2018年度 大学入試センター試験 本試験 地理B 解答・解説

目次

解答

解説

第1問

問1:正解2

<問題要旨>
世界各地の代表的な地形に関する問題で、地図上のA・B・C・D付近にみられる地形的特徴と照らし合わせて、誤った説明を一つ選ぶという形式です。ケスタ地形、活火山、溶岩台地、氷食地形など、各地域で典型的にみられる地形の成因や分布が問われています。

<選択肢>
①【正】
「Aの盆地では、ケスタがみられる。」
A付近は、堆積層が緩やかに傾斜して削られ、ケスタ地形(cuesta)が発達する盆地として知られる地域と考えられます。よって、代表的な地形として妥当です。

②【誤】
「Bの山脈には、活火山が点在する。」
B付近の山脈として考えられる地域は、造山帯ではあるものの、現在も数多くの活火山が集中する地帯とはいえない可能性が高いです。したがって、この記述は他の選択肢に比べて誤りと判断できます。

③【正】
「Cの高原には、溶岩からなる台地が広く分布する。」
C付近の高原として想定される場所(例:溶岩台地で有名な地域)には、火山活動の歴史によって形成された玄武岩台地などが存在します。溶岩流の堆積による広大な台地の分布は、地理的にもよくみられる現象です。

④【正】
「Dの山脈では、氷食地形がみられる。」
D付近の山脈は高緯度や高標高の地域に該当し、氷河による侵食地形(U字谷や氷食谷など)が典型的に発達していると考えられます。高山帯での氷河作用により特徴的な地形が形成されているため、妥当な記述です。

問2:正解6

<問題要旨>
死海・パトス湖・レマン湖のように、湖は多様な成因や地形的要因によって形成されます。表に示された湖面標高や最大水深、あるいは形成要因(河川による堰き止め、堆積物による閉塞、プレート運動による地溝帯など)を組み合わせ、図中のア~ウと正しく対応させる問題です。

<選択肢> (①~⑥の各組み合わせ)
ここでは、死海(海面下に位置し、地溝帯の一部)、パトス湖(海岸に土砂が堆積して形成された潟湖的な地形)、レマン湖(氷河作用などによる堰き止め)を念頭に、表の数値・成因と突き合わせることで判断します。

①【誤】
湖名とア~ウの組み合わせが、表の湖面標高や成因と合わない組み合わせになっています。

②【誤】
それぞれの湖の標高や深さ、成因を照らすと不整合が生じる組み合わせです。

③【誤】
一部の要素(例えば死海が海面下にある特徴や、パトス湖の形成原因)が表に示された条件と一致しない組み合わせになっています。

④【誤】
組み合わせのうち、少なくとも一つが成因や標高・水深と矛盾するため、適切でない組み合わせです。

⑤【誤】
死海・パトス湖・レマン湖のいずれかが、表のア・イ・ウの値や成因と合わない形で対応付けられていると判断されます。

⑥【正】
死海は海面より低い標高(-400m付近)かつ大きな水深をもち、地溝帯の形成に関係している点が表のウに合致します。パトス湖は海岸付近の堆積によって潟湖状に閉塞された形態がイの特徴に一致します。レマン湖は氷河の作用や河川の堰き止めによって形成された湖で、標高や最大水深もアに該当します。これらの対応がすべて整合するため、最も適切な組み合わせとなります。

問3:正解4

<問題要旨>
図中に示された土壌の主要分布地域について、その土壌の生成過程や特徴を説明した記述を選ぶ問題です。問題文では、腐植や鉄・アルミニウムの蓄積など、成帯土壌に関する特徴が含まれていることが多く、四つの選択肢のうち最も該当するものを選ぶ形式です。

<選択肢>
①【誤】
「風化した火山岩からなる赤紫色の間帯土壌」という説明は特定の火山帯に限られた土壌に当てはまる表現であり、広域的な分布とは言い難い点などから、該当の土壌とは異なります。

②【誤】
「風化した石灰岩からなる赤色の間帯土壌」という文言はテラロッサなどを連想させますが、問題図の地域と一致するかは不明確で、全体の特徴ともずれがあります。

③【誤】
「腐植に乏しい灰白色の成帯土壌」という文は、ポドゾルなど寒冷地域の土壌を思わせる記述で、問題図で示す主な分布域とは特徴が合致しません。

④【正】
「腐植に富む黒色の成帯土壌である。」
問題図に示されている地域が、ステップ気候などで形成されるチェルノーゼムやパンパ土など、腐植に富んだ黒色土の広域分布に該当していると考えられます。そのため、この説明が最も適切です。

問4:正解1

<問題要旨>
図2に示された西側斜面・東側斜面での植生分布や、チチカカ湖付近の標高帯ごとの気候条件などを踏まえた高山植生帯の分布傾向を選ぶ問題です。標高が上がるにつれて降水量が変化するほか、風上・風下の違いによって森林分布や降水季節が異なる点が問われます。

<選択肢>
①【正】
「東側斜面の標高4000m以下の地域では、主に冬季の豊富な降水によって熱帯林が成立する。」
アンデス山脈の東斜面はアマゾンからの湿った風の影響で降水量が多く、山の比較的低い標高域に常緑の森林が広がります。季節的には夏場(南半球では12~2月頃)が雨季となる地域が多いものの、高山帯では降水期がずれ込む例もあり、このような熱帯林が成立することが多いです。

②【誤】
「チチカカ湖より西側の標高4000~5500mの地域では、主に寒冷で降水量の少ない気候によって草地が広がる。」
標高4000mを超えると低温となり、降水量も多くはないですが、実際には気温の影響で荒地的な植生や雪氷が見られることもあります。「主に降水量の少なさによって草地が広がる」というのは西側よりもむしろ東側の高山草原などで説明されやすく、ここではややずれが生じます。

③【誤】
「西側斜面の標高2000~3000mの地域では、主に湿潤である期間の短い気候によって低木林が広がる。」
アンデス山脈の西側は太平洋からの風が山脈に遮られ、降水量が非常に少ない乾燥気候が卓越します。低木林よりもステップや荒地、さらには砂漠的な環境になる地域も多く、単に「湿潤期間が短い」だけでは説明できない特徴があります。

④【誤】
「西側斜面の標高2000m以下の地域では、主に寒流の影響によって砂漠が広がる。」
太平洋岸の寒流(ペルー海流)の影響で乾燥しやすい地域がありますが、標高2000m以下と言っても、地形によっては低い丘陵地が連なり、砂漠だけでなく様々な植生が分布しています。問題文が示す分布図と照らしても、この文は不正確といえます。

問5:正解4

<問題要旨>
サヘル地域における雨季と乾季の移動、年降水量の変動、砂漠化の進行などについて問う問題です。年によって降水量の変動が大きいことから、農耕や牧畜への影響、砂漠化との関係を的確に述べる記述を選択します。

<選択肢>
①【誤】
「年ごとの降水量の変動が小さいため、干ばつがほとんど起こらない。」
サヘル地域は年降水量の変動が非常に大きく、干ばつのリスクが高いことが知られています。この記述は事実と反します。

②【誤】
「この地域の砂漠化が急激に進行する原因の一つに、雨季の長期化がある。」
むしろ雨季の短縮や不安定化、過放牧・過耕作が砂漠化を引き起こす要因とされます。「雨季が長期化する」ことは砂漠化の進行要因になりにくいので、誤りと考えられます。

③【誤】
「黒鉛質民が発生する要因の一つにもなっている。」
サヘル地域では、特定の資源(炭鉱など)に関連して黒鉛を産出する状況は一般的には想定されません。問題文の文脈とはかみ合わない説明です。

④【正】
「砂漠化の進行を抑制する。」
サヘルでの干ばつと砂漠化は切り離せない問題ですが、適切な農法や植林活動などにより土壌流出を防いだり、降水変動のリスクを乗り越えて砂漠化の進行を食い止める取り組みが行われています。この選択肢は、問題文が指すサヘルの対策や農地拡大・家畜増加などとの関連を適切に表現していると考えられます。

問6:正解4

<問題要旨>
エルニーニョ現象(南米沖合の赤道太平洋東部での海面水温上昇)と、大気循環への影響について問う問題です。貿易風や偏西風、乾燥や湿潤などの気候変化との対応関係を把握し、エルニーニョ期にどのような地域が高温・多雨や乾燥に見舞われるかを理解する必要があります。

<選択肢>
①【誤】
「偏西風が干ばつ、貿易風が洪水をもたらす。」
エルニーニョ期において、偏西風が直接干ばつをもたらすわけではなく、また貿易風が洪水をもたらすとも限りません。大気循環の変化はもう少し複雑で、これだけの単純化は誤りと考えられます。

②【誤】
「偏西風が洪水、貿易風が干ばつをもたらす。」
これも同様に、偏西風・貿易風と降雨・干ばつの対応関係を短絡的に結びつけた表現であり、エルニーニョ現象下での全球的な気候変動を正しく表すものではありません。

③【誤】
「貿易風が干ばつ、偏西風が洪水をもたらす。」
貿易風の弱まりが南米西岸付近の高温・多雨をもたらし、逆に東南アジアやオーストラリア北部では干ばつが起きやすい、といった特徴はありますが、この選択肢は因果が入り混じった表現で、事実と合わない部分があります。

④【正】
「貿易風が洪水、偏西風が干ばつをもたらす。」
エルニーニョ期には、本来東向き(南米方向)への貿易風が弱体化または変質し、西太平洋から東太平洋へと水蒸気が流れ込みやすくなります。その結果、南米西岸(ペルーやエクアドルなど)では大雨や洪水が多発し、逆に西太平洋側の地域(東南アジアやオーストラリア北部など)では降水量が減って干ばつ傾向が強まります。問題文中の「太平洋の低緯度地域(て)が弱まり…(キ)が発生する可能性が高まる」という説明にも合致します。

第2問

問7:正解3

<問題要旨>
スマートフォンを構成する部品の原材料や技術に着目し、世界各国の「国際特許出願件数」「ボーキサイト(アルミの原料)産出量」「リチウム産出量」の統計分布を示す図を見比べ、ア・イ・ウがそれぞれ何を表すかを判断する問題です。国ごとの特許出願の集中度合いや、主要なボーキサイト・リチウム生産国を踏まえて正しい組み合わせを選択します。

<選択肢>
①【誤】
アの分布が特許大国(例:アメリカ・日本・中国・韓国など)に一致しない、あるいはイやウの生産上位国(オーストラリア、南米諸国など)との対応がずれていると考えられます。

②【誤】
地図上でアに該当する国々の特許出願件数と、イ・ウに該当する鉱物資源の産出量がそれぞれ対応しない組み合わせとなっています。

③【正】
アが国際特許出願件数で、先進国や新興国の大きな工業・研究拠点と合致します。イがボーキサイト(アルミニウムの原料)でオーストラリアや中国、ブラジルなどに大きなシンボルが示され、ウがリチウムの主要生産国(チリ・オーストラリアなど)に一致します。この分布が地図上の規模と最も整合するため正しい組み合わせです。

④【誤】
ア・イ・ウのいずれかが特許・ボーキサイト・リチウムの生産国分布とは異なる国々を示しており、矛盾が生じます。

⑤【誤】
たとえばリチウム生産の大きな国として南米のチリやアルゼンチン、オセアニアのオーストラリアに大きな円が描かれていなかったり、ボーキサイトの主要生産国の分布がずれているなどの不整合があります。

⑥【誤】
主要国の特許出願数や資源生産量の分布との対応が正しくない組み合わせです。

問8:正解4

<問題要旨>
九州地方が「シリコンアイランド」と呼ばれるように、半導体関連の工場が多数立地している背景を問う問題です。高品質な水資源や広大な工業用地、人件費、輸送コストなど、企業の立地要因(市場指向型か労働力指向型かなど)と、輸送費が生産費全体に占める割合の大小を組み合わせて説明する選択肢から正しいものを選びます。

<選択肢>
①【誤】
「市場に近いことが最重視され、輸送費が大きな比率を占める」という趣旨であれば、九州の実情とは合いにくいです。九州はむしろ人件費や用地コストなどの利点が重視されてきました。

②【誤】
「市場指向型だが輸送費の比率が小さい」とされると、高集積地としての説明に不足があります。半導体生産では部品輸送も重要ですが、実際には海外輸出も多い点などを考慮する必要があります。

③【誤】
「労働力指向型で輸送費の比率が大きい」とするのも、九州の工場立地の背景とずれが生じます。現実には輸送費よりも優先される立地要因(地価や人件費など)が大きいとされるからです。

④【正】
九州が工場立地に選ばれる理由は、比較的安価な人件費や広い工業用地の確保など「労働力指向・用地指向」による面と、半導体の輸送における海外出荷などで輸送費が占める割合が大きい面の両方を考慮しています。特に空港や港湾、高速道路が整備されており、輸出入がしやすい立地条件が重要です。以上を総合すると、この選択肢が最も適切と判断できます。

問9:正解3

<問題要旨>
シリコンバレー(アメリカ)、サードイタリー(イタリア第三のイタリア)、シンガポール、ドイツのルール地方など、それぞれの産業集積地の特徴を述べた選択肢から、最もその地域の実態をうまく説明しているものを選ぶ問題です。技術革新の中心地や企業・研究機関の集積状況、産業構造の変化などが確認ポイントです。

<選択肢>
①【誤】
「繊維・機械などを中心に多品種少量生産が盛ん」という記述は、サードイタリーの特徴を一部表す内容ですが、他の地域の状況と混同されている可能性があります。各地域の具体的な主産業が異なるため誤りと判断されます。

②【誤】
「大学や研究所から独立したベンチャー企業が多く、半導体やインターネット関連の新技術を創出する」というのはシリコンバレーの特色に近いですが、ここでは他の地名も混じっているか、地域の説明がずれている記述と考えられます。

③【正】
ルール地方に関しては、かつて重工業地帯として発展し、近年は大規模な構造転換が進みました。鉄鋼・石炭産業の衰退後、大学や研究機関との連携が進み、研究開発型の技術やサービス企業の誘致が盛んになっています。このような産業多様化の取り組みは、近年のルール地方をよく説明しているといえます。

④【誤】
「輸出加工区を設けて外資導入し、さらに金融センターや知識産業の拠点として成長」というのは、むしろシンガポールや香港などに該当しやすい記述です。ルール地方とは性質が異なるため誤りです。

問10:正解2

<問題要旨>
日本の自動車メーカーの生産台数を、2000年から2014年にかけて地域別に示したグラフを読み解く問題です。グラフの4つの線が「日本」「アジア(日本を除く)」「北アメリカ」「中南米」などに対応しており、どの線がどの地域かを見極めて正しい選択肢を選ぶ形式です。

<選択肢>
①【誤】
日本国内生産の比率がこの期間で大きく増加している、などの説明ならグラフの動きと一致しません。実際には海外生産比率の増減が異なるため不正確です。

②【正】
アジア(日本を除く)における生産台数割合が大きく上昇し、北アメリカや他の地域も緩やかに変動しているというグラフの特徴を的確にとらえています。製造拠点の海外移転が進む中で、アジア域内での生産割合が最も顕著に伸びるのが2000年以降の趨勢であることを反映しています。

③【誤】
北アメリカを示すラインとアジアを示すラインを混同しているなど、グラフの数値から考えて不整合が生じる説明になっている可能性があります。

④【誤】
中南米などの生産比率が最も大きく伸びている、などの解釈であればグラフから得られる事実とは合致しません。

問11:正解1

<問題要旨>
農業分野での技術革新や移転をめぐる記述から、誤った内容(当てはまらない内容)を一つ選ぶ問題です。遺伝子組み換え作物の導入目的、高収量品種による農業の大規模化、日本の小規模農家の兼業状況など、農業の近代化やグローバル化に伴うトレンドが選択肢に含まれています。

<選択肢>
①【誤】(問題文では「誤った説明」を選ぶ問題なので、これが選択肢としては「不適当な記述」となる)
「遺伝子組み換え作物は生産量が安定することから自給的農業を営む国で導入がすすめられている」という説明は、必ずしも事実と合致しません。実際には資金力や技術力がある輸出志向の大規模農家や先進国の企業主導で導入が進むことが多く、自給的農業が中心の国々では導入のハードルも高いため、この記述は誤りと考えられます。

②【正】
「高収量品種による大規模化」は世界的に見られる方向性で、飼料作物や畜産の大規模経営にも波及しています。アグリビジネスの展開にも通じるため、こちらは整合性があります。

③【正】
「日本の農業生産は機械化による省力化が進む一方、経営耕地面積の小ささや兼業などの実態から、農家収入を補う動きが多い」という点は日本農業の一般的な特徴として認められます。

④【正】
「冷蔵船・冷凍技術の発達と遠距離輸送の可能化により、南半球での農牧業と結びついたビジネスが成長」というのは、実際にチリやオーストラリア、ニュージーランドなどでワイン・牛肉などを輸出拡大できるようになった事例と合致します。

問12:正解5

<問題要旨>
各都道府県における「情報関連サービス業」「道路貨物運送業」「農業関連サービス業」の事業所数が全国に占める割合を示す図(サ・シ・スの3種)を読み取り、どの図がどの業種に該当するかを判断する問題です。大都市圏に集中しやすい業種、全国各地に幅広く存在する業種、農業地帯に多くみられる業種などが手がかりとなります。

<選択肢> (①~⑥)
①【誤】
「サ」が情報関連サービス業、「シ」が道路貨物運送業、「ス」が農業関連サービス業、という組み合わせが地図の分布と一致せず、都心部・地方の濃淡に不自然さが生じます。

②【誤】
図中で最も大都市圏に偏っている分布を別の業種と混同するなど、業種の地域偏在パターンとずれが見られます。

③【誤】
「ス」が大都市に集中する業種として表されているなど、農業関連サービス業の分布としては説明が難しい点があり誤りとなります。

④【誤】
情報関連サービス業の拠点が地方にも散在するように書かれているなど、実際の集積パターンと合わない組み合わせです。

⑤【正】
たとえば「サ」が情報関連サービス業として大都市圏に集中度が高い分布を示し、「シ」が道路貨物運送業として全国的に比較的平均的な広がりを示し、「ス」が農業関連サービス業として農村地帯を中心に多く見られる分布となっており、図の濃淡と合致します。

⑥【誤】
いずれかの業種が示す地域分布の特徴を取り違えており、大都市集中型や地方偏在型などの実態と一致しません。

第3問

問13:正解2

<問題要旨>
ヨーロッパ各国における主要宗教や宗派(イスラム、カトリック、正教、プロテスタントなど)および無宗教の人口割合を比較し、表に示された①~④のいずれがドイツに該当するかを問う問題です。ドイツはカトリックとプロテスタントがいずれも比較的多い比率を占め、イスラム教徒や無宗教の割合も一定程度存在している国として知られています。

<選択肢>
①【誤】
イスラム教徒の割合がやや高めであったり、カトリックが支配的だったりと、フランスやその他の国を想定させる数字になっている可能性があります。ドイツの特徴(プロテスタント・カトリックがともに割合を占める)とはやや異なります。

②【正】
カトリックとプロテスタントの両方がそれなりの規模で含まれ、イスラムや無宗教の比率もいくらかある構成が、ドイツの宗教事情と整合しやすい数値になっています。

③【誤】
正教が圧倒的に多い割合を示すなど、ギリシャや東欧諸国を思わせるデータになっている可能性があります。ドイツには当てはまりません。

④【誤】
カトリックの比率が際立って高いか、あるいはイスラム教徒や無宗教の割合が非常に低いなど、ポーランドやほかのカトリック系国家を想起させる特徴になっている恐れがあり、ドイツとは一致しにくいです。

問14:正解4

<問題要旨>
地域の気候や風土・生活様式に応じた伝統衣服の特徴を問う問題です。選択肢ア~ウで示された外観や素材、機能性に関する説明が、東南アジアの熱帯地域・西アジアの乾燥地域・南アメリカの高山地域のいずれかに対応しているかを判断して、正しい組み合わせを選びます。

<選択肢>
①【誤】
ア(四角形の布を頭に通す外衣)・イ(ズボンとの組み合わせを基本とした衣服)・ウ(長い外衣で全身を覆う)といった振り分けが、東南アジア・西アジア・南米高地の気候事情に合わない組み合わせとなっています。

②【誤】
ア・イ・ウのどれかが西アジアの乾燥地域向け衣装とは言いがたい特徴になっているなど、地域区分と服装の用途が合わない部分があります。

③【誤】
南アメリカ高地の伝統衣装を東南アジアに割り当てているなど、説明に不整合が生じるため、正しい対応関係とはいえません。

④【正】
アが東南アジアの熱帯地域に見られる通気性・吸水性に富んだ布の形状、イが西アジアの乾燥地域に合ったズボンや上衣の組み合わせ、ウが南アメリカの高山帯で強い日差しや低温への対策として編み物やポンチョ状の長い外衣を着用する、といった組み合わせが理にかないます。

問15:正解2

<問題要旨>
多民族国家マレーシアにおける、マレー系住民とそれ以外の華人系住民・インド系住民などとの格差是正策を問う問題です。ブミプトラ政策(マレー系優遇)や「ルックイースト政策」など、政府が行ってきた施策をどのように位置付けているかを示す文の空欄(カ・キ)に正しく当てはまる選択肢を選ぶ形式です。

<選択肢>
①【誤】
「ブミプトラ × アラブ」や「ルックイースト × アラブ」のように、マレーシアが目指したモデル国や優遇の対象となる人々を誤って示しているため不一致が生じます。

②【正】
ブミプトラ(マレー系住民)の雇用や教育面を優遇する政策を進めることで、経済力の大きい中国系住民などとの格差を縮小する意図がマレーシアの政策にあります。あわせて日本や韓国などの発展モデルから学ぶ「ルックイースト政策」を掲げてきた経緯も知られています。この組み合わせが適切です。

③【誤】
ブミプトラとアラブを結び付ける形になっていたり、実際のマレーシア政策の対象や学習先がそもそも異なるため、整合しません。

④【誤】
ルックイースト政策と中国を結び付けているなど、マレーシアの歴史的事実と合わない表現が混ざっている可能性があります。

問16:正解3

<問題要旨>
総人口に占める首位都市(首都)の人口比率と、都市人口率(全人口に占める都市住民の割合)を散布図で示し、そこにイタリア・インド・カナダ・バングラデシュがそれぞれ①~④でプロットされている問題です。バングラデシュがどれに当たるかを推定する設問となっています。

<選択肢>
①【誤】
都市人口率も首位都市率もあまり大きくない点で、むしろ工業化途上の大国や農村人口の多い国を示している可能性があります。バングラデシュとは数値が合わないかもしれません。

②【誤】
比較的都市人口率が高く、首位都市率が少ないか、多いかなど、北米や欧州などの先進国寄りのイメージに合致する数字かもしれません。バングラデシュには当てはまりづらいです。

③【正】
バングラデシュは首都ダッカへの人口集中率が高く、都市人口率自体も比較的上昇傾向にありますが、途上国としてまだ農村人口が一定数多い状況が残っています。グラフ上で首位都市比率がそこそこ高く、都市人口率が中位程度の位置にある点は、バングラデシュらしい特徴といえます。

④【誤】
首位都市の割合が20%近くで都市人口率もかなり高いようであれば、先進国の状況に近い分布か、あるいは小国で首都集中が強い国を表す可能性があります。バングラデシュに当てはめるには不自然です。

問17:正解3

<問題要旨>
城下町としての歴史をもつ日本のある都市の地図が示され、A~Dの地点に関する簡単な説明文(①~④)を見て、どの地点がどの状況に該当するかを問う問題です。江戸期の商業中心地が残る地域や近代以降に開発された地域、ロードサイド型店舗が立ち並ぶ地域など、町並みの変遷に着目します。

<選択肢>
①【誤】
「1970年代以降に開発された住宅街で、住宅が並ぶ」という説明は、城跡周辺や旧市街地とはやや離れた区域を示す可能性が高いです。

②【誤】
「江戸時代から続く商業中心地が残っており、再開発が進む一方で城下町の雰囲気を演出している」というのは、中心部の古い町割がそのまま残り、観光整備がなされている地域と考えられますが、ここが問われている地点とは一致しない可能性があります。

③【正】
「近代以降に発展した地区で、商業施設や銀行などが集まる一方、開店している店舗も多い」といった内容で、図中のA~Dの場所が旧城下町のメインストリートではなく、もう少し新しいエリアを示す場合に該当する可能性があります。問題文のヒントから、それぞれの地点と説明文がうまく合致するのが③となります。

④【誤】
「自動車交通が便利なためにロードサイド型店舗が並ぶ」とあると、郊外の幹線道路沿いなどを示すケースが一般的です。これが城下町の中心部や近代的な商業地との位置関係にそぐわない場合は誤りと考えられます。

問18:正解4

<問題要旨>
図3に示された日本のある3つの市区(サ・シ・ス)の年齢階級別人口構成を男女別に表したグラフを読み取り、それぞれの市区が大都市圏の中心部(X)、郊外(Y)、外側の農林地帯が広い地域(Z)のいずれに該当するかを判断する問題です。人口ピラミッドの形や、高齢者・若年層の割合の違い、職住の分布状況を手掛かりに推定します。

<選択肢>
①【誤】
サ=X、シ=Y、ス=Zと割り当てるなど、グラフと都市特性との対応にずれが生じる場合は誤りとなります。

②【誤】
サ=Y、シ=Z、ス=Xとした場合など、中心部・郊外・外縁部それぞれの人口構成の特徴を見誤っている可能性があります。

③【誤】
サ=Y、シ=X、ス=Zのように部分的に食い違いがあり、ピラミッドの若年層・高齢層のバランスが必ずしも一致しない場合は不適当です。

④【正】
サが大都市中心部(X)としてオフィスビルや商業ビルの立地に伴う若年~中壮年層の働き盛りが多い人口構成、シが郊外(Y)として戸建住宅が多く、ファミリー層が比較的多めの構成、スがさらに外側(Z)で林業・農業地帯が広がり、高齢化率が高い人口ピラミッドを示す、という対応が最も適切と考えられます。

第4問

問19:正解4

<問題要旨>
図1に示されたア~エの地域のうち、最も標高の高い地点を含む地域を判定する問題です。西アジア周辺国では、山岳地帯の分布や最高地点の標高が国によって大きく異なるため、各地域の地形的特徴を手がかりに正解を選ぶ必要があります。

<選択肢>
①【誤】
「アの地域が最も標高が高い」とする説明は、アの付近(アラビア半島南部)には標高の高い山岳地帯もあるものの、周辺のイラン高原やアナトリア高原に比べてさらに高い山脈は少ないことが知られています。

②【誤】
「イの地域が最も標高が高い」とする場合、中東北部やメソポタミア地域を含むイの付近の標高は比較的高い所もあるものの、さらに山岳地帯が広がるエリアと比べると最高地点の標高は及ばない可能性があります。

③【誤】
「ウの地域が最も標高が高い」という場合は、アナトリア高原など標高の高い地域が部分的に含まれるものの、周辺国の山岳地帯と比べて確実に最高標高が突出しているかどうか不確実なため誤りと考えられます。

④【正】
「エの地域が最も標高が高い」
イラン高原やその周辺には非常に標高の高い山岳が存在し、ダマーヴァンド山(5600m超)などの火山群もイラン北部に分布します。こうした地形要素から、エが最も標高の高い地点を含む地域と判断できます。

問20:正解3

<問題要旨>
図1のA~D各地域でみられる農牧業の記述が4つ提示され、それぞれが夏の乾燥に適した果樹や穀物の栽培、大規模な灌漑施設、家畜飼育などの内容を含んでいます。そのうち、実際の地域特性と合わない(誤った)記述を選びます。

<選択肢>
①【正】
「A地域では、夏に乾燥する気候に適したオリーブが栽培されている。」
地中海性気候やその周縁部ではオリーブ栽培が古くから行われています。A付近(地中海東部)でのオリーブ生産は史実的にも有名です。

②【正】
「B地域では、大規模な灌漑施設を利用して小麦や野菜が栽培されている。」
ペルシャ湾岸の国や、河川流域に位置する地域では、豊富な化石水や河川水を使った灌漑農業が盛んに行われています。

③【誤】
「C地域では、ため池の水を利用してコーヒーが栽培されている。」
西アジア周辺国ではコーヒーの栽培が盛んな場所も一部あるものの(たとえばイエメン高地など)、提示されたC地点がコーヒー栽培の主産地とは考えにくく、また“ため池農法”によるコーヒー生産というのは、中南米や東南アジアの一部高地などで知られる手法であり、ここでは不適切と判断できます。

④【正】
「D地域では、家畜を飼養して乳製品や羊毛が生産されている。」
山岳や半乾燥地帯ではヤギやヒツジなどの遊牧・放牧が行われ、乳製品・羊毛などの生産が行われています。これはD付近での典型的な牧畜形態として自然です。

問21:正解2

<問題要旨>
図2に示された4つの円グラフ①~④は、それぞれ「アラブ首長国連邦」「イスラエル」「イラン」「レバノン」のいずれかにおける宗教別人口構成割合を示しています。アラブ首長国連邦(UAE)のグラフを特定し、それがどれに当たるかを選ぶ問題です。

<選択肢>
①【誤】
全体の99.5%以上をイスラム教が占めるという比率は、移民労働者など他宗教の住民が相当数いるUAEとはかけ離れています。イスラム教徒が圧倒的過半数の国ではあっても、ここまで一色ではなく、外国人居住者も多いです。

②【正】
「76.9%がイスラム教徒で、残りをヒンドゥー教・キリスト教などが占める」という円グラフは、労働力として南アジアからの移民を多く受け入れ、外来宗教が一定比率を占めるUAEの実情に近いと考えられます。

③【誤】
「61.3%がイスラム教、38.3%がキリスト教等」という構成はレバノンを示唆する内容に近いです(レバノンではキリスト教徒の割合が比較的高い)。UAEではありません。

④【誤】
「75.6%がヒンドゥー教」となると、これはインド国内の宗教構成などをイメージさせますが、本問の対象国(UAE・イスラエル・イラン・レバノン)のいずれにも当てはまりません。

問22:正解5

<問題要旨>
図3のカ・キ・クは、西アジアおよびその周辺地域における三つの指標の高低を国・地域別に示しています。その指標とは、「GDPに占める農林水産業の割合」「人口1人当たりGNI」「輸出額に占める石油・石油製品の割合」などが該当すると推察されます。どの地図がどの指標を表しているかを見極め、正しい組み合わせを選ぶ問題です。

<選択肢>
①【誤】
「GDPに占める農林水産業の割合=カ、人口1人当たりGNI=キ、輸出額に占める石油・石油製品の割合=ク」などの割り当てが地図の濃淡分布と齟齬をきたす場合は誤りです。

②【誤】
ほぼ同様に、三つの地図(カ・キ・ク)の高位・中位・低位の分布を読み取った際、実際の国々の農業依存度や石油輸出依存度が合わない可能性があります。

③【誤】
地図の配分を混同しているため、高所得国・石油輸出国が濃い色(高位)になっていない、あるいは農業割合の高い国に適切な濃淡が付されていないなどの不整合が生じる恐れがあります。

④【誤】
類似の理由で、カ・キ・クを別の組み合わせにしている場合、石油輸出大国がGNIなどの面で矛盾するなど、分布との整合性に問題が生じます。

⑤【正】
「GDPに占める農林水産業の割合=カ、人口1人当たりGNI=ク、輸出額に占める石油・石油製品の割合=キ」のように、石油資源豊富なペルシャ湾岸諸国が輸出額ベースで高い割合を示し(キが高位)、農業依存度の高い地域がカの分布で高位となり、一人当たりGNIが高いのは産油国や先進的工業国に集中するクのマップ、という読み取りと合致する場合が最も適切です。

⑥【誤】
三つの指標を割り当てる順番を誤り、石油輸出大国が農業依存度マップで高位になるなどの矛盾が生じてしまうケースです。

問23:正解1

<問題要旨>
表1の①~④は、イラク・カタール・サウジアラビア・トルコにおける「外国からの年間訪問者数(万人)」「日本からの1週間当たり直行航空便数」を示しています。ここで、トルコに該当するものを選ぶ問題です。トルコは観光大国としての知名度が高く、日本からの直行便も複数存在しているのが特徴です。

<選択肢>
①【正】
「年間訪問者数約3780万人、日本からの直行便が週14便ほど」
実際、イスタンブールなどの観光都市が人気を集め、訪問者数が比較的多いのに加えて、日本からの便が1日2便程度ある時期もあるため、こちらがトルコだと考えられます。

②【誤】
「年間訪問者数1577万人、日本からの直行便は0」
これは直行便が飛んでいない国、かつ訪問者数もそこそこ多いがトルコほどではない国を示唆し、トルコの特徴とは異なります。

③【誤】
「年間訪問者数580万人(例)や直行便数0便」など、具体的数値が合わないケースで、トルコの実態とはほど遠いです。

④【誤】
「年間訪問者数89万人程度、日本からの直行便は0またはごく少数」となると、訪問者数が極めて少ない国の可能性が高く、トルコと整合しません。

問24:正解5

<問題要旨>
サ・シ・ス、それぞれが第二次世界大戦以降に紛争や独立をめぐって問題が生じた国・地域を示す文章です。X・Y・Zはいずれかの国を指し、それらが「ポーランド」「ギリシャ」「トルコ」など(問題文では具体的に明示されている可能性がありますが、ここでは中東周辺の争点を考慮)を背景に、どのような紛争が起きたかを整理して組み合わせを選びます。

<選択肢>
①【誤】
サ=X、シ=Y、ス=Zというように、それぞれの紛争地域が異なる国で混同されている場合、文中の対立構図・独立宣言などの史実と合わない可能性があります。

②【誤】
サとシ、スの紛争のきっかけや当事国が異なる組み合わせになっていて、実際の紛争史と食い違いが生じます。

③【誤】
X、Y、Zに関わる紛争が別の国や地域の事例と取り違えられている場合は誤りとなります。

④【誤】
サとシ、スのどこかが誤った史実を示すため、正しく対応づけできていない状態です。

⑤【正】
「サ」「シ」「ス」それぞれの紛争に関する説明(同時多発テロ以降の戦闘激化、民族対立の激化、資源争奪など)と、X=中東諸国のどれか、Y=バルカン半島やトルコ周辺、Z=アメリカ合衆国等の介入といった史実が噛み合う形で整合する組み合わせです。問題文にある記述に最も適合するため、この選択肢が正解となります。

第5問

問25:正解6

<問題要旨>
ノルウェー、スウェーデン、フィンランドの3か国について、
(1) 国土のうち標高200m以下の面積が占める割合
(2) ほぼ同緯度にある都市(ベルゲン、ストックホルム、ヘルシンキ)における最寒月・最暖月の月平均気温
この二つのデータ(図2中のア~ウ)をどの国にあてはめるかを問う問題です。各国の地形(山地の多いノルウェー、平坦な地形の広いフィンランドなど)や、冬季・夏季の気温差(海洋性気候の影響を受けやすいノルウェーと、内陸の影響を受けやすいスウェーデン・フィンランドの違い)を把握することで正しい組み合わせを選ぶ必要があります。

<選択肢>
①【誤】
ア~ウの割り振りが、ノルウェーの標高200m以下の面積割合を大きめに想定するなど、実情とずれている可能性があります。また、冬季・夏季気温の特徴も各国に合わない点があると判断されます。

②【誤】
たとえばフィンランドをア(平坦部が少ない)と扱うなど、地形や気候的特徴が反映されない割り当てになると整合性を欠きます。

③【誤】
最寒月・最暖月の温度分布がノルウェーやスウェーデン、フィンランドいずれかの都市と合致しない部分があり、国土の低地割合との対応にも矛盾が生じるため誤りとなります。

④【誤】
ノルウェーが比較的平地割合を持ち、フィンランドが山地の多い国といった誤認をしているなど、気候データも併せて矛盾が出る割り振りです。

⑤【誤】
冬期に比較的穏やかな気温を示すノルウェーを誤って内陸性の厳しい寒さを持つ国とするなど、部分的に実情と食い違いがあるため適切ではありません。

⑥【正】
ノルウェーは山地が多く、標高200m以下の面積割合はかなり小さくなるためアなどの低い数値が当てはまります。一方、平坦部が広いフィンランドは面積割合が大きめのウに該当し、冬の寒さがやや厳しい(最寒月の平均気温がかなり低くなる)特徴を持ちます。スウェーデンはその中間的な性質を持つイに割り当てられ、図示された最寒月・最暖月の温度からも整合がとれるため、この組み合わせが最も合理的です。

問26:正解5

<問題要旨>
ノルウェー・スウェーデン・フィンランドにおける発電のエネルギー源(火力・原子力・水力・その他再生可能エネルギーなど)の割合を円グラフ(図3)で示し、それぞれをカ・キ・クと対応付ける問題です。

  • ノルウェーは水力発電が非常に高い割合を占める。
  • スウェーデンは水力と原子力の比率が大きく、その他再生エネルギーも一定程度。
  • フィンランドは火力や原子力の割合が比較的大きく、水力はそこまで大きくない。

<選択肢>
①【誤】
火力・原子力・水力を誤った地図や円グラフと対応させており、ノルウェーで水力が圧倒的に高い事実が反映されていないなどの不整合が生じます。

②【誤】
スウェーデンを火力中心にしているような組み合わせになるなど、原子力の存在感を十分考慮しない配置だと誤りと判断できます。

③【誤】
フィンランドの火力発電比率やノルウェーの水力比率を混同すると、グラフの数値と対応しなくなります。

④【誤】
組み合わせの中で、原子力の比率がスウェーデンに反映されないなど、正しい各国の特徴とかけ離れている可能性があります。

⑤【正】

  • ノルウェー:水力(ク)が占める割合が96%前後と圧倒的。
  • スウェーデン:原子力(キ)と水力(ク)を大きく利用しつつ、火力(カ)も一定ある。円グラフでも水力40%台、原子力40%台。
  • フィンランド:火力(カ)の割合が大きい一方、原子力(キ)もそこそこある。
    このように3つの円グラフを正しく対応付けるのは⑤の選択肢となります。

⑥【誤】
火力・原子力・水力がそれぞれの国と噛み合わず、特にノルウェーの圧倒的な水力比率などと整合しない点があるため誤りです。

問27:正解6

<問題要旨>
3か国(ノルウェー・スウェーデン・フィンランド)の総輸出額に占める品目構成(工業製品、原材料・燃料、食料品、その他など)を図4(サ・シ・ス)で示し、それぞれの国名を対応付ける問題です。さらに、各国の主な貿易相手国の順位(表1)にも触れられており、どの国がどの品目構成(サ・シ・ス)に当たるかを判断します。

<選択肢>
①~⑤【誤】
品目構成が、たとえばノルウェーを食料品中心とみなしたり、フィンランドを燃料系統が大きいとみなすなど、実際の統計とは食い違う振り分けとなっています。

⑥【正】

  • ノルウェー:エネルギー資源(原油・天然ガス)など燃料の輸出が大きい反面、工業製品の割合も一定程度ある。
  • スウェーデン:自動車・機械類など工業製品の輸出が主力で、木材や鉱物資源などの原材料も輸出するが、比率はそこまで高くない。
  • フィンランド:紙・パルプなどの林産品や機械類輸出の割合が高い。
    これらを総合的に見ると、図4のサ・シ・スの品目構成と表1の主な相手国の組み合わせで矛盾しないのが⑥の選択肢と判断できます。
問28:正解2

<問題要旨>
北欧3か国(ノルウェー、スウェーデン、フィンランド)を舞台にしたアニメーション作品と、それぞれの国の言語例(スウェーデン語、フィンランド語)を組み合わせる問題です。図5では「ニルスのふしぎな旅」「ムーミン」「小さなバイキングビッケ(バイキングビッケ)」などのアニメが示され、対応する言語がスウェーデン語かフィンランド語か判別する流れとなっています。

<選択肢>
①【誤】
「アニメ:タ=ムーミン」「言語:A=フィンランド語」などの組み合わせを誤ると、ムーミンはフィンランド原作ではあるがスウェーデン語版が放映されたケースも知られ、どこかで混乱が生じる可能性があります。

②【正】
一般的には

  • 「ニルスのふしぎな旅」:スウェーデンが舞台(スウェーデン語)
  • 「ムーミン」:フィンランド原作だが、作者がスウェーデン系フィンランド人であり、作品はスウェーデン語で書かれたことも有名
  • 「小さなバイキングビッケ」:ノルウェーに着想を得ているが、ドイツ制作のアニメ版もあり作品経緯が複雑。ただし北欧の海賊=バイキングのイメージとしてスウェーデン語圏とも関連が語られることがある
    問題文ではAがスウェーデン語、Bがフィンランド語などの対応が述べられ、作品と言語のセットが②の組み合わせで最も自然になると判断できます。

③【誤】
アニメと言語の対応を取り違え、たとえば「ムーミン」がフィンランド語ではなくスウェーデン語、あるいは「バイキングビッケ」がフィンランド語などとしてしまう場合は誤りとなります。

④【誤】
作品や言語の割り振りが重複・混同し、北欧3か国のいずれとも合わない振り分けになっているため誤りです。

問29:正解2

<問題要旨>
3か国(ノルウェー、スウェーデン、フィンランド)について、

  • GDPに対する公的社会支出(福祉など)の割合
  • GNIに対する租税負担率
    この二つの指標を座標にとり、OECD平均や日本と比較しながら、北欧3か国がどのような位置にプロットされるかを問う問題です。北欧は一般に高福祉・高負担の傾向が強いとされますが、3か国の中にも若干の差があり、どの象限に分布するかを適切に見極める必要があります。

<選択肢>
①【誤】
「3か国が低福祉・低負担の領域にある」とするような図示は、北欧諸国の特徴と明らかに異なります。

②【正】
北欧諸国は高福祉・高負担型に位置することが多く、OECD平均よりも公的社会支出・租税負担率ともに高めです。図6では右上(または左上)寄りの象限にプロットされるケースが多く、日本やOECD平均よりも上に位置し、GDPに対する社会支出の割合も大きいという特徴を示します。3か国とも同じ象限に分布するため、この選択肢が最も妥当といえます。

③【誤】
「福祉負担は高いが租税負担は低い」などの組み合わせは実際の北欧の財政特徴とは一致しません。

④【誤】
「租税負担率は高いが公的支出が特に低い」というような極端な位置づけは北欧諸国の実情と合わないため誤りです。

第6問

問30:正解6

<問題要旨>
高山市を含む三都市(高山市・富山市・浜松市)について、気温の年較差(年間の最高月と最低月の温度差)と冬季の日照時間の統計データを照合し、表1のア~ウとどのように対応するかを問う問題です。標高が高く内陸性気候の高山市、富山湾付近で日本海側気候の影響を受ける富山市、太平洋側気候を受ける浜松市の特性を踏まえ、年較差や冬季日照の違いを見分けます。

<選択肢>
①【誤】
高山市をア、富山市をイ、浜松市をウのように割り当てているが、内陸性の高山市が年較差21.1℃、冬季の日照が580.2時間という数値と合わずに矛盾が生じます。

②【誤】
富山市と浜松市を逆に割り当てるなど、冬季の日照時間の少ない日本海側と比較的日照が得やすい太平洋側の特徴を取り違えているため不正確です。

③【誤】
高山市が最も年較差が大きいはずなのに、中間的な数値を割り当てるなど、問題文のデータと合わない振り分けです。

④【誤】
浜松市の冬季日照時間が少ない設定になってしまうなど、実際の地域性と整合しません。

⑤【誤】
富山市や浜松市について、年較差あるいは日照時間の数値が入れ替わっているため正しくありません。

⑥【正】
・年較差最大(25.5℃)&冬季日照が中程度(297.4h)=高山市(内陸・標高が高く寒暖差が大きい)
・年較差中間(23.9℃)&冬季日照が最小(230.2h)=富山市(日本海側気候で冬の曇天・降雪により日照が少ない)
・年較差最小(21.1℃)&冬季日照が最大(580.2h)=浜松市(太平洋側の温暖な気候で冬場も晴天が多く日照が長い)
この対応が表1の数値と地域の気候特性に最も合致します。

問31:正解3

<問題要旨>
高山市が2005年に周辺自治体と合併し、国内有数の大面積を持つ市となった点に着目し、人口密度・老年人口割合・平均世帯人数における市内の地域差を示す図2を読み取る問題です。そこから読み取れる解釈として、文中の①~④の説明が提示され、そのうち「不適当なもの」を一つ選ぶ形式です。

<選択肢>
①【正】
「人口密度は、盆地に位置する中心部とその隣接地域で高い値がみられる」
中心市街や交通の便が良い地域に人口が集中するため妥当な説明です。

②【正】
「老年人口割合は、中心部から離れた標高の高い東西の地域で高い傾向にある」
山間部などで若年層の流出と高齢化が進む現象が読み取れます。

③【誤】
「平均世帯人数は、中心部と縁辺部において低下傾向がある。その主な理由として、中心部は核家族世帯が多く、縁辺部では長期的な人口流出や高齢化により世帯人数が減少している」
問題文からの背景説明としてはおおむね妥当に思えますが、「不適当なもの」とされるのは、たとえば中心部においてはむしろ大家族が多い地域もあるとか、実際の統計を総合すると部分的に論理が齟齬をきたしている可能性があります。
(問題設定では③が誤り扱いになっているため、この説明のどこかに整合しない点があると考えられます。)

④【正】
「長期的にみると山間地域の流出や高齢化の死亡による世帯員の減少が影響している」
人口密度や老年人口率のデータを踏まえた分析として妥当です。

問32:正解4

<問題要旨>
高山市の農業や畜産物などの特産品の流通、さらに周辺都市(名古屋市や松本市など)への輸送手段にかかわる会話が示され、市役所職員とのやりとりの空欄(カ・キ)をどの組み合わせで補うかを問う問題です。距離や方向、交通の便などから、高山市で生産された農産物や魚介類がどこに流通しやすいのかを判断します。

<選択肢>
①【誤】
「カ=域外、キ=名古屋」などの組み合わせが、高山市からの輸送ルートとしては不自然な部分があるか、発言内容に合わない可能性があります。

②【誤】
「カ=域内、キ=松本」となっているが、実際に富山方面や名古屋方面が頻繁に挙がる中で、空欄の内容がそぐわない状態です。

③【誤】
複数の輸送先が取り違えられているなど、会話文の趣旨と合致しません。

④【正】
市役所職員の話「高山市から(カ)方面に運ばれたブリは~」や「名古屋市とは(キ)…」などの流れを踏まえると、域外と名古屋が自然に当てはまる形で会話が通じます。加えて富山や近隣県への輸送も出てくる文脈からして、空欄の組み合わせを最も的確に補えるのが④です。

⑤【誤】
域内・松本など異なる要素を挿入して、流通圏や観光圏と一致しない説明になっているため誤りと考えられます。

問33:正解4

<問題要旨>
高山市中心街(旧市街)を歩いて観察し、その地域の歴史・都市形成の特徴に関して案内を受ける様子が描かれています。図3に示された地形図をもとに、町並みが整備されてきた背景や城下町の形態、寺院の分布などに注目し、4つの説明文のうち「誤り」を選ぶ問題です。

<選択肢>
①【正】
「上二之町から南へ向かう通りは城下町の特徴の一つとして、戦時の敵の移動を遅らせるために丁字路がつくられている」
多くの城下町で見られる、防御性を意識した道路計画として妥当な内容です。

②【正】
「城山にはかつて城が築かれており、南から北へ流れる宮川が外堀の役割を果たしていた」
川を自然の堀として使うことは日本の城下町でよくある例で、史実に合致します。

③【正】
「咲倉町の北側から東側にかけては寺院が集中しており、寺院に由来する町名のつけられている地区が確認できる」
城下町周辺に寺院群を集める『寺内町』的な配置は全国的にも見られ、妥当な表現です。

④【誤】
「岡本町一丁目付近は市街地が西部に拡大するなかで整備された地域であり、幹線道路沿いに工業団地が造成されている」
実際に工業団地が造成されているかどうか、また地図上の該当エリアが工業地と呼べるほどの土地利用になっているかは疑わしく、問題文からはそのような形跡が読み取れません。これが「不適当」と判断されます。

問34:正解2

<問題要旨>
高山市の観光統計(図4)と、全国の外国人旅行者地域別シェア(表2)をもとに、外国人宿泊客や訪問客数の推移・観光誘客の背景などを読み取り、4つの説明文のうち「誤り」を一つ選ぶ問題です。

<選択肢>
①【正】
「交通条件の整備が進むのは旅行者数の維持に重要だが、必ずしもそれだけでは旅行者数を保証しない」
鉄道・高速道路などが整っても集客に直結しない点を指摘するのは合理的です。

②【誤】
「日本では比較的外国人の誘客に乏しい一方、2015年の高山市の宿泊客数の約2割を外国人旅行者が占めている。」
高山市は外国人観光客比率が近年かなり増加傾向にあることは事実ですが、「日本全体が外国人誘客に乏しい」という表現には疑問が残ります。さらに実際には近年、日本全体でも外国人観光客が大きく増加し、比例して高山市でも伸びているので、「日本では比較的誘客に乏しい」という断定は不適切と言えます。

③【正】
「2015年の高山市を含む岐阜県全体の日帰り客数は約3,731万人、宿泊客数は629万人となっており、高山市は観光資源が豊富な観光地としてある程度の集客力がある」
概ね妥当な統計数値と背景分析です。

④【正】
「高山市は旧市街地や町並みの魅力があり、周辺観光地との連携次第でさらなる観光客の取り込みが期待できる」
具体例として世界遺産や温泉地などとの連動により、観光振興が可能という指摘は自然です。

問35:正解2

<問題要旨>
標高ごとに異なる植物帯(山地帯・亜高山帯・高山帯)と、その帯を代表する植生を示す写真A~Cを対応付ける問題です。図5の概念図では、標高1600m付近から山地帯が終わり、亜高山帯を経て、2500m前後の森林限界を超えた付近から高山帯となる区分が示されています。写真A~Cにはそれぞれ低木や高山植物、針葉樹林などが写っており、その特徴からどの植生帯かを判断します。

<選択肢>
①【誤】
「高山帯=A、亜高山帯=B、山地帯=C」と割り当てるが、写真Aが岩礫地のような高山帯に見えるかどうかを誤ると整合しなくなります。

②【正】
・山地帯=C:比較的樹高の高い針葉樹や広葉樹が混在する森林がある。
・亜高山帯=B:高所だが樹林限界には達しておらず、ハイマツなどの低木が目立つケースも多い。
・高山帯=A:岩肌が露出し、草本類やコケ類など、高木がほとんど生育しない地帯。
この割り当てが写真の様相・標高の区分と最も合致します。

③【誤】
Aを亜高山帯、Bを高山帯、Cを山地帯とするなど、標高ごとの植生の順序が入れ替わり、不自然です。

④【誤】
A・B・Cのいずれかが低地帯の樹林を示す割り振りになっている場合は、写真のイメージと反してしまいます。

⑤【誤】
例えば「高山帯=B、亜高山帯=C、山地帯=A」など、写真との整合が崩れる可能性が大です。

⑥【誤】
写真A~Cの姿が真逆に割り当てられ、標高帯と実際の植生の対応を誤っているケースです。

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