2022年度 大学入学共通テスト 本試験 生物 解答・解説

2022年度 大学入学共通テスト 本試験「生物」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。

目次
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解答

解説

第1問

問1:正解⑤

<問題要旨>

直立二足歩行が変えたのは大後頭孔と骨盤

ヒトの近縁種としてチンパンジー・ゴリラ・オランウータン・ニホンザルを扱う下線部(a)に関する設問。ヒトの特徴ⓐ〜ⓓのうち、直立二足歩行に伴って獲得したものだけを選ぶ。ⓐの拇指(母指)対向性とⓒの眼が前方につくことは、樹上で枝をつかみ距離を立体的にとらえるための霊長類全体に共通する特徴で、チンパンジーもニホンザルももつ。これに対しⓑ大後頭孔が頭骨の底面に位置して真下を向くこと、ⓓ骨盤が幅広く上下に短いことは、頭部を脊柱の真上で支え内臓を下から受け止める直立二足歩行に固有の特徴である。よってⓑ・ⓓの組合せ⑤が正解。

<選択肢>

①【誤】

ⓐ,ⓑの組合せ。ⓑは直立二足歩行に伴う特徴だが、ⓐの拇指対向性は樹上生活に適応した霊長類共通の特徴であり、直立二足歩行とは関係しない。

②【誤】

ⓐ,ⓒの組合せ。どちらも樹上生活に適応した霊長類共通の特徴で、直立二足歩行とは無関係。

③【誤】

ⓐ,ⓓの組合せ。ⓓは正しいが、ⓐは霊長類共通の特徴なので不適。

④【誤】

ⓑ,ⓒの組合せ。ⓑは正しいが、ⓒの眼が前方につくことは両眼視で立体視するための霊長類共通の特徴で、直立二足歩行とは関係しない。

⑤【正】

ⓑ,ⓓの組合せ。大後頭孔が頭骨底面で真下を向くことで重い頭部を脊柱の真上に乗せて支えられ、骨盤が幅広く上下に短い皿状になることで内臓を下から支えられる。いずれも直立二足歩行に伴って獲得された特徴である。

⑥【誤】

ⓒ,ⓓの組合せ。ⓓは正しいが、ⓒは霊長類共通の特徴なので不適。

問2:正解③

<問題要旨>

アミノ酸の違いが小さい種どうしが先に分岐

表1はタンパク質Aのアミノ酸配列について、互いに異なるアミノ酸の割合を示したもの。違いが小さいほど分岐してからの時間が短い=近縁と考える。チンパンジーとゴリラは0.90%で最も小さく、オランウータンはチンパンジーと1.93%・ゴリラと1.77%、ニホンザルはどの種との間でも4.83〜4.90%と最も大きい。したがって、まずチンパンジーとゴリラがまとまり、次にオランウータンが加わり、最後にニホンザルが分かれる順序の系統樹になる。この分岐順を表しているのは③。

<選択肢>

①【誤】

チンパンジーとゴリラ、オランウータンとニホンザルがそれぞれ先にまとまり、二つの群が根で合流する形。オランウータンとニホンザルの違いは4.85%と大きく、この二種をまとめることはできない。

②【誤】

ゴリラとオランウータンが最初にまとまり、次にニホンザル、最後にチンパンジーが分かれる形。最小値の0.90%(チンパンジー-ゴリラ)と最大値の4.90%(チンパンジー-ニホンザル)の両方に反する。

③【正】

チンパンジーとゴリラが最初に分かれ(0.90%)、次にオランウータン(1.77〜1.93%)、最後にニホンザル(4.83〜4.90%)が分かれる系統樹。表1の三つの距離の大小関係をすべて満たす。

④【誤】

ゴリラとオランウータンが最初にまとまり、次にチンパンジー、最後にニホンザルが分かれる形。最も違いが小さいチンパンジー-ゴリラが最初にまとまっていない。

⑤【誤】

オランウータンとニホンザルが最初にまとまり、次にゴリラ、最後にチンパンジーが分かれる形。オランウータン-ニホンザル間は4.85%で最も違いが大きい組合せの一つであり、最初にまとまることはない。

問3:正解⑤

<問題要旨>

予測値は0.89%、機能的制約で置換が減る

分子時計は、アミノ酸配列の違いが分岐後の経過時間に比例するという考え方。チンパンジーとオランウータンの祖先が分かれたのが1300万年前で、そのときの違いが表1の1.93%。ヒトとチンパンジーの分岐は600万年前だから、予測値は1.93×600÷1300=0.891…≒0.89%(ⓕ)となる。実際の違いが予測値より小さかった=アミノ酸の置換が蓄積しにくかった原因としては、タンパク質Aの機能に重要なアミノ酸が増え、突然変異が機能を損ないやすくなって自然選択で除かれたとするⅡが適当。よって⑤(ⓕ,Ⅱ)。

<選択肢>

①【誤】

ⓔ 0.42%は、チンパンジー-ゴリラ間の0.90%に600/1300を掛けた値で、用いる距離を取り違えたもの。

Ⅰの遺伝的浮動で新しい対立遺伝子の頻度が上がることは、置換をむしろ増やす方向に働く。

②【誤】

Ⅱは適当だが、数値ⓔが誤り。

(注)により、この選択肢を解答した場合は部分点として1点が与えられる。

③【誤】

数値ⓔが誤りで、Ⅲも誤り。医療の発達はここ数百年〜数千年の出来事で、600万年の分岐にわたる置換の蓄積量を左右しない。

④【誤】

数値ⓕは正しいが、Ⅰは誤り。遺伝的浮動で新たな対立遺伝子が広がれば違いは大きくなるはずで、予測値より小さくなった説明にならない。

(注)により、この選択肢を解答した場合は部分点として1点が与えられる。

⑤【正】

ⓕ 0.89%は 1.93%×(600万年/1300万年) で得られる予測値。

Ⅱのように機能上重要なアミノ酸が増えれば、置換を起こした個体は不利になって自然選択で除かれるため、実際に蓄積する置換は予測より少なくなる。数値・考察とも適当で、これが正解。

⑥【誤】

数値ⓕは正しいが、Ⅲは誤り。機能を損なっても生存に影響しなければ置換はかえって蓄積しやすくなり、予測値より小さくなる説明にならない。

(注)により、この選択肢を解答した場合は部分点として1点が与えられる。

⑦【誤】

ⓖ 4.18%は 1.93%×(1300万年/600万年) で、年代の比を逆にした値。Ⅰも誤り。

⑧【誤】

Ⅱは適当だが、数値ⓖが年代の比を逆にした誤り。

(注)により、この選択肢を解答した場合は部分点として1点が与えられる。

⑨【誤】

数値ⓖ、考察Ⅲのいずれも誤り。

第2問

問1:正解④

<問題要旨>

重いほど加速度的に増える下に凸の曲線

実験1の健全区では、A型株110個体が計約2000個(平均約18個/個体)、B型株111個体が計約200個(平均約1.8個/個体)の種子をつけた。個体数はほぼ同じなのに種子数は約10倍も違う。図1の健全区を見ると、A型株は0.4〜1.0gを中心に2.2g近くまで裾を引くのに対し、B型株はほぼ全個体が1.2g以下に収まる。この重量差だけで10倍の差を生むには、軽い範囲では種子がごくわずかしかつかず、重くなるにつれ加速度的に増える下に凸の曲線でなければならない。かつB型株の範囲(1.2g以下)で0になってはいけない。これを満たすのは④。

<選択肢>

①【誤】

0.5g付近で既に150個を超える上に凸の曲線。B型株(ほとんど1.0g以下)でも1個体あたり100個以上になってしまい、総計約200個と合わない。

②【誤】

0.9g付近で200個に達する曲線。B型株の大半が0.2〜1.0gに分布することを考えると種子数が多すぎ、A型株との10倍の差も生じない。

③【誤】

ほぼ直線的に増える曲線で、1.0gで約100個。B型株111個体でも計1万個近くになり、約200個と大きく食い違う。

④【正】

0〜1.0gではほぼ0に近い小さな値をとり、1.0gを超えたあたりから急に立ち上がる下に凸の曲線。B型株は1個体あたりごく少数(平均約1.8個)にとどまり、2gを超える重い個体を含むA型株は平均約18個となって、健全区の総計約200個と約2000個の10倍差を無理なく説明できる。

⑤【誤】

約1.4gまで種子生産数が完全に0の曲線。図1の健全区でB型株はほぼ全個体が1.2g以下なので、B型株の種子は一つもできないことになり、計約200個をつくった事実と矛盾する。

問2:正解②

<問題要旨>

病原菌移入前、B型株は光をめぐる競争で抑えられていた

資料1によれば、1971年に病原菌PをA型株に感染させたところ、それまで少数派だったB型株が各地で繁茂した。図1では、健全区のA型株110・B型株111とほぼ同数なのに対し、感染区ではA型株が42へ減りB型株は137へ増え、B型株の乾燥重量の分布も0.4〜1.2gを中心に全体が大きい側へ移っている。会話文にあるとおり光は植物の生存に必須の資源で、重い個体ほど高い位置に多くの葉を配置して光を多く浴びられる。つまり移入前は、A型株との光という非生物的環境をめぐる競争によってB型株の成長と種子生産が抑えられていたと考えられる。よって②。

<選択肢>

①【誤】

「日照条件が悪い農地でのみ生存していた」という内容は、資料1にも図1にも根拠がない。実験1は両区とも同じ環境条件で育成している。

②【正】

健全区ではA型株の方が重い個体が多く、感染区ではA型株が減った分だけB型株が大きく育って137個体まで増えた。これはB型株が光(非生物的環境)をめぐるA型株との競争で抑えられていたことを示す。

図2の関係と合わせると、健全区でB型株の種子数が約200個とA型株の1/10にとどまったことも、この競争による成長抑制で説明できる。

③【誤】

抑えていた相手を「同型株どうし」(B型株どうし)としている点が誤り。B型株は感染区でも同じ144個体ずつの高密度で植えられているのに137個体まで増えており、抑制の主因はA型株との競争である。

④【誤】

感染区ではA型株が110から42へ減少しており、「A型株とB型株の両方の個体数が増加した」は図1と矛盾する。

⑤【誤】

B型株は病原菌Pに対する抵抗性をもち感染しないので、病原菌と相利共生の関係になるという記述は本文と合わない。

⑥【誤】

A型株とB型株は遺伝的性質も形態も異なり互いに交雑しない別の系統で、個体が途中でB型株へ「変化」することはない。

問3:正解②

<問題要旨>

切るのは制限酵素、つなぐのはDNAリガーゼ

手順1の下線部(c)、遺伝子YのDNAを図3のプラスミドに組み込む操作。制限酵素は特定の塩基配列を認識してDNAを切断する酵素で、同じ制限酵素で遺伝子YのDNAの両端とプラスミドを切ると、互いに相補的な突出末端(付着末端)が生じて対合できる。その切れ目をDNAリガーゼがつないでホスホジエステル結合を形成し、一つの環状DNAにする。DNAヘリカーゼは二重らせんをほどく酵素で、切断にも連結にも働かない。よってア=制限酵素、イ=DNAリガーゼの②が正解。

<選択肢>

①【誤】

アの制限酵素は正しいが、イのDNAヘリカーゼは二重らせんをほどく酵素で、切れたDNA鎖どうしをつなぐことはできない。

②【正】

ア=制限酵素で遺伝子YのDNAの両端とプラスミドを切断し、生じた付着末端どうしを対合させて、イ=DNAリガーゼで連結する。遺伝子組換えの基本操作どおり。

③【誤】

切断にDNAヘリカーゼ、連結に制限酵素としており、両方の酵素の働きが取り違えられている。

④【誤】

DNAヘリカーゼは塩基対間の水素結合を切ってらせんをほどくだけで、ヌクレオチド鎖そのものを切断しない。

⑤【誤】

DNAリガーゼはつなぐ酵素であり、切断には使えない。

⑥【誤】

切断にDNAリガーゼ、連結にDNAヘリカーゼを当てており、いずれも働きが逆で誤り。

問4:正解③

<問題要旨>

薬剤Kは遺伝子Xをもつ細胞だけを選抜する

手順3の下線部(d)、薬剤Kを含む培地で不定芽を培養する理由を問う設問。図3のプラスミドには薬剤K耐性を与える遺伝子Xと、病原菌に対する抵抗性を与える遺伝子Yが一緒に組み込まれている。手順2では、できた不定芽は遺伝子XとYの両方が導入されたものか、どちらも導入されていないものかのどちらかである。そこで薬剤Kを与えると、遺伝子Xをもたない細胞(=遺伝子Yももたない細胞)は増殖できず、両方をもつ細胞だけが増殖する。つまり目的の形質転換細胞を選抜するための操作であり、③が適当。

<選択肢>

①【誤】

薬剤Kは遺伝子Yの働きの強さを調節するものではない。遺伝子Yはプロモーターと転写調節領域に連結されて発現する。

②【誤】

薬剤Kは分化を制御する物質ではなく、また導入されていない細胞の分化を促進する必要もない。

③【正】

遺伝子Yが導入されていない細胞は遺伝子Xももたないので、薬剤Kのもとでは増殖できない。こうして遺伝子XとYの両方が入った細胞だけが増え、トランスジェニック植物を効率よく得られる。

④【誤】

薬剤Kは導入されていない細胞の増殖を止めるのであって、未分化な状態を維持させるためのものではない。

⑤【誤】

同程度に増殖させてしまっては選抜にならない。薬剤Kを使う目的は、両者の増殖に差をつけることにある。

問5:正解①

<問題要旨>

転写はRNAポリメラーゼ、鋳型は上側の鎖

図4では遺伝子Yの右側にプロモーターと転写調節領域があり、上側の鎖は左端が5′・右端が3′、下側の鎖は左端が3′・右端が5′と示されている。ウについて、転写を行う酵素はRNAポリメラーゼである(DNAポリメラーゼはDNA複製の酵素)。エについて、RNAは5′→3′方向にしか伸長できないので、鋳型(アンチセンス)鎖は3′→5′の向きに読まれる。転写はプロモーターから遺伝子Yへ、すなわち図の右から左へ進むので、その向きで3′→5′となるのは上側の鎖である。よってウ=RNAポリメラーゼ、エ=上側の①が正解。

<選択肢>

①【正】

ウ=RNAポリメラーゼ。DNAを鋳型にRNAを合成する酵素で、プロモーターに結合して転写を始める。

エ=上側。プロモーターは遺伝子Yの右側にあるので転写は右から左へ進み、その向きで3′→5′と読まれるのは左端5′・右端3′の上側の鎖である。

②【誤】

酵素は正しいが、下側の鎖は左端3′・右端5′なので、右から左へ進む転写では5′→3′方向に読むことになり、鋳型鎖にはなれない。

③【誤】

DNAポリメラーゼはDNA複製でヌクレオチド鎖を伸長する酵素であり、転写を行う酵素ではない。

④【誤】

酵素・鎖ともに誤り。

問6:正解④

<問題要旨>

ヘテロの自家受粉で3/4が遺伝子Yをもつ

作製したトランスジェニック植物のもとになったキクは二倍体で、遺伝子Yは細胞内の1本の染色体の1箇所だけに組み込まれている。したがってこの個体は相同染色体の一方だけに遺伝子Yをもつヘテロの状態である。自家受粉させると、つくられる配偶子は遺伝子Yをもつものともたないものが1:1となり、子の遺伝子型は(Yあり・Yあり):(Yあり・Yなし):(Yなし・Yなし)=1:2:1になる。遺伝子Yを1つでももてば発現して病原菌に対する抵抗性を示すので、抵抗性をもつ個体の割合は(1+2)/4=3/4=75%。よって④。

<選択肢>

①【誤】

25%は、遺伝子Yを2つもつ個体(ホモ)の割合。1つでももてば抵抗性を示すので過小。

②【誤】

33%にあたる分離比は生じない。

③【誤】

50%は配偶子のうち遺伝子Yをもつものの割合であり、子の個体で抵抗性を示す割合ではない。

④【正】

1:2:1のうち遺伝子Yをもつのは1+2=3で、3/4=75%。遺伝子Yをまったくもたない個体は1/4=25%である。

⑤【誤】

100%になるのは親が遺伝子Yについてホモの場合だが、1本の染色体の1箇所にのみ組み込まれたのでヘテロである。

第3問

問1:正解①

<問題要旨>

Hox遺伝子は連鎖した調節遺伝子群

下線部(a)のホックス(Hox)遺伝子に関する知識問題。Hox遺伝子がつくるタンパク質は核内に移動してDNAの転写調節領域に結合し、他の遺伝子の転写を調節する調節タンパク質なのでⓐは正しい。またHox遺伝子は染色体上に一群となって並んで存在する連鎖した遺伝子群で、その並び順が体の前後軸に沿った発現部位の順序と対応するのでⓑも正しい。ⓒの母性効果遺伝子はビコイドやナノスのように卵形成時に母親が用意する因子のことで、Hox遺伝子とは別である。ⓓについては、体節構造をもつバージェス動物群の動物はすでにHox遺伝子をもっていたと考えられる。よってⓐ・ⓑの①。

<選択肢>

①【正】

ⓐ・ⓑの組合せ。Hox遺伝子は核内でDNAに結合する調節タンパク質の遺伝子であり、かつ染色体上でひとまとまりに連鎖して並んでいる。この二つだけが正しい記述である。

②【誤】

ⓒの母性効果遺伝子は、卵の細胞質にあらかじめ蓄えられて前後軸の決定に働く因子の遺伝子で、Hox遺伝子とは異なる。

③【誤】

ⓓは誤り。カンブリア紀のバージェス動物群には体節や左右相称の体制をもつ動物が含まれ、Hox遺伝子はすでに存在していたと考えられている。

④【誤】

ⓑは正しいが、ⓒが誤りなので不適。

⑤【誤】

ⓑは正しいが、ⓓが誤りなので不適。

⑥【誤】

ⓒ・ⓓとも誤りの記述である。

⑦【誤】

ⓐ・ⓑは正しいが、誤りのⓒを含むので不適。

⑧【誤】

ⓐ・ⓑは正しいが、誤りのⓓを含むので不適。

⑨【誤】

ⓐは正しいが、ⓒ・ⓓが誤りなので不適。

⓪【誤】

ⓑは正しいが、ⓒ・ⓓが誤りなので不適。

問2:正解④

<問題要旨>

位置を決めるのは中胚葉、伸長を支えるのは外胚葉

下線部(b)の「外胚葉と中胚葉の相互作用」について、会話文と実験1〜3から導ける考察を選ぶ。実験1では肢芽先端の表皮(外胚葉)を除くと伸長が止まり、表皮が分泌するタンパク質Wをしみ込ませたビーズを埋めると正常に伸長した。実験2では本来肢芽ができないわき腹の表皮の下にWビーズを埋めると新たな肢芽が生じた。よってⓕは正しい。リード文のとおり肢芽は側板(中胚葉)由来の細胞が特定部位に移動してできるもので、その位置はHox遺伝子がどの体節で働くかで決まるためⓔも正しい。ⓖは実験3と矛盾する。よって④。

<選択肢>

①【誤】

ⓔだけでは不足。実験1・2から外胚葉の役割(ⓕ)も導かれる。

②【誤】

ⓕだけでは不足。リード文と会話文からⓔも導かれる。

③【誤】

ⓖは実験3の結果と矛盾するので、これを選ぶことはできない。

④【正】

ⓔ:肢芽は前後軸に沿った特定の部位に移動してきた側板(中胚葉)由来の細胞からでき、その部位はHox遺伝子の発現で決まる。

ⓕ:実験1で先端の表皮(外胚葉)を除くと伸長が止まり、タンパク質Wのビーズで回復し、実験2では表皮の下にWビーズを埋めるだけで新たな肢芽ができた。

⑤【誤】

ⓔは正しいが、誤りのⓖを含む。

⑥【誤】

ⓕは正しいが、誤りのⓖを含む。

⑦【誤】

ⓖが誤り。実験3では、翼になる前方の肢芽の側板由来細胞(中胚葉)から調節タンパク質Xが見つかり、Xを発現させた肢芽が翼を形成した。翼か脚かを決めているのは外胚葉ではなく中胚葉である。

問3:正解②

<問題要旨>

必要性を示すには前方でXを働かせない実験

ミハルさんは「実験3だけでは、正常発生で前方の肢芽が翼を形成する仕組みに調節タンパク質Xが本当に必要かどうか分からない」と指摘した。実験3はわき腹の中間に作った肢芽でXを発現させれば翼ができるという十分性を示しただけで、必要性は示していない。必要性を証明するには、本来Xが働いている前方(ア)の肢芽で調節タンパク質Xの遺伝子を働かないようにして(イ)、その部位で翼(ウ)ができない(エ)ことを確かめればよい。よって②が正解。

<選択肢>

①【誤】

前方の肢芽で強制的に働かせても、もともとXが働いている部位なので新しい情報が得られず、必要性の証明にならない。

②【正】

ア=前方、イ=働かないようにして、ウ=翼、エ=できない。本来の場所で働きを失わせたときに本来の結果が失われることを示す、いわゆる欠損実験で、必要性を証明できる。

③【誤】

前方でXを働かないようにして「脚ができる」ことを確かめる形だが、問われているのは翼の形成にXが必要かどうかである。

④【誤】

後方の肢芽で強制的に働かせて翼ができることは実験3と同じ十分性の確認にすぎず、正常発生での必要性は示せない。

⑤【誤】

後方でXを強制的に働かせれば実験3から翼ができるはずで、「脚ができない」ことの確認は必要性の証明とは別の話である。

⑥【誤】

後方の肢芽ではもともとXが働いていないので、働かないようにしても何も変わらず、証明にならない。

問4:正解③

<問題要旨>

分裂した細胞を標識するならDNAのヌクレオチド

下線部(c)、肢芽ができるときにどの辺りの細胞が分裂して増えるかを調べる方法。目印をつける分子は、細胞が増殖せずに活発に活動しているだけでは蓄積せず、必ず細胞分裂に伴って取り込まれるものでなければならない。細胞分裂の前には必ずDNAの複製が起こり、DNAに特有の塩基であるチミンを含むヌクレオチドは、この複製のときにだけ新生鎖に取り込まれる。したがって標識したチミンを含むDNAのヌクレオチドを一定時間取り込ませれば、その間に分裂した細胞だけに目印が蓄積する。よって③。

<選択肢>

①【誤】

メチオニンはタンパク質を構成するアミノ酸で、分裂しない細胞でもタンパク質合成が続く限り取り込まれてしまう。

②【誤】

ウラシルを含むRNAのヌクレオチドは転写に使われる。転写は分裂していない細胞でも活発に行われるので、分裂した細胞を選んで標識できない。

③【正】

チミンはDNAに固有の塩基で、チミンを含むヌクレオチドはDNA複製のときにDNAへ取り込まれる。DNA複製は細胞分裂に必ず先立って起こるため、取り込んだ細胞=その間に分裂の準備をした細胞となり、分裂した場所を調べられる。

④【誤】

アセチルCoAはクエン酸回路に入る呼吸の中間代謝物で、活発に呼吸している細胞なら分裂しなくても使われる。

問5:正解②

<問題要旨>

抑制を取り除いたのにWが減るのは逆向き

下線部(d)に関連し、わき腹になる領域の予定体節細胞が肢芽の形成を抑えているという結論を支える実験を検討する。抑えている細胞を死滅・除去すれば抑制が解けて肢芽形成の指標(細胞分裂や、肢芽の形成と伸長を支えるタンパク質Wの発現)は増えるはずであり、逆にその細胞を肢芽ができる領域に移せば肢芽形成は抑えられるはずである。②はわき腹の予定体節細胞を死滅させて抑制を取り除いたのにタンパク質Wを発現する細胞数が「減少した」としており、予想と逆向きの結果で結論を支持しない。これが適当でないもの=正解です。

<選択肢>

①【正】

抑えている予定体節細胞を死滅させた結果、肢芽になる細胞が盛んに分裂した、という結果。抑制が解けたことを示し、結論と整合する適当な実験結果である。

②【誤】

抑えている細胞を死滅させたのに、肢芽の形成・伸長を支えるタンパク質Wを発現する細胞数が減少した、という結果。抑制が取り除かれれば増えるはずで、結論とは逆向きになる。

これが適当でないもの=正解です。

③【正】

わき腹の予定体節細胞を、抑制しない(肢芽になる領域の)予定体節細胞に置き換えるとタンパク質Wの量が増加した、という結果。抑制因子を取り除いた効果を示しており適当。

④【正】

肢芽になる領域の予定体節細胞を、抑制するわき腹の予定体節細胞に置き換えると生じた肢芽が小さかった、という結果。抑制作用を持ち込んだ効果を示しており適当。

第4問

問1:正解③、④

<問題要旨>

表1は両端に偏り、40-60%が最少

実験1では、巣と餌場を長さの等しい通路A・B(条件Ⅰ、ともに14cm)、または通路A14cm・通路B20cm(条件Ⅱ)でつなぎ、開始30分後から10分間の通行数を各20試行記録した。表1の条件Ⅰは、通路Aの通行率0-20%が7回、80-100%が7回と両端に偏り、40-60%はわずか1回。条件Ⅱは80-100%が16回と短い通路Aに集中し、40-60%は0回である。二つ選ぶ設問で、この数値と一致するのは③と④(解答の順序は問わない)。

<選択肢>

①【誤】

条件Ⅰで通行率が約50%になったのは40-60%の1試行だけで、残る19試行は一方の通路に偏った。各試行が約50%というのは表1と合わない。

②【誤】

表1は各試行で通路Aの通行率がどの区分だったかを数えただけで、行列がAとBに「交互に」できたかどうかは分からない。

③【正】

条件Ⅰでは、通路Aの通行率80-100%が7回(=Aに集中)、0-20%が7回(=Bに集中)で、合わせて14試行。20試行中14試行で80%を超えるアリがA・Bのどちらかに集中したことになり、表1と一致する。

④【正】

両方にほぼ同数が行列をつくった=通路Aの通行率40-60%の観察回数は、条件Ⅰで1回、条件Ⅱで0回。どちらの条件でも五つの区分のなかで最も少なく、表1と一致する。

⑤【誤】

条件Ⅱの16回は「通路Aの通行率が80-100%」であり、アリが集中したのは短い通路Aの方。通路Bとしている点が誤り。

⑥【誤】

条件Ⅱでは20試行中16試行で短い通路Aに集中しており、通路の長短は選択に強く影響している。

問2:正解③

<問題要旨>

短い通路ほど濃くなり、正のフィードバックが働く

実験1の条件Ⅱで短い通路A(14cm)に集中したのは、試行開始直後は単位距離当たりのアリの通行量が通路Aで多く(ア=A)、道標フェロモンが濃く蓄積し、その後は濃い方を選ぶアリがさらにフェロモンを足したためと考えられる。実験2では、通路C(20cm)の行列ができて30分後に短い通路D(14cm)を追加しても、Dを通るアリは少数にとどまるためDのフェロモン濃度は相対的に低いまま(イ)、Cは高いまま(ウ)続いた。結果がさらにその結果を強める正のフィードバック(エ)である。よって③。なお(注)により④を解答した場合は3点が与えられる。

<選択肢>

①【誤】

ア=A、イ=高い、ウ=低いとしている。通路Dはアリが少数しか通らないのでフェロモンは薄く、CとDの高低が逆になっている。

②【誤】

イ・ウの高低が逆で、エも負のフィードバックとしており誤り。

③【正】

ア=A:条件Ⅱでは短い通路Aの方が単位距離当たりの通行量が多くなり、フェロモンが濃くなりやすい。

イ=低い、ウ=高い:実験2では通路Dを通るアリが少数のためDは薄いまま、Cは多数が通り続けて濃いまま保たれた。

エ=正:濃い通路が選ばれ、選ばれた通路がさらに濃くなるという、結果が原因を強める正のフィードバックで両実験を説明できる。

④【誤】

ア〜ウは正しいが、エを「負」としている点が誤り。

(注)により、この選択肢を解答した場合は3点が与えられる。

⑤【誤】

アを通路Bとしている。条件Ⅱで集中したのは短い通路Aであり誤り。

⑥【誤】

ア・イ・ウ・エのいずれも実験結果と合わない。

⑦【誤】

イ・ウは正しいが、アを通路Bとしている点が誤り。

⑧【誤】

アが誤りで、エも負のフィードバックとしており誤り。

問3:正解⑥

<問題要旨>

アリを誘引するアブラムシは異種間なのでフェロモンでない

下線部(a)の道標フェロモンに関連して、フェロモンの働きとして誤っているものを選ぶ設問。フェロモンとは、動物が体外に放出し、同種のほかの個体に作用して特定の行動や生理的変化を引き起こす化学物質である。①カイコガの性フェロモン、②ミツバチの女王物質、③チャバネゴキブリの集合フェロモン、④アリの同巣個体を識別する物質、⑤ミツバチの警報フェロモンはいずれも同種個体間で働く。これに対し⑥のアブラムシがアリを誘引する物質はアブラムシとアリという異なる種の間で働くので、定義上フェロモンではない。よって⑥。

<選択肢>

①【正】

カイコガのメスが分泌してオスを誘引する物質は性フェロモン。同種内で働くのでフェロモンの働きとして正しい。

②【正】

女王バチが分泌して働きバチの性成熟を抑える女王物質は、階級の分化にかかわるフェロモン。同種内で働く。

③【正】

チャバネゴキブリがほかの個体を誘引して群れをつくらせる物質は集合フェロモン。

④【正】

同じ巣のアリどうしが同じコロニーの仲間であることを伝える体表の物質も、同種内で働くフェロモンである。

⑤【正】

侵入者を見つけたミツバチが仲間に警戒を促す物質は警報フェロモン。

⑥【誤】

アブラムシがアリを誘引するのは異なる種の間の作用であり、同種個体間で働くというフェロモンの定義に当てはまらない。

これが誤っているもの=正解です。

第5問

問1:正解④

<問題要旨>

クチクラと光合成色素は共通、果実は被子植物だけ

下線部(a)の被子植物について、ほかの植物と共通してもつ特徴を過不足なく選ぶ設問。ⓐ表皮がクチクラ(クチクラ層)で覆われることは、体からの水分の蒸散を防ぐために陸上植物に広くみられる特徴である。ⓑシャジクモ類と同じ光合成色素、すなわちクロロフィルaとクロロフィルbをもつことは、シャジクモ類から陸上植物へと続く緑色植物の系統に共通する特徴である。ⓒ果実の中に種子がつくられるのは、胚珠が子房に包まれる被子植物だけの特徴で、胚珠がむき出しの裸子植物には果実がない。よってⓐ・ⓑの④が正解。

<選択肢>

①【誤】

ⓐは正しいが、ⓑも共通する特徴なので不足している。

②【誤】

ⓑは正しいが、ⓐも共通する特徴なので不足している。

③【誤】

ⓒの果実は被子植物に固有の特徴であり、ほかの植物と共通してもつ特徴ではない。

④【正】

ⓐ:クチクラによる表皮の被覆は、乾燥した陸上での生活に適応した陸上植物に共通する特徴。

ⓑ:クロロフィルaとbという光合成色素の組合せは、シャジクモ類を含む緑色植物に共通する。

この二つが過不足なく含まれている。

⑤【誤】

ⓐは正しいが、被子植物固有のⓒを含むので不適。

⑥【誤】

ⓑは正しいが、被子植物固有のⓒを含むので不適。

⑦【誤】

ⓒを含むので不適。子房が発達した果実をもつのは被子植物だけである。

問2:正解②、⑥

<問題要旨>

乗換えなしなら2種類、自由なら2×2×2=8種類

ある常染色体に三つの遺伝子座が連鎖し、それぞれで対立遺伝子がヘテロ接合している個体を考える。アについて、減数分裂で相同染色体の乗換えが全く起こらなければ、同じ染色体上の三つの遺伝子はひとまとまりで行動するので、配偶子がもつ対立遺伝子の組合せは親と同じ2種類だけになる(ア=2、②)。イについて、乗換えが自由に起これば三つの遺伝子座の対立遺伝子が互いに独立に組み合わさるので、2×2×2=8種類が最大となる(イ=8、⑥)。

<選択肢>

①【誤】

1種類になるのは、すべての遺伝子座がホモ接合の場合。ここでは三つともヘテロ接合である。

②【正】

アに入る数値。乗換えが全く起こらないと三つの連鎖した遺伝子はまとまって配偶子に入るので、組合せは相同染色体それぞれに由来する2種類のみ。

③【誤】

3種類という組合せは生じない。

④【誤】

4種類は2遺伝子座がヘテロの場合(2×2)の数で、三つの遺伝子座では合わない。

⑤【誤】

6種類という組合せは生じない。3×2のような計算は誤り。

⑥【正】

イに入る数値。乗換えが自由に起これば三つの遺伝子座の対立遺伝子が独立に組み合わさるので、2×2×2=8種類が最大となる。

⑦【誤】

9種類は3×3の値で、対立遺伝子が各座2種類であることと合わない。

⑧【誤】

36種類は配偶子ではなく子の遺伝子型の数などと取り違えた値で、ここでは当てはまらない。

問3:正解⑤

<問題要旨>

受容体という考察に転写調節の実験は結びつかない

ショウジョウバエの複眼の各個眼にはR1〜R8の光受容細胞が1個ずつあり、遺伝子Xが働かない変異体Xと遺伝子Yが働かない変異体Yでは、R1〜R6とR8は正常に分化するのにR7だけが分化しない。導きたい考察は「将来R7になる細胞のタンパク質Xが、R8がつくるタンパク質Yの受容体として働き、R7の分化が誘導される」というもの。①はXの細胞内での局在、②はXがどの細胞で転写されているか、③はXがどの細胞で必要か、④はYがどの細胞(R8)で必要かを調べる実験で、いずれもこの考察を支える。⑤だけが受容体という考察と結びつかない。

<選択肢>

①【正】

タンパク質Xが受容体なら細胞膜に存在するはずで、細胞内のどこにあるかを調べることは考察を支持する実験になる。

②【正】

遺伝子XのmRNAが将来R7になる細胞で転写されていることを確かめれば、「R7になる細胞のタンパク質X」という部分を裏づけられる。

③【正】

どの細胞で遺伝子Xの発現を阻害するとR7が分化しなくなるかを調べれば、Xが働くべき細胞がR7になる細胞であることを確かめられる。

④【正】

どの細胞で遺伝子Yの発現を阻害するとR7が分化しなくなるかを調べれば、タンパク質YがR8でつくられて働くことを確かめられる。

⑤【誤】

タンパク質Xが遺伝子Yの転写調節領域に結合するかを調べる実験は、Xを転写を調節する調節タンパク質とみなすもの。考察はXがタンパク質Yの受容体として働くというものであり、この実験では考察を導けない。

これが適当でないもの=正解です。

問4:正解①

<問題要旨>

変異体Yは紫外線に無反応、可視光には正の走性

実験1では、暗所で容器の中心に入れたショウジョウバエが光を当てないと一様に広がった。図2では、野生型は紫外線のみでも可視光のみでも光源側に集まり、可視光と紫外線を同時に当てると紫外線側に集まった。R7が分化しない変異体Yは、可視光のみでは光源側に集まり、可視光と紫外線を同時に当てても可視光側に集まったが、紫外線のみでは容器全体に一様に分布したままだった。R1〜R6とR8は正常に分化しているのに紫外線に反応しないので、紫外線に対する正の光走性にはR7が必要といえる。よってⓓのみを含む①。

<選択肢>

①【正】

ⓓのみ。変異体YではR1〜R6とR8が正常に分化しているにもかかわらず紫外線のみでは一様分布のままで、可視光と紫外線を同時に当てても可視光側に集まった。紫外線に対する正の光走性にはR7が紫外線に反応することが必要である。

②【誤】

ⓔは誤り。変異体Yは紫外線のみのときに容器全体へ一様に分布しており、これは反応しない(無反応)ということで、光源から遠ざかる負の光走性ではない。

③【誤】

ⓕは誤り。R7が分化しない変異体Yでも可視光に対して正の光走性を示しているので、R1〜R8の全てが必要とはいえない。

④【誤】

ⓓは正しいが、誤りのⓔを含む。

⑤【誤】

ⓓは正しいが、誤りのⓕを含む。

⑥【誤】

ⓔ・ⓕとも図2の結果と合わない。

⑦【誤】

ⓔ・ⓕを含むので不適。導かれるのはⓓだけである。

第6問

問1:正解④

<問題要旨>

種子は成熟すると乾燥に対して強くなる

下線部(a)の種子形成に関連して、被子植物の種子の形成から発芽に至る過程を問う設問。受精後、受精卵は体細胞分裂を繰り返して幼根・胚軸・子葉・幼芽をもつ胚となり、胚珠を包む珠皮が種皮に、胚珠全体が種子になる。種子は成熟の過程で水分が減り、アブシシン酸の働きで休眠に入って乾燥に耐えられる状態になる。発芽の際にはジベレリンがアミラーゼの合成を促し、貯蔵物質が分解されて成長に使われる。以上から、④の「種子は、成熟すると乾燥に対して強くなる」が最も適当。

<選択肢>

①【誤】

種皮になるのは胚珠を包む珠皮であって、胚珠全体ではない。胚珠全体は種子になる。

②【誤】

受精卵は体細胞分裂を繰り返して胚になる。細胞分裂を経ずに胚になることはない。

③【誤】

発芽前の種子の中の胚には、すでに幼根・胚軸・子葉・幼芽といった器官が分化している。

④【正】

種子は成熟の過程で脱水が進み、アブシシン酸の働きで休眠状態に入る。この状態になると乾燥に強くなり、長期間の保存に耐えられる。

⑤【誤】

アブシシン酸は休眠を維持して発芽を抑える働きをもつ。含有量が増えると発芽しにくくなる。

問2:正解②

<問題要旨>

受精しない割合が最大の段階Ⅲ=花粉四分子の形成

下線部(b)に関連し、花粉の成熟に至る途中のさまざまな時期のイネを12℃の低温にさらして、受精しなかった割合を発生段階ごとに示したのが図1である。受精しなかった割合は段階Ⅰが約2%、Ⅱが約10%、Ⅲが約28%、Ⅳが約10%、Ⅴが約6%で、段階Ⅲが突出して高い。表1によれば段階Ⅲは「減数分裂により、花粉母細胞から花粉四分子が形成される」段階なので、この時期が他の段階よりも低温の影響を受けやすいといえる。よって②が最も適当。

<選択肢>

①【誤】

花粉管細胞と雄原細胞の形成は表1の段階Ⅴにあたるが、図1で段階Ⅴの値は約6%と低く、大きな影響を受けているとはいえない。

②【正】

表1の段階Ⅲが花粉四分子の形成にあたり、図1ではここだけが約28%と突出して高い。他の段階(2〜10%)と比べて低温の影響を受けやすいと判断できる。

③【誤】

おしべの分化は段階Ⅰで、図1では約2%と最も低い。低温でおしべが分化しなくなるとは読み取れない。

④【誤】

図1に示されているのは段階Ⅰ〜Ⅴで、花粉が成熟する段階Ⅵは調べられていない。成熟した花粉についてはこの結果から何も言えない。

⑤【誤】

段階Ⅰは約2%、段階Ⅴは約6%で、いずれも10%に達していない。「どの発生段階であっても10%以上低下する」は誤り。

問3:正解⑤

<問題要旨>

調べたのは低温だけ、気温上昇の影響は分からない

下線部(c)に関連する設問。イネは花芽形成前の茎頂分裂組織が地面近くにあり(図2)、葉や花穂はここから分化して伸びる。時期Xに水田の水深をイネの下半分が水につかるまで深くしておくと、気温が一時的に低下しても花粉の形成に大きな影響がなかった。水は温度変化がゆるやかなので、水面下にある花穂が気温の低下から守られたと考えられる。①〜④はこの結果から導けるが、⑤は気温が一時的に「上昇」した場合の話であり、実験で扱ったのは低温だけなので判断できない。これが適当でないもの=正解です。

<選択肢>

①【正】

水深を深くした状態では花穂が水面下にあるので、上半分だけが低温にさらされても花粉形成は影響を受けない。実験結果から導ける考察である。

②【正】

水深を深くする操作で花粉形成が守られたということは、低温に最も弱い花粉四分子の形成(表1の段階Ⅲ)が時期Xに起こっていたと考えられる。

③【正】

水は温度変化がゆるやかなので、花穂が水面下にあることで気温の一時的な低下から花粉の形成が保護されたと考えられる。

④【正】

花穂が伸びて水面より上に出てしまえば保護されないので、花粉の成熟が遅れたまま花穂が伸びた場合には、水深をより深くする必要がある。

⑤【誤】

この実験で調べたのは気温が一時的に「低下」した場合の影響だけで、気温が上昇した場合に種子の実る割合がどうなるかについては何のデータもない。

これが適当でないもの=正解です。

問4:正解①

<問題要旨>

ジベレリンは草丈を高くし、低温の阻害から花粉を守る

実験1では、ジベレリン合成能力の変化が原因で草丈が低い矮性のイネは、普通の草丈のイネに比べて低温処理時の異常な花粉の割合がさらに高くなった。また普通の草丈のイネを低温処理すると葯のジベレリン量が処理しない場合より減少し、この処理の際に根からジベレリンを吸収させると正常な花粉の割合が回復した。ここからジベレリンには草丈を高くする働き(ア)と、低温にさらされたときの花粉の形成を阻害から守る働き(イ)があると分かる。草丈を低くする品種改良はジベレリンの働きを弱める方向なので、現代のイネは低温に対して弱く(ウ)なっている可能性がある。よって①。

<選択肢>

①【正】

ア=高く:ジベレリン合成能力が下がった矮性のイネは草丈が低いので、ジベレリンは草丈を高くする働きをもつ。

イ=阻害から守る:低温で葯のジベレリンが減ると異常な花粉が増え、ジベレリンを吸収させると正常な花粉の割合が回復した。

ウ=弱く:草丈が低い現代のイネはジベレリンの働きが弱い方向に改良されているため、低温に弱くなっている可能性がある。

②【誤】

ア・イは正しいが、ウを「強く」としている点が誤り。ジベレリンが花粉を守るのだから、その働きが弱い品種は低温に弱くなるはずである。

③【誤】

イを「阻害する」としている点が誤り。ジベレリンを吸収させると正常な花粉の割合が回復したので、ジベレリンは阻害する側ではない。

④【誤】

イ・ウとも実験1の結果と合わない。

⑤【誤】

アを「低く」としている点が誤り。ジベレリン合成能力が下がった矮性イネは草丈が低いのだから、ジベレリンは草丈を高くする。

⑥【誤】

アが誤りで、ウも「強く」としており誤り。

⑦【誤】

ア・イとも実験1の結果と逆である。

⑧【誤】

ア・イ・ウのいずれも実験1の結果と合わない。

問5:正解①

<問題要旨>

先に−15℃にすると枯れてしまい検証にならない

実験2では、シロイヌナズナを23℃から急速に−15℃に下げると23℃に戻しても枯れたが、あらかじめ2℃で3日間栽培して寒さに慣らしてから−15℃処理をすると枯れずに生き続け、生き残った植物では細胞内の糖やアミノ酸の量が増えていた。「細胞内の糖やアミノ酸を増やすことが凍結による細胞破壊の回避に有効」という考えを検証するには、2℃処理・糖やアミノ酸の増加・耐凍性の三者の対応を確かめればよい。①は寒さに慣らす前に−15℃処理をしており、植物はその時点で枯れてしまうので、その後の測定では考えを検証できない。これが適当でないもの=正解です。

<選択肢>

①【誤】

実験2のとおり、寒さに慣らしていない植物を急に−15℃にすると枯れてしまう。枯れた植物を2℃に移して3日後に糖やアミノ酸を測っても、耐凍性との関係は調べられない。処理の順序が逆である。

これが適当でないもの=正解です。

②【正】

あらかじめ2℃で栽培する場合としない場合とで−15℃による細胞の破壊の程度を比べれば、寒さに慣らすことが破壊の回避に有効かどうかを確かめられる。適当な追加実験。

③【正】

2℃で3日間栽培する前後で糖やアミノ酸の量を比べれば、寒さに慣らす過程でこれらが実際に増えるかどうかを確かめられる。適当な追加実験。

④【正】

糖やアミノ酸の合成に関わる酵素の遺伝子が働かない株で−15℃に弱くなるかを調べれば、これらの物質の増加が耐凍性に必要かどうかを確かめられる。適当な追加実験。

⑤【正】

同じ酵素の遺伝子を過剰に働かせた株で−15℃に強くなるかを調べれば、これらの物質の増加が耐凍性をもたらすのに十分かどうかを確かめられる。適当な追加実験。

※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

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