2017年度 大学入試センター試験 本試験「地学」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。
解答
解説
2017年度 大学入試センター試験 本試験「地学」の解答・解説です。第1問〜第4問が必答(24+20+17+27=88点)、第5問と第6問はどちらか1問を選択(12点)で、合計100点。解答番号は大問ごとに1に戻ります。
本記事では第5問・第6問の両方を解説していますので、選ばなかったほうの復習にも使ってください。設問ごとにアコーディオンを開くと、<問題要旨><考え方>と計算の流れが読めます。
第1問 A プレート運動(プレート境界の地形と断層)
プレート境界の模式図を読み取る2題。「どの点がどのプレートに乗っているか」を最初に整理すると、両方とも決まります。
問1:正解 ⑥(配点4)
<問題要旨>
図1中の地点Aと地点B、および地点Bと地点Cの間の水平距離の時間変化を示した模式図 x〜z の組合せとして最も適当なものを選ぶ。ただしプレートの運動方向と速さ、地点Aと地点Dの位置は、時間とともに変化しないものとする(x:距離が増える/y:変わらない/z:距離が減る)。
<考え方>
地点Aは大陸プレート、地点B・Cは同じ海洋プレートの上にあります。
地点A は大陸プレート上、地点B と地点C は同じ海洋プレート上(D は海嶺上)。 【AとB】 海洋プレートは海嶺Dで生まれ、海溝に向かって移動して大陸プレートの下に沈み込む。したがって地点B は地点A に近づいていく。 → 距離は短くなる(z) 【BとC】 B と C は同じプレートの上に乗っており、プレート全体が一体となって動く。両者の間隔は変わらない。 → 距離は変化しない(y)
問2:正解 ②(配点4)
<問題要旨>
図1中の地点Dと地点Eで地震を引き起こす断層の組合せとして最も適当なものを選ぶ。地点Dは海嶺上、地点Eはトランスフォーム断層上に位置している。
<考え方>
海嶺は引っぱりの場、トランスフォーム断層はずれの場です。ずれの向きは、二つの海嶺のずれ方から決めます。
【地点D(海嶺上)】 海嶺は左右のプレートが遠ざかる発散境界で、引っぱりの力がはたらく。引っぱりでできるのは正断層。 【地点E(トランスフォーム断層上)】 図1では、海嶺が2本の区間に食い違っており、地点E はその間をつなぐトランスフォーム断層の上にある。 トランスフォーム断層の両側は、それぞれ別の海嶺から生まれて反対向きに動いている。図1のように、奥側(向こう側)の海嶺区間が手前側の区間より右にずれている場合、 断層の奥側の岩体 … 左へ移動 断層の手前側の岩体 … 右へ移動 となる。一方の側に立って向かい側を見ると、相手が左へずれて見えるので左横ずれ断層。 (注意:見かけの食い違いの向きと、実際のずれの向きは逆になる。)
第1問 B 地球の重力と内部構造(標準重力の緯度変化・シャドーゾーン)
重力が緯度でどう変わるか、そして地震波の影の部分が何を示すか。どちらも理由まで押さえておきたい基本事項です。
問3:正解 ③(配点3)
<問題要旨>
地球の標準重力の緯度による変化を表した図として最も適当なものを選ぶ。
<考え方>
地球が回転楕円体であることと、自転による遠心力の2点で決まります。
標準重力(地球を回転楕円体としたときの重力)は、赤道で最小、両極で最大になる。理由は2つ。 (1) 地球は極方向に少しつぶれた回転楕円体で、赤道半径のほうが極半径より約 21 km 大きい。中心から遠いほど万有引力は弱い。 (2) 自転による遠心力は赤道で最大、極で 0。遠心力は重力を弱める向きにはたらく。 したがってグラフは、赤道(0°)で最小の約 9.78 m/s²、両極(90°N・90°S)で最大の約 9.83 m/s² となり、両端が高く中央がへこんだ形になる。
問4:正解 ④(配点3)
<問題要旨>
地震波が直接伝わらない影の部分(シャドーゾーン)の存在を用いて、地球の内部構造の推定が可能である。影の部分ができる原因として最も適当なものを選ぶ。
<考え方>
外核が液体であることが、P波・S波の両方に影響します。
外核は液体なので ・S波(横波)は液体を伝わらないため、震央距離 103°以遠にはS波が届かない ・P波はマントルから外核に入るときに速度が急に遅くなり、大きく屈折するため、震央距離 103°〜143° にはP波も直接届かない これがシャドーゾーンである。 ① 内核ではS波よりP波のほうが速い。誤り。 ② 外核のほうがマントルより地震波速度は遅い。誤り。 ③ 固体の内核の存在は、シャドーゾーン内にわずかに届くP波から推定されたもので、影の部分そのものの原因ではない。
第1問 C 地球内部の熱源(放射性同位体の崩壊と発熱)
放射性同位体の崩壊による発熱を題材に、半減期をグラフから読み取り、岩石の種類による発熱量の違いにつなげます。
問5:正解 ④(配点3)
<問題要旨>
地球内部のおもな熱源の一つとして、トリウム(Th)、カリウム(K)、[ア]などの放射性同位体の崩壊による発熱がある。[ア]に入れる語として最も適当なものを選ぶ。
<考え方>
地球内部の熱源となる放射性同位体の代表3つを覚えておきます。
地球内部の主要な熱源は、ウラン(U)、トリウム(Th)、カリウム(K) の放射性同位体(²³⁸U、²³⁵U、²³²Th、⁴⁰K)の崩壊熱。 ナトリウム、カルシウム、鉄はいずれも安定同位体が主で、地球内部の熱源にはならない。
問6:正解 ②(配点3)
<問題要旨>
図2は、ある岩石に含まれる放射性同位体Aによる発熱量について、地質年代をさかのぼって推定し、時間変化を示した図である。放射性同位体Aの半減期は何億年か。
<考え方>
発熱量は同位体の量に比例します。「今の2倍だったのはいつか」を読み取ります。
発熱量は放射性同位体の量に比例するので、発熱量が半分になるのにかかる時間が半減期にあたる。 図2を現在(0億年前)から過去へさかのぼって読むと 現在(0億年前)… 約 0.75 × 10⁻⁶ W/m³ その2倍の約 1.5 になるのは 約13億年前 つまり13億年で発熱量が半分に減っている。 (検算:1.5 の2倍の 3.0 になるのは約26億年前で、13億年ずつ等間隔になっている。)
問7:正解 ③(配点4)
<問題要旨>
花こう岩とかんらん岩、玄武岩について、単位体積当たりの発熱量の順に並べたものとして最も適当なものを選ぶ。
<考え方>
リード文の「SiO₂ に富む岩石ほど単位体積当たりの発熱量が多い」をそのまま使います。
SiO₂ の含有量は かんらん岩(約 40 %)< 玄武岩(約 50 %)< 花こう岩(約 70 %) リード文より、SiO₂ に富む岩石ほど発熱量が多いから、発熱量も同じ順になる。 少ない かんらん岩 → 玄武岩 → 花こう岩 多い (ウランやトリウム、カリウムは、マグマが分化する過程で液体側に濃集しやすい元素であるため、SiO₂ に富む岩石ほど多く含まれる。)
第2問 A 大気組成と生物の歴史(酸素濃度の変化・シルル紀と石炭紀)
顕生代の大気中酸素濃度の変化を、生物の陸上進出と大森林の発達に結びつけます。
問1:正解 ①(配点4)
<問題要旨>
図1は顕生代における大気中の[ア]濃度の時間変化を示している。シルル紀には[ア]濃度が増加し、大気圏にオゾン層が発達した。[ア]に入れる語として最も適当なものを選ぶ。
<考え方>
オゾン層をつくるもとになる気体は何かを考えます。
オゾン O₃ は酸素分子 O₂ が紫外線を受けてできる。したがって、オゾン層が発達したのは酸素濃度が増加したためであり、[ア]は酸素。 二酸化炭素は光合成によって減少していく側の気体、窒素は生物活動でほとんど変化しない気体、水蒸気は気温に応じて短時間で変わる気体で、いずれも顕生代の長期変化としてオゾン層と結びつかない。
問2:正解 ②(配点3)
<問題要旨>
シルル紀に陸上に生息していた生物の模式的な復元図として最も適当なものを選ぶ。
<考え方>
シルル紀に何が起きたか(最初の陸上進出)を思い出します。
シルル紀(約 4.4〜4.2 億年前)は、オゾン層の形成によって地表に届く紫外線が弱まり、生物が陸上へ進出しはじめた時代。最初に上陸したのはクックソニアなどの原始的な陸上植物で、根も葉もなく、二又に分かれた茎の先に胞子嚢をつけた姿をしている。 ① 四足動物(両生類・爬虫類)はデボン紀末以降。 ③ リンボク・ロボクのような大型のシダ植物は石炭紀。 ④ 三葉虫は古生代の海生動物で、陸上には生息しない。
問3:正解 ④(配点3)
<問題要旨>
地質時代Xの大森林について述べた文として最も適当なものを選ぶ。地質時代Xは、図1で酸素濃度が最大になった時代である。
<考え方>
図1で酸素濃度が最も高い時代が石炭紀であることを押さえます。
図1で酸素濃度が最大になる地質時代X は石炭紀(約 3.6〜3.0 億年前)。リンボク・ロボク・フウインボクなどの大型シダ植物が大森林をつくった。 ① 被子植物が現れるのは白亜紀。石炭紀の大森林はシダ植物。誤り。 ② 酸素濃度が高かった石炭紀には、翼を広げて 70 cm にもなるメガネウラのように昆虫が大型化した。誤り。 ③ 年代測定に使えるのは放射性同位体であって安定同位体ではない。しかも ¹⁴C の半減期は 5730 年で、億年単位の年代測定には使えない。誤り。 ④ この大森林が地下に埋もれて石炭になり、世界の大規模な炭田のもとになった。石炭紀という名称の由来でもある。正しい。 ←
第2問 B 地質図(走向・傾斜から地層の分布を読む)
走向が南北、傾斜が西に45°という条件で、露頭の位置から他の地点の地層を推定します。地点CがAの真北、地点DがBの真北にある点に気づけるかが決め手です。
問4:正解 ②(配点4)
<問題要旨>
図2に示した地域で地質調査を行ったところ、砂岩層と泥岩層、礫岩層の三つの地層が確認された。地点Aの露頭では泥岩層の上に砂岩層が整合に重なっており、地点Bの露頭では礫岩層の上に泥岩層が整合に重なっていた。どちらの地点とも、地層の走向は南北方向で、傾斜は西に45°である。地点Cと地点Dに露出する地層の組合せとして最も適当なものを選ぶ。ただしこの地域内には他の地層や断層あるいは褶曲は存在せず、地層の厚さは一定とする。
<考え方>
走向が南北なので、南北に移動しても地層境界面の高さは変わりません。
地層の重なりは、下位から 礫岩層 → 泥岩層 → 砂岩層 の順。 走向が南北ということは、地層境界面の高さは南北方向には変化しない(東西方向にだけ変化する)。 図2をよく見ると 地点C は地点A の真北 地点D は地点B の真北 にある。 【地点C】 地点A には「泥岩層と砂岩層の境界面」が現れており、その高さは地点A の標高(等高線から約 190 m)。C は A の真北なので、この境界面の高さは C の位置でも同じ。ところが C は 200 m の等高線の内側にあり、境界面より高い。境界面より上にあるのは上位の砂岩層。 → 地点C は砂岩層 【地点D】 地点B には「礫岩層と泥岩層の境界面」が現れており、その高さは地点B の標高(約 205 m)。D は B の真北なので、この境界面の高さは D の位置でも同じ。D は 170〜180 m の等高線の間にあり、境界面より低い。境界面より下にあるのは下位の礫岩層。 → 地点D は礫岩層
第2問 C マグマ(マグマの分化と混合・結晶分化作用)
マグマの起源による組成の違いと、結晶分化作用で晶出する鉱物の順序。ボーエンの反応系列を SiO₄ 四面体のつながり方で問う形です。
問5:正解 ④(配点3)
<問題要旨>
マグマだまりの熱で地殻物質が溶融し、[イ]マグマが生じることもある。この[イ]マグマと、マントル起源の分化していないマグマとが、ほぼ等しい割合で混合すると[ウ]マグマができる。[イ]・[ウ]に入れる語の組合せとして最も適当なものを選ぶ。
<考え方>
「地殻をとかしたもの」と「マントル起源のもの」が、それぞれどんな組成かを考えます。
[イ]大陸地殻は花こう岩質で SiO₂ に富むので、それがとけてできるマグマは SiO₂ に富む流紋岩質マグマ。 [ウ]マントル起源の分化していないマグマは玄武岩質(SiO₂ 約 50 %)。流紋岩質(SiO₂ 約 70 %)とほぼ等量で混ざれば、SiO₂ はその中間の約 60 % になる。これは安山岩質マグマにあたる。
問6:正解 ②(配点3)
<問題要旨>
晶出する有色鉱物の SiO₄ 四面体のつながり方を、結晶分化作用の進行順に並べたものとして最も適当なものを選ぶ。
<考え方>
ボーエンの反応系列と、各鉱物の SiO₄ 四面体のつながり方を対応させます。
結晶分化作用は高温側から低温側へ進む。有色鉱物が晶出する順は かんらん石 → 輝石 → 角閃石 → 黒雲母 それぞれの SiO₄ 四面体のつながり方は かんらん石 … 独立(四面体が孤立している) 輝石 … 単鎖(鎖状) 角閃石 … 複鎖(鎖状) 黒雲母 … 層状(網状) したがって 独立 → 鎖状 → 層状(網状)の順。 (ちなみに石英は立体網目状で、最も低温で晶出する。)
第3問 A 気圧(気圧帯・季節による気圧配置・高度と気圧)
世界の海面気圧分布図から、夏と冬の高気圧を読み分けます。問3は「16 km ごとに 1/10」を繰り返すだけの計算です。
問1:正解 ③(配点4)
<問題要旨>
南半球海上の中緯度帯は季節変化が比較的小さく、一年を通して 30°S 付近には[ア]が存在する。ある地点における気圧はその上にある空気の重さであり、単位[イ]あたりにかかる力で表す。[ア]・[イ]に入れる語の組合せとして最も適当なものを選ぶ。
<考え方>
30°付近に一年中あるものと、圧力の定義を確認します。
[ア]緯度 30°付近は、赤道で上昇した空気が下降してくる場所で、亜熱帯高圧帯(中緯度高圧帯)が一年を通して存在する。南半球は海洋の割合が大きく大陸の影響が小さいため、この帯が年間を通じてはっきり現れる。 [イ]気圧は「単位面積あたりにはたらく力」。1 hPa = 100 N/m²。体積あたりではない。
問2:正解 ③(配点3)
<問題要旨>
図1のA〜Dのうち、6〜8月および 12〜2月の高気圧の中心はそれぞれどれか。その組合せとして最も適当なものを選ぶ。A は 6〜8月の 30°N・60°E 付近、B は 6〜8月の 30°N・180°付近、C は 12〜2月の 50°N・90°E 付近、D は 12〜2月の 50°N・180°付近にある。
<考え方>
大陸は夏に低圧部、冬に高圧部になります。海洋はその逆です。
【6〜8月(北半球の夏)】 大陸は強く暖められて上昇気流が生じ、低気圧になる。A(ユーラシア大陸上)はインド低気圧(アジアモンスーン低気圧)。 一方、海洋上では下降気流が続いて高気圧となる。B(太平洋上)は太平洋高気圧(小笠原高気圧)。 → 高気圧の中心は B 【12〜2月(北半球の冬)】 大陸は強く冷やされて下降気流が生じ、高気圧になる。C(シベリア)はシベリア高気圧。 海洋上は相対的に暖かく低気圧となる。D(アリューシャン付近)はアリューシャン低気圧。 → 高気圧の中心は C
問3:正解 ①(配点3)
<問題要旨>
高度が 16 km 高くなるごとに気圧は約 1/10 となる。高度約 50 km にある成層圏界面の気圧はおよそ何 hPa か。
<考え方>
16 km ごとに 1/10 を、50 km ぶん繰り返します。
地表の気圧を約 1000 hPa とする。 16 km で 1/10 → 100 hPa 32 km で 1/100 → 10 hPa 48 km で 1/1000 → 1 hPa 高度 50 km は 48 km にほぼ等しいので、気圧は約 1 hPa。 (成層圏界面の実際の気圧も約 1 hPa で、大気の質量の 99.9 % 以上がこれより下にあることになる。)
第3問 B 海流(海面の高さと地衡流)
海面の高さの分布図から海流を読み取ります。問5は「速さは海面の傾き=等値線の混み具合に比例する」という一点で決まります。
問4:正解 ①(配点3)
<問題要旨>
亜熱帯域における領域Xでは、海面の高さは周囲に比べて[ウ]、領域Xを中心とした海流の循環(環流)は[エ]である。[ウ]・[エ]に入れる語の組合せとして最も適当なものを選ぶ。
<考え方>
亜熱帯環流の中心では、海水が集まって海面が盛り上がっています。
[ウ]北太平洋の亜熱帯域では、貿易風と偏西風によって海水が中心へ吹き寄せられ、中央部で海面が周囲より高く盛り上がっている(図2の等値線も中央が高い)。 [エ]盛り上がった中心から外向きに圧力傾度力がはたらき、北半球では転向力が進行方向の右向きにはたらく。両者がつり合う地衡流は、等値線に沿って流れることになり、中心を右手に見る向き、すなわち時計回りになる。 (実際に北太平洋の亜熱帯環流は、黒潮 → 北太平洋海流 → カリフォルニア海流 → 北赤道海流 と時計回りに一周する。)
問5:正解 ⑤(配点4)
<問題要旨>
海面における海流の速さについて、図2の線分Yを横切る速さは、線分Zを横切る速さの何倍になるか。ただし線分Yの長さは線分Zの長さの半分とし、二つの線分の中心の緯度は同じとする。
<考え方>
地衡流の速さは海面の傾きに比例します。傾き=(高さの差)÷(距離)です。
地衡流では、速さは海面の傾きに比例する(緯度が同じなら転向力の係数も同じなので、傾きだけで比べられる)。 傾き = 高さの差 ÷ 線分の長さ 図2の等値線の間隔は 10 cm。線分が横切る等値線の本数を数えると 線分Y(日本の南、黒潮の領域)… 約 8 本 線分Z(中央太平洋)… 約 4 本 したがって高さの差は Y が Z の 2 倍。 さらに線分Y の長さは線分Z の半分なので 傾きの比 = (2 ÷ 1/2) = 4 よって線分Y を横切る速さは線分Z の 4 倍。 (黒潮のような西岸境界流が速い理由が、この図から読み取れる。)
第4問 A 太陽と地球(黒点・フレア・オーロラ・放射エネルギー)
太陽活動と地球への影響。問4は「等方的に放射された全エネルギーは、距離Rの球面全体に広がる」という発想です。
問1:正解 ④(配点4)
<問題要旨>
太陽活動に応じて黒点の数は約[ア]年周期で増減を繰り返す。大規模なフレアが発生すると、地球では[イ]が起こったり、日本でもオーロラが観測されることがある。[ア]・[イ]に入れる数値と語句の組合せとして最も適当なものを選ぶ。
<考え方>
太陽活動の周期と、フレアが地球に及ぼす現象の名称です。
[ア]黒点数の増減の周期は約 11 年(太陽活動周期)。 [イ]大規模なフレアが起こると、多量の荷電粒子(太陽風)が地球に到達して地球磁場を乱す。この急激な地磁気の変動を磁気嵐という。通信障害や送電網の障害を引き起こすことがある。 地磁気の逆転は、数十万年に一度の割合で地球磁場のN極とS極が入れかわる現象で、フレアとは無関係。
問2:正解 ②(配点3)
<問題要旨>
黒点について述べた文として誤っているものを選ぶ。
<考え方>
黒点が黒く見える理由と、そこにある磁場の強さを確認します。
① 黒点が太陽面を移動していく様子から、太陽の自転周期(赤道で約 25 日)が求められる。また緯度によって周期が違うこと(差動回転)もわかる。正しい。 ② 黒点は周囲の 1000 倍以上(数千ガウス)という強い磁場をもつ。この強い磁場が対流を妨げるため熱が運ばれにくくなり、温度が下がって暗く見える。「弱い磁場」は誤り。 ← ③ 中心の暗い暗部と、その周りのやや明るい半暗部に分かれていることが多い。正しい。 ④ 太陽活動極大期には黒点数が多くなる。正しい。
問3:正解 ②(配点3)
<問題要旨>
オーロラについて述べた文として最も適当なものを選ぶ。
<考え方>
オーロラが光るしくみと、光る高度を確認します。
② 太陽風の荷電粒子が地球磁場に導かれて極域の超高層大気に入り、大気中の酸素原子や窒素分子と衝突して励起し、それがもとに戻るときに発光する。正しい。 ← ① 木星や土星でもオーロラが観測されている。誤り。 ③ オーロラが光るのは高度 100〜500 km の熱圏。オゾン層は高度 20〜30 km の成層圏にあり、まったく別の高度。誤り。 ④ 太陽風は地球磁場に遮られ、地表には直接到達しない。誤り。
問4:正解 ①(配点4)
<問題要旨>
あるフレアからのX線を地球大気の最上部で観測したところ、太陽の方向に対して垂直な単位面積が受け取るエネルギーは毎秒 F〔J/(m²・s)〕であった。t〔s〕間にこのフレアから放射されたX線の全エネルギーを求める式として最も適当なものを選ぶ。ただし太陽と地球の距離を R〔m〕、太陽の半径を r〔m〕とし、フレアからのX線はどの方向にも同じ強さで放射されたとする。
<考え方>
放射は球面状に広がります。その球の半径は「太陽の半径」ではなく「太陽と地球の距離」です。
どの方向にも同じ強さで放射されているので、太陽を中心とする半径 R の球面上では、どこでも 1 m² あたり毎秒 F〔J〕を受け取る。 半径 R の球の表面積は 4πR²〔m²〕 したがって毎秒放射される全エネルギーは F × 4πR²〔J/s〕 これを t 秒間ぶんにすると F × 4πR² × t〔J〕 (太陽の半径 r を使う②や、球の体積を使う③④はいずれも不適。同じ考え方で太陽定数から太陽の全放射エネルギーを求める問題も頻出。)
第4問 B 銀河系と銀河(構造・星団・銀河の分類)
銀河系の構造と球状星団、そして銀河の性質。いずれも用語を正確に覚えているかを問う知識問題です。
問5:正解 ④(配点4)
<問題要旨>
銀河系は渦巻構造をもつ銀河で、円盤部と円盤部全体を取り囲む[ウ]からなる。散開星団は円盤部に、球状星団は[ウ]に分布している。また銀河は[エ]によって提案された方法で分類されることが多い。[ウ]・[エ]に入れる語の組合せとして最も適当なものを選ぶ。
<考え方>
銀河系の構造の名称と、銀河の分類法を提案した天文学者の名前です。
[ウ]銀河系は、中心のふくらみ(バルジ)、そこから広がる円盤部(ディスク)、そして円盤部全体を球状に取り囲むハローからなる。球状星団が分布しているのはハロー。バルジは中心部だけなので「円盤部全体を取り囲む」には当たらない。 [エ]銀河を楕円銀河・渦巻銀河・棒渦巻銀河・不規則銀河に分類する方法(ハッブル分類、音叉図)を提案したのはハッブル。ハーシェルは、恒星の数を数えて銀河系の形を推定した18〜19世紀の天文学者。
問6:正解 ①(配点3)
<問題要旨>
銀河系について述べた次の文a・bの正誤の組合せとして最も適当なものを選ぶ。
a 銀河系の質量の大半は、未知のダークマターが担っていると推定されている。
b 銀河系の中心には、太陽の100万倍以上の質量をもつブラックホールがあると推定されている。
<考え方>
どちらも現代天文学の標準的な描像です。
a 銀河系の回転曲線(中心からの距離と回転速度の関係)は、外側でも速度が落ちない。目に見える星やガスの重力だけでは説明できず、その数倍から10倍の質量をもつ暗黒物質(ダークマター)がハローに広がっていると考えられている。正しい。 b 銀河系中心(いて座A*)のごく近くを回る星々の運動から、太陽質量の約 400 万倍という巨大な質量が半径のごく小さい領域に集中していることがわかっており、巨大ブラックホールと考えられている。「100万倍以上」を満たす。正しい。
問7:正解 ③(配点3)
<問題要旨>
球状星団について述べた文として最も適当なものを選ぶ。
<考え方>
球状星団がハローにあること、そこにある星がどんな星かを結びつけます。
球状星団は銀河系のハローに分布し、銀河系形成の初期にできた古い天体。 ① 星がすでに星間ガスを使い果たしているため、星間ガスはほとんど含まない。誤り。 ② 10万〜100万個の星が球状に密集している。100〜1000個程度なのは散開星団。誤り。 ③ 重元素が少なく年老いた星を種族II という。球状星団の星がこれにあたる。正しい。 ← ④ O型やB型の主系列星は寿命が短く(数百万〜数千万年)、古い球状星団にはすでに残っていない。多く含まれるのは若い散開星団のほう。誤り。
問8:正解 ①(配点3)
<問題要旨>
銀河について述べた文として最も適当なものを選ぶ。
<考え方>
活動銀河の性質と、宇宙膨張・距離測定の基本を確認します。
① 電波銀河は電波で明るく輝く活動銀河で、中心核から反対方向へ細く絞られた高速のジェットを噴き出しているものがある。正しい。 ← ② ハッブルの法則により、遠方の銀河ほど高速度で「遠ざかって」いる。近づいているのは誤り。 ③ 年周視差で距離が測れるのは比較的近い恒星まで。銀河までの距離はセファイド変光星やIa型超新星などを使って測る。誤り。 ④ セイファート銀河は、非常に明るくコンパクトな中心核をもつ活動銀河。「中心核を持たない」は誤り。
第5問〔選択問題〕 A リソスフェア(アイソスタシー・地殻熱流量・海洋地殻の年代)
第5問と第6問はどちらか1問を選択します(配点12点)。こちらはリソスフェアと磁気圏。問1のアイソスタシー計算がこの大問の山場です。
問1:正解 ③(配点3)
<問題要旨>
図1は海嶺軸に直交する鉛直断面の模式図である。図1の範囲でアイソスタシーが成立している場合、地点Aでのリソスフェアの厚さ d は約何 km か。ただし海嶺軸ではアセノスフェアは海水と直接接しているとし、海嶺軸の水深は 1.6 km、地点Aの水深は 3 km、リソスフェア 3.4 g/cm³、アセノスフェア 3.3 g/cm³、海水 1.0 g/cm³ とする。
<考え方>
同じ深さ(補償面)までの柱の重さが等しい、という式を立てます。
補償面を海面から深さ H の水平面にとり、海嶺軸側と地点A側で柱の質量を等しいとおく。密度は g/cm³ のまま、長さは km のままで比べてよい。 【海嶺軸側】 海水 1.6 km + アセノスフェア (H − 1.6) km 1.6 × 1.0 + (H − 1.6) × 3.3 【地点A側】 海水 3 km + リソスフェア d km + アセノスフェア (H − 3 − d) km 3 × 1.0 + d × 3.4 + (H − 3 − d) × 3.3 等しいとおいて H を消去する。 1.6 + 3.3H − 5.28 = 3 + 3.4d + 3.3H − 9.9 − 3.3d −3.68 = −6.9 + 0.1d 0.1d = 3.22 d = 32.2 km 約 32 km。
問2:正解 ③(配点3)
<問題要旨>
海嶺付近の平均的な地殻熱流量 Q₁、海溝付近の平均的な地殻熱流量 Q₂、太陽定数 S の大小関係を表すものとして最も適当なものを選ぶ。
<考え方>
桁を思い出せば一発です。地殻熱流量と太陽定数は3〜4桁ちがいます。
太陽定数は約 1.37 × 10³ W/m²。 地殻熱流量は世界平均で約 0.09 W/m²(=約 90 mW/m²)。桁がまったく違い、S が圧倒的に大きい。 また地殻熱流量は、生まれたばかりの熱いプレートがある海嶺付近で大きく(100 mW/m² を大きく超える)、冷えて古くなったプレートが沈み込む海溝付近では小さい(数十 mW/m²)。 → Q₁ > Q₂ したがって S > Q₁ > Q₂。
問3:正解 ②(配点3)
<問題要旨>
現在の海洋底を構成する最も古い海洋地殻の年代は約何億年前か。
<考え方>
海洋底は生まれては沈み込んで消えていく、という点がポイントです。
海洋地殻は海嶺で生まれ、海溝から沈み込んで失われるため、古いものは残らない。現在の海洋底で最も古いのは西太平洋やカリブ海などにあるジュラ紀のもので、約 2 億年前。 (一方、大陸地殻には約 40 億年前の岩石が残っている。0.66 億年前は白亜紀と古第三紀の境界、5.4 億年前はカンブリア紀のはじまりにあたる年代。)
第5問〔選択問題〕 B 磁気圏(磁力線の形と向き)
太陽風によって変形した磁気圏の形と、地球磁場の向きの両方を同時に問う設問です。
問4:正解 ①(配点3)
<問題要旨>
地球の磁気圏内部の磁力線の形と向きを表した模式図として最も適当なものを選ぶ。ただし図は地球の子午線に沿った断面で、太陽は地球の左方向に位置しているとする。
<考え方>
形は太陽風による変形、向きは「地球はN極が南にある棒磁石」で決まります。
【形】 太陽風が吹きつける太陽側(図の左)では磁気圏が押し縮められ、反対側(図の右)では長く尾を引く(磁気圏尾)。したがって左のループが小さく、右のループが長く伸びた形になる。 【向き】 磁力線はN極から出てS極に入る。地球は「南極側にN極、北極側にS極がある棒磁石」に相当するので、磁力線は南半球側から出て北半球側に入る。 図で北極が上だから 地球の下側から外へ出て(左のループの下は左向き、右のループの下は右向き) 地球の上側へ入る(左のループの上は右向き、右のループの上は左向き) 形と向きの両方を満たすのは①。
第6問〔選択問題〕 A 気温の鉛直分布(モデル実験と大気の安定性)
第5問との選択問題(配点12点)。こちらは大気と海洋。モデルAとモデルBの違いから、成層圏と対流圏がどうしてできるかを考えます。
問1:正解 ②(配点3)
<問題要旨>
モデルBは、モデルAにさらにオゾンが日射を吸収することによる加熱の効果、および大気中の対流による熱輸送の効果を考えたものである。オゾンが日射を吸収する効果が最も効果的に働く領域と、高度10 km 以下で観測される高度1 km あたり約[ア]K の気温減率の組合せとして最も適当なものを選ぶ。
<考え方>
オゾンが多く存在する層はどこか、対流圏の気温減率はいくつか、の2点です。
【オゾンの加熱が効く領域】 オゾンは高度 20〜30 km を中心とする成層圏に多く(オゾン層)、そこで紫外線を吸収して大気を暖める。このため成層圏では高度とともに気温が上がる。図1でモデルB が成層圏で気温上昇を示すのは、この効果を入れたため。 【気温減率】 対流圏の平均的な気温減率は高度 1 km あたり約 6.5 K(0.65 K/100 m)。選択肢の 0.65 は「100 m あたり」の値で、単位が km なので誤り。
問2:正解 ③(配点3)
<問題要旨>
図1に示されたモデルAの気温の鉛直分布において、高度 0〜10 km および 10〜20 km の平均の気温減率に対して、空気塊はそれぞれ安定か不安定か。その組合せとして最も適当なものを選ぶ。ただし空気塊は乾燥断熱減率に従って温度変化するものとする。
<考え方>
周囲の気温減率が乾燥断熱減率(約 10 K/km)より大きければ不安定、小さければ安定です。
乾燥断熱減率は約 10 K/km(1 K/100 m)。周囲の気温減率がこれより大きければ、持ち上げられた空気塊は周囲より暖かくなって上昇を続ける(不安定)。小さければもとに戻る(安定)。 図1のモデルA(点線)を読むと 高度 0 km … 約 330 K 高度 10 km … 約 175 K 高度 20 km … 約 152 K 【0〜10 km】 (330 − 175) / 10 = 約 15.5 K/km > 10 K/km → 不安定 【10〜20 km】 (175 − 152) / 10 = 約 2.3 K/km < 10 K/km → 安定 (モデルA が下層で不安定だからこそ、実際の大気では対流が起こり、それを組み込んだモデルB では対流圏の気温減率が現実の約 6.5 K/km に落ち着く。)
第6問〔選択問題〕 B 海洋(風浪とうねり・浅海域での波の変化)
風がつくる波のうち、どれが遠くまで届くか。そして波が浅い海に入るとどう変わるか。海岸で波が高くなって砕ける理由につながります。
問3:正解 ②(配点3)
<問題要旨>
波長に比べて水深が十分に深い海域では、これらの波のうち波長の[イ]波が遠くまで伝わり、[ウ]と呼ばれる規則的な海面の昇降をもたらす。[イ]・[ウ]に入れる語の組合せとして最も適当なものを選ぶ。
<考え方>
深い海では、波長が長い波ほど速く進みます。
水深が波長に比べて十分に深い場合、波の速さは v = √(gλ / 2π) で表され、波長 λ が長いほど速い。したがって、風がつくったさまざまな波長の波のうち、波長の長い波が先に遠方へ伝わっていく。 こうして風の吹いている海域から離れた場所に届く、波長のそろった規則的なうねりを「うねり」という。風浪は、風が吹いている海域でできる、波長も向きも不ぞろいな波のこと。
問4:正解 ③(配点3)
<問題要旨>
この波が水深の浅い海域に到達すると、波の伝わる速さは[エ]なり、波の高さは[オ]する。[エ]・[オ]に入れる語の組合せとして最も適当なものを選ぶ。
<考え方>
浅い海では、波の速さは水深だけで決まります。速さが落ちると波はどうなるかを考えます。
水深が波長に比べて十分に浅い場合、波の速さは v = √(gh) (h は水深) となり、水深が浅いほど遅くなる。 波が運ぶエネルギーは伝わり続けるので、速さが遅くなると、その分だけエネルギーが狭い範囲に詰め込まれることになり、波の高さは大きくなる。 これが、沖では低かったうねりが海岸近くで高くなり、やがて砕けて砕け波になる理由。津波が沿岸で急激に高くなるのも同じしくみである。
※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

