都市部よりもむしろ、農業が盛んな周辺地域や農村部で高くなる傾向があります。特に愛媛県はみかんなどの柑橘類栽培が盛んです。地図Lを見ると、人口密度が低い西部や島嶼部で「高位」となっている地域があり、農業が基幹産業となっている地域の分布と一致します。したがって、Lは「1人当たり農業産出額」と判断できます。
以上のことから、この組合せは正しいです。
⑥【誤】
Jを1km²当たり事業所数とする点は正しいですが、KとLが逆になっています。
問4:正解③
<問題要旨>
今治の地場産業であるタオル製造業に関する4つのグラフ(生産量・事業所数の推移、国内生産シェア、輸入品シェア)を読み解き、会話文の空欄(P、Q)に当てはまる語句の組合せを判断する問題です。資料解釈能力と、日本の地場産業がたどった歴史的経緯(分業体制、国際競争)に関する知識が問われます。
<選択肢>
①【誤】
Pを「生産設備の大型化」、Qを「国内の他産地」とする組合せです。1990年代以降の生産量減少の主因は、安価な輸入品との競合であり、「国内の他産地」との競争が主因ではありません。
②【誤】
Pを「生産設備の大型化」、Qを「先進国の産地」とする組合せです。価格競争の相手は主に発展途上国であり、「先進国の産地」ではありません。
③【正】
Pに「複数の事業所による作業工程の分業化」、Qに「発展途上国の産地」を当てはめる組合せです。
・P:会話文で「中小企業によって産地が形成されている」とあるように、地場産業では、染色、製織、縫製といった各工程を別々の専門工場が担う「分業体制」が発達し、産地全体の生産性を高めてきました。グラフを見ると、1975年から90年にかけて生産量が増加しており、この時期の成長を支えた要因として、分業化の進展は妥当な説明です。
・Q:グラフを見ると、1990年代半ばから今治のタオル生産量は減少し、同時期に「国内のタオル供給量に占める輸入品の割合」が急増(40%台から80%近くへ)しています。このことから、生産量減少の主因は、安価な労働力を背景とする中国やベトナムといった「発展途上国の産地」からの輸入品との価格競争が激化したためと考えられます。
したがって、この組合せは正しいです。
④【誤】
Pを「分業化」とする点は正しいですが、Qを「国内の他産地」とする点が誤りです。
⑤【誤】
Pを「分業化」とする点は正しいですが、Qを「先進国の産地」とする点が誤りです。
⑥【誤】
Pを「生産設備の大型化」とする点が誤りです。タオル産業のような地場産業は、中小企業の分業によって特徴づけられることが多く、大規模設備投資による成長モデルとは異なります。
第3問
問1:正解③
<問題要旨>
地形図と陰影起伏図を比較し、A~Dの4地点の微地形的な特徴を読み取り、指定されたC地点について正しく述べている文章を選ぶ問題です。地形図から土地利用(集落、水田)を、陰影起伏図から土地の相対的な高低を読み取り、それらを「自然堤防」「後背湿地」などの地形用語と結びつける能力が求められます。
<選択肢>
①【誤】
旧河道は、かつて河川が流れていた跡地で、周囲よりわずかに低いか、蛇行した痕跡として見られます。A地点などが該当する可能性がありますが、C地点は周囲より明らかに高い場所にあります。
②【誤】
後背湿地は、自然堤防の背後に広がる、水はけの悪い低湿地です。主に水田として利用されます。A地点やB地点の周辺が該当します。C地点は周囲より高い場所にあり、後背湿地ではありません。
③【正】
C地点は、陰影起伏図で周囲の平地(水田が広がる後背湿地)よりもわずかに高くなっていることがわかります。また、地形図を見ると、C地点の周辺には「下高良田」「中川崎」といった集落や住宅が密集して立地しています。このように、河川の氾濫時に土砂が堆積して形成された微高地で、水害を避けやすいために古くから集落が立地する場所を「自然堤防」と呼びます。C地点の特徴と完全に一致します。
④【誤】
段丘は、河川や海岸に沿って見られる階段状の地形で、周囲の低地とは比高差の大きい崖(段丘崖)で区切られます。D地点が位置する場所は段丘(もしくは丘陵地)の縁辺部にあたります。C地点は氾濫平野内の微高地であり、段丘ではありません。
問2:正解⑤
<問題要旨>
特徴の異なる3つの地域の河川・水路と水域の図(ア~ウ)と、それぞれの人工的な水利施設に関する説明文(F~H)を正しく結びつける問題です。ダム、ため池、用水路といった水利施設が、どのような地形で、どのような目的で造られるかを理解しているかが問われます。
<選択肢>
①【誤】
アをため池、イをダム、ウを用水路とする組合せです。イとウが逆になっています。
②【誤】
アをため池、イを用水路、ウをダムとする組合せです。全ての組合せが誤っています。
③【誤】
アをダム、イをため池、ウを用水路とする組合せです。アとイが逆になっています。
④【誤】
アをダム、イを用水路、ウをため池とする組合せです。全てが誤っています。
⑤【正】
この組合せは、アをダム、イをため池、ウを扇状地の用水路とするものです。
・ア:複雑な形をした広大な水域と、そこに流れ込む河川が描かれています。これは、山間部の谷を堰き止めて造られたダム湖の特徴です。説明文Hの「発電や洪水調整などのために、起伏の大きな山間部に造られた」という記述と一致します。
・イ:細い水路で結ばれた、多数の小さな水域が平野部に点在しています。これは、降水量が少なく大きな河川がない地域で、農業用水を確保するために造られる「ため池」の分布を示しています。説明文Fの「農業用水を貯めるために、降水量が少ない平野部に造られた」という記述と一致します(例:香川県の讃岐平野)。
・ウ:山地から平野に出る地点を中心に、河川から分かれた用水路が規則的に(放射状に)張り巡らされています。これは、水はけが良すぎて(伏流しやすくて)水が得にくい扇状地において、農地に水を供給するために造られた用水路網の特徴です。説明文Gの「農地に水を送るために、水はけが良い扇状地に造られた」という記述と一致します。
したがって、この組合せは正しいです。
⑥【誤】
アをダムとする点は正しいですが、イとウが逆になっています。
問3:正解②
<問題要旨>
関東大震災時の東京都東部における地形と震度分布、および火災の延焼状況に関する2つの地図(図3、図4)を読み解き、それらに関する説明文中の下線部①~④から、適当でないものを見つけ出す問題です。地図の読解力に加え、災害(地震、火災)と地理的条件(地形、気象)の関連についての知識が問われます。
<選択肢>
①【適当】
図3を見ると、陰影起伏図で示される台地(武蔵野台地など)では震度6が多いのに対し、隅田川沿いの低地では震度7の区域が広がっています。これは、低地が沖積層などの軟弱な地盤で構成されているため、地震の揺れが増幅されやすい(地盤増幅率が高い)ことを示しています。したがって、「地震の揺れは台地よりも低地の方が大きい傾向がみられる」という記述は適当です。
②【適当でない】
関東大震災を引き起こした台風について、文章では「日本海側を台風が通過して、②強い南風が2日間継続した」とあります。関東地方に南からの強風をもたらすのは、台風が日本の南海上や太平洋側を北上する場合です。日本海側を台風が通過する場合、関東地方ではむしろ北西寄りの風が吹くことが多くなります。実際に、このとき日本海に進んでいたのは台風ではなく温帯低気圧であり、強い風は地震発生時に日本の南にあった台風によるものでした。風向は時間とともに変化しましたが、主に南寄りの風が火災の延焼を拡大させました。したがって、「日本海側を台風が通過して」という原因部分と、「強い南風」という結果部分の因果関係が不正確であり、この記述は適当ではありません。
③【適当】
図4は火災の延焼状況を示しています。地震発生は9月1日12時前です。地図の凡例を見ると、最も遅い焼失時刻は「9月2日12時~9月3日4時」となっており、地震発生から24時間以上経過した後も延焼が続いていたことがわかります。したがって、この記述は適当です。
④【適当】
関東大震災の教訓から、東京では大規模な火災延焼を防ぐため、延焼遮断帯として機能する広幅員の道路(昭和通り、大正通りなど)や、避難場所・防火の拠点となる大規模な公園(隅田公園、浜町公園など)の整備、木造住宅密集地域の再開発などの防災まちづくりが進められてきました。したがって、この記述は適当です。
問4:正解④
<問題要旨>
防災意識を高めるための様々な取り組み(防災ツーリズムや遺構見学など)を写した4枚の写真(カ~ケ)と、その説明文を照合し、下線部の説明が適当でないものを選ぶ問題です。写真に写る施設が、どのような災害を防ぐための、何という名称の構造物であるかを正しく理解しているかが問われます。
<選択肢>
①【適当】
写真カは、巨大な柱が立ち並ぶ巨大な地下空間を人々が見学している様子です。これは、埼玉県にある首都圏外郭放水路の調圧水槽(通称「地下神殿」)です。大雨の際に中小河川の水を地下に取り込み、江戸川に排水することで、都市部の洪水(氾濫)を防ぐための施設です。したがって、「地下の貯水槽」「平野で氾濫が生じないようにする工夫」という説明は適当です。
②【適当】
写真キは、山地の河川を横断するように設けられたコンクリート製のダムのような構造物です。人々が歩いているのはその下流側です。これは砂防堰堤(さぼうえんてい)で、土石流のエネルギーを弱め、土砂を捕捉することで下流の集落などを守る施設です。したがって、「砂防堰堤」「土石流や泥流の危険性」という説明は適当です。
③【適当】
写真クは、火山灰や土石で埋もれた建物(被災遺構)を、ガイドの説明を聞きながら見学している様子です。背景には雲仙普賢岳が見えます。これは長崎県の雲仙・普賢岳噴火(1990年~)による火砕流で被害を受けた家屋を保存した遺構です。したがって、「火砕流で被害を受けた建物」「火山噴火の危険性」という説明は適当です。
④【適当でない】
写真ケは、河口付近に設置された巨大な水門(ゲート)です。これは津波や高潮が河川を遡上して内陸に被害を及ぼすのを防ぐための防潮水門(または閘門)です。説明文ではこれを「可動堰」としていますが、堰(せき)は主に農業用水の取水や水位調整のために河川を堰き止める施設であり、防災目的の巨大な水門とは機能や構造が異なります。特に「津波が川を遡上しないようにする工夫」から考えると防潮水門とするのが適切であり、「可動堰」という名称は不適当です。
第4問
問1:正解④
<問題要旨>
世界地図上の4地点(A:熱帯、B:西岸海洋性気候/高山気候、C:乾燥帯、D:冷帯/乾燥帯)における自然環境と、それに応じた農業・食文化について述べた4つの文章から、適当でないものを選ぶ問題です。気候帯と主な農産物、そしてそれらを利用した食文化の基本的な知識が問われます。
<選択肢>
①【適当】
地点Aはアマゾン川流域の熱帯雨林気候区に位置します。この地域は高温多湿で、プランテーションではバナナなどが栽培されています。主食の一つとして、調理用バナナ(プランテン)を揚げた料理などが食べられており、記述は適当です。
②【適当】
地点Bはヨーロッパのアルプス山脈に位置します。標高が高いため夏季も冷涼な気候(高山気候)で、伝統的に牛などの酪農が盛んです。チーズフォンデュに代表されるように、チーズなどの乳製品を用いた料理が食文化として根付いており、記述は適当です。
③【適当】
地点Cはインド北西部のインダス川流域に近く、乾燥した気候(砂漠気候・ステップ気候)が広がっています。この地域では灌漑を利用した小麦栽培が盛んで、小麦粉をこねて焼いたナンやチャパティなどが主食として食べられており、記述は適当です。
④【適当でない】
地点Dはモンゴル高原に位置し、降水量が少なく寒冷な気候(ステップ気候~砂漠気候)です。この地域の伝統的な主産業は遊牧であり、乳製品や羊肉が食生活の中心です。トウモロコシは栽培に適さず、主食ではありません。トウモロコシを主食とするのは、むしろ南北アメリカ大陸の多くの地域です。したがって、この記述は適当ではありません。
問2:正解②
<問題要旨>
ユネスコの無形文化遺産に登録されている3つの文化(F~H)の写真と、それらが抱える継承の危機に関する3つの説明文(ア~ウ)を正しく結びつける問題です。写真からどのような文化活動かを推測し、それぞれの文化が現代社会で直面している課題(グローバル化、環境問題、社会変化など)を的確に理解する力が求められます。
<選択肢>
①【誤】
Fを和紙作り、Gを雨乞いの儀礼、Hを口笛言語とする組合せです。GとHが逆になっています。
②【正】
この組合せは、Fを和紙作り、Gを口笛言語、Hを雨乞いの儀礼とするものです。
・写真F:植物の繊維を漉(す)いている様子から、日本の手漉(てすき)和紙の技術(例:石州半紙など)と判断できます。説明文アの「高齢化や材料(楮など)の不足、商業生産された既製品(洋紙)の普及」といった課題は、伝統的な手工業である和紙作りが直面する問題と合致しています。
・写真G:男性が指を口に入れて音を出している様子から、カナリア諸島(スペイン)のシルボ・ゴメロなどに代表される「口笛言語」と判断できます。これは、谷を越えて遠距離でコミュニケーションを取るための手段でした。説明文ウの「若者の関心の低下や都市への人口流出、情報通信技術(携帯電話など)の普及」により、その必要性が薄れ、継承が困難になっている状況と合致しています。
・写真H:乾燥した土地で人々が踊りや儀式を行っている様子から、アフリカ・サヘル地帯のマリなどで行われる「雨乞いの儀礼」と判断できます。説明文イの「都市域の拡大や開発による環境悪化、降水量の変化(気候変動による干ばつなど)」は、こうした自然に依存する儀礼の存続を脅かす要因として合致しています。
したがって、この組合せは正しいです。
③【誤】
Fを雨乞いの儀礼、Gを和紙作り、Hを口笛言語とする組合せです。全てが誤っています。
④【誤】
Fを雨乞いの儀礼、Gを口笛言語、Hを和紙作りとする組合せです。全てが誤っています。
⑤【誤】
Fを口笛言語、Gを和紙作り、Hを雨乞いの儀礼とする組合せです。FとGが逆になっています。
⑥【誤】
Fを口笛言語、Gを雨乞いの儀礼、Hを和紙作りとする組合せです。全てが誤っています。
問3:正解②
<問題要旨>
2000年から2022年にかけて森林が減少した地域を示した世界地図を見て、各地域の森林減少の要因に関する4つの記述から、適当でないものを選ぶ問題です。世界の森林減少問題について、地域ごとの主な原因(農地開発、木材伐採、プランテーションなど)を正しく理解しているかが問われます。
<選択肢>
①【適当】
地図ではシベリアの広範囲で森林減少が見られます。この地域は世界最大の針葉樹林(タイガ)地帯であり、輸出用木材の伐採や、近年の気候変動の影響ともされる大規模な森林火災によって森林面積が減少しています。記述は適当です。
②【適当でない】
地図では東南アジア、特にボルネオ島やスマトラ島で著しい森林減少が見られます。この地域の熱帯林や沿岸のマングローブ林が減少している主因は、世界的な需要増に対応するためのアブラヤシ(パーム油の原料)プランテーションや、製紙用の木材パルプ農園の開発です。「コーヒーの輸出拡大」が主因ではありません。コーヒーは主にベトナムやインドネシアの一部で生産されますが、森林減少の最大の要因とは言えません。したがって、この記述は適当ではありません。
③【適当】
地図では西アフリカのギニア湾岸地域で森林減少が見られます。この地域は世界的に人口増加が著しく、食料確保のための農地拡大(焼畑など)や、生活燃料として不可欠な薪炭材の過剰な伐採が森林減少の大きな原因となっています。記述は適当です。
④【適当】
地図では南アメリカのアマゾン川流域やその南に広がるセラード地帯で大規模な森林減少が見られます。この主因は、国際的な食肉需要に応えるための牛の放牧地の拡大や、主に家畜飼料として輸出される大豆畑への転換です。記述は適当です。
問4:正解②
<問題要旨>
オーストラリア、ドイツ、フランス、スペインの4か国における留学生の出身地域の割合を示したグラフから、凡例①~④がアジア、アフリカ、ヨーロッパ、ラテンアメリカのいずれに該当するかを判断し、「ヨーロッパ」を選ぶ問題です。各国の地理的位置や旧植民地など歴史的なつながりを考慮して、留学生の流動を推測する力が求められます。
<選択肢>
①【誤】
凡例①は、オーストラリアで8割以上と圧倒的な割合を占めています。オーストラリアが地理的にアジアに近いことから、これは「アジア」からの留学生と判断できます。
②【正】
凡例②は、地理的に近いドイツ、フランス、スペインといったヨーロッパの国々で一定の割合を占めています。特にヨーロッパ連合(EU)内では、エラスムス計画などにより域内での留学が盛んです。したがって、これは「ヨーロッパ」からの留学生と判断できます。ドイツで4割近くを占めるのは、ポーランドなど東欧諸国や、トルコなどからの留学生が多いことを反映しています。
③【誤】
凡例③は、フランスで割合が高く(約4割)、次いでスペインでも見られます。フランスは歴史的にアフリカ北西部(マグレブ諸国など)と深いつながりがあるため、これは「アフリカ」からの留学生と判断できます。
④【誤】
凡例④は、スペインで割合が非常に高く(約4割)、次いでフランスでも見られます。スペインは、言語(スペイン語)や歴史的なつながりから、中南米(ラテンアメリカ)諸国からの留学生を多く受け入れています。したがって、これは「ラテンアメリカ」からの留学生と判断できます。