2025年度 大学入学共通テスト 本試験 公共・政治経済 解答・解説

目次

解答

解説

第1問

問1:正解②

<問題要旨>

日本国憲法における男女平等に関する条文と、それに関連する法律についての知識を問う問題です。憲法第14条の内容と、女性差別撤廃条約の批准を契機に国内で整備された法律を正確に理解しているかがポイントとなります。

<選択肢>

①【誤】

空欄イが誤りです。男女共同参画社会基本法は1999年に制定された法律です。日本が女性差別撤廃条約を批准したのは1985年であり、制定年が異なります。

②【正】

空欄アの「法の下の平等」は、日本国憲法第14条1項に明記されている文言です。また、空欄イの「男女雇用機会均等法」は、日本が1985年に女性差別撤-廃条約を批准したことに伴い、同年に制定された法律です。したがって、ア・イともに正しく、この組み合わせが正解です。

③【誤】

空欄アが誤りです。「両性の本質的平等」は、主に婚姻や家族に関する事項を定めた憲法第24条の文言であり、あらゆる差別を禁じる第14条の表題としては「法の下の平等」が適切です。また、空欄イの男女共同参画社会基本法は1999年制定であり、1985年の女性差別撤廃条約批准とは時期が異なります。

④【誤】

空欄アが誤りです。「両性の本質的平等」は憲法第24条の文言であり、第14条の内容を示す「法の下の平等」が適切です。

問2:正解④

<問題要旨>

性別役割意識に関する内閣府の調査結果を示した表を読み取り、その内容と合致しない記述を選択する問題です。表中の数値を正確に比較し、各選択肢の正誤を判断する力が求められます。

<選択肢>

①【正】

表1の「共働きでも男性は家庭よりも仕事を優先するべきだ」という項目で、女性の肯定的な回答割合を見ると、20代(14.5%)、30代(17.7%)、40代(23.3%)、50代(24.7%)、60代(28.0%)と、年代が上がるにつれて割合が高くなっています。したがって、この記述は表から読み取れる内容と一致します。

②【正】

表1の「共働きでも男性は家庭よりも仕事を優先するべきだ」という項目で、20代の回答割合を比較すると、男性は26.2%、女性は14.5%です。その差は「26.2 – 14.5 = 11.7」ポイントとなり、10.0ポイント以上高くなっています。したがって、この記述は表から読み取れる内容と一致します。

③【正】

表1の「同程度の実力なら、まず男性から昇進させたり管理職に登用するものだ」という項目で、男性の肯定的な回答割合を見ると、20代は20.4%、30代は20.7%であり、どちらも20.0%を超えています。一方で、40代(17.6%)、50代(15.7%)、60代(15.8%)はすべて20.0%を下回っています。したがって、この記述は表から読み取れる内容と一致します。

④【誤】

表1の「同程度の実力なら、まず男性から昇進させたり管理職に登用するものだ」という項目で、各年代の男女差を計算すると、20代は9.4ポイント、30代は10.3ポイント、40代は7.2ポイント、50代は7.3ポイント、60代は6.4ポイントとなります。差が最も大きいのは30代であり、60代ではありません。したがって、この記述は表の内容と合致せず、これが正解となります。

問3:正解②

<問題要旨>

各国の女性議員比率の推移を示した表と、クオータ制などの取り組みに関する会話文を照らし合わせ、そこから読み取れる内容として最も適当なものを判断する問題です。表のデータと会話文の情報を丁寧に関連付けて考える必要があります。

<選択肢>

①【誤】

会話文によると、X国が候補者名簿の男女比率を均等にする努力を始めたのは「1990年頃」です。しかし、表2を見ると、X国の女性議員比率は1970年の14.0%から1980年の27.8%へと、1990年より前に既に大きく上昇しています。したがって、記述は誤りです。

②【正】

会話文によると、Y国で候補者を男女均等にすることを義務付ける法律が制定されたのは「2000年」です。表2でY国の女性議員比率を見ると、2000年は10.9%、その10年後の2010年は18.9%です。その差は「18.9 – 10.9 = 8.0」ポイントであり、記述と一致します。

③【誤】

Z国の女性議員比率は、表2で確認できる全ての年において日本の比率を上回っています。しかし、Y国と比較すると、1960年(Z国3.9%、Y国1.5%)や1970年(Z国2.3%、Y国2.1%)ではZ国の方が高いですが、2020年(Z国27.3%、Y国39.5%)ではY国の方が高くなっています。「常にY国より低い」という部分が誤りです。

④【誤】

会話文によると、日本で候補者の男女比率を均等にするよう促す法律が制定されたのは「2018年」です。表2の最新データである2020年を見ると、日本の女性議員比率は9.9%、Z国は27.3%であり、日本はZ国を上回っていません。したがって、記述は誤りです。

問4:正解③

<問題要旨>

平等(形式的平等と実質的平等)の概念と、アイヌ民族に関する法律についての知識を問う問題です。会話の流れから、それぞれの空欄に当てはまる適切な語句を選択します。

<選択肢>

①【誤】

空欄ウが誤りです。2019年に制定され、アイヌ民族を初めて「先住民族」と明記したのは「アイヌ施策推進法」です。「アイヌ文化振興法」は1997年に制定された法律です。

②【誤】

空欄ア・イ・ウのすべてが誤りです。アは「形式的平等」、イは「実質的平等」が適切です。ウも「アイヌ施策推進法」が適切です。

③【正】

空欄アの「すべての人を同じように扱うこと」は、機会の平等を保障する「形式的平等」を指します。空欄イのクオータ制のように、結果の平等を考慮して具体的な差を是正しようとする考え方は「実質的平等」です。空欄ウの、2019年にアイヌ民族を「先住民族」と法的に位置づけた法律は「アイヌ施策推進法(アイヌ民族支援法)」です。全ての組み合わせが正しく、これが正解です。

④【誤】

空欄アとイが逆です。「すべての人を同じように扱う」のが形式的平等、「結果の不平等を是正する」のが実質的平等です。

第2問

問1:正解⑤

<問題要旨>

公共空間に関する思想家の見解を問う問題です。ハーバーマスの「コミュニケーション的行為」やアーレントの「人間の条件」における思想内容を正しく理解しているかが問われます。

<選択肢>

①【誤】ア・イが誤りです。②【誤】ア・イ・ウすべてが誤りです。③【誤】ア・イが誤りです。④【誤】ア・イ・ウすべてが誤りです。

『コミュニケーション的行為の理論』の著者で、対話による合意形成を論じたのはハーバーマスです。アーレントではありません。また、「他者危害原理」はJ.S.ミルの思想です。

⑤【正】

空欄アの『コミュニケーション的行為の理論』の著者であり、公共空間での対話による合意形成を重視したのは「ハーバーマス」です。その合意形成に必要な理性を、彼は「対話的理性」と呼びました(空欄イ)。また、別の哲学者(アーレント)は『人間の条件』の中で、人間の営みを3つに分類し、その中で公共空間を形成するものを、人と人が「言葉を通して関わり合う」営みである「活動」としました(空欄ウ)。したがって、この組み合わせが正解です。

⑥【誤】ウが誤りです。アーレントのいう「活動」は、契約ではなく、言論と行為を通じた他者との関わりを指します。

⑦【誤】イが誤りです。「他者危害原理」はJ.S.ミルの思想であり、ハーバーマスの対話理論とは異なります。

⑧【誤】イ・ウが誤りです。「他者危害原理」はJ.S.ミル、「契約」は社会契約説などに関連する概念であり、文脈に合いません。

問2:正解⑥

<問題要旨>

2つの調査年における「時間のゆとり」と「自由時間の過ごし方」に関する表を読み解き、内容を正しく分析している意見の組み合わせを選ぶ問題です。複数の表の数値を正確に比較・計算し、意見の正誤を判断する必要があります。

<選択肢>

ア【誤】

意見の前半「『ゆとりがある』と回答した割合が半数を下回るようになったのは『30~39歳』と『40~49歳』だ」は正しいです。しかし、後半の「この二つの年齢層は、『インターネットやソーシャルメディアの利用』をあげた割合が半数を超えるようになった」という部分について、40〜49歳は2022年で45.6%であり、半数(50%)を超えていません。よって、意見アは全体として誤りです。

イ【正】

意見の前半「『ゆとりがない』と回答した割合は、すべての年齢層で上がっているが、上がった割合が1ポイント未満だったのは『18~29歳』だけだ」は、表1のデータを計算すると正しいことがわかります。また、後半「『友人や恋人との交際』をあげた割合に関して、9ポイント以上増えたのは『18~29歳』だけで、50歳以上については、どの年齢層も減っている」も、表2のデータを計算すると正しいことがわかります。よって、意見イは正しいです。

ウ【正】

意見の前半「『社会参加』をあげた割合は、どの年齢層でも減っている」は、表2から正しいことがわかります。また、後半「『70歳以上』は、『社会参加』の割合が他のどの年齢層より高いままであり、『ゆとりがある』と答えた割合も、他のどの年齢層より高いままだ」も、表1と表2の2022年のデータから正しいことがわかります。よって、意見ウは正しいです。

【結論】

正しい意見はイとウであるため、その組み合わせである⑥が正解となります。

問3:正解⑤

<問題要旨>

哲学対話における3つの発言の中から、「帰納的推論」に当てはまるものを選択する問題です。帰納(具体的な複数の事実から一般的な法則を導く)と演繹(一般的な法則から具体的な結論を導く)の違いを理解しているかが問われます。

<選択肢>

Ⅰ【帰納的推論】

「対話が活発にできるようになった。これらの事実が何度もあったことから、…経験則が導き出せるね」という部分は、複数の具体的な経験(事実)から一般的な法則(経験則)を導き出しており、帰納的推論に該当します。

Ⅱ【演繹的推論】

「人間には、…権利があり、…義務がある。そうであるならば、…ルールにしなければならない」という部分は、「人間には権利・義務がある」という一般的な原理(大前提)から、「哲学カフェでもルールにすべきだ」という個別の結論を導き出しており、演繹的推論に該当します。

Ⅲ【帰納的推論】

「問いが深まった。…対話のおもしろさが感じられた。同じ実感を他の参加者たちももっていた。これらの経験を基にして、…方針になったんだよ」という部分は、複数の具体的な「経験」や「実感」を基に、一般的な「方針」を導き出しており、帰納的推論に該当します。

【結論】

帰納的推論に該当するのはⅠとⅢであるため、その組み合わせである⑤が正解となります。

問4:正解②

<問題要旨>

対話・議論の場の3つのタイプ(非対面のみ、対面+非対面、対面のみ)の記述と、具体的な3つの事例を正しく結びつける問題です。それぞれの定義を正確に理解し、事例に当てはめることが求められます。

<選択肢>

⑧「非対面的関わりのみのタイプ」は、対面の場がなく、全員がICTを使って参加する形態です。これは事例ア「すべての参加者はインターネットで会議に出席した」に該当します。

⑨「対面的関わりに非対面的関わりが加わっているタイプ」は、対面の場に集まっている人々と、ICTを使って遠隔から参加する人が混在する形態です。これは事例ウ「公民館に集まった人々…に、インターネットで参加した」に該当します。

⑩「対面的関わりのみのタイプ」は、ICTなどを使わず、参加者全員が同じ場所に集まってやりとりする形態です。これは事例イ「料理教室に講師と生徒が集まり、…その場で…講評を受けた」に該当します。

【結論】

以上の組み合わせ(⑧-ア、⑨-ウ、⑩-イ)と一致する②が正解です。

第3問

問1:正解②

<問題要旨>

1948年から1990年までのアメリカの消費者物価上昇率と失業率の推移を示したグラフを読み解き、特定の経済状況を表す用語を答える問題です。フィリップス曲線が示す関係と、それが崩れたスタグフレーションの概念を理解しているかがポイントです。

<選択肢>

①【誤】

空欄イが誤りです。「デフレスパイラル」は物価下落と景気悪化が同時に進行する状況であり、グラフの期間bで見られる物価上昇とは逆の現象です。

②【正】

空欄アの期間a(1950~60年代)では、失業率が下がると物価が上がるという逆相関の関係(フィリップス曲線)がおおむね見られます。これは「好況期に物価上昇、不況期に物価下落」という傾向と一致します。一方、空欄イの期間b(1970年代~)では、高い物価上昇率と高い失業率(不況)が同時に発生しており、これは「スタグフレーション」と呼ばれます。よって、この組み合わせが正解です。

③【誤】

空欄ア・イともに誤りです。アは期間aが適切であり、イはデフレスパイラルではなくスタグフレーションです。

④【誤】

空欄アが誤りです。「好況期に物価上昇、不況期に物価下落」の傾向が見られるのは、期間aです。

問2:正解③

<問題要旨>

国政選挙における「合区」についての会話文の空欄を補充する問題です。合区がどの議院の選挙制度で、どのような目的のために導入されたかを問うています。

<選択肢>

①【誤】

空欄アが誤りです。合区が導入されたのは衆議院ではなく参議院の選挙区選挙です。

②【誤】

空欄ア・イともに誤りです。アは参議院が正しく、イの「道州制の導入」は合区の直接の目的ではありません。

③【正】

空欄アの「合区」は、鳥取県と島根県、徳島県と高知県のように、人口の少ない隣接県を一つの選挙区とすることで、これは「参議院」の選挙区選挙で導入されています。その目的は、空欄イの、選挙区間の人口の多寡によって議員一人当たりの有権者数に差が生まれる「投票価値の平等(一票の格差)」の問題を是正するためです。よって、この組み合わせが正解です。

④【誤】

空欄イが誤りです。合区は「投票価値の平等を実現する」ことを主な目的としており、「道州制の導入を推進する」ためではありません。

問3:正解③

<問題要旨>

食料生産に関する文章の空欄を補充する問題です。自国での食料生産が持つ意義と、地域内での食料消費を表す用語の知識が問われています。

<選択肢>

①【誤】

空欄アが誤りです。「オフショアリング」は企業の業務を海外に移転・委託することであり、自国での食料生産とは逆の方向性です。

②【誤】

空欄ア・イともに誤りです。アはオフショアリングではなく食料安全保障が適切です。イの「減反政策」は米の生産調整策であり、地域内での消費を意味する言葉ではありません。

③【正】

空欄アの「輸入が途絶した際のリスクを下げる」という記述から、食料を安定的に確保するという「食料安全保障の確保」が当てはまります。また、空欄イの「地域で作られた食料をその地域内で食べる」ことは「地産地消」と呼ばれ、フードマイレージの削減にもつながります。よって、この組み合わせが正解です。

④【誤】

空欄イが誤りです。「減反政策」は米の生産調整策であり、文脈に合いません。

問4:正解④

<問題要旨>

表現の自由に関する「思想の自由市場論」の考え方を踏まえ、検閲禁止の意義や、現代的な課題であるSNSのアルゴリズムが思想の自由に与える影響について考察する問題です。

<選択肢>

①【誤】

空欄アの記述a「危険な言論を取り除く」は、思想の自由市場論の「自由な競争」という前提とは相いれません。

②【誤】

空欄アの記述aが誤りです。また、イのc「促進」も誤りです。アルゴリズムによる意見の偏りは競争を阻害します。

③【誤】

空欄イの語句c「促進」が誤りです。同じ意見ばかり表示されることは、多様な意見の競争を「阻害」します。

④【正】

「思想の自由市場論」は、自由な言論の競争によって真理に到達するという考え方です。したがって、公権力が事前に言論を統制する検閲の禁止は、空欄アの記述b「意見の自由なやりとりを確保することで、真理を探究し続ける」ために重要です。また、SNSのアルゴリズムによって自分の考えと同じ意見ばかりが表示される状況は、多様な意見が競争する機会を失わせるため、思想の自由市場の前提である競争を、空欄イの語句d「阻害」することになります。よって、この組み合わせが正解です。

問5:正解①

<問題要旨>

「ふるさと納税」制度の概要と影響についてまとめたメモを読み、その内容と合致する記述を正しく選ぶ問題です。メモに書かれている情報を正確に解釈することが求められます。

<選択肢>

ア【正】

メモの中に「2023年度の政令指定都市と東京23区の寄附金控除の合計額は、全市区町村の寄附金控除の合計額の52%に上る」との記述があります。52%は過半数(半分を超えること)なので、この記述はメモの内容と一致します。

イ【誤】

メモには「所得が高くなるほど、『ふるさと納税』の控除の上限額が高くなるため、高所得者ほど多くの返礼品を受け取ることができる」とあります。これは、高所得者に有利な制度であることを示しており、所得格差を「是正する」という記述とは矛盾します。

ウ【誤】

メモには「地方交付税を交付される地方公共団体は、地域外に流出した財源の75%が地方交付税で補填される」とあります。地方交付税は国の財源(国税)から支出されるため、ふるさと納税制度は国の財政と無関係ではありません。

【結論】

正しい記述はアのみであるため、①が正解です。

問6:正解③

<問題要旨>

防災・減災における公共の取り組みと個人の権利、および「自助・共助・公助」の考え方に関する文章の空欄を補充する問題です。憲法上の財産権の補償と、防災における各主体の役割の理解が問われます。

<選択肢>

①【誤】

空欄アが誤りです。公共のために私有財産を適法に収用する場合の補償は「損失補償」です。「国家賠償」は公務員の違法行為による損害に対する賠償制度です。

②【誤】

空欄ア・イともに誤りです。アは「損失補償」、イは国や地方公共団体の取り組みなので「公助」が適切です。

③【正】

空欄アの、公共の利益のために土地を強制的に収用する場合、憲法第29条3項に基づき、その所有者に対して行われるべきものは「損失補償」です。また、空欄イの、国や地方公共団体がハザードマップの基礎となる洪水浸水想定区域を指定する行為は、行政による公的な支援・取り組みであるため「公助」に該当します。よって、この組み合わせが正解です。

④【誤】

空欄イが誤りです。行政による区域指定は、住民同士の助け合いである「共助」ではなく、公的機関による「公助」にあたります。

第4問

問1:正解④

<問題要旨>

金融政策に関する会話文の空欄を補充する問題です。中央銀行が供給する「マネタリーベース」と、市中銀行の信用創造を経て経済全体に流通する「マネーストック」の違い、および金利と債券価格の基本的な関係を理解しているかが問われます。

<選択肢>

①【誤】

ア・ウが誤りです。公開市場操作の対象となるのはマネタリーベースであり、金利が上昇すると債券価格は下がります。

②【誤】

アが誤りです。中央銀行が直接操作するのはマネタリーベースです。

③【誤】

ウが誤りです。金利と債券価格は逆相関(シーソー)の関係にあり、金利が上昇すると既存の債券の価格は下がります。

④【正】

空欄アの、中央銀行が公開市場操作によって市中銀行に供給するお金は「マネタリーベース」です。このマネタリーベースを元に、市中銀行が企業や家計への貸し出し(信用創造)を行うことで、空欄イの「マネーストック」が形成されます。また、空欄ウの、金利と債券価格の関係については、市場金利が上昇すると、相対的に利回りの低い既存の債券の魅力が薄れるため、その市場価格は「下がる」ことになります。したがって、この組み合わせが正解です。

問2:正解⑧

<問題要旨>

6か国の貿易収支と一人当たりGDPの推移を示した図と、各国の経済状況に関する会話文の内容を照合し、インド、韓国、中国に該当する図を正しく特定する問題です。会話文から各国の経済的特徴を正確に読み取り、図のデータと結びつける分析力が必要です。

<選択肢>

【分析】

会話文から各国の特徴を抽出します。

・韓国:「貿易収支の黒字を重ねて」「一人当たりGDPでも韓国は日本とほぼ並んできている」。これに合致するのは、一貫して貿易黒字で、一人当たりGDPが3万ドルを超えて日本の水準に近づいている「図ウ」です。

・中国:「(アメリカと)対照的」な巨大な貿易黒字、「一人当たりGDPの伸びには驚くばかり」。これに合致するのは、貿易黒字額が突出して大きく、一人当たりGDPが急激に伸びている「図イ」です。

・インド:「一人当たりGDPは大きく伸びている」「貿易収支は毎年赤字」。これに合致するのは、貿易収支が一貫してマイナス(赤字)で、一人当たりGDPが着実に成長している「図エ」です。

【結論】

以上の分析から、インドは「図エ」、韓国は「図ウ」、中国は「図イ」となります。この組み合わせと一致する⑧が正解です。

問3:正解③

<問題要旨>

2000年以降の世界経済史に関するメモの空欄を補充する問題です。中国の国際経済への参加と、2008年世界金融危機の原因についての知識が問われます。

<選択肢>

①【誤】

アが誤りです。中国はOECDには加盟していません。

②【誤】

ア・イともに誤りです。アはWTOが正しく、イはサブプライムローン問題が正しいです。

③【正】

空欄アの、中国が加盟した自由貿易を掲げる国際機関は、2001年に加盟した「WTO(世界貿易機関)」です。また、空欄イの、2008年世界金融危機の引き金となったのは、アメリカの低所得者向け住宅ローンが焦げ付いた「サブプライムローン問題」です。よって、この組み合わせが正解です。

④【誤】

イが誤りです。「ユーロ危機」は2009年後半以降に顕在化した問題であり、2008年の世界金融危機の直接の原因ではありません。

問4:正解①

<問題要旨>

国際刑事裁判所(ICC)の目的と役割について、正しい知識とそれに基づく妥当な推察を示した記述を選ぶ問題です。国家間の紛争を扱う国際司法裁判所(ICJ)との違いを明確に理解しているかが重要です。

<選択肢>

①【正】

国際刑事裁判所(ICC)は、ジェノサイド、戦争犯罪、人道に対する罪といった国際社会全体にとって最も重大な犯罪を犯した「個人」の刑事責任を、国際法に基づき追及するための常設裁判所です。これにより、重大な犯罪の発生を抑止・防止することを目的としています。この記述はICCの役割を正しく説明しています。

②【誤】

ICCの目的は、各国の国内裁判所の適法手続を保障することではなく、国内で裁かれない重大な犯罪を犯した個人を処罰することです。

③【誤】

国際司法裁判所(ICJ)は国家間の紛争を扱うため、「個人」に有罪判決を下しません。また、ICJとICCの間に上訴・上告の関係はありません。

④【誤】

③と同様の理由で、前提となる「国際司法裁判所によって有罪判決を下された個人」という部分が根本的に誤っています。

問5:正解③

<問題要旨>

国連総会で採択された、安保理常任理事国の拒否権行使に関する決議の記事を読み、その内容を正しく説明している選択肢を判断する問題です。国連における総会と安全保障理事会の権限と関係性を理解しているかが問われます。

<選択肢>

①【誤】

国連憲章上、総会は安保理の「上位機関」ではなく、安保理を「管理監督する」権限は与えられていません。

②【誤】

この決議は、拒否権を行使した国に「説明を求める」ものであり、安保理に「強制措置の発動を義務づける」ものではありません。

③【正】

この決議は、安保理が持つ拒否権という権限そのものを否定するものではなく、その権限を「尊重しつつ」、国際の平和と安全を含む広範な問題について討議する「総会自身の権限に基づいて」、拒否権の行使という行為を討議の対象とするものです。記事の内容を最も的確に説明しています。

④【誤】

この記事の決議は、「平和のための結集」決議に直接基づくものではなく、また目的も総会による強制措置の判断のためとは述べられていません。

問6:正解③

<問題要旨>

「アラブの春」に対する世論調査のグラフと、それに関する会話文を読み、空欄に当てはまる国名とグラフの読み取り内容を特定する問題です。現代史の知識と、グラフから肯定・否定評価の動向を正確に読み取る力が必要です。

<選択肢>

①【誤】

ア・イともに誤りです。アはシリアが、イは記述cが適切です。

②【誤】

アが誤りです。2015年頃に内戦が激化したのはチュニジアではなくシリアです。

③【正】

空欄アについて、会話文では「2015年に、肯定的な評価が大きく落ち込んでいる」理由として「内戦が激化」した国を挙げています。これは「b シリア」の状況と合致します。次に空欄イについて、グラフの数値を計算すると、2015年を除き、全ての調査年で肯定評価の合計(「肯定」+「どちらかというと肯定」)が否定評価の合計(「否定」+「どちらかというと否定」)を上回っています。これは記述cの内容と一致します。よって、この組み合わせが正解です。

④【誤】

イが誤りです。記述d「2016年以降…否定的な評価…が…肯定的な評価…を常に上回っている」は、グラフの読み取りとして誤りです。実際はその逆です。

第5問

問1:正解①

<問題要旨>

現代社会における格差や貧困に関連する経済・社会用語の定義を問う問題です。4つの用語の意味を正確に理解しているかを確認します。

<選択肢>

①【正】

「BOPビジネス」とは、Base of the Pyramidの略で、開発途上国の所得ピラミッドの底辺にいる低所得者層を対象とし、彼らの生活水準向上に貢献しながらビジネスとしても成立させる活動を指します。記述は正しいです。

②【誤】

記述の内容は「ベーシックインカム」の説明です。「ミニマム・アクセス」とは、WTO農業協定で定められた、農産物の輸入を制限している国が最低限輸入しなければならない量のことを指します。

③【誤】

記述の内容は「デジタル・デバイド(情報格差)」の説明です。「トレードオフ」とは、一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ないという関係のことです。

④【誤】

記述の内容は「相対的貧困率」の説明です。「絶対的貧困率」とは、人間として最低限の生存を維持するための食料・物資などを購入できない所得層の割合を指します。

問2:正解①

<問題要旨>

日本と韓国における外国人労働者受け入れ制度の歴史と目的について、会話文の空欄を補充する問題です。日本の技能実習制度が掲げる目的と、2018年の出入国管理法改正の要点を正しく理解しているかが問われます。

<選択肢>

①【正】

空欄アの日本の「技能実習制度」は、公式な目的として「a 発展途上国への技能や知識の移転」による国際貢献を掲げています。また、空欄イの2018年の出入国管理法改正では、人手不足に対応するため、新たな在留資格「c 『特定技能』の在留資格を新設して、在留資格が与えられる業種を拡大する」ことが大きな柱となりました。よって、この組み合わせが正解です。

②【誤】

イが誤りです。2018年の法改正では技能実習制度は廃止されていません。

③【誤】

アが誤りです。技能実習制度が公式に掲げる目的は「発展途上国への技能移転」です。「労働力不足への対応」は実態ではあっても建前ではありません。

④【誤】

ア・イともに誤りです。

問3:正解④

<問題要旨>

高齢者や障害者を含めた共生社会の実現に関する会話文の空欄を補充する問題です。「ノーマライゼーション」という理念と、障害者雇用に関する法制度の知識が問われます。

<選択肢>

①【誤】

ア・イともに誤りです。「ワーク・ライフ・バランス」は仕事と生活の調和を指す言葉です。また、定年制の廃止は全ての企業に義務づけられてはいません。

②【誤】

アが誤りです。「ワーク・ライフ・バランス」ではなく、障害のある人もない人も等しく生活する社会を目指す「ノーマライゼーション」が適切です。

③【誤】

イが誤りです。障害者の雇用に関して法律で義務づけられているのは、一定の割合以上雇用すること(障害者雇用率制度)です。

④【正】

空欄アの、高齢者や障害者も社会の中で他の人々と共に当たり前に暮らすという考え方は「b ノーマライゼーション」です。また、空欄イの、国や企業などに対して法律で義務づけられているのは「d 障害者を職員や従業員の一定比率以上雇用すること」(障害者雇用率制度)です。よって、この組み合わせが正解です。

問4:正解③

<問題要旨>

資本主義経済における「契約自由の原則」が、労働契約においてはそのまま適用されない理由を問う問題です。労働者と使用者の実質的な力関係の非対称性を理解しているかがポイントです。

<選択肢>

①【誤】

効率的な生産の実現は目的の一つですが、それが政府介入を容認し、契約自由の原則を修正する直接の理由ではありません。

②【誤】

争議行為による損失を避けることは経営上の課題ですが、労働法が契約の自由に介入する根本的な理由ではありません。むしろ労働法は争議権を保障しています。

③【正】

労働契約において、個々の労働者は使用者に対して経済的に弱い立場にあります。そのため、形式的には対等な当事者として契約を結んだとしても、実際には労働者にとって一方的に不利な内容の契約が強制される可能性があります。このような実質的な不平等を是正するために、労働基準法などの労働法が契約内容に介入し、労働者を保護しているのです。これが最も適当な理由です。

④【誤】

これは企業の社会的責任(CSR)などに関する記述であり、労働契約の特殊性を説明する理由としては不適切です。

問5:正解④

<問題要旨>

4か国の労働生産性と労働組合組織率を比較した表を読み、会話文の空欄を補充する問題です。表の数値から労働時間の長短を推察し、データに基づいた妥当な推論を選択する力が求められます。

<選択肢>

①【誤】

ア・イともに誤りです。

②【誤】

イが誤りです。記述dが妥当な推察です。

③【誤】

アが誤りです。日本の年間総労働時間は韓国よりも「短い」と推察されます。

④【正】

空欄アについて、日本の「就業者一人当たり年間労働生産性」(79,307ドル)は韓国(82,850ドル)よりも低いですが、「就業1時間当たり労働生産性」(47.5ドル)は韓国(42.2ドル)よりも高いです。これは、日本の方が就業者一人当たりの年間総労働時間が「b 短い」ことを意味します(労働時間が短いために、時間当たりの生産性が高くても年間の生産性が低くなる)。次に空欄イについて、労働組合組織率がほぼ同じ日本(16.7%)とドイツ(16.3%)を比べると、就業1時間当たり労働生産性には大きな差(日本47.5、ドイツ76.8)が見られます。このことから、「d 労働組合組織率の違いが就業1時間当たり労働生産性の違いをもたらしているわけではない」と慎重に推察するのが妥当です。よって、この組み合わせが正解です。

問6:正解⑥

<問題要旨>

日本の雇用慣行(メンバーシップ型雇用)の特徴について考察した会話文の空欄を補充する問題です。職務を特定しない雇用形態から、年功序列賃金や求められる組合のあり方について論理的に推察することが求められます。

<選択肢>

【分析】

・会話文では「職務が特定されていない労働契約」(メンバーシップ型雇用)が日本の特徴だとされています。この場合、特定の職務スキルよりも、どの会社に所属しているかが重視されるため、空欄アは「b 労働者が特定の企業の一員であること」が適切です。

・様々な職務を担当する可能性があるため、職務の価値に応じた賃金設定は難しくなります。そのため、空欄イの「c 職務の専門的技能の高低や職務の必要度の高低に応じて賃金を定めること」が難しく、結果として年齢や勤続年数に応じた年功序列賃金がみられるようになった、と推察するのが自然です。

・今後、職務を特定した採用(ジョブ型雇用)が増えると、個々の労働者は企業の枠を超えて、同じ職務や産業で連帯する必要性が高まります。そのため、必要となる労働組合は、従来の「企業別」組合よりも、空欄ウの「f 産業別や職業別」の労働組合であると推察できます。

【結論】

以上の分析から、ア「b」、イ「c」、ウ「f」の組み合わせが最も適当です。この組み合わせに合致する⑥が正解です。

第6問

問1:正解⑤

<問題要旨>

株式会社の仕組みとコーポレート・ガバナンスに関するメモの空欄を補充する問題です。株式会社の所有者、所有と経営の分離、ガバナンス強化策についての基本的な知識が問われます。

<選択肢>

①~④【誤】

株式会社の所有者は「取締役」ではなく「株主」です。

⑤【正】

株式会社の所有者は、会社の出資者である「ア 株主」です。会社の最高意思決定機関は、株主によって構成される株主総会です。そして、会社の経営は専門の経営者(取締役など)に委ねられるため、「イ 所有と経営の分離」が進んでいます。これにより、経営者の行動が必ずしも株主の利益と一致しない問題が生じうるため、コーポレート・ガバナンス(企業統治)の強化が求められます。その具体的な方策の一つとして、経営者の違法行為などに対して株主が会社に代わって訴訟を起こす「ウ 株主代表訴訟」の手続きの簡素化などがあります。したがって、この組み合わせが正解です。

⑥【誤】

ウが誤りです。「メインバンク制度」はガバナンスの一形態でしたが、ここで挙げられているディスクロージャー(情報開示)と並ぶ一般的な強化策としては、株主が直接経営を監視・是正できる株主代表訴訟の方が文脈に合います。

⑦・⑧【誤】

アが株主である点は正しいですが、イ・ウが誤りです。

問2:正解②

<問題要旨>

ある農産物の需要曲線と供給曲線が示された図と表から、2025年の価格と売上総額の変化を計算する問題です。需要曲線の式を導き出し、それを用いて未知の価格と売上を算出する論理的思考力と計算能力が求められます。

<選択肢>

【分析】

需要曲線の特定:需要曲線は直線なので、2つの点が分かれば式を求められます。表から(数量300, 価格70)と(数量400, 価格60)の2点を通ることがわかります。数量が100増えると価格が10下がるので、傾きは -10/100 = -0.1 です。価格 = a – 0.1 × 数量 とおき、(400, 60)を代入すると、60 = a – 0.1 × 400 → 60 = a – 40 → a = 100。よって、需要曲線は 価格 = 100 – 0.1 × 数量 となります。

2025年の価格xを計算:2025年の生産量(供給量)は800です。これを需要曲線の式に代入すると、価格x = 100 – 0.1 × 800 = 100 – 80 = 20円となります。

売上総額の計算と比較:

・2024年の売上総額:価格60円 × 数量400万単位 = 2億4000万円

・2025年の売上総額:価格20円 × 数量800万単位 = 1億6000万円

・売上総額の変化:1億6000万円 – 2億4000万円 = -8000万円。つまり、8000万円の「減少」となります。

【結論】

2025年の価格は20円で、2024年と比較して売上総額は「ア 8千万円」だけ「イ 減少」します。よって、この組み合わせである②が正解です。

問3:正解②

<問題要旨>

イノベーションと経済成長、および知的財産権の保護に関する会話文の空欄を補充する問題です。経済成長の指標や、知的財産権保護のバランスの重要性を理解しているかが問われます。

<選択肢>

①【誤】

イ・ウが逆です。保護が弱すぎると模倣され、強すぎると利用できなくなり、共にイノベーションを妨げます。

②【正】

空欄アについて、人口が減少しても、イノベーションによって生産性が向上すれば、「ア 一人当たりで」見た実質GDPは増加し、生活水準は高められます。次に、イノベーションの誘因となる知的財産権の保護について、保護が「イ 弱め」すぎるとアイデアが模倣されて開発意欲が失われ、逆に保護を「ウ 強め」すぎると、既存のアイデアを社会が利用できなくなり、新たな研究開発の妨げになります。どちらもイノベーションを阻害するため、適切なバランスが必要です。よって、この組み合わせが正解です。

③【誤】

アが誤りです。「固定資本減耗を控除して」得られるのはNDP(国内純生産)であり、生活水準を議論する文脈では「一人当たり」の指標が適切です。また、イ・ウも逆です。

④【誤】

アが誤りです。

問4:正解①

<問題要旨>

日本の検察審査会制度に関するメモを読み、その内容から導かれる正しい記述をすべて選ぶ問題です。検察審査会の議決の種類と、その後の手続きの流れを正確に追う必要があります。

<選択肢>

ア【正】

メモの3と4に該当します。検察審査会が「起訴相当」の議決をし(1回目の議決)、検察官が再度不起訴にした場合、検察審査会は再度審査を行い、「起訴をすべき旨の議決」(2回目の議決)をすることができます。この2回目の議決があった場合は、検察官ではなく、裁判所が指定した弁護士によって強制的に起訴されます。したがって、起訴が行われなければならない、という記述は正しいです。

イ【誤】

メモの2によると、検察審査会が「不起訴不当」の議決をした場合、検察官はその議決を参考に再度処分を判断しますが、その後の再審査や強制起訴についての規定はメモにありません。「起訴相当」の議決の場合と手続きが異なります。したがって、この記述はメモからは読み取れません。

ウ【誤】

メモの4に「裁判所が指定した弁護士により、当該事件について強制的に起訴される」とあります。強制起訴は「検察官によって行われる」のではなく、指定弁護士によって行われます。

【結論】

正しい記述はアのみであるため、①が正解です。

問5:正解④

<問題要旨>

消費者を保護する法制度の一つである製造物責任法(PL法)に関するメモの空欄を補充する問題です。この法律における企業の賠償責任の要件と、この法律が事前規制・事後規制のどちらに分類されるかを問うています。

<選択肢>

①・②【誤】

日本の製造物責任法では、立証責任を消費者側で緩和するため、企業の「過失」の証明は不要とされています。

③【誤】

イが誤りです。製造物責任法は、発生した損害に対する賠償を定めるものであり、「事後規制」に分類されます。

④【正】

空欄アについて、日本の製造物責任法では、消費者が企業に損害賠償を求める際、「b 製品の欠陥の証明は必要であるが、企業の過失の証明は不要である」とされています(無過失責任)。これにより消費者の立証負担が軽減されています。また、空欄イについて、このような問題発生後の損害賠償や救済に関する規制は「f 事後規制」に分類されます。よって、この組み合わせが正解です。

⑤~⑧【誤】

アの賠償要件、またはイの規制の分類のいずれか、あるいは両方が誤っています。

問6:正解②

<問題要旨>

企業の農業参入に関する2つの表を読み解き、会話文の空欄を補充する問題です。表から企業の参入目的や課題を読み取り、それに対応する地方自治体の支援策を論理的に考える力が求められます。なお、問題文には注記の訂正があります。

<選択肢>

①【誤】

イが誤りです。建設業の最大の課題は「販路の開拓」であり、それに対する支援策としてスマート農業導入の資金援助は直接的ではありません。

②【正】

空欄アについて、表1を見ると、建設業の参入目的で最も割合が高いのは「経営の多角化」(80%)です。これは「これまでとは異なる業種に事業を拡大すること」を意味しており、記述aは正しいです。空欄イについて、表2を見ると、建設業が参入時の課題として最も多く挙げているのは「販路の開拓」(83%)です。この課題に対する地方自治体の支援策としては、「d 参入企業と、その企業が生産した農作物を購入して利用する可能性のある他の企業とのマッチングの機会を設けること」が最も直接的で有効と考えられます。よって、この組み合わせが正解です。

③【誤】

イが誤りです。「販路の開拓」が最大の課題であるため、技術習得の講習会は最も的確な支援策とは言えません。

④・⑤・⑥【誤】

アの記述bは誤りです。食品製造業の目的で最も多いのは「本業商品の付加価値化・差別化」(59%)であり、「トレーサビリティの確保」(37%)ではありません。

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