解答
解説
第1問
問1:正解4
<問題要旨>
プレート境界付近での火山の分布と地震の発生深度に関する問題。海溝から離れるほど深い震源の地震が多くなる沈み込み帯の特徴や、火山帯がプレートの沈み込みに伴って形成されることを踏まえ、図中の分布パターンから適切な組み合わせを判断する。
<選択肢>
①【誤】
火山の位置と浅い地震の分布だけに着目した説明となっており、深い震源が内陸側に分布する沈み込み帯の特徴を十分に反映していない。
②【誤】
海溝沿いに深い震源が集中するかのように示唆する内容だが、実際には深い震源はプレートの沈み込みに伴い海溝から離れた内陸側に分布する傾向があるため整合しない。
③【誤】
火山の分布と深発地震の位置関係がずれており、プレートの沈み込み角度から見ても説明に矛盾が生じる。
④【正】
海溝付近に浅い地震、内陸側に深い地震が帯状に分布し、その周辺に火山が分布するという沈み込み帯の典型的な状況を踏まえた内容で、図の観察結果とも一致する。
問2:正解3
<問題要旨>
太平洋上の特定の緯度・経度帯(sまたはt)における1月と7月の風向・風速分布を示した図を分析し、季節に伴う風向の変化や貿易風・偏西風などの特徴から該当月を推定する問題。海流や大気循環の一般的なパターンを踏まえると、北半球・南半球で風向が異なる点なども考慮する。
<選択肢>
①【誤】
示された風向が北東貿易風や南東貿易風と一致しない配置をしており、冬と夏の逆転を説明するには不十分な根拠となる。
②【誤】
図に示される風向が亜熱帯高圧帯やモンスーンの影響を正しく反映していない部分があり、1月の風の吹き方としては不自然である。
③【正】
北半球では冬季と夏季で季節風の向きが大きく変わり、南半球の貿易風帯も含めて図の風向と矛盾しないパターンを示す。1月ならではの季節風の特徴を説明できる。
④【誤】
示された図の風向は夏に相当するパターンや南半球の冬季の風向などと混同しており、1月の特徴を適切に示しているとはいえない。
問3:正解4
<問題要旨>
標高による植生帯の垂直分布(高密度針葉樹帯や森林限界など)を扱い、日本列島の温帯・亜寒帯における気候条件を踏まえた山地の植生変化を説明する問題。図中の「G」「H」のような帯がどのように分布しているかが焦点となる。
<選択肢>
①【誤】
森林限界や針葉樹帯の高さが緯度に関係なくほぼ一定であるかのような記述で、実際の日本列島では北から南へ標高の変化が見られる事実と異なる。
②【誤】
標高1000m程度に達すると常に森林限界を超えるとするような内容だが、森林限界は気候や緯度によって変わるため、一律には説明できない。
③【誤】
亜高山帯から高山帯への移行が標高ではなく地形の起伏や土地利用で決まるという主張で、気温低下による高山帯の区分が考慮されていない。
④【正】
山地の標高に沿って気温が低下し、森林限界や針葉樹帯がそれぞれの標高帯で現れる点を論じており、日本列島の垂直分布の実態に合致している。
問4:正解5
<問題要旨>
地形の形成にかかる「時間スケール」と、地形の広がる「空間スケール」の概念を結びつける問題。数日〜数年単位で変化する河川地形から、数百万年〜数千万年単位で変化する大規模な平野や山脈形成まで、図から適切な組み合わせを考察する。
<選択肢>
①【誤】
時間スケールの短い現象を広大な空間スケールの地形に当てはめており、地形発達の速度や規模の関係がずれている。
②【誤】
中規模の空間スケールに対して極めて長期の地形変化を対応させており、火山や隆起などの事象との対応が不自然。
③【誤】
河川の堆積作用など比較的短期に地形を変える現象を、長期的かつ大規模な空間スケールに結びつけているために整合しない。
④【誤】
数万年規模の変動と10〜100km級の地形を結びつける内容だが、図が示す範囲ではより長期や広域の現象と重複している。
⑤【正】
河川や浅海底面の形成は数年〜数万年程度でみられる一方、大規模な平野や山脈は数百万年以上かけて形成されるという、時間と空間の対応関係が図の模式と一致する。
⑥【誤】
大陸規模の造山運動などを短期的な河川の堆積現象と混同しており、時間と空間のスケール配分が不適切である。
問5:正解3
<問題要旨>
1981年から2020年にかけての東南アジア・南アジア地域における火山噴火・地震・暴風雨(台風など)の災害発生数を国別に円グラフや円の大きさで比較する問題。各国でどの自然災害が多発しているかを総合的に見極める必要がある。
<選択肢>
①【誤】
火山噴火が突出して多い国と地震が多い国を逆に扱っており、図の大小比較とも食い違う。
②【誤】
暴風雨の発生数が最も大きい国が示されていないかのように書かれているが、実際には台風常襲地域のある国が目立つことを図が示している。
③【正】
火山噴火は環太平洋火山帯に属する国で多く、地震も同様のプレート境界付近で頻発している一方、モンスーン地帯で暴風雨の被害が顕著に見られる国があるという解釈は図に即している。
④【誤】
地震と火山噴火の発生数の多寡について、本来多い国を低く見積もるような記述がなされており、図の実態とは整合しない。
⑤【誤】
全般的な災害発生数の高さが特定の国だけに集中しているかのような書き方で、複数の国が災害多発地域である事実と齟齬が生じる。
⑥【誤】
火山噴火・地震・暴風雨のどれもが同程度に分布しているという含みがあり、図から読み取れる偏りが説明されていない。
問6:正解3
<問題要旨>
日本の河川における観測地点P〜Rの水位変化を示したグラフと、1976年に堤防が決壊した際の水位変化(図8)を関連づける問題。上流・中流・下流それぞれの地点での増水タイミングや堤防決壊による急激な水位低下の様子を読み解き、テキストとの整合を判断する。
<選択肢>
①【誤】
観測地点Pをマ、Qをハ、Rをニとするといった対応がグラフ上の位置関係と一致せず、水位変化のタイミングにも矛盾がある。
②【誤】
堤防決壊が下流域の観測所付近で発生したとする説明だが、実際には上流や中流部からの増水状況と比較しても不自然なタイミングとなる。
③【正】
堤防決壊のタイミングが中下流部の観測地点付近で起きたため、その地点で急激な水位の低下が図8に見られる。文中で述べられている現象とグラフの変化が合致している。
④【誤】
増水ピークが観測地点Rで先に来るかのように記述されており、流域の地形や河川の流れを考慮すると時系列が逆転してしまう。
第2問
問7:正解1
<問題要旨>
世界の主要国・地域における「工業出荷額」と、図中 a・b・c で示される指標(石油生産量、二酸化炭素排出量、農産物の生産量など)の上位 20 か国・地域が重なる国々を比較して、a・b・c の指標が何に対応するかを判別する問題。
工業出荷額が大きい国と石油の産出が多い国、さらに二酸化炭素の多排出国や農産物の主要生産国とを照合し、地図の塗り分けがどの指標に当てはまるかを整理して解答を導く。
<選択肢>
①【正】
a を産油国が上位に入る地図、b を工業化が進み排出量が多い国・地域が上位に入る地図、c を大規模農業国が上位に並ぶ地図とみなすと、図の塗り分けとも矛盾なく説明できる。
②【誤】
石油生産量が a ではなく b に対応するとした場合、b の塗り分けが中東の主要産油国などと合致しにくく、二酸化炭素排出量の上位国が a や c に当てられてしまうため、図と対応がずれてしまう。
③【誤】
農産物の生産量が b、二酸化炭素排出量が c と入れ替わる形になるが、b の地図は大人口国のほか工業国が上位になっており、農産物の生産上位国とは一部で符合しづらい面がある。
④【誤】
a・b・c の対応がすべて逆になってしまい、特に石油生産量の上位国を示す地図と中東地域の塗り分けが対応しなくなるため、図から読み取れる産油国の分布と食い違う。
問8:正解3
<問題要旨>
アメリカ合衆国における石油の生産量・消費量・輸入量・輸出量の推移を示したグラフを題材に、需要と供給の変化や技術革新、国際情勢などによる輸入・輸出の増減要因を考察する問題。特に 1970 年代から近年にかけて、輸入量・輸出量がどのように変動してきたか、消費の伸びや生産量との関係を検討して正しい説明を選ぶ。
<選択肢>
①【誤】
1980 年前後の消費急増は確かに需要が生産量を上回った時期だが、図の変動を見るとその後の輸入増加や生産の停滞とも絡んでおり、「国内生産量が追いつかなかったためだけ」とする説明では一部に矛盾を生じる。
②【誤】
2000 年代に入って輸入量が減少傾向になった理由を「再生可能エネルギーが石油を代替したから」と断定するのは飛躍が大きい。実際にはシェールオイル・シェールガスの生産拡大など他の要素が大きいと推測される。
③【正】
2000 年代後半から石油の生産量が急増しているのは、シェール層の開発など新たな採掘技術の普及や油田拡張が進んだ結果と見ると、図中の生産量上昇カーブとも矛盾がない。
④【誤】
2000 年代後半からの輸出量増加を「日本が米国から石油を輸入するようになったため」とする根拠は示されておらず、実際にはアメリカ国内の生産拡大により輸入削減や輸出増加が進んだ面が強い。
問9:正解6
<問題要旨>
いくつかの国(A・B・C)における工業生産の内訳(食料品・繊維・化学・金属・機械など)が示された棒グラフを比較し、それぞれの国が「輸入代替型から輸出指向型へ転換した」「原材料を輸入し工業製品を輸出する加工貿易国となった」「豊富な資源を基に重化学工業や機械工業が伸びている」など、国の特性を表す記述(ア・イ・ウ)と組み合わせる問題。A・B・C の工業構成とア・イ・ウの解説文を突き合わせて妥当な組合せを選ぶ。
<選択肢>
①【誤】
A にア、B にイ、C にウを当てる場合、A や C の工業構成が図と不整合を起こしやすく、人口・資源量との関係や輸出指向の度合いが合わない。
②【誤】
A にア、B にウ、C にイなどの組み合わせは、B が「豊富な資源を利用して多様な工業が発達」しているという説明と合致しにくく、加工貿易を軸に輸出する国の特徴との食い違いが生じる。
③【誤】
A にイ、B にア、C にウのような組合せでは、A の工業組成が機械類の比率が高い一方で「原材料輸入・工業製品輸出中心」とだけ言い切るには不自然な点がある。
④【誤】
A にイ、B にウ、C にアのような割り当てになるが、「輸出指向型へ急速に転換した国」と「周辺諸国との結びつきを強める国内市場の小さい資源国」が逆転してしまう。
⑤【誤】
A にウ、B にア、C にイのように当てはめると、機械工業や化学工業の比率が大きい国に「かつては輸入代替型工業」との説明を当てるなど、近年の産業構造を示す図と合わなくなる。
⑥【正】
A・B・C の工業構成比を見たとき、豊富な人口と資源を背景に輸出指向型へ急成長している国、加工貿易で高付加価値製品を輸出している国、国内市場は小さいが資源を活用して工業を発展させている国、といった特徴がそれぞれ「ア・イ・ウ」の説明内容と矛盾なく対応する。
問10:正解6
<問題要旨>
果実類・牛肉・穀物と推定される 3 品目について、世界 2 か国・地域の輸出入上位 9 件を地図上に示した問題。カ~クの線がどの品目かを推測し、それぞれがどの国からどの国へ大量に輸出されているかを見比べることで、品目名と地図に示された動き(カ・キ・ク)を一致させる。
<選択肢>
①【誤】
果実類をカ、牛肉をキ、穀物をクとしたときの輸送ルートが地図上のものと大きく食い違う。例えば牛肉輸出国としてのオセアニアや南北アメリカ大陸の動きが正しく説明されていない。
②【誤】
牛肉をカ、果実類をキなどと入れ替えると、典型的な産地や消費地の関係にずれが生じる。果実や穀物の大消費国・大輸入国の所在と合わなくなる。
③【誤】
穀物をキ、果実類をクとするなどの割り当てだと、地図で示される大規模な輸出元と輸出先が逆転しやすく、特に北米や南米からアジア・中東への大量輸出と品目の特徴が一致しない。
④【誤】
果実類・牛肉・穀物の主要輸送ルートを混同した組み合わせで、南半球の畜産物や熱帯・亜熱帯で生産される果実類の輸出元が地図と合わない。
⑤【誤】
複数の品目が同じ記号に当てられたり、特定品目が想定外の国と結びつけられたりして、世界規模での輸出入の主要動向を再現しづらい。
⑥【正】
果実類(カ)、牛肉(キ)、穀物(ク)という組み合わせで、南北アメリカから世界各地への輸出量、オセアニアからアジア方面への牛肉輸出、熱帯地域での果実類生産など、地図上に示される大きな流れと合致する。
問11:正解4
<問題要旨>
1970 年代前半の関東平野で深刻化した光化学スモッグ被害の地域分布(図5)と、東京都における 1970 年代から 2020 年代までの健康被害者数や注意報発令回数(図6)を関連づけ、光化学スモッグの原因や規制・対策の進展に伴う被害の推移を読み解く問題。工場や自動車の排気ガス、地形や気象条件、規制強化との関係が論点となる。
<選択肢>
①【誤】
自動車排気ガスが増加した影響を全面的に否定するような記述になっており、大気中の汚染物質が光化学反応を起こしてスモッグが発生した事実と整合しない。
②【誤】
沿岸から内陸部へ風で汚染物質が運ばれたことを過小評価しており、地形的要因や大気循環を無視して「沿岸のみで被害が起きた」かのような書き方であれば図の分布とは異なる。
③【誤】
光化学スモッグの注意報発令回数が年々右肩上がりで増加し続けたかのように述べる内容は、1970 年代以降に排出規制が強化され徐々に注意報が減っていった事実と食い違う。
④【正】
発生源(工場排煙や自動車排ガス)に規制を加えた結果、1970 年代後半以降には注意報発令回数が一時的に大幅に減少したことや、沿岸部から内陸部へ汚染物質が運搬されて被害が生じた点など、図5・図6の内容と矛盾なく説明できる。
問12:正解1
<問題要旨>
これまでの探究のまとめとして「世界の持続可能な資源利用や産業のあり方」について、生徒と先生が意見を交わす場面。対話文の内容に「誤りを含む」主張がどれかを判別する問題。化石燃料の利用方法や伝統的農業の再評価、食品廃棄物の再資源化など、持続可能性や循環型社会に関わる主張の中に、論理的に整合しないあるいは事実と異なる部分がないかを見極める。
<選択肢>
①【誤りを含む】
(設問文上はこれが「誤りを含む主張」に当たる)
例えば「化石燃料を利用する工場を先進国から途上国に移転することが、世界の二酸化炭素排出抑制にそのまま結びつく」といった趣旨だと、単に生産拠点を移しただけで地球全体の排出が減るわけではないという問題があり、持続可能なあり方として不十分となる。
②【正当な主張】
伝統的農業の再評価や、地域の自然環境を考慮しながら耕地を利用するという視点は、環境保全や生物多様性の観点からも有効性が指摘されている。
③【正当な主張】
資源産出地の住民の権利を保護し、資源を安定的に流通させる仕組みを作るというのは、公正な貿易や持続可能性の要として広く議論されている内容で、誤りは含まない。
④【正当な主張】
食料生産で生じる廃棄物を再資源化して付加価値を生み、循環型社会の実現につなげる取り組みは、近年のサーキュラーエコノミーの発想とも合致しており、一貫性がある。
第3問
問13:正解1
<問題要旨>
19 世紀後半の新大陸のある都市(港湾都市)の鳥瞰図を題材に、なぜその都市が急速に発展したかを示す要因を問う問題。港湾施設の整備や交通の要衝、放射状の道路計画など、都市成長に寄与した特徴のうち、図に描かれた入江や埠頭・桟橋の様子と関連づけて論じる。
<選択肢>
①【正】
港湾線が入り組んだ地形を活かし、入江を多くの船着き場や停泊地として整備したことで貿易や物流が盛んになり、都市の発展へつながったと解釈できる。図に示される多数の船や波止場がこれを裏付けている。
②【誤】
「急勾配の河川」を都市発展の主要因とする内容だが、図の描写では川の急流を利用した水力産業や流通の様子が強調されていない。むしろ入江を使った港湾機能が中心に見えるため、理由としては不自然である。
③【誤】
「平野上の要衝にあり、城壁を設けて防御した」という記述は、中世ヨーロッパ的な城塞都市の発展イメージに近い。19 世紀後半の新大陸都市では城壁による防御よりも、港湾の開発や鉄道の敷設が重要だった可能性が高く、図の内容とも合致しない。
④【誤】
「中央広場を起点とする放射状の街路」といったヨーロッパの一部の近代都市計画を思わせるが、図からは一部整然とした通りは見られるものの、中心からの放射状街路が全面的に採用されているわけではなく、入江の自然港を最大限に活用している点が主眼となる。
問14:正解3
<問題要旨>
ある県内の市町村を対象に、65 歳以上人口の割合と他市区町村への通勤率をプロットした図を読み解き、A・B・C それぞれがどのような地域特性(県庁所在都市か、近郊の衛星都市か、山間部の集落か)をもつかを見極める問題。高齢化率が低く通勤率が高い地域や、高齢化率が高く通勤率が低い地域などを総合的に推定する。
<選択肢>
①【誤】
A を「ウ(遠い山間地に位置する集落)」、B を「イ(県庁所在都市に隣接)」、C を「ア(県庁所在都市)」のように振り分けると、図中で最も通勤率が高い A に「山間部で集落が点在」とするのは不自然になる。
②【誤】
A に「ア(県庁所在都市)」、B に「ウ(山間地)」、C に「イ(隣接する衛星都市)」としてしまうと、高齢化率が低く通勤率の最も高い点が県庁所在都市に該当することになり、商業・行政機能を内包する中心都市の実態と合わなくなる。
③【正】
A は県庁所在都市ではなく、その周辺の衛星都市(イ)として通勤率が高い一方、高齢化率は低い傾向が示される。B は県庁所在都市(ア)に近い中間的位置、C は山間部(ウ)で高齢化率が高く通勤率が低いという図の読み取りと整合する。
④【誤】
A を「ア(県庁所在都市)」とし、B を「イ(衛星都市)」、C を「ウ(山間地)」とすると、A が最も他市区町村への通勤が多い点になるため、中心都市が自ら別の市町村に通勤する人が多数という説明になり不自然。
問15:正解3
<問題要旨>
アメリカ合衆国のシカゴ市における 1940 年代後半と 2000 年頃のアフリカ系住民の居住地域の変化、およびブルースが演奏される飲食店の立地の変化を示した地図を題材に、社会・文化的背景を読み解く問題。かつてアフリカ系住民の集中地区で人気を博した音楽や飲食店が、時代を経てどのように都市中心部や周辺地域へ波及したかを踏まえ、文章の正否を判断する。
<選択肢>
①【誤】
1940 年代後半に「ブルース演奏店の多くがアフリカ系住民割合 50%以上の地域から遠く離れた白人街にのみあった」などと記述するならば、地図からは実際にアフリカ系の集中地区で盛んに演奏されていたことが確認できるため不整合。
②【誤】
2000 年頃には「ブルース演奏店が衰退して姿を消した」とする趣旨であれば、むしろ観光客の誘致などを狙って市中心部にも新たな店が増加したと考えられるため、地図や解説の内容と食い違う。
③【正】
1940 年代後半にアフリカ系住民が多く居住する地域で生まれ発展したブルースが、時代とともに観光資源化も進み、2000 年頃には市の中心部にも店が増加した経緯が読み取れる。地図と文章の整合性がある説明である。
④【誤】
「2000 年代にブルースが市の文化的要素から消え、別の地域に完全に移転した」などとするならば、地図上ではむしろ中心部が新たな店舗立地の場となっているため、実態と矛盾する。
問16:正解5
<問題要旨>
表に示されている各国(E・F)における外国籍住民の男女別人数から、カ(アラブ首長国連邦)・キ(ギリシャ)・ク(ドイツ)のいずれに当たるかを探る問題。特に男女比や総人口における外国人比率、国際移動の特徴などを踏まえ、女性が多い国・男性の比率が高い国などを検討する。
<選択肢>
①【誤】
E をカ(アラブ首長国連邦)とすると男性外国人比率が非常に高いはずだが、提示された数字が女性より男性が少ない傾向を示すなら不整合。あるいはギリシャと取り違える可能性もある。
②【誤】
E をギリシャ、F をドイツとする場合、ギリシャの外国籍住民は男女ともに特定の比率を示すが、統計年や経済移民の背景によっては数字の差が大きいか小さいか食い違いが生じる。
③【誤】
F をカ(アラブ首長国連邦)と位置付け、E をキ(ギリシャ)とすると、外国人労働者の多くが男性中心のパターンと数字がかみ合わない場合がある。またドイツに該当するはずの数値特性と整合しない。
④【誤】
E をク(ドイツ)、F をキ(ギリシャ)などとすると、ドイツの外国人居住者が比較的多様な国籍を有し、男女比が大きく乖離するほどではない事実と表の数値がズレる可能性がある。
⑤【正】
E を女性が多い国(ギリシャ)として捉え、F を全体的に外国人が多いドイツと結びつけると、表に示された人数分布が整合する。さらにカ(アラブ首長国連邦)は男女比が大きく偏るためここでは該当しないものと考えられ、総合的に最も妥当な組み合わせとなる。
⑥【誤】
残るパターンとして E がカ(アラブ首長国連邦)、F がドイツというのは外国人労働者の男性比率や統計年の国情と噛み合わない点が多く、表の数字とも合致しない。
問17:正解2
<問題要旨>
2010 年から 2015 年にかけて、東京都・大阪府・広島県の間で居住地を移した人数を年齢階層別に示した図を読み取り、図中の記号 J・K が「20〜24 歳」、サ・シ・スが「東京都・大阪府・広島県」を示す組み合わせを問う問題。20〜24 歳は進学や就職で大都市へ移動が多く、高齢層は逆に大都市圏から地方へなどのパターンを考慮する。
<選択肢>
①【誤】
「20〜24 歳 → J」「広島県 → サ」などの対応をすると、図の矢印の大きさが進学・就職で流出入の多い層と合わない。東京・大阪との関わりを読み誤る危険がある。
②【正】
20〜24 歳が K、広島県がシ とすると、図で示される移動量が首都圏や関西圏への進学・就職のために流入・流出が大きい年齢階層と整合する。広島県がサやスになると流れの向きが不自然になりやすいが、シ ならば図中の矢印のパターンと比較的合致する。
③【誤】
20〜24 歳を K ではなく J とした場合、大都市圏を目指す若年層の移動先や規模の説明と矛盾しやすい。広島県をサと割り当てると、大きな流出が東京・大阪への若年層移動と噛み合わなくなる。
④【誤】
20〜24 歳を J、広島県をシとしてしまうと、図示されている矢印や人数の分布を説明しにくい。特に大阪や東京への人の流れがどの記号を指すかが混乱する可能性がある。
⑤【誤】
同様に他の組み合わせでは、20〜24 歳層の大都市集中傾向と矢印の大きさが説明できないか、広島県が示す流出入のパターンと記号が食い違う。
⑥【誤】
20〜24 歳を K、広島県をスとするなどの組み合わせも、矢印の向きや人数規模が一致せず、大都市圏との人のやり取りを説明しにくい。
問18:正解1
<問題要旨>
世界のいくつかの地域(アフリカ、北アメリカ、中南アメリカ、ヨーロッパ)におけるキリスト教人口の宗派別(プロテスタント・カトリック・正教・その他)の棒グラフを比較し、アフリカに相当するグラフを選ぶ問題。急激な人口増加や多様な宗派が存在する一方でカトリックやプロテスタントが大きな割合を占めている点を手掛かりに判別する。
<選択肢>
①【正】
アフリカでは近年プロテスタントやカトリックが急速に増え、宗教人口全体に占める割合も比較的大きい。一方で正教徒の比率は低めで、棒グラフを見るとプロテスタントとカトリックが大部分を占める形がアフリカの特徴と合致する。
②【誤】
北アメリカを示すグラフであれば、歴史的にプロテスタントの割合が高く、カトリックも少なくないが、移民の影響でその他の宗教も一定数増加している可能性がある。①ほど大きくカトリックが占める状況ではないケースが多い。
③【誤】
中南アメリカはカトリックが大多数を占める一方、近年はプロテスタントの増加が顕著ではあるが、①ほど両派の比率が拮抗する形になっていないグラフも多く、人口規模が大きくカトリック優勢が顕著になる特徴がある。
④【誤】
ヨーロッパではロシアなどを含め正教の信徒数が一定の割合を占める上に、カトリック・プロテスタントが地域によって分布するため、一つの棒グラフで表すと正教も含めた多様な宗派比率となり、①のように正教がほぼ無視できるほど小さい形にはなりにくい。
第4問
問19:正解3
<問題要旨>
南アメリカ大陸の地形分布図と、3地点(A・B・C)の平均気温および月降水量のグラフ(ア・イ・ウ)を照合し、標高や緯度、海流・風向などの気候要因を踏まえて、A~C とア~ウ の適切な組合せを判断する問題である。
高地や熱帯域、温帯の沿岸部など多様な気候条件が混在する南米において、雨季・乾季の分布や気温の年較差を分析することがポイントとなる。
<選択肢>
①【誤】
Aを「ア」、Bを「イ」、Cを「ウ」のように対応させると、Aが高温多湿の熱帯雨林型に該当してしまう場合があり、Aの位置がアンデス高地かアマゾン低地かで矛盾を生じることが多い。
②【誤】
Aを「イ」、Bを「ア」、Cを「ウ」の組み合わせなどとすると、Aが乾燥気候のグラフ(イ)を示す一方、Bは熱帯雨林のような大量降水になる。しかし、地図上のBの位置がどう見ても降水量の少ない地域には該当しにくいために不整合となる。
③【正】
A(高地付近で年平均気温が低め、雨量は比較的少なめ)を「ウ」、B(赤道付近で年間を通じて高温多雨)を「ア」、C(中緯度の温暖性気候、降水は夏季にやや集中)を「イ」と推定すると、地図の標高分布とグラフの特徴が合致しやすい。標高の高いアンデス付近は気温が下がる一方、アマゾン盆地では通年高温多雨になり、亜熱帯~温帯寄りの地域では夏に降雨が多くなる傾向が見られる。
④【誤】
Aが乾燥低地、Bが高地寒冷、Cが熱帯湿潤とするような割り当てでは、各グラフの気温・降水分布と南米の地形図における標高・緯度の実態が逆転してしまい、論理的に成立しない。
問20:正解3
<問題要旨>
南アメリカ12か国の「国土面積」「人口」「森林面積」「日本への輸出総額」などをカルトグラム(面積を指標の大きさに応じて変形したグラフ)で示した図を読み取り、カ~クに対応する指標名を推定する問題である。ブラジルやアルゼンチンの広大な国土面積、人口の多寡、森林面積が大きいアマゾン流域、あるいは日本向けの輸出が大きい国などを手掛かりに識別する。
<選択肢>
①【誤】
カを「人口」、キを「森林面積」、クを「日本への輸出総額」とする場合、ブラジルのカルトグラムが人口のわりに小さく描かれているなど実態と食い違う。カが最大にならない国が存在する可能性がある。
②【誤】
人口がク、森林面積がカ、日本への輸出総額がキのようにすると、ブラジルが最も大きくなるグラフが人口ではなく森林面積のカのほうに当てられたりしてしまい、全体の国名との整合をとりにくい。
③【正】
南米最大の国土と最大の人口を抱えるブラジルが圧倒的に大きい指標が「人口(カ)」と「国土面積」であること、アマゾン流域を抱える国々が大きく描かれる指標が「森林面積(キ)」とみなせる。さらに日本との貿易で輸出が多い国はチリなど鉱産資源輸出国が含まれ、クがその指標と考えると、図の大小関係とよく合致する。
④【誤】
森林面積をク、日本への輸出総額をカなどと逆にすると、例えば石油や鉱産資源の輸出量が多い国(ベネズエラやチリなど)があまり大きく描かれない、あるいはアマゾンを持つブラジル・ペルー・コロンビアなどが森林面積の指標と逆転してしまうなどの矛盾が生じる。
⑤【誤】
人口と森林面積の区別をしないまま、カとキを同一視するような説明では国ごとの相対的な大きさが説明しきれず、日本への輸出総額との連関も整理できない。
⑥【誤】
似通ったカルトグラムが複数存在するかのように扱うが、実際には人口・森林面積・輸出総額はいずれも国ごとに大きな差があるため、グラフの区別が十分に説明できない。
問21:正解4
<問題要旨>
南アメリカにおけるコーヒー豆と大豆の作付面積推移(図4)と、主要生産国の国別シェア(図5)を比較して、それぞれが F・G、サ・シ のどちらを指すのかを判断する問題。どの作物が年々急増しているか、あるいはどの国が上位生産国として名を連ねているかを分析する。
<選択肢>
①【誤】
F をコーヒー豆、サを大豆とすると、グラフの急増傾向がコーヒー豆よりも大豆のほうが顕著になりやすい事実と反する可能性が高い。ブラジルの大豆生産量増加が非常に大きいことと齟齬がある。
②【誤】
F を大豆、サ をコーヒー豆とするが、図5の国別生産割合で大豆はブラジル・アルゼンチン・パラグアイが主要な構成を占める一方、コーヒー豆ではブラジルが圧倒的で、かつコロンビアやペルーなどが目立つ。サ がこの特徴を示すかどうかで整合がとりにくい。
③【誤】
G をコーヒー豆、サ を大豆に当てる場合、G の伸びがそこまで急でないグラフかつコーヒー豆が大きくシェア変化する国の構成とは合わない。南米全体では大豆の拡大の方が著しい傾向がある。
④【正】
F を大豆、G をコーヒー豆とすると、F の曲線が 2000 年以降大きく上昇し続ける形となり、大豆生産の拡大を示す。サ(大豆)では上位 3 か国がブラジル・アルゼンチン・パラグアイなどになり、一方シ(コーヒー豆)はブラジル・コロンビア・ペルーなどが上位を占めるという構成が図5とも一致しやすい。
⑤【誤】
「F=コーヒー豆、サ=コーヒー豆」のように同じ作物を重複させるような説明になりがちで、図の示す2種類の作物の推移を正確に区別できない。
⑥【誤】
「G=大豆、シ=大豆」などとした場合、作付面積の急増カーブが G に当てられず、ブラジルやアルゼンチンが大豆の主要生産国という点も含め、整合しにくい。
問22:正解6
<問題要旨>
南アメリカのいくつかの国(アルゼンチン、コロンビア、ボリビア等)を対象に、対アメリカ合衆国、対 EU、そして自国以外の南米諸国* との貿易(輸出・輸入額)構成比を示した図(図6)をもとに、L・M・N の3国がどれに該当するかを推定する問題。地域統合や資源の有無、経済規模によってアメリカ・EU・南米諸国との結び付きが異なる点に着目して判断する。
<選択肢>
①【誤】
L=アルゼンチン、M=コロンビア、N=ボリビアのように割り当てると、南米諸国との貿易割合が特に高いアルゼンチンに適合するかどうか疑わしい部分がある。コロンビアの対米依存度などとも整合しにくい。
②【誤】
L=コロンビア、M=ボリビア、N=アルゼンチンにすると、コロンビアは対米貿易の比重が高いと推察されるが、図の比率が L に当てはまるかどうか合わないケースがある。また、アルゼンチンが N に来る場合に EU や南米との依存構造が食い違う恐れがある。
③【誤】
L=ボリビア、M=コロンビア、N=アルゼンチンのようにすると、経済規模の大きいアルゼンチンが N であっても対 EU や南米諸国への輸出入の割合が期待とは異なる。対米貿易があまりに少ないとボリビアらしさが失われる点も問題。
④【誤】
L=アルゼンチン、M=ボリビア、N=コロンビアや、あるいは他の入れ替えも含め、特定国の主要相手国が整合しづらいパターンが多い。特にアルゼンチンは同じ南米諸国との貿易比率が比較的大きい点が図からうかがえる。
⑤【誤】
南米共同市場(MERCOSUR)への加盟度合いを踏まえれば、アルゼンチンは域内貿易比率が高いはずだが、別の国をアルゼンチンに割り当てることで矛盾をきたすなど、論理的に成立しにくい。
⑥【正】
L=コロンビア、M=アルゼンチン、N=ボリビアとすると、コロンビアは対米依存がやや高く、アルゼンチンは域内貿易(南米諸国)への比率が比較的大きい。ボリビアは EU やアメリカ合衆国との貿易比率がそこまで高くないものの、天然ガスの輸出先として南米諸国が主要相手になる点など、図の構成比とも整合する。
問23:正解1
<問題要旨>
南アメリカにおける複数の鉱産資源(原油、銅、ボーキサイト、リチウムなど)について、「2018 年時点の世界生産に占める割合」と「2000 年~2018 年の生産量増加率」が表で示されている。①~④のいずれが銅かを見極める問題。銅はチリやペルーなどが世界有数の生産国となっており、南米の世界シェアが高いことなどが手掛かりになる。
<選択肢>
①【正】
南アメリカの世界シェアが非常に高く(40%超の水準もあり得る)、チリやペルーなどが大規模な銅鉱床を持つ。さらに 2000 年以降も堅調に生産量が増加してきたという統計の流れとも合致する数値で、銅として最も妥当である。
②【誤】
24.9%ほどの世界シェアに加えて爆発的な増産(300%を超えるなど)とされていれば、これはリチウムか別の資源の可能性が高い。チリやアルゼンチンなど南米のリチウム資源は近年の需要拡大で増産率が高いことが報告されている。
③【誤】
10%前後のシェアと中程度の増加率は、ボーキサイトや原油など他の資源の可能性を示唆するが、南米の原油シェアが 10%強という数字はベネズエラ等もあるものの銅にしては低すぎる。
④【誤】
8%程度の世界シェアで逆に生産量がやや減少している資源は、特定地域で産出が頭打ちになっている可能性が考えられる。銅はチリやペルーで継続的に増加傾向があるため、ここには当てはまらない。
問24:正解2
<問題要旨>
アルゼンチンの首都かブラジルの首都か、いずれかを示す地図(P・Q)について、そこに描かれた大聖堂の位置や放射状の通り、海岸線、川沿いの市街地配置などを手掛かりに、都市の歴史的背景や街路のレイアウトを読み解く問題。南米の大都市ブエノスアイレス(アルゼンチン)とブラジリア(ブラジル)は都市構造が異なるため、どちらがどの図かを見定める。
<選択肢>
①【誤】
P の大聖堂から北側へ伸びる道を「人口増加に伴い自然発生的に延びた旧市街地」とするのは、ブラジリアのように計画的な街路が放射状に整備された都市像と混同している恐れがある。
②【正】
Q は計画都市の様相が強く、海岸や大河の河口に面しているわけではないため「歴史的背景によるヨーロッパ風の景観が広がる港湾都市」とは言い難い。一方、P は海岸に近い低地に発展した旧市街を中心に、放射状の通りや大聖堂が見られることから、ブエノスアイレスに該当すると考えられる。よって選択肢の文中で「Q の大聖堂周辺は歴史的ヨーロッパ風の景観」という記述は当てはまらず、むしろ P に符合する。最も適切な本文解釈として整合するのは②の記述である。
③【誤】
P・Q 両都市とも大型港湾を持ち、船舶貿易が盛んな港町であるとするならば、ブラジリア(内陸の人工的な湖畔に作られた首都)に港町のイメージは当てはまらないため、事実と乖離する。
④【誤】
P の空港と Q の空港が国内最多の旅客者数を扱うというのは、実際にはそれぞれの国の主要空港ではあるにしても、ブラジリア国際空港とブエノスアイレスの主要空港では旅客数の規模などが相違するため、一概に「両方が国内最多」という形で要約するのは不正確。
第5問
問25:正解5
<問題要旨>
埼玉県南西部(入間市周辺)の地形区分図と、それに沿った地形断面図(ア・イ・ウ)を対応づける問題。山地や台地、丘陵、低地などの起伏量や高さの変化から、A・B・C それぞれがどの断面図に当てはまるかを推測する。図2の断面形状をよく見ると、台地や丘陵では微起伏が続くもの、山地に向かうほど標高が大きく変化するもの、低地はほとんど標高差がないものなどの特徴がある。
<選択肢>
①【誤】
A をア、B をイ、C をウの組合せとしてしまうと、A 地点が急激に標高が下がる地形断面を示す形になるなど、実際の地図の台地・丘陵分布と整合しにくい。
②【誤】
A をイ、B をウ、C をアのようにすると、A 付近が小さな起伏の連続する丘陵になるはずだが、断面イは一時的に標高の乱高下がある形状を示すため、台地などの緩やかな勾配とは合わない。
③【誤】
A をウ、B をア、C をイにする組合せだと、A の断面がほぼ平坦になってしまい、実際には山間部へ近づく地点の特徴と食い違う。標高差の少ない断面を山地寄りとして扱うのも不自然である。
④【誤】
B をア、C をウ とした場合、B の地形が急激に下がる断面を当てる形になり、地図上で B は丘陵から台地へ移る過程にあると想定されるため、単純な急峻の下り坂を示すアとは合わない。
⑤【正】
A は山地・高地へ向かう急な下り勾配(または高いところから低いところへ落差の大きい地形断面)、B は丘陵が連続し標高変化が小刻みの断面、C は相対的に平坦な低地型の断面と見ると、図2のア・イ・ウの特徴と地図の地形分布に矛盾がない。
⑥【誤】
A・B・C をイ・ウ・アなどに割り振る組合せであっても、どこかで山地・台地・低地の関係が逆転し、実際の地図上の標高差の分布を説明できなくなる。
問26:正解2
<問題要旨>
入間市付近の丘陵に広がる雑木林の写真(写真1)と、その雑木林のかつての利用法と近年の役割・保全活動等について、複数の事例(E・F)を示す問題。E・F が示す内容(「幹や枝を燃料や堆肥に活用」「草刈りイベントや外来樹種の植栽など」)と、下線部の a・b が「住宅向けの用材として伐採された」「地球温暖化対策に資する樹木の植栽を進める」などの文言と正しく組み合うかを問う。
<選択肢>
①【誤】
E を「幹を切り出して住宅資材に活用」する内容、F を「草刈りで関心を高める」内容だとすると、写真1のような雑木林本来の利用(燃料や堆肥化)に関する説明が漏れてしまい、E・F の歴史的役割と合わない。
②【正】
E は「幹や枝、落ち葉を燃料や堆肥に活用してきた昔ながらの雑木林利用」、F は「草刈りイベントなど新たな利用を通じて保全に取り組むとともに、外来品種の導入で温暖化対策を行う」とする組合せは、写真1の伝統的利用法から近年の保全活動までの流れを自然に説明できる。
③【誤】
F を「幹を切り出して宅地の境界杭などに用いた」とし、E を「外来種を植えて CO₂ 削減を図る」とすると、写真の解説で示される歴史的経緯(1960 年代までは地域住民により利用されていた)が逆転しかねない。
④【誤】
E・F のいずれも伝統的利用法ばかりを扱い、近年の保全活動が盛り込まれない説明になってしまうと、下線部 a・b の組合せを満たせず、時系列や新たな取り組みが欠落する。
⑤【誤】
E・F の文例を共に「観光客誘致のための草刈り体験」に寄せるなど、地域住民による燃料や肥料とした昔ながらの活用を無視する内容だと、写真1の解説文と合わない。
⑥【誤】
E を近年の対策、F を昔ながらの利用と入れ替えるような割り当てにすると、写真1に示される雑木林保全の新旧両面が歪んでしまい、下線部 a・b の文脈ともずれてしまう。
問27:正解3
<問題要旨>
入間市の台地で盛んに行われている茶の生産に関する資料をもとに、「埼玉県の茶の摘採時期が鹿児島県や静岡県などに比べ遅い理由」や「入間市では機械化と同時に加工・販売にも特徴がある」といった文章の正否を判別する問題。表や図のデータから、摘採回数や収穫時期の違い、経営体数と生産量との関係を確認することがポイント。
<選択肢>
①【誤】
「埼玉県は真冬でも気温が高いために摘採時期が早まる」とする記述があれば誤り。実際には鹿児島や静岡のほうが温暖で、埼玉は気温が安定して上昇するのが遅いために摘採開始も遅い。
②【誤】
「県内の生産者数が少ないから全収穫を手作業で行っている」という説明は、資料から機械化が進んだ事例が示唆されており、かつ販売加工の特色もあるため事実と合わない。
③【正】
「気象条件の違いにより鹿児島・静岡よりも摘採が遅れがち」や「生産量が比較的少ない分、機械化や加工方法に工夫をこらし、付加価値を高めている」という説明は、表や写真などに見られる地域の特徴と矛盾しない。
④【誤】
「三番茶や四番茶の摘採を行わないため、通年の生産量が全国平均を上回る」という内容は、資料上の埼玉県の生産量が上位ではあるものの、全国平均を大きく超えるとは限らず、事実かどうか不明確。
⑤【誤】
「二番茶・三番茶の収穫を行わずに一番茶だけを採取する」など断定する場合、資料では夏から秋にかけても収穫を行う例が示されている。よって明らかな誤りとなる。
⑥【誤】
「埼玉の一番茶の摘採時期は静岡よりも早い」という逆の指摘は、温暖な静岡のほうが通常は早く摘採に入るため、文面と資料の傾向に整合しない。
問28:正解4
<問題要旨>
関東地方の高速道路整備と臨海部での物流拠点の開発時期を示した地図と表をもとに、入間市を通る高速道路が 1996 年に開通して以降の交通量や産業への影響を、職員とアキラさんが会話する場面。表中の「(J) に当てはまる文」「(K) が該当する環状道路沿線地域への大規模物流施設の立地状況」などについて、適切に組み合わせる問題。
<選択肢>
①【誤】
(J) に「大都市圏の中心部を貫通する交通量」、(K) に「大規模商業地として再開発されている地区」とすると、高速道路の整備目的(通過交通の分散)や「環状道路沿線に物流施設が集積する」という資料の内容を説明しきれない。
②【誤】
(J) に「大都市圏における高速道路網全体の交通量」、(K) に「郊外型住宅地の開発地域」とするならば、職員の述べる「物流の変化」やアキラさんの「大規模物流施設」の話とは結びつかず、資料とも整合しない。
③【誤】
(J) が「大都市圏の中心部を避ける外環道の交通量」であると書きながら、(K) を「環状道路沿いではなく市街地に多い商業施設」とするならば、会話文に出てくる「大規模物流施設の立地」と矛盾が生じる。
④【正】
(J) に「大都市圏における高速道路網全体の交通量」、(K) に「環状道路沿いに立地する大規模物流拠点」と割り当てると、会話で言及される‘複数の移動経路を確保’や‘物流の変化’に合致する。表や地図からも、高速道路網の整備により郊外・環状部へ物流施設が集まる傾向を読み取れる。
⑤【誤】
(J) を「地域のローカル道路の交通量」程度に見積もり、(K) を「サービスエリアやパーキングエリアの開発」とすると、職員の述べる広域物流や周辺開発の話題とはスケールが合わなくなる。
⑥【誤】
(J) と (K) の両方を大型商業施設の開発や住宅街の拡大に割り当てるなど、高速道路の整備による産業構造変化に触れない内容は、会話や資料に即していない。
問29:正解2
<問題要旨>
入間市周辺の 1976 年と 2016 年における土地利用メッシュ図(X・Y)を比較し、それぞれが「建物用地」や「農地・森林」などどのように変化したかを読み取る問題。どちらが古い図か新しい図かを判定しつつ、市街地や宅地の拡大・農地の減少などが見られるかどうかで正しい組合せを選ぶ。
<選択肢>
①【誤】
2016 年を X、かつ X のほうが市街地が小さく森林や農地が多い、とする説明は地域の都市化傾向に反する。実際には近年になるほど建物用地が拡大していると推測される。
②【正】
X を 1976 年、Y を 2016 年とすると、Y で建物用地(マ・ミなど)の分布が増え、農地・森林が一部減少している傾向を読み取れる。これが高度成長期以降の都市近郊の変化と一致する。
③【誤】
Y が古い図、X が新しい図と入れ替えると、人口増加や都市化が進んだ後の図が市街地の狭い状態として描かれるため矛盾が生じる。
④【誤】
X・Y ともに建物用地が大きく増減していないという説明は、都市圏近郊の 40 年間の変化を示すメッシュ図とは合わず、資料から見込まれる市街地拡大を否定してしまう。
⑤【誤】
建物用地と農地・森林を入れ替えるような説明で、X・Y 間の差異がほとんど見られないとするならば、実際の首都圏近郊の開発傾向を考慮できていない。
⑥【誤】
「X は 1976 年でも 2016 年でもない第三の時点を示す」などの推定は問題の設定から外れており、与えられた二時点比較の意図を逸脱する。
問30:正解4
<問題要旨>
入間市の人口推移(1965~2015 年の実測値と 2020~2040 年の推計値)および 1995~2015 年の年齢別人口構成を示す図を用いて、これからの大都市圏郊外地域で想定される課題と、それを食い止める自治体の対策例を関連づける問題。空き家の増加、高齢者医療体制の逼迫、地縁コミュニティの衰退、年少人口の減少などが取り上げられ、対策としてマッチング事業、医療連携、施設整備、防災拠点整備などが提案される。
<選択肢>
①【誤】
「空き家の増加」への対策として、各家庭が自主的に空き家をリフォームするよう促すだけでは、マッチング事業など社会的な仕組みが不足しており、自治体の積極的関与が欠けている。
②【誤】
「高齢者医療体制の逼迫」に対して「生涯学習と福祉の複合施設整備」を挙げるだけだと、病院間連携や在宅医療支援など直接的な医療体制確保策が述べられておらず不十分。
③【誤】
「地縁コミュニティの衰退」に対して「小規模な公園を拡充して防災拠点化」とするならば、地域住民同士のつながりを育む手段にはなるかもしれないが、必ずしもコミュニティ衰退への具体的対処と結び付くかは限定的で疑問が残る。
④【正】
「年少人口の減少」を抑えるために「家主と入居希望者のマッチング事業を展開」する策ばかりではなく、小規模公園の増設や防災体制整備など他の問題に対処する対策を混同すると焦点がずれてしまう。資料から読み取れる郊外地域の少子化対策には、育児支援や若年層の流入を促す住宅対策が考えられるが、それを誤った組合せで紹介しているなら「適当でないもの」に該当する。