2025年度 大学入学共通テスト 追試験 公共・政治経済 解答・解説

2025年度 大学入学共通テスト 追試験「公共・政治経済」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。

目次
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解答

解説

2025年度 追試験の「公共,政治・経済」は、大問6問・設問32問、満点100点、試験時間60分です。配点は第1問が12点、第2問が13点、第3問が19点、第4問が18点、第5問が19点、第6問が19点。解答番号は1〜32で、1つの設問が1つの解答番号に対応します。1問3点が基本で、資料の読み取りに手間がかかる6問(解答番号6・14・22・29ほか)だけが4点に配分されています。

第1問は新型コロナウイルス感染症をめぐる生徒の会話文で、功利主義と義務論、人権思想の歴史、条例と表現の自由・営業の自由、契約とクーリング・オフを扱います。第2問は若者議会での提言づくりを舞台に、青年期の自立、国民負担率の国際比較、年金の積立方式と賦課方式、セーフティネットを問います。第3問は大学のオープンキャンパスの模擬授業案内を題材に、近代憲法の仕組み(罪刑法定主義・全国民の代表・司法権の独立)と財政の役割(政府の役割・税制の三原則・所得再分配)を扱います。第4問はデジタル技術によるイノベーションのメモから、フィンテックと通貨、バランスシート、債券の利回り、公共交通の人手不足、地方公共団体と行政機関へ広がります。第5問は少子高齢社会の課題と対策をめぐる会話文で、人口と労働力人口の図、女性の就業形態、社会支出の内訳、夫婦同氏制をめぐる最高裁判決、生存権、選挙制度を問います。第6問は3つの班に分かれた探究学習で、為替相場の変動、安全保障のジレンマ、国際収支、国際通貨体制の歴史、医薬品アクセス、ESG投資を扱います。

この回の特徴は、資料から先に数値を確定させないと選べない設問が多いことです。国民負担率と老後の備えの二つの表を突き合わせる問題(解答番号6)、ジニ係数の折れ線から再分配効果の変化を読む問題(14)、人口の図から「図に描かれていない65歳以上人口」を引き算で求める問題(21)、社会支出の帯グラフで項目名を推定する問題(23)、国際収支の積み上げ棒からA・B・Cの正体を決める問題(29)が代表です。いずれも選択肢を先に見ず、資料の年次・項目・単位を押さえてから当てにいくのが最短ルートになります。もう一つのつまずきどころは、選択肢が⑥〜⑨まである組合せ問題(解答番号3・5・6・7・8・12・16・21)で、空欄が3つある場合は一つ確定するだけで候補が半分に減るので、自信のある空欄から順に消していくと時間を大きく節約できます。

第1問 感染症対策から考える人権と社会のルール(配点12)

新型コロナウイルス感染症がもたらした問題について生徒Aと生徒Bが語り合う会話文です。トリアージをめぐる功利主義と義務論の対比から出発し、人権思想の歴史、地域社会のルールである条例、私人どうしのルールである契約へと話題が広がります。

問1:正解 ②(解答番号1/配点3)

<問題要旨>

限られた人工呼吸器を誰から装着するかというトリアージの場面で、功利主義の立場が目指すもの(空欄ア)と、義務論の立場が人権と並べて何よりも尊重するもの(空欄イ)を、語句の組合せとして選ぶ設問です。

<考え方>

功利主義と義務論という二つの倫理学説が、それぞれ何を判断の基準に置くかに戻れば決まります。功利主義はベンサムの「最大多数の最大幸福」に代表されるように、社会全体の幸福の総量を最大にすることを目指す立場です。これに対し義務論は、結果の計算とは切り離して、一人ひとりを手段としてではなく目的として扱うこと、すなわち人格の尊厳を無条件に尊重することを求めます。会話文でもAは、義務論の立場からすると「救命に優先順位をつけるのは難しい」と述べており、個人を数に還元しない発想が置かれていることが読み取れます。

<選択肢>

ア=最大多数【正】

功利主義の立場から助かる見込みのある人を優先するのは、救える命の数をできるだけ多くするため、すなわち「最大多数」の救命を目指す考え方である。ベンサムの「最大多数の最大幸福」という標語がそのまま手がかりになる。

ア=無差別【誤】

「無差別」の救命とは誰も区別せずに扱うという意味になり、助かる見込みのある人を優先するという直前の記述と正面から食い違う。功利主義の内容を別の言葉にすり替えた誤り。

イ=尊厳【正】

義務論は、一人ひとりを他の目的のための手段にせず、人格そのものを尊重することを要求する。だからこそ救命に優先順位をつけることが難しく感じられる、という会話の流れと合う。

イ=欲求【誤】

「各人が平等にもつ人権や欲求を何よりも尊重する」とすると、人権と並べて挙げる語として釣り合わないうえ、欲求の充足を重んじるのはむしろ功利主義の発想であり、義務論の説明としては成り立たない。

正解【②】

功利主義は救える命の「最大多数」を目指し、義務論は各人の「尊厳」を無条件に尊重する立場なので、②が正解です。

問2:正解 ④(解答番号2/配点3)

<問題要旨>

自由獲得の歴史のなかで展開されてきた三つの考え方(ア=権力者といえども法に従わなければならない、イ=市民の自由を守るために政治権力を分立する、ウ=人は生まれながらに人権を有している)と、人権保障に関する思想や歴史を示した三枚のカードX〜Zとを対応させる設問です。

<考え方>

カードの文面から、それがどの文書・どの思想家のものかを特定すれば一対一に決まります。国王の権限行使を「違法である」と断ずるYは、議会の同意なしの統治を退けたイギリス権利章典の系統で、権力者も法に拘束されるという法の支配の宣言です。立法権力と執行権力の結合が自由を失わせると述べるZは、モンテスキューの権力分立論そのものです。残るXは「すべて人は生来ひとしく自由かつ独立しており、一定の生来の権利を有する」と述べており、生まれながらの権利=自然権を宣言したヴァージニア権利章典の系統にあたります。

<選択肢>

ア(権力者といえども法に従う)=カードY【正】

Yは、国王が議会の同意なく法や法の執行を停止することを「違法である」と断じている。権力を行使する者自身が法に縛られるという、法の支配の考え方の表明である。

イ(市民の自由を守るために権力を分立する)=カードZ【正】

Zは、同一の人間または同一の役職者団体に立法権力と執行権力が結合されるとき自由は全く存在しない、と述べる。権力の集中が自由を奪うという、権力分立論の根拠にあたる。

ウ(人は生まれながらに人権を有している)=カードX【正】

Xは、すべて人は生来ひとしく自由かつ独立しており一定の生来の権利を有する、と述べる。「生来の権利」という語が自然権思想を示しており、アやイのように権力の側を縛る仕組みを述べたものではない。

正解【④】

ア=Y(法の支配)、イ=Z(権力分立)、ウ=X(自然権)の対応になるので、④が正解です。

問3:正解 ③(解答番号3/配点3)

<問題要旨>

P市が屋外広告物条例を作るにあたって条例案への意見を広く募る手続き(空欄ア)、広告を規制されるレストラン経営者が表現の自由と並べて主張する権利(空欄イ)、環境権の根拠とされる人権(空欄ウ)の三つを、語句の組合せとして選ぶ設問です。

<考え方>

空欄を一つずつ、制度の定義に戻して確定させます。アは条例案について広く住民の意見や情報を求める手続きなので、行政手続法などに基づく意見公募手続、すなわちパブリックコメントです。イは看板や広告を撤去すると客が減るという営業上の不利益を語る文脈なので、経済的自由権に属する営業の自由です。ウは環境権の根拠であり、環境権は憲法13条の幸福追求権と憲法25条の生存権を根拠に主張されてきた新しい人権です。会話文が「生存権」を明示しているので、もう一方の根拠として幸福追求権が入ります。

<選択肢>

ア=パブリックコメント【正】

条例案などの案をあらかじめ公表し、広く住民の意見や情報を求める手続きがパブリックコメント(意見公募手続)である。法律や政令だけでなく、条例の制定でも実施されることがある。

ア=マニフェスト【誤】

マニフェストは選挙で政党や候補者が示す、数値目標や期限を伴う政権公約のこと。住民から意見を集める手続きではないので、主体も働きの向きも逆になる。

イ=営業の自由【正】

看板や広告の撤去で客が減ることを心配する発言なので、事業を営む自由が制約されるという主張である。営業の自由は憲法22条1項の職業選択の自由に含まれる経済的自由権と解されている。

イ=労働基本権【誤】

労働基本権は団結権・団体交渉権・団体行動権であり、労働者が使用者に対して行使する権利。店を経営する側が広告規制について主張する権利としては場面が合わない。

ウ=幸福追求権【正】

環境権は憲法に明文がない新しい人権で、憲法13条の幸福追求権と憲法25条の生存権を根拠に主張されてきた。会話文が「生存権」を挙げているので、残る根拠は幸福追求権である。

ウ=請願権【誤】

請願権(憲法16条)は、国や地方公共団体に対して希望を述べることができる権利であって、良好な環境を享受する利益そのものを支える根拠にはならない。

正解【③】

ア=パブリックコメント、イ=営業の自由、ウ=幸福追求権となるので、③が正解です。

問4:正解 ②(解答番号4/配点3)

<問題要旨>

契約の原則とクーリング・オフについて生徒と先生Tが話す会話文で、下線部ⓓ「契約が成立すると、原則として、契約を一方的にやめることはできない」と、下線部ⓔ「クーリング・オフは、一定の期間内であれば、事業者の同意を条件に契約を解除することができる」の正誤の組合せを選ぶ設問です。

<考え方>

契約自由の原則と、その例外として消費者保護のために設けられた制度との関係に戻ります。契約が成立すれば当事者は拘束され、一方の都合だけで解消することはできないのが原則で、取消しや解除には法律の定める要件が必要です。これに対してクーリング・オフは、訪問販売や特定継続的役務提供など不意打ち的・長期的な取引について、消費者が法定の期間内であれば理由を告げずに、そして相手方の承諾を得ずに一方的に契約を解除できる制度です。この「一方的に解除できる」という点こそが制度の核心なので、事業者の同意を条件にしてしまうと制度の意味が失われます。

<選択肢>

下線部ⓓ(契約が成立すると原則として一方的にやめられない)【正】

契約の拘束力の原則どおりである。先生Tも、取り消したり解除したりするには法律に規定された要件を満たす必要があると述べており、会話の中でも裏づけられている。

下線部ⓔ(クーリング・オフは事業者の同意を条件に解除できる)【誤】

クーリング・オフは、法定の期間内であれば消費者が事業者の同意なしに一方的に契約を解除できる制度である。「一方的に」を「事業者の同意を条件に」とすり替えており、要件を作りかえた誤り。

正解【②】

ⓓは契約の拘束力の原則どおりで正、ⓔはクーリング・オフに事業者の同意という要件を付け加えている点が誤りなので、②が正解です。

第2問 若者議会に向けた社会保障の探究(配点13)

地元の自治体で開かれる若者議会に向けて、生徒A・B・Cの三人が社会保障の課題を整理し提言をまとめていく場面です。青年期の自立、国民負担率の国際比較、二つの年金制度、セーフティネットと社会参画が順に問われます。

問1:正解 ⑥(解答番号5/配点3)

<問題要旨>

社会的に「大人」になるには身体的成熟だけでなく心理的・社会的成熟が求められるというテーマについて、三つの記述ア〜ウが、通過儀礼を述べた記述Xと青年期を述べた記述Yのどちらに該当するかを組み合わせる設問です。

<考え方>

XとYが何を指しているかを先に確定させます。Xは七五三や成人式のように人生の節目に行われる行事を挙げており、社会的な地位や役割の変化を区切る通過儀礼のことです。Yは自分自身をよく知り独自の価値観や人生観を体得して精神的な自立を実現する時期、つまり青年期そのものを指します。そのうえでア〜ウを振り分けると、儀式によって地位や役割が与えられるというウだけが通過儀礼の説明で、残るアとイは青年期の特徴を述べたものだと分かります。

<選択肢>

ア(大人としての責任や社会的義務が部分的に猶予される)=Y【正】

エリクソンのいう心理社会的モラトリアムの説明である。社会的責任の一部を猶予されながら自分のあり方を探る時期という点で、精神的自立を実現する時期=青年期を述べたYに対応する。

イ(親や年長者の考え方や社会的権威に反抗する)=Y【正】

第二反抗期に代表される青年期の特徴である。既成の価値観に反発しながら自分の価値観を形づくっていく過程であり、やはりYに対応する。

ウ(一定の儀式を経ることで社会的な地位や社会的役割が与えられる)=X【正】

儀式を境に社会的な位置づけが変わるという通過儀礼の定義そのもので、七五三や成人式を挙げたXに対応する。アやイのように個人の内面の変化を述べたものではない。

正解【⑥】

X(通過儀礼)に当たるのはウだけで、Y(青年期)に当たるのはアとイなので、⑥が正解です。

問2:正解 ⑨(解答番号6/配点4)

<問題要旨>

スウェーデン・日本・アメリカ3か国について、表1が国民所得に対する国民負担率(X32.3%、Y54.5%、Z47.9%)を、表2が50歳代までに行った老後の生活に向けた備えの回答率(ア・イ・ウの3か国)を示しています。会話文を手がかりに、表1のXがどの国か、そのXが表2のどの記号に当たるかを組み合わせる設問です。

<考え方>

表1と表2を別々に確定させてから突き合わせます。表1は3か国の国民負担率の高低だけが分かればよく、Yが最も高く、Zが中間、Xが最も低い、という順位が使えます。表2は会話文が三つの手がかりを与えています。第一に、Bの発言「国民負担率が最も高い国では、老後も働いて収入が得られるように職業能力を高めるという回答の比率が顕著に低い」から、この項目が1.3%と突出して低いイが最も負担率の高い国です。第二に、Aの発言「国民負担率が3か国のなかで最も低かった国では、預貯金と債券・株式の保有、投資信託と、老後も働いて職業能力を高めるの回答比率が最も高い」から、62.7%・52.2%・27.1%と三つとも最高値のウが最も負担率の低い国です。第三に、Bの発言「国民負担率が中間だった国では、個人年金への加入と債券・株式の保有、投資信託の回答比率が最も低い」から、24.0%・13.5%と二つとも最低値のアが中間の国と決まります。つまりイ=最高、ア=中間、ウ=最低。表1で最も低いのはXなので、X=ウです。あとはXがどの国かで、高福祉高負担のスウェーデンが最高のY、自助の比重が大きいアメリカが最低のX、日本が中間のZとなります。

<選択肢>

表1のY(54.5%)=スウェーデン【正】

3か国のうち国民負担率が最も高い。高福祉高負担型の社会保障制度をとる国であり、表2ではイ(職業能力を高めるが1.3%)に対応する。

表1のZ(47.9%)=日本【正】

3か国のうち中間の水準。表2では個人年金への加入24.0%、債券・株式の保有、投資信託13.5%といずれも3か国中最も低いアに対応する。

表1のX(32.3%)=アメリカ【正】

3か国のうち国民負担率が最も低い。公的な保障が薄いぶん自助努力の比重が大きく、表2では預貯金62.7%、債券・株式の保有、投資信託52.2%、職業能力を高める27.1%と三つとも最高値のウに対応する。

表2のイ=スウェーデン(=Y)【正】

「老後も働いて収入が得られるように職業能力を高める」が1.3%と極端に低い。公的な保障が手厚いので、老後に働いて備える必要が小さいという会話文の読み筋と一致する。

表2のア=日本(=Z)【正】

「個人年金への加入」と「債券・株式の保有、投資信託」がいずれも3か国中最低で、備えが預貯金54.6%に偏っている。会話文が中間の国の特徴として挙げた内容と一致する。

表2のウ=アメリカ(=X)【正】

4項目のうち3項目で最高値を示し、自ら老後に備える度合いが最も強い。国民負担率が最も低い国では自助の比率が高くなるという会話文の説明と一致する。

正解【⑨】

国民負担率が最も低いXはアメリカで、それに対応するのは表2で自助の回答が軒並み最高値となるウなので、⑨が正解です。

問3:正解 ②(解答番号7/配点3)

<問題要旨>

二つの代表的な年金制度を比較したメモで、ア方式は「現役時に年金受給者が支払った年金保険料を財源として支給する」、イ方式は「その時々の現役世代が負担する年金保険料を財源として支給する」と説明されています。イに入る方式名、ア方式が物価上昇で受ける影響(ウ)、イ方式が少子高齢化のもとで給付水準を維持するために必要なこと(エ)を組み合わせる設問です。

<考え方>

積立方式と賦課方式の定義に戻せば、三つの空欄はすべて連動して決まります。自分たちが現役時代に払った保険料を積み立てて、それを自分たちの年金の財源にするのが積立方式、その時々の現役世代の保険料をその時の受給者に回すのが賦課方式です。したがってア=積立方式、イ=賦課方式。積立方式の弱点はインフレで、名目額を積み立てても物価が持続的に上がれば給付額の実質的価値は目減りします。だからア方式の対応策として資産運用が挙げられているわけです。賦課方式の弱点は人口構成の変化で、支え手である現役世代が減り受給者が増えれば、同じ給付水準を保つには一人当たりの保険料負担を重くするしかありません。だからイ方式の対応策として支給開始年齢の引上げが挙げられています。

<選択肢>

イ=賦課【正】

「その時々の現役世代が負担する年金保険料を財源として、年金受給者への支給を行う」という説明が賦課方式の定義そのもの。世代間扶養の仕組みであり、人口比率の変動に直接さらされる。

イ=積立【誤】

積立方式は将来の受給者本人が現役時代に積み立てた保険料を財源とする方式で、ア方式の説明に当たる。ア方式とイ方式を入れ替えた誤り。

ウ=減少【正】

積立方式では名目の積立額が固定されるため、持続的な物価上昇が起これば同じ金額で買えるものが減り、年金給付額の実質的価値は下がる。だからこそ対応策として資産運用が挙げられている。

ウ=増加【誤】

物価が上がれば貨幣の購買力は下がるので、実質的価値は増えるのではなく減る。インフレの影響を逆向きに述べた、因果の逆転にあたる誤り。

エ=増やす【正】

賦課方式では現役世代の保険料が受給者への給付に直結する。少子高齢化で支え手が減り受給者が増えるなかで給付水準を維持するには、現役世代一人当たりの負担を重くするほかない。

エ=減らす【誤】

現役世代の負担を減らしながら給付水準を維持することはできない。負担を減らせば給付を下げるか支給開始年齢を引き上げるかの選択を迫られるのであり、メモが対応策として支給開始年齢の引上げを挙げているのもそのためである。

正解【②】

イ=賦課方式、ウ=(実質的価値の)減少、エ=(現役世代の負担を)増やす、となるので、②が正解です。

問4:正解 ⑧(解答番号8/配点3)

<問題要旨>

若者議会での提案をまとめる会話文で、貧困などに陥った際に生じる問題を防ぐ仕組みや制度(空欄ア)、社会保険のなかでも事業主のみが負担するもの(空欄イ)、1995年が日本における「元年」と言われた社会参画の方法(空欄ウ)を、語句の組合せとして選ぶ設問です。

<考え方>

三つとも語の定義と年号で確定できます。アは、貧困に陥ったときに生活が崩れないよう下支えする仕組みなので、安全網を意味するセーフティネットです。イは負担者に着目させており、社会保険のうち保険料を事業主が全額負担するのは労働者災害補償保険(労災保険)です。ウは「阪神・淡路大震災後に大きく進展した」「1995年が元年」という二つの手がかりから、ボランティア元年と呼ばれた市民活動のことだと決まります。

<選択肢>

ア=セーフティネット【正】

貧困や失業など生活上の危険に陥ったときに落下を食い止める安全網を意味し、社会保険・公的扶助・社会福祉などがその役割を担う。格差や貧困が世代を超えて引き継がれる問題への対応という文脈と合う。

ア=ディーセント・ワーク【誤】

ディーセント・ワークはILOが掲げる「働きがいのある人間らしい仕事」のことで、働き方の質を示す概念。貧困に陥った際の問題を防ぐ仕組みや制度そのものではないので、言葉のすり替えにあたる。

イ=労災保険【正】

労働者災害補償保険は、業務上や通勤途上の災害に備える制度で、保険料は事業主が全額負担する。「事業主のみが負担する」という手がかりに合致するのはこれだけである。

イ=雇用保険【誤】

雇用保険の保険料は事業主と労働者の双方が負担する(事業主の負担割合の方が大きいが、労働者も負担する)。負担者を「事業主のみ」とする点が事実と異なる。

ウ=ボランティア【正】

1995年の阪神・淡路大震災では多数の市民が被災地の支援に駆けつけ、この年は「ボランティア元年」と呼ばれた。1998年の特定非営利活動促進法(NPO法)制定にもつながった。

ウ=公共サービス【誤】

公共サービスは行政などが提供する役務のことで、若い世代が主体的に社会に参画するための方法という文脈に合わない。また1995年を元年と呼ぶ根拠もない。

正解【⑧】

ア=セーフティネット、イ=労災保険、ウ=ボランティアとなるので、⑧が正解です。

第3問 模擬授業「自由で公正な社会の実現に向けて」(配点19)

大学の政治経済学部のオープンキャンパスで配られた模擬授業の概要を題材にした大問です。法・政治分野では近代憲法の仕組み(人身の自由、全国民の代表、司法権の独立)、経済分野では財政の役割(政府の役割、税制、所得再分配)が順に問われます。

問1:正解 ①(解答番号9/配点3)

<問題要旨>

人身の自由を保障する意義について生徒X・Yが話し合う会話文で、犯罪の内容と刑罰をあらかじめ法律で定める原則(空欄ア)と、行為の後に制定された法律でその行為を処罰しないようにする憲法上の定め(空欄イ)を、語句の組合せとして選ぶ設問です。

<考え方>

刑事法の基本原則に戻ります。どのような行為が犯罪となり、どのような刑罰が科されるかをあらかじめ法律で定めておかなければ処罰できない、という原則が罪刑法定主義です。会話文が述べる「許される行為と許されない行為の境界線を事前に示すことで、国民が刑罰を科せられる危険を事前に予測できるようにしている」という説明が、まさにこの原則の趣旨です。そこから導かれる具体的な帰結のうち、行為時に犯罪とされていなかったことを後からできた法律で処罰することの禁止が、憲法39条前段の遡及処罰の禁止(事後法の禁止)です。

<選択肢>

ア=罪刑法定主義【正】

犯罪と刑罰をあらかじめ法律で定めておくという刑事法の基本原則。国民が何をすれば処罰されるかを事前に予測できるようにし、国家の恣意的な処罰を防ぐことを目的とする。

ア=過失責任主義【誤】

過失責任主義は、故意または過失がなければ損害賠償責任を負わないという民事法上の原則。刑罰を法律で事前に定めるという文脈とは分野が異なる、言葉のすり替えである。

イ=遡及処罰の禁止【正】

憲法39条前段は、実行の時に適法であった行為については刑事上の責任を問われないと定める。行為の後に制定された法律をさかのぼって適用して処罰することを禁じるもので、会話文の説明とそのまま一致する。

イ=残虐な刑罰の禁止【誤】

残虐な刑罰の禁止(憲法36条)は、科される刑罰の内容が残虐であってはならないという定めであって、いつ制定された法律を適用できるかという時期の問題を扱うものではない。

正解【①】

ア=罪刑法定主義、イ=遡及処罰の禁止となるので、①が正解です。

問2:正解 ③(解答番号10/配点3)

<問題要旨>

身分制議会における命令委任の関係と、近代以降の議会で議員が全国民の代表とされ命令委任が禁止されるようになったことを説明した資料を読み、命令委任の禁止の考え方に照らして今の日本について言えること(空欄ア)と、議院の承認があるときなど一定の場合を除いて原則として会期中にのみ認められる特権(空欄イ)を組み合わせる設問です。

<考え方>

命令委任の禁止とは何かを資料から正確につかむことが要です。資料は、身分制議会では議員が選出母体からの指示に拘束され、指示に従わなければ召還・解任されたのに対し、近代以降は議員が選出母体の代表ではなく全国民の代表とされ、選出母体からの指示ではなく自らの信念に従うべきだと考えられるようになった、と述べています。つまり要点は「選出母体との関係を切る」ことです。したがって日本でこの考え方が現れているのは、有権者が国会議員を任期途中で辞めさせる制度(リコール)がないことです。イは国会議員の特権のうち会期中に限られるものを問うており、憲法50条の不逮捕特権が「国会の会期中は逮捕されず、会期前に逮捕された議員は議院の要求があれば会期中これを釈放しなければならない」と定めています。

<選択肢>

ア=b(有権者による国会議員の解職請求が制度化されていない)【正】

命令委任の禁止は、議員が選出母体からの指示に拘束されないという考え方である。有権者が議員を任期途中で解職できる仕組みがないことは、議員の選出母体からの独立性が制度に表れた例であり、資料の趣旨と直結する。

ア=a(議院による所属議員の除名が認められている)【誤】

除名(憲法58条2項)は議院が院内の秩序を乱した議員を懲罰する制度で、議院と議員の関係の問題である。選出母体と議員の関係を扱う命令委任の禁止とは主体が入れ替わっており、資料の論点に対応しない。

イ=c(不逮捕特権)【正】

憲法50条により、国会議員は法律の定める場合を除いて会期中は逮捕されない。所属する議院の許諾があれば会期中でも逮捕されうるため、「議院の承認があるときなど一定の場合を除いて、原則として会期中にのみ認められる」という説明と合致する。

イ=d(免責特権)【誤】

免責特権(憲法51条)は、議院で行った演説・討論・表決について院外で責任を問われないという特権で、任期後も含めて効力が及ぶ。会期中に限られるという限定が付かない点で条件が異なる。

正解【③】

命令委任の禁止は議員が選出母体に拘束されないことを意味するのでアはb、会期中に限られる特権はイ=不逮捕特権なので、③が正解です。

問3:正解 ②(解答番号11/配点3)

<問題要旨>

日本国憲法における司法権の独立について、正しい記述を一つ選ぶ設問です。裁判官の罷免、裁判官の職権の独立、行政機関による終審裁判、最高裁判所裁判官の任命という四つの論点が並びます。

<考え方>

司法権の独立は、裁判所が他の国家機関から干渉されないという意味(司法府の独立)と、個々の裁判官が誰からも指示を受けずに裁判するという意味(裁判官の職権の独立)の二層で理解します。後者を定めるのが憲法76条3項「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される」です。この条文を思い出せれば②がそのまま正しいと分かります。残りは、裁判官の罷免権をもつのは誰か(国会に設けられる弾劾裁判所)、行政機関の終審裁判は認められるか(憲法76条2項で例外なく禁止)、最高裁判所裁判官の任命に国会の同意は要るか(不要)という、主体と要件の確認で処理できます。

<選択肢>

①【誤】

職務上の義務違反や裁判官としての威信を著しく損なう非行があった裁判官を罷免するのは、国会議員で組織される弾劾裁判所である(憲法64条・78条)。罷免権を内閣に与えているとする点が主体の入れ替えであり、内閣が裁判官を罷免できるとすれば司法権の独立そのものが崩れる。

②【正】

憲法76条3項が、すべて裁判官はその良心に従い独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束されると定めている。裁判官の職権の独立を保障する規定であり、記述のとおりである。

③【誤】

憲法76条2項後段は「行政機関は、終審として裁判を行ふことができない」と定め、例外を認めていない。公正取引委員会は審判を行うことがあっても終審とはならず、その判断は裁判所の審査に服する。例外があるとする点が要件の改変にあたる。

④【誤】

最高裁判所の長たる裁判官は内閣の指名に基づいて天皇が任命し、その他の裁判官は内閣が任命する(憲法6条2項・79条1項)。いずれも国会の同意を要件としていない。国会の同意が必要なのは人事官や日本銀行総裁など別の職であり、要件を付け加えた誤りである。

正解【②】

憲法76条3項が裁判官は憲法と法律にのみ拘束されると定めて職権の独立を保障しているので、②が正解です。

問4:正解 ⑧(解答番号12/配点3)

<問題要旨>

資本主義経済における政府の役割の変遷をまとめたメモで、20世紀に政府が積極的に市場介入し経済政策と社会保障体制の整備によって形成されたもの(空欄ア)、1970年代後半から1980年代前半にアメリカやイギリスを中心に台頭した考え方(空欄イ)、その背景にある市場メカニズムに対する態度(空欄ウ)を組み合わせる設問です。

<考え方>

年代と内容の対応で決まります。世界恐慌を経て20世紀に確立した、政府が需要を管理し社会保障を整備する国家像が福祉国家(大きな政府)です。それが財政赤字と低成長のなかで見直され、1970年代後半から80年代前半にアメリカのレーガン政権やイギリスのサッチャー政権を中心に台頭したのが新自由主義で、公企業の民営化や規制緩和を導く理念となりました。新自由主義が政府の介入を縮小しようとするのは、市場メカニズムに任せた方が資源配分は効率的になると考えるからで、その根底にあるのは市場への信頼です。

<選択肢>

ア=福祉国家【正】

政府が積極的に市場に介入し、経済政策の実施と社会保障体制の整備を行う国家像である。資本主義の弊害が顕在化した20世紀に先進資本主義諸国で形成された、というメモの流れと一致する。

ア=夜警国家【誤】

夜警国家は、政府の役割を国防と治安維持など最小限にとどめる19世紀的な国家像(小さな政府)で、積極的な市場介入や社会保障の整備とは正反対。時期も内容も逆向きである。

イ=新自由主義【正】

自由な経済活動を重視し、政府の市場への介入の縮小を主張する考え方。1970年代後半から80年代前半にかけて台頭し、公企業の民営化や規制緩和を導く理念となった。雇用の不安定化や貧困率の上昇をもたらしたとの批判がある、というメモの記述とも合う。

イ=修正資本主義【誤】

修正資本主義は、恐慌や失業への対応として政府が市場に介入し資本主義の弊害を是正する考え方で、アの福祉国家を支える理念にあたる。政府の介入の縮小を主張するイの説明とは向きが逆である。

ウ=信頼【正】

政府の介入を縮小してよいと考えるのは、市場に委ねた方が効率的な資源配分が実現すると見るからである。新自由主義の背景にあるのは市場メカニズムへの信頼である。

ウ=批判【誤】

市場メカニズムを批判する立場からは、むしろ政府の介入を強める主張が導かれる。民営化や規制緩和を導く理念の背景としては因果が逆転している。

正解【⑧】

ア=福祉国家、イ=新自由主義、ウ=市場メカニズムへの信頼となるので、⑧が正解です。

問5:正解 ③(解答番号13/配点3)

<問題要旨>

望ましい税制のあり方をめぐる生徒X・Yの会話文で、課税が経済活動にできるだけ影響しないようにするという租税の原則(空欄ア)と、汚染物質による他の経済主体への損失を考慮しないで生産活動を行う企業の生産量が社会全体として望ましい生産量と比べてどうなるか(空欄イ)を組み合わせる設問です。

<考え方>

アは租税の三原則(公平・中立・簡素)のどれかを選ぶ問題です。公平は担税力に応じた負担、簡素は仕組みの分かりやすさ、中立は課税が個人や企業の経済的選択をゆがめないこと。「課税が経済活動にできるだけ影響しないようにする」という説明はそのまま中立の定義です。イは外部不経済の問題です。企業が汚染による損失(外部費用)を負担しないままだと、企業が考える費用は社会全体が負う費用より小さくなるため、企業は社会的に望ましい水準を超えて生産してしまいます。だから環境税で外部費用を企業の費用に織り込ませて生産量を絞る、という後半のYの発言につながります。

<選択肢>

ア=中立【正】

租税の中立の原則は、課税が経済主体の選択をできるだけゆがめないことを求める。勤労意欲を削がず、経済活動を大きく妨げないという会話文の説明と一致する。

ア=公平【誤】

公平の原則は、担税力に応じて負担を分かち合い、同じ状況の人が同じ負担をするという内容。経済活動への影響の小ささを述べたものではない。

ア=簡素【誤】

簡素の原則は、税制の仕組みを納税者に分かりやすくし、納税や徴税のコストを抑えるという内容。やはり経済活動への影響を問題にしていない。

イ=多く【正】

汚染による損失を費用に算入しなければ、企業が直面する費用は社会全体が負う費用より小さくなる。その結果、企業は社会的に望ましい水準より多く生産する。外部不経済の典型的な帰結である。

イ=少なく【誤】

費用を過小に見積もっているのだから生産は過小ではなく過大になる。外部不経済の働く向きを逆に捉えた誤りで、これでは環境税によって生産量を絞る必要があるという後続の発言ともつながらない。

正解【③】

ア=中立の原則、イ=社会的に望ましい生産量より多く、となるので、③が正解です。

問6:正解 ①(解答番号14/配点4)

<問題要旨>

日本における所得再分配政策によるジニ係数の変化を、2002年から2021年まで3年ごとに、当初所得・社会保障による再分配所得・社会保障と税による再分配所得の三つの系列で示した資料を読む設問です。2002年と2021年の再分配効果の比較(空欄ア)と、所得格差を小さくするために所得課税の最高税率をどうするか(空欄イ)を組み合わせます。

<考え方>

再分配効果は、当初所得のジニ係数と再分配後のジニ係数の差で測ります。資料の折れ線を見ると、当初所得のジニ係数は2002年の約0.50から2021年には約0.57へ上昇しているのに対し、社会保障と税による再分配所得のジニ係数は2002年も2021年も約0.38でほとんど変わっていません。したがって両者の差は約0.12から約0.19へ広がっており、再分配効果は大きくなっています。イは累進課税の働きに戻ります。所得が高いほど高い税率を適用するのが累進課税で、最高税率を引き上げれば高所得層からより多く税を取り再分配に回せるので、格差を縮める効果は強まります。

<選択肢>

ア=大きい【正】

当初所得のジニ係数は2002年から2021年にかけて上昇しているのに、社会保障と税による再分配所得のジニ係数はほぼ横ばいである。上下二本の折れ線の開きが広がっているので、再分配によってジニ係数が引き下げられる幅、すなわち再分配効果は大きくなっている。

ア=小さい【誤】

再分配効果が小さくなったのであれば、当初所得の線と再分配所得の線の間隔が狭まっていなければならない。資料の推移はその逆で、間隔は広がっている。二本の線の差を見るという読み方を取り違えた誤りである。

イ=引き上げる【正】

所得課税は累進課税で、最高税率を引き上げれば高所得層の税負担が重くなり、その財源を通じた再分配が強まる。所得格差を小さくしたいという文脈に合う。

イ=引き下げる【誤】

最高税率を引き下げれば高所得層の手取りが増え、税による再分配の力は弱まる。格差を小さくするという目的に対して効果の向きが逆である。

正解【①】

当初所得のジニ係数だけが上昇し再分配後はほぼ横ばいなので再分配効果は大きくなっており、格差縮小には最高税率の引上げが働くので、①が正解です。

第4問 デジタル技術によるイノベーション(配点18)

デジタル技術の活用例を金融分野と公共交通分野に分けてまとめた生徒X・Yのメモを起点とする大問です。フィンテックと通貨、企業の資金調達とバランスシート、家計の資産運用と債券の利回り、労働力不足への対応、地方公共団体と国の行政機関まで問われます。

問1:正解 ②(解答番号15/配点3)

<問題要旨>

フィンテックが日本の経済社会に及ぼす影響を話し合う会話文で、ブロックチェーンによって改ざんを防いで取引され「暗号資産とも呼ばれている」もの(空欄ア)と、日本銀行券が法定通貨としてもつ性質(空欄イ)を、語句の組合せとして選ぶ設問です。

<考え方>

アは会話文中の「暗号資産とも呼ばれている」という言い換えが決め手です。ブロックチェーン技術を基盤とし、価格変動を利用した投機的な取引が問題になったものといえば仮想通貨(暗号資産)で、価値貯蔵手段としての機能が安定しないという指摘もそのまま当てはまります。イは、仮想通貨と対比して日本銀行券の何が価値の安定を支えているのかを問うています。日本銀行券は日本銀行法により法貨として無制限に通用する、つまり支払いに使えば相手は受取りを拒めないという強制通用力をもちます。この点が、受け取ってもらえる保証のない暗号資産との決定的な違いです。

<選択肢>

ア=仮想通貨【正】

ブロックチェーンによって改ざんを防いで取引され、暗号資産とも呼ばれるのが仮想通貨である。価格変動が大きく、価値貯蔵手段としての機能が安定しないという会話文の指摘とも合う。

ア=現金通貨【誤】

現金通貨は日本銀行券と硬貨を指す。暗号資産と呼ばれることはなく、ブロックチェーンで取引されるものでもないので、用語の置き換えとして成り立たない。

イ=強制的な通用力【正】

日本銀行券は法貨として無制限に通用する(強制通用力をもつ)。支払いに用いれば相手は受取りを拒めず、この法的な裏づけが価値の安定を支える土台になっている。

イ=発行できる量の上限【誤】

日本銀行券の発行額にあらかじめ決められた上限はなく、日本銀行が金融政策の一環として発行残高を調整している。上限の有無を価値の安定の根拠とする点が事実と異なる。

正解【②】

ア=仮想通貨、イ=強制的な通用力となるので、②が正解です。

問2:正解 ④(解答番号16/配点3)

<問題要旨>

企業のバランスシート(貸借対照表)を、資産(ア)・負債(イ)・純資産(ウ)の三つの欄に模式化した図が示されます。企業が銀行から3,000万円を借り入れて設備投資を行った場合、どの欄に3,000万円を書き加えればよいか、当てはまるものをすべて選ぶ設問です。

<考え方>

バランスシートは「資産=負債+純資産」という恒等式で常に釣り合います。取引を二つに分解して考えるのが確実です。まず銀行から3,000万円を借り入れると、返済義務が生じるので負債が3,000万円増え、同時に手元の現金という資産が3,000万円増えます。次にその資金で設備投資を行うと、現金という資産が3,000万円減り、設備という資産が3,000万円増えます。つまり資産の中身が入れ替わるだけです。二つを合わせると、資産が3,000万円増え、負債が3,000万円増えます。純資産は株主からの出資や過去の利益の蓄積であり、借入れによって増えることはありません。

<選択肢>

ア(資産)に書き加える【正】

借り入れた資金で購入した設備が資産として計上されるので、資産は3,000万円増える。借入時の現金増加がそのまま設備に置き換わる形である。

イ(負債)に書き加える【正】

銀行からの借入金は返済義務を伴うので、負債が3,000万円増える。資産の増加と同額であり、これによって左右の合計が釣り合う。

ウ(純資産)に書き加える【誤】

純資産は資産から負債を差し引いた残りで、株主からの出資金や過去の利益の蓄積からなる。借入れは負債を増やすだけで純資産を増やさないので、ここに3,000万円を書き加えると資産=負債+純資産の関係が崩れてしまう。

正解【④】

借入れで負債が、設備の取得で資産がそれぞれ3,000万円増え、純資産は変わらないので、アとイの④が正解です。

問3:正解 ③(解答番号17/配点3)

<問題要旨>

家計の資産運用をめぐる生徒Xと家族Jの会話文で、市中銀行への預金が投資に比べてリスクが小さいといえる理由(空欄ア)と、利率が年1.2%で満期が1年後の額面100万円の債券を、年間の利回り10%で運用するにはいくらで購入すればよいか(空欄イ)を組み合わせる設問です。

<考え方>

アは預金の安全性を支える制度を選びます。預金保険制度は、金融機関が破綻した場合に預金者1人当たり元本1,000万円までとその利息を保護する仕組みで、預金のリスクが小さいことの制度的な裏づけになります。イは計算で確定させます。額面100万円・利率年1.2%なので、1年後に受け取る金額は元本100万円と利息1.2万円を合わせて101.2万円です。購入価格をPとすると、利回り10%という条件は(101.2万円−P)÷P=0.1と表せます。これを解くとP=101.2÷1.1=92万円です。額面より安く買うことで償還差益が生まれ、利回りが利率を上回る、という関係も確認しておくとよいでしょう。

<選択肢>

ア=b(預金保険制度によって1,000万円までの預金元本とその利息が保証されている)【正】

預金保険制度は金融機関が破綻した場合に預金者を保護する仕組みで、預金のリスクが投資に比べて小さいといえる直接の根拠になる。

ア=a(貸金業法によって上限金利が定められている)【誤】

貸金業法の上限金利の規制は、消費者が貸金業者から借りる際の利息を制限するもので、借り手を守る仕組みである。預金者として預けたお金の安全性とは場面が違う、主体の入れ替えにあたる。

イ=c(92万円)【正】

1年後の受取額は100万円+1.2万円=101.2万円。購入価格をPとして(101.2−P)÷P=0.1を解くとP=101.2÷1.1=92万円となる。額面より8万円安く買うことで、利息1.2万円と償還差益8万円を合わせた9.2万円が92万円に対する10%の収益になる。

イ=d(108万円)【誤】

額面100万円の債券を108万円で買えば、1年後の受取額101.2万円は購入価格を下回り、利回りはマイナスになる。額面より高く買うか安く買うかの向きを取り違えた誤りである。

正解【③】

預金の安全性を支えるのは預金保険制度で、利回り10%となる購入価格は101.2万円÷1.1=92万円なので、③が正解です。

問4:正解 ④(解答番号18/配点3)

<問題要旨>

路線バス運転者の労働力不足の解決策を話し合う会話文で、デジタル技術によって運転経験の少ない人の運転技能の向上を支援する取組み(空欄ア)と、人手不足が続く場合に既存のバス路線網を廃止しないために必要なこと(空欄イ)を組み合わせる設問です。

<考え方>

それぞれの空欄が何を目的としているかを会話文から取り出し、目的に合う手段かどうかで選びます。アの目的は「運転経験が少ない人の運転技能の向上を支援する」ことなので、運転そのものの質に働きかける技術でなければなりません。イの目的は「限られた人員で路線網そのものは残す」ことなので、総運行本数を抑えて人員をやりくりする方向の工夫になります。逆に運行本数を増やす案は、必要な運転者の数を増やしてしまい、人手不足という前提と矛盾します。

<選択肢>

ア=b(急発進および急ブレーキを検知するセンサーをバスに取り付け、得られた数値を記録して運転者にAIが助言する)【正】

運転操作そのものを計測して助言を返す仕組みなので、運転技能の向上を直接支援する。就業を希望する人の不安の解消にもつながる、という会話文の説明とも合う。

ア=a(バスの運行状況を、利用客が停留所に設置された装置やスマートフォンなどで確認できるようにする)【誤】

これは利用客の利便性を高める取組みであって、運転者の技能には働きかけない。誰に向けた技術かという主体が入れ替わっている。

イ=d(現状の便数から乗客数が一定以下の時間帯のバスを減便する)【正】

利用の少ない時間帯を減便すれば、限られた運転者で路線網そのものは維持できる。路線を廃止しないために必要な工夫として筋が通る。

イ=c(現状の便数に加えて乗客数が最も多い時間帯のバスを増便する)【誤】

増便すればより多くの運転者が必要になり、人手不足をいっそう深刻にする。人手不足が続く場合という前提と、対策の向きが逆転している。

正解【④】

ア=運転操作を計測してAIが助言するb、イ=利用の少ない時間帯を減便するd、となるので、④が正解です。

問5:正解 ①(解答番号19/配点3)

<問題要旨>

現在の日本の地方公共団体に関する記述として、最も適当なものを一つ選ぶ設問です。オンブズパーソン制度、道州制、住民投票の法的拘束力、条例の制定手続という四つの論点が並びます。

<考え方>

地方自治の制度は「誰が決めるのか」「どこまで法的な力があるのか」の二点を押さえると整理できます。条例は議会の議決によって成立し、国の機関の認可を必要としません(法令に違反しない範囲でという限界はあります)。住民投票は条例に基づいて実施できますが、その結果は議会や首長を法的に拘束するものではなく、民意を示す諮問的なものにとどまります。道州制は構想として議論されてきたものの、現在まで導入されていません。残るオンブズパーソン制度は、行政に対する住民の苦情を受けて調査・勧告する第三者機関で、一部の地方公共団体が条例によって設置しています。

<選択肢>

①【正】

オンブズパーソン(オンブズマン)制度は、行政活動を住民の立場から監視し、苦情の調査や是正の勧告を行う仕組み。日本では国レベルでは制度化されていないが、一部の地方公共団体が条例で設置している。

②【誤】

道州制は都道府県を再編して広域自治体を設けようとする構想で、これまで議論はされてきたが導入されていない。存在しない制度が実施されているとする点が事実と異なる。

③【誤】

条例に基づく住民投票の結果は、議会や首長を法的に拘束しない。民意を明らかにする諮問的なものであり、法的拘束力があるとする点が制度の効力を過大に述べた誤りである。

④【誤】

条例は地方公共団体の議会の議決によって制定され、総務大臣の認可を経る必要はない。国の機関の認可を要件として付け加えており、地方自治の本旨(団体自治)にも反する。

正解【①】

一部の地方公共団体が条例でオンブズパーソン制度を設けている点が正しいので、①が正解です。

問6:正解 ①(解答番号20/配点3)

<問題要旨>

現在の日本における行政機関に関する記述として、最も適当なものを一つ選ぶ設問です。内閣府、国家公安委員会、人事院、政府委員制度という四つの論点が並びます。

<考え方>

行政機関の問題は、その機関が何をする組織で、どの法的位置づけにあるかを一つずつ確かめれば処理できます。内閣府は内閣の重要政策に関する事務を助けることを任務とし、各省より一段高い位置づけから省庁間の総合調整を担う機関です。国家公安委員会は内閣府の外局として置かれる行政委員会であって、独立行政法人ではありません。各省庁の幹部職員人事の一元管理を担うのは2014年に設置された内閣人事局で、人事院は国家公務員の人事行政の中立性・公正性を確保する機関です。政府委員制度は、国会審議で大臣に代わって官僚が答弁する仕組みでしたが、1999年の国会審議活性化法によって廃止されました。

<選択肢>

①【正】

内閣府は内閣府設置法に基づき、内閣の重要政策に関する内閣の事務を助けることを任務とし、各省より上位の位置づけから省庁間の政策の総合調整を行う。中央省庁等改革によって2001年に設置された。

②【誤】

国家公安委員会は内閣府の外局として置かれる行政委員会であり、独立行政法人ではない。独立行政法人は行政の実施部門を担う別の法人形態で、組織の性格を取り違えている。

③【誤】

各省庁の幹部職員人事の一元的な管理を行うために設置されたのは内閣官房の内閣人事局である。人事院は国家公務員の人事行政の中立性・公正性を確保する機関であり、担当する機関が入れ替わっている。

④【誤】

政府委員制度は1999年の国会審議活性化法によって廃止され、現在は政府参考人制度に改められている。すでに存在しない制度が設置されているとする、時期の誤りである。

正解【①】

内閣府が各省より上位の位置づけで省庁間の総合調整を行う機関だという記述が正しいので、①が正解です。

第5問 少子高齢社会における課題と対策(配点19)

「少子高齢社会における課題と対策」をテーマに生徒XとYが話し合う会話文を軸に、人口と労働力人口の図、女性の就業形態に関する二つの資料、社会支出の内訳、夫婦同氏制をめぐる最高裁判決、生存権、選挙制度へと問いが展開します。

問1:正解 ⑦(解答番号21/配点3)

<問題要旨>

1980年から2020年までの5年ごとの日本の人口と労働力人口を示した図を読む設問です。図には総人口・15歳以上人口・生産年齢人口の三つの折れ線と、65歳未満と65歳以上に分けた労働力人口の積み上げ棒が描かれており、三つの記述ア〜ウのうち正しいものをすべて選びます。

<考え方>

この図には65歳以上人口の系列が直接は描かれていません。しかし15歳以上人口から生産年齢人口(15〜64歳)を引けば65歳以上人口が求められるので、二本の折れ線の間隔を見れば増減が判定できます。アはこの引き算で処理します。イとウは積み上げ棒の内訳を読む問題で、棒全体の高さが労働力人口、下の区画が65歳未満、上の区画が65歳以上です。イは2000年と2020年の二つの区画の変化量を比べ、ウは生産年齢人口の折れ線が下がっている期間に下の区画が増えた年があるかを探します。「増加した期間がある」という形の記述は、当てはまる区間を一つ見つければ成り立つ点にも注意しましょう。

<選択肢>

ア(総人口が減少していても、65歳以上人口が増加している期間がある)【正】

総人口の折れ線は2010年を頂点として2015年、2020年と下がっている。一方、15歳以上人口はほぼ横ばいなのに生産年齢人口は大きく下がり続けているので、その差である65歳以上人口は増え続けている。総人口の減少と65歳以上人口の増加が同時に起きている期間があり、記述は正しい。

イ(2000年と2020年の労働力人口を比べると、65歳以上の増加分が65歳未満の減少分を上回っている)【正】

積み上げ棒の上の区画(65歳以上)は2000年から2020年にかけて大きく厚くなり、下の区画(65歳未満)は薄くなっている。棒全体の高さは2000年より2020年の方が高いので、上の区画の増加分が下の区画の減少分を上回っていることになり、記述は正しい。

ウ(生産年齢人口が減少している期間にも、65歳未満の労働力人口は増加した期間がある)【正】

生産年齢人口の折れ線は1995年を頂点として以後下がり続けている。その期間のうち1995年から2000年、および2015年から2020年では、積み上げ棒の下の区画(65歳未満の労働力人口)が厚くなっている。生産年齢人口が減っていても、そのうち働く人の割合が上がれば65歳未満の労働力人口は増えうるので、記述は正しい。

正解【⑦】

ア・イ・ウのいずれも図から確かめられるので、すべてを選んだ⑦が正解です。

問2:正解 ⑤(解答番号22/配点4)

<問題要旨>

資料1は1987年と2017年の女性の年齢階級別・就業形態別就業率(正規の職員・従業員、非正規の職員・従業員、その他の就業形態の積み上げ)、資料2は非正規の職員・従業員として就業している女性が現在の就業形態を選択した理由(2017年、複数回答)を年齢階級別に示した表です。M字カーブをめぐる会話文の空欄ア・イに入る記述の組合せを選びます。

<考え方>

アは資料1の最下層、すなわち正規の職員・従業員の就業率だけを取り出して読みます。2017年の図では正規は25〜29歳で最も高くなり、そこから年齢階級が上がるにつれて下がり続けています。一方で1987年と2017年を比べると、25〜29歳や30〜34歳のように正規の就業率が上がっている年齢階級もあるので、「正規は低下している」と一括りにはできません。イは資料2の表で、どの年齢階級でも最も回答率が高い理由を探します。「自分の都合のよい時間に働きたいから」が25〜29歳の44%から45〜49歳の50%まで、すべての年齢階級で最上位です。そのうえで、この理由に応える企業側の取組みはどれかを考えます。

<選択肢>

ア=b(正規の職員・従業員での就業率は、20歳代後半で最も高くなり、それ以降は年齢階級が上がるに従って低下している)【正】

2017年の図で最下層の帯を追うと、25〜29歳で最も厚くなり、30〜34歳、35〜39歳……60〜64歳と一貫して薄くなっていく。M字カーブが緩和しても正規で働き続けられているわけではない、という後続の発言にもそのままつながる。

ア=a(1987年に比べて上昇しているのは非正規の職員・従業員での就業率で、正規の職員・従業員での就業率は低下している)【誤】

1987年と2017年の最下層を同じ年齢階級どうしで比べると、25〜29歳や30〜34歳では2017年の方が厚くなっている。正規の就業率が一律に低下しているわけではないので、「すべて低下」という言い切りが成り立たない。

イ=d(最も多い理由は自分の都合のよい時間に働きたいからなので、企業が勤務地や勤務時間を限定して雇用する「限定正社員制度」の導入を進める)【正】

資料2ではすべての年齢階級で「自分の都合のよい時間に働きたいから」が最上位である。勤務地や勤務時間を限定した正社員という働き方は、この希望に応えつつ正規雇用としての処遇を確保する取組みであり、理由と対策が対応している。

イ=c(最も多い理由は正規の職員・従業員の仕事がないからなので、企業が正規の職員・従業員の雇用を拡大する)【誤】

「正規の職員・従業員の仕事がないから」は14〜20%にとどまり、どの年齢階級でも最上位ではない。資料が示す最多の理由を読み違えている。

イ=e(最も多い理由は自分の都合のよい時間に働きたいからなので、企業が高所得の専門職に労働時間の上限規制を適用しない「高度プロフェッショナル制度」での雇用を拡大する)【誤】

理由の読み取りは正しいが、高度プロフェッショナル制度は高所得の専門職を労働時間規制の対象外とする仕組みで、時間の融通を求める人に応える取組みではない。対象も内容もずれており、理由と対策が結び付かない。

正解【⑤】

正規の就業率が20歳代後半をピークに下がり続けることを指摘するbと、最多の理由である時間の融通に応える限定正社員制度を挙げるdの組合せなので、⑤が正解です。

問3:正解 ①(解答番号23/配点3)

<問題要旨>

日本の政策分野別社会支出の対GDP比とその内訳を、2019年と2020年の帯グラフで示した資料を読む設問です。ア・エには「保健」または「失業・積極的労働市場政策」、イ・ウには「家族」または「高齢」が入り、ア・ウに当てはまるものの組合せを選びます。

<考え方>

資料に添えられた二つの注記が決め手です。一つ目の注記は各項目の中身を説明しており、「保健」は医療保険・公的負担医療費・介護保険など、「失業・積極的労働市場政策」は求職者給付・教育訓練費・雇用調整助成金など、「家族」は児童手当・育児休業給付など、「高齢」は老齢年金などです。二つ目の注記は「2020年は新型コロナウイルスの感染拡大が影響して社会支出が増加したが、なかでも失業・積極的労働市場政策の増加率が最も高かった」と述べています。そこで帯グラフの各区画の長さを2019年と2020年で比べると、最も短い区画であるエが2020年に何倍にも伸びており、増加率が突出して高いと分かります。よってエ=失業・積極的労働市場政策で、残るア=保健です。イとウのうち、ウは1〜2%程度の短い区画、イは9%前後の長い区画なので、老齢年金を含む「高齢」がイ、児童手当などの「家族」がウとなります。

<選択肢>

ア=保健【正】

アは帯の先頭にある長い区画で、対GDP比で約10%を占める。医療保険や介護保険などを含む「保健」はそれだけの規模をもつ分野であり、エが極端に短い区画であることと合わせて、アに入るのは保健である。

ア=失業・積極的労働市場政策【誤】

求職者給付や雇用調整助成金などからなるこの分野は、日本では対GDP比で1%に満たない小さな項目である。帯の先頭を占める長い区画に当てはめることはできない。

ウ=家族【正】

ウは1〜2%程度の短い区画で、児童手当や育児休業給付などからなる「家族」の規模と合う。会話文でYが「社会支出の中で子育て世代に対する支出の割合が小さい」と述べていることとも整合する。

ウ=高齢【誤】

老齢年金を含む「高齢」は対GDP比で9%前後を占める大きな分野で、短い区画であるウには当てはまらない。この規模に対応するのは、アに次いで長い区画のイである。

正解【①】

2020年に増加率が最も高かった極端に短い区画がエ=失業・積極的労働市場政策なのでア=保健、短い区画のウ=家族となり、①が正解です。

問4:正解 ①(解答番号24/配点3)

<問題要旨>

婚姻の際の夫婦同氏制を定める民法の規定の合憲性に関する2015年の最高裁判所判決について、多数意見と岡部喜代子裁判官の個別意見を抜き出した資料を読む設問です。夫婦同氏制をめぐる争いの背景にある社会の変化(空欄ア)と、氏を変更した場合に婚姻中に生じやすい困難(空欄イ)を組み合わせます。

<考え方>

アは「氏の変更に伴う不利益に直面する人々の存在」という表現に注目します。婚姻によって改姓するのは圧倒的に女性であり、婚姻後も職業を続ける女性が増えたことで、改姓による不利益が広く意識されるようになりました。個別意見が「社会の変化とともにその合理性は徐々に揺らぎ」と述べているのも、この変化を指しています。イは「婚姻中は」という限定がヒントです。氏が変わると、それ以前の職歴・研究業績・資格・取引関係などが同じ人物のものだと示しにくくなり、同一人物であることの識別が難しくなります。

<選択肢>

ア=婚姻後も就労する女性【正】

改姓するのは圧倒的に女性であり、婚姻後も職業を続ける女性が増えたことで、改姓による職業上の不利益に直面する人が増えた。個別意見が合理性の揺らぎの理由として社会の変化を挙げている点とも対応する。

ア=育児休業を取得する男性【誤】

育児休業の取得は氏の変更とは関係がなく、改姓に伴う不利益に直面する人々の増加の説明にならない。夫婦同氏制をめぐる争いの背景としては論点がずれている。

イ=変更前の人物と同一人物であるか【正】

氏が変わると、改姓前に積み上げた職歴・業績・資格・取引関係などについて、同じ人物のものであることを示すのが難しくなる。婚姻中に継続して生じる困難であり、空欄の直前の「婚姻中は」という限定とも合う。

イ=自身の婚内子(嫡出子)との親子関係【誤】

嫡出子との親子関係は戸籍によって公証され、氏の変更によって識別が難しくなるものではない。夫婦同氏制が問題とされる不利益の内容を別のものにすり替えている。

正解【①】

背景にあるのは婚姻後も就労する女性の増加であり、生じるのは改姓前の自分と同一人物であるかの識別の困難なので、①が正解です。

問5:正解 ③(解答番号25/配点3)

<問題要旨>

生存権に関する記述として、最も適当なものを一つ選ぶ設問です。朝日訴訟、堀木訴訟、生活保護法、生活保護基準という四つの論点が並びます。

<考え方>

生存権は、憲法25条1項が「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障し、2項が国に社会福祉・社会保障・公衆衛生の向上増進を義務づけています。この権利を具体化する法律として生活保護法が置かれ、保護の具体的な水準である生活保護基準は厚生労働大臣が定めます。憲法そのものが基準額を定めているわけではありません。判例については、朝日訴訟で最高裁は上告人の死亡により訴訟は終了したとしたうえで、なお書きで厚生大臣の広い裁量を認めており、違憲判断を示していません。堀木訴訟でも最高裁は、生存権保障のための立法について国会に広い裁量があるとしました。いずれも「裁量を認めた」方向の判断である点を押さえます。

<選択肢>

①【誤】

朝日訴訟で最高裁は、上告人の死亡により訴訟は終了したと判断し、なお書きで何が健康で文化的な最低限度の生活かの認定判断は厚生大臣の裁量に委ねられるとした。当時の生活保護基準を憲法違反としたわけではなく、判決の結論を逆に述べている。

②【誤】

堀木訴訟で最高裁は、憲法25条の規定の趣旨にこたえてどのような立法措置を講じるかは立法府の広い裁量に委ねられると判断した。裁量の余地はないとする点が判決内容と正反対である。

③【正】

憲法25条1項が健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障し、これを具体化する法律として生活保護法が定められている。抽象的な権利を具体的な制度に落とし込む法律という位置づけのとおりである。

④【誤】

生活保護基準は憲法の条文で定められているものではなく、生活保護法に基づいて厚生労働大臣が定める。基準を定める主体と根拠を取り違えている。

正解【③】

生存権を具体化する法律として生活保護法が定められているという記述が正しいので、③が正解です。

問6:正解 ①(解答番号26/配点3)

<問題要旨>

投票率の低さを課題として、政治参加を活性化させる方法を話し合う会話文です。現在は全面的に禁止されていて解禁が考えられる選挙運動(空欄ア)と、投票日の前日までに、名簿に登録されている居住地以外の場所で投票することのできる制度(空欄イ)を、語句の組合せとして選ぶ設問です。

<考え方>

アは「現在は全面的に禁止されている」という限定が決め手です。インターネットを利用した選挙運動は2013年の公職選挙法改正で解禁されており、すでに禁止されていません。一方、戸別訪問は買収や利害誘導の温床になるおそれがあるとして、現在も全面的に禁止されています。イは、直前にXが述べた制度との違いを読み分けます。「投票日の前日までに、有権者として名簿に登録されている居住地で投票することのできる制度」が期日前投票制度で、空欄イはそれ以外に、長期の旅行や出張、遠方の病院への入院などの場合に「登録されている居住地以外の場所で」投票できる制度なので、不在者投票制度です。

<選択肢>

ア=戸別訪問による選挙運動【正】

戸別訪問は買収などの不正の温床になりかねないとして、公職選挙法により現在も全面的に禁止されている。「現在は全面的に禁止されている」という条件に当てはまるのはこれである。

ア=インターネットを利用した選挙運動【誤】

インターネットを利用した選挙運動は2013年の公職選挙法改正で解禁され、ウェブサイトやSNSを用いた運動が認められている(候補者以外による電子メールの送信など一部の制限は残る)。すでに解禁済みのものを「現在は全面的に禁止されている」とする点が時期の誤りである。

イ=不在者投票制度【正】

滞在先の市区町村の選挙管理委員会や、指定された病院・老人ホームなどで投票できる制度。名簿に登録されている居住地を離れている人のための仕組みで、会話文の説明と一致する。

イ=期日前投票制度【誤】

期日前投票制度は、投票日の前に、名簿に登録されている市区町村の期日前投票所で投票する制度である。これは空欄の直前でXが述べている制度そのものであり、「居住地以外の場所で」という条件に当てはまらない。

正解【①】

現在も全面的に禁止されているのは戸別訪問、居住地以外の場所で投票できるのは不在者投票制度なので、①が正解です。

第6問 現代国際社会の諸問題をどう解決するか(配点19)

6人の生徒が政治班・経済班・社会班に分かれ、「現在の問題は何か」から「解決案は何か」までを表にまとめて探究する学習です。為替相場の変動、軍事的緊張が高まる仕組み、国際収支、国際通貨体制の歴史、医薬品アクセス、ESG投資が順に問われます。

問1:正解 ②(解答番号27/配点3)

<問題要旨>

自国通貨の為替相場が米ドルに対して変動したときに起きることについて、自国通貨が米ドルに対して下落したときに起きることとして最も適当なものを一つ選ぶ設問です。

<考え方>

自国通貨が米ドルに対して下落するとは、1ドルを手に入れるのに必要な自国通貨の額が増える、つまりドル高・自国通貨安になるということです。判定の手順は単純で、ドル建ての金額を自国通貨に換算する向きを確認するだけです。ドルを受け取る側(輸出・対外資産からの受取り)は自国通貨に換算した金額が増え、ドルを支払う側(輸入・対外投資・使用料の支払い)は自国通貨で必要な金額が増えます。この二つの向きを取り違えないことがすべてです。

<選択肢>

①【誤】

米ドル建ての国債が償還されてドルで元本と利子を受け取る場合、自国通貨安であれば同じドル額をより多くの自国通貨に換えられるので、受取額は減少ではなく増加する。換算の向きが逆である。

②【正】

アメリカに生産拠点を設立するには、必要な設備や土地の代金をドルで支払うことになる。自国通貨安ではドルを手に入れるのに必要な自国通貨が増えるので、自国通貨でみた投資額は多くなる。

③【誤】

外国企業に著作権の利用料をドルで支払っている場合、自国通貨安ではそのドルを用意するのに必要な自国通貨が増えるので、支払額は減少ではなく増加する。①と同じく換算の向きを取り違えている。

④【誤】

米ドル建てで自動車を輸入していれば、自国通貨安によって仕入れ価格は自国通貨でみて上昇する。国内の販売価格を据え置けば1台当たりの利幅は縮まるので、利益は増大ではなく減少する。因果が逆転している。

正解【②】

自国通貨安ではドル建ての支払いに必要な自国通貨が増えるため、アメリカでの生産拠点設立に必要な投資額が自国通貨でみて多くなる②が正解です。

問2:正解 ③(解答番号28/配点3)

<問題要旨>

二国間で軍事的緊張が高まる原因を、生徒UとVが付箋を左から順に重ねて貼りながら整理したメモが示されます。二国がそれぞれ力によって自国の安全を追求すると、防衛目的の措置も相手国からは「攻撃的」と理解されて双方が軍拡に向かう、一方で相互のコミュニケーションと信頼醸成を継続すれば協力は可能である、という流れです。このメモに基づいて、軍事的緊張が回避されうる場合の記述を選びます。

<考え方>

メモの最後の付箋が結論を与えています。緊張が回避されるのは、相互にコミュニケーションをとり信頼醸成を継続する場合です。逆に、メモが例1(防衛を目的に兵器数を増やす場合)と例2(防衛を目的に兵器の質を高める場合)として挙げているものは、意図が防衛であっても相手からは攻撃的と受け取られ、緊張を高める側に分類されます。したがって選択肢を、軍備に関わるものか、情報のやりとりや共同の取組みに関わるものか、という軸で仕分ければ決まります。

<選択肢>

①【誤】

迎撃ミサイルの配備数や配備地点を増やすことは、防衛の意図であってもメモの例1(防衛を目的に兵器数を増やす場合)に当たる。相手国からは「攻撃的」と理解され、双方の軍拡を招く側の行動である。

②【誤】

戦闘機を改修して速度と航続距離を向上させることは、メモの例2(防衛を目的に兵器の質を高める場合)に当たる。やはり相手国からは攻撃的と受け取られ、緊張を高める。

③【正】

軍事情報を相互に提供する制度を創設して実際に相互提供が始まることは、メモの最後の付箋がいう「相互にコミュニケーションをとり、信頼醸成を継続する」取組みそのものである。相手の意図を確かめ合えるようになるため、防衛目的の措置が攻撃的と誤解される余地が小さくなる。

④【誤】

合同で実施してきた演習の打切りを通告して演習が終了すれば、それまで積み重ねてきた意思疎通の機会が失われる。信頼醸成を継続するというメモの結論と正反対の行動である。

正解【③】

メモが緊張回避の条件として挙げるのは相互のコミュニケーションと信頼醸成なので、軍事情報の相互提供制度を創設した③が正解です。

問3:正解 ③(解答番号29/配点4)

<問題要旨>

2007年から2021年までの日本の経常収支、貿易収支、サービス収支、第一次所得収支、第二次所得収支を示した図で、貿易収支・サービス収支・第一次所得収支がA〜Cのいずれかで表されています。Aの2012年から2015年までの変化が何の増加を反映しているか(空欄ア)、Bの2011年から2014年までの変化が何の増加を反映しているか(空欄イ)を組み合わせる設問です。

<考え方>

まずA・B・Cの正体を決めます。Aは全期間を通じて大きな黒字で、2007年の約16兆円から2021年には約27兆円まで伸びており、海外投資から得る収益を計上する第一次所得収支です。Bは2007年には10兆円を超える黒字でありながら、2013年と2014年には10兆円規模の赤字に転じており、東日本大震災後に燃料輸入が膨らんで赤字化した貿易収支の動きと一致します。残るCは毎年3〜5兆円程度の小幅な赤字が続いており、サービス収支です。そのうえでアは、第一次所得収支に計上されるのは投資の元本ではなく、そこから生じる収益(利子・配当など)だという点が決め手になります。イは、貿易収支の赤字が拡大した理由を輸入側に求めればよく、原子力発電所の停止によって火力発電用の燃料輸入が増えた時期と重なります。

<選択肢>

ア=b(日本企業による対外直接投資の投資収益)【正】

Aは第一次所得収支で、対外資産から生じる利子・配当・再投資収益などを計上する。日本企業の海外子会社などからの収益が増えれば、この黒字が拡大する。2012年から2015年にかけての増加はこれを反映している。

ア=a(日本企業による対外直接投資額)【誤】

投資額そのものは資金の移動であり、経常収支ではなく金融収支に計上される。第一次所得収支に現れるのは投資から生じた収益だけなので、計上される項目を取り違えている。

イ=c(エネルギー資源の輸入額)【正】

Bは貿易収支で、2011年から2014年にかけて赤字が拡大している。輸入額の増加が赤字拡大の要因であり、この時期は原子力発電所の停止に伴って火力発電用の燃料輸入が膨らんだ時期にあたる。

イ=d(海外の証券に対する投資額)【誤】

海外の証券への投資額は金融収支に計上されるもので、貿易収支には現れない。仮に証券投資が増えても、そこから生じる配当や利子が第一次所得収支に載るだけで、Bの変化の説明にはならない。

正解【③】

Aは第一次所得収支で対外直接投資の投資収益の増加を、Bは貿易収支でエネルギー資源の輸入額の増加を反映するので、③が正解です。

問4:正解 ②(解答番号30/配点3)

<問題要旨>

主要通貨間の為替相場の安定のために20世紀以降に確立した仕組みと、それをめぐる各国の対立と協調をまとめたカードa〜eのうち、最初がa(1929年の世界恐慌と金本位制の終焉)、最後がe(ユーロの導入)と示されています。その間に起きたカードb〜dを古い順に並べる設問です。

<考え方>

各カードの出来事を年代に置き換えれば一本道です。bは金1オンス=35ドルでの金とドルの交換を保証し、他の主要国が自国通貨とドルの為替相場を固定したという内容で、1944年のブレトンウッズ協定によって成立した体制です。dはニクソン・ショック(1971年)の後に固定為替相場制の維持を試みたが長続きせず変動為替相場制に移行したという内容で、1973年前後の出来事です。cはドル高是正で合意したプラザ合意なので1985年です。したがってb(1944年)→d(1971〜73年)→c(1985年)の順になり、最後のe(ユーロ導入、1999年)へとつながります。

<選択肢>

①(b→c→d)【誤】

cのプラザ合意(1985年)が、dのニクソン・ショック後の変動為替相場制への移行(1973年)より前に置かれている。固定相場制が崩れたあとでドル高が進んだという順序と合わない。

②(b→d→c)【正】

ブレトンウッズ体制の成立(1944年)→ニクソン・ショックを経た変動為替相場制への移行(1973年)→プラザ合意(1985年)の順で、年代どおりである。

③(c→b→d)【誤】

1985年のプラザ合意を先頭に置いている。金・ドル交換を保証するブレトンウッズ体制はそれより40年以上前に成立しており、時期が逆転している。

④(c→d→b)【誤】

ブレトンウッズ体制が最後になっているが、これが最も古い出来事である。金とドルの交換保証が崩れたのがニクソン・ショックなのだから、bがdより前に来なければ筋が通らない。

⑤(d→b→c)【誤】

変動為替相場制への移行がブレトンウッズ体制の成立より前に置かれている。固定相場制があって初めてそこからの移行が起こるので、因果の順序が逆である。

⑥(d→c→b)【誤】

⑤と同じくbが最後に置かれている。ブレトンウッズ体制の成立が最も古いという事実に反する。

正解【②】

ブレトンウッズ体制の成立、ニクソン・ショック後の変動為替相場制への移行、プラザ合意の順なので、②が正解です。

問5:正解 ①(解答番号31/配点3)

<問題要旨>

「グローバル・ヘルス」における医薬品アクセスの問題をまとめたポスターを読む設問です。新薬の開発費が莫大であること、製薬会社が特許によって一定期間独占的に製造・販売して費用を回収すること、その一方で医療費が高額になり先進国と発展途上国の間で格差が生じることが背景として挙げられ、解決策の空欄アに当てはまらないもの(誤っているもの)を一つ選びます。

<考え方>

ポスターが設定した問題は「医薬品アクセスをめぐる格差をどう解決するか」で、解決策の方向はより社会的公正を重視した取組みです。背景の説明から、格差を生んでいるのは特許による独占が医薬品の価格を高く保つ構造だと分かります。したがって、特許の独占をいっそう強める向きの取組みは格差を広げるので解決策になりません。逆に、共同購入によって交渉力を高める、特許の切れた医薬品を途上国で大量生産できるようにする、特許権を管理して途上国企業が安価に製造・販売できるようにする、といった取組みはいずれも価格を下げてアクセスを広げる方向に働きます。誤っているものを選ぶ設問なので、向きが逆の一つを探します。

<選択肢>

①【正(これが誤っている解決策)】

発展途上国に医薬品の知的財産権の厳格な運用を義務づければ、特許による独占はいっそう強まり、医薬品の価格は下がりにくくなる。ポスターが問題としている医薬品アクセスの格差を広げる方向であり、解決策としては誤っている。

②【誤(解決策として適切)】

発展途上国が医薬品を共同で購入し、それを優先的に供給する仕組みをつくれば、まとまった量を背景に価格交渉力が高まり、供給も確保しやすくなる。アクセス格差を縮める取組みである。

③【誤(解決策として適切)】

特許の切れた医薬品を発展途上国の製薬企業が大量生産できるようにすれば、後発医薬品として安価に供給でき、より多くの人が医薬品を入手できる。格差を縮める方向の取組みである。

④【誤(解決策として適切)】

先進国の製薬企業の特許権を管理して、発展途上国の製薬企業が安価に製造・販売できるようにする仕組みは、特許を維持したまま利用の道を開くもので、アクセスの拡大につながる。

正解【①】

知的財産権の厳格な運用を義務づけることは特許の独占を強めて医薬品アクセスの格差を広げるため、解決策としては誤りであり、①が正解です。

問6:正解 ①(解答番号32/配点3)

<問題要旨>

発表後に街の人Jからの質問をきっかけに、先進国と発展途上国との教育格差という新しい課題を見つけた生徒YとZの会話文です。「ESG投資も解決につながるかもしれない」と述べた生徒Zが挙げる例(空欄ア)として、最も適当な記述を選びます。

<考え方>

ESG投資とは、環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)への取組みを評価して投資先を選ぶ投資行動のことです。したがって空欄には、投資家が資金を投じるという形をとり、かつ社会的な課題の解決に取り組む企業を後押しする内容が入らなければなりません。選択肢を「誰が」「どういう形で」資金や活動を動かしているかで仕分けると、投資にあたるものは一つしかありません。政府の援助、非営利組織の活動、大学の研究開発は、いずれも社会的に意義があっても投資行動ではない、という切り方で処理できます。

<選択肢>

①【正】

発展途上国の教育改善に携わる企業の株式を積極的に購入することは、社会的な課題への取組みを評価して投資先を選ぶ行為そのもので、ESG投資の例にあたる。直前でZが「社会問題に企業が積極的に取り組むことは大事だ」と述べている流れにも合う。

②【誤】

先進国による無償資金援助はODA(政府開発援助)にあたり、政府が行う援助であって投資家による投資ではない。主体も仕組みもESG投資とは異なる。

③【誤】

非営利組織が教育を提供して社会的包摂を促すことは意義のある活動だが、利益の獲得を目指して資金を投じる投資ではない。ESG投資の例には当たらない。

④【誤】

大学が研究を進めて高性能の教育機器を開発することは研究開発であって、投資家が投資先を選ぶ行為ではない。技術革新が進んでも多くの人にゆきわたるとは限らない、というZの問題意識にも応えていない。

正解【①】

ESG投資は環境・社会・企業統治への取組みを評価して投資先を選ぶ投資行動なので、教育改善に携わる企業の株式を購入する①が正解です。

※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

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