解答
解説
第1問
問1:正解1
<解説>
地球の表層部は、大きく「かたさ(流動しにくさ)」の違いで区分されている部分があると考えられています。地表を覆う“かたい岩盤”は複数に分かれてゆっくり動いており、これらがプレートと呼ばれます。一般的に、プレートの下部まで含んだ「かたい層」はリソスフェアと呼ばれ、その下のより柔らかい部分(アセノスフェア)との違いは“構成物質”ではなく“硬さ(流動しにくさ)”に基づくとされます。
問2:正解2
<解説>
緊急地震速報は、まず震源付近の観測点が捉えたP波(揺れの小さい波)の到達情報から地震の発生を素早く把握し、大きな揺れをもたらすS波の到着前に警報を出す仕組みです。問題文では、震源から約200km離れた地点が舞台となっています。S波はおおむね1秒間に数km進む速さ(ここでは4km/秒)で伝わるため、震源からの距離をS波の伝播速度で割るとS波の到達までに要する概算時間が求められます。また、地震発生から速報が出るまでに一定の遅れがあるので、そこから計算上の「S波到達時刻」との差を考えると、実際にS波が到達するまでに残る猶予時間が推定できます。
問3:正解4
<解説>
火成岩はマグマが冷えて固まった岩石であり、マグマの化学組成や冷却速度などに応じて多様な鉱物が含まれます。塩基性のマグマ由来の火成岩(例:玄武岩や斑レイ岩)には、主に斜長石・輝石・かんらん石などが含まれる場合が多いのが特徴です。一方、造岩鉱物は一般に結晶構造をもつため、原子が不規則に配列している「ガラス」とは区別されます。また、深成岩は一般的にゆっくり冷却されるため、複数の鉱物結晶からなることが多いといった性質が知られています。こうした火成岩の分類や成分の違いに関する知識を踏まえると、選択肢の内容を比較して正誤を判断できます。
問4:正解4
<解説>
地下深部から上昇してきたマグマが、既存の地層を貫いて固まった火成岩体には、形態によって「岩脈(だイク)」「岩床(シル)」「底盤(バソリス)」などの区別があります。一般に縦方向に細長く貫入しているものを「岩脈」と呼び、地層に平行に板状に広がるものを「岩床」と呼びます。また、大規模で深部に巨大な塊として貫入・固結した岩体は「底盤(バソリス)」と呼ばれます。問題図のA・B・Cそれぞれの形態を上記の定義に照らし合わせると、もっとも適切な組み合わせが判断できます。
問5:正解4
<解説>
先カンブリア時代に登場した光合成生物としては、原核生物に分類されるシアノバクテリアが有名です。彼らが放出した酸素が海中の鉄イオンなどと結びついて形成されたのが縞状鉄鉱層で、これにより大気中の酸素濃度が徐々に高まりました。その後、古生代の中頃から後期にかけては、大気中の酸素量がさらに増加し、巨大な森林をつくる植物(シダ植物などの種子をつくらない維管束植物)が大いに繁栄したと考えられています。
問6:正解1
<解説>
原生代初期(約25億年前以降)の地球史には、地球規模の大寒冷化が起こった可能性が示唆されており、「スノーボールアース」と呼ばれる全球的な氷結状態が生じたのではないかと考えられています。これは当時の地層に残された堆積物や、世界各地から見つかる氷河性堆積物などの証拠による仮説です。こうした寒冷化が生物進化に大きな影響を与えたともいわれています。
第2問
問7:正解1
<解説>
台風が南の海上から日本付近へと進む過程では、等圧線の混み具合や台風中心の気圧変化、さらに北日本や本州付近の前線や高気圧の配置などに注目すると、4日分の天気図がどのような順序で並ぶかを推測できます。たとえば、まだ台風が遠方にある段階では中心気圧がさらに低下する前の状態(本州付近に大きな影響を及ぼしていない)と考えられ、台風が日本の南海上へ近づくにつれて中心気圧がより低くなり、等圧線も狭まって風が強まる領域が広がります。さらに台風が最も接近・上陸に近い状態の図では、一段と中心気圧が低く、東日本〜北日本方面にかけて前線や低気圧が絡む状況も見られます。最後に、台風が抜けた後の段階では本州付近の天気は回復へ向かい、台風は北へ抜け始めるか、または勢力が衰える傾向にあります。こうした圧配置の変化と台風中心の移動経路を照合すると、もっとも自然な日付の並びが導かれます。
問8:正解2
<解説>
台風が日本に接近すると、暴風や大雨、高潮など、さまざまな災害を起こす恐れがあります。北半球では台風(低気圧)の風は反時計回りに吹き込むため、台風の進行方向に対して「右側」では台風自体の進む速度が加わりやすく、風が強まりやすいのが一般的です。逆に「左側」は進行方向の速度の影響を受けにくくなるため、右側より風がやや弱まる傾向にあります。もしも説明文の中で「左側で風がより強く吹く」という趣旨の記述があるとすれば、それは北半球の台風に関する一般的な風の分布とは逆の内容になるため、誤りが含まれている可能性があります。
問9:正解4
<解説>
海面水温は日射(短波放射)や大気との熱のやり取り(顕熱・潜熱)などで変化します。とくに水蒸気の蒸発や凝結は潜熱の放出・吸収に関わり、結果として海面水温を上下させる要因となります。また、海面からは主に赤外線(長波放射)として熱が放出されることによって、夜間などには海面水温を下げる方向に働きます。海洋全体の熱収支を考えるうえでは、太陽からのエネルギー(短波放射)が海面を温めるほか、海水の蒸発が海面近くでどのように熱をやりとりするか、そして海面から放射される赤外線がどの程度冷却に寄与するかなどを総合的にとらえる必要があります。問題文に示される「潜熱による変化」と「電磁波の放出」の組み合わせ、さらに「どの種類の電磁波が海面水温の低下に関わるか」を照合すると、もっとも適切な組み合わせを選ぶことができます。
第3問
問10:正解4
<解説>
太陽系の形成においては、原始太陽系星雲の中心部で原始太陽が形成される一方、その周囲にはガスや塵などの星間物質が円盤状に広がり、やがてこれらが集積して惑星のもととなる「微惑星」へと成長していくと考えられています。微惑星が互いに衝突・合体を繰り返すことで、より大きな天体へと進化し、最終的には地球をはじめとする惑星が誕生しました。したがって、原始太陽のまわりに集まった物質は「円盤状」であり、そこでの合体過程によって大きな天体が形成されるという説明が、太陽系形成論に合致します。
問11:正解1
<解説>
太陽はその一生の中で、主系列星・赤色巨星・白色矮星などの段階を経ると考えられています。主系列星の間は、中心核で水素の核融合反応が盛んに起こっており、安定して明るく輝きます。さらに年齢が進むと水素の枯渇に伴い、表層が膨張して表面温度が相対的に下がり、赤色巨星へと進化します(ただし、この段階で水素融合は殻の部分で続くと考えられています)。最終的には外層を放出して、中心部に高密度の白色矮星が残るという流れが典型的です。こうした進化過程を踏まえると、「内部で水素の核融合が起こっている」星として主系列星と赤色巨星の段階が挙げられます(赤色巨星では水素の核融合が主に外層の殻部に残存)。
問12:正解4
<解説>
夜空に見える天体には、太陽系内の惑星や小惑星、また銀河系内の恒星や星間雲、さらに銀河系外の銀河まで多岐にわたります。銀河は巨大な星の集団で、数千万~数千億個もの恒星や星間物質から構成される天体です。観測上、銀河系の星が密集する天の川の帯から離れた領域では、銀河系外の銀河を観測しやすい場合が多く、それらがまとまって見える領域(銀河群・銀河団など)もあります。問題文中の図で示されているように、ある円で囲まれた領域Aに多数の天体が集団として分布しているなら、それは銀河系の外側にある銀河の集まりをとらえている可能性が高いと考えられます。
第4問
問13:正解2
<解説>
日本における活火山の定義は、概ね「過去1万年以内に噴火した火山、あるいは現在も噴気活動(火山ガス放出など)を続けている火山」を指します。また、火山噴出物の中にはマグマ由来の「揮発性(ガス)成分」が多く含まれており、噴火の際に高温の火山ガスと火山砕屑物が一体となって地表を高速で流れ下る現象が「火砕流」と呼ばれます。火砕流は極めて危険な災害をもたらすため、噴火に伴ってしばしば警戒の対象となります。
問14:正解3
<解説>
火山灰層は、過去の噴火によって降り積もった火山灰が地層として残ったものです。堆積物をボーリングなどで採取し、その中の火山灰層の厚さや鉱物組成、含まれるガラス片や結晶片(斜長石・石英など)を調べると、どの噴火に由来する火山灰かを推定できます。もし問題文に「X・Y・Zはいずれも同一の噴火から降った火山灰」といった趣旨の記述があるとすれば、実際には鉱物組成や厚みが異なる場合も多く、複数回の噴火由来である可能性も考えられます。さらに、各火山灰層の厚さの違いは、多くの場合はその降下量(噴火規模や風向き)を反映していると判断されます。したがって、火山灰層の組成がすべて同じという主張や厚さの解釈に誤りがあるかどうかを丁寧に比較すると、正誤を判定できるでしょう。
問15:正解3
<解説>
火山活動によって噴出した軽石(浮石)は、海流によって広範囲に運ばれることがあります。日本付近では、北太平洋西部を流れる黒潮(日本海流)が大きく関与し、黒潮の流路は一般に時計回りの循環を描いているとされます。また、海流の速さには区間ごとに違いがあり、一部では速い流れに乗って移動距離が大きくなる場合があります。問題文中で示される区間N1〜N2とS1〜S2の移動時間や経路を比較した際に、速い区間が遅い区間の何倍かになるといった推定が示されるならば、海流の流向(時計回り)と、その速さの比(たとえば2倍など)の組み合わせを考える必要があります。こうした観測事例や海流の一般的性質をもとに、流向と速度比を推測すると、最も適切な値を導き出せます。