2017年度 大学入試センター試験 本試験「物理基礎」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。
解答
解説
2017年度 大学入試センター試験 本試験「物理基礎」の解答・解説です。第1問〜第3問がすべて必答で、50点満点。解答番号は 1 〜 13 の通し番号です。
設問ごとにアコーディオンを開くと、<問題要旨><考え方>と計算の流れが読めます。
第1問 小問集合(発電方法・弾性エネルギー・電流と磁場・定常波・物質の状態変化)
エネルギー、力学、電磁気、波動、熱から1問ずつ。いずれも教科書の基本事項ですが、問2はグラフの軸の取り方に、問4は「腹の点の単振動」に注意が必要です。
問1:正解 ③(配点4)
<問題要旨>
三つの文(a)(b)(c)はそれぞれ異なる発電方法の特徴を述べている。その組合せとして最も適当なものを選ぶ。
(a) 発電量の調節は容易だが、発電の過程で温室効果ガスである二酸化炭素が大量に発生する。
(b) 熱エネルギーを経ないでエネルギーが変換され、発電の過程で二酸化炭素は発生しない。
(c) 発電の過程で二酸化炭素は発生しないが、長期間にわたる管理の必要な廃棄物が生じる。
<考え方>
決め手は(b)の「熱エネルギーを経ない」です。
(a) 化石燃料を燃やして二酸化炭素が出る → 火力発電 (b) 火力も原子力も、熱で水を沸かして蒸気タービンを回すので熱エネルギーを経る。熱を経ないのは、水の位置エネルギーを直接タービンの運動エネルギーに変える → 水力発電 (c) 長期管理の必要な廃棄物=放射性廃棄物 → 原子力発電 よって (a)火力・(b)水力・(c)原子力。
問2:正解 ②(配点4)
<問題要旨>
ばね定数 k の軽いばねの一端を固定し、他端を大きさ F の力で引っ張ったところ、図1のような F と自然の長さからの伸び x の関係が得られた。x = 0.20 m のとき、ばねに蓄えられた弾性エネルギーは何 J か。
<考え方>
グラフの縦軸が x、横軸が F になっていることに注意。まず k を読み取ります。
グラフより F = 30 N のとき x = 0.3 m。 k = F / x = 30 / 0.3 = 100 N/m 弾性エネルギーは U = (1/2) k x² = (1/2) × 100 × (0.20)² = 50 × 0.040 = 2.0 J
問3:正解 ①(配点4)
<問題要旨>
紙面に垂直に表から裏に向かって流れる直線電流がつくる磁場を考える。紙面上に置いた方位磁針の様子を表す図として最も適当なものを選ぶ(方位磁針どうしが互いに及ぼす影響や地磁気は無視できるものとする)。
<考え方>
右ねじの法則で磁力線の向きを決め、方位磁針のN極がその向きを指す、と考えます。
電流が紙面の表から裏へ向かうとき、右ねじの法則より磁力線は導線を中心とする時計回りの同心円。 磁針は磁場の向き(円の接線方向)を向くので 導線の上の磁針:N極は右 右の磁針:N極は下 下の磁針:N極は左 左の磁針:N極は上 半径方向を向く③④、斜めを向く⑤⑥は不適。接線方向を向くのは①と②で、N極が時計回りに並ぶのは①。
問4:正解 ④(配点4)
<問題要旨>
図2のような、正弦波の定常波を考える。振動の周期は 0.40 s、腹の位置における振幅は 15 cm である。位置Oにおいて、ある時刻の変位が −15 cm のとき、その 0.30 s 後の変位は何 cm か。
<考え方>
定常波の各点は単振動をします。位置Oが腹であることを図から読み取るのがポイント。
図2より、位置Oでの変位は −15 cm、すなわち振幅の最大値になっている。つまりOは腹であり、−15 cm は単振動の端。 0.30 s = (3/4) × 0.40 s なので、周期の 3/4 だけ進む。端から出発すると 1/4 周期後:変位 0 1/2 周期後:変位 +15 cm 3/4 周期後:変位 0 よって 0.0 cm。
問5:正解 ①(配点4)
<問題要旨>
水を氷の状態から温めたところ、図3のように温度が変化した。区間Aと区間Bでは温度が変化しなかった。これは加えた熱が[ア]のに使われるためである。グラフの傾きが、固体状態のときより液体状態のときの方が小さいので、比熱は液体状態の方が[イ]ことがわかる。
<考え方>
[ア]は状態変化に使われる熱(潜熱)の意味、[イ]はグラフの傾きと比熱の関係です。
[ア]区間Aは 0 ℃ での融解、区間Bは 100 ℃ での沸騰。融解熱・蒸発熱は、分子どうしの結びつきを弱めたり切ったりするのに使われる(化学反応ではないし、分子の数も増えない)。 [イ]横軸は加えた熱量、縦軸は温度。傾きが小さいということは、同じ熱量を加えても温度が上がりにくいということ。 Q = m c ΔT より、同じQでΔTが小さいのは比熱 c が大きいとき。 よって液体状態の方が大きい。
第2問 A 波動(弦の振動とうなり)
弦楽器の弦にできる定常波と、おんさとのうなり。「基本振動の波長は弦の長さの2倍」「うなりの回数は振動数の差」の二つで解けます。
問1:正解 ④(配点4)
<問題要旨>
基本振動数が 360 Hz となるように、長さ 0.450 m の弦が弦楽器に張られている。弦を伝わる波の速さは[ア]m/s である。この弦を振動数[イ]Hz で振動させると、腹が二つの定常波ができる。
<考え方>
基本振動では弦の長さがちょうど半波長です。
[ア]基本振動の波長は λ₁ = 2L = 2 × 0.450 = 0.900 m 弦を伝わる波の速さは v = f λ = 360 × 0.900 = 324 m/s [イ]腹が二つ=2倍振動。振動数は基本振動数の2倍だから 360 × 2 = 720 Hz
問2:正解 ⑤(配点4)
<問題要旨>
弦楽器から振動数 360 Hz の音を発生させ、その近くでおんさを鳴らしたところ、4秒間に8回のうなりが聞こえた。弦を張る力を少しだけ強めたところ、弦楽器が発生する音は高くなり、その結果うなりはなくなった。おんさの振動数は何 Hz か。
<考え方>
うなりの振動数=二つの音の振動数の差。どちら側にずれているかは、後半の実験で決めます。
うなりの振動数は 8 回 ÷ 4 秒 = 2 Hz よっておんさの振動数は 360 − 2 = 358 Hz か、360 + 2 = 362 Hz。 弦を強く張ると弦を伝わる波の速さが増し、弦の振動数は高くなる。振動数を上げたらうなりが消えた(=おんさと一致した)のだから、おんさの振動数は 360 Hz より高い。 → 362 Hz
第2問 B 電気(ジュール熱と単位、直列接続と並列接続)
ジュール熱の式を書き、その単位を基本単位に分解します。後半は直列・並列のごく基本的な計算です。
問3:正解 ⑥(配点4)
<問題要旨>
抵抗値Rの抵抗に大きさIの電流を時間tだけ流した。発生したジュール熱は[ウ]と表され、その単位であるジュール(記号 J)は基本単位 kg, m, s を用いて[エ]と表される。
<考え方>
[ウ]は公式そのもの、[エ]は J → N・m → kg・m/s²・m と分解します。
[ウ]オームの法則 V = RI より、消費電力は P = VI = RI² 時間 t のあいだに発生する熱量は Q = Pt = RI²t [エ]仕事の単位から 1 J = 1 N・m 1 N = 1 kg・m/s² よって 1 J = kg・m/s² × m = kg・m²/s² (この設問は、解答が④または⑤の場合にも2点が与えられる。[ウ]だけ正しい場合の部分点。)
問4:正解 ②(配点3)
<問題要旨>
抵抗値 10 Ω と 30 Ω の二つの抵抗を、図1(a)および(b)のように接続し、直流電源で 10 V の電圧を加えた。それぞれの回路において、30 Ω の抵抗に流れる電流 I₁ と I₂ の値の組合せは。
<考え方>
(a)は直列、(b)は並列。並列では各抵抗に電源電圧がそのままかかります。
(a) 直列接続。合成抵抗は 10 + 30 = 40 Ω I₁ = 10 / 40 = 0.25 A (b) 並列接続。30 Ω の抵抗の両端には電源電圧 10 V がそのままかかるので I₂ = 10 / 30 ≒ 0.33 A
第3問 A 力学(なめらかな斜面上の運動)
水平面と角度θをなす、なめらかな斜面。前半は水平方向の力でつり合わせる少し珍しい設定、後半は等加速度直線運動の公式そのものです。
問1:正解 ③(配点4)
<問題要旨>
図1のように、斜面上に質量 m の小物体を置き、水平方向に大きさ F の力を加えて静止させた。F を表す式は。
<考え方>
斜面に沿った方向で力をつり合わせます(垂直抗力は斜面に垂直なので出てきません)。
斜面に沿った方向の成分をとる。 斜面下向きの重力成分:mg sinθ 斜面上向きの F の成分:F cosθ つり合いより F cosθ = mg sinθ → F = mg tanθ (θ → 0 で F → 0、θ → 90° で F → ∞。妥当。)
問2:正解 ⑧(配点4)
<問題要旨>
小物体を斜面上の点Pから斜面に沿って上向きに速さ v₀ で打ち出したところ、図2のように小物体は斜面を上り、点PからLだけ離れた点Qを速さ v で通過した。v を表す式は。
<考え方>
斜面方向の加速度は −g sinθ。等加速度直線運動の公式にあてはめます。
斜面に沿った加速度は a = −g sinθ(斜面下向き) 公式 v² − v₀² = 2ax に x = L を代入して v² = v₀² − 2(g sinθ)L → v = √( v₀² − 2gL sinθ ) (力学的エネルギー保存でも同じ。P→Qで高さが L sinθ 上がるので (1/2)mv² = (1/2)mv₀² − mgL sinθ )
第3問 B 力学(糸でつながれた2物体)
なめらかな水平面上で、糸でつながれた2物体を引く定番の設定。全体で加速度を出し、片方だけを取り出して張力を出す、という手順を身につけましょう。
問3:正解 ①(配点4)
<問題要旨>
図3のように、軽い糸でつながった質量Mの物体Aと質量mの物体Bが、なめらかな水平面上に置かれている。物体Aに一定の大きさFの力を水平方向に加え、全体を等加速度運動させる(糸は水平)。物体Aと物体Bをつなぐ糸の張力の大きさは。
<考え方>
まず全体で加速度、次に物体Bだけを取り出して張力、の二段構えです。
全体(質量 M + m)についての運動方程式 F = (M + m) a → a = F / (M + m) 物体Bだけを見ると、水平方向にはたらく力は糸の張力Tだけ。 T = m a = mF / (M + m) (検算:m → 0 で T → 0、M → 0 で T → F。妥当。)
問4:正解 ③(配点3)
<問題要旨>
運動中のある時刻における物体Aと物体Bの運動エネルギー E_A と E_B の比 E_A / E_B を表す式は。
<考え方>
糸でつながれているので、2物体の速さはいつでも等しくなります。
糸は伸び縮みしないので、AとBの速さは常に等しい(それを v とする)。 E_A = (1/2) M v² E_B = (1/2) m v² よって E_A / E_B = M / m
※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

