2026年度 大学入学共通テスト 本試験 公共・政治経済 解答・解説

2026年度 大学入学共通テスト 本試験「公共・政治経済」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。

目次

解答

解説

「公共,政治・経済」は満点100点・試験時間60分第1問から第6問までの6大問すべてが必答で、マークする解答番号は1〜34の34項目です。大問ごとの配点は第1問12点・第2問13点・第3問19点・第4問19点・第5問18点・第6問19点となっています。なお第1問と第2問は「公共,倫理」および「公共」と共通の問題で、3科目に同じ設問・同じ配点で出題されています。

扱う分野は次のとおりです。第1問は社会保障制度の現状と課題をテーマにした講演会を題材に、公助と共助の区別、ロールズの格差原理、実質GDPと累進課税、社会保障財源の国際比較を問います。第2問はグローバル化が進む現代社会の文化や宗教で、エスノセントリズム、在留外国人の統計、政教分離をめぐる判例、宗教の捉え方が並びます。第3問は国際協調と多国間での取組みで、貿易政策の対立、最恵国待遇、サービス貿易、国連機関、多国間条約の運用、パレスチナ問題。第4問は日本の経済政策で、実質経済成長率、金融ビッグバンとアベノミクス、株主構成の変化、国会の議決、経済的自由、違憲審査のあり方。第5問は人口減少と地方自治で、市区町村数と職員数、水道事業の広域化、地方財政の収入区分、直接請求、宿泊税、NPOと社会的企業。第6問はSDGsからみた地球規模の課題とその解決で、格差と貧困、地球環境をめぐる国際会議の年代順、エネルギー投資と二酸化炭素排出量、SDGsの階層構造、開発協力、平和のためのグローバルな統治を扱います。

この回でとくに目を引くのは、「あなたはどちらの立場を選ぶか」を先にマークさせ、その選択に応じて次の解答番号の正解が変わる設問が2か所あることです(解答番号9・10の貿易政策と、解答番号21・22の違憲審査のあり方)。どちらを選んでも対応する適当な選択肢が用意されており、同じように得点できる形式で、いずれも配点は4です。つまずきやすいのは、割合と実数を混同させる統計の読み取り(第5問問1)、過半数と3分の2の要件を議席数で計算させる設問(第4問問4)、3枚のグラフを突き合わせて国名を決める設問(第6問問3)、そして違憲判決の結論を合憲と反転させた選択肢(第4問問5)です。60分で34項目なので1項目あたり1分45秒しかありません。知識で即答できる設問を素早く処理し、計算と資料の突き合わせに時間を回す組み立てが必要になります。

第1問 社会保障制度の現状と課題(配点12)

生徒Aと生徒Bが、地元自治体主催の「社会保障制度の現状と課題」と題する講演会に参加し、災害時の公助と共助、再分配の考え方、社会保障を支える財源、給付の要件をメモやノートにまとめていく設定です。基本用語とロールズの正義論、そして表の読み取りが問われます。

問1:正解 ②(解答番号1/配点3)

<問題要旨>

生徒Aのメモにある災害時の事例a・bのうち「公助」に該当するものと、生徒Bのメモにある再分配の考え方c・dのうちロールズの「公正としての正義」における「格差原理」に該当するものを選び、その組合せを答えます。

<考え方>

公助・共助・自助の区別は「誰が担い手か」で決まります。公助は行政(国や地方自治体)が税を財源に行う支援、共助は住民や地域が互いに助け合うこと、自助は自分で備えることです。格差原理は、社会的・経済的な不平等が許されるのは「最も不遇な人々の利益になる場合だけ」とする原理なので、最大多数の利益を優先する考え方と取り違えないことが要点です。

<選択肢>

a=公助【正】

甚大な自然災害を被った地域で、地方自治体の担当部署が心のケアの相談窓口を開設した事例。担い手が行政なので公助に該当する。

b=共助【該当せず】

住民が食料を相互に持ち寄って飢えをしのいだ事例。担い手が住民同士なので共助であり、公助ではない。行政による救援物資が届くまでの「間」の行動だと書かれている点が手がかりになる。

c=格差原理ではない【該当せず】

「最大多数の人々が利益を受ける社会保障制度を優先的に構築するべき」とするのは、最大多数の最大幸福を目指す功利主義の発想。ロールズはまさにこの考え方に反対し、少数者が犠牲になり得る点を批判した。言葉のすり替えの型。

d=格差原理【正】

「再分配の際に、最も不遇な立場の人々の状況が改善される社会保障制度を構築するべき」とするのが格差原理そのもの。不平等が結果として残っても、最も恵まれない人の境遇を改善するかどうかで正当性を測る。

正解【②】

公助は行政が担い手のa、格差原理は最も不遇な人々の状況改善を基準とするdなので、その組合せが正解になります。

問2:正解 ⑥(解答番号2/配点3)

<問題要旨>

実質GDPと経済成長、企業の取組による効率性・生産性の上昇、累進課税の代表的な税についてまとめたノートが与えられ、空欄ア〜ウに入る語句の組合せを選びます。

<考え方>

GDPは「一国内で一定期間に新たに生み出された付加価値の合計」という定義に戻れば、アは一つに決まります。イは「効率性が高まったり、生産性が上昇したりする」という直後の記述が、企業による技術革新の効果を指していることから決まります。ウは累進課税、つまり所得が高いほど税率が上がる仕組みをとる税を選びます。

<選択肢>

ア=付加価値【正】

GDPは各生産段階で新たに付け加えられた価値の合計。「社会資本」は道路や港湾など公共的な資本ストックを指す語で、一年間に生み出されたものの合計という定義に合わない。

イ=イノベーション【正】

技術革新や新しい仕組みの導入が効率性・生産性を高め、労働力・資源・資金の配分を変えていく。「セーフガード」は輸入の急増に対する緊急輸入制限措置で、企業が経済成長率を高めるために行う取組ではない。言葉のすり替えの型。

ウ=所得税【正】

所得税は課税所得が大きくなるほど高い税率が適用される累進課税。消費税は誰が買っても同じ税率で、所得に対する負担割合は低所得層のほうが重くなる逆進性をもつため、格差に対処する累進課税の例にはならない。

正解【⑥】

付加価値・イノベーション・所得税の3つがそろう組合せが正解です。

問3:正解 ②(解答番号3/配点3)

<問題要旨>

フランス・ドイツ・スウェーデン・日本について、社会保障財源の対GDP比を「一般政府拠出」「事業主拠出」「被保険者拠出」と「合計」で示した表が与えられ、表から読み取れることを述べた記述を選びます。

<考え方>

この型は、記述に書かれている計算を一つずつ実際にやって確かめるのが最短です。「合計に対する割合」を問う記述なら、その国の該当欄を合計で割ってパーセントを出します。「すべての国について」という言い切りは、反例が1か国見つかった時点で落ちます。

<選択肢>

①【誤】

フランスは事業主13.2+被保険者5.7=18.9で一般政府16.2より高く、ドイツは11.7+10.0=21.7で11.6より高い。「どちらの国においても低い」は2か国とも成り立たない。

②【正】

スウェーデンは16.2÷30.4=約53.3%で、50%を超えている。

③【誤】

日本は7.2÷25.4=約28.3%で、40%には届かない。割合の計算を省いて数値の大小だけを見ると引っかかる。

④【誤】

日本は事業主7.0に対して被保険者7.2で、事業主のほうが低い。「すべての国について」という言い切りが1か国の反例で崩れる型。

正解【②】

合計に対する一般政府拠出の割合を実際に割り算すると、スウェーデンだけが50%を超えます。

問4:正解 ③(解答番号4/配点3)

<問題要旨>

「すべての人に対して無条件に給付する」考え方Xと「一定の要件を満たす人に対して給付する」考え方Yを示したメモが与えられ、それぞれが日本のどの制度に見られるかを述べた2つの記述ア・イの正誤の組合せを選びます。

<考え方>

社会保障の4区分(社会保険・社会福祉・公的扶助・公衆衛生)と、それぞれの給付が何を条件にしているかに戻ります。社会保険は保険料の拠出を前提に給付する仕組みなので「無条件」にはなりません。公的扶助は資力調査を行って必要と認められた人に給付するので、要件を課す考え方に当たります。

<選択肢>

ア【誤】

国民健康保険は社会保険に区分され、加入と保険料の納付を前提として給付が行われる。「すべての人に無条件」ではないので、考え方Xの例にはならない。要件の有無を入れ替えた型で、考え方Xに当たるのは所得や就労を問わず一律に給付するベーシックインカムのような仕組み。

イ【正】

生活保護制度は公的扶助に区分され、資産や収入の調査を経て、生活に困窮していると認められた人に保護費が支給される。一定の要件を満たす人に給付するという考え方Yの例として正しい。

正解【③】

アは社会保険を無条件の給付と見なした点が誤り、イは公的扶助の要件を正しく説明しているので、ア誤・イ正の組合せになります。

第2問 グローバル化が進む現代社会の文化や宗教(配点13)

生徒Aと生徒Bが、グローバル化のなかの文化と宗教を探究していく構成です。世界遺産と文化の価値づけをめぐる議論、日本で暮らす外国人の統計、政教分離をめぐる最高裁判例、そして宗教をどう捉えるかという問いが並びます。

問1:正解 ④(解答番号5/配点3)

<問題要旨>

「日本文化は優れている」と語るAと、それに注意を促すBの会話が与えられ、空欄アに入る語句(多文化主義・エスノセントリズム・文化相対主義)と、空欄イに入る記述(文化遺産制度による認定や登録をとりわけ重視する姿勢が何をしていることになるか)の組合せを選びます。

<考え方>

3つの用語は「何に反対して立てられた語か」で区別できます。エスノセントリズムは自文化を基準に他文化を低く見る態度、文化相対主義はその態度を批判してどの文化にも固有の価値を認める立場、多文化主義は複数の文化の共存を制度として目指す立場です。空欄イは、Bが「世界遺産がない国や少ない国にも特徴的な文化はある」と述べた直後の発言なので、認定制度を重視することが文化の間に上下を作ってしまうという趣旨で決まります。

<選択肢>

ア=エスノセントリズム【正】

「自分たちの文化が優れていると考える心情」の行き着く先として、陥らないよう注意すべきものとして挙げられている。自文化中心主義と訳される語で、まさにこの態度を指す。

ア=多文化主義【該当せず】

複数の文化が対等に共存することを目指す立場で、注意して陥らないようにするものではない。

ア=文化相対主義【該当せず】

文化の優劣を比べられないとする立場で、Bが警戒している態度とは正反対。「そもそも文化の価値は比べられるのかな」というBの問いかけは、むしろ文化相対主義の側に立つもの。

イ=特定の基準がもつ権威に依拠して文化を評価し序列づけている【正】

世界遺産という制度の認定を価値の根拠にすることは、その制度の権威を借りて文化に順位をつけることになる。だからこそAは最後に「自分の捉え方に思い込みがないか」と反省している。

イ=特定の基準による評価を受け入れずに文化に独自の価値づけをしている【該当せず】

認定や登録をとりわけ重視する姿勢は、外部の基準を「受け入れない」のではなく、むしろそれに従うこと。方向が逆になっている。

正解【④】

自文化を基準に他文化を低く見る態度がエスノセントリズム、世界遺産の認定を重視することは外部の基準の権威に頼って文化を序列づけることなので、この組合せになります。

問2:正解 ②(解答番号6/配点4)

<問題要旨>

国籍・地域別の在留外国人数を2014年末・2019年末・2024年末で示した資料1と、2024年末の在留資格別割合を積み上げ横棒グラフで示した資料2が与えられ、生徒の意見ア〜ウのうち資料を正しく読み取ったものの組合せを選びます。読み取りに関わる部分には下線が付されています。

<考え方>

この設問は「資料1で実数を計算させ、資料2で割合を読ませる」という二段構えで作られており、ア・ウはどちらも前半の実数計算が正しく、後半の割合の読みで落ちます。まず資料1で足し算・引き算・増加率を確かめ、そのうえで資料2の各行でどの区分が最も長いかを別に確かめる、という順で見ていくと取り違えません。実数が大きく増えたことと、その国のなかでその区分の割合が高いこととは別だ、という区別が鍵になります。

<選択肢>

ア【誤】

前半は正しい。2024年末の中国873千人+ベトナム634千人+韓国409千人=1,916千人で、総数3,769千人の半数1,884.5千人を超える。しかし後半が誤り。在留外国人全体で最も割合が高い在留資格は「永住者・定住者」で約37%を占め、「留学」は約11%にすぎない。

イ【正】

前半は正しい。2014年末と2024年末を比べた増加数は、ベトナムが634-100=534千人で上位7か国中最大(中国は218千人、ネパールは191千人、韓国はむしろ減少している)。後半も正しく、ベトナムの在留資格別割合では「技能実習・特定技能」が約55%で最大の区分になっている。

ウ【誤】

前半は正しい。2019年末から2024年末の増加率はインドネシアが67千人から200千人へと約199%で、ネパール(約140%)を上回り上位7か国中で最も高い。しかし後半が誤り。「永住者・定住者」の割合が上位7か国中で最も高いのはブラジル(約89%)で、インドネシアは約5%と低い。

正解【②】

ア・ウはいずれも資料1の実数計算は正しいものの資料2の割合の読みで誤っており、前半と後半の両方が正しいのはイだけです。

問3:正解 ①(解答番号7/配点3)

<問題要旨>

日本における政教分離をめぐる最高裁判所の判例について述べた4つの記述から、適当でないものを選びます。津地鎮祭訴訟・愛媛玉ぐし料訴訟・空知太神社訴訟・那覇孔子廟訴訟が並びます。

<考え方>

政教分離の判例は「合憲とされたもの」と「違憲とされたもの」の仕分けで決まります。違憲とされた代表例が愛媛玉ぐし料訴訟・空知太神社訴訟・那覇孔子廟訴訟であるのに対し、津地鎮祭訴訟は目的効果基準を示したうえで合憲と判断された事件です。判決の結論を逆にする型なので、結論そのものを覚えているかが問われます。

<選択肢>

①【誤】

津地鎮祭訴訟の最高裁判決(1977年)は、行為の目的が宗教的意義をもち効果が宗教への援助・助長になるかを見る目的効果基準を示したうえで、市が主催した地鎮祭への公金支出を合憲と判断した。「違憲とされた」は結論が逆で、これが適当でないもの。

②【正】

愛媛玉ぐし料訴訟の最高裁判決(1997年)は、県が神社に玉ぐし料などを公金から支出したことを、憲法の政教分離規定に違反すると判断した。記述のとおり。

③【正】

空知太神社訴訟の最高裁判決(2010年)は、市が地域の神社の敷地として市有地を無償で使用させていたことを違憲と判断した。記述のとおり。

④【正】

那覇孔子廟訴訟の最高裁判決(2021年)は、孔子を祀る施設の敷地として市が公有地を無償で使用させていたことを違憲と判断した。記述のとおり。

正解【①】

4件のうち津地鎮祭訴訟だけが合憲判決であり、違憲とされたと述べる記述が適当でないものです。

問4:正解 ④(解答番号8/配点3)

<問題要旨>

宗教を外面的に観察できる諸要素から捉える「捉え方X」と、人生に究極的な意味や新たな視点への転換をもたらすものとして捉える「捉え方Y」を示したノートが与えられ、初詣や節分、お彼岸をまとめて指す語(空欄ア)と、マンガに感化されて生き方が変わった友人の例が通じる捉え方(空欄イ)の組合せを選びます。

<考え方>

空欄アは「毎年同じ時期に行われる」という条件で決まります。年中行事は一年の同じ時期に繰り返される行事、通過儀礼は誕生・成人・結婚・葬送のように人生の節目で行われる儀礼なので、両者は反復の性質で区別できます。空欄イは、話題が「本人の生き方が大きく変化した」ことに向けられているので、外形的な要素ではなく当事者にとっての内面的な意味を重視する捉え方が対応します。

<選択肢>

ア=年中行事【正】

初詣・節分・お彼岸はいずれも暦のうえで毎年決まった時期に繰り返される行事で、年中行事に当たる。

ア=通過儀礼【該当せず】

人生の段階の移行に際して行われる儀礼を指す語で、毎年反復されるものではない。反復の性質を入れ替えた型。

イ=捉え方Y【正】

マンガの主人公に感化されて生きる指針を得た結果、世の中の見方が変わり何事にも挑戦したいと思うようになった、という例は、当事者にとっての内面的な意味や機能に着目する捉え方に通じる。

イ=捉え方X【該当せず】

信仰対象・実践・集団という外面的に観察できる諸要素から捉える立場。初詣で賽銭を入れ一定の所作をするという話題であれば当てはまるが、生き方そのものが転換したという話題には対応しない。

正解【④】

毎年反復される行事は年中行事、生き方が転換した例に対応するのは内面的な意味を重視する捉え方Yなので、この組合せになります。

第3問 グローバル化する国際社会の課題(配点19)

生徒Xと生徒Yが「国際協調と多国間での取組み」という観点から経済と政治の分野を調べ、貿易政策の対立と協調、紛争解決における国際法の役割をまとめたメモが土台です。メモに引かれた下線部ⓐ〜fに沿って、保護貿易と自由貿易のねらい、最恵国待遇、サービス貿易、国連機関の仕組み、多国間条約の運用、パレスチナ問題への国連の対応が6問で問われます。

問1:正解 9が①のとき10は⑤、9が②のとき10は②(解答番号9・10/配点4)

<問題要旨>

特定の輸入品に高関税を賦課し年間の輸入数量を制限するA国の政策と、高関税を削減または撤廃し輸入数量の制限を撤廃するB国の政策が示されます。まず自分が関心をもつ方を解答番号9にマークし(A国の政策なら①、B国の政策なら②)、続いて解答番号10で、記述ア〜エのうち選んだ国の政策のねらいにあたる二つの組合せを選びます。①と②のいずれを選んでも、それぞれに対応する適当な選択肢が用意されており、どちらを選んでも同じように得点できる形式で、問題冊子にもその旨が明記されています。

<考え方>

記述ア〜エは、保護貿易のねらい二つと自由貿易のねらい二つに分かれています。したがって先に4つを保護と自由に振り分けてしまえば、どちらの立場を選んでも機械的に答えが決まります。A国の高関税と輸入数量制限は、国内産業を輸入品との競争から守る政策なので、ねらいは幼稚産業の育成(イ)と食料自給率を高めることによる自国農業の維持・拡大(エ)。B国の関税削減と数量制限の撤廃は輸入を増やす政策なので、ねらいは消費者が安価な輸入品を利用できるようになること(ア)と、比較優位に沿って生産性の低い産業から高い産業へ労働力と資本が移動すること(ウ)です。よってA国はイとエで⑤、B国はアとウで②となります。

<選択肢>

9=①(A国の政策=保護貿易)を選んだ場合、10は⑤【正】

A国は高関税と輸入数量制限によって輸入を抑える政策なので、ねらいは国内産業の保護にあります。イは他国と比べて自国ではまだ発展していないが今後の発展が期待される製造業分野を育成するという内容で、幼稚産業保護論そのものです。エは自国で生産された農産物が自国の農産物消費に占める割合、すなわち食料自給率を高めて自国の農業生産を維持・拡大するという内容で、輸入制限の典型的な目的にあたります。この立場でアとウを選んではいけないのは、アの「消費者が国産品よりも安価な輸入品を利用できる機会を広げる」は高関税によってかえって狭まってしまい、ウの「生産性が低い自国産業から生産性が高い自国産業への労働力や資本の移動」は保護によって低生産性部門が温存される方向に働くため、いずれもA国の政策では実現しないからです。

9=②(B国の政策=貿易自由化)を選んだ場合、10は②【正】

B国は高関税の削減・撤廃と輸入数量制限の撤廃によって輸入を増やす政策なので、ねらいは自由貿易の利益にあります。アは関税が下がって輸入品の価格が下がれば消費者の選択肢が広がるという直接の効果です。ウは保護を外すことで、相対的に生産性の低い産業から高い産業へ国内の労働力と資本が移り、比較優位に沿った資源配分が進むという自由貿易の核心にあたります。この立場でイとエを選んではいけないのは、イの幼稚産業の育成とエの自給率の向上は、いずれも輸入を抑えて国内生産を守ることによって達成される保護貿易のねらいであり、輸入制限を撤廃するB国の政策とは方向が逆になるからです。

記述ア〜エを保護貿易のねらい(イ・エ)と自由貿易のねらい(ア・ウ)に振り分ければ、9が①ならイとエの⑤、9が②ならアとウの②が決まります。

問2:正解 ③(解答番号11/配点3)

<問題要旨>

メモの下線部ⓑ「最恵国待遇の原則」について、貿易に関するルールを述べた4つの記述から最も適当なものを一つ選ぶ設問です。選択肢には最恵国待遇のほかに、関税同盟、一般特恵関税、内国民待遇の説明が並べられています。

<考え方>

最恵国待遇とは、ある加盟国に与えた最も有利な待遇を、他のすべての加盟国にも等しく与えなければならないという無差別原則です。したがって「ある国に与えた条件を他の締約国にも同じように適用する」と書かれているものを探せば決まります。選択肢は内容そのものは正しいのに、問われている原則とは別の制度を説明しているという作りになっているので、それぞれが何の説明なのかを見分けて落としていきます。

<選択肢>

①【誤】

協定を締結している国どうしの貿易で関税を撤廃し、締結していない国との貿易では共通の関税を設定するというのは関税同盟の説明で、EUの説明としては正しい内容です。しかし特定の国だけを優遇して域外国を差別する仕組みであり、すべての加盟国を等しく扱う最恵国待遇とはむしろ反対の性格をもつ、原則の例外にあたる制度です。問われているルールの説明にはなりません。

②【誤】

発展途上国からの輸入に対して先進国が一方的に優遇措置を適用するというのは一般特恵関税(GSP)の説明で、UNCTADでの提唱を受けて各国で導入されたという点も正しい内容です。ただしこれは途上国だけを有利に扱う措置であり、最恵国待遇の例外として認められているもので、原則そのものの説明ではありません。

③【正】

協定を締結しているある国からの輸入に対して関税を引き下げた場合、協定を締結している他の国からの輸入にも同じ条件を適用する——これが最恵国待遇の定義そのものです。WTOの基本原則の一つとして正しく述べられています。

④【誤】

国内に輸入された外国の産品を同種の自国の産品よりも不利に取り扱わないというのは内国民待遇の説明で、これもWTOの原則の一つとして内容自体は正しいものです。しかし内国民待遇は国境を越えた後の国内での取扱いをそろえる原則、最恵国待遇は国と国の間で待遇をそろえる原則であり、役割が異なります。よく似た二つの無差別原則を入れ替えた形です。

正解【③】

「ある締約国に与えた関税引下げを他の締約国にも同じ条件で適用する」と述べた③が、最恵国待遇の定義そのものです。

問3:正解 ②(解答番号12/配点3)

<問題要旨>

下線部ⓒ「サービス貿易」に関連して、2000年以降の貿易の動向を述べた記述ア〜エのうち、世界のサービス貿易の動きを示しているものを二つ選び、その組合せを選ぶ設問です。

<考え方>

サービス貿易とは、形のない役務が国境を越えて取引されることをいい、運輸・旅行・通信・金融・情報処理・著作権使用料などが含まれます。これに対して原材料や製品といった形のあるものの取引は財貿易です。したがって各記述で国境を越えて取引されているのが役務なのかモノなのかを見分ければ、そのまま振り分けられます。

<選択肢>

ア【正】

インドでソフトウェア開発やコールセンター業務の外国企業からの受託が増大したというのは、情報処理や業務請負という役務を国外の企業に提供する取引です。インドが実際に伸ばしてきたサービス貿易の代表例にあたります。

イ【誤】

南米でEVの充電池の生産に不可欠な資源の開発が進み、その資源の国際的な取引が拡大したというのは、鉱物という形のあるものの取引であり財貿易です。新しい産業に関わる動きではありますが、サービス貿易ではありません。

ウ【正】

プラットフォーマーと呼ばれる巨大企業が音楽や動画などをインターネットで配信して巨額の利益を得るようになったというのは、デジタルの形で役務を国境を越えて提供する取引です。近年拡大しているサービス貿易の新しい形にあたります。

エ【誤】

アメリカにある多国籍企業の本社が国外の生産拠点で組み立てられた最終製品の輸入を増大させたというのは、完成品という形のあるものの取引であり財貿易です。多国籍企業の活動である点に引きずられると誤って選んでしまいます。

正解【②】

役務の国際取引にあたるのはアとウで、イとエはモノの取引なので②が正解です。

問4:正解 ③(解答番号13/配点3)

<問題要旨>

下線部ⓓ「国際連合(国連)」について、国連機関の仕組みと活動に関する4つの記述から最も適当なものを一つ選ぶ設問です。安全保障理事会、人権理事会、国際司法裁判所、国連事務局が取り上げられています。

<考え方>

国連の主要機関は総会・安全保障理事会・経済社会理事会・信託統治理事会・国際司法裁判所・事務局の6つです。この設問は、どの機関が何を選挙し、誰が誰を任命するのかという行為の主体を入れ替える形で誤りが仕込まれているので、担い手を一つずつ確認していきます。あわせて、国際司法裁判所の管轄が紛争当事国の同意に基づくという原則を押さえれば決まります。

<選択肢>

①【誤】

安保理が常任理事国5か国と非常任理事国10か国で構成される点は正しいのですが、非常任理事国を選挙するのは総会です。経済社会理事会が選挙するとしたのは主体の入れ替えにあたります。

②【誤】

人権理事会は2006年に総会の下に設置された補助機関であり、主要機関ではありません。各国の人権状況の改善に取り組んでいるという活動内容は正しいものの、安保理とならぶ主要機関だとして位置づけを格上げしたすり替えです。

③【正】

国際司法裁判所は、同裁判所が裁判を行う権限(管轄権)について紛争当事国双方による同意があると認められる場合に、裁判を行うことができます。一方の国が訴えても他方の国に応訴する義務はなく、当事国の同意が管轄の前提となるという仕組みを正しく述べています。

④【誤】

国連事務局が主要機関である点は正しいのですが、事務総長は安保理の勧告に基づいて総会が任命します。勧告する側と任命する側を入れ替えた誤りです。

正解【③】

国際司法裁判所の管轄が紛争当事国双方の同意に基づくことを述べた③が正しく、他は選挙・任命・位置づけの主体をすり替えています。

問5:正解 ⑥(解答番号14/配点3)

<問題要旨>

下線部ⓔ「多国間条約」について、WTO協定・国際人権規約・国連気候変動枠組条約をそれぞれ述べた記述ア〜ウと、それぞれの条約の運用上の特徴を説明した記述a〜cを対応させる組合せの設問です。

<考え方>

3つの条約の「制度がどう動くか」で結びつけます。WTO協定のネガティブ・コンセンサスは、全会一致の反対がなければ決定が成立する方式で、紛争解決手続を止まらせないための工夫です。国際人権規約は締約国に履行状況の報告を求め、専門家からなる委員会が審査する履行確保の仕組みをもちます。国連気候変動枠組条約は、まず枠組みだけを定めてCOPでの継続的な交渉を通じて具体的な義務を積み上げていく枠組条約方式です。各説明のキーワードをこの3つの制度に当てれば一対一に決まります。

<選択肢>

ア=c【正】

WTO協定のネガティブ・コンセンサスは、全締約国が一致して反対しない限り決定が成立する方式です。cの「締約国間の紛争が付託された場合、全締約国が一致して反対しない限り、紛争解決手続が開始され、また紛争解決に関する判断も採択される」がこれに一致し、紛争解決機能を強化してルールに基づく安定的な秩序をめざすという続きも合います。アにbを当てると、専門家機関が各国の行動を定期的に評価するという人権条約型の制度になってしまい、WTOの意思決定方式の説明になりません。

イ=b【正】

国際人権規約は、締約国に対して履行状況に関する報告を求め、審査を行う制度を備えています。bの「専門家で構成される機関が、各国の行動を条約に照らして定期的に評価し、条約の規定を遵守しているかどうかを判断する」が、規約人権委員会などによる報告審査制度の説明にあたり、条約の内容がすべての締約国で適切に実現されることをめざすという目的にも合います。

ウ=a【正】

国連気候変動枠組条約は、まず共通の目的と制度だけを定め、締約国会議(COP)での協議を重ねて京都議定書やパリ協定という形で具体的な義務を積み上げてきました。aの「まずは基本となる条約において国々の共通利益や目的を設定し、制度を構築する。その制度の下で協議を行いながら、実現の方法や国々の義務を新たに条約として定め具体化していく」が、この枠組条約方式そのものです。ウにcを当てると、紛争解決手続が制度の中核であることになりますが、気候変動枠組条約の仕組みはそこではなく継続的な政府間交渉の場の設置にあります。

正解【⑥】

アがc、イがb、ウがaとなるので⑥が正解です。

問6:正解 ④(解答番号15/配点3)

<問題要旨>

下線部f「国際紛争の具体例」として、生徒Xと生徒Yがパレスチナ問題への国連の対応を話し合う会話文が示されます。空欄アには総会が審議の根拠としてきた決議(a・b)、空欄イには総会がパレスチナをオブザーバー国家として承認し加盟承認決議を採択してきたことから読みとれる解決の方向(c・d)が入り、その組合せを選びます。

<考え方>

空欄の直前だけでなく会話全体の流れから決まる設問です。空欄アの直前でYは「安保理で拒否権が行使されて機能しなくなったから、総会はアに基づいて審議を断続的に行ってきた」と述べているので、安保理が拒否権で機能しない場合に総会が代わって審議・勧告する根拠となる決議を選びます。空欄イは、パレスチナに加盟国に準じる資格や権利を与えてきたという事実からどのような解決の方向が読みとれるかを問うものなので、パレスチナを一つの国家として扱う方向の記述でなければなりません。

<選択肢>

ア=b「平和のための結集」決議【正】

1950年に国連総会で採択された決議で、安保理が拒否権の行使によって機能しない場合には、総会が緊急特別会期を開いて審議し、集団的措置を勧告できるとしたものです。会話の「安保理で拒否権が行使されて機能しなくなったから、総会は……に基づいて審議を断続的に行ってきた」という文脈にそのまま対応します。aの「国連平和維持活動を実施するための決議」は個別のPKOを設置する決議であって、総会が安保理に代わって審議を行う一般的な根拠にはならないので入りません。

イ=d イスラエルとパレスチナが、互いにそれぞれを独立国家として承認する【正】

総会が2012年にパレスチナをオブザーバー国家として承認し、2024年に加盟承認決議を採択して加盟国に準じる資格や権利を与えてきたのは、パレスチナを一つの国家として扱う方向を示す行動です。したがってそこから読みとれるのは、二つの国家が互いを承認し合うことによる和平、いわゆる二国家解決の方向になります。cの「パレスチナに対して、イスラエルという国家の下で一定の自治を認める」は、パレスチナを国家として扱わず自治にとどめる案であり、国家に準じる資格を与えてきた総会の行動とは方向が逆になるので入りません。

正解【④】

空欄アが「平和のための結集」決議、空欄イが二国家の相互承認となるので④が正解です。

第4問 日本の経済政策(配点19)

生徒Xと生徒Yが「政治・経済」で学習した日本の経済政策を、Ⅰ「日本における経済停滞とその対策」とⅡ「日本における経済政策の実施過程」の二部構成のメモにまとめ、学習内容を振り返ります。下線部ⓐ〜fに沿って、バブル経済崩壊後の経済動向から、政策の立案、国会での立法、裁判所による違憲審査までを6問で問う構成です。

問1:正解 ②(解答番号16/配点3)

<問題要旨>

下線部ⓐ「日本経済」に関連して、バブル経済崩壊後の日本経済について生徒Xと生徒Yが話し合う会話文が示されます。空欄アには実質経済成長率が名目経済成長率から除いている変動の対象、空欄イには2008年から2009年にかけて実質経済成長率が大きく低下した主な原因が入り、その組合せを選びます。

<考え方>

実質値と名目値の関係、そして2008年から2009年に何が起きたのかという時期の対応で決まります。名目値から物価変動の影響を取り除いたものが実質値であり、この関係は成長率についても同じです。2008年秋のリーマン・ブラザーズ破綻に始まる世界金融危機は、世界的な需要の縮小を通じて日本の輸出と生産を急減させ、2009年度の実質経済成長率を大きく押し下げました。

<選択肢>

ア=物価【正】

実質経済成長率は、名目経済成長率から物価の変動による影響を除いて算出します。物価が上昇すれば、生産量が増えていなくても名目の値は膨らんでしまうため、その分を取り除く必要があるからです。

ア=失業率【誤】

失業率は労働市場の状況を示す指標で、名目値と実質値を橋渡しするものではありません。名目から実質への変換に用いるのはあくまで物価(GDPデフレーター)であり、指標をすり替えた誤りです。

イ=世界金融危機【正】

2008年秋に始まった世界金融危機によって世界的に需要が縮小し、日本は輸出と生産が急減して2009年度の実質経済成長率が大きく落ち込みました。会話が問題にしている2008年から2009年という時期にぴたりと対応します。

イ=消費税率の引上げ【誤】

消費税率が引き上げられたのは1997年、2014年、2019年で、2008年から2009年には引上げは行われていません。制度が実施された時期を前後にずらした誤りです。

正解【②】

名目から除くのは物価の変動で、2008年から2009年の急落の主因は世界金融危機なので②が正解です。

問2:正解 ①(解答番号17/配点3)

<問題要旨>

下線部ⓑ「経済政策」に関連して、日本版金融ビッグバン(フリー、フェア、グローバルという三つの改革原則)とアベノミクス(大胆な金融緩和、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の「三本の矢」)の特徴をまとめたカードが示されます。会話文の空欄アには金融ビッグバンで独占禁止法上の禁止が解かれたもの、空欄イには大胆な金融緩和によって脱却が図られた状態が入り、その組合せを選びます。

<考え方>

空欄アは「独占禁止法で禁止されていた」という条件が決定的です。戦後の独占禁止法は財閥の復活を防ぐために純粋持株会社の設立を禁じており、これが1997年の改正で解禁されたことで、金融持株会社の下での再編が進みました。空欄イは、大胆な金融緩和が何を打ち消すための政策だったかで決まります。当時は物価が持続的に下落する状態が続いており、そこからの脱却が政策目標に掲げられていました。

<選択肢>

ア=持株会社【正】

独占禁止法は、他社の株式を保有することを主たる事業とする純粋持株会社の設立を禁じていましたが、1997年の改正で解禁されました。これにより金融持株会社の下に銀行・証券・信託を束ねる再編が進み、会話の「金融機関などの再編が進んだ」に直結します。

ア=合同会社【誤】

合同会社は2005年に制定された会社法で新たに設けられた会社形態であり、もともと独占禁止法によって禁止されていたものではありません。禁止されていた対象を別の制度に置き換えた誤りです。

イ=デフレーション【正】

アベノミクスの大胆な金融緩和は、物価が持続的に下落するデフレーションからの脱却を明確な目標に掲げ、物価上昇率2パーセントという目標のもとで進められました。

イ=スタグフレーション【誤】

スタグフレーションは景気の停滞と物価上昇が同時に進む状態で、物価の下落が続いていた当時の日本の状況とは逆です。金融緩和は物価を押し上げる方向の政策なので、脱却の対象としても筋が通りません。

正解【①】

解禁されたのは持株会社、脱却が図られたのはデフレーションなので①が正解です。

問3:正解 ④(解答番号18/配点3)

<問題要旨>

下線部ⓒ「株主構成」に関連して、日本の投資部門項目別株式保有比率の推移を1980年度から2023年度まで示した折れ線グラフと、それを見ながら作成したメモが示されます。グラフの凡例の空欄ア・イに入る投資部門項目と、メモの空欄ウに入る語句(企業集団内における株式の持合いが向かった変化)の組合せを選びます。凡例には「証券・保険会社等」「事業法人等」「個人・その他」が別に示されています。

<考え方>

グラフは両端の目盛りを読んで、上がった線と下がった線を先に決めるのが確実です。アは1980年度に20パーセント、1990年度に約16パーセント、1995年度に15パーセント、2000年度に10パーセント、2005年度には約5パーセントと下がり続け、2023年度には2パーセント台まで落ちています。イは1980年度に約6パーセントと低く、1995年度に約10パーセント、2000年度に約19パーセント、2005年度に約26パーセントと上がって、2023年度には30パーセントを超えて最上位になっています。1990年代以降の金融の自由化のなかで、銀行が持ち合っていた株式を売却して保有比率を下げ、その受け皿として外国人投資家の保有が増えたという流れに当てれば、下がる線が普通銀行、上がる線が外国法人・外国人と決まります。メモが「アの株式保有比率の動きは持合いのウに向かう変化に対応している」と述べ、続いて「イの動きは企業が短期的な収益を追求することや、株主の意向がより強く経営方針に反映されることへとつながっている」と述べている点も、この対応で筋が通ります。

<選択肢>

ア=普通銀行【正】

1980年度の20パーセントから2023年度の2パーセント台まで、ほぼ一貫して下がり続ける線です。持合い株の売却と、自己資本比率規制の下での株式保有の圧縮によって、銀行の株式保有比率は大きく低下しました。アとイを入れ替えると、外国法人・外国人が1980年度に20パーセントを保有していたことになり、資本取引の自由化が進む前の時期として実態に合いません。

イ=外国法人・外国人【正】

1980年度の約6パーセントから2023年度に30パーセントを超えるまで上昇する線です。四半期ごとの業績や株主還元を重視する投資家の存在が大きくなったことが、メモの「企業が短期的な収益を追求すること」「株主の意向がより強く経営方針に反映されること」に対応します。

ウ=解消【正】

企業集団内における株式の持合いは、1990年代以降の金融の自由化と株価の下落を受けて解消に向かいました。アの保有比率が下がり続けているという読み取りと整合します。

ウ=強化【誤】

持合いが強化されたのであれば、銀行や事業法人等の保有比率は上昇するはずで、アが一貫して低下しているという事実と矛盾します。変化の向きを逆にした誤りです。

正解【④】

下がり続ける線が普通銀行、上昇する線が外国法人・外国人で、持合いは解消に向かったので④が正解です。

問4:正解 ④(解答番号19/配点3)

<問題要旨>

下線部ⓓ「国会」に関連して、架空の政党A〜Eの議席状況が示されます。衆議院は定数465名でA党308・B党107・C党31・D党13・E党6、参議院は定数248名でA党102・B党119・C党20・D党5・E党2です。条件として、すべての議員が出席し必ず所属政党の方針どおりに投票して棄権や白票はないこと、両院協議会で意見が一致することはないこと、会期期間中に必ず議決がなされることが与えられ、この下で国会の議決に関する記述として最も適当なものを一つ選びます。

<考え方>

過半数と3分の2という要件を実際の数字で計算してから選択肢に当てるのが要です。衆議院の過半数は465の半分を超える233、3分の2は465×2÷3=310。参議院の過半数は248の半分を超える125です。制度面では、内閣総理大臣の指名・予算・条約の承認は両院協議会で意見が一致しなければ衆議院の議決が国会の議決となりますが、法律案だけは参議院で否決された場合に衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再可決する必要があります。内閣不信任決議は衆議院だけで行われます。この4点を議席数に当てて一つずつ潰していきます。

<選択肢>

①【誤】

衆議院ではA党の308が過半数233を超えるので、A党の候補者が指名されます。参議院では最初の投票でA党102・B党119と誰も過半数125に達しないため、上位2名による決選投票となりB党の候補者が指名されます。両院の指名が異なり両院協議会でも意見が一致しないので、憲法67条2項により衆議院の議決が国会の議決となり、内閣総理大臣はA党から選出されます。B党から選出されるとした点が誤りです。

②【誤】

予算は衆議院ではA党の308の賛成で可決されます。参議院ではB党119とC党20の合計139が反対するため、賛成はA党102にD党5とE党2を加えても109にとどまり否決されます。しかし予算については憲法60条2項により、両院協議会で意見が一致しなければ衆議院の議決が国会の議決となるので、予算は成立します。「予算は成立しない」とした点が誤りです。

③【誤】

内閣不信任決議案は衆議院にのみ提出できます。A党以外のすべての政党が共同で提出して賛成しても、B党107・C党31・D党13・E党6の合計は157にとどまり、A党308の反対に及ばないので否決されます。「内閣不信任案は否決されない」とした点が誤りです。

④【正】

A党とC党の連立政権が提出した法律案は、衆議院ではA党308とC党31の合計339となり過半数233を超えて可決されます。参議院ではA党102とC党20の合計122にとどまり、B党119・D党5・E党2の合計126が反対して否決されます。ただし法律案は、参議院で否決されても衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再可決すれば法律となります。すべての議員が出席するという条件の下で3分の2は465×2÷3=310であり、339はこれを上回るので再可決が可能です。したがって最終的にA党とC党の賛成で法律案を可決することができます。

正解【④】

衆議院でのA党とC党の339議席が再可決に必要な3分の2の310を上回るため、④が正解です。

問5:正解 ①(解答番号20/配点3)

<問題要旨>

下線部ⓔ「経済的自由」について、日本国憲法の下での経済的自由に関する4つの記述から最も適当なものを一つ選ぶ設問です。職業選択の自由の内容と、薬事法・森林法をめぐる最高裁判決、財産権の収用の要件が取り上げられています。

<考え方>

経済的自由は職業選択の自由(憲法22条1項)と財産権(憲法29条)が柱です。職業選択の自由には、選択した職業を実際に営む営業の自由も含まれると解されています。判例については、薬事法の薬局距離制限規定(1975年)と森林法の共有林分割請求権制限規定(1987年)が、いずれも違憲と判断された代表的な例であることを押さえます。条文が関わる部分は、記憶の条文ではなく条文に書かれている語で判定します。

<選択肢>

①【正】

憲法22条1項が保障する職業選択の自由には、自ら選択した職業を実際に営む営業の自由も含まれると解されています。職業を選ぶ自由だけを認めて営む自由を認めなければ保障の意味が失われるため、判例も学説もこの理解に立っています。

②【誤】

既存の薬局から一定の距離内では新たな薬局の開設を制限する薬事法の規定は、1975年の最高裁判決で職業選択の自由を侵害し違憲と判断されました。合憲であると判断したとした点は、判決の結論を反転させた誤りです。

③【誤】

憲法29条3項は「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる」と定めており、補償があることが収用の条件です。補償がなくても収用することができるとしたのは、条文が定める要件を外した誤りです。

④【誤】

共有林について持分価額が2分の1以下の共有者の分割請求権を制限していた森林法の規定は、1987年の最高裁判決で財産権を侵害し違憲と判断されました。合憲であると判断したとした点は、②と同じく判決の結論を反転させた誤りです。

正解【①】

職業選択の自由に営業の自由が含まれるとした①が正しく、②と④は違憲判決を合憲と反転させ、③は憲法29条3項の補償の要件を外しています。

問6:正解 21が①のとき22は④、21が②のとき22は③(解答番号21・22/配点4)

<問題要旨>

下線部f「違憲審査」について、裁判所は違憲審査権を積極的に行使すべきで違憲判断をためらうべきではないという立場aと、違憲審査権を慎重に行使すべきでやむをえない場合を除いて違憲判断をすべきではないという立場bが示されます。まず自分が支持する立場を解答番号21にマークし(立場aなら①、立場bなら②)、続いて解答番号22で、選んだ立場の根拠として適当な記述をア〜エから二つ選び、その組合せを選びます。①と②のいずれを選んでも、それぞれに対応する適当な選択肢が用意されており、どちらを選んでも同じように得点できる形式で、問題冊子にもその旨が明記されています。

<考え方>

記述ア〜エは、司法積極主義(立場a)を支える二つと司法消極主義(立場b)を支える二つに分かれています。振り分けの軸は「国会の判断をどう評価するか」です。国会の判断は国民の代表によるものだから尊重すべきだという方向の記述は立場bの根拠になり、国会は多数者の代表にすぎず少数者の人権を守りきれないから裁判所が抑制すべきだという方向の記述は立場aの根拠になります。この軸で振り分ければ、立場aはイとウで④、立場bはアとエで③と決まります。

<選択肢>

21=①(立場a=違憲審査権を積極的に行使すべき)を選んだ場合、22は④【正】

積極的な行使を支えるのは、国会に任せておけない理由です。イは、多数者によって選出された構成員により組織される機関では少数者の声が十分に考慮されない可能性があるという指摘で、多数決で切り捨てられかねない人権を裁判所が守るという「人権の砦」としての役割に直結します。ウは、国会が権限を濫用しないよう国会の活動を厳しく監視し抑制することが権力分立によって裁判所に期待される機能の一つであるという指摘で、違憲審査権を能動的に使う根拠になります。この立場でアとエを選んではいけないのは、アが違憲判断を議会制民主主義の否定につながりかねないものと述べ、エが国会の立法の慎重さを理由に判断を尊重すべきだと述べており、いずれも違憲判断を控える方向の論拠だからです。

21=②(立場b=違憲審査権を慎重に行使すべき)を選んだ場合、22は③【正】

慎重な行使を支えるのは、国会の判断を尊重すべき理由です。アは、裁判所が法律を違憲と判断することは国民代表機関の意思を覆すことであり、議会制民主主義を否定することになりかねないという指摘で、司法消極主義の中心的な論拠にあたります。エは、国会が専門家の知見や利害関係者の意見などさまざまな判断材料や根拠に基づいて法律を制定しているという指摘で、立法裁量を尊重すべき理由になります。この立場でイとウを選んではいけないのは、イが国会では少数者の声が届かないことを、ウが国会の権限濫用を裁判所が監視・抑制すべきことを述べており、いずれも積極的に違憲判断へ踏み込む方向の論拠だからです。

記述ア〜エを司法消極主義の論拠(ア・エ)と司法積極主義の論拠(イ・ウ)に振り分ければ、21が①ならイとウの④、21が②ならアとエの③が決まります。

第5問 人口減少と地方自治(配点18)

生徒Xと生徒Yが、授業で学習した日本の人口減少について話し合う会話文が土台です。人口が減っても行政サービスのニーズは減るとは限らないという問題意識から、下線部ⓐ〜fに沿って、市区町村数と職員数の推移、水道事業の広域化、地方公共団体の収入の区分、地方自治の制度、宿泊税、NPOや企業との協働が6問で問われます。

問1:正解 ⑥(解答番号23/配点3)

<問題要旨>

下線部ⓐ「地方公共団体」について、全国の市区町村数の推移を市・区と町・村に分けて示した図1と、地方公共団体の職員数の推移を都道府県と市町村等に分けて示した図2(いずれも1999年から2023年まで、各年の数値が折れ線に書き込まれています)が示されます。記述ア〜ウのうち図1や図2から読みとれる正しいものをすべて選び、その組合せを選びます。

<考え方>

書き込まれた数値をそのまま足し引きして確かめます。アは1999年の市・区694と町・村2,558を足した3,252と、2023年の市・区815と町・村926を足した1,741を比べます。半分は1,626なので、1,741は半分以下になりません。イは図2の折れ線の底がどこにあるかを見ます。市町村等は846→798→739→689→678→689→704、都道府県は315→287→265→237→231→233→238と推移しており、どちらも2015年が最小値でその後は増加に転じています。ウは減少率(割合)と減少数(実数)を混同しないことが要です。1999年から2011年で都道府県は315から237へ78の減少なので減少率は約24.8パーセント、市町村等は846から689へ157の減少なので減少率は約18.6パーセント。減少した人数そのものでは市町村等の157が都道府県の78を大きく上回りますが、問われているのは減少率なので都道府県の方が高くなります。実数の大きさに引きずられると、正しい記述を誤りと判断してしまいます。

<選択肢>

ア【誤】

1999年の市区町村数は694+2,558=3,252、2023年は815+926=1,741です。半分にあたる1,626を上回っているので、「半分以下に減少した」とはいえません。平成の大合併で大きく減ったという印象だけで判断すると引っかかります。なお市・区は694から815へ増えている点も見落とせません。

イ【正】

市町村等の職員数は1999年の846千人から減り続けて2015年の678千人で最小となり、その後は2019年の689千人、2023年の704千人と増加に転じています。都道府県も2015年の231千人が最小で、その後233千人、238千人と増えています。どちらの折れ線も2015年で下げ止まり、以後は増加しているので正しい記述です。

ウ【正】

1999年から2011年の減少率は、都道府県が(315−237)÷315=約24.8パーセント、市町村等が(846−689)÷846=約18.6パーセントで、都道府県の方が高くなります。減少した実数では市町村等の157千人が都道府県の78千人を上回るため、割合と実数を取り違えると誤りと判断してしまう作りです。

正解【⑥】

市区町村数は半分以下にはなっておらず、職員数は2015年を底に増加、減少率は都道府県の方が高いので、イとウの⑥が正解です。

問2:正解 ③(解答番号24/配点3)

<問題要旨>

下線部ⓑ「インフラの老朽化問題」に関連して、日本の水道事業の経営についてまとめたメモが示されます。空欄アには規模の経済において生産量1単位当たりの費用がどうなるかを表す語句、空欄イには広域化によって規模の経済が働く理由となる記述が入り、その組合せを選びます。

<考え方>

規模の経済とは、浄水場などの大規模な設備を必要とする事業で、生産を増やすほど設備の固定費が多くの生産量に分散され、生産量1単位当たりの費用が低下することをいいます。空欄イは、複数の市町村が一体的に事業に取り組むとなぜ規模の経済が働くのかを説明するものなので、設備や人員を共同で使うことによって費用が下がるという内容でなければなりません。赤字を他の事業者の収益で埋める内部補助は、費用そのものを下げる仕組みではなく負担を移すだけなので、規模の経済の説明にはなりません。

<選択肢>

ア=b 低下【正】

浄水場などの大規模な設備を必要とする水道事業では、給水量が増えるほど設備の固定費が広く分散されるので、水1単位当たりの費用は下がります。これが規模の経済です。

ア=a 上昇【誤】

生産を増やすほど1単位当たりの費用が上がるのは規模の不経済で、規模の経済の定義とは逆です。メモが「規模の経済が当てはまる」と述べている文脈とも矛盾します。

イ=c 施設の共同設置や共同利用により、維持管理費用が削減される【正】

複数の市町村が一体的に事業に取り組めば、浄水場や管理部門を重複して持たずに共同で使えるので、1単位当たりの維持管理費用が下がります。これが広域化によって規模の経済が働く筋道であり、「長期的に安定した事業の継続につながる」という続きにも合います。

イ=d 採算の合わない事業者の赤字を、他の事業者の収益で補填する【誤】

これは事業者の間で負担を移す内部補助の説明であり、費用そのものを下げる仕組みではないので規模の経済の説明になりません。また「中山間地域ではこうした効果が十分に見込めない可能性がある」という続きは、人口が散在していて施設の共同利用の効果が出にくいという意味であり、内部補助の話ではありません。

正解【③】

規模の経済では1単位当たりの費用が低下し、広域化の効果は施設の共同設置・共同利用による維持管理費用の削減なので③が正解です。

問3:正解 ①(解答番号25/配点3)

<問題要旨>

下線部ⓒ「財源」に関して、日本の地方公共団体の収入に関する4つの記述から最も適当なものを一つ選ぶ設問です。国庫支出金、地方税、地方交付税、地方債、独自課税が取り上げられています。

<考え方>

自主財源と依存財源の区別で決まります。自主財源は地方公共団体が自ら調達する収入で、地方税や使用料・手数料など。依存財源は国などから交付・配分されるか外部から借り入れる収入で、地方交付税・国庫支出金・地方債などです。各記述に出てくる収入がどちらに属するかを当てはめれば、そのまま判定できます。

<選択肢>

①【正】

国庫支出金は依存財源、地方税は自主財源です。国庫支出金を削減してその削減分を国税から地方税に移譲すれば、地方公共団体が自ら課税して調達する収入が増えるので、自主財源が増えます。三位一体の改革で実際に組み合わせて進められた内容です。

②【誤】

国庫支出金も地方交付税もともに依存財源なので、一方を削って他方に振り替えても依存財源の合計は増えません。同じ区分の中での置き換えにすぎないという点を見落とさせる作りです。

③【誤】

地方債は地方公共団体が外部から借り入れる収入であり、依存財源に分類されます。自主財源としたのは区分の取り違えです。

④【誤】

法定外税などの独自課税は、地方公共団体が条例に基づいて自ら課す地方税であり自主財源です。依存財源としたのは区分の取り違えで、①と対になる形で自主財源と依存財源を入れ替えています。

正解【①】

依存財源である国庫支出金から自主財源である地方税への振り替えは自主財源を増やすので①が正解です。

問4:正解 ②(解答番号26/配点3)

<問題要旨>

下線部ⓓ「地方自治」に関して、日本の地方公共団体に関する4つの記述から最も適当なものを一つ選ぶ設問です。住民の直接請求の制度と、首長と議会の相互抑制の仕組みが取り上げられています。

<考え方>

直接請求の種類と、首長と議会の関係を押さえれば決まります。直接請求のうち条例の制定・改廃を求めるものがイニシアティブ、解職や議会の解散を求めるものがリコールで、住民の意思を問う投票そのものはレファレンダムと呼ばれます。首長と議会の関係では、首長の再議(拒否権)に対して議会は出席議員の3分の2以上で再議決でき、議会が不信任決議案を可決すれば首長は10日以内に議会を解散できます。名称のすり替えと、認められている権限の否定が仕込まれています。

<選択肢>

①【誤】

住民の意思を問うために投票を実施する制度はレファレンダム(住民投票)です。イニシアティブは条例の制定・改廃を求める直接請求で、有権者の50分の1以上の署名を集めて首長に請求するものです。よく似た直接請求の名称を取り違えたすり替えです。

②【正】

地方公共団体の首長や議員の解職をその地方公共団体の有権者が請求する制度はリコールです。原則として有権者の3分の1以上の署名を集めて選挙管理委員会に請求し、住民投票で過半数の同意があれば失職します。

③【誤】

首長が議会の議決に異議があるときは再議に付すことができ、議会は出席議員の3分の2以上の同意で再議決すれば、その議決が確定します。「再議決することはできない」は、認められている議会の権限を否定した誤りです。

④【誤】

議会が首長に対する不信任決議案を可決した場合、首長は10日以内に議会を解散することができます。「議会を解散することはできない」は、認められている首長の権限を否定した誤りです。

正解【②】

首長や議員の解職請求を指すのはリコールなので②が正解で、①は直接請求の名称をすり替えています。

問5:正解 ③(解答番号27/配点3)

<問題要旨>

下線部ⓔ「観光」に関連して、宿泊税を導入している地方公共団体A(1人1泊につき200円の定額)、B(1人1泊当たりの宿泊料金が2万円未満なら200円、2万円以上5万円未満なら500円、5万円以上なら1,000円)、C(宿泊料金の2パーセントの定率)を比較した資料が示されます。生徒Xと生徒Yの会話文の空欄ア・イに入る税負担の考え方と、空欄ウに入る宿泊事業者が想定している需要の価格弾力性の大きさの組合せを選びます。

<考え方>

応益負担と応能負担の区別、そして需要の価格弾力性の意味で決まります。応益負担は公共サービスから受ける利益に応じて負担する考え方、応能負担は負担する能力に応じて負担する考え方です。空欄アの直前でYは、宿泊税を観光関連サービスの費用や道路の整備など観光客が訪れることによって増大する公共サービスの費用の一部負担だと説明しているので、受益に対応する負担、すなわち応益が入ります。空欄イは、宿泊料金の金額から宿泊客の消費額が判断でき間接的に経済力をとらえられるという説明が続くので応能です。空欄ウは、税が上乗せされると宿泊客数が大幅に落ち込むという想定なので、価格の変化に対して需要が大きく反応する、つまり価格弾力性が大きいという想定になります。

<選択肢>

ア=応益【正】

宿泊税を、観光客が受ける観光関連サービスや道路の整備などの費用の一部負担と捉える説明は、受けた利益に応じて負担するという応益負担の考え方です。1人1泊200円という定額課税は、誰が泊まっても同じサービスを受けるという前提に沿うので、この考え方に対応する地方公共団体Aの例として挙げられています。

イ=応能【正】

宿泊料金の金額によって宿泊客の消費額が判断でき、間接的に経済力をとらえることができるという説明は、負担する能力に応じて負担するという応能負担の考え方です。宿泊料金の2パーセントという定率課税は料金が高いほど税額が増えるので、この考え方に基づく課税になります。なおアとイを入れ替えると、料金にかかわらず同額という定額課税を経済力に応じた課税とみなすことになり、資料の税額の決め方と矛盾します。

ウ=大きい【正】

需要の価格弾力性は、価格が変化したときに需要量がどれだけ変化するかを表します。宿泊税が上乗せされることで宿泊客数が大幅に落ち込むと宿泊事業者が考えているのは、価格の変化に需要が大きく反応する、すなわち価格弾力性が大きいという想定にあたります。

ウ=小さい【誤】

価格弾力性が小さければ、税が上乗せされても宿泊客数はあまり減らないことになり、宿泊事業者が導入に反対する理由になりません。想定と結果の関係を逆にした誤りです。

正解【③】

定額課税は応益負担、定率課税は応能負担の考え方にあたり、客数が大幅に落ち込むという想定は価格弾力性が大きいという想定なので③が正解です。

問6:正解 ⑥(解答番号28/配点3)

<問題要旨>

下線部f「NPOや企業」に関連して、日本のNPOや企業に関する記述ア〜ウのうち正しいものをすべて選び、その組合せを選ぶ設問です。特定非営利活動促進法(NPO法)、会社法、社会的企業が取り上げられています。

<考え方>

NPO法が何を可能にした法律か、会社法が最低資本金の規定をどう扱ったか、社会的企業とは何かという3点を確かめます。NPO法は要件を満たす団体が法人格を取得できる道を開いた法律で、取得は任意です。2005年に制定された会社法では株式会社設立のための最低資本金の規定が撤廃されました。社会的企業は社会的課題の解決を事業の目的に据える企業で、実際に各分野で現れています。

<選択肢>

ア【誤】

NPO法は、所轄庁の認証を受けることで特定非営利活動法人として法人格を取得できる仕組みを設けた法律であり、法人格の取得は任意です。法人格をもたない任意団体として活動しているNPOも多くあります。「義務づけられている」は要件を強めた誤りです。

イ【正】

2005年に制定された会社法により、それまで株式会社に1,000万円とされていた最低資本金の規定は撤廃されました。これによって少額の資本金でも株式会社を設立できるようになり、起業がしやすくなりました。

ウ【正】

環境問題、高齢化問題、過疎化問題などの社会問題の解決を事業として担う社会的企業が現れています。人口減少に悩む地域の住民や地方公共団体がNPOや企業と協働するという会話文の文脈にも沿う内容です。

正解【⑥】

NPOの法人格取得は義務ではなく、会社法で最低資本金の規定は撤廃され、社会的企業も出現しているので、イとウの⑥が正解です。

第6問 SDGsからみた地球規模の課題とその解決(配点19)

生徒V・W・X・Y・Zの5名が「持続可能な開発目標(SDGs)からみた地球規模の課題とその解決」をテーマに、Ⅰ方針の決定、Ⅱ課題の情報収集と分析、Ⅲ考察と解決策の構想、Ⅳ発表と振り返りという4段階で探究を進める流れを示した図が土台です。「格差や貧困の克服」「地球環境の保全」「エネルギーのこれから」という三つの課題に沿って、用語の定義から統計の読み取り、解決策の構想までが6問で問われます。

問1:正解 ③(解答番号29/配点3)

<問題要旨>

下線部ⓐ「格差や貧困の克服」の現状や原因について、格差や貧困に関連する用語を説明した4つの記述から最も適当なものを一つ選ぶ設問です。南北問題、資源ナショナリズム、重債務貧困国、人間開発指数が取り上げられています。

<考え方>

よく似た用語の定義を一つずつ確かめます。誰と誰の間の格差なのか、誰が何を主張した動きなのか、何を数値化した指標なのかという点で区別できます。南北問題と南南問題、人間開発指数とジェンダー・ギャップ指数という対になる用語の入れ替え、資源ナショナリズムの主張の主体の逆転が仕込まれています。

<選択肢>

①【誤】

南北問題は先進国(北)と発展途上国(南)の間の経済格差を指す言葉です。BRICSなどの新興国と発展途上国との間で拡大した格差は南南問題と呼ばれるもので、二つの用語を取り違えています。

②【誤】

資源ナショナリズムは、発展途上国が自国内の天然資源を自国で管理し開発する権利を主張する動きで、1974年の国連資源特別総会における天然資源に対する恒久主権の確認などに表れました。先進国企業が権利を保有しようとした動きだとしたのは、主張の主体を正反対に入れ替えた誤りです。

③【正】

重債務貧困国(HIPC)は、国外から多額の資金を借り入れた結果、累積債務が深刻化して返済が困難になった貧困国を指します。1990年代後半以降、国際通貨基金と世界銀行を中心に債務削減の枠組みがつくられてきました。

④【誤】

男女間格差の度合いを政治・経済・教育・健康などの観点から数値化したものはジェンダー・ギャップ指数です。人間開発指数(HDI)は、所得・教育・平均寿命を組み合わせて人間開発の水準を測る指標であり、男女間格差を測るものではありません。指標の名称を入れ替えた誤りです。

正解【③】

累積債務が深刻化した貧困国を重債務貧困国と呼ぶので③が正解です。

問2:正解 ①(解答番号30/配点3)

<問題要旨>

下線部ⓑ「地球環境の保全」に関連して、地球環境問題の解決に向けた国際社会の取組みをまとめたカードa〜eが示されます。最初に起きたのがカードa、最後に起きたのがカードeの出来事であると与えられたうえで、その間に起きたカードb〜dの出来事を古いものから順に並べたものを選びます。

<考え方>

各カードの手がかりから会議名や協定名を特定して、年代に置き換えれば並べ替えは機械的に終わります。aは人間環境宣言が採択された会議で1972年の国連人間環境会議(ストックホルム)、eはドバイで開催され成果文書に「化石燃料の段階的廃止」までは盛り込まれなかった会議で2023年の気候変動枠組条約第28回締約国会議です。その間に位置づくのが、地球サミットとも呼ばれアジェンダ21が作られた1992年の国連環境開発会議、京都での会議で採択され先進国に温室効果ガスの排出削減を義務づけた1997年の京都議定書、名古屋での会議で採択され遺伝資源の利用における公正な利益配分を義務づけた2010年の名古屋議定書です。

<選択肢>

b=1992年 国連環境開発会議(地球サミット)【1番目】

アジェンダ21やリオ宣言がまとめられ、気候変動枠組条約と生物多様性条約の署名が開放された会議です。「地球サミットとも呼称される」「アジェンダ21などいくつかの重要な国際的枠組みが作られた」が手がかりになります。

c=1997年 京都議定書【2番目】

気候変動枠組条約の第3回締約国会議で採択され、先進国に温室効果ガス排出量の数値目標と削減義務を課しました。「京都での会議」「先進国に温室効果ガスの排出削減を義務づけた」が手がかりです。

d=2010年 名古屋議定書【3番目】

生物多様性条約の第10回締約国会議で採択され、遺伝資源の利用から生じる利益を提供国と公正・衡平に配分することを締約国に義務づけました。「名古屋での会議」「遺伝資源の利用における公正な利益配分」が手がかりです。

正解【①】

地球サミット(1992年)、京都議定書(1997年)、名古屋議定書(2010年)の順になるので①が正解です。

問3:正解 ③(解答番号31/配点4)

<問題要旨>

下線部ⓒ「エネルギーのこれから」に関連して、世界のエネルギー(化石燃料とクリーンエネルギー)への投資額を2015年から2023年まで示した図1と、日本・アメリカ・EU・インド・中国の二酸化炭素の総排出量を2000年から2022年まで示した図2-1、同じ5者の一人当たり排出量を示した図2-2が示されます。図1の凡例の空欄アに入る語句と、図2-1および図2-2の凡例の空欄エ・カに入る国名などの組合せを選びます。

<考え方>

三つの図の目盛りを両端で読み、同じ記号が2枚の図で矛盾しないかを突き合わせるのが筋道です。図1では、アは2015年の約1,380から減って2020年以降は900から1,100の範囲で横ばい、イは2015年の約1,130から増え続けて2023年には約1,900に達しています。脱炭素に向けて近年急速に伸びているのはクリーンエネルギーへの投資なので、イがクリーンエネルギー、アが化石燃料です。図2-1では、中国の太い実線が2000年の約3.6から2022年の約11.4まで急増しています。点線のカは2000年に約6.0で中国以外では最も高く、2022年には約5.0まで下がっています。破線のウは約3.6から約2.8へ、一点鎖線のエは約1.0から約2.8へ増加し、細い実線のオは約1.2から約1.1でほぼ横ばいです。2000年の時点で総排出量が最大だったのはアメリカなのでカがアメリカ、20年余りで3倍近くに増えたエがインド、ほぼ横ばいで最も小さいオが日本、残る破線のウがEUとなります。図2-2の一人当たり排出量で確かめると、カは2000年に約21トンと他を大きく上回り2022年でも約15トンで最も高く、人口の割に排出が多いアメリカと整合します。エは1トン台から2トン程度で5者のうち最も低く、人口が非常に多いインドと整合します。総排出量が大きいのに一人当たりでは最も小さいという組合せがインドを決める決定打になります。

<選択肢>

ア=化石燃料【正】

図1で2015年の約1,380から減少し、2020年以降は900から1,100の範囲にとどまっている方です。もう一方のイは2023年に約1,900まで伸びており、脱炭素に向けて投資が急拡大しているクリーンエネルギーの動きにあたります。アとイを逆にすると、化石燃料への投資が近年ほぼ倍増したことになり、図1に現れている増加の勢いを説明できません。

エ=インド【正】

図2-1で2000年の約1.0から2022年の約2.8へと一貫して増加する一点鎖線です。図2-2では一人当たり排出量が1トン台から2トン程度で、5者のうち最も低くなっています。総排出量が20年余りで約3倍に増えながら一人当たりでは最も低いという組合せは、人口が非常に多く経済成長の途上にあるインドに対応します。エを日本とすると、図2-1で総排出量がほぼ3倍に増えたことになり、図2-2では一人当たりが2トン程度という値になってしまい、どちらも日本の実態と合いません。日本にあたるのは、総排出量が約1.2から約1.1でほぼ横ばい、一人当たりが8から10トン程度で推移する細い実線のオです。

カ=アメリカ【正】

図2-1で2000年に約6.0と中国以外では最も高く、2022年には約5.0まで下がっている点線です。図2-2では2000年に約21トンと他を大きく上回り、2022年でも約15トンで最も高くなっています。一人当たり排出量が突出して高いことがアメリカを決める根拠になります。カをEUとすると、一人当たりで20トンを超えることになり、加盟国の水準から大きく外れます。EUにあたるのは、総排出量が約3.6から約2.8へ減り、一人当たりが8トン程度から6トン程度へ下がる破線のウです。

正解【③】

投資額が伸び悩んでいる方が化石燃料、一人当たり排出量が突出して高いのがアメリカ、総排出量が急増しながら一人当たりでは最も低いのがインドなので③が正解です。

問4:正解 ①(解答番号32/配点3)

<問題要旨>

生徒Yと生徒Zが、SDGsの17のゴールを自然環境・社会・経済の三つにグループ分けしてウェディングケーキのように階層的にとらえる見方を示した図を見ながら議論する会話文が示されます。この図と会話文の内容から読みとれる記述として最も適当なものを一つ選びます。

<考え方>

会話全体の結論から決まる設問です。Yは「社会と経済の基盤である自然環境の質と量が維持できなければ、社会や経済もうまくいかなくなる」と述べ、Zは「それぞれのゴールは相互にかかわり合っているととらえることが重要だ」「貧困撲滅や教育機会の保障は、結果として経済的豊かさにつながる」「SDGsには国だけじゃなくさまざまな主体も関係していて、主体間のパートナーシップの重要性も強調されている」と述べています。自然環境が基盤であること、ゴールが相互に関連すること、担い手が多様であることという3点に反する記述を落としていけば決まります。

<選択肢>

①【正】

ゴールが相互にかかわり合っており、貧困撲滅や教育機会の保障が結果として経済的豊かさにつながるというZの発言は、あるゴールを追求することがほかのゴールの達成度に影響を与えうるという趣旨にあたります。図が三つのグループを積み重ねた構造で示されていることも、ゴールが完全には独立していないことを表しています。

②【誤】

SDGsにジェンダー平等についてのゴールが含まれる点は正しいです。しかしZは、ジェンダー平等の達成度に関するターゲットについて、日本全体では議員に占める女性の割合や企業における女性の役員比率がほかの先進国に比べて低いと述べており、女性の政治参加の拡大が達成度に関わることを前提にしています。「達成度に影響を与えない」は会話文と正反対です。

③【誤】

図は自然環境を土台にして社会、その上に経済を積み上げた階層構造で示されており、自然環境が社会と経済の基盤であることを表しています。Yも自然環境の質と量が維持できなければ社会や経済もうまくいかなくなると述べているので、経済面を最も優先すれば環境保全もおのずと達成されるという読み方は、図と会話文の両方に反します。

④【誤】

Zは「SDGsには国だけじゃなくさまざまな主体も関係していて、主体間のパートナーシップの重要性も強調されている」と述べ、Yもジェンダー平等の追求が地方自治体や企業でも進められていると述べています。主要な担い手を国際機関に限り、企業や地方自治体の主体的な行動は想定されていないとするのは会話文と矛盾します。

正解【①】

ゴールが相互に関連し、あるゴールの追求がほかのゴールの達成度に影響を与えうるとした①が、図と会話文の両方に合致します。

問5:正解 ②(解答番号33/配点3)

<問題要旨>

下線部ⓓ「現状や原因を調べ、解決策を考える」に関連して、生徒Vと生徒Wが発展途上国で活動中のNGO職員Jへのインタビューをもとに作成したワークシートが示されます。構想1は外国資本を導入して国内で製品を組み立てて輸出し、輸出が拡大すれば経済成長率が高まり国民の所得も上がるというもの、インタビューでは産業振興は進められ経済は成長したが国内所得格差は拡大し依然として貧困に苦しむ人々もいると語られ、構想2は経済成長を重視する産業振興策には限界があるので公正な社会や人々の機会の拡大をめざす別の取組みも必要だという結論に至ります。ここから導かれる解決策として適当でないものを一つ選びます。

<考え方>

まず問い方が「適当でないもの」である点を取り違えないことが要です。判断の基準はワークシートの結論である構想2で、経済成長を重視する産業振興策そのものには限界があるとされ、公正な社会や人々の機会の拡大をめざす取組みが求められています。したがって、経済成長の促進を目的に据えた大規模な資金投入は、構想2が乗り越えようとした構想1の路線に逆戻りすることになります。残る三つは教育・生活環境・保健衛生といった人々の暮らしの基盤と機会の拡大に向かう取組みなので、構想2の方向に沿います。

<選択肢>

①【誤(適当な解決策)】

国際機関が援助先での基礎教育の定着をめざして発展途上国の学校に通う子どもたちに給食を提供するのは、就学の継続を支えて子どもたちの教育機会を広げる取組みです。構想2が求める「人々の機会の拡大」に沿うので、解決策として適当です。

②【正(適当でない解決策)】

援助先の経済成長の促進をめざして発展途上国での資源開発に巨額の資金を融資するのは、外国資本の導入と輸出拡大によって成長をめざした構想1と同じ発想です。インタビューでは、産業振興が進められ経済が成長しても国内所得格差は拡大し貧困が残ったと語られており、構想2はこの路線に限界があると結論づけています。したがってインタビュー結果を踏まえて導かれる解決策にはあたりません。

③【誤(適当な解決策)】

NGOが発展途上国へ専門家を派遣してコミュニティの生活環境を改善する事業へ参画するのは、成長率の数字ではなく人々の暮らしの基盤に直接働きかける取組みです。構想2が求める「公正な社会」に向かう方向に沿うので、解決策として適当です。

④【誤(適当な解決策)】

企業が発展途上国の貧困層を対象にして保健衛生に役立つ商品を安い価格で販売するのは、これまで市場から取り残されていた層が必要な商品を手にできるようにする取組みです。所得の低い人々の機会を広げる点で構想2に沿うので、解決策として適当です。

正解【②】

経済成長の促進を目的に資源開発へ巨額の融資を行う②は、構想2が限界を指摘した路線そのものなので、適当でない解決策になります。

問6:正解 ③(解答番号34/配点3)

<問題要旨>

ゴール16「平和と公正をすべての人に」の実現が最重要ではないかという意見を受けて、生徒たちが「平和の実現」についてまとめたメモが示されます。メモは平和の実現に向けたグローバルな統治を三つの層——国家間協調を軸とする多国間外交の展開、非国家主体による運動の推進(例として日本原水爆被害者団体協議会)、国家と非国家主体との協働を通じた制度の構築——に整理しており、第一の層の例(空欄ア)と第三の層の例(空欄イ)に入る語句の組合せを選びます。

<考え方>

三つの層のうち第二の層には日本原水爆被害者団体協議会という非国家主体の例がすでに示されているので、残る二つの層に入るものは「国家どうしの枠組みなのか」「国家と非国家主体が協働して生まれた制度なのか」で振り分けられます。空欄アには政府間の多国間外交の場、空欄イには市民社会の運動と国家の連携によって成立した制度が入らなければなりません。

<選択肢>

ア=ASEAN地域フォーラム【正】

ASEAN諸国を中心に域外の国々も参加し、安全保障をめぐって政府間で対話を重ねる多国間の枠組みです。国家間協調を軸とする多国間外交の展開の例にあたります。もう一方のパグウォッシュ会議は、ラッセル・アインシュタイン宣言を受けて科学者が核兵器の廃絶を訴えた会議であり、非国家主体による運動にあたるので第一の層の例にはなりません。第二の層の例として挙げられている日本原水爆被害者団体協議会と同じ性格のものです。

イ=核兵器禁止条約【正】

ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)などのNGOと非核保有国が連携して交渉を推し進め、2017年に採択されて2021年に発効した条約です。被爆者の証言が交渉を動かしたことでも知られ、国家と非国家主体との協働を通じた制度の構築の例にあたります。もう一方の戦略兵器削減条約は、アメリカとソ連(のちのロシア)という二国間で結ばれた軍縮条約であり、非国家主体との協働から生まれた制度ではありません。

正解【③】

政府間の多国間外交の場がASEAN地域フォーラム、市民社会と国家の協働から生まれた制度が核兵器禁止条約なので③が正解です。

※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

投稿を友達にもシェアしよう!
  • URLをコピーしました!
目次