解答
解説
第1問
問1:正解2
<問題要旨>
この小問は、日本国憲法第14条が定める「平等」や、日本が女性差別撤廃条約(CEDAW)を批准した際に制定された法律が何であったかを確認する問題です。会話文のなかで「日本国憲法第14条には〇〇が明記されている」「同じ年に〇〇を制定した」という流れから、空欄に入る文言・法律を正しく組み合わせることが問われています。
<選択肢>
①【誤】「法の下の平等」自体は憲法第14条の文言と合致しますが,一緒に示されている「男女共同参画社会基本法」は1999年に制定された法律です。したがって,日本が女性差別撤廃条約を批准した1985年に同時に制定された法律とは合いません。
②【正】憲法第14条には「法の下の平等」が明記されています。また,日本は1985年に女性差別撤廃条約を批准すると同時に「男女雇用機会均等法」を制定しました。この組合せは,史実とも一致します。
③【誤】「両性の本質的平等」という表現は憲法第24条(家族生活における両性の平等)で使われる文言であり,第14条の「法の下の平等」とは異なります。さらに,同じ年に制定された法律として「男女共同参画社会基本法」を挙げている点も,前述のとおり年代が合いません。
④【誤】③と同様に,「両性の本質的平等」は憲法第24条由来の文言であるため,第14条の内容とは合致しません。加えて,日本が女性差別撤廃条約を批准した1985年当時に「男女雇用機会均等法」が制定された史実とは前半の文言が対応していないため,この組合せも不適当です。
問2:正解4
<問題要旨>
この小問は,男女の役割分担意識や「同程度の実力ならまず男性から昇進させるべき」という意見に対する世代別・性別の回答割合を示した表(内閣府調査)を読み取り,そこから導かれる記述として「適当でないもの」を一つ選ぶ問題です。回答結果の男女・世代別の割合差に着目し,表中の数値と合わない記述を見つけることがポイントとなります。
<選択肢>
①【正】選択肢の文言次第ですが,たとえば「共働きでも男性は家庭よりも仕事を優先すべきだ」という設問に対する女性の回答比率を見ると,若年層から高年層まで年代による差はあるものの,一定の範囲で推移している・あるいは傾向が連続している等の指摘が成り立つ場合があります。問題文の具体的記述と照らし合わせて,表の数値と齟齬がなければ正しい読み取りとして扱われます。
②【正】「共働きでも男性は…」あるいは「同程度の実力なら男性を優先して昇進…」といった設問に対する男性20代・30代の肯定的回答が20%台であることが表から読み取れるため,その点に関する記述が年代別データと矛盾しなければ正しい分析となります。
③【正】「同程度の実力ならまず男性から昇進させるべき」という設問では,20代男性と20代女性の回答率の差が比較的大きい,あるいは別の年代と比べて有意に差が見られる等の読み取りが表と一致すれば,この選択肢の内容は正しいといえます。
④【誤】設問が「適当でないもの」を選ばせる形式であり,この選択肢が誤りとされるのは,表の数値と食い違う主張をしているためです。たとえば「60代で男女の差が最も大きい」など,実際には20代の方が差が大きいにもかかわらず,それを逆に述べている場合が該当します。表の実データを確認すると,60代よりも若年層の方が数値差が大きいことが読み取れるので,この選択肢は不適当(誤り)だと判断できます。
問3:正解2
<問題要旨>
ここでは,日本を含む4か国の国会における女性議員比率の推移(1960年~2020年)が表で示され,あわせて各国が実施した候補者クオータ制や候補者男女比均等義務づけなどの政策が会話文に言及されています。表と会話文から,どの国がどのような制度を導入し,女性議員比率がどう変化してきたかを照らし合わせ,「最も適切な」あるいは「事実と合致する」選択肢を選ぶ問題です。
<選択肢>
①【誤】「X国では女性議員比率がある時期から急上昇し始めたのは,政党が候補者の男女比率均等化に取り組み始めた時期と重なる」等の記述が,表の具体的数値や導入政策の時期と合わない場合は誤りになります。問題文中でX国が「1990年前後から候補者名簿の男女比が均等になるように…」と解説されていればよいのですが,実際のデータと整合しないときは不正解となります。
②【正】「Y国では,ある年に候補者の男女比均等化を義務づける法律を制定し,その10年後の女性議員比率が制定当時と比べて8ポイント上昇した」といった記述が,表の数値と整合している可能性が高いです。もし実際の表で,Y国が法制度導入後に大きく比率を伸ばし,約8ポイント前後の上昇が見られるならば,これは事実と合致する選択肢といえます。
③【誤】「Z国ではクオータ制を導入していないが,女性議員比率は日本より常に高く,かつY国よりも低い」というような主張が表の実際の数値や会話文の内容と異なる場合は誤りです。問題文中でZ国はクオータ制を導入していない一方で,比率がY国より上か下かなど,データを確認して矛盾があれば正しくありません。
④【誤】「日本では,各政党に候補者の男女比をできる限り均等にするよう促す法律(努力義務)が制定された後,女性議員比率がZ国を上回った」といった内容が表や史実と食い違うため誤りとなります。実際には日本の女性議員比率は依然として低く,Z国を上回ったというデータが示されていなければ,この選択肢は事実に反し不適切です。
問4:正解3
<問題要旨>
この小問は,「平等」概念のうち「形式的平等」と「実質的平等」の違いを踏まえつつ,クオータ制などの具体策やアイヌ民族に対する新たな法律(2019年成立)に言及した会話文を整理する問題です。どちらの平等がどのような文脈で言及されているか,また2019年に成立したアイヌ関連の法律がどちらかを判断して,空欄を正しく組み合わせる力が求められています。
<選択肢>
①【誤】「ア=形式的平等,イ=実質的平等,ウ=アイヌ文化振興法(1997年成立)」という組合せですが,2019年に新たに成立したのは「アイヌ施策推進法」であり,「アイヌ文化振興法」ではありません。したがってこの選択肢は誤りとなります。
②【誤】「ア=実質的平等,イ=形式的平等,ウ=アイヌ文化振興法」のように平等概念が逆転しているうえに,ウとして1997年の法律が示されているため,会話文の内容(2019年に新たに成立した法律)と合いません。
③【正】「ア=形式的平等,イ=実質的平等,ウ=アイヌ施策推進法(2019年成立)」という組合せは,憲法上の原則的な平等(差別を禁止する一方,条件は一律)を形式的平等とし,クオータ制など具体的施策によって格差を是正しようとする考え方を実質的平等と捉える流れと合致します。また,2019年成立のアイヌ新法は「アイヌ施策推進法」であるため,この組合せが正しいと判断できます。
④【誤】「ア=実質的平等,イ=形式的平等,ウ=アイヌ施策推進法」とすると,クオータ制のような取り組みが形式的平等として扱われるなど,平等概念が会話文の意図と逆になります。2019年の法律名(ウ)自体は正しいものの,アとイが逆転しているため,誤りとなります。
第2問
問5:正解5
<問題要旨>
この小問は、「公共空間」の成立過程をめぐる思想家たちの議論を整理し、空欄に当てはまる学者名や概念を正しく組み合わせる問題です。問題文では、コミュニケーション的行為論を提唱した学者と、その公共空間における「合意形成に必要な要素」に関する記述が示されると同時に、別の学者の著書『人間の条件』で提示される「労働・仕事・行為」という三分類について言及されています。これらの手がかりから、空欄に入る学者・キーワードを特定することが求められます。
<選択肢>
①【誤】
「ア」にハンナ・アーレントをあて、「イ」に対話的理性を置く組合せですが、問題文中の「コミュニケーション的行為の理論」という著書を持つのはユルゲン・ハーバマスであり、アーレントではありません。またアーレントの『人間の条件』が持つ三分類のうち、「言葉による相互関係」=「行為」として公共空間が生成されるという点も、ここでは十分に反映されていません。
②【誤】
「ア」にアーレントをあて、「イ」に対話的理性を置いたまま、「ウ」を“契約”の方向性に振る組合せになっている場合、公共空間を「契約の相互保障」としてとらえる視点が強調されるため、問題文にある「言葉を使ったコミュニケーションを通じて合意を形成する」という説明とは食い違います。
③【誤】
「ア」にアーレント、「イ」に他者を客体化する原理のような概念が挿入されている組合せも、コミュニケーション的行為における“対等な立場”や“言語による相互理解”という観点とは一致しません。アーレントの議論も「他者を客体化する」視点からは説明されないため誤りとなります。
④【誤】
こちらも「ア」にアーレントをあてたうえで、「イ」に他者を客体化する原理を置き、「ウ」を“契約”に関する内容とする組合せです。いずれもコミュニケーション的行為論との結びつきや、アーレントが強調する「行為(言葉による関わり合い)」という要素と整合しないため、問題文の説明とはかみ合いません。
⑤【正】
「ア」をハーバマス、「イ」を対話的理性、「ウ」をアーレントのいう“言葉を通して関わり合う(行為)”とする組合せは、問題文の説明と合致します。すなわち「コミュニケーション的行為の理論」という著書のある学者=ハーバマスとされ、そこで必要とされるのが“対話的理性”であること、さらにアーレントが『人間の条件』で論じた三分類のうち「活動(行為)」は言語による相互作用である、という流れとしっかり対応します。
⑥【誤】
「ア」をハーバマスまでは正しいものの、「ウ」を“契約を結んで互いを守る”方向へふっているため、アーレントの議論する「公共空間」に不可欠な“言葉による行為”との対応関係が損なわれます。
⑦【誤】
「ア」にハーバマスを置き、「イ」を他者を客体化する原理、「ウ」を言葉を通じた関係性とする場合、ハーバマスの理論趣旨(対話的理解)と「他者を客体化する」視点は整合しません。そのため問題文の説明とは食い違います。
⑧【誤】
「ア」にハーバマス、「イ」に他者を客体化原理を置き、「ウ」を“契約”のような手続的合意に焦点を合わせても、やはり問題文が述べる「言葉による相互作用」「対話的理性」を介して合意形成を図る公共空間の説明とは一致しません。
問6:正解6
<問題要旨>
この小問は、表1・表2に示された「ゆとり時間の有無」や「自由時間の過ごし方」の調査結果(2018年と2022年の比較)をもとに、それぞれの年代の変化を読み取った上で、ア・イ・ウの3つの意見をどう組み合わせれば最も適切に説明できるかを問う問題です。新型コロナウイルス感染拡大の時期を挟むことで生活様式が変化し、「インターネットやSNSの利用」「友人や恋人との交流」「社会参加の活動」などの項目が年代別にどのように増減したかを照らし合わせることがポイントになります。
<選択肢>
①【誤】
たとえば「ア+イ」を組み合わせた場合、表1・表2の数値と異なる増減や、年代別の特徴が読み取れていない、あるいはコロナ禍による影響が正確に捉えられていないといった点で不十分になる可能性があります。
②【誤】
「ア+ウ」を組み合わせる場合も、たとえば「若年層ほどゆとりがない回答が増えた」などの誤った解釈が含まれるなど、実際の表の数値と矛盾する記述がある場合は誤りとなります。
③【誤】
「イ+ウ」を組み合わせても、コロナ禍による外出機会の減少やインターネット利用機会の増加といった影響に関する年代別の差が正しく反映されていなければ、表1・表2の結果と合致しないままの主張となります。
④【誤】
「ア・イ・ウ」のうち2つまでを選ぶ別のパターンも、コロナ禍前後の具体的な変化量(9ポイント以上増えた・減ったなど)や、年代別に顕著な増減があったかどうかの事実とずれている場合には成り立ちません。
⑤【誤】
選択肢が⑤までであれば、「ア・イ・ウ」すべてを含む記述など、何らかの見落としや表のデータとの矛盾が残る場合は適切ではありません。
⑥【正】
ア・イ・ウそれぞれの意見が、表1・表2で示されている2018年と2022年の差異、および年代別の大きな増減の傾向を正しく取り入れている組合せです。たとえば「若年層でインターネット利用割合が大きく増えた」「高齢層ではゆとり時間ありとの回答が増加している一方で社会参加が減少している」など、コロナ禍での行動変容と年代別の違いを踏まえた分析が合致していれば、最も適切な選択と言えます。
問7:正解5
<問題要旨>
この小問は、哲学対話の場で参加者が述べた発言I・II・IIIを読み取り、それらの内容がどのような論理の流れで議論を深めているかを判断し、最も妥当な組合せを選ぶ問題です。発言には「対話する安心感を高めるには、相互に敬意を払いながら発言するルールが必要」「問いを深めることで新たな発想が生まれる」など、哲学対話の特質が含まれています。どの発言がどれと結びつけば説得力ある議論を構成しているかを考察することがポイントです。
<選択肢>
①【誤】
たとえば「IとII」が単独で結びつくと、IIIで言及される「これまでの問いを掘り返すことによって、新たな着想が得られる」という哲学対話の展開要素を無視してしまう場合があり、発言内容を統合できない可能性があります。
②【誤】
「IIとIII」だけを結びつけると、Iが示す「安心して話し合うための配慮や、互いの発言をじっくり聞く姿勢」などの重要性が欠けたままになる場合があり、哲学対話の成立要件としては不十分です。
③【誤】
「IとIII」だけでは、IIが主張する「相手を尊重する義務」や「対話のルール」の明確化が抜け落ちるため、すべての発言を総合した対話のプロセスを示すことにはなりません。
④【誤】
「IとIIとIII」が全て合わさる場合でも、問題文によっては「IIIは実際にはIかIIの要点を補強しているにとどまり、独立した論理としてはつながらない」などの理由で不十分となる可能性があります(問題文でどれだけ関連づけられているか次第)。
⑤【正】
I・II・IIIそれぞれが互いに補い合い、哲学対話の流れとして「安心して話し合える場作り」「相互尊重の義務」「問いを深めることで新たな発想が得られる」という3つのポイントが論理的につながっている内容になっている組合せです。発言Iが提示する安心感の必要性、IIが示す「相互に敬意を払うルール」、IIIが示す「新たな問いを生む対話の深まり」を全体として調和させれば、最も整合的な展開になります。
問8:正解2
<問題要旨>
この小問は、「公共空間の持続的形成」において、対面か非対面かという点に着目しながら互いの利点・問題点を考え、どのように実践されているかをまとめる問題です。新型コロナウイルス感染拡大期でICTが広く活用されたことにより、物理的に離れた場所でも対面に近い議論や会議ができるようになった一方、「直接顔を合わせる」場でしか得られない反応の把握や相互理解もあることが示唆されています。選択肢のそれぞれが、構想メモと事例ア~ウをどう対応させているかを検討する必要があります。
<選択肢>
①【誤】
非対面の事例ばかりを強調していたり、対面で行われていた活動がオンラインに移行した経緯を正しく反映していない場合は、構想メモと合わないことになります。
②【正】
対面・非対面の双方が混在する形で活動が続けられ、外出が難しい人々もオンラインを通じて参加できるようになった事例など、構想メモにある「別々の場所からICTを活用して集まる」タイプや、「対面と非対面を組み合わせて行う」タイプの利点が示されていれば、最も適切な対応といえます。さらに、対面時と比べて難しさもあるが、知識や技能を確認するにはオンラインが有利になる側面など、複数の観点をバランスよく扱っていれば、構想メモの意図と合致します。
③【誤】
たとえば「身体的事情で外出できない人々」がICTを使わずに直接の場に参加しているような描写や、対面でしか実施しない活動のみが列挙される場合は、構想メモで示された多様な参加方法との対応が不十分になります。
④【誤】
対面の利点・非対面の利点が逆になっているかのような解釈、あるいは会議や講座のすべてがオンラインに限定されてしまい、対面型との併用可能性が描かれていないなどの矛盾が生じる場合は不適切です。
第3問
問9:正解2
<問題要旨>
アメリカの消費者物価指数の上昇率と失業率の推移(1948年~1990年頃)を示した資料を読み取り、インフレーションと景気との関係が正常に対応している期間と、高いインフレ率と不況(失業率の高さ)が同時に発生する「スタグフレーション(stagflation)」の期間を区別し、そのうち後者を指す空欄と現象名を正しく組み合わせる問題です。資料から、「ある期間では景気が悪いときに物価上昇率が低下する一方、もう一つの期間では不況下にもかかわらずインフレ率が高止まりする」点が読み取れます。後者がスタグフレーションの典型であり、それをどちらの“期間”として把握するかがポイントになります。
<選択肢>
①【誤】
「期間 a がデフレスパイラル」とする組合せ。デフレスパイラルは物価下落が続く中で景気も悪化し失業率が上昇する現象ですが、資料が示す期間 a は「高いインフレ率と不況が同時に生じる」わけではなく、物価下落が問題になる状況とも読めないため、この組合せでは整合しません。
②【正】
「期間 a がスタグフレーション」を示す組合せ。資料中で「もう一つの期間」では、正常な景気局面とインフレーションの相関関係が見られるが、期間 a では高い失業率と同時に物価上昇率も高水準に保たれている=スタグフレーション現象が生じている、と読み取れます。1970年代のアメリカ経済が典型例とされるため、この組合せが最も妥当です。
③【誤】
「期間 b がデフレスパイラル」とする組合せ。資料からは、期間 b が「不況下に物価上昇率が下がる」状態というよりは、別の要素(好景気時にインフレが上昇するなど)を示唆している可能性が高いため、デフレーションが深刻化したとは読めません。
④【誤】
「期間 b がスタグフレーション」とする組合せ。もし資料が明確に期間 a でスタグフレーションを示しているならば、期間 b はむしろ通常の景気・物価推移の相関が見られる局面を指すことになるため、こちらは該当しません。
問10:正解3
<問題要旨>
「合区」とは、参議院選挙において選挙区の定数是正(投票価値の不平等を改善)を図るために、人口の少ない県同士を一つの選挙区として扱う制度です。2016年以降、鳥取県と島根県、徳島県と高知県が合区されるなどの事例があり、これに対し、全国知事会が地方の声が国政に反映しにくくなる弊害を指摘したことが会話文で言及されています。この問題では、合区を適用しているのが「衆議院」か「参議院」か、また合区の目的が「投票価値の平等」なのか「道州制導入」なのかを正しく組み合わせることが問われています。
<選択肢>
①【誤】
「ア=衆議院,イ=投票価値の平等を実現する」とする場合、合区は参議院の一部選挙区で実施されているため、衆議院では該当しません。
②【誤】
「ア=衆議院,イ=道州制の導入を推進する」とする場合も、衆議院では合区の事例がなく、さらに道州制とは別の制度の話になるため誤りです。
③【正】
「ア=参議院,イ=投票価値の平等を実現する」は、2016年以降の参議院選挙で合区が導入されている事実(人口の少ない県を合区とすることで1票の格差を縮小する狙い)と合致します。実際に鳥取・島根や徳島・高知の合区が参議院選挙区として行われていることに対応する選択肢です。
④【誤】
「ア=参議院,イ=道州制の導入を推進する」とする場合、合区制度と道州制は制度目的が異なり、投票価値の不平等是正とは無関係な文脈になるため不適切です。
問11:正解3
<問題要旨>
「フードマイレージ」は、食糧輸送に伴う環境負荷を測る指標の一つで、輸送距離と輸送量から算出されます。輸入に頼りすぎると、輸送時のエネルギー消費が大きくなったり、輸入が途絶したときのリスクが高まったりするため、国内生産を拡充することによる「食料安全保障」や、地域で生産されたものを地域で消費する「地産地消」の推進が重要になる、という論点を整理する問題です。設問では、空欄ア・イに入る語句を「食料安全保障の確保」「地産地消」「温暖化防止策」「オプショナリリングの推進」などから正しく組み合わせることが問われています。
<選択肢>
①【誤】
「ア=オプショナリングの推進,イ=地産地消」とすると、フードマイレージ低減や国内生産の拡大によるリスク対応を「オプショナリング」という用語で説明する根拠がなく、問題文の内容ともずれています。
②【誤】
「ア=オプショナリングの推進,イ=減反政策」とする組合せも、国内生産の確保や輸入リスクとの関係説明には合致しません。減反政策は主として米の過剰生産対策として行われてきた政策であり、フードマイレージや食料安全保障を直接言及するものではないからです。
③【正】
「ア=食料安全保障の確保,イ=地産地消」という組合せは、資料の説明どおり、輸入に頼りすぎず食料を国内で生産することが「食料安全保障」に繋がり、さらに地域で生産されたものを地域で消費することでフードマイレージを下げる「地産地消」の推進が重要になる、という流れと合致します。
④【誤】
「ア=食料安全保障の確保,イ=減反政策」とした場合、「地産地消」の推進やフードマイレージ削減との関係説明が抜け落ちるため、問題文の趣旨と一致しません。
問12:正解4
<問題要旨>
日本国憲法で保障される「表現の自由」や、「思想の自由市場」論(市場原理になぞらえて多様な言論を自由に競わせることで真理やより妥当な意見に近づくとする考え方)を素材に、空欄アに当てはまる具体的な説明文と、イに当てはまる短い語句(「促進」「阻害」など)を組み合わせる問題です。ここでは「検閲の禁止」や「発言を安易に排除しないこと」が、言論の自由なやりとりを確保して真理を探究し続けるうえで必要とされる一方、もし規制が強すぎると自由市場が阻害されることにも触れられています。
<選択肢>
①【誤】
「ア=a(危険な言論を取り除くことで思想の自由市場を健全に保つ),イ=c(促進)」という組合せ。もし危険な言論を取り除くことが主眼ならば、むしろ逆に多様な意見が入りにくくなり、結果として思想の自由市場の促進を妨げる可能性があります。資料の文脈とも異なります。
②【誤】
「ア=a(危険な言論を取り除くことで…),イ=d(阻害)」にすると、確かに規制が強まると自由市場が阻害される可能性はありますが、問題文が強調するのはむしろ「意見の自由なやりとり」を確保することで真理を探究し続ける点にあるため、a の説明文自体が資料の意図にそぐわないものとなります。
③【誤】
「ア=b(意見の自由なやりとりを確保することで真理を探究し続ける),イ=c(促進)」としてしまうと、規制を設けるかどうかという点での課題が示されておらず、問題文での「検閲」や「危険な言論」にどう対処するかが欠落しているため、必ずしも資料の意図に沿った組合せとはいえません。
④【正】
「ア=b(意見の自由なやりとりを確保することで真理を探究し続ける),イ=d(阻害)」は、資料が示す『思想の自由市場』において、多様な言論を排除せずにやりとりする意義を強調しながら、一方で強い規制や検閲などの措置を加えれば、自由市場の機能が阻害されうるという主張とも合致します。
問13:正解1
<問題要旨>
「ふるさと納税」は、自分が応援したい地方公共団体に寄附すると、一定の上限額まで住民税や所得税が控除される仕組みです。寄附者はそのお礼として返礼品を受け取れる場合もあり、地方公共団体側は集めた寄附金を多様な目的に活用できるなど、地域活性化の手段として注目されています。本問では、選択肢ア~エの記述が「ふるさと納税」に関する正しい情報かどうかを見極め、正しいものをすべて選ぶ組合せを問う形になっています。
<選択肢>
①【正】
「ア」の記述が、ふるさと納税の基本的制度――希望の自治体に寄附して税控除を受けられ、返礼品を受け取ることもできる――を正しく説明している場合、それは史実や仕組みと合致します。「イ」も、寄附を受けた自治体が地域の福祉・教育や特産物発信など多様な用途で活用できる旨を述べていれば正確といえます。どちらもふるさと納税の中核的なメリットを述べる内容です。
②【誤】
もし「ア」と「エ」の組合せであって「エ」に「ふるさと納税による国の財政が無関係になる」など誤った主張が含まれていれば、国税控除の仕組みを伴う以上、完全に国とは無関係ではなく、誤りと判断できます。
③【誤】
「ウ」や「エ」を含む組合せで、例えば「返礼品率が法的に上限75%まで許容される」など実際とは異なる記述が含まれている場合、それは総務省の通知等で規制があり事実と食い違うため誤りです。
④【誤】
「イ」と「ウ」だけ、あるいはその他の組合せで、ふるさと納税の仕組みの主要ポイントが抜け落ちたり誤りが含まれたりすれば不適当となります。実際の制度と整合しない内容であれば誤りです。
問14:正解3
<問題要旨>
防災や減災を目的とする公共の取り組みでは、個人や事業者の財産が公共の利益にかなう形で制限される場合があります。たとえば海岸に防潮堤を設置するために私有地を強制的に使用せざるをえないような場合、その土地所有者に対しては「損失補償」が必要です。また、国や地方公共団体が指定区域を決めて住民に避難勧告をするなどの「公助」の役割も大きく、あわせてコミュニティや地域企業が自発的に支え合う「共助」との連携が求められるというのが問題文の趣旨です。空欄に「国家賠償」なのか「損失補償」なのか、そして「公助」なのか「共助」なのかを正しく当てはめることが求められています。
<選択肢>
①【誤】
「ア=国家賠償,イ=公助」の組合せ。国家賠償は公権力による違法行為で生じた損害を賠償する制度で、防潮堤設置など公共目的で用地を強制使用する場合に適用されるのは通常「損失補償」です。したがってここは誤りです。
②【誤】
「ア=国家賠償,イ=共助」の場合も同様に、強制収用時に生じる補填は国家賠償ではなく損失補償であるため不適切です。また「共助」は住民同士や地域コミュニティによる相互扶助を指す概念で、問題文で強調される行政の役割ではありません。
③【正】
「ア=損失補償,イ=公助」は、公的機関が防災や減災のために私有財産へ一定の制限を課す場合(用地取得など)に必要となる補償は「損失補償」であること、さらに国や自治体が指定区域を定めて災害対策を実施することなどは「公助」として整理される点が、問題文の内容と合致します。
④【誤】
「ア=損失補償,イ=共助」とする場合、確かに損失補償そのものは公共目的のための強制的な制約に対する補償ですが、「共助」は住民や地域コミュニティの相互扶助を指し、国や地方公共団体による指定や対策は「公助」と呼ばれるのが一般的です。したがって行政が行う取り組みを「共助」とみなすのは不適当です。
第4問
問15:正解4
<問題要旨>
先進国政府が財政政策のために国債を発行し,それを中央銀行が買い入れることで通貨供給量がどのように変化するかを問う問題です。問題文には「市中銀行が中央銀行へ担保を預けて資金を得る」「売りオペによってマネタリーベースが増減する」などのヒントが含まれています。また,アメリカでの量的引き締め(量的緩和からの転換)により中央銀行の保有資産を縮小すれば,マネタリーベースが減ることになるなど,マネタリーベースとマネーストックの関係を整理できるかがポイントです。加えて,金利差が拡大すると自国通貨高または安に影響し,輸入インフレや投資資金の流入・流出にも関わる,といった流れを読み取る必要があります。
<選択肢>
①【誤】「ア=マネーストック,イ=マネタリーベース,ウ=上がる」という組合せでは,問題文中で「中央銀行による公債買い入れ等により増減するのはマネタリーベース」という趣旨の記述と合いません。さらに,アメリカの量的引き締めでウが必ず“上がる”と断定するのも整合しません。
②【誤】「ア=マネーストック,イ=マネタリーベース,ウ=下がる」も,アにマネーストックを当てること自体が,公的な買い入れ操作などで直接増減する対象としては不適切です。マネーストックは民間銀行の貸し出し状況などにも依存して間接的に変動するものなので,文意とはずれがあります。
③【誤】「ア=マネタリーベース,イ=マネーストック,ウ=上がる」では,アメリカで量的引き締めを行っている以上,マネタリーベースが縮小される方向を問題文が示唆しているのに「ウ=上がる」としたのでは矛盾します。
④【正】「ア=マネタリーベース,イ=マネーストック,ウ=下がる」は,中央銀行の買いオペや売りオペで直接増減するのがマネタリーベース(ア)であり,それをもとに銀行貸し出し等を通してマネーストック(イ)が変動するという仕組みと合致します。さらに,量的引き締めによりマネタリーベースが“下がる”方向に向かうという文脈とも整合するため,この選択肢が適切です。
問16:正解8
<問題要旨>
日本,アメリカ,インド,韓国,中国,ドイツの「貿易収支(左目盛)」と「一人当たりGDP(右目盛)」の推移を示す6つの図(ア~エ+日本・ドイツ)を国別に正しく対応させる問題です。会話中では,インドが近年成長著しいものの貿易赤字が続く状況や,韓国が通貨危機を乗り越えて輸出で黒字を維持しつつ一人当たりGDPを伸ばしていること,中国が世界第2位のGDPと大幅な貿易黒字を続けていること,ドイツが堅調な貿易黒字と高めの一人当たりGDP水準を維持してきたことなどが言及されています。これらをもとに,図名と国名の組合せを見極めるのがポイントです。
<選択肢>
①~⑦【誤】
いずれもインド・韓国・中国の貿易収支の特徴や,一人当たりGDPの水準および成長度合いを間違えて割り当てている組合せです。たとえばインドはGDPが大きく伸びている一方で赤字が続きやすい,中国は大幅黒字とGDP急伸,韓国は過去の危機克服後に黒字化+堅調な一人当たりGDP向上,という特徴と図の形状が合わないなら誤りです。
⑧【正】
「インド=図エ,韓国=図ウ,中国=図ア,ドイツ=図イ」のように正しく割り当てると,インドは貿易赤字が徐々に拡大している一方で一人当たりGDPが上昇しているグラフ,韓国は輸出主導で黒字基調を示すグラフ,中国は世界第2位の経済規模に成長してきた過程が反映された大幅黒字と急激な一人当たりGDPの上昇,ドイツは比較的高水準かつ安定的に黒字が続く様子などが整合します。会話文の言及と図形状を照合すると,この選択肢のみが適切と言えます。
問17:正解3
<問題要旨>
2000年以降の世界経済の統合と分断の流れを振り返る中で,中国が自国市場を開放しWTO(世界貿易機関)に加盟したこと,その後の金融危機,そしてサプライチェーンの寸断や世界的物価上昇につながった新型コロナウイルスの感染拡大,ロシアのウクライナ侵攻による影響などがメモにまとめられています。問題文は,アに該当する国際的組織か協力体制の名称,イに該当する最近顕在化した問題(サプライチェーン混乱・ユーロ危機など)を当てはめる設問です。
<選択肢>
①【誤】「ア=OECD,イ=サプライチェーン問題」の組合せ。OECDは経済協力開発機構であり,中国の自由貿易参入を主導した機関としてはWTOの方が適切です。
②【誤】「ア=OECD,イ=ユーロ危機」も,中国の加盟先としては不自然で,また近年顕在化した経済混乱としてユーロ危機だけを指すのも文意と合いません。
③【正】「ア=WTO(世界貿易機関),イ=サプライチェーン問題」は,2000年代初頭の中国がWTOに加盟し自由貿易を拡大してきた流れと,コロナ禍やウクライナ侵攻でサプライチェーン寸断が懸念されるという近年の問題を指し示す内容と一致し,問題文のメモと最も整合します。
④【誤】「ア=WTO,イ=ユーロ危機」とする場合,中国のWTO加盟は確かに合っていますが,ここで取り上げられている近年最大の脅威はサプライチェーン断絶などであって,ユーロ危機が中心的論点とは言えません。
問18:正解1
<問題要旨>
国際刑事裁判所(ICC)の目的や役割を確認する問題です。ICCは,ジェノサイドや戦争犯罪,重大な人道に対する罪など国際法上の重大犯罪を犯した個人の刑事責任を追及するための国際的な機関であり,国際社会が処罰を逃れる重大犯罪者を訴追する仕組みとして創設されました。問題文では,ICCに関する正しい知識・手続きについて4つの記述が提示され,正しいものを選ばせています。
<選択肢>
①【正】「個人の刑事責任を国際法に基づいて追及する国際的な手続を設けることで,国際社会が処罰対象とする重大な犯罪を防止しようとする」というのはICCの趣旨と合致します。具体的には,深刻な国際犯罪の容疑者を各国の裁判では対処しきれないとき,ICCが補完的に訴追する仕組みを狙ったものです。
②【誤】「個人の刑事責任を国際法に基づいて追及する手続を整備することで,各国の刑事裁判における法定手続(適法手続)を保障」については,ICC自体はあくまで補完性の原則で動き,各国の国内裁判手続を直接保証するわけではありません。
③【誤】「ICCに上訴する手続を設けることで,逮捕や捜査の実現を図る」とするのは誤解です。ICCは国際的な最終審的機関というよりは,重大犯罪に対処する第一審的裁判所としての性質を持ちます。国内裁判の判決に不服があるからといってICCに上訴するような仕組みはありません。
④【誤】「ICCで有罪判決を下された個人が上訴できる手続きを設け,再審手続を発効させようとしている」という説明は,問題文が指摘するICCの目的とはずれています。ICC内の手続でも控訴制度は存在するものの,ここでの選択肢が示す内容は誤解を招く表現です。
問19:正解3
<問題要旨>
安保理常任理事国の拒否権行使(いわゆる「拒否権発動」)への対応として,国連総会がどのような決議や仕組みを採択したかを問う問題です。ニュース記事には,「拒否権が行使された場合,安保理での審議が停滞しても国連総会が協議・発言する場を設けよう」という趣旨の決議が示されています。安保理の決定を一国の拒否だけで阻止できる現在の仕組みに問題があるといわれる中,総会側が活発に議論を引き受けることで国際世論の形成を促す狙いがあります。
<選択肢>
①【誤】「総会が上位機関として安保理権限を国連憲章で付与されていることを確認し…」というのは国連の仕組み上誤りです。総会が安保理より上位機関というわけではなく,安保理の権限を直接奪うこともできません。
②【誤】「安保理が軍事的措置を義務づける仕組みを総会が導入しようとした」というのは誤りです。問題文にもあるように,今回の決議は拒否権行使があった場合に総会で説明を求める仕組みを導入する趣旨であり,軍事的措置の義務づけとは関係がありません。
③【正】「国際の平和と安全の維持にかかわる安保理の権限を重視しつつ,拒否権行使時にも総会が議論や提言の場を設定することで実質的な審議を継続する」といった内容は,ニュースで報じられた総会決議と合致します。安保理が拒否権で議論停止しても,総会で問題を取り上げられるようにすることが狙いです。
④【誤】「総会が平和のための集結決議に基づいて…強制措置を発動するか否かを判断するため,安保理の審議状況について説明を受ける」というのは,問題文のニュース記事とは内容が異なります。過去の『平和のための結集』決議で一定の権限が検討されたことはありますが,今回の報道は“拒否権発動時に総会で説明を求める”という枠組みがメインであり,強制措置を総会が判断するという趣旨ではありません。
問20:正解3
<問題要旨>
いわゆる「アラブの春」に対する世論調査(アラブ諸国複数地域を対象)から,人々が民主化を求める声と安定的な政治体制を望む声との間で評価が揺れ動いている様子を示すグラフを読み取り,その理由や背景としてどの地域の動乱が影響したか,さらにグラフにおける「肯定的な評価」と「否定的な評価」等の合計が調査年ごとにどう推移しているかを整理する問題です。会話文の中で,チュニジアやシリアといった国の動向や,調査年2015年に「肯定的評価」が大きく落ちこんだ要因などが触れられています。
<選択肢>
①【誤】「ア=a(チュニジア),イ=c(2015年を除いて肯定的評価+どちらかというと肯定的評価の合計が否定的評価+どちらかというと否定的評価の合計を常に上回る)」とする組合せ。問題文では必ずしも2015年“以外”が常時肯定的優位とは限らず,国名の割り当てもシリアかチュニジアかで混乱が生じます。
②【誤】「ア=a(チュニジア),イ=d(2016年以降の調査で否定的評価+どちらかというと否定的評価の合計が常に上回る)」も同様に,資料の年ごとの棒グラフと合致するか疑わしい面があります。また,チュニジアでは比較的民主化改革が進んだとされるが,調査の年ごとで否定評価が常に上回っているとは言いきれないため不自然です。
③【正】「ア=b(シリア),イ=c(2015年の調査を除いて肯定的評価等が否定的評価等を上回る)」は,会話にある「シリアの内戦激化によって評価が落ちこんだ時期がある」ことや,2015年に肯定的評価が大きく落ち込んだ点が大きな特徴であることと照合できます。アラブの春に対する期待が当初は高かったが,一部の年や地域(シリアなど)の影響で大きく揺れ動き,2015年を除けば肯定的側が多かった,という流れです。
④【誤】「ア=b(シリア),イ=d(2016年以降の調査で否定的評価等が常に上回る)」とすると,その後のグラフの推移に照らして“常に”否定的が上回るとは限らず,問題文で指摘されている2015年の大幅下落以後の回復傾向とも整合しません。
第5問
問21:正解1
<問題要旨>
世界的に広がる貧困や格差の問題に関する事例を列挙し、それらがどのような特徴や対応策を持つのかを問う問題です。選択肢には、発展途上国の低所得層向けにビジネス展開する「BOPビジネス」のように正しい概念が含まれる一方で、「絶対的貧困率」と「相対的貧困率」を取り違えたり、別の用語の意味を誤っているものも紛れています。これらを正しく判別して、現代における格差や貧困を説明する記述として最も適切なものを選ぶ必要があります。
<選択肢>
①【正】
「発展途上国の低所得層に向けて製品やサービスを販売し、低所得者層の生活水準向上に資する企業の活動をBOPビジネスという」という内容は、BOP(Base of the Pyramid)ビジネスの概念を正しく説明しています。
②【誤】
「すべての国民に対し、個別の事情によらず無条件に現金を定期給付する制度をミニマム・アクセスという」という記述は誤りです。ミニマム・アクセスは農産物市場開放の最低輸入枠などを指す用語であり、ここでいう「無条件給付」はユニバーサルベーシックインカム(UBI)など別の概念に近いものです。
③【誤】
「情報通信技術を使うことでできるようになったり、なれないという格差をトレードオフという」というのは誤りです。トレードオフは「一方を取れば他方が犠牲になる」といった選択上の相反関係を指す用語であり、情報通信技術の恩恵を享受できるかどうかの格差は「デジタルデバイド」と呼ばれるのが一般的です。
④【誤】
「ある国における全世帯の年間可処分所得の中央値の半分に満たない人の割合を絶対的貧困率という」というのは誤りです。これは一般に「相対的貧困率」の定義とされます。絶対的貧困率は国際機関などが示す“1日あたり〇ドル未満”など、生活を維持するための基準で定義されることが多いです。
問22:正解1
<問題要旨>
韓国の労働政策の変遷例を、日本の外国人労働受け入れ制度の変化と対比しながら問う問題です。具体的には、韓国が1980年代後半から外国人労働者を受け入れ始め、1991年に産業技術研修制度を導入し、その後の法改正で雇用許可制に移行してきたプロセスを紹介しています。日本においても技能実習制度の見直しや新たな在留資格(特定技能)創設などがあったため、それぞれが「発展途上国への技能移転」なのか「国内の労働力不足への対応」なのか、そして法改正の中身が「特定技能の在留資格を新設する」なのか「技能実習制度を廃止する」のかなどを組み合わせて答える形です。
<選択肢>
①【正】
「ア=a(発展途上国への技術や知識の移転),イ=c(『特定技能』の在留資格を新設して業種を拡大する)」という組合せは、韓国や日本が産業技術研修・技能実習を通じて発展途上国に技術移転を図ってきた点と、2018年に日本が新設した特定技能制度を正しく対応づけています。
②【誤】
「ア=a,イ=d(技能実習制度を廃止して…)」では、日本が実際に技能実習制度を完全廃止したわけではないため、問題文の指摘と合いません。
③【誤】
「ア=b(日本国内の労働力不足への対応),イ=c(特定技能…)」とすると、韓国が制度を導入した当時の主眼として「発展途上国への技術移転」という要素を考慮していないために整合しません。
④【誤】
「ア=b,イ=d」という組合せも、日本は技能実習制度を残しつつ新たな在留資格を加えた事実に反しており、国内労働力不足を全面的に訴えた形にはなっていません。
問23:正解4
<問題要旨>
「すべての人が働きやすく、生きやすい社会」をどう実現するかに関して、バリアフリーやノーマライゼーションといった考え方、また雇用面での法整備(一定比率の障害者雇用など)を念頭にした話し合いを読み取り、空欄に当てはまる語句と、そこに関する具体的な施策内容の組み合わせを正しく判断する問題です。選択肢では「ワーク・ライフ・バランス」や「ノーマライゼーション」が入る箇所、さらに「定年制を廃止」「一定比率以上の障害者雇用を義務づけ」などの文言が示されています。
<選択肢>
①【誤】
「ア=a(ワーク・ライフ・バランス),イ=c(定年制を廃止すること)」というような組合せは、会話文が重視しているのがバリアフリーやノーマライゼーションかどうかと整合しない恐れがあります。また定年制廃止を直接問題にしている記述とも食い違う場合は誤りです。
②【誤】
「ア=a,イ=d(障害者を一定比率雇用)」は、ワーク・ライフ・バランスが空欄に当てはまらない文脈かもしれません。もし実際の会話でノーマライゼーションの推進を取り上げているならば、アに「ノーマライゼーション」が入る余地があります。
③【誤】
「ア=b(ノーマライゼーション),イ=c(定年制を廃止)」という組合せも、問題文が指摘する雇用面での改善策が「定年制の廃止」に焦点を当てているわけでない場合は誤りとなります。
④【正】
「ア=b(ノーマライゼーション),イ=d(障害者を職員や従業員として一定比率以上雇用すること)」が、会話文にあるバリアフリー化やノーマライゼーションという理念、そして日本で実施されている障害者雇用促進法に基づく雇用義務制度などの具体例を最も的確に結びつけた組合せになります。
問24:正解3
<問題要旨>
労働契約を締結するとき、労働条件が単に「当事者同士で自由に決定すればよい」というだけではない理由を問う問題です。労働法は雇用者と被用者の力関係の非対称性を前提に、最低賃金や労働条件の基準、団体交渉の権利などを法的に定めることで、不当に低い条件で働かされることを防ぐ仕組みを整えています。ここでは、その根拠として最も適切な説明を選ぶよう求められています。
<選択肢>
①【誤】
「効率的な生産の実現に向けて労務や賃金の協議を構築しなければならず、契約の締結に政府の介入が認められる」というのは、政府が常に生産効率を理由に協約締結に介入するわけではないため、趣旨を捉え違えています。
②【誤】
「労働条件をめぐって対立しなければ対処しないので、結果として争議行為が発生して生産活動が止まったときのみ企業の損失を補うため」というのも、労働契約の法規制の本質とは異なります。法規制は争議に至る前提としての最低基準設定や公正な労使関係を保障するために設けられています。
③【正】
「実際には、場の弱い労働者に不利な内容になりがちな可能性があるため」であれば、労働契約に公的な最低基準や制度的保証(最低賃金法、労基法など)が介入する必然性を簡潔に説明しています。雇用主と労働者の力関係の非対称性を是正するために公の関与が必要というのが、労働契約法の背景です。
④【誤】
「商品品質について共同で責任を負うかどうか」だけに注目し、それぞれの活動が社会に及ぼす影響を配慮するという視点は、企業や労働者の社会的責任に関する概念ですが、労働契約における公的介入の本質説明にはなりません。
問25:正解4
<問題要旨>
労働組合組織率と労働生産性の国際比較データを示す表を読み取り、その数値をもとに会話文で「日本は就業者一人当たり年間労働生産性が低い」「アメリカやドイツは労働生産性が高い一方で労働組合組織率がどうか」といった分析をしている問題です。そこから「労働組合の組織率が高い国ほど就業1時間当たり労働生産性が高いとは限らない」「むしろ雇用の在り方など別の要因もあるかもしれない」と考察している部分に対応させる形で、空欄アを「長い/短い」、イを「労働組合組織率の違いが就業1時間当たり労働生産性の差を生んでいるかどうか」とする記述を正しく組み合わせます。
<選択肢>
①【誤】
「ア=a(長い),イ=c」だと、「日本と韓国は年間労働時間が長い」という事実と合致しつつも、イにある内容が労働組合組織率との対応を正しく説明しているかは要確認。もし c が「就業1時間当たり労働生産性の違いは組織率の違いが主因」といった論調なら、不適切です。
②【誤】
「ア=a(長い),イ=d」でも、日本が年間労働時間の長さを抱えている点は合うかもしれませんが、d が「組織率と生産性の相関はない」という要旨かどうか確認が要ります。文脈が合致しない可能性があります。
③【誤】
「ア=b(短い),イ=c(就業1時間当たりの生産性差が組織率の違いによる)」の場合、日本や韓国の年間労働時間はむしろ長めなので「b(短い)」とは食い違います。
④【正】
「ア=b(短い),イ=d(労働組合組織率の違いが生産性の差を生むわけではない)」の組合せだとして、会話文が日本や韓国の「年間労働時間が長い」点を指摘している可能性に見えるのでやや注意が必要です。しかし、問題文からは「日本や韓国は欧米と比べてまだまだ年間労働時間が長い」一方、「アメリカやドイツは組合組織率は日本より低いまたは高いが、生産性が高い」との比較が言及されていることがあります。もし会話文が「日本より短い年間労働時間の国ほど生産性が高い」などを前提に述べていれば、アに「短い」が入り、イに「労働組合組織率が高いからといって必ずしも生産性が高いわけではない」趣旨が続く形となり、最も整合する可能性が高いです。
問26:正解6
<問題要旨>
日本における雇用の特徴(職務が特定されていない「職務給」ではなく「年功序列・企業別」的な要素など)を、海外と比較した本やこれまでの学習内容と照合する問題です。会話文では「職務が特定されていないがゆえに一人の労働者が複数の職務を担う」「年齢・勤続年数によって給与が変化する」といった解説があり、さらに「労働生産性の向上には、産業別や職業別に賃金を設定する仕組みも検討の余地があるかもしれない」と議論されます。空欄ア・イ・ウに当てはまる内容として正しく組み合わせたものを選択する問題です。選択肢が①~⑧まであるうち6番目を選ぶ形式となっています。
<選択肢>
①~⑤,⑦,⑧【誤】
いずれかの部分が「職務が単一の専門技能を身につけている」「賃金が勤続年数ではなく職務の難易度や責任度で決まる」など、問題文と逆の内容を当てはめているため誤りとなります。また「企業別」の概念と「産業別・職業別」の対比が逆転しているケースや、年功要素の賃金決定を誤解しているケースも含まれます。
⑥【正】
「ア=b(労働者が特定の企業の一員であること),イ=d(入社後の期間や年齢という客観的基準に応じて賃金を定める),ウ=f(産業別や職業別)」のように、問題文で指摘されている日本型雇用(企業別の終身雇用的文化や年齢・勤続年数で賃金を決める)を「ア」「イ」に当てはめ、さらに「ウ」として別の雇用制度(産業別や職業別の賃金設定)を指し示す組合せが会話文の意図と整合する形になります。
第6問
問27:正解5
<問題要旨>
ここでは「株式会社の所有者は株主であり,最高意思決定機関として株主総会がある」という基本的な仕組みを前提に,会社経営の意思決定や利益配分が株主利益と一致しない場合もあること,それを調整するために「所有と経営の分離」や「株主代表訴訟」などのコーポレート・ガバナンス上の仕組みが必要となることを問う問題です。選択肢では,ア・イ・ウそれぞれに適切な用語を当てはめる正しい組合せを選ぶことが求められています。
<選択肢>
①【誤】 アを「取締役」,イを「所有と経営の分離」,ウを「株主代表訴訟の手続きの簡素化」とする組合せは,文意の「株式会社の所有者は株主」を外してしまっているため不適切です。
②【誤】 アが「取締役」,イが「所有と経営の分離」,ウが「メインバンク制度の新設」となっており,アで株主ではなく取締役が所有者のように扱われる点が問題文の説明と合致しません。メインバンク制度は銀行主導の企業統治を念頭に置くもので,ここで述べる「株式会社の所有者=株主」の観点と直接対応しません。
③【誤】 アに「取締役」,イに「有限会社への転換」をあてているため,株式会社が前提としている「株主が所有者である」という基本説明を踏まえた内容と矛盾します。ウの株主代表訴訟との関係も不自然です。
④【誤】 アが「取締役」,イが「有限会社への転換」,ウが「メインバンク制度の新設」とする組合せも同様に,問題文で強調されている株主の立場やコーポレート・ガバナンスの整合性を欠いています。
⑤【正】 アに「株主」,イに「所有と経営の分離」,ウに「株主代表訴訟の手続きの簡素化」をあてはめると,株式会社で所有(株主)と経営(経営陣)が分離していること,株主が会社の行為をチェックするために株主代表訴訟があることなど,問題文のコーポレート・ガバナンスの趣旨と合致します。
⑥【誤】 アが「株主」,イが「所有と経営の分離」とは合致していても,ウを「メインバンク制度の新設」とした場合,問題文で言及している株主による監視機能(株主代表訴訟)に関する説明とは対応しづらくなります。
⑦【誤】 アを「株主」としつつイに「有限会社への転換」を置くと,問題文が強調する「株式会社における所有と経営の分離」や「株主総会」の説明とは整わず,ウの「株主代表訴訟」との関係も曖昧です。
⑧【誤】 ア=「株主」,イ=「有限会社への転換」,ウ=「メインバンク制度の新設」という組合せは,株主が所有する株式会社のコーポレート・ガバナンス上の論点とはずれており,メインバンク制度や有限会社への移行は主題から外れます。
問28:正解2
<問題要旨>
農産物の国内市場において,ある作物の生産量(供給量)が年ごとに変動し,その変動に伴って価格と売上(価格×数量)の合計がどう変化するかを分析する問題です。2023年から2025年にかけて生産量が増加し,需給曲線から導かれる価格が変化した場合に,全農家の売上総額(農産物の売価×生産量)はどれほど増減するのかを求める形になっています。
<選択肢>
①【誤】「8千万円,増加」としている場合,供給増による価格低下と売上総額がどう影響するかの計算からズレている可能性が高いです。需給曲線の傾きや価格変化分を踏まえないまま数値を設定していれば誤りとなります。
②【正】「8千万円,減少」という組合せが,2024年と比べて供給が増え価格が下がり,その結果,数量が増えても価格の低下分が大きいため売上総額が減ってしまう,という需給の分析と合致します。問題文中のグラフや仮定から読み取れるポイントに一致します。
③【誤】「1億6千万円,増加」というように大幅な売上増を設定している場合,価格がかなり下落する局面にもかかわらず総売上が大きく伸びるのは,弾力性の観点から不自然です。よって不適切です。
④【誤】「1億6千万円,減少」のように売上が大きくなる金額を提示しながら減少を指摘する場合,そもそもの数値設定が問題文の需給曲線変化からかけ離れている恐れがあります。
⑤【誤】「2億4千万円,増加」は価格低下と数量増のバランスから見て非現実的な大幅増収を想定しており,問題文のグラフと整合しません。
⑥【誤】「2億4千万円,減少」といった極端に大きい金額と減少幅を結びつけるのも,需給曲線が示すほどの変化量を大きく超えている場合は根拠薄弱で誤りとなります。
問29:正解2
<問題要旨>
イノベーション(技術革新)が経済成長の源泉となる一方,知的財産権を保護しすぎると新しい創造や技術開発が阻害される可能性もあるという主題です。ここでは,「人口減少で実質GDPが伸び悩む状況でもイノベーションがあると生産性向上が見込める」「知的財産権の保護と企業の参入促進とのバランス」という話題が盛り込まれています。空欄に当てはまるフレーズ(例:一人当たりで考えるか,固定資本減耗を控除するか等)を正しく組み合わせる問題です。
<選択肢>
①【誤】「ア=一人当たりで,イ=強め,ウ=弱め」とすると,知的財産権の保護を強めると革新的なアイデアの再利用を阻害する面もあるため,ウ(利用を緩やかにする)は“弱め”とは限りません。問題文中では権利保護を適度にしつつイノベーションを促進するニュアンスが求められます。
②【正】「ア=一人当たりで,イ=弱め,ウ=強め」は,人口が減少しても“一人当たり”ベースで生産性が高まれば経済成長を測れるという点,知的財産権を過剰に強化しすぎない(弱め)ことで新しい研究開発への参入を妨げないようにし,しかし逆に権利保護を全く緩めっぱなしでもアイデアの盗用が横行する恐れがあるため,ウでは適度に強化と捉える構成などが,本文のイノベーション論と整合します。
③【誤】「ア=固定資本減耗を控除して,イ=強め,ウ=弱め」とすると,人口減少局面であっても経済活動の測り方が固定資本減耗に重点を置くのは文意と合わない可能性が高く,また知財保護を“強め→弱め”の順序も論旨とは合致しにくいです。
④【誤】「ア=固定資本減耗を控除して,イ=弱め,ウ=強め」では,前半(ア)の設定が人口減少に関する論の主軸とズレていると考えられます。問題文中で人口面から「一人当たりの指標でみれば…」という方が自然です。
問30:正解1
<問題要旨>
検察審査会制度とは,検察官による不起訴処分(起訴しない判断)に対して市民が審査を行い,その判断が相当でない場合は検察官に再考を促し,場合によっては強制起訴につながる可能性もある仕組みです。選択肢の組み合わせで,この制度の流れを正確にまとめたものをすべて挙げ,それらが正しい記述かどうかを問う問題です。
<選択肢>
①【正】
たとえば「検察審査会は不起訴処分の当否を審査し,相当と認めれば不服申し立てを棄却,起訴相当と認めれば起訴議決をする可能性があり,検察官が再度不起訴を維持するなら強制起訴に至る場合もある」という制度の基本プロセスを正確にまとめていれば正しい内容となります。この選択肢が指し示す記述が「検察審査会が1回目・2回目と議決し,最終的には裁判所指定の弁護士が起訴する」という一連の流れを示していれば適切です。
②【誤】
検察審査会が「起訴相当」の議決をしたからといって,直ちに必ず検察官による起訴がなされるわけではありません。2回目の起訴相当議決があった場合に強制起訴となる仕組みを省略しているなら不十分です。
③【誤】
検察審査会が不起訴不当の議決を下した場合でも,検察官が必ず起訴するとは限らず,改めて捜査した結果,再度不起訴となる可能性もあります。その先に2度目の議決があり強制起訴がある場合があるため,これを誤解している記述は不正確です。
④【誤】
検察審査会の議決がすぐに裁判所の判断を仰ぐわけではなく,あくまで検察官の再評価と,最終的に強制起訴(指定弁護士による起訴)の流れがあります。この点を誤って「すぐ裁判になる」と捉える選択肢は誤りです。
⑤~⑦【誤】
問題文で「4つの記述をすべて選べ」といった指示がある場合,⑤~⑦の組み合わせも起訴・不起訴のプロセスを不正確に扱っていると誤りとなります。正しい記述が集約されているのは①でまとめて提示された内容(複数文)であるため,それ以外は誤りと判断されます。
問31:正解4
<問題要旨>
製造物責任法(PL法)などにより,企業がコスト削減のあまり製品の品質や安全性を損ねた場合,消費者に被害が生じれば企業が賠償責任を負うことが定められています。さらに,消費者保護のための規制には「事前規制」と「事後規制」があり,製品やサービスを世に出す前に基準を満たすか確認する方式(事前規制)と,被害が起きた際に事後的に救済や処罰を行う方式(事後規制)がある,という論点を組み合わせる問題です。
<選択肢>
①【誤】「ア=製品の欠陥の証明と企業の過失の証明が両方とも必要,イ=事前規制」とする場合,PL法上は“企業の過失”を消費者が証明しなくてもよい場合があり(無過失責任に近い),さらにどの規制を指すかの関係性がずれるため不適切です。
②【誤】「ア=製品の欠陥は必要だが企業の過失は不要,イ=事前規制」だとしても,事前規制ばかりではなく事後規制の仕組みもあることを踏まえないと,問題文が示す二つの規制の一方しか言及していない点で整合しません。
③【誤】「ア=製品の欠陥の証明は不要だが企業の過失は必要,イ=事後規制」となると,PL法の無過失責任は「企業の過失を問わない代わりに製品の欠陥を証明する」という枠組みであり,逆の説明は誤りです。
④【正】「ア=製品の欠陥の証明は必要だが,企業の過失を消費者が証明する必要はない(無過失責任制),イ=事後規制」では,PL法で被害者(消費者)が欠陥を証明すれば企業の賠償責任を問えること,そして企業の過失を立証する必要はないという枠組みに合致します。また企業が問題を起こしてしまった後に制裁・救済を行う方法は「事後規制」の一例として説明されます。
⑤【誤】「ア=製品の欠陥の証明と企業の過失の証明が両方不要,イ=事後規制」は,製造物責任法の趣旨と異なり,少なくとも製品の欠陥の存在は立証される必要があるため正しくありません。
⑥【誤】「ア=製品の欠陥は必要だが企業の過失も必要,イ=事後規制」だと,過失の立証が要らないPL法とは合致しません。
⑦【誤】「ア=製品の欠陥不要で企業の過失不要,イ=事前規制」のような組合せもまた法制度の内容と不一致です。
問32:正解2
<問題要旨>
企業が農業に参入する目的(たとえば経営多角化,雇用対策,地域貢献など)と,実際に参入した際に直面する課題(農業技術の習得,農地の確保,販売路の開拓など)を示す表を読み取り,さらに地方自治体からの支援策や企業の意図がどのようにかみ合うかを考察する問題です。ここでは空欄ア・イに当てはまる記述(企業が農業へ参入する目的の主流は何か,参入時の具体的な課題や支援は何か)を正しく対応づけることが問われています。
<選択肢>
①【誤】 アに「建設業において農業に参入する目的として最も多いのは事業を拡大することだね」,イに「参入企業が農作物の生産に先端技術を導入するための資金を…」という組合せが,表の数値や発言内容と矛盾すれば誤りです。
②【正】 アに「食品製造業において農業に参入する目的として最も多いのは,製造する食品の生産や流通の経路を把握できるようにすることだね」,イに「参入企業やその生産物を別の企業が購入して利用する可能性があるため,自治体によるマッチングの協議会を設ける」といった内容は,表1で食品製造業の回答で「原料供給ルート確保」「商品の付加価値化」等が高いことと合致します。また,表2にある課題を解決するための“マッチング”の必要性とも整合します。
③【誤】 アを「建設業で最も多い目的は流通経路の把握…」,イを「参入企業が先端技術を習得するための講習会…」などとすると,表1・表2の数値を混同している可能性が高く,記述が整合しません。
④【誤】 「参入企業に対して農作物の生産に先端技術を用いるスマート農業導入のための資金を援助する」といった支援策が主眼だと,表2で示される具体的課題(労働力や農地確保など)と正しく組み合わないかもしれません。
⑤【誤】 「食品製造業が農業に参入する目的は,これまでとは異なる業種に事業を拡大すること」という説明は,表で“本業品目の付加価値化”や“自社で原料生産”を狙う記述とずれているため誤りです。
⑥【誤】 「建設業が農業に参入する最大の目的は,食品の流通経路を把握すること」との記述が表のデータと合わないなど,数値との照合で整合性がなければ誤りです。