2026年度 大学入学共通テスト 追試験「地学」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。
解答
解説
2026年度(令和8年度)大学入学共通テスト 追試験「地学」の全問解説です。第1問が19点、第2問が15点、第3問が29点、第4問が18点、第5問が19点で、あわせて100点満点。すべて必答で、解答番号は1〜27です。
大問の中がA〜Dの文章に分かれているものは、この記事も分野ごとに見出しを分けています。各設問の見出しをタップすると、その問題の考え方と手順が開きます。まちがえた設問だけを選んで確認してください。
なお、大学入試センターが公開している問題冊子では、第3問D の図5(3地点で採取された堆積物の粒径の範囲ごとの質量比)と、第5問B の図3B(系外惑星系の明るさの時間変化)が、著作権等の理由で省略されています。この2問については、省略された図の中身に立ち入らず、問題文に書かれた条件と地学の原理から正解が決まる筋道を示しています。
第1問 夏休みの観察と調査(重力・変成岩・断熱減率・地層の対比・星間物質)
高校生ジオさんの夏休みの観察・調査・実験を題材に、固体地球・大気・地質・宇宙の4分野から1問ずつ出題されます。小問5題で配点19点。問3の断熱減率の計算と、問4の示準化石による地層の対比が時間のかかる山場です。
問1:正解 ④(解答番号1/配点4)
<問題要旨>
四国の自宅で正しい時刻を刻むよう調整した振り子時計を、北海道の祖父母の家(標高はほぼ同じ)で24時間動かすと、正確な時刻にくらべて約40秒 ア いた、という文章です。地球が回転楕円体であることから、高緯度では イ が大きく ウ が小さいという語の組合せを選びます。
<考え方>
振り子の周期は T=2π√(l/g) で、重力加速度 g が大きいほど周期は短くなり、時計は進みます。地球が回転楕円体なので、極に近いほど地球の中心までの距離が小さく万有引力は大きく、自転による遠心力は小さくなります。
【ア 進むか遅れるか】
北海道は四国より高緯度
→ 重力加速度 g が大きい
T = 2π√(l ÷ g)
g が大きい → T が短い
→ 1日に振れる回数が増える
→ 時計は「進んで」いる
ア = 進んで
【イ・ウ 高緯度で大きいもの】
万有引力
地球中心からの距離が小さいほど大きい
極に近いほど地球中心に近い → 大きい
遠心力
自転軸からの距離に比例する
極に近いほど自転軸に近い → 小さい
イ = 万有引力 ウ = 遠心力
【検算】24時間で約40秒進むか
ΔT ÷ T = −(1/2)×(Δg ÷ g)
四国 g ≒ 9.795、北海道 g ≒ 9.805
Δg = 0.010 m/s²
進む割合 = 0.010 ÷ (2×9.80)
= 5.1×10⁻⁴
1日 = 86400 秒
86400 × 5.1×10⁻⁴ = 約44 秒
「約40秒進む」と矛盾しない ✓
よって ④
問2:正解 ②(解答番号2/配点3)
<問題要旨>
河原で採取した岩石に、有色鉱物の多い層と無色鉱物の多い層による縞模様があり、有色鉱物の層では黒雲母が一方向に並び、無色鉱物の層には比較的大きな石英や斜長石、さらにざくろ石や珪線石も見られました。a「片麻岩である」、b「ひすい輝石が含まれる」の正誤の組合せを選びます。
<選択肢>
a 片麻岩である【正】
有色鉱物と無色鉱物が層状に分かれた縞模様(片麻状組織)、黒雲母の定向配列、粗粒の石英・斜長石は、広域変成作用のうち高温部で生じる片麻岩の特徴です。ざくろ石や珪線石も高温型の変成鉱物で、片麻岩によく含まれます。
b ひすい輝石が含まれる【誤】
ひすい輝石は低温・高圧の変成作用で生じる鉱物で、青色片岩(藍閃石片岩)など沈み込み帯の高圧型変成岩に特徴的です。珪線石を伴う高温型の片麻岩とは生成条件が両立しません。
正解【②】
aが正、bが誤なので②が正解です。ざくろ石+珪線石=高温、ひすい輝石=高圧、という対応を覚えておくと迷いません。
問3:正解 ④(解答番号3/配点4)
<問題要旨>
登山口(標高1300 m)付近は晴れ、中腹の地点 P から山頂(標高2000 m)までは霧がかかっていました。空気塊は山の斜面を断熱的に上昇し、地点 P で凝結が始まったと考えます。図2から登山口の気温は28 ℃、山頂の気温は22 ℃と読み取れます。乾燥断熱減率 1.0 ℃/100 m、湿潤断熱減率 0.5 ℃/100 m を使って地点 P の標高を求めます。
<考え方>
登山口から P までは雲がないので乾燥断熱減率、P から山頂までは霧(雲)ができているので湿潤断熱減率で気温が下がります。P の標高を h として、2区間の気温低下の合計が 28−22=6 ℃ になる式を立てます。
【図2の読み取り】 登山口 標高 1300 m、気温 28 ℃ 山頂 標高 2000 m、気温 22 ℃ 気温差 28 − 22 = 6.0 ℃ 【立式】地点 P の標高を h(m)とする 登山口→P(乾燥断熱、1.0 ℃/100 m) 下がる温度 = (h − 1300) ÷ 100 × 1.0 P→山頂(湿潤断熱、0.5 ℃/100 m) 下がる温度 = (2000 − h) ÷ 100 × 0.5 合計が 6.0 ℃ なので (h − 1300)/100 + 0.5×(2000 − h)/100 = 6.0 (h − 1300) + 0.5(2000 − h) = 600 h − 1300 + 1000 − 0.5h = 600 0.5h = 900 h = 1800 (m) 【検算】h = 1800 m のとき 登山口→P 500 m を乾燥断熱 500 ÷ 100 × 1.0 = 5.0 ℃ 低下 28 − 5.0 = 23.0 ℃ P→山頂 200 m を湿潤断熱 200 ÷ 100 × 0.5 = 1.0 ℃ 低下 23.0 − 1.0 = 22.0 ℃ 図2の山頂の気温 22 ℃ と一致 ✓ よって ④
問4:正解 ③(解答番号4/配点4)
<問題要旨>
図3は、ジオさんが調査した露頭(下から V・W・X・Y・Z 層)と、キャンプ場に隣接する地域(下から A〜F 層)について、示準化石 a〜f の産出範囲を縦の実線で示したものです。V 層と A 層、Z 層と F 層が対比できるとしたとき、隣接地域の地層のうち、どの地層とも対比できないものを選びます。
<考え方>
各地層から産出する化石の「組合せ」を書き出し、両地域で同じ組合せになるものどうしを結びます。どこにも相手が見つからない層が答えです。
【産出する化石の組合せ】 ジオさんの露頭(下から) V … a W … a, b X … a, c, d Y … d, e, f Z … d, f 隣接する地域(下から) A … a B … a, b C … a, c, d D … c, d, e, f E … d, e, f F … d, f 【対比】 A(a) = V(a) …問題文の指定と一致 B(a,b) = W(a,b) C(a,c,d) = X(a,c,d) D(c,d,e,f) = 相手なし E(d,e,f) = Y(d,e,f) F(d,f) = Z(d,f) …問題文の指定と一致 【検算】 下位から A=V、B=W、C=X と順に決まり 上位から F=Z、E=Y と順に決まる 残った D だけが相手をもたない ✓ よって ③
問5:正解 ⑥(解答番号5/配点4)
<問題要旨>
夏の大三角と天の川の写真(図4)を見ながらの会話文です。天の川の中央付近が暗く見えるのは暗黒星雲によるもので、手前にある エ が背後の恒星の光を散乱・吸収していること、暗黒星雲を構成するガスや星間塵は温度が低いので波長の オ 電磁波を強く放射すること、密度の大きい部分が カ で収縮して星が生まれることを説明しています。
<考え方>
暗黒星雲は星間物質(星間ガスと星間塵)が濃く集まったもので、星間雲の一種です。低温の天体が強く出す電磁波の波長、そして星の形成を引き起こす力を順に決めます。
【エ 暗黒星雲をつくるもの】 星間雲 星間ガスと星間塵が濃集したもの 濃いものが背後の光をさえぎると 暗黒星雲として見える オールトの雲は太陽系の外縁部にある 彗星の巣であって、銀河系内の 星間物質の分布とは別のもの エ = 星間雲 【オ 放射される電磁波の波長】 ウィーンの変位則 ピークの波長 ∝ 1 ÷ 絶対温度 恒星表面(数千 K)→ 可視光 星間雲(10〜100 K 程度)→ もっと低温 → ピークはより波長の長い側 (赤外線・電波)へ移る オ = 長い 【カ 収縮させる力】 静電気力は電荷をもつ物体の間の力で 中性のガス雲全体を縮める力ではない 雲を縮めて原始星をつくるのは自らの重力 カ = 重力 よって ⑥
第2問 固体地球(地球内部・重力と地磁気・VLBI・活断層)
地球内部の構造と物性、重力異常や地磁気からわかること、宇宙測地技術によるプレート運動の測定、そして横ずれ断層と応力の関係を扱います。小問4題で配点15点。問2は4つの下線部をすべて吟味する必要があり、問4は共役な横ずれ断層の考え方が決め手になります。
問1:正解 ②(解答番号6/配点4)
<問題要旨>
地球内部の構成物質と性質について、a「核とマントルでは構成する物質が異なり、核の密度はマントルよりも大きい」、b「内核と外核では物質の状態が異なり、内核の P 波速度は外核よりも小さい」の下線部の正誤の組合せを選びます。
<選択肢>
a 核の密度はマントルよりも大きい【正】
マントルはかんらん岩質のケイ酸塩鉱物(密度およそ 3〜5 g/cm³)、核は鉄・ニッケルを主成分とする金属(密度およそ 10〜13 g/cm³)です。核とマントルの境界(深さ約2900 km)で密度は不連続に大きくなります。
b 内核の P 波速度は外核よりも小さい【誤】
外核は液体、内核は固体です。液体は剛性率がゼロなので地震波速度が落ち、固体の内核に入ると P 波速度は再び大きくなります。外核の P 波速度がおよそ 8〜10 km/s なのに対し、内核ではおよそ 11 km/s です。したがって「小さい」は誤りです。
正解【②】
aが正、bが誤なので②が正解です。S 波が外核を通らないことと合わせて、外核=液体、内核=固体を押さえておきましょう。
問2:正解 ④(解答番号7/配点3)
<問題要旨>
重力や地磁気の観測から地下や海底下の様子を推定することに関する4つの文について、下線部に注意して最も適当なものを選びます。
<選択肢>
① ユカタン半島の同心円状の「正」のブーゲー異常【誤】
チクシュルーブクレーターは、同心円状の負のブーゲー異常として見つかりました。クレーターを埋めた堆積物は周囲の基盤岩より密度が小さいため、重力は小さくなります。
② 残留磁気が現在と反対向きの場所で地磁気が「強められている」【誤】
海洋底の岩石の残留磁気が現在の地球磁場と同じ向きなら海上で測る地磁気は強められ、反対向きならその分だけ打ち消されて弱められます。海嶺軸に平行な地磁気の縞模様は、この強弱の繰り返しとして観測されます。
③ 走時曲線の傾きが急に小さくなるのはマントルの速度が地殻より「小さい」ため【誤】
走時曲線の傾きは 1 ÷ 地震波速度に等しいので、傾きが小さくなることは速度が大きくなることを意味します。震央距離が大きくなるとモホ面で屈折した波が先に到達するようになり、マントルの地震波速度が地殻より大きいことがわかります。
④ 東北地方の地殻熱流量が火山前線の海溝側で小さい【正】
日本海溝から沈み込む太平洋プレートは古く冷たいため、その上にある地殻から熱を奪います。そのため火山前線よりも海溝側では地殻熱流量が小さく、火山前線より大陸側ではマグマの上昇に伴って大きくなります。
正解【④】
④が正しい記述です。ブーゲー異常の正負、走時曲線の傾きと速度の関係は逆に覚えやすいので、意味から確認する習慣をつけましょう。
問3:正解 ②(解答番号8/配点4)
<問題要旨>
VLBI(超長基線電波干渉法)は ア からの電波を地上のアンテナで受信して2地点間の距離を精密に求める技術です。2000〜2020年に関東地方(茨城県石岡市)とハワイの2地点間の距離を測ると、2011年の東北地方太平洋沖地震の発生時に急激な変化が見られました。2000年の距離を 0 cm としたときの距離変化を表すグラフが、図1の A(2011年に上向きに跳ね上がる)か B(2011年に下向きに落ちる)かを選びます。
<考え方>
VLBI が使う電波源は何かを思い出し、続いてプレート運動による定常的な変化と、地震時の急激な変化の向きをそれぞれ考えます。距離が伸びれば正、縮めば負です。
【ア 電波源】 VLBI は数十億光年かなたにある クェーサー(準星)からの電波を 2つのアンテナで同時に受信し 到達時刻の差から基線長を求める 遠方にあって位置が動かないことが 基準点として重要 人工衛星を使うのは GNSS(GPS)測量 ア = クェーサー 【イ グラフの形】 (1) 定常的な変化 太平洋プレートは年約 8 cm で 西北西へ動き、ハワイは日本へ近づく → 距離は少しずつ「縮む」= 負に向かう A・B ともに右下がりでこれは共通 (2) 2011年の変化 東北地方太平洋沖地震で 東北〜関東の観測点は大きく「東」へ動いた (石岡もハワイの側へ動いた) → 2地点間の距離は急に「縮む」 → グラフは下向きに跳ぶ A は上向きに跳んでいるので不適 B は下向きに跳んでいるので適する イ = B 【検算】 20年で 8 cm/年 × 20 年 = 約160 cm 縮む 地震時の跳びが数十 cm B の縦軸(0 〜 −300 cm)と矛盾しない ✓ よって ②
問4:正解 ④(解答番号9/配点4)
<問題要旨>
図2は、すべて横ずれ断層からなる活断層の分布の模式図です。北西−南東方向に並ぶ断層群と、北東−南西方向に並ぶ断層群の2組があり、それぞれの矢印がずれの向きを示しています。この地域の岩盤にはたらく水平方向の力(黒=押す力、白=引っ張る力)を示した模式図を選びます。
<考え方>
2組の断層のずれの向き(右横ずれか左横ずれか)を読み取ります。共役な横ずれ断層では、2組の断層がなす角を二等分する向きのうち、最大圧縮の向きが鋭角を、引っ張りの向きが鈍角をそれぞれ二等分します。ここでは2組がほぼ直交しているので、圧縮と引っ張りは東西と南北のどちらかです。
【ずれの向きの読み取り】 北西−南東方向の断層 北東側の岩盤 → 北西へ 南西側の岩盤 → 南東へ 相手側が左に動く = 左横ずれ断層 北東−南西方向の断層 北西側の岩盤 → 北東へ 南東側の岩盤 → 南西へ 相手側が右に動く = 右横ずれ断層 【力の向きを決める】 2組の断層は互いにほぼ直交し その二等分線は東西方向と南北方向 圧縮が東西方向だとすると 北東−南西の断層では 北西側の岩盤が北東へすべる = 右横ずれ …図と一致 北西−南東の断層では 北東側の岩盤が北西へすべる = 左横ずれ …図と一致 圧縮が南北方向だとすると ずれの向きが両方とも逆になり 図と合わない → 東西方向に押し、南北方向に引く 【選択肢】 ① 北西−南東に押す、北東−南西に引く … 不適 ② 北東−南西に押す、北西−南東に引く … 不適 ③ 南北に押す、東西に引く … 不適 ④ 東西に押す、南北に引く … 適する よって ④
第3問 A 岩石とマグマ(大陸地下の構造・世界の活火山の分布)
大陸地域の地下150 km までの層構造と、世界の活火山の分布からプレート境界を読み取ります。小問2題で配点7点。リソスフェアとアセノスフェアの境界が物質の境界ではないこと、枕状溶岩をつくるマグマの種類がポイントです。
問1:正解 ②(解答番号10/配点3)
<問題要旨>
図1は、ある大陸地域の表層から深さ150 km までの地下構造の模式図で、上から X 層、モホロビチッチ不連続面(モホ面)、Y 層、リソスフェアとアセノスフェアの境界、Z 層と並んでいます。X 層「おもに花こう岩・斑れい岩からなる」、Y 層「おもにかんらん岩からなる」、Z 層「おもにかんらん岩の組成をもったマグマからなる」の正誤の組合せを選びます。
<考え方>
モホ面より上は地殻、下はマントルです。リソスフェアとアセノスフェアの境界は物質の境界ではなく、かたさ(力学的性質)の境界であることが最大のポイントです。
【X 層】モホ面より上 = 大陸地殻 上部は花こう岩質(花こう岩) 下部は玄武岩質(斑れい岩) → 「花こう岩・斑れい岩からなる」は 正 【Y 層】モホ面より下、リソスフェアの一部 = マントル最上部 かんらん岩からなる → 正 【Z 層】アセノスフェア リソスフェアとアセノスフェアの境界は 物質の違いではなく「やわらかさ」の違い アセノスフェアもかんらん岩からなる固体で ごく一部(数%)が溶けているだけ 全体がマグマになっているわけではない → 「マグマからなる」は 誤 【組合せ】 X 正、Y 正、Z 誤 よって ②
問2:正解 ⑦(解答番号11/配点4)
<問題要旨>
図2は陸上における世界のおもな活火山の分布です。太平洋のまわりに線状に集中しているのは、その多くが ア とよばれるプレートの収束境界だからであり、陸上以外では イ がプレートの拡大する境界にあたり、そこではおもに ウ からなる枕状溶岩が形成される、という会話文の空欄を選びます。
<考え方>
「プレートが収束する境界」「海洋プレートから放出された水とマントルが反応してマグマが発生する」という説明から ア が決まります。イ は「プレートが拡大する境界」、ウ は海底で噴出する溶岩の岩石名です。
【ア 太平洋を取り巻く火山帯】 海洋プレートが沈み込む収束境界 = 沈み込み帯 沈み込む海洋プレートから放出された水が マントルの融点を下げてマグマが発生する トランスフォーム断層はプレートが すれ違う境界で、火山活動は活発でない ア = 沈み込み帯 【イ 拡大する境界】 海嶺(中央海嶺) 海溝は沈み込む収束境界なので不適 イ = 海嶺 【ウ 枕状溶岩の岩石】 海嶺で噴出するマグマは玄武岩質 水中で急冷されて枕状溶岩になる 流紋岩質マグマは粘性が高く 枕状溶岩はつくらない ウ = 玄武岩 よって ⑦
第3問 B 地質図の読み取り(地層の傾斜・断層の種類・境界面の深さ)
礫岩層・砂岩層・泥岩層が断層に切られた地質図から、傾斜の向きと断層の種類、さらに地点 X の直下での地層境界の深さを求めます。小問2題で配点7点。地学で最も差がつく分野で、等高線と境界線の交点から走向線を引く手順を身につけておきたいところです。
問3:正解 ②(解答番号12/配点4)
<問題要旨>
図3は、礫岩層・砂岩層・泥岩層が分布し、断層で切られている地域の地質図です。地層はほぼ同じ走向・傾斜で厚さは一定、褶曲はありません。等高線は100 m ごとで、南西側が標高700 m と高く、北東〜東側が低くなっています。地層の傾斜の向きと断層の種類の組合せを選びます。
<考え方>
まず地層の新旧を決めます。次に、地点 X を通る東西方向の破線に沿って西から東へ地層を追い、上位の地層が現れる向き=傾斜の向きを読み取ります。断層の種類は、同じ方向にたどったときに地層が「繰り返す」か「抜け落ちる」かで判定します。
【地層の新旧】 北側の標高600 m をこえる高まりは泥岩層 その周囲の低いところは砂岩層 → 同じ場所で高いほうが泥岩層 → 泥岩層は砂岩層の上位 さらに南西側の高標高部から 礫岩層→砂岩層→泥岩層と並ぶので 下位から 礫岩層 → 砂岩層 → 泥岩層 【東西の破線に沿って西から東へ】 礫岩層 → 砂岩層 → 泥岩層 → 断層 → 砂岩層 → 泥岩層(地点 X はこの中) 【傾斜の向き】 東へ進むほど上位の地層が現れる = 地層は東へ向かって低くなっている 傾斜の向き = 東 【断層の種類】 走向にほぼ直交する東西の断面をたどると 「砂岩層 → 泥岩層」の組合せが 断層をはさんで 2 回繰り返している 地層が繰り返す … 逆断層 地層が抜け落ちる … 正断層 断層の種類 = 逆断層 よって ②
問4:正解 ②(解答番号13/配点3)
<問題要旨>
図3の地点 X(★)において、砂岩層と泥岩層の境界面が地表から深さ何 m のところで見つかるかを選びます。地点 X は等高線の読み取りから標高400 m の地点で、地表は泥岩層です。
<考え方>
走向・傾斜が一定なので、境界線と等高線の交点を結んで走向線(同じ標高で境界面が通る線)を引き、それを地点 X まで平行に延ばします。境界面の標高が求まれば、深さは「地表の標高 − 境界面の標高」です。
【地点 X の標高】 ★は400 m の等高線がつくる 東へ張り出した尾根の先端にある 地点 X の標高 = 400 m 地表に出ているのは泥岩層 【走向線を引く】 砂岩層と泥岩層の境界線が 各等高線と交わる点を、同じ標高どうし 結ぶと走向線になる 問3より地層は東へ傾いているので 走向線は東へ行くほど低い標高に対応する 【地点 X の直下】 X の西側では境界面が標高400 m 付近で 地表に現れている 走向線を X の位置まで延ばすと 境界面の標高は 200 m 【深さ】 深さ = 地表の標高 − 境界面の標高 = 400 − 200 = 200(m) 【検算】 X の付近で境界面が地表に出るのは X の西およそ 300 m の地点 標高差 200 m ÷ 水平距離 300 m → 傾斜はおよそ 33° 図の縮尺(100 m の目盛り)と 境界線の間隔から見て無理のない値 ✓ よって ②
第3問 C 岩石・鉱物(斜長石の累帯構造・石質隕石のコンドリュール)
斜長石の化学組成の変化からマグマだまりで起きたできごとを読み取る問題と、石質隕石に含まれる球状粒子を扱う問題です。小問2題で配点7点。いずれも知識で確実に得点したい設問です。
問5:正解 ①(解答番号14/配点3)
<問題要旨>
玄武岩質マグマが冷えるとかんらん石や輝石、 エ に富む斜長石が晶出し、その後この斜長石は オ に富むようになります。ある火山の玄武岩質溶岩の斜長石の斑晶は、中心から外側へ エ が減り オ が増える一方、最外縁部で再び エ に富んでいました。ここから、新しい高温の玄武岩質マグマが供給されて カ したことが推定される、という文章の空欄を選びます。
<考え方>
斜長石は Ca に富む灰長石と Na に富む曹長石の固溶体で、高温ほど Ca に富みます。斑晶の外縁部で再び高温側の組成に戻っていることが、何が起きたのかを示す手がかりです。
【エ・オ 斜長石の累帯構造】 斜長石は 高温側 … Ca に富む(灰長石成分) 低温側 … Na に富む(曹長石成分) 玄武岩質マグマが冷えると まず Ca に富む斜長石が晶出し 温度低下とともに Na に富む方へ変化する エ = Ca オ = Na 【カ 外縁部で再び Ca に富む理由】 いったん Na に富む方へ進んだ結晶の 外側が再び Ca に富む → 結晶のまわりのマグマが 再び高温・Ca に富む状態に戻った 既存のマグマだまりに 新しい高温の玄武岩質マグマが入り 両者が「混合」したと考えられる 発泡は揮発性成分が気泡になる現象で 斜長石の化学組成を高温側へ戻す働きはない カ = 混合 よって ①
問6:正解 ④(解答番号15/配点4)
<問題要旨>
図4は石質隕石の偏光顕微鏡写真(開放ニコル)で、直径1 mm ほどの球状粒子が多数含まれています。この球状粒子の名称と成因の組合せを選びます。
<選択肢>
①〜③ カオリナイト【誤】
カオリナイトは長石などが地表で風化してできる粘土鉱物で、陶土(カオリン)の主成分です。地球の風化作用でできる鉱物であり、隕石中の球状粒子の名称ではありません。
④ コンドリュール/高温でとけたケイ酸塩が無重力状態で急冷した【正】
石質隕石の多くを占めるコンドライトに含まれる直径1 mm 前後の球状粒子をコンドリュールといいます。太陽系の誕生初期に、高温でとけたケイ酸塩の液滴が、重力のはたらかない宇宙空間で表面張力によって球形になったまま急冷して固まったものと考えられています。
⑤ コンドリュール/ケイ酸塩が氷片と化学反応した【誤】
コンドリュールの内部組織は、かんらん石や輝石が急冷時に成長した様子を示しており、氷との化学反応でできたものではありません。
⑥ コンドリュール/空隙をガラスが充填した【誤】
空隙を後から埋めたのであれば、まわりの隙間の形に合った不規則な形になります。きれいな球形であることが、独立した液滴として固まったことを示しています。
正解【④】
球形であること=無重力下で液滴が固まった、という結びつきを押さえておきましょう。コンドリュールを含む石質隕石がコンドライトです。
第3問 D 川の堆積物と化石(粒径の変化・礫に含まれる示準化石)
川に沿って河原の堆積物の粒径がどう変化するかを調べた探究活動と、礫に含まれる示準化石を扱います。小問2題で配点8点。粒径は上流ほど粗い、という基本原理と、三葉虫・トリゴニア・ビカリアの時代の区別が問われます。
問7:正解 ③(解答番号16/配点4)
<問題要旨>
高校生のペルムさんが、学校の近くを流れる川の上流から下流にかけての3地点で河原の堆積物を採取し、ふるい分けて粒径の範囲ごとの質量比を求めました。その結果をまとめた図5の3つのグラフ(A〜C)を、上流から下流の順に並べます。なお公開されている問題冊子では図5は省略されています。支流からの土砂供給による影響はないものとされています。
<考え方>
同じ川では、上流ほど粗い粒子(礫)の割合が高く、下流へ行くほど運搬の途中で粒子が摩耗・破砕され、また流速が落ちて粗い粒子が先に堆積するため、細かい粒子(砂・泥)の割合が高くなります。質量比の分布のピークが粗粒側にあるものほど上流と判断します。
【川に沿った粒径の変化】 上流 流速が大きく、粒子が運ばれてきた距離も短い → 礫など粗い粒子の質量比が大きい → 分布のピークは粗粒側 中流 摩耗と選別が進む → ピークは中間の粒径へ 下流 流速が小さく、摩耗も進む → 砂・泥など細かい粒子の質量比が大きい → 分布のピークは細粒側 【並べ方】 粗い粒子の質量比が大きいものから順に 並べれば、上流 → 下流の順になる なお図5は公開されている問題冊子では 省略されているため、ここでは グラフの形には立ち入らず この原理にもとづく順序だけを示す よって ③
問8:正解 ①(解答番号17/配点4)
<問題要旨>
ペルムさんが採取した堆積物の中に、古生代の化石を含んだ泥岩の礫と、中生代の化石を含んだ砂岩の礫が見つかりました。泥岩の礫と砂岩の礫に含まれていた化石の組合せを選びます。
<考え方>
示準化石がどの地質時代のものかを思い出して、古生代のものを泥岩の礫に、中生代のものを砂岩の礫に当てはめます。
【示準化石と地質時代】 三葉虫 … 古生代 トリゴニア(三角貝) … 中生代 ビカリア … 新生代(新第三紀) 【当てはめ】 泥岩の礫 … 古生代の化石 → 三葉虫 砂岩の礫 … 中生代の化石 → トリゴニア 【選択肢の確認】 ① 三葉虫/トリゴニア … 適する ② 三葉虫/ビカリア(新生代) … 不適 ③ トリゴニア/三葉虫(逆) … 不適 ④ トリゴニア/ビカリア … 不適 ⑤ ビカリア/三葉虫 … 不適 ⑥ ビカリア/トリゴニア … 不適 よって ①
第4問 A 大気と海洋の相互作用(エルニーニョ現象の気圧・風の偏差)
エルニーニョ・南方振動が起きているときの熱帯太平洋の海面気圧偏差と海上風偏差の分布を、4つの図から選びます。小問1題で配点3点。気圧と風の両方を同時に満たす図を選ぶ必要があります。
問1:正解 ②(解答番号18/配点3)
<問題要旨>
エルニーニョ現象が発生しているときの、海面気圧と海上風のそれぞれの平年値からの差(偏差)を示す図を、4つの分布図から選びます。等値線は海面気圧の偏差(間隔5 hPa、灰色は負の値)、矢印の長さと向きは海上風の偏差を表します。
<選択肢>
① 東部太平洋が負偏差だが、赤道付近の風偏差が東風【誤】
海面気圧の偏差の分布(東側が負、西側が正)はエルニーニョ現象と整合しますが、赤道付近の海上風の偏差が西向き(東風偏差)になっています。これは貿易風が平年より強まっていることを意味し、エルニーニョ現象とは逆です。
② 東部・中部太平洋が負偏差、赤道付近の風偏差が西風【正】
日付変更線より東の熱帯太平洋で海面気圧が負偏差、インドネシア付近から西部太平洋で正偏差となっており、南方振動指数が負になる状態と一致します。さらに赤道付近では海上風の偏差が東向き(西風偏差)で、貿易風が弱まっている様子を表しています。海面気圧と海上風の両方がエルニーニョ現象と整合します。
③ 西部太平洋が負偏差【誤】
インドネシア付近から西部太平洋にかけてが負偏差、東部太平洋が正偏差で、南方振動指数が正になる状態です。これはラニーニャ現象のときの分布です。
④ 西部太平洋が負偏差で、赤道付近の風偏差が東風【誤】
気圧の偏差も風の偏差も、貿易風が強まったラニーニャ現象のときの特徴を示しています。
正解【②】
気圧の偏差だけを見ると①と②の区別がつきません。赤道付近の風の偏差が西風(貿易風の弱化)になっているかどうかまで確認するのが決め手です。
第4問 B 回転水槽実験と大気の大循環(ハドレー循環・偏西風波動)
中心を冷やし周囲を温めた円筒水槽を回転させる実験のレポートを読み、回転の速さと流れの形の対応、そして偏西風波動の役割を考えます。小問2題で配点8点。実験装置の中心が極、周囲が赤道に対応することをつかめば読み解けます。
問2:正解 ④(解答番号19/配点4)
<問題要旨>
ドーナツ型の円筒水槽に水を入れ、中心部を氷で冷却、周囲を湯で加熱しながら回転させる実験のレポートです。回転が ア 場合は下層で内側から外側へ、上層で外側から内側への流れが生じ、回転が イ 場合は蛇行する流れが発生しました。回転が ア 場合の結果は地球の大気では ウ に対応する、という空欄の組合せを選びます。
<考え方>
水槽の中心(氷)が極、周囲(湯)が赤道に対応します。まず観察された流れがどんな循環かを考え、次に回転(自転の効果=コリオリの力)が弱いときと強いときのどちらでその循環が現れるかを判断します。
【流れの向きの意味】
中心=氷で冷却 → 極に対応
周囲=湯で加熱 → 赤道に対応
下層 内側(極)→ 外側(赤道)
上層 外側(赤道)→ 内側(極)
暖かい側で上昇し、冷たい側で下降する
= 熱を直接運ぶ循環(直接循環)
地球の大気ではハドレー循環に相当する
極渦は極付近を取り巻く
西寄りの渦状の流れであって
このような子午面の循環ではない
ウ = ハドレー循環
【回転の速さとの対応】
回転が遅い(コリオリの力が弱い)
→ 流れが曲げられず
そのまま外側・内側へ流れる
= 軸対称な直接循環が現れる
回転が速い(コリオリの力が強い)
→ 流れが大きく曲げられ
波打つ(蛇行する)流れになる
= 偏西風波動に対応
ア = 遅い イ = 速い
よって ④
問3:正解 ①(解答番号20/配点4)
<問題要旨>
レポートの下線部「北半球の偏西風波動」に関連して、a「上空の気圧の谷が、その東側に地表の低気圧の中心を伴うとき、その気圧の谷は熱を極向きに運ぶ」、b「冬に偏西風波動に伴って日本付近の上空が気圧の谷になると、日本付近に寒気が南下しやすい」の正誤の組合せを選びます。
<選択肢>
a 気圧の谷は熱を極向きに運ぶ【正】
上空の気圧の谷の東側では南から暖気が北上し、西側では北から寒気が南下します。暖気が北向き、寒気が南向きに動くので、全体として熱は低緯度から高緯度へ運ばれます。地表の低気圧が谷の東側にあるとき、この構造は発達しながら熱を極向きに運びます。
b 上空が気圧の谷になると寒気が南下しやすい【正】
気圧の谷は等圧面が低い、すなわち上空の気温が低く寒気が入り込んだ場所です。冬に日本付近の上空が気圧の谷になると、谷の西側に沿って高緯度の寒気が南下し、日本付近は寒くなります。
正解【①】
aもbも正なので①が正解です。偏西風波動は「熱を極向きに運ぶしくみ」であると同時に「寒気を南下させるしくみ」でもある、と両面で理解しておきましょう。
第4問 C 海面の波と海洋内部の水温・塩分
風浪の波高が風速と吹走距離でどう決まるかを図から読み取る問題と、北太平洋の緯度帯ごとの水温・塩分の鉛直分布を見分ける問題です。小問2題で配点7点。問4は2つの図を突き合わせる作業が必要です。
問4:正解 ③(解答番号21/配点4)
<問題要旨>
図3は、風浪の波高が風速と風の吹く距離(吹走距離)でどう決まるかを示した図(縦軸が風速、横軸が対数目盛りの吹走距離、等値線が波高)です。図4では、冬の日本海を地点 A から地点 B へ風速27 m/s の風が300 km、地点 C から地点 D へ風速21 m/s の風が800 km 吹き続いています。地点 B と地点 D 付近で予想される波高の組合せを選びます。
<考え方>
それぞれの地点について、図4から風速と吹走距離を読み取り、その2つの値の交点が図3のどの等値線の上にあるかを調べます。横軸が対数目盛りであることに注意します。
【地点 B】 図4より 風速 27 m/s 吹走距離 300 km 図3で(300 km, 27 m/s)の点を探すと 7 m の等値線と 8 m の等値線の間で 8 m の線のすぐ下側にある → 選択肢の 6 m と 8 m では 8 m が適する 地点 B の波高 ≒ 8 m 【地点 D】 図4より 風速 21 m/s 吹走距離 800 km 図3で(800 km, 21 m/s)の点を探すと ちょうど 8 m の等値線上にある 地点 D の波高 ≒ 8 m 【検算】 風速は B のほうが大きい(27 > 21)が 吹走距離は D のほうが長い(800 > 300) 両者が打ち消し合って同じ波高になる という図の読みと矛盾しない ✓ 【組合せ】 B = 8 m、D = 8 m よって ③
問5:正解 ①(解答番号22/配点3)
<問題要旨>
図5は、北太平洋の熱帯(北緯10°〜15°)・亜熱帯(北緯27°〜32°)・亜寒帯(北緯50°〜55°)における水温と塩分の年平均値の鉛直分布です。水温は a・b と熱帯の3本、塩分は c・d と熱帯の3本が示されています。亜寒帯での水温と塩分の鉛直分布の組合せを選びます。
<考え方>
水温は緯度が高いほど太陽放射が弱く、海面水温が低くなります。塩分は蒸発量と降水量の差で決まり、亜寒帯は蒸発量より降水量が多いので低塩分になります。
【水温 a と b】 熱帯 … 海面で約27 ℃(最も高い) a … 海面で約4 ℃、深さによる変化が小さい b … 海面で約20 ℃、水温躍層が明瞭 亜寒帯は太陽放射が弱く海面水温が低い 表層と深層の水温差が小さく 水温躍層がほとんど発達しない 水温 = a(b は亜熱帯) 【塩分 c と d】 熱帯 … 海面で約34.5 ‰ c … 海面で約32.7 ‰(最も低い) d … 海面で約34.9 ‰(最も高い) 亜寒帯(北緯50°〜55°) 蒸発量 < 降水量 → 塩分は低い 亜熱帯(北緯27°〜32°) 蒸発量 > 降水量 → 塩分は高い 塩分 = c(d は亜熱帯) 【組合せ】 水温 a、塩分 c よって ①
第5問 A 膨張する宇宙(ハッブル・ルメートルの法則・宇宙の地平線・宇宙背景放射)
ハッブル・ルメートルの法則を観測者を変えて考える問題、宇宙の地平線の大きさの計算、宇宙背景放射のエネルギー分布を扱います。小問3題で配点12点。問2は光の速度をハッブル定数で割るだけで、単位がそのままメガパーセクになります。
問1:正解 ②(解答番号23/配点4)
<問題要旨>
図1は、ほぼ等間隔に直線状に並ぶ銀河 A〜D について、銀河 B から観測した他の銀河の後退速度(相対運動)を矢印で表した模式図です。B から見ると A は左向きに矢印1つ分、C は右向きに1つ分、D は右向きに2つ分の速さで遠ざかっています。銀河 D から観測したときの A〜C の模式図を選びます。
<考え方>
ハッブル・ルメートルの法則は「後退速度は距離に比例する」なので、どの銀河を基準にしても成り立ちます。銀河の間隔を1、比例定数から決まる速さの単位を1として、D から見た各銀河の速度を計算します。
【位置を数値で置く】 間隔を 1 として左から A = 0、B = 1、C = 2、D = 3 【図1の確認】B から見たとき v = H ×(相手の位置 − 自分の位置) A … H×(0−1) = −1(左向きに 1) C … H×(2−1) = +1(右向きに 1) D … H×(3−1) = +2(右向きに 2) 図1と一致する ✓ 【D から見たとき】 A … H×(0−3) = −3(左向きに 3) B … H×(1−3) = −2(左向きに 2) C … H×(2−3) = −1(左向きに 1) すべて左向きで 矢印の長さは A : B : C = 3 : 2 : 1 【選択肢】 ① 3本とも左向きだが長さがほぼ同じ … 不適 ② 左向きで A が最も長く C が最も短い … 適する ③ 左向きだが B が最も長い … 不適 ④ B・C が右向き … 不適 よって ②
問2:正解 ②(解答番号24/配点4)
<問題要旨>
ハッブル定数の逆数から宇宙の年齢が求められること、光の速さが有限なので観測できる宇宙の領域に限界があり、その限界は地球を中心とする球面に相当して宇宙の ア とよばれることが述べられています。その半径が約 イ メガパーセクであるとして、ア と イ の組合せを選びます。ハッブル定数は約70 km/s/メガパーセク、光の速度は約30万 km/s とします。
<考え方>
観測可能な宇宙の果ては「宇宙の地平線」とよばれます。その半径はおよそ 光の速度 ÷ ハッブル定数 で見積もれます。単位がそのままメガパーセクになるように約分します。
【ア 用語】 観測できる限界の球面 = 宇宙の地平線 (大規模構造は銀河が泡状・網目状に 分布する構造のことで、観測の限界ではない) ア = 地平線 【イ 半径の計算】 後退速度が光速に達する距離が目安 v = H × r より r = c ÷ H c = 3.0×10⁵ km/s H = 70 km/s/メガパーセク r = 3.0×10⁵ ÷ 70 = 4285.7… ≒ 4300 メガパーセク (km/s ÷ (km/s/Mpc) = Mpc なので 単位はメガパーセクになる) イ = 4300 【検算】選択肢の138 との関係 1 メガパーセク = 3.09×10¹⁹ km 宇宙の年齢 = 1 ÷ H = 3.09×10¹⁹ ÷ 70 秒 = 4.4×10¹⁷ 秒 = 約140 億年 138 は「億年で表した宇宙の年齢」の値であり メガパーセクで表した半径ではない ✓ よって ②
問3:正解 ④(解答番号25/配点4)
<問題要旨>
宇宙の晴れ上がりのときに放出された光は、宇宙膨張で波長が引き延ばされて宇宙背景放射として観測されます。図2は宇宙の温度が10 K の時代と現在の宇宙背景放射の模式的な放射エネルギー分布で、横軸は「1 cm あたりの波の数」(波長に反比例)、X は波の数16〜32付近にピークをもつ強い曲線、Y は波の数4〜8付近にピークをもつ弱い曲線です。現在の分布が ウ であること、さらに エ の存在量の情報が得られることの組合せを選びます。
<考え方>
現在の宇宙背景放射の温度は約2.7 K で、10 K より低温です。ウィーンの変位則から、低温ほどピークの波長は長く(波の数は小さく)なり、シュテファン・ボルツマンの法則から放射の強度も弱くなります。
【ウ 現在の分布】 宇宙の温度は膨張とともに下がる 10 K の時代 → 現在は約2.7 K ウィーンの変位則 ピークの波長 ∝ 1 ÷ 温度 温度が低い → ピークは長波長側 波の数は波長に反比例するので ピークは「波の数が小さい側」へ移る シュテファン・ボルツマンの法則 放射の強さ ∝ 温度の4乗 温度が低い → 全体に弱い X … ピークが波の数16〜32付近、強い Y … ピークが波の数4〜8付近、弱い 現在(低温)= Y ウ = Y 【検算】ピークの比 温度比 10 ÷ 2.7 = 3.7 波の数のピーク比 X の約20 ÷ Y の約5.5 = 約3.6 温度比とほぼ一致する ✓ 【エ わかること】 宇宙背景放射のゆらぎの詳細な観測や 遠方の Ia 型超新星の観測から 宇宙の膨張が加速していることがわかり その原因とされるダークエネルギーの 存在量が見積もられている 大質量ブラックホールの量は これらの観測から求まるものではない エ = ダークエネルギー よって ④
第5問 B 系外惑星系の観測(食による減光・惑星の満ち欠け)
恒星のまわりを公転する系外惑星が引き起こす明るさの変化を扱います。小問2題で配点7点。位置 a で惑星が恒星の手前を通り、位置 c で恒星の背後に隠れるという配置をつかむことが、両方の設問の鍵になります。
問4:正解 ①(解答番号26/配点4)
<問題要旨>
恒星のまわりを円軌道で公転する惑星をもつ系外惑星系の明るさの変化を観測しました。図3A は公転面を上から見た模式図で、観測者の視線方向は左から、観測者・位置 a・恒星がこの順に一直線上に並び、a〜d は軌道上で等間隔、公転は b → c → d → a の向きです。明るさの時間変化を示す図3B は、公開されている問題冊子では省略されています。問題文では、縦軸が時刻 R における明るさを1として表すこと、惑星は恒星よりも小さく暗いこと、時刻 P・Q・R はそれぞれ a〜d のいずれかに惑星がある時刻であることが与えられています。この条件のもとで、時刻 P における惑星の位置を選びます。
<選択肢>
① a【正】
観測者・位置 a・恒星がこの順に一直線上に並ぶので、視線上で恒星と惑星が重なる食が起こるのは、惑星が恒星の手前を横切る a と、恒星の背後に隠れる c の2か所だけです。惑星は恒星よりも小さく暗いので、恒星の一部が隠される a のほうが減光は大きくなります。さらに、縦軸は時刻 R における明るさを1として表すと決められています。基準となる1は、恒星が欠けずにそのまま見えている状態の明るさ、すなわち惑星が恒星の背後にある c のときの明るさです。したがって R が c であり、公転が a → b → c → d の順に進むことから、もう一方の食にあたる時刻 P は a です。
② b【誤】
位置 b は観測者から見て恒星の真横にあたり、視線上で惑星と恒星は重なりません。したがってここでは食が起こらないので、P にはあたりません。
③ c【誤】
位置 c でも惑星が恒星の背後に隠れる食は起こりますが、そこで失われるのは惑星の昼側の光だけで、惑星は恒星より小さく暗いため、減光は a のときよりずっと小さくなります。そして縦軸の基準となる時刻 R の明るさは、恒星がそのまま見えている状態の明るさなので、R こそが c にあたります。したがって P は c ではありません。
④ d【誤】
位置 d も b と同様に視線上で恒星と重ならないので、食は起こりません。
正解【①】
観測者・a・恒星が一直線上に並ぶという条件から、食が起こるのは a と c の2か所だけに決まります。惑星は恒星より小さく暗いので、減光が大きいのは恒星が隠される a のほうです。
問5:正解 ③(解答番号27/配点3)
<問題要旨>
惑星表面のうち観測者には半分だけが見え、そこには恒星に照らされた昼側と照らされない夜側があります。図3A で惑星が位置 b にあるとき オ が観測者に見え、位置 b から位置 c へ公転するにつれて観測者に見える昼側の割合は少しずつ カ なる、という文章の空欄を選びます。
<考え方>
惑星の満ち欠けの問題です。恒星は惑星の中心にあり、観測者は左側の遠方にいます。観測者から見た「惑星・恒星・観測者のなす角」で昼側の見え方が決まります。
【位置と見え方の対応】
図3A の配置
観測者は左の遠方
恒星は中心、惑星は a(左)→ b(下)
→ c(右)→ d(上)の順に公転する
位置 a
惑星は観測者と恒星の間
恒星に照らされた面は観測者と反対側
→ 夜側だけが見える(新月に相当)
位置 c
惑星は恒星の向こう側
照らされた面がこちらを向く
→ 昼側だけが見える(満月に相当)
位置 b・d
観測者から見て恒星の真横
→ 昼側の半分と夜側の半分が見える
(半月に相当)
【オ】
位置 b では
オ = 昼側の半分と夜側の半分
【カ】
b(半月状)→ c(満月状)へ進むので
見える昼側の割合は増えていく
カ = 大きく
よって ③
※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

