解答
解説
第1問
問1:正解5
<解説>
熱容量が一定の容器に熱いスープを注いで放置すると、容器とスープの温度は互いに熱をやり取りして釣り合います。ここでは、容器の熱容量とスープ全体の熱を受け取ったり失ったりしやすさ(比熱×質量)を比べると、スープ側のほうが大きな熱をやり取りできるため、最終的な温度はスープの初期温度に近い値になります。実際には、容器とスープの「熱をため込める大きさ」の比が4対1ほどになるので、容器のほうがかなり低い温度からスタートしていても、スープの初期温度にかなり近い温度で落ち着きます。その結果、候補の中では約68℃あたりが妥当になります。
問2:正解4
<解説>
床に静止していた物体に上向きの一定の力を加えて、そのまま床から高さhの位置を通過するときの運動エネルギーを考えます。床から持ち上げられる間は、上向きの力が物体を加速させますが、その一方で重力が下向きに働きます。このとき、上向きの力から重力を差し引いた“実質的な押し上げ力”が一定で、高さhだけ物体を動かすことで得られる仕事量がそのまま物体の運動エネルギーになります。つまり、上向きの力から重力分を引いたものと高さhとの積が、最終的な運動エネルギーに対応します。
問3:正解6
<解説>
電流が1アンペアというのは、1秒間に1クーロンの電気量が流れることを意味します。問題では160秒間充電したので、1秒あたり1クーロンが160秒流れ、合計で160クーロンが移動したことになります。電子1個がもつ電気量は非常に小さい(約1.6×10^-19クーロン)ため、この総電気量を1個あたりの電気量で割ると、およそ10の21乗程度の数の電子に相当すると考えられます。
問4:正解1
<解説>
白熱電球は消費した電力のうち、光として出る分(光エネルギーの割合)は小さいので効率が低いとされています。問題文の例では、消費電力が60ワットの白熱電球を1時間点灯すると60ワットアワーの電力を使い、そのうち1割程度が光になるので、光エネルギーは“60ワットアワーの1割”にあたります。一方、同等の明るさ(同じ光エネルギー)を得るLED電球は消費電力が小さいため、同じ時間で使う電力のうち光が占める割合が大きくなります。具体的には、白熱電球の例で算出された光エネルギーと比べて、LED電球の消費分を見たときに4割程度が光になるという推定が得られます。その組合せとして、ある表の中から“6.0と40”が妥当な数値になります。
第2問
問5:正解1
<解説>
密度が水よりも大きい物体が水中で完全に沈んでいるときの浮力は、「その物体が押しのけた水の重さ」に相当します。問題の状況では、物体の密度が水の約2倍であるため、同じ質量の水と比べて体積は約半分になります。すると、実際に押しのける水の質量も物体自身の半分ほどになり、その分の重さに対応する大きさが浮力としてはたらきます。その結果として得られる値が約4.9ニュートンになります。
問6:正解8
<解説>
ジャガイモを糸でつり下げて水中に沈めたときに作用する力の関係について、会話文には「浮力」「重力」「糸の張力」の組み合わせが示唆されています。糸が引っ張る力と重力、そして浮力とがどのようにつり合うかを考えると、水の中で浮力が加わることで糸の張力やはかりの示す値が変化します。さらに、ジャガイモが底に触れずに浮かんでいる状態では、糸にかかる張力が重力から浮力を差し引いた分だけになるため、その関係を整理すると最も適切な組み合わせが得られます。グラフや表に示された数値を読み取ると、会話文の空欄に入る式や値としては選択肢の8番にあるものが適切になります。
問7:正解4
<解説>
ばねばかりとキッチンはかりの値を同時に測りながら、ジャガイモを水に沈めていくと、ばねばかりの示す値が減るのに伴い、キッチンはかりの示す値が増えるという関係が見られます。これは、全体として見たときの重さを「ばねばかりの示す部分」と「キッチンはかりの示す部分」に振り分けているようなイメージと考えるとわかりやすいです。一方が大きくなれば他方が小さくなるため、2つの値の間にはほぼ一直線の関係(片方が増えればもう片方が減る)が成り立ち、選択肢の中で直線的に反比例する形のグラフが最も適切になります。
問8:正解2
<解説>
いろいろな形の物体を同じ材質(同じ密度)で作った場合、水中で沈めていく深さによって浮力が変化しますが、その変わり方は物体の形状によって特徴的なグラフになります。問題文に示されたグラフは、底の部分がある程度フラットで、側面が一定の面積を持つような形が沈むにつれて、浮力の増え方が段階的または一定の傾向になる様子が示されています。円柱形の場合は、底面が平らで、側面の断面積が一定のため、水中に入っていく深さに応じて体積が増える割合が一定になりやすく、結果として提示されたグラフのような形になることが考えられます。
問9:正解6
<解説>
ジャガイモが容器の底に接して糸がゆるんだ状態では、もはや糸がほぼ張っていないので、ジャガイモには「重力」と「浮力」と「容器の底からの押し上げる力(垂直抗力)」が作用します。水があるときは浮力が加わるため、同じ質量のジャガイモを底に置いた場合でも、容器の底が押し返す力は水のない場合と比べて小さくなります。これは、浮力が重力の一部を打ち消す分、底が支える必要のある分量が減るためです。問題文の会話でもそのようなやり取りをしており、結論として水がある場合、底からの押し上げる力は小さくなるという内容が選択肢6番に相当します。
第3問
問10:正解1
<解説>
空気中の音の速さは温度が高いほど大きくなります。気温が0℃のときよりも30℃のときのほうが、空気中の分子がより活発に動くため音が速く伝わり、その結果、同じ振動数の音ならば波長も長くなります。
問11:正解3
<解説>
太鼓をたたいてから140メートル先の人が音を聞くまでの時間が約0.42秒と測定されており、距離を時間で割った値をおよそ有効数字2桁にまとめると、340に近い数値ではなく300台前半ほどになっていました。これは典型的な音速(約340)よりやや小さめですが、有効数字の取り扱いやストップウォッチの誤差などを考慮すると、およそ3.3×10の2乗あたりが妥当といえます。
問12:正解3
<解説>
測定した音速が教科書などで示される値よりも小さくなった要因として、太鼓をたたく前後のタイミングとストップウォッチの開始・停止のタイミングがずれていたことが考えられます。たとえば太鼓をたたく前にストップウォッチを始動していたり、音が届いてしばらくしてから止めていたりすると、実際よりも長い時間を計測してしまい、結果として音速が低めに出ます。
問13:正解2
<解説>
「ピッ」という音を一定の間隔で出す装置(メトロノーム)を2つ用いて、同時に聞こえていた音がずれて再びそろうまでに、音源同士の距離が70メートルほど変化したことが手掛かりになっています。その状況から音が伝わる速さを見積もると、およそ300メートル毎秒程度が導かれます。
問14:正解3
<解説>
ストップウォッチの操作による誤差を表で整理すると、「太鼓をたたく前にスタートしてしまい、音が届いてだいぶ後にストップする」などの組み合わせが考えられます。そのように実際よりも長い時間をカウントしてしまうと、計算される音速は本来よりも小さくなります。問題文にある表と組み合わせを照合すると、計測時の開始・停止のタイミングがずれていたことが原因と考えるのが適切です。
問15:正解4
<解説>
メトロノームで一定のテンポ(1分間に300回の「ピッ」)を出しながら距離を変えていき、音のずれ方から音速を導き出す方法では、聞こえるタイミングのずれがどれだけの距離で元に戻ったかを手掛かりにします。実験例では70メートルほど離れた時点で再び同時に聞こえたことから、およそ350メートル毎秒ほどの速度が得られます。
問16:正解8
<解説>
ガラス管の一端を水でふさぎ、その水面を上下させることで管内の空気柱の長さを変え、共鳴する音の高さから波長と音速を求めます。問題文では、500ヘルツの音が初めて共鳴したときの水面位置と、次に共鳴した位置との間隔が34センチメートルになっており、これは空気柱内で起こる波の節や腹の関係から半波長とみなせます。そこで波長は約2倍の長さになり、その数値に振動数を考慮すると、およそ340メートル毎秒程度の音速が導かれます。
問17:正解2
<解説>
ヒトが聞き取れる音の振動数は約20ヘルツから2万ヘルツで、その範囲を超えた高い振動数の音が超音波と呼ばれます。問題文では3万4千ヘルツ(34000ヘルツ)ほどを例に挙げており、このような超音波の波長は、室温の空気中ではごく短い値になります。具体的には、およそ1センチメートル前後と考えられ、ヒトの可聴域の音(より低い振動数)の波長よりもかなり短いです。