2026年度 大学入学共通テスト 本試験「地学」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。
解答
解説
2026年度 大学入学共通テスト 本試験「地学」は、全28問・100点満点・試験時間60分です。大問は5つで、第1問(配点18)・第2問(配点15)・第3問(配点28)・第4問(配点21)・第5問(配点18)はいずれも必答。解答番号は1から28まで通し番号で振られています。
第1問は「もしタイムマシンで過去や未来の地球・宇宙を観察できたら」という枠で、白亜紀の大気と示準化石、放射年代測定、アイソスタシー、超新星爆発、自転が逆向きの惑星の大気・海洋循環をまとめて問う分野横断の小問集合です。第2問は固体地球で、Aが測量、Bが長周期地震動、Cがホットスポットでできた海山列。第3問は地質と人類で、Aが鉱床とマグマの発生、Bが地質調査、Cが火山、Dが人類の進化という4区分に分かれ、配点28点で最大の山になっています。第4問は大気と海洋(A大気、B海流と海面高度)、第5問は宇宙(Aセイファート銀河の赤外線観測、B星団のHR図)です。
この回の特徴は、図から数値を拾って2段以上の処理をする設問と、用語を知っていれば即答できる設問がはっきり分かれていることです。時間を要するのは第3問B問3の地質図(地層境界線と等高線から走向・傾斜を出し、露頭の向きに直す)と、第5問問3・問4の等級と明るさの換算。一方で第1問問5、第2問問4、第4問A問3のように、4つの選択肢がどれも同じ形の図で、矢印の向きや縦軸の数値だけが違う設問が複数あります。こうした設問は「もっともらしい形」を選ぶのではなく、条件を1つずつかけて図を落としていくのが確実です。
つまずきやすいのは、第2問問4で海山の「現在の緯度」から伏角を計算してしまう点、第3問B問3で標高の高い側に出ている地層を上位と決めてしまう点、第4問A問3で南半球の熱帯低気圧の上層を下層と同じ回転の向きにしてしまう点です。いずれも原理に戻れば決まるので、図の見た目より先に「何が決め手か」を言葉にしてから選ぶようにしてください。
第1問(必答) タイムマシンで見る地球と宇宙の変動(示準化石・放射年代・アイソスタシー・超新星・大気と海洋の循環)
「もしタイムマシンで過去や未来に行けたら」という枠で、地質時代の環境と示準化石、放射性年代測定、アイソスタシー、超新星爆発、惑星規模の大気・海洋循環を一つずつ問う分野横断の小問集合です。配点18点、全5問。
問1:正解 ②(解答番号1/配点4)
<問題要旨>
白亜紀に行くつもりが装置の不具合で別の時代に着いてしまった研究員と高校生の会話。到着後に調べた大気の二酸化炭素濃度が現在と同じくらいだったこと、そして海の浅瀬で見つかった石灰質の殻や骨格をもつ生物を手がかりに、空欄ア(白亜紀の二酸化炭素濃度)とイ(石炭紀かペルム紀を特定できる化石)の組合せを選ぶ。
<考え方>
地質時代の環境は「現在と比べてどうだったか」で押さえる。白亜紀は温暖な時代で、大気の二酸化炭素濃度は現在よりかなり高かったと考えられている。イは「石灰質」「海の浅瀬」「石炭紀かペルム紀」という三つの条件を同時に満たす化石を選べばよい。
【ア】白亜紀は温暖な時代で、大気の二酸化炭素濃度は現在より高かったと考えられている だからこそ「現在と同じくらいだった」ことを根拠に、白亜紀ではないのではと疑う会話になる → ア = 高かった(①②に絞られる) 【イ】三つの条件で絞る フズリナ(紡錘虫) … 殻は石灰質 浅い海にすむ 石炭紀〜ペルム紀の示準化石 放散虫 … 殻はケイ質(二酸化ケイ素) 生息期間はカンブリア紀から現在まで続く → 「石灰質」と「石炭紀かペルム紀を特定できる」を同時に満たすのはフズリナ よって ②
放散虫はチャートをつくる代表的な生物で、殻がケイ質である点がフズリナとの決定的な違いです。示準化石は「石灰質か、ケイ質か」をあわせて覚えておくと、この形の設問は一目で決まります。
問2:正解 ③(解答番号2/配点4)
<問題要旨>
日本海拡大直後の約1500万年前に浅い海底で噴出したデイサイト溶岩について、現在に戻ってそのデイサイトを採取し年代測定するとき、用いるべき鉱物(石英/ジルコン)と放射性年代の測定法(U, Th−Pb法/Rb−Sr法)の組合せを選ぶ。
<考え方>
放射年代測定は「測りたい親核種をその鉱物が実際に含んでいるか」で決まる。ジルコンはウランやトリウムを結晶内に取り込み、風化や変質に強くて年代情報を保持しやすい。石英はウランもルビジウムもほとんど含まないので、それ単独では年代が出ない。
【鉱物】 石英 SiO₂ … U・Th・Rb をほとんど含まない → 単独の鉱物では年代が測れない ジルコン ZrSiO₄ … Zr の位置に U・Th が入る 化学的・熱的に安定 デイサイトのような珪長質の火成岩に普通に含まれる → 鉱物 = ジルコン(③④に絞られる) 【測定法】 U, Th−Pb法 … 親核種は U と Th ジルコンが取り込む核種と一致する Rb−Sr法 … 親核種は Rb 主に雲母や全岩に用いる ジルコンは Rb をほとんど含まない → 測定法 = U, Th−Pb法 よって ③
1500万年前という年代の値そのものは選択に影響しません。半減期の長さで測定法を選ぶ設問と混同しやすいので、ここは「その鉱物が親核種を含むか」で決まっていることを確認しておきましょう。
問3:正解 ④(解答番号3/配点4)
<問題要旨>
図1は、現在(A)と最終氷期(B)の同じ場所の地下構造の模式断面図。最終氷期には地殻の上に厚さ h の氷床がのってアイソスタシーが成り立っていたとして、氷床のない部分の地表面と氷床頂部の標高差 H、氷床・地殻・マントルの密度 ρᵢ・ρ_c・ρ_m を用いて h を表す式を選ぶ。この地域の地殻の厚さは最終氷期も現在も同じとする。
<考え方>
アイソスタシーは「ある深さ(補償面)より上にのっている物質の質量が、どの場所でも等しい」という条件。補償面は、比べる二本の柱のうち深いほうの地殻底面にそろえて取るのが確実。地殻の厚さが両側で等しいことを使うと、地殻の質量が打ち消し合う。
【設定】氷床のない側の地表面を高さ 0 とする 地殻の厚さを t(両側で同じ) 氷床のない側 … 地殻は高さ 0 から −t その下はマントル 氷床のある側 … 氷床頂部が +H なので、氷床の底(=地殻上面)は +H − h 地殻の厚さは t なので、地殻底面は +H − h − t h > H なので H − h < 0 こちらの地殻底面のほうが深い 【補償面】深いほうの地殻底面、すなわち高さ +H − h − t に取る 補償面から上の厚さは、氷床のない側で t + (h − H)、氷床のある側で t + h 【単位面積あたりの質量をそろえる】 氷床のない側 : ρ_c·t + ρ_m·(h − H) (地殻 t + マントル h − H) 氷床のある側 : ρᵢ·h + ρ_c·t (氷床 h + 地殻 t) ρ_c·t + ρ_m·(h − H) = ρᵢ·h + ρ_c·t ρ_m·h − ρ_m·H = ρᵢ·h (ρ_m − ρᵢ)·h = ρ_m·H h = ρ_m H / (ρ_m − ρᵢ) 【検算1】ρᵢ → 0 とすると h → H 質量ゼロの氷床なら地殻を沈ませないので、氷床の厚さがそのまま標高差 H になる 式と一致する 【検算2】ρ_m > ρᵢ なので h > H 氷床は標高差より厚い(沈み込んだ分がある) 図Bの描き方と整合する よって ④
地殻の密度 ρ_c が最後まで残らないのがポイントです。地殻の厚さが両側で等しいので地殻の質量は消え、氷床とマントルの密度だけで決まります。選択肢に ρ_c が入っているものを落とせるかどうかで差がつきます。
問4:正解 ②(解答番号4/配点3)
<問題要旨>
平安時代中期の天喜二年(西暦1054年)に現れた客星について、陰陽寮の天文博士と交わす会話。空欄ウ(超新星爆発を起こす恒星の質量が太陽と比べてどうか)とエ(爆発が起こる進化段階)の組合せを選ぶ。会話の最後に「1000年後、客星があった場所には中性子星と呼ばれる高密度の星が残っている」という情報が置かれている。
<考え方>
中性子星が残るのは、太陽よりずっと質量の大きい恒星が一生の最後に起こす超新星爆発(重力崩壊型)。質量の小さい恒星は赤色巨星を経て白色矮星になり、超新星爆発は起こさない。会話の最後に置かれた「中性子星が残る」がそのまま決め手になる。
【ウ】爆発の跡に中性子星が残っている → 重力崩壊型の超新星爆発 太陽程度以下の質量の星は、赤色巨星を経て外層を放出し白色矮星になる 超新星爆発は起こさない → ウ = 大きな(①②に絞られる) 【エ】重力崩壊型の超新星爆発が起こる段階 中心部で核融合が進んで鉄の中心核ができる → 核融合でエネルギーを出せなくなる → 自らの重力を支えられず中心部が崩壊 → 爆発 すなわち恒星の終末期の現象 恒星が誕生する段階では、急に明るく輝く現象は起こらない → エ = 終末を迎える よって ②
1054年の客星は、現在のかに星雲(M1)とその中心のパルサー(中性子星)に対応します。藤原定家の「明月記」や中国の史書に記録が残り、超新星の年代が確定している数少ない例です。
問5:正解 ④(解答番号5/配点3)
<問題要旨>
主星からの距離や海陸分布などの条件は現在の地球と同じで、自転だけが逆向きの系外惑星について、地表付近の平均的な東西方向の風(黒色矢印)と環流の向き(白色矢印)を示した模式図を四つから選ぶ。四つの図はどれも同じ自転の向きが描かれており、風と環流の矢印の向きだけが異なる。
<考え方>
自転の向きが逆になると、コリオリの力が働く向き(現在の北半球で運動方向の右、南半球で左)がそのまま左右入れかわる。大気の大循環そのもの(赤道で上昇し緯度30度付近で下降する)は太陽放射で決まるので変わらず、そこにかかる偏向だけが反転する。したがって現在の地球の風と環流を両方とも裏返した図が答えになる。
【現在の地球】 低緯度の地表風 : 貿易風 東寄りの風(西向き) 中緯度の地表風 : 偏西風 西寄りの風(東向き) 亜熱帯環流 : 北半球は時計回り、南半球は反時計回り 【自転が逆向きの惑星】コリオリの偏向が逆になる 低緯度 : 赤道へ向かう地表風が逆向きに曲げられる → 東向きの風 中緯度 : 極へ向かう地表風が逆向きに曲げられる → 西向きの風 環流 : 駆動する風の向きが逆なので → 北半球は反時計回り、南半球は時計回り 【見るところ】黒色矢印は赤道をはさむ2本と中緯度の2本 白色矢印は各半球の高緯度側と低緯度側の2本 白色矢印は「高緯度側が東向き・低緯度側が西向き」で時計回り、その逆で反時計回り 【四つの図を落とす】 ① 風 … 中緯度が東向き、赤道付近が西向き = 現在の地球のまま 環流 … 北半球が時計回り = 現在の地球のまま → どちらも反転していない 誤 ② 風 … 現在の地球のまま 環流 … 北半球が反時計回り、南半球が時計回り = 反転 → 環流だけ反転 風が反転していない 誤 ③ 風 … 中緯度が西向き、赤道付近が東向き = 反転 環流 … 北半球が時計回り = 現在の地球のまま → 風だけ反転 環流が反転していない 誤 ④ 風 … 反転 環流 … 反転 → 風と環流の両方が反転 正 よって ④
「風だけ反転」と「環流だけ反転」の図が両方用意されているので、片方を確かめただけで選ぶと必ず外します。黒色矢印と白色矢印を別々に見て、それぞれが現在の地球と逆になっているかを二回チェックしてください。
第2問(必答) A 測量(水準測量とGNSS)
固体地球をテーマにした大問(配点15点)の最初の区分。測量について述べた二つの文の正誤を、下線部に注意して判定させます。
問1:正解 ②(解答番号6/配点3)
<問題要旨>
測量について述べた二つの文 a(長期間にわたる水準点の測量により、土地の上下方向の動きを調べることができる)と b(GPSなどのGNSSでは、一つの人工衛星からの電波を受信することで電子基準点の位置を決めることができる)の正誤の組合せを、下線部に注意して選ぶ。
<考え方>
下線が引かれている部分が判定の的になる。水準測量は水準点の標高を精密に求める測量、GNSSは複数の衛星との距離から位置を求める測位方式であることに戻れば決まる。
a 水準測量は、水準点の標高を精密に求める測量 同じ水準点をくり返し長期間測れば、標高の変化、すなわち土地の上下方向の動きが分かる → 正 b GNSS測位は、衛星からの電波の到達時間から衛星と受信点の距離を求め、複数の距離の交点として位置を決める 求めたい未知量は 3次元の位置(3つ)+受信機の時計の誤差(1つ)= 4つ → 少なくとも4機の衛星を同時に受信する必要があり、一つの衛星では位置は決まらない → 誤(下線部「一つの人工衛星からの電波」が誤り) a = 正、b = 誤 よって ②
上下方向の精密な変動をとらえるのは水準測量、水平方向の動きを広域で連続的にとらえるのは電子基準点によるGNSS観測、という役割分担で整理しておくと混同しません。
第2問(必答) B 長周期地震動
地震波の周期と建物の揺れ方の関係を、低層住宅と高層ビルを並べた図1をもとに考えさせます。
問2:正解 ④(解答番号7/配点4)
<問題要旨>
図1に低層住宅と高層ビルを並べた模式図が示され、空欄ア(周期の長い波は短い波と比べてどうか)と空欄イ(規模の大きな地震の際に震源から遠く離れたところでも大きなゆれを経験する可能性がより高いのはどちらか)の組合せを選ぶ。建物の地下の地盤構造は同じとする。
<考え方>
二つの事実を組み合わせる。一つは、長周期の地震波は減衰しにくく遠方まで届くこと。もう一つは、建物は自分の固有周期に近い周期の揺れを受けると共振して大きく揺れ、固有周期は建物が高いほど長いこと。
【ア】地震波の減衰 周期の短い(波長の短い)波は、地下の不均質による散乱や吸収を受けやすく早く弱まる 周期の長い波は減衰しにくく、振幅を保って遠方まで伝わる (規模の大きな地震は震源断層が大きいため、長周期の波を多く含む) → ア = 減衰しにくい(③④に絞られる) 【イ】建物の固有周期 低層住宅 … 固有周期は 0.1〜0.5 秒程度の短周期 高層ビル … 固有周期は数秒の長周期 遠方まで届くのは長周期の波なので、共振して大きく揺れるのは固有周期の長い側 → イ = 高層ビル よって ④
2011年の東北地方太平洋沖地震で、震源から数百km離れた大阪府の超高層ビルが長時間大きく揺れたのが典型例です。「震源から遠いから安全」は高層建築には当てはまりません。
第2問(必答) C ホットスポットでできた海山列とプレートの動き
図2の1枚から、プレートXの移動方向と速さ、そして海山の残留磁気が記録する伏角を読み取らせる二問。ホットスポットが動かないという条件が両方の鍵になります。
問3:正解 ③(解答番号8/配点4)
<問題要旨>
図2は、地球表面上のプレートXと地点Aのホットスポット、およびそのホットスポットで5000万年前から現在まで1000万年間隔にできた五つの海山の分布を示す。ホットスポットの位置は動かず現在の位置にあったとして、空欄ウ(5000万年前から3000万年前までのプレートXの移動方向)、空欄エ(3000万年前から現在までの移動方向)、空欄オ(5000万年前から3000万年前の地点Aでのプレートの移動速度)の組合せを選ぶ。地球の円周は4万kmとする。
<考え方>
ホットスポットは動かず、その真上でできた海山はプレートとともに運ばれる。したがって「ある期間のプレートの移動方向」は、その期間の若い海山から古い海山へ向かう向きになる。速度は、その二つの海山の間の距離を経過時間で割る。
【図2から五つの海山の位置を読む】緯線・経線は10度間隔 ▲A(現在のホットスポット) : 緯度 30°N 経度 0° 1000万年前 : 30°N 10°E 2000万年前 : 30°N 20°E 3000万年前 : 30°N 30°E 4000万年前 : 20°N 30°E 5000万年前 : 10°N 30°E 【ウ:5000万年前から3000万年前】 この期間の移動は「3000万年前の海山 → 5000万年前の海山」の向き (30°N, 30°E) → (10°N, 30°E) 経度は変わらず緯度が下がる → ウ = 南(③④に絞られる) 【エ:3000万年前から現在】 この期間の移動は「現在のホットスポット → 3000万年前の海山」の向き (30°N, 0°) → (30°N, 30°E) 緯度は変わらず経度が東へ増える → エ = 東 【オ:5000万年前から3000万年前の速度】 距離 : 緯度差 30° − 10° = 20° 子午線に沿うので 20/360 × 4×10⁴ km = 2.22×10³ km = 2.22×10⁶ m 時間 : 5000万年 − 3000万年 = 2000万年 = 2×10⁷ 年 速度 : 2.22×10⁶ ÷ (2×10⁷) = 0.111 m/年 ≒ 0.11 m/年 【検算】0.11 m/年 = 11 cm/年 現実のプレート運動(数cm〜十数cm/年)と同じ桁で妥当 よって ③
0.06 m/年 は緯度差を10度と読んだときの値です。海山の並びは「Aから東へ三つ、そこから南へ二つ」の折れ線なので、南へ動いたのは3000万年前の海山と5000万年前の海山の間の20度分。どの二点間かを取り違えないことが要点です。
問4:正解 ①(解答番号9/配点4)
<問題要旨>
図2の五つの海山を構成する火成岩の残留磁気から求めた地磁気の伏角と、各海山の年代との関係を示すグラフを四つから選ぶ。表1には緯度と伏角の対応(緯度0度で伏角0度、10度で19度、20度で36度、30度で49度…)が与えられ、海山ができたときの地磁気は地球の中心に置いた棒磁石がつくる磁場に近似でき、地磁気北極は北極点に一致していたとする。また海山を構成する岩石の傾きは形成されてから現在まで変わっていないとする。
<考え方>
残留磁気が記録しているのは、その岩石ができた場所の地磁気の向きである。ホットスポットは動かないので、五つの海山はすべて地点Aと同じ緯度30°Nでできた。したがって伏角は年代によらず一定で、表1の緯度30度に対応する値になる。
【どこでできたかを確定する】 ホットスポットは動かず、現在の位置(緯度 30°N)にあった 海山はそのホットスポットの真上でできて、そのあとプレートに運ばれた → 5000万年前の海山も1000万年前の海山も、できた瞬間の緯度はすべて 30°N 【表1から伏角を読む】 緯度 30° → 伏角 49° 岩石は形成後に傾いていないので、いま測られる伏角は形成時の値のまま → 五つの海山すべてで伏角 49° 年代によらず一定 【四つのグラフを落とす】縦軸の値と、年代による変化があるかを見る ① 5点すべて約 49° で一定 → 正 ② 5点すべて約 19° で一定 → 一定ではあるが、値は緯度10度に対応するもの 誤 ③ 1000・2000・3000万年前が 49°、4000万年前が 36°、5000万年前が 19° → 海山の「現在の緯度」(30°・30°・30°・20°・10°)を表1に当てた値 誤 ④ ③と同じ値を年代の並びだけ逆にしたもの 誤 よって ①
③は「現在の緯度で伏角を計算する」という最も多い誤りをそのまま並べた選択肢です。残留磁気は移動後の位置ではなく形成時の位置を記録するので、プレートが南北に動いた分を伏角に反映させてはいけません。逆に実際の海山列で伏角が年代とともに変化していれば、それはホットスポット自身が動いたことの手がかりになります。
第3問(必答) A 鉱床の成因とマグマの発生
地質と人類をテーマにした大問(配点28点)の最初の区分。鉱床がどのマグマからどう濃集してできるかと、沈み込み帯で水がマグマをつくる仕組みを扱います。
問1:正解 ④(解答番号10/配点3)
<問題要旨>
鉱床の分類についての文章の空欄ア(玄武岩質マグマから、これを多く含む鉱物が結晶化し濃集して正マグマ鉱床をつくる元素)と空欄イ(花こう岩質マグマの残液から晶出し、大きな結晶としてペグマタイト鉱床をつくる鉱物)の組合せを選ぶ。
<考え方>
鉱床は「どの段階のマグマから、どの元素や鉱物が集まったか」で分類される。正マグマ鉱床は玄武岩質マグマの早い段階で晶出した重い鉱物が沈積したもの、ペグマタイト鉱床は花こう岩質マグマの最後に残った揮発性成分に富む残液から巨大な結晶ができたもの。
【ア】正マグマ鉱床 玄武岩質(苦鉄質)マグマから早期に晶出した鉱物が底に沈んで濃集したもの 濃集する元素 : クロム(クロム鉄鉱)、白金族、ニッケル 金・銀・銅・鉛・亜鉛は、マグマの後期に分離した熱水が運んで沈殿させる熱水鉱床の元素 → ア = クロム、白金(③④に絞られる) 【イ】ペグマタイト鉱床 花こう岩質マグマの残液(水などの揮発性成分に富む)からゆっくり晶出したもの できる鉱物 : 石英・長石・雲母の巨晶 これに希土類鉱物などが伴う かんらん石・輝石は苦鉄質マグマから早期に晶出する鉱物で、花こう岩質の残液からは晶出しない → イ = 石英、長石、雲母 よって ④
選択肢はアの元素の組とイの鉱物の組を交差させて作られているので、「正マグマ鉱床=クロム・白金」「ペグマタイト鉱床=石英・長石・雲母」の二つの対応を別々に確かめれば決まります。①②の「金、銀、銅、鉛、亜鉛」は熱水鉱床のキーワードです。
問2:正解 ②(解答番号11/配点4)
<問題要旨>
図1は含水鉱物Aと、それが分解して生じる鉱物B・鉱物Cの安定領域を温度と圧力の図で示したもの。図2は、ある沈み込み帯の地下の温度・圧力分布の模式断面図で、含水鉱物Aを含む海洋地殻が沈み込んで分解した場所が◆で示されている。空欄ウ(◆で含水鉱物Aが分解して生じる鉱物)と空欄エ(生じた水が上の領域Xに浸透するとその岩石に起こること)の組合せを選ぶ。
<考え方>
二枚の図を突き合わせる設問。まず図2で◆の圧力を読み、その圧力を図1に持ち込んで、含水鉱物Aの安定領域の高温側にあるのが鉱物Bなのか鉱物Cなのかを見る。空欄エは「水が加わると岩石の融点が下がる」という、沈み込み帯でマグマができる基本の原理。
【ウ:◆の圧力を図1に持ち込む】 図2で◆の位置を左軸で読む : 圧力は約 3.0×10⁹ Pa(右軸の深さでは約100 km) 図1で含水鉱物Aの領域の境界を見る 三つの領域が出会う点は 温度約 600℃、圧力約 2.25×10⁹ Pa この点より高圧側 : 含水鉱物Aの高温側は「鉱物B + 水」 この点より低圧側 : 含水鉱物Aの高温側は「鉱物C + 水」 ◆の圧力 3.0×10⁹ Pa > 2.25×10⁹ Pa なので高圧側にあたる → ウ = 鉱物B(①②に絞られる) 【エ:水が岩石に与える効果】 岩石に水が加わると、同じ圧力での融点(固相線の温度)が下がる 領域Xの温度が変わらなくても、融点が下がれば部分融解が始まりマグマができる 水が浸透しても図2の等温線が動くわけではないので「温度が上昇」は起こらない → エ = 融点が低下 よって ②
図1で三つの領域が出会う点の圧力(約 2.25×10⁹ Pa)を読み落とすと、鉱物Bと鉱物Cのどちらかを決められません。◆がその点より高圧側か低圧側かだけを見れば足りるので、温度は読まなくても答えが出ます。
第3問(必答) B 地質調査(地質図の読みと級化層理)
図3は、ある地域の地形図に地層A(石灰岩)と地層B(砂岩と泥岩)の分布、そして地層境界線を重ねたもの。断層・走向傾斜の変化・褶曲はなく、二つの地層は整合に重なっています。この図をもとに、道路沿いの二つの露頭で見えるものを考えさせます。
問3:正解 ①(解答番号12/配点3)
<問題要旨>
図3は、等高線間隔50 mの地形図に地層A(石灰岩)と地層B(砂岩と泥岩)の分布と地層境界線(破線)を重ねたもので、標高は西から南西へ高く(400 m)、北東へ低く(100 m)なっている。この図をもとに、道路沿いに見つかった直立した露頭X(真南を向いている)で観察される地層A・Bの境界面のスケッチを四つから選ぶ。
<考え方>
地質図の設問は「境界面の走向と傾斜」を先に決めてから、露頭の面の向きに直す。走向は、地層境界線が同じ標高の等高線を横切る二点を結んだ向き。傾斜の向きは、境界線上で境界面の標高が高いほうから低いほうへ向かう向き。そのうえで、真南を向いた直立露頭は観察者が北を向いて見るので、スケッチの右が東、左が西になる。
【1.地層境界線(破線)が横切る等高線の標高を、北東の端から南西へ順に読む】 破線の北東の端 : 150 m と 200 m の等高線の間 破線が道路を横切るあたり : 200 m の等高線上 さらに南西 : 250 m の等高線上 さらに南西 : 300 m の等高線上 破線が最も西へ張り出すあたり : 350 m の等高線の内側(350 m より高い) そこから南東へ下る区間 : 300 m の等高線上 破線の南東の端 : 200 m の等高線付近 【2.走向を出す】同じ標高の等高線を破線が二回横切るところを探す 350 m の等高線は東へ舌のように張り出しており、破線はその舌の北側の枝と南側の枝を一回ずつ横切る この二つの交点は、どちらも境界面の標高が 350 m の点 二点を結ぶ向きはほぼ南北(北北東−南南西) → 走向はほぼ南北 【3.傾斜の向きと大きさを出す】 破線上の境界面の標高は、西で高く(350 m 以上)、北東の端と南東の端で低い(約 200 m) → 境界面は東へ下がる すなわち傾斜は東向き 250 m の等高線との交点と 350 m の等高線との交点は、東西方向に約 300 m 離れている 高さの差 100 m / 水平距離 約 300 m → 傾斜は約 30°(東へ) 1 km 東へ進むと約 600 m 下がる 【4.どちらの地層が上位かを決める】 地形の傾き : 西の 400 m から北東の 100 m まで、東西に約 1500 m で 300 m 下がる → 約 200 m/km 境界面の傾き : 約 600 m/km(東下がり) 境界面のほうが急に東へ下がるので、破線より東側では地表面が境界面より上に来る → 東側に露出するのは境界面より上位の地層 図3で破線の東側に分布するのは地層A → 地層A が上位、地層B が下位(地層は傾斜の向きへ進むほど新しくなる) 【検算:露出している二か所で確かめる】 破線の西にある大きな砂岩・泥岩の露出(250 m と 300 m の等高線の間、標高約 260 m) 破線までの東西距離は約 260 m なので、その地点の境界面の標高は (破線上の標高約 225 m)+ 260 m × 0.6 ≒ 380 m 地表 約 260 m < 境界面 約 380 m → 境界面より下位の地層が出る → 地層B 図と一致 破線の東にある大きな石灰岩の露出(200 m と 250 m の等高線の間、標高約 220 m) 破線までの東西距離は約 400 m なので、その地点の境界面の標高は (破線上の標高約 350 m)− 400 m × 0.6 ≒ 110 m 地表 約 220 m > 境界面 約 110 m → 境界面より上位の地層が出る → 地層A 図と一致 【5.露頭の向きに直す】 露頭Xは真南を向いた直立の崖 観察者は南側から北を向いて崖面を見る 北を向くと右手が東 → スケッチの右が東、左が西 走向はほぼ南北なので、東西方向にのびる垂直な露頭面には真の傾斜がほぼそのまま現れる 境界面は東へ下がる → 境界線はスケッチで右下がり 上位は地層A → 境界線の上側が石灰岩の模様、下側が砂岩・泥岩の模様 【四つのスケッチを落とす】 ① 右下がりの境界線 上側が石灰岩、下側が砂岩・泥岩 → 正 ② 右上がりの境界線 上側が砂岩・泥岩 → 傾斜の向きと上下関係がともに逆 誤 ③ 水平な境界線 → 走向が東西のときの形 破線が等高線を斜めに横切ることに反する 誤 ④ 垂直な境界線 → 境界面が垂直のときの形 破線が屈曲していることに反する 誤 よって ①
決め手は「地形の傾きと境界面の傾きのどちらが急か」です。標高の高い西側に地層B、低い東側に地層Aが出ているのを見て「高いところに出ているBが上位」と決めてしまうと②に行きます。境界面のほうが急に傾いている場合は、標高の高い側に下位の地層が出ます。
問4:正解 ①(解答番号13/配点4)
<問題要旨>
図4は、図3の道路沿いの直立した露頭Yで観察される地層Bの堆積構造のスケッチで、砂岩中の粒の大きさの違いが粒径の違いを表している。この堆積構造に関連する二つの文 a(この堆積構造から判断すると、この地域の地層は逆転していない)と b(このような堆積構造は、粒径の異なる粒子が水と混ざりあいながら運ばれ、粒径の大きい粒子がより速く沈んで堆積した際に形成される)の正誤の組合せを選ぶ。
<考え方>
図4の砂岩層で、粗い粒がどちら側にあるかを層理面との位置関係で読む。級化層理(級化層)は1枚の砂岩層の下部が粗く上方へ細かくなる構造で、これが地層の上下(新旧)判定の基準になる。成因は混濁流(乱泥流)による一括した堆積。
【図4の読み】道路面の側から上へ順に見る 泥岩 → 層理面 → 砂岩(層理面の直上が最も粗く、上へ向かうほど細かくなる) → 泥岩 → 層理面 → 砂岩(同じく直上が粗く、上へ細かくなる) → 泥岩 → 層理面 → 砂岩(直上が粗い) どの砂岩層も「下が粗く、上が細かい」= 上方に向かって細粒化する級化層理 a 級化層理は本来、1枚の層の下部が粗く上部が細かい 図4はその向きのままなので、上下は本来の関係を保っている → この地域の地層は逆転していない 正 b 混濁流では、粒径の異なる砕屑物が水と混ざった懸濁流として一気に運ばれる 流れが弱まると、沈降速度の大きい粗い粒子が先に沈み、細かい粒子が後から沈む → 1枚の層の中で下が粗く上が細かい級化層理ができる 正 a = 正、b = 正 よって ①
級化層理は、褶曲した地層や急傾斜の地層で新旧を判定するときの基本的な手がかりです。層理面の位置と粗粒部の位置がずれていないか、砂岩層ごとに必ず確かめてください。
第3問(必答) C 火山(火山灰の鉱物同定と噴火様式)
火山灰に含まれる鉱物の種類と量からもとのマグマを特定する話題と、揮発性成分が噴火様式を決める仕組みを扱います。
問5:正解 ②(解答番号14/配点3)
<問題要旨>
火山灰の鉱物粒子を画像から判定させたところ、黒雲母・長石・石英は識別できたが輝石と角閃石の区別ができなかったため、劈開が交わる角度の違いで両者を鑑別したという設定。空欄オ(輝石の劈開が交わる角度)、空欄カ(角閃石の劈開が交わる角度)、そして表1の粒数から分かる空欄キ(火山灰の起源となったマグマの種類)の組合せを選ぶ。表1の粒数は 輝石5、角閃石156、黒雲母458、長石8567、石英4230。
<考え方>
輝石と角閃石は結晶構造(単鎖か複鎖か)の違いから、劈開が交わる角度が決まっている。空欄キは表1の鉱物の量から判断する。石英を多く含み有色鉱物のうち輝石がきわめて少なければ、もとは珪長質のマグマである。
【オ・カ】劈開が交わる角度 輝石 : 単鎖構造 劈開の交わる角は約 90°(直交に近い) 角閃石 : 複鎖構造 劈開の交わる角は約 120°(60° と 120°) → オ = 90°、カ = 120°(①②に絞られる) 【キ】表1の粒数からマグマの種類を判断 長石 8567 … 最も多い 石英 4230 … 無色鉱物として多量 石英は SiO₂ に富むマグマから晶出する 黒雲母 458、角閃石 156 … 珪長質から中間質のマグマの有色鉱物 輝石 5 … きわめて少ない 輝石は玄武岩質マグマの主要な有色鉱物 → 石英と黒雲母を多く含み輝石をほとんど含まない = 珪長質のマグマ → 選択肢の「玄武岩」と「デイサイト」のうち、デイサイト よって ②
玄武岩質マグマの火山灰なら石英はほとんど含まれず、有色鉱物は輝石とかんらん石が主になります。「石英 4230 に対して輝石 5」という比を見れば、玄武岩は選べません。
問6:正解 ④(解答番号15/配点4)
<問題要旨>
マグマ中の揮発性成分の発泡と膨張が噴火様式を決めるという文章の、空欄ク(フィリピンのピナツボ火山や北海道の有珠山で起こった、噴煙柱を形成する噴火の様式)と空欄ケ(同様の化学組成のマグマでも、上昇過程で揮発性成分が効率よく除かれた場合に形成される地形)の組合せを選ぶ。
<考え方>
噴火様式はマグマの粘性と揮発性成分の量で決まる。噴煙柱・多量の軽石・大規模な火砕流という記述は、粘性の高いマグマが発泡して爆発的に噴出するプリニー式噴火の特徴。脱ガスが進めば、同じ組成のマグマは爆発せず粘性の高い溶岩としてその場に盛り上がる。
【ク】文章中の特徴を拾う 「揮発性成分が火山ガスとなって多量の火山砕屑物とともに噴煙柱を形成する」 「多量の軽石が噴出して堆積」「噴煙柱が倒壊して大規模な火砕流」 → 粘性の高い珪長質マグマによる爆発的な噴火 = プリニー式噴火 ハワイ式噴火は玄武岩質の流動性の高い溶岩が穏やかに流出するもので、軽石や大規模火砕流を伴わない → ク = プリニー(③④に絞られる) 【ケ】揮発性成分が効率よく除かれた場合 発泡しないので爆発的にならず、粘性の高い溶岩が火口付近に押し出されて盛り上がる → 溶岩円頂丘(溶岩ドーム) 盾状火山は玄武岩質の流動性の高い溶岩が広く流れ出して積み重なった地形で、珪長質マグマではできない → ケ = 溶岩円頂丘(溶岩ドーム) よって ④
有珠山は同じ火山で両方の様式を示す好例です。1977年の噴火では軽石を降らせる爆発的な噴火が起こり、1944年から1945年には昭和新山という溶岩ドームが成長しました。マグマの組成が同じでも脱ガスの程度で様式が変わることを、そのまま示しています。
第3問(必答) D 人類の進化
約700万年前に原始的な人類が現れて以降のさまざまな人類のグループと、ホモ・サピエンスのアフリカからの拡散を題材に、道具の使用と第四紀後半の日本の出来事を問います。
問7:正解 ④(解答番号16/配点3)
<問題要旨>
「さまざまな人類のグループが出現しては絶滅した」という下線部に関連した二つの文 a(火を使用した人類は、ホモ・サピエンスのみである)と b(石器を製作し使用した人類は、ホモ・サピエンスのみである)の正誤の組合せを選ぶ。
<考え方>
どちらも「ホモ・サピエンスのみ」という言い切りなので、反例を一つ挙げられれば誤と決まる。火の使用も石器の製作も、ホモ・サピエンスより古い人類で確認されている。
a 火の使用 : ホモ・エレクトス(約180万年前以降)の遺跡で火の使用の痕跡が知られている ネアンデルタール人も火を使っていた → ホモ・サピエンスのみではない 誤 b 石器の製作・使用 : ホモ・ハビリス(約240万年前)の礫石器が代表例 ホモ・エレクトスのハンドアックスもホモ・サピエンス出現より前 → ホモ・サピエンスのみではない 誤 a = 誤、b = 誤 よって ④
「すべての」「〜のみ」という言い切りの文は、反例を一つ探せば片づきます。人類の進化では「石器 → 火 → 埋葬や装飾」の順に新しい行動が加わっていったこと、そのいずれもホモ・サピエンスだけのものではないことを押さえておきましょう。
問8:正解 ②(解答番号17/配点4)
<問題要旨>
ホモ・サピエンスの出現から現在までの間に日本で起こった事象や日本に生息した生物について述べた四つの文 a(河川や海岸付近で沖積層と呼ばれる地層が形成された)、b(日本の沿岸でデスモスチルスが生息した)、c(温暖な海域でビカリアが生息した)、d(四国や九州が本州と陸続きとなることがあった)のうち、正しい二つの組合せを選ぶ。
<考え方>
ホモ・サピエンスの出現は約20万年から30万年前で、第四紀の中頃にあたる。判定は「その事象や生物が第四紀後半のものか、それより古い新第三紀のものか」で分かれるので、示準化石を地質時代に対応させれば決まる。
a 沖積層 : 完新世(約1万年前以降)に河川や海岸付近に堆積した地層 → ホモ・サピエンス出現以降 正 b デスモスチルス : 新第三紀中新世(約2000万年〜1000万年前)の海生哺乳類 すでに絶滅している → ホモ・サピエンス出現より前 誤 c ビカリア : 新第三紀中新世の巻貝 汽水から浅海の温暖な環境を示す示準化石 → ホモ・サピエンス出現より前 誤 d 四国や九州が本州と陸続き : 氷期には海水準が100 m以上低下し、瀬戸内海や関門海峡は陸化した 最終氷期(約2万年前)は第四紀後半 → ホモ・サピエンス出現以降 正 正しいのは a と d よって ②
デスモスチルスとビカリアは、どちらも新第三紀中新世を代表する日本の示準化石です。「日本で見つかる」ことと「ホモ・サピエンスと同時代」であることは別なので、示準化石は必ず地質時代とセットで覚えてください。
第4問(必答) A 大気(大気圏の構造・都市の霧・熱帯低気圧・海陸風)
大気と海洋をテーマにした大問(配点21点)の前半。大気圏の区分から都市気候、熱帯低気圧の立体構造、海陸風まで、大気の話題を四問で扱います。
問1:正解 ④(解答番号18/配点3)
<問題要旨>
大気圏の区分についての文章の空欄ア(気温が最も低い高度より上層にあたる層)と空欄イ(イオンや電子の密度が大きい層状の部分が反射するもの)の組合せを選ぶ。
<考え方>
大気圏の区分は気温の高度分布で決まる。下から対流圏・成層圏・中間圏・熱圏で、気温が最も低くなるのは中間圏と熱圏の境界である中間圏界面(高度約80 km)。その上が熱圏で、ここに電離層がある。
【ア】高度に対する気温の変化をたどる 対流圏 : 上昇とともに低下 → 圏界面(約11 km)で極小 成層圏 : オゾンによる紫外線吸収で上昇 → 成層圏界面(約50 km)で極大 中間圏 : 再び低下 → 中間圏界面(約80 km)で大気圏全体の最低温度 熱圏 : 太陽の極紫外線やX線の吸収で急激に上昇 気温が最も低い高度 = 中間圏界面 その上層 = 熱圏 → ア = 熱(③④に絞られる) 【イ】熱圏では原子や分子が電離してイオンと電子になっている その中でイオンや電子の密度が大きい層状の部分 = 電離層 電離層は短波(数MHzから数十MHz)の電波を反射し、遠距離の短波通信を可能にする 紫外線を吸収するのは成層圏のオゾン層で、反射ではない → イ = 電波(短波) よって ④
「気温が最も低い高度」を対流圏界面と読み違えると①②の成層圏を選んでしまいます。気温の極小は圏界面と中間圏界面の二か所にありますが、大気圏全体で最低になるのは中間圏界面です。
問2:正解 ②(解答番号19/配点3)
<問題要旨>
図1は、ある都市で霧日数が減少する過程を示したフローチャート。「都市化」から「気温上昇」と「緑地の減少」に分かれ、それぞれが「飽和水蒸気量のウ」と「エの減少」を経て「相対湿度の低下」、そして「霧日数の減少」につながる。空欄ウと空欄エの組合せを選ぶ。
<考え方>
霧は空気が飽和して水蒸気が凝結してできるので、相対湿度が下がれば霧日数は減る。相対湿度は(実際の水蒸気量)÷(飽和水蒸気量)なので、分母が増えても分子が減っても下がる。二つの経路がそれぞれどちらに当たるかを見る。
【ウ:気温上昇 → 相対湿度の低下】 飽和水蒸気量は気温が高いほど大きい 都市化による気温上昇(ヒートアイランド)で飽和水蒸気量が増加する 相対湿度 = 水蒸気量 ÷ 飽和水蒸気量 なので、分母が増えれば相対湿度は下がる → ウ = 増加(①②に絞られる) 【エ:緑地の減少 → 相対湿度の低下】 緑地の植物は根から吸った水を葉から蒸散させ、大気に水蒸気を供給している 緑地が減れば蒸散量が減り、大気中の水蒸気量が減る 相対湿度の分子が減るので相対湿度は下がる → エ = 蒸散量 二酸化炭素量が減っても大気中の水蒸気量は変わらないので、相対湿度の低下は説明できない よって ②
大気汚染の改善で凝結核が減ったことも霧日数の減少に効いていますが、図1が示しているのはそれとは別の「都市化による乾燥化」の経路です。相対湿度は分母と分子のどちらからでも動くことを意識してください。
問3:正解 ②(解答番号20/配点4)
<問題要旨>
南半球で発生した熱帯低気圧の中心から数百kmの範囲における、対流圏上層の風の流れを上から見た模式図を四つから選ぶ。四つの図はいずれも中心から四方向に曲がった矢印が伸びており、流れの向き(中心へ向かうか、中心から出るか)と渦の回転の向きが異なる。
<考え方>
熱帯低気圧は「下層で吸い込み、中心で上昇し、上層で吐き出す」立体構造をもつ。したがって対流圏上層は中心から外へ向かう発散流である。そこにコリオリの力が働き、南半球では運動の向きに対して左向きに曲げられる。
【1.発散か収束かで二つ落とす】 熱帯低気圧 : 下層で中心へ収束 → 中心付近で上昇 → 上層で中心から発散 問われているのは対流圏上層なので、矢印は中心から外へ向かう → 矢印が中心へ向かう ① と ③ は誤 【2.回転の向きを決める】 南半球ではコリオリの力が運動の向きに対して左向きに働く 上層は中心が高圧なので空気は外向きに押し出され、そのつど左へ曲げられる 中心から北(図の上)へ出た流れ → 左へ曲がる → 西(図の左)を向く 中心から東(図の右)へ出た流れ → 左へ曲がる → 北(図の上)を向く → 上から見て反時計回りに広がる渦(高気圧性の回転) 【3.残った二つを見分ける】中心から出た矢印がどちらへ曲がるかを見る ② 上へ出た矢印が左を向き、右へ出た矢印が上を向く → 反時計回りの発散 正 ④ 上へ出た矢印が右を向き、右へ出た矢印が下を向く → 時計回りの発散 誤 よって ②
「南半球の低気圧は上から見て時計回り」は下層(地表付近)の話です。上層は発散なので高気圧性の回転になり、南半球では反時計回りに反転します。「南半球」と「対流圏上層」という二つの条件を両方かけないと④を選んでしまいます。
問4:正解 ②(解答番号21/配点3)
<問題要旨>
夏のある日、沿岸部の高校で生徒と先生が交わす会話。朝はほとんど無風だったのに昼前から風が強くなった理由について、空欄オ(吹いた風の名)、空欄カ(内陸部の地表付近の気圧の変化)、空欄キ(同じ仕組みの現象)の組合せを選ぶ。
<考え方>
海陸風は、海と陸の温まりやすさ(熱容量)の違いでできる局地的な風。日中は陸のほうが強く暖まって上昇気流ができ、地表付近の気圧が下がるので、海から陸へ風が吹く。同じ仕組みが季節の規模で働くのが季節風。
【オ・カ】日中の海岸で起こること 内陸部 : 日射で地表が暖められる → 空気が膨張して上昇 → 地表付近の気圧が下がる 海上 : 水は暖まりにくく気温があまり変わらない → 気圧は相対的に高いままになる 気圧の高い海上から低い内陸へ向かって風が吹く = 海風 → オ = 海、カ = 下がり(①②に絞られる) 【キ】海と陸の熱容量の差でできる風を探す 季節風(モンスーン) : 夏は大陸が暖まって低圧になり海洋から風が吹く 冬は大陸が冷えて高圧になり大陸から風が吹く → 海陸風と同じ仕組みを、1日ではなく1年の周期で起こしたもの 台風 : 暖かい海面からの水蒸気の供給と潜熱の解放で発達する熱帯低気圧 海と陸の温まりやすさの違いでは説明できない → キ = 季節風 よって ②
朝がほとんど無風だったのは、夜間の陸風から日中の海風へ切りかわる途中で海陸の気温差が小さかったためです。海陸風は1日周期、季節風は1年周期という時間スケールの違いだけで、駆動する仕組みは同じです。
第4問(必答) B 海流と海面高度(黒潮と地衡流)
人工衛星による海面高度の計測を入口に、黒潮を地衡流とみなして流れを横切る方向の海面高度の分布を考えさせます。図2には黒潮の流路と流れの向き、そして黒潮を横切る線XYが示されています。
問5:正解 ①(解答番号22/配点4)
<問題要旨>
海面高度の求め方と地衡流についての文章の空欄ク(地球の重力の方向に垂直な面の一つ)と空欄ケ(コリオリの力とつり合う力)の組合せを選ぶ。
<考え方>
ジオイドの定義(重力の等ポテンシャル面で、重力の方向に垂直、平均海面に一致する)と、地衡流の定義(水平方向の圧力傾度力とコリオリの力がつり合った流れ)をそのまま当てればよい。
【ク】 ジオイド : 重力(万有引力と遠心力の合力)のポテンシャルが等しい面 重力の方向に垂直で、平均海面をなめらかに陸側へ延長した面に一致する 地球楕円体 : 地球の形を数式で表した回転楕円体 幾何学的な基準面で、 その法線の向きは重力の方向と一般には一致しない → ク = ジオイド(①②に絞られる) (人工衛星は地球楕円体を基準に海面の高さを測るので、ジオイドの高さとの差をとって海面高度を求める) 【ケ】 地衡流 : 水平方向の圧力傾度力とコリオリの力がつり合い、等圧線に沿って流れる状態 摩擦力は海面のごく薄い層や海底付近で効くもので、地衡流のつり合いには入らない → ケ = 圧力傾度力 よって ①
「圧力傾度力とコリオリの力のつり合い」は、大気の地衡風とまったく同じ関係です。海洋では海面が高いところから低いところへ向かって圧力傾度力が生じるので、海面高度の分布が分かれば流れの向きが決まります。
問6:正解 ②(解答番号23/配点4)
<問題要旨>
図2は、ある時期の黒潮の流路(灰色太線)と流れの向き(黒矢印)を示した地図で、東経135度付近に、南のX(約31.6°N)から北のY(約33.1°N)へ黒潮を横切る線が引かれている。この線XYに沿った海面高度の分布を示す図を四つから選ぶ。横軸は緯度で、左端が31.5°N(X側)、右端が33.0°N(Y側)。
<考え方>
地衡流では圧力傾度力とコリオリの力がつり合っている。北半球では、流れの向きを向いたときに右側の海面が高い。図2で黒潮が東へ流れていることと、線XYのXが南・Yが北であることを読み取れば、南北の高低が決まる。
【1.流れの向きを読む】 図2の黒矢印は右(東)を向いている → 黒潮は西から東へ流れている 【2.つり合いの向きを考える】 北半球の地衡流 : コリオリの力は運動の向きに対して右向きに働く これと、海面の高いほうから低いほうへ向かう圧力傾度力がつり合う → 流れの向きを向いて右側の海面が高い 東向きの流れ → 右は南 → 南側の海面が高く、北側が低い 【3.線XYの南北を確認する】 X : 線の南端(約31.6°N) Y : 線の北端(約33.1°N) → 海面高度は X(南)で高く、Y(北)で低い 【4.四つのグラフを落とす】両端の高さと、どこで変化が急かを見る ① X と Y がほぼ同じ高さで中央が山 → 両端に高低差がない 誤 ② X で高く、黒潮のある 32°N 台で急に下がって Y で低い → 正 ③ X と Y がほぼ同じ高さで中央が谷 → 両端に高低差がない 誤 ④ X で低く Y で高い → 高低が逆 誤 よって ②
黒潮は幅の狭い強い流れなので、海面高度の変化も流れのある緯度帯に集中し、その南北では平らになります。②の曲線が32°Nから32.5°N付近で最も急なのは、そこに黒潮の軸があることに対応しています。「北半球では流れの向きを向いて右が高い」は、黒潮でもメキシコ湾流でも同じように使えます。
第5問(必答) A セイファート銀河の赤外線観測と太陽大気の元素組成
宇宙をテーマにした大問(配点18点)の前半。スピッツァー宇宙望遠鏡が捉えたセイファート銀河の赤外線スペクトル(図1)を題材に、活動銀河核の正体、星間塵をつくる元素、等級と明るさの関係を扱います。
問1:正解 ③(解答番号24/配点3)
<問題要旨>
セイファート銀河について述べた文章の空欄ア(中心核のエネルギー源となるもの)と空欄イ(セイファート銀河に多い銀河の形態)の組合せを選ぶ。
<考え方>
活動銀河核のエネルギー源は、超大質量ブラックホールへ落ち込む物質が解放する重力エネルギー。形態は「セイファート銀河は渦巻き銀河に多く、電波銀河は楕円銀河に多い」という対応で押さえる。
【ア】 超大質量ブラックホールのまわりに降着円盤ができ、落ち込む物質が重力エネルギーを解放して 高温になり強く放射する 核融合は恒星の中心部のエネルギー源で、活動銀河核の莫大な光度をこれで説明することはできない → ア = 重力(③④に絞られる) 【イ】 セイファート銀河 : 中心核が非常に明るい活動銀河 母銀河は渦巻き銀河が多い 電波銀河 : 強い電波を放射する活動銀河 母銀河は楕円銀河が多い → イ = 渦巻き銀河 よって ③
セイファート銀河・電波銀河・クェーサーは、いずれも超大質量ブラックホールを中心にもつ活動銀河核として統一的に理解されています。見え方の違いは中心核の明るさや見る角度、母銀河の種類の違いによるものです。
問2:正解 ③(解答番号25/配点4)
<問題要旨>
図1の矢印で示された吸収が、星間塵の主成分であるケイ酸塩鉱物によるものであるという説明を受け、空欄ウ(かんらん石で、SiO₄四面体の骨組みの間に Mg とともにイオンとして入り込む金属原子)と、空欄エ(Mg とウの元素の、太陽大気での水素を1とした質量比)の組合せを選ぶ。図2は太陽大気の元素組成を、原子番号に対する質量比(水素=1)で示したグラフで、Mg・Si・Ca・Fe が印で示されている。
<考え方>
まずかんらん石の化学式から空欄ウを決め、次に図2で質量比を読む。文章に「これらの元素は太陽大気での元素組成では Si と同程度に存在し」という条件があるので、図2で Si と同じ高さにあるかどうかが決め手になる。
【ウ】かんらん石の化学式 : (Mg, Fe)₂SiO₄ SiO₄四面体の骨組みの間に入る金属イオンは Mg²⁺ と Fe²⁺ → ウ = Fe(③④に絞られる) 【エ】図2で縦軸の質量比を読む Si(原子番号14) : 約 10⁻³ Mg(原子番号12) : 約 10⁻³ → Si と同程度 Fe(原子番号26) : 約 10⁻³ → Si と同程度 Ca(原子番号20) : 約 10⁻⁴ → Si より1桁小さく「同程度」ではない 文中の「Si と同程度に存在し」を満たすのは Mg と Fe → エ = 10⁻³ よって ③
ウを Ca と考えると、図2で Ca の質量比が約 10⁻⁴ で Si より1桁小さいため、「Si と同程度」という文と合いません。化学式と図の両方から同じ結論(Fe)が出ることを確認できる設問です。
問3:正解 ①(解答番号26/配点4)
<問題要旨>
図1の破線(低温の星間塵による吸収がないときの放射強度)の波長 10 μm での等級を m とする。観測された波長 10 μm での明るさが破線の約10分の1であることから、観測された等級(空欄オ)を求め、さらに可視光線での等級の差が波長 10 μm での等級の差の約20倍になることから、可視光線では明るさが何分の1程度になるか(空欄カ)を求める。
<考え方>
等級と明るさの関係は「5等級の差が明るさ100倍」、すなわち 等級差 = 2.5 × log₁₀(明るさの比)。暗くなると等級の数値は大きくなることに注意して符号を決める。
【オ:波長 10 μm での等級】 明るさの比 = 1/10 等級差 = 2.5 × log₁₀(10) = 2.5 × 1 = 2.5 観測されたほうが暗いので、等級の数値は大きくなる → オ = m + 2.5(①②に絞られる) 【カ:可視光線での明るさの比】 可視光線での等級の差 = 2.5 × 20 = 50(等級) 50 = 2.5 × log₁₀(明るさの比) log₁₀(明るさの比) = 20 明るさの比 = 10²⁰ → 可視光線では明るさが 10²⁰ 分の1程度になる 【検算】5等級で明るさ100倍 = 10² 倍 50等級は5等級の10倍なので (10²)¹⁰ = 10²⁰ 一致する よって ①
10¹⁰ は、等級差を 5 で割って(5等級で明るさ10倍と誤って)計算したときの値です。正しくは5等級で明るさ100倍なので、等級差 = 2.5 × log₁₀(明るさの比) を使います。なお赤外線のほうが星間塵による減光がはるかに小さいため、塵に埋もれた天体は赤外線で観測されます。
第5問(必答) B 星団のHR図と恒星の進化
図3は、ある星団のHR図(横軸に表面温度、縦軸に絶対等級)で、主系列上の二つの恒星X・Yが星印で示されています。この1枚から、主系列星の寿命の比と恒星の終末の姿を読み取らせます。
問4:正解 ④(解答番号27/配点3)
<問題要旨>
図3の恒星X・Yがいずれもどの進化段階にあるか(空欄キ)と、Xの質量がYの質量の3倍であるとき、Xのその段階の寿命がYの約何倍になるか(空欄ク)の組合せを選ぶ。寿命は質量にほぼ比例し、光度にほぼ反比例するという関係が与えられている。
<考え方>
まず図3でX・Yの位置を見て、左上から右下へ延びる帯(主系列)の上にあることを確認する。次に縦軸から二つの絶対等級を読み、等級差を光度の比に直す。寿命の比は(質量の比)÷(光度の比)で出る。
【キ】図3でのX・Yの位置 X : 表面温度 約 15000 K、絶対等級 約 −1 スペクトル型B Y : 表面温度 約 6000 K、絶対等級 約 +4 スペクトル型G どちらも左上から右下へ延びる帯、すなわち主系列の上にある → キ = 主系列星(③④に絞られる) (原始星はHR図で主系列の右上に位置し、この帯の上には乗らない) 【ク】寿命の比 絶対等級の差 : +4 − (−1) = 5(等級) Xのほうが5等級明るい 光度の比 : 5等級差は明るさ100倍なので L_X / L_Y = 100 質量の比 : M_X / M_Y = 3 寿命 ∝ 質量 / 光度 なので t_X / t_Y = (M_X / M_Y) ÷ (L_X / L_Y) = 3 ÷ 100 = 0.03 → ク = 0.03 【検算】寿命は「使える燃料の量(質量に比例)」÷「消費の速さ(光度に比例)」 質量が3倍でも光度が100倍なら寿命は短くなる 0.03 < 1 で向きも合う よって ④
0.3 は光度の比を10倍と見たとき(5等級差を明るさ10倍と取り違えたとき)の値です。主系列星は質量が大きいほど明るく、そのぶん燃料を早く使い切るので寿命が短くなります。
問5:正解 ②(解答番号28/配点4)
<問題要旨>
図3の恒星Y(表面温度 約 6000 K、絶対等級 約 +4 の主系列星)が、進化が進むと表面温度が低下して何になるか(空欄ケ)と、終末期に外層のガスを放出したあとその中心部が何になるか(空欄コ)の組合せを選ぶ。
<考え方>
恒星Yは太陽と同程度の表面温度・絶対等級をもつ主系列星。太陽質量程度の星は「主系列星 → 赤色巨星 → 惑星状星雲を残して白色矮星」という筋道をたどる。
【ケ】主系列星の中心部で水素が尽きたあと 中心部は収縮し、外層は大きく膨張して表面温度が下がる → 半径が大きく、表面温度が低く、赤く見える = 赤色巨星 Tタウリ型星は主系列に到達する前(前主系列)の若い星で、進化が進んだ姿ではない → ケ = 赤色巨星(①②に絞られる) 【コ】終末期に外層のガスを放出したあとの中心部 放出された外層は惑星状星雲として広がる あとに残る中心部は、核融合を終えた高密度の天体 = 白色矮星 クェーサーは活動銀河核をもつ天体で、恒星の残骸ではない → コ = 白色矮星 よって ②
太陽の8倍以上の質量をもつ星なら、超新星爆発を起こして中性子星やブラックホールを残します。第1問問4で扱った1054年の客星がその例で、質量によって終末の姿が分かれることを二つの大問で確かめる作りになっています。
※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

