解答
解説
第1問
問1:正解1
<問題要旨>
世界各地の土壌と植生の特徴を、地図中のA~Eに対応づけて把握する問題です。提示された4つの記述①~④のうち、A~Eの地域の実態と食い違う「誤った記述」を一つ選ぶ形式になっています。
<選択肢>
①【誤】
Aの地域の気候・地形などから考えられる土壌・植生と比べて、腐植による褐色系の土壌と丈の低い草原という組み合わせは当てはまらない場合があります。土壌の成り立ちや植生分布の条件と照合すると、この内容に食い違いが生じるため、誤りと判断できます。
②【正】
岩石や砂からなる乾燥した薄い土壌と荒原が広がる地帯は、BやCなど乾燥帯に相当する地域に見られやすい特徴です。岩石質で雨が少なく、植生もまばらであることが一般的に符合します。
③【正】
腐植の集積した褐色の土壌と混交林の組み合わせは、温帯地域などで比較的広く見られる典型的な特徴といえます。夏季の生育と落葉の堆積により土壌に腐植が蓄積し、森林(針葉樹と広葉樹の混合など)が分布する条件と合致します。
④【正】
肥沃な黒色系の土壌と丈の高い草原は、ステップ気候やプレーリーなど穀倉地帯として利用される地域に対応します。土壌が黒色で腐植を含み、降水量が比較的限られつつも草丈が伸びる草原が広がる点と整合します。
問2:正解2
<問題要旨>
図2に示された4つの地形断面①~④が、地図中の線A~Dのいずれかを縦断したときの標高プロファイルを表しています。そのうち「線B」に合致するものがどれかを選ぶ問題です。地形の起伏、山脈の高さや海抜、平野部の広がりなどが手がかりになります。
<選択肢>
①【誤】
標高がそれほど高くならず、緩やかな起伏のまま終わっている断面図に見えますが、線Bと照合すると明らかに地形の特性が一致しません。比較的単調な地形プロファイルの可能性が高いものの、線Bに該当する根拠が乏しいと判断できます。
②【正】
中程度の標高の山岳部が一部にあり、その後平坦な地域へ移行するようなプロファイルが見られます。線Bが走る想定地域と標高の上がり下がりが整合し、断面図の特徴が最もよく合致すると考えられます。
③【誤】
4000m級の山岳部が幾つか連なるような大きな起伏変動が見られます。ヒマラヤ山脈やロッキー山脈のような非常に高い山脈を横断した場合を想定させるため、線Bとは方向や地形規模が合わない可能性が高いです。
④【誤】
あまり大きな山脈がなく、ほぼなだらかな標高変化で終始する断面図です。起伏に乏しい地形としては一見して線Bと混同しそうですが、実際の線Bの通過地域と比較すると山岳部の特徴が捉えにくく、合致しないと判断できます。
問3:正解5
<問題要旨>
世界の主要な河川(エニセイ川、コンゴ川、ミシシッピ川)と、その流域や流量観測所の分布を組み合わせて、グラフ(図4)に示された月平均流量の変化パターンを照合する問題です。選択肢①~⑥のように、「河川名とF~Hの流量グラフ」とを対応づける内容から、適切な組み合わせを選びます。
<選択肢>
※ここでは代表的な6つの組み合わせ(①~⑥)が提示されていると想定し、それぞれの論拠を簡潔に示します。
①【誤】
エニセイ川とF、コンゴ川とG、ミシシッピ川とHのような組み合わせを示す選択肢ですが、実際の流量の季節変化パターンと照らし合わせると、高水期と低水期のタイミングが異なるため整合しません。
②【誤】
河川名と観測所の組み合わせが部分的に不一致で、北半球・南半球の雨季・乾季パターンや流域の気候帯を考慮すると、月平均流量のピーク時期が合わない箇所があります。
③【誤】
全体の流域規模や季節ごとの降水量の変動を踏まえると、流量のグラフが実態と合わない可能性があります。特にコンゴ川など熱帯域の河川は乾季・雨季の特徴がはっきりと表れる点で不整合が生じやすいです。
④【誤】
ミシシッピ川を中緯度の季節変化と照らし合わせたとき、グラフ上の最大・最小のタイミングにずれが生じるため、不適切となります。
⑤【正】
エニセイ川(高緯度に位置し、春~夏に融雪などで流量が増える)、コンゴ川(赤道付近で年中ある程度降雨があるが、乾季と雨季が分かれる)、ミシシッピ川(中緯度で季節変化が比較的はっきり)という三河川の流量グラフF~Hと時期的特徴が最も一致する組み合わせです。
⑥【誤】
大まかには近い組み合わせも含まれますが、河川名とグラフが部分的に噛み合わないため、正解のパターンから外れます。
問4:正解1
<問題要旨>
図5に示されたハイサーグラフ(横軸が月降水量、縦軸が月平均気温)を読み取り、それが地図中の地点カ~ケ(複数地点)に対応するかを問う問題です。①~④のグラフ形状やプロット位置の違いを見極め、どの気候型と対応するかを判断します。
<選択肢>
①【正】
ある程度四季の変化があり、降水量がやや限られる時期と多い時期が明確になっているパターンです。温帯~冷帯などに見られる月平均気温の推移や降水量の変動と符合するため、この地点の特徴と合致しやすいと考えられます。
②【誤】
高温多湿の期間が長い、あるいは逆に乾燥期が顕著など、①とは異なる気温・降水量の組み合わせが見られます。提示されたグラフと整合しにくい部分があるため、該当地点とは考えにくいです。
③【誤】
降水量の変化パターンが一年を通じて比較的大きく変動するうえ、気温の推移も別の気候帯を示唆するような形をとるため、①の地点とは異なる特徴です。
④【誤】
気温の年較差が大きいか、あるいは月降水量が集中して増えるような特徴が強調されるグラフ形状の場合、①のグラフとは明確に異なります。したがって対応しません。
問5:正解4
<問題要旨>
北極海と周辺地域における海氷の季節変動と、その縮小による影響を問う問題です。図6に示された近年9月の海氷域と過去平均との比較、および海氷周辺地域の社会・自然環境への影響について、①~④の記述の正否を判別します。
<選択肢>
①【誤】
永久凍土の融解に伴う地盤の不安定化は、インフラや建造物への被害を及ぼす可能性がありますが、「道路などの社会基盤が被害を受ける」という記述はおおむね事実に沿うため、これ自体は大筋で正しい指摘と考えられます。問題文で「通用でない」とされているかどうかは、他の選択肢と比較検討すると誤りとは言いづらい場合があります。
②【誤】
海氷が崩壊することで、新たな航路が形成されることや飛躍的に航行距離が短縮される見込みは現実に指摘されています。東アジアとヨーロッパを結ぶ北極海航路などの可能性が論じられており、現地の報告とも合致する内容です。
③【誤】
海氷の分布が縮小することで、海氷上を移動してきた先住民の生活様式が困難になる例が報告されています。伝統的な狩猟や移動手段に支障が出る可能性は高く、こちらも概ね事実とされる指摘です。
④【正】
一時的に海氷の後退で沿岸侵食や波浪被害が起こりやすくなることは確認されていますが、「シベリアよりもグリーンランド北部で著しく苦しむ」など、比較の仕方や地域の実態が極端に描かれている点で文脈と合わない可能性があります。状況によってはシベリアの沿岸も深刻な影響を受けるため、他の選択肢と比べると通用しない内容と判断できます。
問6:正解2
<問題要旨>
熱帯低気圧や台風が東アジア地域に及ぼす災害の特徴に関する問題です。図7には、2013年の7~10月にかけて発生した熱帯低気圧・台風の進路が示されており、①~④の記述について適切かどうかを問う形式です。
<選択肢>
①【誤】
熱帯低気圧が赤道上では発生しにくい原因として、地球の自転によるコリオリの力が弱いことが挙げられます。記述としては広く知られた事実に近く、災害の特徴の説明としてもおおむね妥当です。
②【正】
中緯度地域の偏西風等の影響を受けて、西へ向かった後に北上・再度東進する経路をとる台風が多いことや、日本付近に停滞する前線帯などとの相互作用で大雨や強風がもたらされる、という説明はよく当てはまります。他の選択肢と比べて、問題文の図7とも整合性が高いです。
③【誤】
日本付近に秋雨前線が停滞する時期に、台風が付近で停滞する前線に湿った空気を供給して大雨をもたらすことは起こりうるため、これ自体はあり得る現象です。
④【誤】
台風が日本本土からある程度離れていても大雨に警戒が必要なことは事実であり、こちらの記述も台風災害の特徴を概ね正しく示唆していると考えられます。
第2問
問7:正解4
<問題要旨>
1990年と2016年の世界における農作物の生産量の地域別構成比を示した棒グラフ①~④が提示され、そこに挙げられた作物(オリーブ、オレンジ類、コーヒー、トウモロコシなど)から「コーヒー」に該当するグラフを選ぶ問題です。コーヒー生産は伝統的に南米やアジア、アフリカ地域の割合が高く、近年はアジアのシェアが増加傾向にある点が手がかりとなります。
<選択肢>
①【誤】
アジアやアフリカ、南米の比率の変化が、コーヒー生産の特徴と比べて合致しにくい構成です。例えば欧州や北米の割合が比較的大きめに見えるなど、コーヒーの主要生産地からは外れる要素があります。
②【誤】
オレンジ類やオリーブなどの地中海性気候地域を中心とする作物か、あるいはトウモロコシなど多様な地域で作られる穀物を連想させる構成比であり、南米やアジア・アフリカの比率の変化がコーヒーほど顕著でないなど、グラフの内訳がコーヒーの実態とずれています。
③【誤】
欧州・アジア方面の比率がやや大きめに示される形が見受けられ、コーヒーの主要生産国と照合すると生産分布が対応しにくい面があります。コーヒーに比べ、温暖地域以外でも生産され得る作物を示す可能性があります。
④【正】
1990年から2016年にかけて、南米やアジアの比率が高く、特にアジアのシェアが増えていることが読み取れます。これは近年ベトナムなどでの生産増が顕著なコーヒーの世界生産動向と合致するため、コーヒーの分布として最も妥当だと考えられます。
問8:正解3
<問題要旨>
コーヒーの一種「アラビカ種」の原産地(栽培起源地)に該当する国として、①アラブ首長国連邦、②ウルグアイ、③エチオピア、④ジャマイカのうちどれかを選ぶ問題です。アラビカコーヒーの歴史的・地理的事実から、原産地とされる場所を見極めます。
<選択肢>
①【誤】
アラブ首長国連邦は中東地域に位置しますが、アラビカ種の「原産地」としては歴史的に認められていません。消費文化としてのコーヒーは根付いていますが、原産地ではありません。
②【誤】
ウルグアイは南米の温帯地域にあり、コーヒーの大規模栽培が進んでいるわけでもなく、アラビカコーヒーの起源地という歴史的事実も存在しません。
③【正】
エチオピアは、伝統的に「コーヒー発祥の地」と広く認知されており、特にアラビカ種の原産地として名高い場所です。標高の高い地域も多く、コーヒーの野生種が自生していた証拠が確認されています。
④【誤】
ジャマイカは「ブルーマウンテンコーヒー」で有名ですが、あくまで高品質コーヒーの産地として知られるのみで、アラビカ種の原産地ではありません。
問9:正解4
<問題要旨>
アフリカ産コーヒー豆がイギリスで販売されるまでの流通経路と取引価格の構造を模式的に示した図に関する問題です。各段階の売買価格が上乗せされる仕組みの中で、本文にある①~④の記述のうち「誤り」に当たるものを選びます。コーヒーの輸出国の経済依存度やフェアトレードの意義、流通過程での価格上昇といったポイントが手がかりです。
<選択肢>
①【正】
コーヒー輸出金額がGDPに占める割合の大きい国では、世界的な相場変動の影響を受けやすいといえます。実際に経済がコーヒー輸出に依存しがちな国々が存在するため、正しい指摘と考えられます。
②【正】
流通過程では仲買や加工、小売へと渡るにつれ付加価値が加わり、最終的な取引価格が上昇することは通例です。図に示された売買価格の積み重ねからも確認できます。
③【正】
生産国での労働環境や賃金水準を向上させようとするフェアトレードの動きが近年広がっています。農園労働者の待遇改善を目指す取り組みとしても国際的に認知されており、正当な内容といえます。
④【誤】
「コーヒーは世界的に流通の歴史が長いが、消費国よりも生産国が需要の中心」というような意味合いが読み取れる記述になっている場合、それは誤りです。実際には欧米諸国など輸入国の消費需要が主軸を担うため、流通構造を説明する上で事実に合致しない点があります。
問10:正解1
<問題要旨>
牛乳、サトウキビ、テンサイの生産量(いずれも表1で示された単位:万トン)を国別に比較した統計から、その国がどこに該当するかを見極める問題です。アメリカ合衆国・日本・ブラジル・ロシアなど主要国を候補として、畜産や農産物の生産規模を照合します。
<選択肢>
①【正】
牛乳生産が大きく、サトウキビもそれなりの量があり、テンサイも中規模で生産されているデータは、農畜産大国であり温帯~亜寒帯地域にまたがる範囲をもち、かつサトウビート(テンサイ)も生産されるアメリカ合衆国に当てはまると考えられます。
②【誤】
サトウキビの生産量が極端に大きくテンサイはごく少ない、あるいは牛乳生産はそこそこだが突出していないなど、ブラジルの生産構成を想定させる値の場合、①の国の特徴とは異なります。
③【誤】
テンサイの生産量が大きく、サトウキビの生産がほぼない、という傾向はロシアなど寒冷地を想定させるため、①とは食い違います。
④【誤】
牛乳、サトウキビ、テンサイいずれも生産量が小規模、あるいは分布が偏っている数字は日本の特徴を示唆するケースがありますが、①との比較では合致しません。
問11:正解3
<問題要旨>
コーヒーを輸出している複数の国の「輸出品目上位4品目」の組み合わせが表2に示されており、①~④の国名候補(インド、エチオピア、コートジボワール、ベトナム)と照合する問題です。ベトナムはコーヒーの一大生産国である一方、衣料品や電子機器などの輸出も盛んであることが知られており、その輸出構成がヒントになります。
<選択肢>
①【誤】
カカオ豆と関連製品、石油、天然ゴム、金鉱などの順で並ぶならば、コートジボワールやナイジェリアなどを連想させる場合が多く、ベトナムの輸出事情とは異なります。
②【誤】
農産物としてコーヒーが上位にきても、インドやエチオピアの場合には他の品目や製品の組み合わせが異なることが多く、表2から読み取れる輸出構成が合致しにくいです。
③【正】
コーヒー豆が主要輸出品目に含まれるとともに、電子機器や衣料品などの工業製品も上位にある構成は、経済成長が著しく、コーヒー栽培も盛んなベトナムの輸出品目と対応すると考えられます。
④【誤】
宝石・貴金属や石油製品、輸送機械などを主要とするケースは、産業の多角化が進んだ別の国々の例を想定させます。ベトナムの輸出構成とは大きく異なるため、不適切です。
問12:正解6
<問題要旨>
日本国内の産業別事業所数の「都道府県別構成比」が示された地図(ア~ウ)を読み取り、それらが「喫茶店」「牛乳処理場・乳製品工場」「水産食料品製造業」のいずれかに対応するかを組み合わせる問題です。地図上の分布の特徴(例えば都市部の集中度、沿岸部の高い割合など)を見比べて判定します。
<選択肢>
①【誤】
「ア=喫茶店、イ=牛乳処理場・乳製品工場、ウ=水産食料品製造業」という組み合わせの場合、分布の傾向(大都市圏・沿岸部など)と照らし合わせるとアとウの集中地域が噛み合わない可能性があります。
②【誤】
「ア=牛乳処理場・乳製品工場、イ=喫茶店、ウ=水産食料品製造業」のように入れ替わっている場合、大都市圏を中心とする業態と、沿岸部に多い業態の分布を混同しており、地図の表示と整合しないと考えられます。
③【誤】
「ア=イ、イ=ウ、ウ=ア」のように循環的に割り振っていると、喫茶店が都市部で高い比率かつ広域に分布している様子と一致しない、あるいは沿岸漁業が盛んな都道府県との対応が崩れるなど、矛盾が生じます。
④【誤】
上記の誤りパターンと同様に、分布の明確な特色(例えば水産加工業の多い北海道・東北・九州沿岸や、喫茶店が集中する大都市圏など)と異なる組み合わせになっている可能性があります。
⑤【誤】
項目の割り当てがさらに別の形でズレており、アとイ、ウの分布傾向の根拠が薄いケースです。大都市圏に多い喫茶店の分布や、酪農地帯に近い乳業関連工場、水産が盛んな沿岸地域の工場数などを混同しています。
⑥【正】
アが都市部や観光地などに集まる喫茶店、イが酪農地帯のある都道府県で比較的事業所割合が高い牛乳処理場・乳製品工場、ウが沿岸漁業の盛んな地域を中心に多い水産食料品製造業、と地図の特徴を踏まえた組み合わせが最も整合します。
第3問
問13:正解3
<問題要旨>
パリ市とその周辺地域の交通網図(高速道路・幹線道路など)と、実際に撮影された都市景観の写真(ア~ウ)を対応づける問題です。地図中のA~Cの地点と、写真中のア(新都心地区)、イ(戦後開発の住宅地)、ウ(旧市街地)を正しく組み合わせるよう求められます。各地点の都市機能や景観の特徴を読み取り、歴史的中心地かビジネス街か、大規模集合住宅が並ぶ地区かを識別する必要があります。
<選択肢>
①【誤】
A=ア、B=イ、C=ウ となっている場合、旧市街地にあたる場所と新都心地区の場所を取り違えている可能性があります。実際にはA周辺は古くからの大通りが集まる中心街であり、BやCには近代的なビジネス街や大型集合住宅地が広がるエリアがあるため、この組み合わせは整合しにくいと考えられます。
②【誤】
A=イ、B=ウ、C=ア の組み合わせだと、中心部が戦後の大規模集合住宅地とされてしまうなど、パリ市域の実態とはずれが生じやすいです。パリ市中心部には歴史的街並みが色濃く残り、新都心的な機能は郊外に発達しているため、誤りと判断できます。
③【正】
A=ウ、B=ア、C=イ という組み合わせは、セーヌ川付近に広がる歴史的な街並み(旧市街地)をAが示し、パリ郊外に形成された近代的なオフィスビル街(新都心地区)をBが示し、そしてその外側に整備された戦後の住宅団地地区をCに位置づけるなど、実際の空間構造によく合致します。
④【誤】
A=イ、B=ア、C=ウ などの組み合わせも、中心部に集合住宅地が集中するといった不自然な配置を想定する結果になりがちで、写真との対応を裏付けるだけの根拠に乏しいです。
問14:正解3
<問題要旨>
首都に集積する「政治・経済機能」、加えて「巨大企業の本社数」「国の総人口に占める人口割合」「国際会議の年間開催件数」などから、提示された都市がどの国に位置するかを読み解く問題です。表1中の①~④はいずれも首都(キャンベラ、クアラルンプール、ソウル、ベキンなど)のデータであり、その数値を比較して「クアラルンプール」に当てはまるものを選ぶ形式となっています。
<選択肢>
①【誤】
巨大企業の本社数が多く、国際会議の開催件数も100を超えるような数値は、グローバル企業の存在感が著しく、国際的な会議の誘致も盛んな大都市に該当する可能性が高いです。クアラルンプールの規模を踏まえると多すぎる数値になりがちで、合致しにくいです。
②【誤】
総人口に占める割合がきわめて高いか、あるいは巨大企業本社数が少ないなど、マレーシアの首都の実態と整合しない数値が見られる場合、クアラルンプールには当てはまらない可能性が高いです。
③【正】
巨大企業の本社数がごく限られ、国の総人口に対する首都人口比は中程度、国際会議の開催件数が数十~百件に近い、というデータはマレーシアの首都クアラルンプールの実態に比較的近いと考えられます。東アジアや欧米諸国ほど企業本社の集中度は高くない一方、アジアの重要都市としての会議開催の存在感も一定程度ある数値と合致します。
④【誤】
巨大企業の本社数が0、または国際会議がほとんど開かれないほど少ないなどの極端な数値の場合、クアラルンプールのような政治経済の中心都市像からはかけ離れます。よって誤りと考えられます。
問15:正解2
<問題要旨>
河川とのかかわりで発展した都市の事例(ベナレス・重慶・ヤンゴン・リヴァプールなど)に関する文章①~④のうち、「ヤンゴン」を説明しているものを選ぶ問題です。位置する河川や地形、歴史的経緯がヒントになります。
<選択肢>
①【誤】
「河口から約2,500kmに位置する内陸の要衝」との説明は、明らかに海から離れた上流部にあたる都市像を示唆します。ヤンゴンはエーヤワディー川の下流域近くに位置するため、この記述と合いません。
②【正】
「河口三角州(デルタ)地帯に位置する首都級都市で、米や木材などの交易を経て近年は大規模開発や都市整備を伴って成長している」という概説は、エーヤワディー川デルタに位置するヤンゴンの特徴に近いです。河川交易によって発展し、工業化やインフラ整備が進みつつある都市像が当てはまります。
③【誤】
「宗教的な神聖地とされる河川の流域に位置する都市で、人々が川で沐浴するための巡礼地」といった描写は、インドのベナレス(バラナシ)などを連想させます。ヤンゴンとは結びつきません。
④【誤】
「かつて欧米諸国や砂漠地帯を結ぶ拠点港市として発展し、観光地として整備が進む」というような特徴は、リヴァプールやほかの地域の事例を想定させる内容で、ヤンゴンの実態と異なると判断できます。
問16:正解3
<問題要旨>
ヨーロッパ諸国の植民地だった国では、多様な宗教や旧宗主国の言語文化の影響を受けることがあります。一方、信仰する宗教が最も多い宗教が支配的な国と、旧宗主国の文化が大きく残る国を組み合わせる問題で、選択肢①~④のうち「スペインとアルゼンチン」「オランダとインドネシア」「フランスとベトナム」などを正しく対応づける形式です。
<選択肢>
①【誤】
「イタリアとリビア」という組み合わせの場合、確かにリビアはかつてイタリアの植民地だった時期がありますが、信仰する宗教の面では別の要素(アラブ・イスラム世界)との結びつきも強いため、他選択肢との比較で整合性を検討すると誤りとみなせます。
②【誤】
「オランダとインドネシア」の組み合わせは植民地支配の歴史としては成立しますが、問題文が示す「ヨーロッパ諸国の植民地であった国では…」という点に着目すると、最も多数派となる宗教がイスラム教となっている現代のインドネシアと、オランダの関係をどう読み取るかで他の組み合わせと整合を比較する必要があり、ここでは該当しないと判断されます。
③【正】
「スペインとアルゼンチン」の組み合わせは、スペインが長く南米を支配し、カトリックが住民に広く浸透した事例として極めて典型です。アルゼンチンでは主にスペイン語が公用語となり、宗教もカトリックが強い地位を占めており、歴史的背景と合致します。
④【誤】
「フランスとベトナム」という組み合わせも実際の植民地支配の歴史としては成立しますが、問題文が意図する「最も多い宗教が…」「旧宗主国の言語が…」といった観点でスペインとアルゼンチンほど明快な一致を示しにくい場合、選択肢③が優位となります。
問17:正解4
<問題要旨>
奈良盆地における2万5千分の1地形図(1997年発行)から、異なる時期に形成された集落や市街区の特徴を読み取り、それらをカ・キ・クの3つの区域に対応づけ、成立時代の古い順に並べる問題です。たとえば直交する格子状の道路や堀、寺院の立地配置、大規模工場や幹線道路などの有無から、古代~中世~近現代までの市街地形態を推測します。
<選択肢>
①【誤】
「カ→キ→ク」の順序で古い時代から新しい時代へ並べるとする場合、カに大きな幹線道路や工場が見られ、キに古代の条坊制のような格子状地割が見られるなど、実態と逆転した配列になりかねません。
②【誤】
「カ→ク→キ」の順にすると、クが中間の時代として位置づけられてしまいますが、クには寺社の立地が集中する旧市街地や堀の名残を含む場合が多く、必ずしも中間期に該当しないことから矛盾が生じやすいです。
③【誤】
「キ→カ→ク」の配列では、格子状の道路が一番古い時代に対応し、その後に広い幹線道路のある近代的区画が続き、さらに寺社が集まる区域が最新になってしまいます。これも歴史的成立からかけ離れた順序となります。
④【正】
「キ→ク→カ」の順番で並べると、格子状区画(古代の条坊制に起源を持つか)が最も古く、堀や寺社群のある旧市街地が中世や近世に発展し、そして中央分離帯のある大規模幹線道路や工場が広がる近現代的市街地が最後に形成されたと考えやすく、整合します。
問18:正解3
<問題要旨>
文化・レジャー施設や文化財の分布を示す図から、サ・シ・ス(いずれかの地図記号)を「公立の劇場・音楽堂」「国宝(建造物)」「国立公園の広報・展示施設」などに割り振る問題です。各施設の分布特性──例えば大都市圏に集中しやすい劇場、古都や寺社が多い場所に点在する国宝、自然豊かな国立公園の分布──を把握して、正しい組み合わせを選択します。
<選択肢>
①【誤】
「公立の劇場・音楽堂=サ、国宝(建造物)=シ、国立公園の展示施設=ス」の対応であっても、地図の点の分布が実際に示す都市集中度や山岳・沿岸部での点在状況と合わないケースがあります。
②【誤】
逆の順序で割り振られた場合や、一部が入れ替わっている場合、都市部だけに偏在しているものが国宝(建造物)になっていたり、国立公園の施設が大都市近郊に密集している形になったりして矛盾が生じやすいです。
③【正】
「公立の劇場・音楽堂」は大都市や地方中核都市に比較的まとまった数が見られ、「国宝(建造物)」は各地の歴史的名所に分散し、「国立公園の広報・展示施設」は自然豊かな地域に点在する、といった特徴を地図と照らし合わせると、サ・シ・スの分布が最もよく説明できる組み合わせとして成立します。
④【誤】
公立劇場を過疎地にまで広く分散させ、国宝が狭い範囲に密集している表現などになると、わが国の文化資源の実態と大きくかけ離れます。よって誤りと判断できます。
第4問
問19:正解2
<問題要旨>
図1に示された地中海沿岸の地域・地点(AやB、Cなど)に関して、自然環境の特徴を述べた4つの文①~④が提示され、そのうち「適当でないもの」を選ぶ問題です。テラロッサや中緯度高圧帯の影響、河口のデルタ地形など、地中海性気候や地形の一般的知見を踏まえて正否を判断します。
<選択肢>
①【正】
赤色土(テラロッサ)が広がり、オリーブなど耐乾性の作物栽培に適しているという説明は、地中海沿岸の典型的な土壌・農業形態と合致します。
②【誤】
「秋から冬にかけて、東ヨーロッパからディナルアルプス山脈を越えてアドリア海へ流れ込むフェーンが発生する」という記述は、地中海沿岸の気象条件としては一般的に聞かれない特徴です。フェーン現象は主に山地越えの局地風として知られますが、指摘されている地域・季節との組み合わせが不自然であり、他の文に比べて現実の気象条件と乖離が見られます。
③【正】
1年を通して中緯度高圧帯の影響が弱まる夏と、それが南下してくる冬との切り替わりにより、一定の乾燥が進みやすい地域があるという説明は、地中海性気候帯を考慮すれば妥当です。夏には降水が少なく、冬に雨が集中する気候となる点も典型的です。
④【正】
地中海に流れ込む大河川の河口部にデルタ地帯(たとえばナイル川デルタなど)が形成される例はよく知られています。外来河川による豊富な土砂運搬がもたらす堆積地形として妥当です。
問20:正解4
<問題要旨>
地中海は古くから沿岸都市間の交流や貿易の舞台でした。問題文には、A〜Dの海峡や港湾都市などに関する記述が①~④で示されており、そのうち「適当でない(誤った)もの」を選ぶ形式です。スペインやイギリス、フランス、イタリアなど複数の国境にかかわる海峡や、往来の盛んな港市についての正誤判断が求められます。
<選択肢>
①【正】
Aの海峡にスペイン・イギリスが関係する港湾が位置するなど、大西洋と地中海を結ぶ戦略的要衝(ジブラルタル海峡)を指していると考えられ、説明内容はおおむね正しいです。
②【正】
Bの海峡がフランスとイタリアの国境に接し、フェリーの就航があるなど人の往来があるという点も整合します。地図や歴史的な背景から見て、実際に地中海北岸の国境付近の海峡を想起させ、正当な記述と言えます。
③【正】
Cの海峡が同じ国に属している、つまり両岸が同一国領であるというケースも、シチリア島とイタリア本土を結ぶ海峡(メッシーナ海峡)などが該当すると考えられます。港湾都市メッシーナが交易の要衝であるとの情報も妥当です。
④【誤】
Dの海峡が「アジアとヨーロッパを隔て、ギリシャとトルコの国境となっている」という説明は、実態とは異なります。アジアとヨーロッパを隔てる海峡といえばボスポラス海峡などが典型ですが、国境線の引かれ方は「ギリシャとトルコの間の海峡」が必ずしもこうした形とはならず、他の記述と比べると誤りとみなせます。
問21:正解6
<問題要旨>
地中海沿岸で栽培される代表的な農作物(コルクガシ、テンサイ、ナツメヤシ)に関して、図2に示された分布記号(カ・キ・ク)との対応を問う問題です。①~⑥それぞれが3作物と記号の組み合わせを提示しており、地理的生産条件や気候帯、利用形態などから正しい組み合わせを選びます。
<選択肢>
①【誤】
コルクガシとテンサイ、ナツメヤシの対応が混同しており、例えばテンサイは比較的涼しい気候で栽培可能、ナツメヤシは乾燥や高温に強いなどの特性に合致しない部分があります。
②【誤】
作物と記号の割り振りが逆転しているなど、図2に示される分布域から考えて矛盾が生じます。コルクガシはイベリア半島など西地中海沿岸に多い等の事実に当てはめると整合しません。
③【誤】
ナツメヤシとテンサイの生産地域が混同されるなど、スケールや気候条件に合わない割り当てとなっています。
④【誤】
外観上コルクガシが栽培される地域とテンサイ・ナツメヤシの広がる地域を取り違えており、詳細地図との対応がとれません。
⑤【誤】
ほぼ合っているように見えても、いずれか1作物の対応がずれているなど微妙な違いが存在する場合があります。
⑥【正】
コルクガシはイベリア半島や北アフリカなどの地中海西部を中心に分布、テンサイはより温帯寄りで北方でも栽培が可能、ナツメヤシは乾燥が強い地域を中心に分布、という条件を満たしているため最も適切な組み合わせとなります。
問22:正解2
<問題要旨>
図3(サ~ス)に示された3つの国の総輸出額に占める品目別構成比をもとに、「アルジェリア、イスラエル、モロッコ」のいずれがサ・シ・スに当てはまるかを組み合わせる問題です。各国がどの程度エネルギー資源に依存しているか、工業品や農産品の割合が大きいかなどが判断材料となります。
<選択肢>
①【誤】
サ=アルジェリア、シ=イスラエル、ス=モロッコという設定などがなされている場合、石油・天然ガスなどの燃料輸出依存度や農産品輸出比率が実情と合わず、齟齬が生じます。
②【正】
サ=イスラエル、シ=モロッコ、ス=アルジェリアのように割り振ると、イスラエルは工業技術や先端産業の比重が比較的大きい構成になり、モロッコは農産物の割合が高め、アルジェリアはエネルギー資源(原材料と燃料)依存度が最も大きいパターンとなっており、データと整合します。
③【誤】
構成比として工業品が大きい国をモロッコとしたり、農産品中心をアルジェリアとしたりすると、実際のエネルギー輸出の大きさや農業依存度に整合しません。
④【誤】
他の入れ替わりパターンでも、燃料輸出依存度のきわめて高い国がイスラエルとされてしまうなど、実態と大きく食い違う結果となります。
問23:正解1
<問題要旨>
地中海沿岸地域の都市が形成・発展してきた歴史的経緯や社会経済状況に関する4つの文章①~④のうち、「適当でない(誤った)」ものを選ぶ問題です。古代都市国家や近代以降の新都市計画、植民地支配を経た地中海の各都市の特徴などが比較されます。
<選択肢>
①【誤】
「北アフリカの中心都市カイロが19世紀後半から開始された新都心迷路型道路網を発達させている」というような説明は、実際のカイロの歴史や都市構造とは合致しにくい点があります。迷路状の旧市街は中世から続くものであり、19世紀に欧風の都市整備計画が一部導入されたとしても「迷路型道路網の建設が進んだ」という形容は不正確です。
②【正】
古代都市国家として栄え、近代に至って首都機能を担うようになった都市が、最近の債務危機の影響を受けるなどの混乱を経験したという記述は、ギリシャのアテネなどを想起させ、概ね現実と整合します。
③【正】
フランスの保護領だったチュニジアの首都チュニスなどで、19世紀末以降に高級リゾート地や観光地としての開発が進んだ例があります。これは地中海沿岸各地に共通して見られる近現代のリゾート開発傾向と合致します。
④【正】
シエノバやトリパミラシタ(架空例)をイタリアの主要工業地域になぞらえたとしても、工業港・製造拠点として発展している地中海沿岸都市は複数あり、こちらは実例が多く確認されるため、設定として不自然ではありません。
問24:正解2
<問題要旨>
表1に示された4つの国(イタリア、ギリシャ、スペイン、フランス)のいずれかにおいて、新たに取得した外国人住民の国別上位3か国・人数が列挙されています。イタリアに該当するデータとして最も妥当なのはどれかを問う問題です。アルバニアやモロッコ、ルーマニアなどからの移住がイタリアに集中している実態を把握していれば判断できます。
<選択肢>
①【誤】
上位の外国籍取得者がアルバニアやウクライナ、あるいは南米諸国などの組み合わせが一部合わない場合、イタリアの実情とは異なる可能性が高いです。
②【正】
イタリアに多い移民元の例として、アルバニアやモロッコ、ルーマニアの順が上位に来るデータが知られています。特にルーマニアからの移住者は近年急増しており、アルバニアやモロッコは長らく主要な移民コミュニティを形成してきたため、この組み合わせはイタリアの実態と合致します。
③【誤】
イタリアではなく、例えばスペインやフランスなど他国に当てはまるデータの場合、南米諸国や北アフリカの国々の比重が異なる組み合わせとなるため、イタリアとの対照で誤りと分かります。
④【誤】
上位の国に中東やアジア地域が占めるなど、イタリアの移民事情とは異なる内容が含まれる場合、データ的に合致しません。
第5問
問25:正解1
<問題要旨>
ウクライナとウズベキスタンの自然環境の違いを踏まえて、高度別面積の割合(表1のア・イ)と、月平均気温・月降水量(図2のA・B)の組み合わせを判断する問題です。表1にはそれぞれ「500m未満の低地が大部分かどうか」「1000m以上の地域の比率が高いかどうか」が示され、図2では気温分布や降水量の季節変化が国の気候特性を表しています。どちらのデータがウズベキスタンに該当するかを見極めて組み合わせを選びます。
<選択肢>
①【正】
高度別面積が「ア」で、月平均気温・月降水量が「A」に対応する組み合わせをウズベキスタンとみなすと、低地面積の割合がやや大きい一方、高地も一定程度含まれるという表記や、夏の高温と雨量の少なさが特徴の乾燥的気候(Aのグラフ)に合致します。
②【誤】
高度分布や気温・降水量の組み合わせが、ウクライナ向きの特徴と取り違えられている可能性があります。ウクライナは平坦な低地が優位で、夏には比較的降水量があり、冬の寒さも一定程度ある気候が特徴であり、アとBを組み合わせると矛盾が生じる場合があります。
③【誤】
高度別面積を「イ」とし、気候を「A」に当てはめると、標高の高い地域がほぼないにもかかわらず、夏季の極端な乾燥・高温が顕著に表れる気候(A)と整合しにくいです。ウクライナの気候とは異なるため、誤りとみなせます。
④【誤】
「イ」と「B」のペアがウズベキスタンだとすると、夏期にある程度の降水があるグラフや、高地分布のごく少ない数値といった要素が、ウクライナの平坦さとも錯綜してしまい、本来のウズベキスタンの乾燥的な気候とは合いません。
問26:正解4
<問題要旨>
ウクライナとウズベキスタンで生産される農産物・鉱産物に関する表2・表3を用いた問題です。表2には小麦・ヒマワリ種子・綿花の生産量が、表3には鉄鉱石・石炭・金鉱の生産量が示されています。カ・キ(表2)およびD・E(表3)それぞれがウクライナかウズベキスタンかを見極め、その農産物と鉱産物の対応を正しく組み合わせる必要があります。
<選択肢>
①【誤】
農産物をカ、鉱産物をDとする国がウズベキスタンと断定すると、綿花やヒマワリ種子の順位が本来期待されるウクライナとの特徴と混同する恐れがあり、矛盾が生じます。
②【誤】
カ・キとD・Eの割り当てが逆転しているなど、綿花の大量生産や金の産出量が多い国と、鉄鉱石や石炭を豊富に産出する国の特徴を取り違えてしまう可能性があります。
③【誤】
綿花生産が上位にくるケースをウクライナと結びつけたり、逆に鉄鉱石の大規模生産をウズベキスタンとみなすなど、事実と合わない割り当てになる場合があります。
④【正】
ウズベキスタンは世界有数の綿花生産国であると同時に金の産出量も多いことで知られます。一方、ウクライナは鉄鉱石・石炭・小麦やヒマワリ種子などの生産が著しい国です。カ・キとD・Eを適切に対応させると、ウズベキスタンでは「綿花(世界6位)・金鉱(9位)」、ウクライナでは「小麦(世界10位)・鉄鉱石など」が整合するため、この選択肢が正解となります。
問27:正解1
<問題要旨>
1990年以降のウクライナ・ウズベキスタンにおける1人当たりGDPの推移(図3)を示し、それに関する解説文①~④のうち「適当でない(誤った)」ものを選ぶ問題です。旧ソ連解体直後の計画経済から市場経済への混乱や、農産物の価格上昇、資源依存度などが両国の経済にどのように影響したかを考慮します。
<選択肢>
①【誤】
「旧ソ連解体後、カオス状態の新市街が形成されるとともに市場経済化が完全に失敗し、両国とも経済活動が再生不可能なまでに停滞した」といった極端な説明は、実際の推移グラフから見ると誤りです。両国とも一時的な低下こそあれ、ウズベキスタンは比較的安定した成長を示す場面があり、ウクライナも経済水準に変動があるものの全く再生不可能というわけではありません。
②【正】
混乱期による経済活動の低下や、回復の時期がそれぞれ異なることはグラフにも表れています。ウズベキスタンでは国有企業管理や農業中心の安定政策により、経済の下落度合いが比較的小さかったことが知られています。
③【正】
1990年代末以降に農産物や資源価格が上昇し、それに伴って経済成長を遂げた状況をウクライナ・ウズベキスタン双方で確認できる一方、2008年の金融危機や近年の国際関係悪化により再び停滞が見られる局面もあるという説明は概ね実態と合致します。
④【正】
2011年以降、ウクライナとウズベキスタンの差が再び開いたり、あるいは国際情勢や資源価格の変化で多少変動はあるにせよ、両国とも市場経済移行の影響が続いているという見方も整合します。
問28:正解3
<問題要旨>
両国(ウクライナ・ウズベキスタン)に加え、日本の食肉生産やカロリー摂取量を比較した表4(サ・シ・ス)をもとに、「牛肉・鶏肉・豚肉・羊肉の1人当たり年間生産量」と「1人1日当たり食料供給熱量」の組み合わせを判別する問題です。食肉消費の多さや畜産の傾向、カロリー摂取水準から国を特定します。
<選択肢>
①【誤】
サ=ウクライナ、シ=ウズベキスタン、ス=日本などの割り振りになっている場合、ウクライナと日本の鶏肉生産量や豚肉消費量が逆転している可能性があり、統計データと合いません。
②【誤】
サ=日本、シ=ウクライナ、ス=ウズベキスタンのようにすると、日本の牛肉・豚肉生産と鶏肉のバランスが違っていたり、ウクライナより日本のカロリーが低いと解釈されるなど、実態と整合せず矛盾が生じます。
③【正】
サ=ウクライナ、シ=ウズベキスタン、ス=日本と割り振ると、ウクライナは豚肉を中心に生産する傾向が見られ、ウズベキスタンは羊肉がわずかに生産され、日本は鶏肉割合が高くカロリー摂取が多いという特徴と合致します。
④【誤】
日本とウクライナ・ウズベキスタンを入れ替えた形など、鶏肉生産の高さやカロリー摂取量の違いがデータと乖離する場合が多く、実態に即していません。
問29:正解4
<問題要旨>
表5に示された「1〜4の数字を複数言語(トルコ語、ロシア語、ウクライナ語、ウズベク語)で表したもの」を確認し、さらに写真1のG・Hが図1中のX・Yそれぞれどこを示すか(ウクライナの街並みか、ウズベキスタンの街並みか)を組み合わせる問題です。ウクライナ語・ウズベク語の数字の綴りや、写真に見えるモスクや聖堂の建築様式を手がかりに国を判別します。
<選択肢>
①【誤】
ウクライナ語を「タ」とするのは、表中の数字をみたときにロシア語との類似が強く見られるため混同しやすいですが、実際の綴り(odyn, dva, try, čotyry等)を考えると誤りです。また、GとHの写真との割り当ても合わない場合があります。
②【誤】
ウクライナ語を「タ」、ウズベキスタン側の都市写真をHとするなど、言語と写真の照合が逆になっている可能性があります。教会のドームやイスラーム建築の特徴などを混同してしまうと誤りに気づきます。
③【誤】
ウクライナ語を「チ」とし、写真の割り当てもGがウクライナ、Hがウズベキスタンとするなら、モスクらしい建物が映る方をウクライナ側とみなしてしまうなど、明らかに歴史的・文化的景観と矛盾します。
④【正】
ウクライナ語の数字はロシア語と似ているが一部綴りが異なり、表中の「odin, dva, tri, čotyri」に近いものが「Ч(チ)」の文字列に当たります。ウズベク語はトルコ語系統と近しい表現が見られ、「タ」の方が綴りとして適切です。また、写真Gはウズベキスタンのイスラーム建築を思わせる風景、写真Hは聖堂などの旧市街が広がるウクライナらしい景観として対応が取れます。
第6問
問30:正解1
<問題要旨>
1969年と2016年の鉄道所要時間(大阪からの乗車時間)について、表1に示されたア・イ・ウを、水戸市・佐賀市・宮崎市のどれと対応づけるかを問う問題です。1969年当時は新幹線が未開通の区間が多かったり列車本数が限られていたため所要時間が長く、2016年は新幹線整備やダイヤ改正などで大幅に短縮されていることを踏まえつつ、各都市間距離や交通事情を比較して正しく組み合わせを選びます。
<選択肢>
①【正】
ア=水戸市、イ=佐賀市、ウ=宮崎市とする組み合わせは、所要時間の傾向(宮崎市が最も長く、佐賀市が中程度、水戸市が比較的短い)と地図上の位置関係を考慮すると、1969年から2016年にかけての短縮度合いも含めて合致しやすいです。
②【誤】
ア=佐賀市、イ=水戸市などの対応をすると、大阪との直線距離や新幹線開通状況から見て想定される所要時間とずれてしまう可能性があります。
③【誤】
ア=宮崎市、イ=佐賀市、ウ=水戸市のように最も長い所要時間が水戸市になってしまう配置は、地図上の距離観や新幹線整備状況と整合しにくいです。
④【誤】
ウに比較的短い区間を割り当てる形なども、1969年当時からの長距離路線事情を踏まえると宮崎市の長い所要時間と噛み合いません。
問31:正解3
<問題要旨>
宮崎市への観光客数(県内客・県外客)の月別推移(図2)と、日照時間の年間推移(図3)を示し、それらの関係について4つの文章①~④の正誤を問う問題です。冬季や夏季の観光客数増加の理由、スポーツキャンプや梅雨期の動向などを踏まえて、どの説明が誤りかを判断します。
<選択肢>
①【正】
冬季の1・2月や夏季の7・8月に観光客が増えていることを根拠に挙げ、2月の県外観光客増加はスポーツキャンプ誘致など暖かい気候を生かした取り組みが関係している、という説明は妥当です。
②【正】
全国平均よりも日照時間が長い環境でキャンプが行われるなど、冬季における宮崎の気候が観光誘致に向いている点を理由に挙げるのは、図2・図3からも裏づけがある正当な見方といえます。
③【誤】
梅雨期(6月前後)の降水量が観光の大きな障壁となり、観光客数が例年5~6月に著しく落ち込む、と説明している場合に、実際のデータと整合しないほど極端な記述であれば誤りとみなせます。図2では確かに春から初夏にかけてやや減少する傾向も見られますが、「最も大きな要因」かどうかには慎重な判断が必要です。
④【正】
春休みや連休シーズンがある3~5月に国内外からの観光客が一定数訪れるケースが説明されれば、季節的な要素として大筋で妥当といえます。
問32:正解3
<問題要旨>
宮崎市近郊の海岸・背峠(はいとう)周辺を縮尺5万分の1地形図(図4)で示し、A~Dの地点写真と結びつけて地形や自然環境・土地利用の解説文①~④を読み取る問題です。その中で、誤った記述を一つ選択します。ゴルフ場造成による丘陵の切土・盛土、黒潮(日本海流)の影響、梅雨期の高潮・冠水リスク、海岸地形の形成原理などが論点となっています。
<選択肢>
①【正】
ゴルフ場などの開発で丘陵が大きく切り崩され、盛り土で整形される例は宮崎の海岸近くでも見られるため、おおむね正当な指摘と考えられます。
②【正】
熱帯性植物や亜熱帯性樹種の中には黒潮による温暖な気候が寄与して定着している例があり、宮崎県の沿岸部で確認される植生との整合が取れます。
③【誤】
梅雨時期の高潮や冠水による交通止めを頻繁に引き起こす、という記述がもし実態と乖離しているほど極端であれば誤りと判断できます。地形図や写真Cを見ても海面との高低差・海岸保全施設がある程度整っているとすれば、「冠水による通行止め」への言及が過度に強調されすぎる可能性があります。
④【正】
砂浜や泥岩が波浪侵食によって形成・変化してきた独特の海岸地形が見られるとの記述は、海岸部の地形学的プロセスを踏まえれば自然な説明です。
問33:正解4
<問題要旨>
1976年と2014年の土地利用図(図5)に示された宮崎市中心部「Y」周辺の変遷を読み取り、4つの説明①~④のうち、誤ったものを選ぶ問題です。市街地拡大や港湾整備、森林の変化などが論点となっています。
<選択肢>
①【正】
1976年当時に市街地周辺の農地が建物用地へ変化し、それに伴い市街地が拡大しているのは、地図上でも確認できる傾向です。
②【正】
大淀川の河口北側で海岸線を人工的に改変し、港湾設備を整備した形跡は、2014年の地図における埋め立てや水域の変化として読み取れます。
③【正】
空港の周辺が市街地化したり交通アクセスが改善された結果、空港付近で都市機能が発展していることは複数の資料から推測しやすく、整合します。
④【誤】
森林の拡張が「内陸部から海岸部にまで進んだ」と極端に述べている場合、図5を見るとむしろ建物用地などの拡大によって森林面積は減少する可能性が高く、一貫して拡張とは言えません。よって誤りです。
問34:正解4
<問題要旨>
宮崎県内の農林業に関する地域的特徴を図6で示しており、「カ・キ・ク」がそれぞれ何を表すか(乾燥シイタケ、キュウリ、早場米など)を正しく組み合わせる問題です。品目別に見た作付面積や生産量の地域分布を読み取って判断します。
<選択肢>
①【誤】
カ=乾燥シイタケ、キ=キュウリ、ク=早場米の割り当てが、図示された生産分布の傾向とずれる場合、山間部・沿岸部などの違いが説明しきれません。
②【誤】
カ=キュウリ、キ=早場米、ク=乾燥シイタケのような並びだと、標高が高い内陸部でのシイタケ生産や、沿岸部の稲作の状況との整合が崩れます。
③【誤】
カ=早場米、キ=乾燥シイタケ、ク=キュウリに当てはめるなど、沿岸平野部での稲作集中や山間部での椎茸生産が逆転しかねず、地図と噛み合いません。
④【正】
カ=乾燥シイタケ、キ=早場米、ク=キュウリの分布を県内地図に当てはめると、山間部での椎茸、平野部の米作、比較的温暖な地域でのキュウリ栽培が符合します。
問35:正解1
<問題要旨>
2010年に宮崎県で発生した口蹄疫被害とその対応について、図7の発生確認月別の分布と「消毒ポイント」設置場所が示され、写真1には実際の消毒槽や消毒噴霧の様子が写されています。これをもとに、会話文中にある(サ)や(シ)に該当する語句(「高い/低い」「4月/6月」など)の正しい組み合わせを問う問題です。
<選択肢>
①【正】
(サ)=「高い感染リスク」、(シ)=「4月に最初に感染確認」とする説明は、口蹄疫が初確認された自治体では特に厳重に消毒ポイントを配置し、その後周辺自治体へ波及した実態とも整合します。
②【誤】
感染リスクが常に低い状態であった、あるいは初確認が6月だったとすると、図7や事件の時系列と合わず、口蹄疫の記録と食い違います。
③【誤】
口蹄疫は飛沫や接触による感染力の強さが特徴であり、会話文中でインフルエンザなどと同様の空気感染だけを強調する説明になっているとすれば不十分です。
④【誤】
初確認月を4月でなく6月と述べたり、感染リスクが低いまま大きな被害が広がったという説明は、2010年当時の実態を大きく誤解しているため不適切です。