2024年度 大学入学共通テスト 追試験 地理B 解答・解説

2024年度 大学入学共通テスト 追試験「地理B」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。

目次
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解答

解説

2024年度大学入学共通テスト追試験の地理Bは、第1問から第5問までの5つの大問、設問数30問(解答番号1〜30)で構成されています。満点は100点、試験時間は60分です。大問ごとの配点は第1問20点・第2問20点・第3問20点・第4問20点・第5問20点と5つの大問がすべて同じ配点で、各大問が問1〜問6の6設問に分かれています。A・Bのパート分けはありません。

第1問は世界の自然環境と自然災害で、プレート境界と震源の深さ、季節風、植生の垂直分布、地形の時間・空間スケール、自然災害の発生数、洪水時の水位変化を扱います。第2問はナオさんたちが「持続可能な資源利用と産業のあり方」を探究する場面で、世界の資源と産業の分布図、アメリカ合衆国の石油需給、工業付加価値額の内訳、食料の貿易フロー、光化学スモッグが題材です。第3問は都市と人口・生活文化で、19世紀後半の鳥瞰図、市町村の高齢化率と通勤率、外国籍人口の男女比、三都府県間の人口移動、宗派別のキリスト教人口が並びます。第4問は南アメリカの地誌で、雨温図・カルトグラム・作付面積・貿易相手・鉱産資源・首都の市街図を扱い、第5問は東京都に住むアキラさんが入間市を含む埼玉県南西部で行った地域調査です。

この回の特徴は、地図・統計図表の読み取りがほぼ全問で求められる点です。とくに、3つの記号を3つの資料に割り当てる組合せ型が多く、第1問問4・問5、第2問問1・問3・問4、第3問問2、第4問問1・問2・問4、第5問問1と10問を占めます。いずれも「分布のかたち」「数値の大小」「どの国が入り、どの国が入らないか」といった確かめられる根拠を1つ見つけて2択まで絞り、もう1つで決着させる手順が有効です。また、文章や会話文の下線部から適当でないもの・誤りを含むものを選ぶ型が6問(解答番号3・11・12・15・27・30)あり、このうち解答番号3と解答番号15は図が問題冊子では省略されています。省略された図を前提にせず、示されている文章と原理で詰められるところまで詰める読み方が必要です。

第1問 世界の自然環境と自然災害(配点20)

火山と震源の分布、季節風、植生の垂直分布、地形のスケール、自然災害の発生数、洪水時の水位変化という6つの資料から、自然環境の成り立ちと災害の現れ方を読み取らせる大問です。分布や数値の背後にある原理に戻れるかが問われます。

問1:正解 ④(解答番号1/配点4)

<問題要旨>

図1のアとイは、図2中のA(北アメリカ大陸の西岸)とB(南アメリカ大陸の西岸)のいずれかの範囲における火山と震源の分布を示したもので、震源は深さ50kmを基準に2種類の記号(mとn)で描き分けられています。空欄mに当てはまる語句と、Bに該当する記号との組合せを選ぶ設問です。

<考え方>

沈み込み帯では、震源は海溝から大陸側へ離れるほど深くなるという分布の原理に戻ります。図1のイでは、○の記号がプレートの境界を示す破線に沿って帯状に密集するのに対し、□の記号は境界から大きく離れた内陸側にまで広く散らばっています。境界から離れた場所の地震ほど深いのですから、□がm=深いと決まります。一方アには□が1つも描かれておらず、境界に沿った浅い地震だけが並びます。深発地震を伴うイが沈み込み帯、アが沈み込みを伴わない境界で、Bの南アメリカ大陸西岸はアンデス山脈をつくる沈み込み帯ですからイが該当します。

<選択肢>

①【誤】

□を浅いとすると、プレートの境界から数百km離れた内陸にも浅い地震が数多く起こることになり、海溝から離れるほど深くなるという震源の分布と合いません。Bをアとする点も、深い地震を示す□が1つもないアを沈み込み帯に当てることになり成り立ちません。

②【誤】

Bをイとする点は正しいものの、□を浅いとする点が誤りです。イでは○が境界沿いに集中し□が内陸側へ広がっており、境界から離れて分布する□のほうが深い地震にあたります。

③【誤】

m=深いとする点は正しいものの、Bをアとする点が誤りです。アには深い地震を示す□が全く描かれておらず、深発地震を伴う南アメリカ大陸西岸の沈み込み帯の分布とは相容れません。

④【正】

□は境界から内陸側へ離れた広い範囲に分布するので深い地震(m=深い)、○は境界沿いに密集するので浅い地震(n)です。そして深発地震を伴う沈み込み帯の分布を示すイが、南アメリカ大陸西岸のBにあたります。

正解【④】

震源は海溝から離れるほど深くなるので□が深い地震、深発地震を伴うイが南アメリカ大陸西岸のBとなり、④が正解です。

問2:正解 ③(解答番号2/配点3)

<問題要旨>

図3には、図2中のs(アラビア海)とt(太平洋中部)のいずれかの範囲における1月と7月の風向・風速が、矢印の向きと長さで示されています。表の左右2列が範囲、上下2行が月にあたり、sの1月に該当するものを選ぶ設問です。

<考え方>

季節によって風向が正反対に変わるのがモンスーン、一年を通じて同じ向きに吹き続けるのが貿易風、という区別に戻ります。図3では①と③が互いにほぼ逆向き(①は北東へ、③は南西へ向かう)で、②と④はどちらも西向きで向きがほとんど変わりません。したがって①③の列が風向の反転するアラビア海のs、②④の列が北東貿易風が吹き続ける太平洋中部のtです。アラビア海では7月に南西モンスーンが強く吹き、1月には北東モンスーンが弱く吹くので、矢印が南西へ向かい長さも短い③がsの1月にあたります。

<選択肢>

①【誤】

矢印が北東へ向かい、長さも4つの中で最も長くなっています。南西から吹き込む強い風なので、アラビア海の南西モンスーン、つまりsの7月にあたります。

②【誤】

矢印がほぼ真西を向き、向きも長さも範囲全体でそろっています。一年を通じて向きの変わらない北東貿易風が吹く太平洋中部のtで、sの図ではありません。

③【正】

矢印は南西へ向かい、①に比べて短くなっています。北東から吹く冬のモンスーンで風速も弱く、アラビア海のsの1月にあたります。

④【誤】

②と同じく西寄りの向きで一様にそろっており、こちらも太平洋中部のtです。①③と組になるアラビア海の図ではありません。

正解【③】

風向が季節で反転する①③の組がアラビア海のsで、そのうち北東から吹く弱い風を示す③が1月にあたります。

問3:正解 ④(解答番号3/配点4)

<問題要旨>

本州北部から九州にかけての植生の垂直分布を南北断面で模式的に示した図4について、それに関する文章中の下線部①〜④のうち、適当でないものを選ぶ設問です。図4は問題冊子では省略されています。

<考え方>

下線部④は氷期の森林限界の位置についての記述で、気候と植生帯の関係だけで判定できます。植生帯の境界や森林限界の高度は気温によって決まり、気温が低いほど低い標高へ下がります。氷期は地球規模で寒冷だった時期ですから、森林限界は現在より低い位置にあったはずで、「現在の位置よりも高かった」とする④は原理と逆向きです。残る①〜③は、富士山付近における落葉広葉樹林帯の上限と下限の標高差、北へ行くほど植生帯の境界が低くなること、標高の高い側に針葉樹林帯・低い側に常緑広葉樹林帯が並ぶことで、いずれも日本の垂直分布の一般的な姿と矛盾しません。

<選択肢>

①【適当】

本州中部にあたる富士山付近の緯度では、落葉広葉樹林帯はおよそ標高700m前後から1700m前後にかけて分布します。上限と下限の標高差は約1000mとなり、値として無理がありません。

②【適当】

同じ植生帯でも高緯度ほど気温が低いため、境界の標高は北へ行くほど下がります。境界や森林限界が右側ほど低くなるなら右が北だ、という推論は、気温と植生帯の対応に沿った読み方です。

③【適当】

針葉樹林帯は常緑広葉樹林帯より低温に耐える植生で、同じ地点では標高の高い側に分布します。標高の高い場所のGが針葉樹林帯、低い場所のHが常緑広葉樹林帯という対応で正しくなります。

④【適当でない】

森林限界の高度は気温で決まり、寒冷になるほど低下します。現在より寒冷だった氷期には、森林限界は現在よりも低い位置にありました。気温の変化と植生帯が移動する向きを逆にした記述です。

正解【④】

寒冷な氷期には森林限界は現在より低下するので、「高かった」とする④が適当でありません。

問4:正解 ⑤(解答番号4/配点3)

<問題要旨>

図5は、いくつかの地形について、形成にかかる時間スケールを横軸、広がる空間スケールを縦軸にとって模式的に示したものです。図5中のJ〜Lと、3つの地形の説明文サ〜スとの組合せを選ぶ設問です。

<考え方>

地形は、規模が大きいものほど形成に長い時間がかかるという対応で並びます。図5でJは空間スケール100km・時間スケール10⁶〜10⁸年、Kは100m前後・10²〜10⁴年、Lは10m前後・数年〜10²年の位置にあります。あとは説明文の側で地形の名称を特定し、規模と形成時間の大小で並べ直せば対応がつきます。

<選択肢>

J=ス【正】

「地質の構造を反映して形成された平野」で、硬軟のある地層が傾斜して急斜面と緩斜面が繰り返されるのは、ケスタをもつ構造平野です。地層の堆積と長期の侵食を要し、広がりも数百kmに及ぶので、右上のJにあたります。

K=サ【正】

「浅い海底でつくられた平坦面が隆起した地形で、階段状の急崖と平坦面がみられる」のは海岸段丘です。段丘面の形成と隆起の繰り返しには10⁴年前後の時間がかかり、一段の平坦面の幅も100m〜1km程度なので、中央のKにあたります。

L=シ【正】

「河川の氾濫により、蛇行する河道沿いに砂が堆積してできた、周辺よりもやや高く水はけのよい地形」は自然堤防です。一度の洪水でも高さを増し、幅は数十mから数百m、比高も数mにとどまるので、左下のLにあたります。

正解【⑤】

規模が大きく形成に長い時間を要する順にス(構造平野)・サ(海岸段丘)・シ(自然堤防)となり、J=ス、K=サ、L=シの⑤が正解です。

問5:正解 ③(解答番号5/配点3)

<問題要旨>

図6のタ〜ツは、1981年から2020年に東南アジアと南アジアで発生した、火山噴火・地震・暴風雨のいずれかによる自然災害の発生数を、国別に円の大きさで示したものです。災害をもたらした自然現象名とタ〜ツとの組合せを選ぶ設問です。円の凡例の最大値はタが100回、チが50回、ツが300回です。

<考え方>

円が描かれている国の顔ぶれと、凡例の最大値を先に確かめます。火山噴火は火山のある国でしか起こらないので分布が最も限られ、暴風雨は熱帯低気圧の通り道にあたる国で発生数が桁違いに多くなります。チはインドネシアとフィリピンにしか円がなく、インドやパキスタンは空白なので火山噴火です。ツは凡例の最大が300回と3枚で最も大きく、フィリピン・ベトナム・インド・バングラデシュに大きな円が並ぶので暴風雨です。残るタは、インドネシアのほかパキスタン・インド・ネパール・ミャンマーにも円があり、ヒマラヤの衝突帯まで含む分布なので地震です。

<選択肢>

火山噴火=チ【正】

円があるのはインドネシアとフィリピンだけで、南アジアには1つもありません。火山をもつ島弧に限られる分布で、凡例の最大値も50回と3枚で最も小さく、発生頻度の低さとも合います。

地震=タ【正】

インドネシアの円が最も大きい一方、パキスタン・インド・ネパール・ミャンマーにも円があります。海溝に沿う沈み込み帯だけでなく、インド亜大陸がユーラシアに衝突する帯にも広がる分布で、地震にあたります。

暴風雨=ツ【正】

凡例の最大値が300回と3枚で最も大きく、フィリピン・ベトナム・インド・バングラデシュ・ミャンマーに大きな円が並びます。台風とサイクロンの経路にあたる国がそろっており、暴風雨にあたります。

正解【③】

分布が火山のある島弧に限られるチが火山噴火、衝突帯まで広がるタが地震、発生数が桁違いに多いツが暴風雨で、③が正解です。

問6:正解 ③(解答番号6/配点3)

<問題要旨>

図7は日本のある河川の水位観測地点P〜Rを示したもので、流下方向からPが最も上流、Rが最も下流にあたります。図8は1976年に堤防が決壊した際の3地点の水位変化を示し、マ〜ムがP〜Rのいずれかです。観測地点との対応を述べた文xと、決壊した場所を述べた文yの正誤の組合せを選ぶ設問です。

<考え方>

洪水時の水位変化は、上流ほど早く鋭く、下流ほど遅れてなだらかに現れます。図8で最初のピークに達するのはムが最も早く、次いでミ、最も遅れてマが2日目の手前で頂点になります。波形もムが細かく上下して鋭いのに対し、マはなめらかで振幅が最も大きく、下流の特徴を示します。よってP=ム、Q=ミ、R=マとなり、Pをマとする文xは誤りです。次に決壊を示す縦線より後の水位低下を比べると、マだけが8m台から4m台へ約4m下がるのに対し、ミとムの低下幅は2m弱にとどまります。本来なら下流ほど減水はゆるやかになるはずで、その下流側だけが最も速く下がったのは、その付近で堤防が決壊して水が河道の外へ流れ出たためと読めます。文yは正しくなります。

<選択肢>

x【誤】

ピークに達する順はム・ミ・マで、波形の鋭さもムが最も鋭く、マが最もなだらかです。上流ほど早く鋭く現れるので、P=ム、Q=ミ、R=マとなります。P=マ、R=ムとする対応は、上流と下流を入れ替えた誤りです。

y【正】

決壊を示す縦線より後、マは1日半ほどで約4m低下するのに対し、ミとムの低下は2m弱にとどまります。下流ほど減水がゆるやかになるという通常の姿と逆であり、マの地点付近で河道の水が堤防の外へ流出したと考えられます。

正解【③】

ピークの到達順からP=ム・R=マでxは誤り、決壊後にマだけが急激に減水することからyは正しく、③が正解です。

第2問 持続可能な資源利用と産業のあり方(配点20)

ナオさんたちが授業で「持続可能な資源利用と産業のあり方」を探究する場面です。世界の資源と産業の分布図、アメリカ合衆国の石油需給、各国の工業付加価値額の内訳、食料の貿易フロー、光化学スモッグの健康被害という資料をたどり、最後に話し合いの内容そのものを吟味します。

問1:正解 ①(解答番号7/配点3)

<問題要旨>

図1は、工業出荷額と3つの指標について、世界の上位20か国・地域を地図上で塗り分けたものです。a〜cが石油生産量・二酸化炭素排出量・農産物の生産量のいずれかで、指標名との組合せを選ぶ設問です。

<考え方>

3つの指標は「どの国が入り、どの国が入らないか」で切り分けられます。石油生産量は産油国だけが並び、工業国でも産油国でなければ入りません。二酸化炭素排出量は工業国・エネルギー多消費国が並びます。農産物の生産量は人口が多く耕地の広い国が並びます。aではサウジアラビア・イラク・イラン・クウェート・カタール・アラブ首長国連邦に加えナイジェリア・アンゴラ・アルジェリア・リビア・ノルウェー・ベネズエラが塗られ、日本・インド・オーストラリアは白いままです。bでは日本・韓国・オーストラリア・カナダ・南アフリカ共和国とヨーロッパの工業国が入ります。cでは日本が白く、ナイジェリア・アルゼンチン・タイ・ベトナム・フィリピン・バングラデシュが入ります。

<選択肢>

a=石油生産量【正】

西アジアの産油国に加え、ナイジェリア・アンゴラ・アルジェリア・リビア・ノルウェー・ベネズエラが塗られ、工業国でも産油国でない日本やオーストラリアは白く残ります。産油国だけが選ばれる指標は石油生産量です。

b=二酸化炭素排出量【正】

日本・韓国・オーストラリア・カナダ・南アフリカ共和国とヨーロッパの工業国が入り、アフリカでは南アフリカ共和国以外がほぼ白いままです。エネルギー消費量の大きい国が並ぶ指標なので二酸化炭素排出量です。

c=農産物の生産量【正】

ナイジェリア・アルゼンチン・タイ・ベトナム・フィリピン・バングラデシュなど耕地が広く農業人口の多い国が入る一方、工業国の日本は入りません。人口規模と耕地面積が効く指標なので農産物の生産量です。

正解【①】

産油国だけが並ぶaが石油生産量、工業国が並ぶbが二酸化炭素排出量、農業国が並ぶcが農産物の生産量で、①が正解です。

問2:正解 ③(解答番号8/配点4)

<問題要旨>

図2は、アメリカ合衆国における石油の生産量・消費量・輸入量・輸出量の1970年から2020年までの推移を示したものです。図2に関することがらについて述べた文のうち、下線部が最も適当なものを選ぶ設問です。

<考え方>

グラフのどの時期にどの曲線が動いたかを確かめてから、その原因として妥当な説明を選びます。図2で最も大きな変化は2000年代後半からの生産量の急増で、それに合わせて輸入量が減少し、輸出量が増加しています。この時期にアメリカ合衆国で起きたのはシェール層に含まれる原油・天然ガスの開発で、水平坑井と水圧破砕という掘削技術の進歩によって、それまで採算のとれなかった資源が採掘できるようになりました。

<選択肢>

①【誤】

1980年前後に消費量が減少したのは、二度の石油危機による価格高騰と省エネルギーの進展、景気後退によるものです。需要の増加に生産が追いつかないことは輸入量の増加をもたらしても、消費量そのものの急減の理由にはならず、因果が結びついていません。

②【誤】

2000年代半ばからの輸入量の減少は、同じ時期に急増している国内生産量が置き換えたためです。再生可能エネルギーの伸びはこの時期にはまだ小さく、風力や太陽光は主に発電向けで、輸送用燃料が中心の石油を直接代替する関係にもありません。

③【正】

2000年代後半から生産量が急増し、2010年代には消費量に迫る水準まで上昇しています。シェール層からの原油採掘が水平坑井と水圧破砕の技術によって可能になったことによるもので、グラフの変化と原因が対応します。

④【誤】

2000年代後半からの輸出量の急増は、国内生産が増えて余剰が生じ、長く続いた原油輸出の制限が解除されたことによるものです。日本が輸入するようになったからだとする点は、貿易相手と規模を取り違えています。

正解【③】

2000年代後半の生産量の急増はシェールオイルの採掘技術の進歩によるもので、③が最も適当です。

問3:正解 ⑥(解答番号9/配点3)

<問題要旨>

図3は、日本・インド・オーストラリアのいずれかであるA〜Cについて、工業付加価値額の内訳を食料品・繊維・化学・金属・一般機械・電気機械・輸送用機械・その他の割合で示したものです。A〜Cと、各国の工業の特徴を述べた文章ア〜ウとの組合せを選ぶ設問です。

<考え方>

機械工業の割合の高さと、食料品・化学・繊維の割合を手がかりにします。Aは食料品が約25%と突出し金属も約19%を占める一方、3種類の機械を合わせても2割ほどにとどまります。Bは輸送用機械が約19%、電気機械が約16%、一般機械が約12%と機械工業だけで半分近くを占めます。Cは化学が約29%と3か国で最も高く、繊維も約9%と最大です。農畜産物の加工と鉱産資源の精錬が中心で機械工業が育っていないのがオーストラリア、機械工業に特化しているのが日本、石油化学と繊維の比重が大きいのがインドです。

<選択肢>

A=ウ【正】

食料品と金属で4割を超え、機械工業の割合が小さいのがオーストラリアです。農畜産物の加工とアルミニウム・鉄鋼などの資源型工業が中心で、人口が2500万人程度と国内市場が小さく、近年は中国をはじめ近隣諸国との結びつきを強めています。

B=イ【正】

輸送用機械・電気機械・一般機械の3つで4割を超えるのが日本です。原料や燃料を輸入して工業製品を輸出する加工貿易で成長し、近年はより付加価値の高い製品の製造への転換が進んできました。

C=ア【正】

化学が約29%と最も高く、繊維も約9%を占めるのがインドです。独立後は輸入代替型の工業化を進め、1990年代の経済自由化以降は輸出指向型に転換して、多くの人口と豊富な資源を背景に急速に工業化が進んできました。

正解【⑥】

食料品と金属が中心のAがオーストラリア(ウ)、機械工業中心のBが日本(イ)、化学と繊維の比重が大きいCがインド(ア)で、⑥が正解です。

問4:正解 ⑥(解答番号10/配点4)

<問題要旨>

図4のカ〜クは、果実類・牛肉・穀物のいずれかについて、2019年における2国・地域間の輸出入量の上位9件を矢印で示したものです。矢印の太さが1〜3位・4〜6位・7〜9位を表します。品目名とカ〜クとの組合せを選ぶ設問です。

<考え方>

品目ごとに、流動の「距離」と「相手」が違う点に注目します。カはアメリカ合衆国から日本とメキシコへ、黒海沿岸からエジプトへ、南アメリカ南部から東南アジアへと、大量の長距離輸送が世界規模に広がっています。キはブラジルやアルゼンチンから中国へ、オーストラリアやニュージーランドから中国・日本へ、カナダからアメリカ合衆国へ向かう矢印が中心です。クは中央アメリカ・メキシコからアメリカ合衆国へ、南アメリカ北西部からヨーロッパへ、スペインからドイツへ、東南アジアから中国へというように、近い相手どうしの矢印が地域ごとにまとまっています。

<選択肢>

果実類=ク【正】

矢印が北アメリカ域内・ヨーロッパ域内・東アジアから東南アジアの域内と、それぞれ近い相手どうしで閉じています。バナナや柑橘類のように傷みやすく、産地から近い消費地へ運ばれる果実類の特徴です。

牛肉=キ【正】

ブラジル・アルゼンチンからの矢印と、オーストラリア・ニュージーランドからの矢印が東アジアに集まり、カナダからアメリカ合衆国へも向かいます。大規模な牧畜を行う国から所得の高い消費国へ流れる牛肉にあたります。

穀物=カ【正】

アメリカ合衆国から日本・メキシコ、黒海沿岸からエジプト、南アメリカ南部から東南アジアへと、3枚の中で最も大量かつ広域に動いています。重量あたりの価格が低くても大量に海上輸送される穀物の流動です。

正解【⑥】

近距離でまとまるクが果実類、牧畜国から東アジアへ集まるキが牛肉、世界規模で大量に動くカが穀物で、⑥が正解です。

問5:正解 ④(解答番号11/配点3)

<問題要旨>

図5は関東平野で1972年から1975年までに光化学スモッグによる重度の健康被害が発生した地域を、図6は東京都における1970年度から2020年度までの健康被害者数と注意報発令日数の推移を示したものです。これらに関することがらについて述べた文章中の下線部①〜④のうち、適当でないものを選ぶ設問です。

<考え方>

図6で2本の折れ線を分けて読むことが要点です。健康被害者数は1970年代前半の2万人台から急減し、2011年度以降は0人になります。これに対して注意報発令日数は減少傾向にあるものの、2011年度以降も毎年5日から15日程度が記録されており、0にはなっていません。注意報が発令されている以上、原因物質の濃度は基準を超えており、光化学スモッグそのものは発生し続けています。健康被害者が出なくなったのは発生がなくなったからではありません。

<選択肢>

①【適当】

東京湾沿岸には石油化学や鉄鋼などの工場が集まり、工場排煙に含まれる窒素酸化物や炭化水素が原因物質のもとになります。図5で重度の健康被害が沿岸地域に現れていることと整合します。

②【適当】

原因物質は紫外線を受けて二次的に生成し、風に運ばれながら濃度を高めます。日中は海から内陸へ海風が吹くため、沿岸部から内陸部にかけて帯状に被害地域が広がる図5の分布を説明できます。

③【適当】

大気汚染防止法の制定以降、工場の排煙と自動車の排出ガスに対する規制が強化されました。図6で注意報発令日数が1970年代以降に減少傾向をたどることと対応します。

④【適当でない】

図6の注意報発令日数は2011年度以降も0にはならず、毎年数日から十数日が記録されています。光化学スモッグ自体は発生しており、健康被害者数が0人であることの理由にはなりません。重度の被害が出なくなったことを、発生そのものがなくなったことにすり替えた記述です。

正解【④】

2011年度以降も注意報は発令されており、この地域で光化学スモッグが発生していないとする④が適当でありません。

問6:正解 ①(解答番号12/配点3)

<問題要旨>

世界の持続可能な資源利用や産業のあり方について、ナオさん・タクさんと先生が話し合った会話文です。下線部①〜④のうち、世界の持続可能な資源利用や産業のあり方としては誤りを含むものを選ぶ設問です。

<考え方>

二酸化炭素は大気を通じて地球全体に広がるため、削減は「世界全体でどれだけ減るか」で考えます。化石燃料を使う工場を先進国から途上国へ移しても、燃やす燃料の量が変わらなければ排出する場所が移るだけで、世界全体の排出量は減りません。環境規制や省エネルギー技術の水準が低い国へ移れば、むしろ増えることさえあります。

<選択肢>

①【誤りを含む】

工場を移転しても世界全体の排出量は減らず、排出の場所が移るだけです。規制の緩い国へ移れば増える可能性もあります。一国の排出量が減ることと世界全体の排出量が減ることをすり替えた記述で、「同時に図ることができる」とはいえません。

②【誤りを含まない】

レアメタルなど希少な鉱物資源の採掘では、現地住民の土地や労働、紛争との関わりが問題になってきました。産出地域の人々の権利を保護しながら資源を安定的に流通させる仕組みをつくることは、持続的な利用の考え方に沿っています。

③【誤りを含まない】

その地域の自然環境に適した作物や農法を見直し、自給用の作物を栽培することは、輸入や換金作物の価格変動に左右されにくい食料の確保につながります。飢餓問題を解消するための一つの策として成り立ちます。

④【誤りを含まない】

食料生産で生じる残渣や家畜排せつ物を、飼料・肥料・バイオマスエネルギーとして再利用することは、廃棄物を資源として循環させる取組みです。循環型社会の実現につながるという説明は正しいものです。

正解【①】

工場の移転は排出する場所を移すだけで世界全体の排出量を減らさないため、①が誤りを含みます。

第3問 都市と人口、生活文化(配点20)

19世紀後半の新大陸の都市を描いた鳥瞰図から始まり、県内市町村の高齢化と通勤、シカゴのブルースが演奏される飲食店の立地、外国籍人口の男女比、三都府県間の人口移動、世界の宗派別キリスト教人口までを扱う大問です。

問1:正解 ①(解答番号13/配点3)

<問題要旨>

図1は、新大陸のある都市における19世紀後半の様子を描いた鳥瞰図です。図1に関することがらについて述べた文のうち、最も適当なものを選ぶ設問です。

<考え方>

鳥瞰図に何が描かれ、何が描かれていないかを確かめます。図1では、入り組んだ海岸線と多数の入り江が広がり、そこに突き出した埠頭と、帆船や汽船が数多く停泊する様子が描かれています。市街地は水際に張り出した平坦地と、その背後の高まりの上に建て込んでいます。こうした港湾施設の集積と船の多さが、この都市の成長を支えたものとして読み取れます。

<選択肢>

①【正】

入り組んだ海岸線に沿って多数の船着き場が設けられ、湾内には帆船や汽船が数多く停泊しています。天然の良港を生かした海運と交易が都市の発展を支えたという説明が、描かれている景観とそのまま対応します。

②【誤】

図1には市街地を貫く急勾配の河川も、水車など水力を利用する施設も描かれていません。滝線に沿って発達した工業都市のような景観ではなく、描かれていないものを根拠にした記述です。

③【誤】

市街地を取り囲む高い城壁は描かれていません。新大陸の都市は城壁を巡らせず港や街路を軸に発展したものが多く、ヨーロッパの城塞都市と取り違えた記述です。

④【誤】

街路は区画ごとに整然と並んでおり、中央広場を起点に放射状に延びる道路や同心円状の環状道路は見当たりません。計画都市の街路パターンを当てはめた誤りです。

正解【①】

入り組んだ海岸線と多数の埠頭・停泊する船が描かれており、港湾を基盤に発展した都市とする①が最も適当です。

問2:正解 ③(解答番号14/配点4)

<問題要旨>

図2は、ある県のいくつかの市町村について、横軸に65歳以上人口の割合、縦軸に他市区町村への通勤率をとった散布図で、A〜Cの3つが示されています。A〜Cと、市町村の特徴を述べた文ア〜ウとの組合せを選ぶ設問です。

<考え方>

他市区町村への通勤率は、その市町村が働く場を自前でもつか、外に依存するかを示します。県庁所在都市は商業施設や行政機関が集まって雇用を抱えるため、外へ出ていく通勤率は低くなります。その隣接市町村は住宅地として若い世代が流入し、通勤は県庁所在都市へ向かうので通勤率が高く高齢化率は低くなります。山間部は通える都市が遠く、若年層の流出で高齢化が進むため、通勤率が低く高齢化率が高くなります。図2ではAが高齢化率19%・通勤率61%、Bが28%・28%、Cが45%・15%です。

<選択肢>

A=イ【正】

高齢化率が3つの中で最も低く、通勤率は61%と6割を超えます。幹線道路や鉄道で県庁所在都市と結ばれ、働く世代が昼間は外へ出ていく住宅都市の姿です。

B=ア【正】

通勤率が28%と中程度で、高齢化率も28%にとどまります。商業施設や行政機関が集積して市内に働く場があるため外へ出る通勤が少なくなる、県庁所在都市にあたります。

C=ウ【正】

高齢化率が45%と高く、通勤率は15%と最も低い値です。通える都市が遠く、若年層が流出して高齢化が進んだ、集落が点在する山間部の市町村にあたります。

正解【③】

通勤率が高く高齢化率が低いAが隣接市町村(イ)、中間のBが県庁所在都市(ア)、高齢化率が高く通勤率が低いCが山間部(ウ)で、③が正解です。

問3:正解 ③(解答番号15/配点3)

<問題要旨>

アメリカ合衆国シカゴ市における地区別のアフリカ系住民の割合と、アフリカ系住民の文化から誕生したブルースが演奏される飲食店の立地の変化を示した図3について、それに関する文章中の下線部①〜④のうち、適当でないものを選ぶ設問です。図3は問題冊子では省略されています。

<考え方>

4つの下線部を、文章の組み立てから判断できる部分と、店の分布を数えなければ決まらない部分に分けて考えます。①は1940年代後半の立地、③は2000年頃の立地についての記述ですが、③が「50%未満の地区に立地するようになった」と変化の形で書かれている以上、その出発点として①の状態が前提に置かれています。②は「主に西方と南方へ」とヘッジが付き、方角も2つ挙げた緩い主張で、反証しにくい書き方です。残る③と④は互いに独立した、いずれも2000年頃の店の分布についての量的な主張であり、ここから先は図の上で店の数を数えなければ決着しません。公式解答が③であることから、図3では、2000年頃においても、ブルースが演奏される飲食店の過半数はアフリカ系住民の割合が50%以上の地区に立地していたことになります。④の「市中心部において増えた」は1940年代後半と比べた相対的な変化にすぎず、市中心部の店が増えていても、なお過半数が50%以上の地区に残っていることと両立します。

<選択肢>

①【適当】

1940年代後半のブルースは、南部から移り住んだアフリカ系住民の文化として、彼らが集住する地区の飲食店で演奏されていました。③が「50%未満の地区に立地するようになった」と変化を述べていることも、出発点が50%以上の地区であったことを前提にしています。

②【適当】

シカゴでアフリカ系住民の割合が高い地区は、市中心部の南へ細長く伸びる地区を起点に、のちに西側へも広がりました。「主に西方と南方へ」という書き方は方角の指定としても無理がありません。

③【適当でない】

2000年頃においても、ブルースが演奏される飲食店の過半数はアフリカ系住民の割合が50%以上の地区に立地していました。ブルースが他の人々にも受け入れられ、観光客向けの店が市中心部に増えたことと、店全体の過半数がどこにあるかは別の話で、変化の一部を全体にすり替えた記述です。

④【適当】

観光客も利用するようになったことで、交通の利便性が高い市中心部にブルースを演奏する飲食店が増えました。これは1940年代後半と比べた増加を述べたもので、店全体の過半数がどの地区にあるかという③の主張とは両立します。

正解【③】

2000年頃も飲食店の過半数はアフリカ系住民の割合が50%以上の地区に立地しており、③が適当でありません。

問4:正解 ⑤(解答番号16/配点3)

<問題要旨>

表1は、アラブ首長国連邦・ギリシャ・ドイツのいずれかであるカ〜クについて、外国籍人口をEとFの2つの区分(男性と女性のいずれか)に分けて示したものです。女性にあたる記号と、ドイツにあたる記号との組合せを選ぶ設問です。

<考え方>

外国籍人口は「総数の大きさ」と「男女比の偏り」で3か国を切り分けられます。湾岸の産油国は建設業や家事労働に従事する単身の出稼ぎ労働者を大量に受け入れるため、外国籍人口の男性が女性を大きく上回ります。これに対しヨーロッパ諸国では家族の呼び寄せと定住が進んでおり、男女比は1対1に近づきます。総数の順も、外国籍人口の多いドイツ、人口規模の小さいギリシャという対比で読めます。

<選択肢>

女性=F【正】

カはE593万人に対しF250万人と2倍以上の差があります。外国籍人口の性比がここまで偏るのは、単身の出稼ぎ労働者を大量に受け入れるアラブ首長国連邦で、多いEが男性、少ないFが女性です。EとFを逆にすると女性が男性の2倍以上いることになり、出稼ぎ労働の実態と合いません。

ドイツ=キ【正】

キはE309万人・F308万人とほぼ同数で、総数617万人も3か国で最大です。労働者の受け入れ以降に家族の呼び寄せと定住が進み、男女比が均衡したドイツにあたります。カは性比が大きく偏るアラブ首長国連邦、クは総数95万人と最も少ないギリシャで、総数の順からもドイツはキと決まります。

正解【⑤】

性比が偏るカがアラブ首長国連邦で多いEが男性・少ないFが女性、男女がほぼ同数で総数が最大のキがドイツとなり、⑤が正解です。

問5:正解 ②(解答番号17/配点3)

<問題要旨>

図4は、2010年から2015年にかけて東京都・大阪府・広島県の間で居住地を変えた人の数を、サ〜スの3つと矢印・人数で示したものです。JとKは20〜24歳と60〜64歳のいずれかです。20〜24歳にあたる記号と、広島県にあたる記号との組合せを選ぶ設問です。

<考え方>

まず年齢を決めます。進学や就職で移動が集中するのは20代前半で、定年前後の60代前半の移動はそれよりずっと少なくなります。図4のJは矢印の合計が1万3千人余り、Kは2千9百人ほどで、規模の大きいJが20〜24歳です。次に県を決めます。3組の流動のうちサとスの間が最も多く(Jで5241人と1466人、Kで866人と761人)、これが人口規模の大きい東京都と大阪府の間の流動にあたります。したがって残るシが広島県です。

<選択肢>

20〜24歳=J【正】

Jの矢印の合計は1万3千人余りで、Kの2千9百人ほどの4倍以上にあたります。進学や就職を機に大都市へ向かう20代前半は移動が最も活発な年齢層で、60代前半の移動はこれよりはるかに少なくなります。

広島県=シ【正】

3組の流動のうちサとスの間が最も多く、人口規模の大きい東京都と大阪府の関係にあたります。残るシが広島県で、J(20〜24歳)では5079人が出て1447人しか入らない大幅な転出超過、K(60〜64歳)では831人が入って423人が出る転入超過となり、若年層の流出と定年前後の還流という地方県の人口移動に合います。

正解【②】

移動が活発なJが20〜24歳、流動が最も多いサとスが東京都・大阪府で残るシが広島県となり、②が正解です。

問6:正解 ①(解答番号18/配点4)

<問題要旨>

図5は、アフリカ・北アメリカ・中央・南アメリカ・ヨーロッパのいずれかである①〜④について、キリスト教の人口をプロテスタント・カトリック・正教・その他の宗派別に示した積み上げ棒グラフです。アフリカに該当するものを選ぶ設問です。

<考え方>

4地域は「正教がどれだけあるか」「カトリックに偏っているか」「総数がどれくらいか」で切り分けられます。正教はロシアや東ヨーロッパ、ギリシャに集中するので、正教の帯が大きいものがヨーロッパです。中央・南アメリカはスペイン・ポルトガルによる植民地化の影響でカトリックが圧倒的です。北アメリカはプロテスタントとカトリックが中心ですが、人口規模から総数は最も小さくなります。アフリカは20世紀以降にキリスト教徒が急増して総数が最大となり、宣教によるプロテスタント・カトリックに加え、独立教会などが「その他」として大きな割合を占めます。

<選択肢>

①【正】

総数が約7億人と4つの中で最大で、プロテスタントが約2.8億人、カトリックが約2.6億人、さらに「その他」が約1.4億人と大きな帯を占めます。20世紀以降に信者が急増し、独自の独立教会が広く分布するアフリカにあたります。

②【誤】

総数約6.3億人のうちカトリックが約4.9億人と8割近くを占め、正教はほとんどありません。スペイン・ポルトガルの植民地支配を受けた中央・南アメリカです。

③【誤】

正教が約2億人と大きな帯を占めます。ロシアや東ヨーロッパ、ギリシャを含むヨーロッパで、他の3地域には正教がほとんど分布しません。

④【誤】

総数が約2.6億人と4つの中で最も少なく、プロテスタントが最大の宗派です。アメリカ合衆国とカナダからなる北アメリカにあたります。

正解【①】

総数が最大で、「その他」の宗派が大きな割合を占める①がアフリカです。

第4問 南アメリカの自然と産業(配点20)

南アメリカを対象に、気温と降水量の年変化、国土面積と各指標を比べるカルトグラム、コーヒー豆と大豆、貿易相手の構成、鉱産資源の生産、そしてアルゼンチンとブラジルの首都の市街図を扱う地誌の大問です。

問1:正解 ③(解答番号19/配点3)

<問題要旨>

図1は南アメリカの標高分布と3地点A〜Cを示したもので、Aは太平洋岸、Bは内陸、Cは大西洋側にあります。図2のア〜ウはA〜Cのいずれかにおける月平均気温と月降水量です。A〜Cとア〜ウとの組合せを選ぶ設問です。

<考え方>

3つの雨温図は降水量の年合計で大きく差がつくので、まず降水量から分けます。イは各月の降水量がいずれも0に近く、年間でもほとんど雨が降りません。沖合を寒流が流れて大気が安定し、雨の降らない海岸砂漠の特徴で、太平洋岸のAにあたります。アは1〜3月に月300mmを超え6〜8月は40mm以下に落ちる、年約2000mmの雨季・乾季型で、低緯度の内陸のBです。ウは最も多い月でも80mm程度、5〜10月はほとんど降らず年400mm前後にとどまる半乾燥で、Cにあたります。気温もイだけが最寒月19℃前後まで下がり、低緯度のわりに低い点が手がかりになります。

<選択肢>

A=イ【正】

月降水量がどの月も0に近く、気温は最暖月26℃・最寒月19℃前後と低緯度のわりに低くなっています。沖合を寒流が流れる南アメリカ大陸の太平洋岸に帯状に続く海岸砂漠の気候で、Aに該当します。

B=ア【正】

1〜3月に月300mmを超え、6〜8月は40mm以下という明瞭な雨季と乾季をもち、年降水量は約2000mmに達します。気温も年間25〜28℃と高く、赤道からやや南に外れた内陸の熱帯にあたるBに該当します。

C=ウ【正】

雨は1〜3月に集中しますが、最も多い月でも80mm程度で年降水量は400mm前後にとどまります。気温は年間25〜29℃と高く、大西洋側の内陸に広がる半乾燥の気候で、Cに該当します。

正解【③】

年降水量がほぼ0のイが太平洋岸のA、年約2000mmで雨季と乾季のあるアが内陸のB、年400mm前後のウがCで、③が正解です。

問2:正解 ③(解答番号20/配点4)

<問題要旨>

図3は、南アメリカの12か国について、国土面積と3つの指標の数値を面積の大きさで表したカルトグラムです。カ〜クが人口・森林面積・日本への輸出総額のいずれかで、指標名との組合せを選ぶ設問です。

<考え方>

国土面積のカルトグラムと見比べて、どの国が大きくなり、どの国が小さくなるかを追います。クではチリが国土面積に比べて極端に大きく、ペルーとブラジルも大きい一方、アルゼンチンやパラグアイは小さくなります。カではガイアナとスリナムが国土面積とほぼ変わらない大きさを保ち、アルゼンチン・ウルグアイ・チリが大きく縮みます。キではガイアナとスリナムが極小になり、コロンビア・エクアドル・アルゼンチンが大きくなります。

<選択肢>

人口=キ【正】

ガイアナとスリナムが小さな点になるほど縮み、コロンビア・エクアドル・アルゼンチンが国土面積に比べて大きくなります。人口が数十万人にとどまる2国と、5千万人前後のコロンビアや1700万人ほどのエクアドルとの差がそのまま表れています。

森林面積=カ【正】

ガイアナとスリナムが国土面積とほぼ同じ大きさを保つ一方、アルゼンチン・ウルグアイ・チリが大きく縮みます。国土の大部分が熱帯林に覆われる2国と、パンパやパタゴニア、乾燥地が広がり森林の割合が小さい国との対比です。

日本への輸出総額=ク【正】

チリが国土面積からは考えられないほど大きく描かれ、ペルーも大きくなります。銅鉱石や銅、水産物を日本へ大量に輸出するチリが突出する指標で、日本への輸出総額にあたります。

正解【③】

チリが突出するクが日本への輸出総額、ガイアナ・スリナムが縮まないカが森林面積、両国が極小になるキが人口で、③が正解です。

問3:正解 ④(解答番号21/配点3)

<問題要旨>

図4のFとGは、南アメリカにおけるコーヒー豆と大豆のいずれかの作付面積の推移を、2000年の値を100とした指数で示したものです。図5のサとシは、2019年の国別生産量について上位3か国の割合を示したものです。コーヒー豆に該当する記号の組合せを選ぶ設問です。

<考え方>

作付面積の動きと、上位に並ぶ国名の両方から決めます。南アメリカで1980年以降に作付面積が大きく伸びたのは、中国向けを中心に需要が急増した大豆で、ブラジルのセラードやアルゼンチンのパンパで開発が進みました。図4のFは2000年の100から2020年に約250へ増えているので大豆、ほぼ横ばいから90へわずかに減るGがコーヒー豆です。図5ではサの上位3か国がブラジル・アルゼンチン・パラグアイ、シの上位3か国がブラジル・コロンビア・ペルーで、コロンビアとペルーはアンデスの高地でコーヒー豆を生産する国です。

<選択肢>

①【誤】

Fは作付面積が20年で2.5倍に増えた作物で大豆にあたり、サもアルゼンチンとパラグアイが上位に入るので大豆です。どちらもコーヒー豆ではありません。

②【誤】

シがコーヒー豆である点は正しいものの、Fは作付面積が急増しており大豆にあたります。すでに栽培地の定まったコーヒー豆の作付面積が20年で2.5倍になったとは考えられません。

③【誤】

Gがコーヒー豆である点は正しいものの、サはアルゼンチンとパラグアイが上位を占めており大豆です。両国はコーヒー豆の主産地ではありません。

④【正】

Gは作付面積がほぼ横ばいから微減で推移しており、すでに栽培地が定着しているコーヒー豆にあたります。シはブラジル・コロンビア・ペルーが上位で、いずれもコーヒー豆の主産国です。

正解【④】

作付面積が横ばいのGと、コロンビア・ペルーが上位に入るシがコーヒー豆で、④が正解です。

問4:正解 ⑥(解答番号22/配点4)

<問題要旨>

図6のL〜Nは、アルゼンチン・コロンビア・ボリビアのいずれかについて、アメリカ合衆国・EU・自国以外の南アメリカの国々との輸出額と輸入額が、それぞれの国の輸出総額・輸入総額に占める割合を、矢印の太さで示したものです。国名とL〜Nとの組合せを選ぶ設問です。

<考え方>

矢印の太さが凡例の4段階(10%未満・10〜25%・25〜40%・40%以上)のどれに最も近いかを当てはめて比べます。Lでは南アメリカ域内との往復の矢印が最も太く、凡例の40%以上にあたります。Mではアメリカ合衆国との往復が太く25〜40%にあたり、南アメリカ域内は10〜25%にとどまります。Nでは南アメリカ域内が25〜40%です。海に面しない内陸国、カリブ海に面して北アメリカと結びつく国、メルコスールを通じて隣国ブラジルと結びつく国という3つの立地の違いに当てはめれば決まります。

<選択肢>

ボリビア=L【正】

南アメリカ域内との輸出入がともに凡例で最も太い40%以上にあたり、アメリカ合衆国とは10%未満です。海に面しない内陸国で、天然ガスをブラジルやアルゼンチンに供給するなど近隣国への依存が最も強い国にあたります。

コロンビア=M【正】

アメリカ合衆国との輸出入がともに25〜40%で3か国の中で最も太く、南アメリカ域内は10〜25%にとどまります。カリブ海に面し、原油やコーヒー豆の最大の相手国がアメリカ合衆国である国の貿易構造です。

アルゼンチン=N【正】

南アメリカ域内が25〜40%で、アメリカ合衆国とEUはいずれもそれより細くなります。メルコスール(南米南部共同市場)を結成し、隣国ブラジルが最大の貿易相手である国にあたります。

正解【⑥】

域内依存が最も強いLがボリビア、アメリカ合衆国との矢印が最も太いMがコロンビア、域内が25〜40%のNがアルゼンチンで、⑥が正解です。

問5:正解 ①(解答番号23/配点3)

<問題要旨>

表1は、南アメリカにおける原油・銅・ボーキサイト・リチウムのいずれかである①〜④について、2018年における生産量が世界に占める割合と、2000年から2018年の生産量の増加率を示したものです。銅に該当するものを選ぶ設問です。

<考え方>

南アメリカが世界でどれだけの地位を占めるかと、この20年でどう伸びたかの2つで切り分けます。銅はチリが世界第1位、ペルーが第2位で、この2国だけで世界の3分の1を超え、南アメリカ全体では4割を上回ります。4資源の中で世界に占める割合が最も高い資源なので、42.6%のものが銅です。増加率63.6%も、ペルーで新しい鉱山の開発が進んだ動きと合います。

<選択肢>

①【正】

南アメリカの生産量が世界の42.6%と4資源で最も高い割合を占めます。チリが世界第1位、ペルーが第2位を占める銅にあたり、増加率63.6%もペルーでの新規鉱山の開発を反映しています。

②【誤】

増加率328.6%と突出しており、電池向けの需要拡大で生産が急増したリチウムです。チリとアルゼンチンにまたがる塩湖が産地で、世界に占める割合も24.9%と高くなります。

③【誤】

世界に占める割合が10.7%、増加率が41.5%です。ブラジルとガイアナが産地のボーキサイトにあたります。

④【誤】

南アメリカの生産量が4資源で唯一減少(−5.0%)しています。ベネズエラの生産が2000年代後半以降に大きく落ち込んだ原油で、ブラジルの海洋油田の増産をもってもその減少を補いきっていません。

正解【①】

南アメリカが世界の4割以上を占めるのはチリとペルーの銅で、①が正解です。

問6:正解 ②(解答番号24/配点3)

<問題要旨>

図7のPとQは、アルゼンチンとブラジルのいずれかの首都を示した地図で、空港・大聖堂・主要道路・水域が描かれています。図7に関することがらについて述べた文のうち、下線部が最も適当なものを選ぶ設問です。

<考え方>

2つの地図の街路の形と水域の位置から都市を特定します。Pは大聖堂を中心に東西の軸が通り、そこから南北へ弓なりに伸びる弧状の道路が対称に配置され、東側に細長い水域が広がります。20世紀半ばに内陸に建設された計画都市ブラジリアです。Qは碁盤目状の街路が広がり、東側の水域に沿って港湾施設が並び、水際に空港があります。ラプラタ川に臨むブエノスアイレスです。都市が特定できたら、各選択肢がその都市の成り立ちと合うかを確かめます。

<選択肢>

①【誤】

ブラジリアの弧状の道路は、都市が建設された当初からの計画に基づいて左右対称に設計されたものです。人口の増加は計画区域の外側につくられた衛星都市が受け止めてきたのであって、弧状の道路が人口増に伴って延伸されてきたわけではありません。

②【正】

ブエノスアイレスは16世紀に建設され、19世紀後半以降はイタリアやスペインからの移民を大量に受け入れました。大聖堂周辺にはその時代のヨーロッパ風の街並みが残り、アルゼンチンはヨーロッパ系住民の割合が高い国です。景観と住民構成が結びついています。

③【誤】

ブラジリアの空港はブラジル国内で年間旅客者数が最も多い空港ではありません。ブラジルでは最大都市サンパウロの空港が国内最多で、政治機能をもつ計画首都と経済の中心都市が分かれています。「ともに」とする点が成り立ちません。

④【誤】

ブエノスアイレスはラプラタ川に臨む港湾都市ですが、ブラジリアは内陸の高原に建設された都市で、地図にも港湾は描かれていません。両都市をひとまとめにした点が誤りです。

正解【②】

Qのブエノスアイレスはヨーロッパからの移民が築いた街並みをもち、ヨーロッパ系住民の割合も高いので、②が最も適当です。

第5問 埼玉県南西部・入間市の地域調査(配点20)

東京都に住むアキラさんが、大都市圏郊外の変化に関心をもって入間市を含む埼玉県南西部を調査します。地形分類図と断面、丘陵の雑木林、台地の茶生産、高速道路と物流施設、土地利用のメッシュ図、将来人口という順に、郊外の成り立ちとこれからをたどる大問です。

問1:正解 ⑤(解答番号25/配点3)

<問題要旨>

図1は埼玉県南西部とその周辺を山地・丘陵・台地・低地に分類して示した地図で、A〜Cの3本の線が引かれています。図2のア〜ウはA〜Cのいずれかに沿った地形断面で、始点を基準とした標高差で描かれています。A〜Cとア〜ウとの組合せを選ぶ設問です。

<考え方>

3本の線が図1のどの地形区分を通るかを順に確かめます。Bは西端の山地・丘陵の縁から東北東へ、台地と入間川沿いの低地を横切って進み、始点が3本の中で最も高い位置にあります。Cは台地上を西から東へ進む途中で、東西に細長い丘陵を横切ります。Aは北側の台地上から南東へ向かい、同じ台地の上を進むだけです。始点より高い区間ができるかどうか、標高差がどれだけつくかで3本は区別できます。

<選択肢>

A=ウ【正】

北側の台地上を南東へ進む線で、通過するのは台地と、そこを刻む小さな谷だけです。標高差は−25m程度に収まり、終点も始点とほぼ同じ高さに戻る、3つの中で最も平坦な断面になります。

B=ア【正】

西端の山地・丘陵の縁から東北東へ、台地と低地を横切って進みます。始点が3本で最も高く、そこから一方的に下るため、途中で始点より高くなることがなく−115mまで単調に低下します。

C=イ【正】

台地上を東へ進む途中で、東西に細長い丘陵を横切ります。丘陵の部分では始点より高い区間が現れて起伏が激しくなり、丘陵を抜けたあと台地へ−85mまで下がる、前半が大きく波打つ断面になります。

正解【⑤】

山地・丘陵の縁から下り続けるBがア、丘陵を横切るCがイ、台地上だけを進むAがウで、⑤が正解です。

問2:正解 ②(解答番号26/配点3)

<問題要旨>

写真1は入間市付近の丘陵にみられる雑木林の景観です。雑木林が1960年代頃まで地域住民に利用されてきたこと(下線部E)の事例が文カ・キのいずれか、最近の保全と利活用の動き(下線部F)の事例が文a・bのいずれかであり、その組合せを選ぶ設問です。

<考え方>

雑木林はコナラやクヌギなどの落葉広葉樹からなる二次林で、人が繰り返し伐って利用することで維持されてきた林です。何に使われてきたかを考えればEは決まります。燃料がガスや灯油に替わり、化学肥料が普及した1960年代以降、その用途は失われました。Fは「保全し、利活用する」動きですから、林をつくり替えるのではなく、今ある雑木林を維持し人と結びつける取組みを選びます。

<選択肢>

カ【正】

幹や枝は薪や炭の材料に、落ち葉は堆肥に使われました。定期的に伐って萌芽させ、落ち葉をかき集めるという繰り返しの利用が雑木林を維持してきたので、Eの事例として適当です。

キ【誤】

住宅向けの規格化された建材に使われるのは、スギやヒノキを植林した人工林です。幹が曲がりやすい落葉広葉樹からなる雑木林の用途ではなく、林の種類を取り違えています。

a【誤】

外国産の成長の速い樹木を植栽することは、今ある雑木林をつくり替えることになり、保全にあたりません。もとの生態系を損なうおそれもあり、「雑木林を保全し、利活用する」動きとは方向が逆です。

b【正】

雑木林は下草刈りなど人の手が入らないと荒れてしまいます。草刈りをイベントとして開催すれば林の維持そのものになり、参加者の関心も高まるので、保全と利活用の両方を満たします。

正解【②】

薪炭材と落ち葉堆肥の利用がE、住民が参加する草刈りイベントがFにあたり、②が正解です。

問3:正解 ③(解答番号27/配点3)

<問題要旨>

資料1には、茶の生産量上位2県(鹿児島県・静岡県)と埼玉県の茶生産経営体数・生産量の表、入間市の茶畑の写真、3県の主な茶期別の摘採り時期を示した帯グラフが載せられています。資料1に関することがらについて述べた文章中の下線部①〜④のうち、適当でないものを選ぶ設問です。

<考え方>

表の数値で確かめられる部分と、茶の栽培の仕組みから考える部分を分けます。摘採りの開始時期を決めるのは気温であり、機械を導入しても新芽が伸び始める時期そのものは早まりません。機械化のねらいは、短い摘採りの適期のうちに広い面積を少ない人手で摘み取ること、つまり省力化と作業の効率化にあります。

<選択肢>

①【適当】

茶の新芽は気温の上昇とともに伸びるため、冬から春にかけて冷涼な地域ほど摘採りが遅くなります。帯グラフでも一番茶は鹿児島県が最も早く、静岡県、埼玉県の順に遅くなっており、より北に位置する埼玉県が遅いことと対応します。

②【適当】

表の数値で1経営体あたりの生産量を計算すると、鹿児島県は22700トンを1744経営体で割って約13トン、静岡県は31800トンを9617経営体で割って約3.3トン、埼玉県は598トンを666経営体で割って約0.9トンです。埼玉県が最も少ないという記述は正しくなります。

③【適当でない】

摘採りの開始時期は気温によって決まり、機械の導入では早まりません。機械化のねらいは、限られた摘採りの適期のうちに広い面積を少ない人手で刈り取ること、すなわち省力化と作業の効率化です。手段と目的を取り違えた記述です。

④【適当】

生産から加工・販売までを一つの経営体が行えば、途中の流通業者に渡る利益を自ら得られ、独自の商品として値付けすることもできます。収益性を高めることをねらいとしているという説明は成り立ちます。

正解【③】

摘採りの機械化は省力化のためで開始時期を早めるものではなく、③が適当でありません。

問4:正解 ④(解答番号28/配点4)

<問題要旨>

図3は関東地方の高速道路を1962〜1999年開通と2000〜2022年開通に分けて示し、あわせて環状道路沿線地域と臨海地域の範囲を示したものです。表1は、その2地域における大規模物流施設の立地数を1999年以前と2000〜2013年に分けて示しています。会話文の空欄Jに入る文(タ・チ)と、空欄Kに入る記号(s・t)との組合せを選ぶ設問です。

<考え方>

Jは環状道路の役割です。都心の外側に環状の高速道路を通すと、目的地が都心ではない車が都心を通らずに済むようになり、都心を通過するだけの交通が減ります。道路網全体の交通量はむしろ増えることもあるので、抑制されるのは「中心部を通過する交通量」のほうです。Kは表1の内訳から判断します。sは総数1530件のうち2000〜2013年の立地が390件で約25%、tは総数990件のうち410件で約41%です。図3で環状の高速道路は2000年以降に開通した区間が大半を占めますから、その沿線で施設の立地が進んだのも2000年以降になります。

<選択肢>

J=チ【正】

環状道路は、都心を目的地としない車に迂回路を与えます。その結果、大都市圏の中心部を通過するだけの交通が減り、渋滞の緩和や環境負荷の軽減につながります。会話文の「複数の移動経路を確保する」という効果とも並びます。

J=タ【誤】

高速道路網が整備されれば自動車の利用そのものが増えるため、大都市圏全体の交通量が抑制されるとはいえません。環状道路の効果は交通の総量を減らすことではなく、通過交通を都心から外側へ振り向けることにあります。

K=t【正】

総数990件のうち410件、約41%が2000〜2013年の立地で、新しい時期の割合が高くなっています。2000年以降に開通した環状の高速道路に合わせて立地が進んだ、環状道路沿線地域にあたります。

K=s【誤】

総数1530件のうち1140件が1999年以前の立地で、2000〜2013年は390件、約25%にとどまります。港湾を背景に早くから物流施設が集まっていた臨海地域にあたり、環状道路の開通で新たに立地が進んだ地域ではありません。

正解【④】

環状道路は中心部を通過する交通を抑えるのでJはチ、新しい立地の割合が高いtが環状道路沿線地域なのでKはtとなり、④が正解です。

問5:正解 ②(解答番号29/配点3)

<問題要旨>

図4は、入間市周辺における2時点の土地利用を表した新旧のメッシュ図です。XとYが1976年と2016年のいずれか、凡例マとミが建物用地と農地のいずれかで、濃いグレーの森林と白のその他は両図に共通です。2016年にあたる記号と、建物用地にあたる凡例との組合せを選ぶ設問です。

<考え方>

まず2時点に共通して使われている「森林」の分布を比べます。濃いグレーの森林は、Yでは丘陵に沿って太い帯やまとまりをつくっているのに対し、Xでは同じ場所の帯が細くなり、周囲から食い込まれて分断されています。大都市圏の郊外では40年の間に森林が開発で減るのがふつうで、しかもこの大問の問2には、この地域の雑木林が都市開発の対象とされたと述べられています。森林が少ないXのほうが新しく、Xが2016年、Yが1976年です。次に、その40年で増えたはずの建物用地を探します。薄いグレーのミは、Yでは鉄道や駅に沿った細長い帯にとどまるのに、Xでは台地全体を覆う面状の広がりになっています。線から面へ拡大したミが建物用地で、残るマが農地です。マはYでは台地上にまとまった塊をつくり、この地域で茶が生産されてきたことと合いますが、Xでは建物用地に囲まれて分断され、面積を減らしています。

<選択肢>

①【誤】

2016年をXとする点は正しいものの、建物用地をマとすると、マはXで減っているので建物用地が40年の間に減ったことになります。大都市圏の郊外でそのような変化は考えにくく、成り立ちません。

②【正】

森林の帯が細く分断されているXが2016年です。薄いグレーのミは、Yでは鉄道沿いの帯だったものがXでは台地一面に広がっており、この40年で線から面へと拡大した建物用地にあたります。残るマが農地で、台地上の茶の生産と結びつきます。

③【誤】

2016年をYとすると、森林がXからYにかけて増えたことになります。都市開発の対象とされてきたこの地域の丘陵や雑木林が、40年の間に増えたとは考えられません。

④【誤】

2016年をYとする点が③と同じく成り立たないうえ、建物用地をミとすると、ミはYで減っているので建物用地が減ったことになります。変化の向きが逆です。

正解【②】

森林が減ったXが2016年で、鉄道沿いの帯から台地一面へ広がったミが建物用地となり、②が正解です。

問6:正解 ④(解答番号30/配点4)

<問題要旨>

図5は入間市における1965年から2015年の人口と2020年から2040年までの推計人口を、図6は1995年と2015年の年齢別人口構成を示したものです。図5と図6から、この地域で今後生じると予想される問題と、それを食い止める自治体の対策としては適当でないものを選ぶ設問です。

<考え方>

2つの図が示すのは、人口が2015年頃を頂点に減少へ転じることと、1995年から2015年にかけて高齢層が厚くなり年少人口が薄くなったことです。そこから予想される問題は、空き家の増加、高齢者向け医療の不足、地域の担い手の減少、子どもの減少です。判定は問題そのものではなく、示された対策がその問題を食い止める働きをもつかどうかで行います。年少人口の減少に対しては、子育て世代が住み続けたくなる環境を整えることが対策になります。

<選択肢>

①【適当】

人口減少と高齢化が進めば、住む人のいなくなった住宅が増えます。家主と入居希望者を結びつける事業は、空き家を再び使われる住宅に戻す取組みで、空き家の増加を食い止める対策になります。

②【適当】

図6で高齢層が厚くなっており、医療の需要は今後も増えます。市内だけで抱え込まず近隣地域の病院と連携して体制を組むことは、高齢者医療体制のひっ迫を和らげる対策として成り立ちます。

③【適当】

人口が減り高齢化が進むと、地域の行事や活動の担い手が減ります。生涯学習と福祉の機能をあわせもつ施設は、世代を超えて人が集まる場をつくるので、地域コミュニティの衰退を食い止める働きをもちます。

④【適当でない】

小規模な公園は、子どもの遊び場であると同時に、子育て世代が住む場所を選ぶ際の条件にもなります。それを撤去することは子育て環境を悪くし、年少人口の減少をかえって進めます。防災拠点の整備そのものは必要でも、年少人口の減少を食い止める対策にはなりません。

正解【④】

公園の撤去は子育て環境を損ない年少人口の減少を促すため、④が適当でありません。

※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

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