2017年度 大学入試センター試験 本試験「生物基礎」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。
解答
解説
2017年度 大学入試センター試験 本試験「生物基礎」の解答・解説です。第1問(19点)〜第3問(16点)がすべて必答で、50点満点。解答番号は 1 〜 17 の通し番号です。
設問ごとにアコーディオンを開くと、<問題要旨><考え方>と考える手順が読めます。
第1問 A 細胞と細胞小器官(すべての細胞に共通する物質・原核細胞と真核細胞・細胞内共生説)
すべての細胞に共通するもの、原核と真核の代表例、細胞内共生説という3点セット。用語を正確に押さえていれば即答できます。
問1:正解 ③(配点3)
<問題要旨>
全ての細胞に共通して含まれる物質の組合せを選ぶ(ⓐ アデノシン三リン酸/ⓑ クロロフィル/ⓒ セルロース/ⓓ ヘモグロビン/ⓔ 水)。
<考え方>
「全ての細胞」なので、特定の生物や特定の組織にしかないものを外していきます。
ⓐ アデノシン三リン酸(ATP)… すべての生物がエネルギーの受け渡しに使う。共通 ← ⓑ クロロフィル … 光合成を行う生物だけ ⓒ セルロース … 植物などの細胞壁の成分。動物細胞にはない ⓓ ヘモグロビン … 脊椎動物などの赤血球だけ ⓔ 水 … 細胞の主成分で、すべての細胞に含まれる ← よって ⓐ と ⓔ。
問2:正解 ④(配点3)
<問題要旨>
原核生物と真核生物の組合せとして最も適当なものを選ぶ(オオカナダモ/ネンジュモ/ミドリムシ/大腸菌/乳酸菌/ゾウリムシ)。
<考え方>
核膜で包まれた核をもつかどうかで分けます。
原核生物(核をもたない)… 大腸菌、乳酸菌、ネンジュモ(シアノバクテリア)など細菌のなかま 真核生物(核をもつ)… オオカナダモ(植物)、ミドリムシ、ゾウリムシ(原生生物) 選択肢を確かめると ① オオカナダモは真核、ネンジュモは原核なので逆 ② ネンジュモは原核で合っているが、乳酸菌も原核 ③ ミドリムシは真核、オオカナダモも真核 ④ 大腸菌(原核)とゾウリムシ(真核) ← ⑤⑥ いずれも逆または同じ分類
問3:正解 ④(配点3)
<問題要旨>
文章中の[ア]・[イ]に入る細胞内小器官の組合せを選ぶ。真核細胞には[ア]や[イ]などの細胞小器官があり、[ア]は酸素を使って有機物を分解する生物が、[イ]は光合成を行う生物が細胞の内部に取り込まれて生じたと考えられている(細胞内共生説)。
<考え方>
「酸素を使って有機物を分解する」=好気性細菌、「光合成を行う」=シアノバクテリアと読みかえます。
[ア]酸素を使って有機物を分解し、ATP をつくる細胞小器官はミトコンドリア。好気性細菌が取り込まれて生じたと考えられている。 [イ]光合成を行う細胞小器官は葉緑体。シアノバクテリアのなかまが取り込まれて生じたと考えられている。 核は細胞内共生説では説明されない(膜の陥入によって生じたとする説が有力)ので、①〜③・⑤は不適。
第1問 B 細胞周期と遺伝子の発現
細胞周期の各期の名称と、細胞数の比から時間を求める計算。問5は「細胞数の比 = その時期に費やす時間の比」という考え方が核心です。
問4:正解 ②(配点3)
<問題要旨>
文章中の[ウ]〜[オ]に入る語の組合せを選ぶ。間期は、DNA 合成(複製)の準備を行う[ウ]期、複製を行う[エ]期、および分裂の準備を行う[オ]期の三つの時期に分けられる。
<考え方>
細胞周期は G₁ → S → G₂ → M の順に進みます。
[ウ]DNA 合成の準備 … G₁ 期(DNA 合成準備期) [エ]DNA の複製 … S 期(DNA 合成期、Synthesis) [オ]分裂の準備 … G₂ 期(分裂準備期) G は Gap(すきま)、S は Synthesis(合成)の頭文字。
問5:正解 ②(配点3)
<問題要旨>
タマネギの根端の組織を酢酸オルセインで染色して押しつぶし標本を作り、顕微鏡で観察したところ、間期の細胞が 168 個、分裂期の細胞が 42 個であった。タマネギの根端の細胞の間期が 20 時間であるとすると、細胞周期全体の長さと分裂期の長さはそれぞれ何時間になるか。
<考え方>
観察される細胞数の比は、それぞれの時期に費やす時間の比に等しくなります。
観察した細胞の総数は 168 + 42 = 210 個 間期の細胞の割合は 168/210 で、これが「細胞周期のうち間期が占める時間の割合」に等しい。細胞周期全体を T とすると T × 168/210 = 20 T = 20 × 210/168 = 25 時間 分裂期の長さは 25 × 42/210 = 5 時間 (検算:25 − 20 = 5。間期と分裂期の和が全体と一致する。)
問6:正解 ③,⑦(配点2,2)
<問題要旨>
次の文章中の[カ]・[キ]に入る語を選ぶ。多細胞生物の各組織では、特定の遺伝子の[カ]の結果、組織ごとに異なるタンパク質がつくられている。例えば、ヒトのだ腺(だ液腺)の組織では、澱粉を分解する[キ]が盛んに合成されている。
<考え方>
[カ]は「遺伝子が使われてタンパク質になること」を表す語、[キ]は消化酵素の名前です。
[カ]遺伝子の情報が転写・翻訳されてタンパク質としてはたらくようになることを「発現」という。複製は DNA を複写すること、分配は染色体を娘細胞に分けること、合成はタンパク質そのものをつくること。 [キ]だ液に含まれ、澱粉(デンプン)をマルトースなどに分解する酵素はアミラーゼ。 インスリンはすい臓、ヘモグロビンは赤血球、フィブリンは血液凝固にかかわるタンパク質。
第2問 A 体液と循環(血液の成分・ヒトの血液循環・体液の調節)
血液・循環・ホルモンの基礎知識。誤りの選択肢がどれも「もっともらしい」ので、一つずつ確認する習慣が要ります。
問1:正解 ⑥(配点3)
<問題要旨>
血液に関する記述として最も適当なものを選ぶ。
<考え方>
酸素の運搬とヘモグロビンの性質に関する基本を確認します。
① 酸素の大部分は赤血球のヘモグロビンと結合して運ばれる。血しょうに溶けるのはごく一部。誤り。 ② 血しょうにはアルブミンやグロブリンなどのタンパク質が含まれる。誤り。 ③ フィブリノーゲンが繊維状のフィブリンに変化し、血球をからめて血ぺいができる。「フィブリンが分解して」は誤り。 ④ 二酸化炭素を運ぶのは主に血しょう(炭酸水素イオンとして)。血小板は血液凝固にはたらく。誤り。 ⑤ ヘモグロビンを多量に含むのは赤血球。誤り。 ⑥ 酸素解離曲線が右上がりであることそのもの。酸素分圧が高いほど酸素ヘモグロビンの割合は大きくなる。正しい。 ←
問2:正解 ④(配点3)
<問題要旨>
ヒトにおける血液の循環に関する記述として最も適当なものを選ぶ。
<考え方>
血管の名称と、そこを流れる血液が動脈血か静脈血かを整理します。
① 運動時は筋肉への血流が増える。誤り。 ② 交感神経の興奮で心拍数は増加する(減少させるのは副交感神経)。誤り。 ③ 肺動脈には全身から戻った静脈血が流れ、肺静脈には肺でガス交換を終えた動脈血が流れる。酸素が多いのは肺静脈のほう。誤り。 ④ 毛細血管では血しょうの一部が血管壁からしみ出して組織液になる。正しい。 ← ⑤ 肝門派は小腸などから肝臓へ向かう血管。向きが逆で誤り。 ⑥ リンパ管に入るのは組織液(リンパ液)であって、静脈から血液が流れ込むのではない。誤り。
問3:正解 ②(配点3)
<問題要旨>
体液の水分量は内分泌腺から分泌されるホルモンによって調節される。その内分泌腺とホルモンとの組合せとして最も適当なものを選ぶ。
<考え方>
水分量の調節といえばバソプレシン。どこから分泌されるかがポイントです。
体液の水分量(塩分濃度)が上がると、脳下垂体後葉からバソプレシンが分泌され、腎臓の集合管での水の再吸収を促進する。その結果、尿量が減り体液の水分量が保たれる。 チロキシン … 甲状腺。代謝の促進 鉱質コルチコイド … 副腎皮質。腎臓での Na⁺ の再吸収を促進 よって「脳下垂体後葉・バソプレシン」の組合せ。
第2問 B 免疫(抗体産生のしくみ・二次応答)
獲得免疫(適応免疫)の流れと、二次応答のグラフ。登場する細胞の役割を順番に追えば決まります。
問4:正解 ②(配点3)
<問題要旨>
健康なヒトにおける抗体産生のしくみに関する文章中の[ア]〜[ウ]に入る語の組合せを選ぶ。病原体などの異物が体内に侵入すると、好中球、マクロファージ、[ア]などが異物を食作用により分解する。その後、マクロファージや[ア]は、分解した異物の一部分を[イ]として細胞表面に提示する。[イ]の情報を受け取ったヘルパーT細胞は増殖し、同じ[イ]を認識した[ウ]を活性化する。活性化した[ウ]は増殖し、大量の抗体を産生して体液中に分泌する。
<考え方>
食作用をもち抗原提示を行う細胞、そして抗体をつくる細胞を思い出します。
[ア]食作用をもち、抗原提示を行う細胞は樹状細胞。血小板は血液凝固にはたらく細胞片で、食作用はもたない。 [イ]提示されるのは、分解した異物の一部分すなわち抗原。ワクチンは、あらかじめ接種して免疫記憶をつくらせる製剤であって、細胞表面に提示されるものではない。 [ウ]抗体(免疫グロブリン)を産生するのはB細胞(活性化して抗体産生細胞になる)。キラーT細胞は感染細胞を直接攻撃する細胞で、抗体はつくらない。
問5:正解 ③(配点3)
<問題要旨>
ヒトが同一の病原体に繰り返し感染した場合に産生する抗体の量の変化を表すグラフとして最も適当なものを選ぶ。ただし最初の感染日を0日目とし、同じ病原体が2回目に感染した時期を矢印で示している。
<考え方>
一次応答と二次応答の違いは「立ち上がりの速さ」と「抗体量の大きさ」の2点。グラフはこの2点だけで絞れます。
一次応答(0日目の感染) 抗体がつくられ始めるまでに1〜2週間かかり、産生量も少ない。 二次応答(矢印の40日目の感染) 記憶細胞がはたらくため、感染後すぐに立ち上がり、一次応答よりはるかに多量の抗体をつくる。 この2点で選択肢を絞る。 ② ④ ⑥ … 2回目の山が1回目より小さい、または同程度。二次応答の特徴と合わない ⑤ … 1回目から 100 に達しており、一次応答としては大きすぎる ① … 2回目の立ち上がりが矢印から10日ほど遅れており、二次応答の「すぐに立ち上がる」性質と合わない ③ … 1回目はゆっくり立ち上がって小さく(相対値1以下)、矢印の直後から急激に立ち上がって 100 に達する ←
第3問 A バイオーム(年平均気温・年降水量と有機物生産量)
3次元の棒グラフを読む問題。「気温をそろえて降水量で比べる」「降水量をそろえて気温で比べる」と、比べる軸を1つに固定するのがコツです。
問1:正解 ②・⑦(配点6/各3、順序は問わない)
<問題要旨>
図1(年平均気温・年降水量・生産者による地表の単位面積あたりの年平均有機物生産量をバイオーム別に示したもの)に関する記述として適当なものを二つ選ぶ。
<考え方>
各バイオームの位置(気温と降水量)を思い浮かべながら、棒の高さを比べます。
①②③ 年平均気温をそろえて降水量で比べると、降水量が多いほど棒は高い。したがって「降水量が少ないほど有機物生産量は小さくなる」が正しい。①(大きくなる)と③(一定)は誤り。 ②が正解 ← ④ サバンナ(熱帯の草原)はツンドラ(寒帯)より生産量が大きい。誤り。 ⑤ 砂漠は図で最も低い(ほぼ0)。針葉樹林より小さい。誤り。 ⑥ 照葉樹林は硬葉樹林より温暖・多雨で、生産量は大きい。誤り。 ⑦ 雨緑樹林は硬葉樹林より高温で降水量も多く、生産量は大きい。正しい。 ←
問2:正解 ⑥(配点3)
<問題要旨>
図1のXで示したバイオームが分布していない地域として最も適当なものを選ぶ(北海道/関東/中部/四国/九州/沖縄)。
<考え方>
Xの位置(年平均気温と年降水量)から、どのバイオームかを特定します。
Xの矢印が指しているのは、年平均気温がおよそ 0〜10 ℃、年降水量が 1500〜2500 mm あたりの区画。日本ではこの条件に当たるのは夏緑樹林(ブナ・ミズナラなどの落葉広葉樹林)。 日本の水平分布では 北海道東北部 … 針葉樹林 北海道南西部〜東北〜中部の山地 … 夏緑樹林 関東以西の平地 … 照葉樹林 沖縄・小笠原 … 亜熱帯多雨林 中部・四国・九州でも標高の高い山地には夏緑樹林が見られるが、沖縄には分布しない。
第3問 B 生態系(生産者と消費者・分解と土壌有機物)
生産者・消費者・分解者の役割と、「供給が速いのに土壌有機物が少ない」という一見矛盾する現象の読み解き。
問3:正解 ③(配点3)
<問題要旨>
生産者と消費者に関する記述として誤っているものを選ぶ。
<考え方>
生産者も生きている以上、呼吸をします。
① 生産者は硝酸イオンやアンモニウムイオンなどの無機窒素化合物を吸収して、アミノ酸やタンパク質を合成する(窒素同化)。正しい。 ② 生産者は光合成などによって無機物から有機物を合成する。正しい。 ③ 生産者も呼吸を行い、合成した有機物の一部を分解してエネルギーを得ている。光合成量から呼吸量を引いたものが純生産量。「呼吸をしない」は誤り。 ← ④ 消費者は呼吸によってエネルギーを得る。正しい。 ⑤ 消費者は生産者がつくった有機物を直接または間接に取り込む。正しい。
問4:正解 ①(配点4)
<問題要旨>
文章中の[ア]・[イ]に入る語の組合せを選ぶ。森林生態系では、[ア]は土壌中の分解者によって分解され、土壌有機物を経て、最終的に無機物にまで分解される。熱帯多雨林では、[ア]の供給速度が針葉樹林より速いが、単位面積あたりの土壌に含まれる有機物量は少ない。この原因は、熱帯多雨林の気温が針葉樹林よりも高く、単位有機物量あたりの有機物分解速度が[イ]ためである。
<考え方>
[ア]は「土壌中の分解者が分解するもの」、[イ]は「供給が多いのに土壌に残らない」理由です。
[ア]森林で分解者に供給される有機物は落葉・落枝(および枯死した根や動物の遺体・排出物)。火山灰や風化した岩石は無機物なので、分解者が有機物として分解するものではない。 [イ]供給が速いのに土壌にたまっている量が少ないということは、入ってくる量より出ていく量(分解される量)のほうが勝っているということ。熱帯多雨林は高温多湿で微生物の活動が活発なので、分解速度は速い。 (逆に針葉樹林や寒帯では低温で分解が遅く、落葉が分解されずに厚く積もる。)
※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

