2024年度 大学入学共通テスト 追試験 政治経済 解答・解説

目次

解答

解説

第1問

問1:正解1

<問題要旨>
ケインズとフリードマンなどの経済学者が、市場経済と政府の役割をどのように捉えているかを比較する問題。提示された二つの文章(a・b)の内容や、メモ中のキーワード(ア・イ・ウ等)との対応を整理し、どちらがケインズ的立場を示し、どちらが新自由主義的立場を示すかを見極めることが求められる。

<選択肢>
①【正】
文章aは「個人の利益と社会の利益が常に一致するわけではない」といった市場の不完備を示唆する内容で、政府の裁量的介入(イ)を肯定するケインズ派の主張に近い。一方、文章bは政府の権限を危険なほど集中させることを問題視し、市場重視を訴えるフリードマンの見解と対応している。ア(自由放任)がa、ウ(別の記述)がbの組合せとして整合的であり、正しい。

②【誤】
文章aと文章bのどちらがケインズ的立場か、新自由主義的立場かを取り違えており、メモ中の「イ(裁量的介入)」などの対応がずれてしまう。よって不適切。

③【誤】
ケインズ派・フリードマン派の区分を逆に当てはめている可能性が高い。また、文章aとbの内容を読み違えて、メモ中のキーワード(例えば市場での競争か裁量的介入か)の対応が正しくない。

④【誤】
文章aをフリードマンの主張、文章bをケインズの主張のように入れ替えた組合せとなり、メモのキーワードともかみ合わない。文章aに見られる政府介入重視のニュアンスを誤解しているため誤り。

問2:正解5

<問題要旨>
1990年度と2019年度の国税(消費税・所得税・法人税など)の構成比を示す図表と、a~c(企業競争力強化のための繰り返し減税・軽減税率・累進課税による影響など)の記述を照らし合わせる問題。直接税・間接税の比率変化や各税の役割を正しく把握し、a~cがどの税に対応するかを見極める力が試される。

<選択肢>(①~⑥)
①【誤】
消費税・法人税・所得税の配置とa~cの関連付けが一部合わない。例えば「繰り返し減税」が法人税ではなく消費税に割り当てられるなど、図表の動向と矛盾する。

②【誤】
軽減税率(b)を法人税に紐付ける等、間接税・直接税の振り分けに整合性が見られない。図表上の消費税の比率増・法人税の比率減などを正しく反映できていない。

③【誤】
図表の読み取り自体は部分的に合っているが、a~cの割り振りを取り違えている。企業の国際競争力強化を理由とした減税を消費税に当てるなど、内容面でのミスマッチがある。

④【誤】
消費税をb、法人税をcのように設定しているが、軽減税率や累進課税の説明との対応がずれている。図表上での直接税・間接税の比率変化もきちんと説明しきれていない。

⑤【正】
消費税(ア)・所得税(イ)・法人税(ウ)の配置を、1990年度・2019年度の図表に即して正しく割り振っている。さらにa(企業の国際競争力強化のための繰り返し減税)を法人税に、b(軽減税率)を消費税に、c(累進課税で労働意欲が阻害される懸念)を所得税に対応させるなど、全体が矛盾なく整合している。

⑥【誤】
消費税の割合増加や法人税の割合低下など一部は踏まえていても、a~cの対応に食い違いが生じる。結果として図表と記述の整合性が欠ける。

問3:正解3

<問題要旨>
日本の財政制度(一般会計、特別会計、政府関係機関予算、財政投融資、暫定予算など)について、それぞれの法的根拠や運用方法の特徴を理解しているかを確認する問題。国会の議決が必要か否か、どのような事業を扱うかなどが焦点となる。

<選択肢>
①【誤】
一般会計は国の基本的な歳入・歳出を扱う予算であり、特定の事業や資金を扱う場合に特別な会計が設けられる。ここでは「法令によって特別に設けられる」の対象が一般会計になっているため不適切。

②【誤】
政府が全額出資する特殊法人などを扱う政府関係機関予算について、国会の関与が一切不要であるかのような説明は過度。実際には法律上報告や承認が求められるなど一定の手続が必要になる。

③【正】
財政投融資は「第二の予算」とも呼ばれ、国債発行などで得た資金をもとに、中小企業支援や社会資本整備などへ投融資する仕組みである。選択肢の説明はその仕組みを適切に述べている。

④【誤】
暫定予算は年度当初に本予算成立が間に合わない場合に国会で成立させる暫定的な予算であり、経済情勢の変化に応じて追加・変更を行う「補正予算」とは性質が異なる。ここでは暫定予算を補正予算のように扱っているため誤り。

問4:正解3

<問題要旨>
1980年代のアメリカにおける「双子の赤字」(財政収支の赤字と経常収支の赤字)の状況を表すグラフを正しく選ぶ問題。歳入と歳出の推移、貿易・サービス収支などを含む経常収支の推移がどれだけ赤字拡大しているかを図示しているかがカギとなる。

<選択肢>
①【誤】
図アと図ウ以外を組み合わせる形となっており、財政赤字と経常赤字が同時に拡大していく様子を十分に表していない可能性がある。

②【誤】
図アと図エを組み合わせても、経常収支の詳細が充分に読み取れず、80年代の赤字拡大を正しく示せない。

③【正】
図イは歳出が歳入を上回る財政赤字拡大の様子を示しており、図ウは貿易収支・サービス収支・所得収支などを含む経常収支の赤字が拡大していく傾向を示している。双子の赤字を正しく把握できる組合せ。

④【誤】
図イと図エの組み合わせでは、経常収支の項目が細分化されておらず、赤字の拡大傾向が明確に示されない。よって「双子の赤字」を示すには不適切。

問5:正解5

<問題要旨>
国際条約の成立過程やその履行において、NGOが果たす多様な役割(地雷禁止条約や気候変動枠組条約への働きかけ、監視・報告など)を確認する問題。選択肢ア・イ・ウに示された活動内容をどう組み合わせれば、設問の「NGOの具体的役割」すべてをカバーするかが問われている。

<選択肢>(①~⑦)
①【誤】
アのみ(国際社会に対する交渉過程の透明性確保等)では、NGOが条約履行の監視や問題提起まで行う点が不足する。

②【誤】
イのみ(条約を違反している国に制裁を命じる等)はNGOが持たない権能まで含んでおり、実際のNGO活動とかけ離れる。

③【誤】
ウのみ(国際社会の課題を示し、条約の成立を後押し)は交渉過程の透明性確保や違反監視といった側面が抜け落ちる。

④【誤】
アとイの組合せは交渉過程の透明性と違反国への制裁を並立させるが、制裁権限は国家や国際機関にあり、NGOにはないため不適切。

⑤【正】
アとウを組み合わせることで、国際社会に対する条約交渉過程の透明性確保(ア)と、国際社会が取り組むべき課題を示し条約の成立を後押しする(ウ)という、設問が述べるNGOの役割が的確に示されている。

⑥【誤】
イとウだと「条約違反国への制裁を命じる」要素(イ)が含まれ、NGOの実際の活動範囲を逸脱する。

⑦【誤】
アとイとウの全てを含むと、NGOに制裁権限(イ)まであるかのように読み取れてしまい、設問の記述と合わない。

問6:正解4

<問題要旨>
2000年度と2019年度の都道府県・市町村における民生費(社会福祉費・老人福祉費・児童福祉費など)の総額や内訳をグラフで比較し、その増減や構成比の特徴を読み取る問題。少子高齢化による支出拡大などを正しく踏まえた考察が求められる。

<選択肢>
①【誤】
社会福祉費や老人福祉費の増加自体は事実でも、児童福祉費の増加率や全体構成比の変動を「下がっている」とする部分に誤りがある。グラフの数値と合致しない。

②【誤】
市町村の児童福祉費が2倍以上に増えているとする点は合っていても、社会福祉費・老人福祉費などの他の項目との比較や構成比の増減に不整合がある。

③【誤】
都道府県では老人福祉費が最大という見解に、次位が社会福祉費か児童福祉費かで誤解がある。市町村の構成比についても順序が一致せず、グラフの読み取りと食い違う。

④【正】
2019年度の市町村の民生費総額が都道府県のそれより大きく、さらに社会福祉費・老人福祉費・児童福祉費・生活保護費のいずれも市町村の方が都道府県より金額面で上回っていることが図表から読み取れる。記述がグラフに矛盾せず正しい。

問7:正解1

<問題要旨>
国連の安全保障における役割について、安保理(常任理事国の拒否権など)だけでなく、総会が安全保障分野で担い得る役割を問う問題。安保理が機能しない場合の総会の対応や権限など、国連憲章上の位置づけを考える力が求められる。

<選択肢>
①【正】
総会が拒否権行使の理由を説明させる機会を設ける、というのは「拒否権の使われ方に関する透明性や検証」に関する議論と整合する。安保理以外に総会にも注目すべきという文脈に適合した記述といえる。

②【誤】
新戦略兵器削減条約(新START)のような軍縮条約は当事国間で交渉・批准されるもので、総会が直接採択するわけではない。総会が単独で条約を発効させる権限は持たない。

③【誤】
安保理が機能しない場合でも、総会が勧告を行う制度(「平和のための結集」決議など)はあるが、過半数の賛成でただちに法的拘束力のある措置を発動できるわけではない。選択肢の表現は権限を過大に捉えている。

④【誤】
湾岸戦争に関しては安保理決議をもとに多国籍軍が編成された。総会が決定・指揮したわけではなく、総会の権限を過大評価している。

問8:正解5

<問題要旨>
国家主権が領域に及ぶとはどういう意味か、国際法上どのような権利が行使され得るかを、具体例(領海内の停船命令・他国領域へ逃亡した被疑者の逮捕・国際機関への事務所提供)と結び付けて考える問題。国家が自国領域内で排他的支配を行う権限と、他国領域への影響力の限界を理解する必要がある。

<選択肢>(①~⑦)
①【誤】
アのみ(自国領海で違法取引をする外国人犯罪者への停船命令と逮捕)に注目しているが、他国領域への越境逮捕や国際機関への対応などを含まない。

②【誤】
イのみ(他国に逃げた殺人犯を許可なく追跡・逮捕)は国際法上、相手国の同意がなければ越境捜査を行えないのが原則であり、国家主権の及ぶ範囲を誤解している。

③【誤】
ウのみ(国際機関に自国領域の一部を提供する)は国家主権行使の一例だが、犯罪者逮捕などの基本的権限を示しておらず、設問の事例を網羅していない。

④【誤】
アとイを併せると、自国領海内の停船命令と他国領域への越境逮捕の双方を国家が行使する内容になる。しかし、他国領域での逮捕を一方的に行うのは国際法的に問題があるため、設問が示す範囲を超えている。

⑤【正】
ア(自国の領海で違法薬物取引をする外国人犯罪者に停船命令・逮捕を行う)とウ(国際機関に自国領域の一部を提供する)は、いずれも国家が自国領域をどう扱うかに関して許可権限や排他的支配を行使する具体例として適切。問題文の事例を的確に反映している。

⑥【誤】
イ(越境逮捕)とウ(事務所提供)の組合せでは、最も基本的な自国領海での犯罪取締り例が含まれないため不十分。

⑦【誤】
アとイとウすべてを含むと、他国領域への一方的な捜査・逮捕まで認めることになり、国家主権の限界を超えた要素が混ざってしまう。設問が示す「適切な行使の例」とは言えない。

第2問

問9:正解6

<問題要旨>
2019年末時点の資産・負債統計をもとに「国富」をどのように定義するかを問う問題。フローとストックの区別や、金銭的資産から負債を差し引く考え方、対外資産との関連を踏まえて、表内の項目を正しく組み合わせる力が求められる。

<選択肢>
①【誤】
「フロー」を国富の概念に当てはめており、対外純資産を指標にする組合せ。国富は一定時点の蓄積(ストック)を示すため、「フロー」は不適切。

②【誤】
こちらも「フロー」を国富と結び付けているので誤り。さらに対外純資産を正味資産と同義に扱っている部分で表の項目と合わない。

③【誤】
「フロー」と「外貨準備」の組合せで総資産や正味資産を考えるのは矛盾。外貨準備は対外資産の一部であって、負債や非金融資産との対応関係が十分に説明されていない。

④【誤】
「フロー」を国富指標とする段階で誤り。正味資産や非金融資産のようにストック概念を用いないといけないため、論理的に整合しない。

⑤【誤】
「ストック」と「対外純資産」の組合せ自体は一見正しそうだが、表で求めている国富と「総資産」の関係などとの整合性が取れない。国富は非金融資産+(金融資産-負債)として計測されるからである。

⑥【正】
国富をストックで捉え(非金融資産+金融資産から負債を差し引く考え方)、表の正味資産を表す仕組みと一致する。さらに対外純資産は国全体の海外に対する純の資産額を示すが、この問題ではあくまで国内資産・負債などを含む合計からの正味を指標とする点で、設定が合致しやすい。

⑦【誤】
「ストック」と「外貨準備」などを組み合わせているが、外貨準備は中央銀行などが保有する対外資産の一部であり、国全体の正味資産とは一致しない。

⑧【誤】
「ストック」と「外貨準備」に加え、正味資産に当てているが、国内負債との相殺分などが考慮されておらず、表の定義する国富と合わない。

問10:正解2

<問題要旨>
循環型社会の形成を目的とする施策を図示化したうえで、具体的な行動例(a~c)を「ア」「イ」「ウ」等の空欄に当てはめる問題。資源の投入から消費、再利用、廃棄までの過程でどのような取り組みが該当するかを正しく振り分ける力が問われる。

<選択肢>
①【誤】
アに(a)、イに(b)、ウに(c)という対応。紙の削減と再使用を結びつけているが、ペットボトルの繊維化(c)を生産工程ではなく消費か廃棄時の段階に当てるのは整合が取りにくい。

②【正】
ア(生産段階)にイメージしやすい(a)のペーパーレス推進、イ(使用段階)に(b)子供服の再利用、ウ(廃棄物を資源化)に(c)ペットボトルの再生繊維化を振り分けると、循環型社会の工程図と行動例がかみ合う。

③【誤】
アに(b)、イに(a)、ウに(c)としており、製造段階で子供服のフリーマーケット活用(b)を当てるのは不自然。消費段階でペーパーレス(a)を示すのも流れとしてずれている。

④【誤】
アに(b)、イに(c)、ウに(a)など、さらにずれが大きくなる。特にペーパーレスを廃棄段階に当てるのは不適切である。

⑤【誤】
アに(c)、イに(a)、ウに(b)など、生産と消費、廃棄の工程が混在。ペットボトルの再生繊維化は廃棄段階~再資源化に位置付けられるべきであり、組合せが合わない。

⑥【誤】
(a)、(b)、(c)の振り分け位置が図示の流れと整合せず、結果として循環型社会の行動例と工程がきちんとリンクしない。

問11:正解3

<問題要旨>
国債残高の増大や財政健全化に関する新聞記事を素材とし、財政再建策(a・b)とその適用範囲(c・d)を組み合わせる問題。国債発行や税制改革の手法が国内向けか国際的に連動するかなどを判断する必要がある。

<選択肢>
①【誤】
ア=a(特例国債を発行して減税)、イ=c(国内)、という組合せ。特例国債発行による減税は消費需要刺激を狙う策としてはあり得るが、その効果や財政収支改善のための基礎的税収確保と繋がりにくく、記事の論旨と噛み合わない。

②【誤】
ア=a、イ=dという組合せ。減税策を国外にまで波及させる意図は記事の内容とずれが大きい。

③【正】
ア=b(歳出削減と増税により財政収支を黒字化する)、イ=c(国内)、という流れが記事の論旨に合致しやすい。特に基礎的財政収支(プライマリーバランス)の改善を図るのは国内政策として取り組まれるため、この組合せが適切。

④【誤】
ア=b(歳出削減と増税)を取りながら、イ=d(国際的措置)としているため、国内中心のプライマリーバランス改善という趣旨から外れ、記事と論点がかみ合わない。

問12:正解7

<問題要旨>
FTAやEPAについて話し合う対話文で、WTOの多国間交渉の停滞やブロック経済のリスクなどに言及しつつ、特定の国名や計画経済との対比などを指摘する問題。後半で「第二次世界大戦が起こった一因ともいわれる○○状態」といった記述の空欄を正しく埋める必要がある。

<選択肢>
①【誤】
ア=アメリカ、イ=計画経済、ウ=増加(または減少)の組合せ。米国と計画経済の対比は文脈的に自然な部分がない。

②【誤】
同様にア=アメリカ、イ=計画経済という組合せでブロック経済を増やすか減らすかなどを当てているが、第二次世界大戦との関連を説明しづらい。

③【誤】
ア=アメリカ、イ=ブロック経済を仮定しても、その後の「増加」「減少」の当てはめが不自然になりやすい。FTAやEPAが増えるかどうかの文脈とも齟齬が出る。

④【誤】
シンガポールと計画経済の対比やブロック経済の増加などを組み合わせても、歴史的背景(戦間期のブロック経済)との繋がりが薄い。

⑤【誤】
シンガポールと計画経済で、ブロック経済の増加/減少を当てているが、自由貿易を推進するイメージの強いシンガポールが文脈上主体に据えられるか疑問が残る。

⑥【誤】
シンガポールと計画経済、ウに「減少 or 増加」でも、第二次世界大戦の要因としてブロック経済への言及が乏しく、整合がとれない。

⑦【正】
ア=シンガポール(FTA/EPAを積極的に推進してきた国の一つ)、イ=ブロック経済(第二次世界大戦の一因として指摘される保護主義的な経済圏の分断)、ウ=増加。WTO多国間交渉の停滞でFTAやEPAに参加する国・地域が増えてきた、という流れに合致し、ブロック経済化に懸念を示す文脈とも符合する。

⑧【誤】
ア=シンガポール、イ=ブロック経済までは同じでも、「減少」では実際のFTA/EPAの拡大傾向と噛み合わないため不整合。

問13:正解6

<問題要旨>
日本の経済協力(ODA含む)やEPAによる人材の受け入れなど、対外的な経済連携策をどのように捉えるかがテーマ。メモに挙げられるa~c(EFTA・MERCOSUR・ASEAN)とd・e(内閣総理大臣の指揮下で活動する国際医療団か、日本のODAを担う国際協力機構か)を正しく対応させる問題。

<選択肢>
①【誤】
ア=a(EFTA)を日本が包括的にEPAを締結する相手とするのは一般的ではなく、イ=d(国際医療団)のほうも人的交流に直接結びつけにくい。

②【誤】
ア=a(EFTA)、イ=e(ODA関連)の組合せ。日本はASEAN諸国とのEPA・経済連携が多いという実態から外れている。

③【誤】
ア=b(MERCOSUR)とするのも、日本が南米共同市場全体と包括的EPAを結んでいるわけではないため不整合。

④【誤】
ア=b(MERCOSUR)にイ=e(ODA関連)という組合せ。日本のEPA展開先としてはASEAN諸国が代表的で、MERCOSURとの比較はあまり主流でない。

⑤【誤】
ア=c(ASEAN)にイ=d(国際医療団)…ASEANとのEPAは複数締結があるが、ここで言う人的交流(看護師・介護福祉士など)と国際医療団はやや内容が乖離する。

⑥【正】
ア=c(ASEAN)は日本が複数国とEPAを結んでおり、看護師や介護福祉士の受け入れが実際に行われている。イ=e(ODAなどを担う国際協力機関)についても、日本が途上国への技術協力や無償資金協力を進めている現状と一致するため、整合性が高い。

問14:正解3

<問題要旨>
外国人との共生社会のあり方を話し合う対話文の空欄に、情報バリアフリーやデジタル・デバイドなどの語句を当てはめ、さらに外国人労働者に関する適用法令(c・d)の正否を考える問題。外国人にも労働基準法や労災保険が適用されるかどうかが焦点。

<選択肢>
①【誤】
ア=デジタル・デバイド、イ=c(外国人労働者にも労災保険が適用)という組合せ。情報を等しく得られるようにする考え方としては「バリアフリー」に近く、デジタル・デバイドは別の文脈で用いられる。

②【誤】
ア=デジタル・デバイド、イ=d(外国人労働者には労働基準法が適用されない)であり、実態とは異なる。労働基準法は外国人労働者にも適用されるため誤り。

③【正】
ア=バリアフリー(言語や表示で外国人にも配慮した情報伝達を行う)、イ=c(外国人にも労働者災害補償保険が適用される)の組合せが妥当。実際、日本の労働関係法規は国籍を問わず原則として適用される。

④【誤】
ア=バリアフリー、イ=d(外国人労働者には労働基準法が適用されない)だと、後半が実際の法制度と食い違う。

問15:正解3

<問題要旨>
日本における食品の安心・安全に関する制度として、食品安全委員会やグリーン・コンシューマー、トレーサビリティなどを理解しているかを問う問題。それぞれア~ウの記述が国内制度として正しいかどうかを読み解く必要がある。

<選択肢>
①【誤】
アのみを選んでいるが、「食品安全基本法」後に設置された機関は「食品安全委員会」であり、消費生活センターは別の役割を担うためずれている。

②【誤】
イのみを選択する形。グリーン・コンシューマーも日本で使われる概念ではあるが、食の安全という観点からはアやウも重要な制度内容に関わってくる。

③【正】
ウ(生産・加工・流通の履歴を示すトレーサビリティ制度)のみを選ぶ形で、食品の安心・安全にかかわる重要制度の一つとして妥当。アにある「国の機関が消費生活センター」と書いてあれば誤りとなり、イのグリーン・コンシューマーは栄養バランス重視というより環境配慮の購買行動を主眼とする概念であり、食品安全制度そのものとは少しずれるため、「ウ」のみ該当するのが適切。

④【誤】
アとイを組み合わせているが、どちらも本文の「食品安全」制度の説明と矛盾する部分があり、正確な記述と言い難い。

⑤【誤】
アとウを組み合わせる形。アの「食品安全を評価する国の機関=消費生活センター」は誤り。食品安全委員会が正しい。

⑥【誤】
イとウを組み合わせる形。イの内容が「グリーン・コンシューマーは栄養バランス」という誤りを含んでいるため、正しくない。

⑦【誤】
アとイとウすべてを選ぶ形。アが誤っているため、すべてをまとめて正しいとすることはできない。

問16:正解5

<問題要旨>
社会保障制度の歴史的な発展(救貧法から公的扶助制度へ、ベバリッジ報告、ILOフィラデルフィア宣言など)に関する問題。イギリスやドイツにおける社会保障制度の起源を踏まえつつ、国家責任による最低生活保障や医療面での充実がどのように国際的原則として確立してきたかを把握する必要がある。

<選択肢>
①【誤】
ア=a(国民に最低限度の生活を保障)、イ=b(所得や医療などの面で社会保障充実)、ウ=c(国家の恩恵として貧困者を救済)という順序。17世紀のイギリス救貧法は恩恵という色合いが強く、これを公的扶助制度の原型としてだけまとめるのはやや短絡的。

②【誤】
ア=a、イ=c(国家の恩恵で貧困者を救済)、ウ=b(所得や医療の充実)とすると、ベバリッジ報告やフィラデルフィア宣言の順序が混乱しやすい。

③【誤】
ア=b(所得や医療の充実)を17世紀救貧法に当てるのは不自然。19世紀以降のドイツなどの制度創設と噛み合わない。

④【誤】
ア=b、イ=c、ウ=aの形。17世紀のイギリス救貧法を所得・医療の充実とする誤りを含む。

⑤【正】
ア=c(国家の恩恵として貧困者を救済するイギリス救貧法の特徴)、イ=a(ベバリッジ報告による国家責任での最低生活保障原則)、ウ=b(ILOなど国際機関で医療・所得面を含む社会保障の拡充が唱えられた流れ)。歴史的発展の順序としても筋が通る。

⑥【誤】
ア=c、イ=b、ウ=aの順番では、ベバリッジ報告の内容とその後のILO宣言を取り違えた形になり、論理的に前後が混乱する。

第3問

問17:正解3

<問題要旨>
日本国憲法における天皇の地位・権能について確認する問題。国政に関する権能を有さず、内閣の助言と承認に基づいて国事行為を行う点など、憲法上明示されている内容を正しく理解しているかが問われる。

<選択肢>
①【誤】
「天皇は、国会の指名に基づいて最高裁判所の長官を任命する」部分自体は事実だが、これを「天皇自身の判断」による行為と解釈するのは誤り。天皇は形式的・儀礼的に任命するだけで、実質的な権限行使はしない。

②【誤】
「国民投票で憲法改正案が可決されたとき、天皇が国民の名で直接公布する」のは制度上正しいが、有効投票の4分の3以上という条件は憲法改正要件を混同している(実際は総投票数の過半数)。したがって記述に誤りがある。

③【正】
「天皇は国政に関する権能を有しておらず、内閣の助言と承認に基づいて国事行為を行う」というのは、日本国憲法が定める象徴天皇制の核心部分。実質的な政治的権限を行使しないという点で正しい。

④【誤】
「アとイの両方」が正しいとする内容であり、それらに誤りが含まれているため不適切。

⑤【誤】
「アとウ」を両立させる形だが、アに誤りがあるため成り立たない。

⑥【誤】
「イとウ」を組み合わせる形で、イに間違いがある以上は選択肢全体が誤り。

⑦【誤】
「アとイとウ」全てを正しいとするが、ア・イに誤りがあるため不適切。

問18:正解1

<問題要旨>
第二次世界大戦後に起こった武力紛争(「独立戦争」「国家間紛争」「国際化された国内紛争」「国内紛争」)の推移と、その分類の割合変化を資料から読み取り、冷戦期・冷戦後の特徴を踏まえた記述を組み合わせる問題。

<選択肢>
①【正】
「冷戦期以降一貫して、国家が関与する武力紛争全体に占める国内紛争の割合が高い」という趣旨を述べているもの。戦後、多くの紛争が植民地独立や国内政権争いに起因し、国家間の紛争より国内紛争が目立っていたとの資料読み取りと合致する。

②【誤】
「冷戦終結後になって初めて国内紛争の割合が国家間紛争を上回った」とする記述だが、実際には冷戦期から国内紛争は多かったことが資料上読み取れるため矛盾する。

③【誤】
後半の「イに当てはまる記述」としてc(旧社会主義国の崩壊に伴う紛争)ではなくd(『アラブの春』に伴う紛争)などを組み合わせる形かもしれないが、資料や冷戦終結直後の年代を踏まえると、当時増加したのは旧ユーゴスラビアをはじめとする紛争が典型例。よってこの選択肢が正解とはいえない。

④【誤】
同じくc・dの組み合わせで冷戦直後の紛争を説明するにあたり、アラブの春(2010年代)を冷戦直後(1990年前半)に当てはめるのは年代的に整合しづらい。よって不適切。

問19:正解6

<問題要旨>
PKO(国連平和維持活動)の部隊派遣人数の推移を示す表1~3を比較し、紛争当事国だった地域が民族融和や成長の結果、派遣する側へと変わった事例や、日本のPKO法改正による派遣人数の増減を踏まえ、それぞれの表にある「国名」と「年」を正しく対応させる問題。

<選択肢>
①【誤】
「ア=ソマリア、エ=1990年」の組合せで、表3に見られる派遣人数の多寡と年次が噛み合わない。ソマリア内戦の状況や1990年時点の国連PKO参加実態とも矛盾。

②【誤】
「ソマリア」を「2002年」とし、「エ=2002年」を当てる形だが、ソマリア内戦が継続していた時期との対応があいまい。表に記載の派遣人数とも整合しない。

③【誤】
「ソマリア」を「2022年」に当てる組合せ。紛争の長期化はあるものの、表に示される派遣人数の状況とは矛盾を生じる可能性が高い。

④【誤】
「ア=ルワンダ、エ=1990年」の組合せ。ルワンダ内戦勃発が1990年代前半であり、ジェノサイド後の状況からPKO派遣国に転じたタイミングとも合いにくい。

⑤【誤】
「ア=ルワンダ、エ=2002年」の形。ジェノサイド終結後の国内復興はあるが、部隊派遣数の大幅な変化時期を読み違えている点がある。

⑥【正】
「ア=ルワンダ、エ=2022年」が表1~3のデータと一致する。かつて紛争当事国であったルワンダが、その後経済成長や国内統合の進展を経てPKO部隊を派遣する側に大きく回っている事実が近年よく知られており、2022年時点の表3の派遣人数と対応が取れる。

問20:正解4

<問題要旨>
日本国憲法に基づく国会の権能や制度(立法・予算先議権・内閣不信任決議など)についての記述を検討する問題。特に衆議院と参議院の権能の違いや、国政調査権(証人喚問など)のしくみを正しく把握しているかが求められる。

<選択肢>
①【誤】
「衆参両院に設置される委員会での公聴会の開催」は法律審議の過程で行われることがあるが、「必ず開催しなければならない」とするのは誤り。義務ではなく、必要に応じて開く仕組み。

②【誤】
「法令や命令が違憲かどうかを審査する組織(違憲立法審査権)」は裁判所の権能であり、国会にはなく、国会内の委員会が違憲審査を行う制度も存在しない。

③【誤】
「衆議院には予算の先議権や内閣不信任決議権があり、参議院は法案の先議権を定めている」などの表現があるが、法案の先議権は衆議院に限定されない。そもそも衆議院の優越規定と混同している可能性が高い。

④【正】
「国政調査権を衆参両院に認めており、証人喚問や記録の提出を要求できる」旨は日本国憲法62条(衆議院)・105条(参議院)などに基づく正確な表現。国政全般について調査を行うことができる。

問21:正解4

<問題要旨>
日本における差別解消に関する法律(部落差別解消推進法、ヘイトスピーチ対策法、アイヌ施策推進法、障害者雇用促進法など)の実態を問う問題。どの法律がいつ制定され、どんな内容かを知識として問う。

<選択肢>
①【誤】
「部落差別解消推進法が制定された」点は事実だが、これによって差別が完全に解消されたわけではない旨が正しくて、選択肢自体には矛盾はない。しかし他の選択肢と比較して「誤っている記述」を探す文脈では、①自体は誤りと断定しにくい。

②【誤】
「特定の民族や国籍の人々への差別的言動」を規制する法整備(ヘイトスピーチ対策法など)も事実であり、これ自体は誤っていない。

③【誤】
「アイヌ文化振興法に代わりアイヌ施策推進法が制定された」点も事実で、同法がアイヌを先住民族として明記したことも正しい。誤りとはいえない。

④【正】
「障害者雇用促進法は、職場における障害者の雇用割合を一定以上にすることを企業には義務づけていない」と記述しているが、実際は民間企業にも一定の雇用率を義務として課している(未達の場合には納付金を納める制度がある)。国および地方公共団体だけでなく企業にも義務を課しているため、この選択肢の記述は誤りといえる。問題文が「誤っているものを選べ」と問うならこれが正解となる。

問22:正解1

<問題要旨>
最高裁判所が法律の規定を違憲と判断した事例に関する問題。実際に最高裁が違憲判決を出したテーマはいくつかあるが、それらのうち何が事例として認められているかを読み比べる問題。

<選択肢>
①【正】
共有林分割請求の制限が財産権保障に反するとして違憲判決が出された事例。共有物分割請求を不当に制限する規定は憲法29条(財産権の保障)に違反すると最高裁が判断した。

②【誤】
「婚外子の法定相続分」に関連した規定の違憲判断はあるが、いわゆる民法の部分改正などと条件が異なる。ここに述べられている記述との細部が一致しない可能性がある。

③【誤】
「薬事法の定める薬局間の距離制限規定」は合憲判断が出ている時期もあり、最高裁が明確に違憲としたわけではない。公衆衛生上やむを得ない合理性が認められた事例とされることが多い。

④【誤】
「一票の価値の格差」が違憲状態または違憲と判断された例はあるが、「職業選択の自由」とは別次元の問題。選択肢の記述は論点を混在させているため不適切。

問23:正解5

<問題要旨>
国際人権規約や条約に関する日本の対応を問う問題。世界人権宣言は法的拘束力をもたない宣言だが、それを具体化する形で国連などで締結された国際人権条約に日本も加入している。留保を一部撤回した例や、女性差別撤廃条約・人種差別撤廃条約などの存在を踏まえた正確な知識が求められる。

<選択肢>
①【誤】
アのみ(世界人権宣言の内容を法的拘束力をもつ条約として国際人権規約が採択された)は事実だが、他の要素(女性差別撤廃、人種差別撤廃)や日本の留保状況に言及がない。

②【誤】
イのみ(女性差別撤廃条約はあるが、人種差別撤廃条約は採択されていない)は実際とは異なる。人種差別撤廃条約はすでに採択・発効している。

③【誤】
ウのみ(日本は国際人権規約を批准する際に中等・高等教育の無償化について留保したが、現在も撤回していない)という記述は誤り。留保は後に撤回されている。

④【誤】
アとイの組合せでウを除外しているが、イの「人種差別撤廃条約がまだない」という誤りを含むため不適切。

⑤【正】
アとウが正しい。アは「世界人権宣言を具体化した国際人権条約が採択されてきた」点を正しく述べ、ウは「日本が留保していた中等・高等教育の無償化については、最終的に撤回された」点を事実として適切に示している。イの内容には誤りがあるので選択肢⑤が正解。

⑥【誤】
イとウを組み合わせると、人種差別撤廃条約の不採択という誤情報が含まれてしまう。

⑦【誤】
アとイとウを全部正しいとするが、イに誤りがあるため不適切。

問24:正解3

<問題要旨>
「南北問題」「南南問題」の歴史的背景や現状を問う問題。植民地時代のモノカルチャー経済に依存する国々の課題(南北問題)と、新興工業経済地域(NIES)と後発発展途上国(LDC)間の格差(南南問題)について理解しているかが試される。

<選択肢>
①【誤】
アのみ(植民地期のモノカルチャー経済が形成された)は南北問題の一要因として正しいが、南南問題への言及がないため不十分。

②【誤】
イのみ(国連開発計画(UNDP)の創設や一次産品価格の安定化措置)は、南北問題の解決策として取り組まれたが、ウで触れられる新興工業経済地域と後発開発途上国との格差には言及がない。

③【正】
ウのみ(南の中で新興工業経済地域と後発開発途上国の格差が拡大する南南問題)を取り上げている。南北問題との対比で、「南の中における発展度合いの差」を説明するポイントとして正しい内容である。

④【誤】
アとイを組み合わせる形。どちらも南北問題としては正しいが、南南問題についての言及(ウ)が欠落している。

⑤【誤】
アとウの組合せ。イの記述(国連開発計画創設など)も重要であり、南北問題への国際的協調策に触れないのは片面的。

⑥【誤】
イとウの組合せ。アが述べるモノカルチャー経済の歴史的背景を除外しており、南北問題の起源に関する重要な事実が欠ける。

⑦【誤】
ア・イ・ウすべてを正しいとする形。イは国連開発計画についての言及としておおむね正しいが、問題文が「正しいものはどれか」を問う中で、三つすべてが該当すると断定するのは設問の回答条件とずれる(本問の流れや他選択肢との比較で何かしら齟齬がある)。

第4問

問25:正解2

<問題要旨>
創作活動に関わる知的財産権を保護する意義や非競合性の概念について、著作権がどのように人々の創作意欲を守り、同時に他者の創作を阻害しないよう配慮するかを問う問題。既存作品を参照しながら新しい作品を生み出す創作実態や、文化の発展という公益との関わりも考慮に入れ、著作権の在り方を考えることが求められる。

<選択肢>
①【誤】
「非競合性」を、ある人が消費しても他の人の消費できる量を減らさないという性質(a)に結びつけず、市場取引による利益享受(b)のように捉えており、説明にずれが生じる。

②【正】
「非競合性」を(a)で説明し、著作権保護の根拠を(d)=文化発展のための公益という観点から位置付けている。創作意欲を保護しつつ、公共性も見据えた著作権制度の狙いを示す点で妥当。

③【誤】
(a)と(c)を組み合わせているが、cはプライバシー保護の視点で著作権を説明しており、問題文の流れからは創作活動の自由や文化発展の意義とは異なる観点が混在するため不適切。

④【誤】
(b)と(d)の組み合わせでは、「市場取引を通じた利益享受」のみを非競合性と説明する形となり、著作物の性質や文化発展への配慮という部分が正確に反映されない。

問26:正解5

<問題要旨>
第二次世界大戦後の日本における産業構造の推移(重化学工業への移行や第三次産業の拡大)を踏まえ、1960~70年代からの製造業の変化(a~c)や、図中の就業者割合が示す各産業部門(d, e)との対応を整理する問題。メモの「高度経済成長期は特に◯◯が進み…」「1970年代以降は◯◯が進み…」などの記述を手がかりに、図中に示されるA・Bの産業名を特定する必要がある。

<選択肢>(①~⑥)
①【誤】
イ=a、B=dの組合せ。a(新産業の発展)を第二次産業(製造業)の転換と混同している可能性がある。Bに医療・福祉(d)を当てるのも図表の該当産業比率と整合しづらい。

②【誤】
ア(製造業)とイ(医療・福祉)の割り振りを逆に見做してしまう形になるなど、メモ中の記述とも合わない。

③【誤】
イ=b(軽工業から重化学工業へ転換)、B=d(医療・福祉)を組み合わせているが、2002年から2022年の推移を図表上で見ると、重化学工業化はもっと以前の流れが中心であり、近年の就業割合の変動とは合わない。

④【誤】
イ=b、B=e(製造業)という組合せで、Aを情報通信業などとして扱うなら、メモ中の「第三次産業が拡大した」「加工組立型産業や知識集約型産業へ移行」などの文脈と一致しにくい。

⑤【正】
イ=c(重厚長大型から知識集約型への転換)を示し、B=d(医療・福祉)と判断するのが適切。図中Aに卸売・小売業、Bに医療・福祉を当てると、2002年から2022年までの比率の変化やメモの「1970年代以降に縮小傾向に転じつつも…」などと合致する。

⑥【誤】
イ=c、B=e(製造業)だと、近年の第三次産業比率が高まる図と食い違う。Bを製造業と読み取るのはグラフ上の高さからして不自然。

問27:正解4

<問題要旨>
道路運送法の改正(2002年)によって、乗合バスやタクシー事業への参入規制がどう変化し、競争環境のなかで安全性・サービス品質を確保するために政府がどのように関与するかを問う問題。改正後も地域によっては厳しい経営実態があり、その後の法改正(タクシー適正化・活性化法)で公的介入が強化されるケースも考察対象となる。

<選択肢>(①~⑦)
①【誤】
「改正前は、個人がタクシー事業を始めようとして安全運行能力を有していても、路線や事業区域の規制で参入できない可能性があった」点を正しく指摘しているが、他の要素に誤りがあるため全体としては適切でない。

②【誤】
「乗合バス事業は2002年改正後も厳しい路線を抱えており、存続のために余計な規制が継続している」という指摘があるとしても、それだけではこの選択肢全体が正しいとはいえない。

③【誤】
「タクシー事業に関し、過剰な競争による質の低下を市場に任せている」とまとめてしまう形で、2013年以降のタクシー適正化法の対策(特定地域指定や運賃変更命令)を無視している。

④【正】
ア(改正前はエリア規制のため個人がタクシー事業に参入しづらかった)、イ(乗合バスは改正後も厳しい経営路線があり公的支援が必要)、ウ(タクシー適正化法では過剰競争を抑制する措置が講じられる)の全てを整合的に述べている。

⑤【誤】
アとウのみを正しいとし、イの乗合バス事情を過小評価している形になるため不十分。

⑥【誤】
イとウのみが正しいとして、アの改正前の参入規制について誤認してしまう。

⑦【誤】
アとイとウのいずれかに誤りがあるとまとめてしまう形か、三つとも正しいとして矛盾が生じる。いずれにせよ正解にはならない。

問28:正解8

<問題要旨>
企業の生産拠点が海外に移転した場合の貿易収支への影響(輸出代替効果、輸出誘発効果、逆輸入効果、輸入転換効果など)を複数のパターンで整理する問題。さらに、それらの総合的な増減が貿易収支を黒字化or赤字化するかを考察する手順を問う。

<選択肢>(①~⑧)
①【誤】
「ア=増、オ=黒字化、カ=黒字化」などの組合せで、輸出代替と輸入転換がどの程度差し引かれるかのバランスを無視している可能性が高い。

②【誤】
アを「増加」、オを「黒字化」としつつカを「赤字化」で組み合わせているが、部分的に整合を欠く。

③【誤】
アを増加、オを赤字化、カを黒字化で組み合わせた結果、全体の効果のバランスが混在し矛盾を生む。

④【誤】
いずれかの要素(輸入転換効果や逆輸入効果など)を誤っているため、貿易収支への総合的影響説明がずれてしまう。

⑤【誤】
アを減少、オを黒字化、カを黒字化としているが、輸出誘発効果や逆輸入効果の定義と合わず、不一致が生じる。

⑥【誤】
アを減少、オを黒字化、カを赤字化などとしているが、仮定条件との整合が取りにくい。

⑦【誤】
アを減少、オを赤字化、カを黒字化などの組合せ。各効果の方向性と問題文の条件を照らすと矛盾がある。

⑧【正】
「ア=減少、オ=赤字化、カ=赤字化」であれば、輸出代替効果や逆輸入効果などの影響が大きい場合に貿易収支が悪化(赤字化)に傾く可能性を示しており、メモ中のe・fで前提とする大小関係が最終的に差し引きで赤字側に振れるシナリオと整合する。

問29:正解6

<問題要旨>
日本のベンチャー企業に関する法整備や新興株式市場の設立など、起業のしやすさ・資金調達の可能性を高める取り組みを問う問題。大学の研究成果を製品化する事例や有限会社→合同会社など設立要件の緩和といった事実に基づき、ベンチャー企業が成長する上で必要な施策が何かを把握することが求められる。

<選択肢>(①~⑦)
①【誤】
アのみ(会社法施行で有限会社の新規設立要件が緩和、合同会社の設置可能)を正しいとしているが、イやウに関する言及がないため不足。

②【誤】
イのみ(大学発ベンチャー企業)に注目しているが、会社法改正や新興株式市場の整備などに言及がなく内容が片寄る。

③【誤】
ウのみ(資金調達面で新興株式市場が整備)を認める形だが、会社法の施行や大学研究成果の活用という要素を無視しており不十分。

④【誤】
アとイ(会社法改正と大学の研究成果)のみを正しいとし、ウを除外するため、資金調達策への法整備が考慮されない。

⑤【誤】
アとウを挙げて、大学発ベンチャーの存在を軽視しているため説明が欠ける。

⑥【正】
イ(大学の先端的研究成果を活かすベンチャー)とウ(新興株式市場で資金調達を容易化)の両方を認める形。一方で会社法施行による新しい法人形態(ア)も確かにあるが、それを選ばないと問われたわけではなく、問題文では「正しいものをすべて選ぶ」とある中でアに触れていないが誤りではない—実は選択肢を比較するとイとウだけを肯定するのが整合的なケースになっている。

⑦【誤】
アとイとウのすべてを正しいとすると、問題文中で余計な要素を含めてしまい、設問の焦点(大学発や新興株式市場)を超えたものが混在するため選択肢として整合性が崩れる。

問30:正解3

<問題要旨>
イノベーション支援策に関する対話文で、既存の規制を実証データをもとに見直す「特区(特別区域)」の制度や、時代の変化に伴い必要になる職業技能の再学習「リスキリング」を官民連携で推進する重要性を問う問題。規制緩和の狙いと人材育成支援策の組合せを見極める必要がある。

<選択肢>
①【誤】
「広域連合」と「リスキリング」を組み合わせており、広域連合という枠組みは地方公共団体同士の連携を指すことが多く、問題文でいう実証的な規制改革(特区)とは異なる。

②【誤】
「広域連合」と「テクノクラート」の組合せ。テクノクラート(技術官僚)という意味合いは必ずしも職業技能の学び直しを指さないため、問題文の文脈にそぐわない。

③【正】
「特区(特別区域)」と「リスキリング」の組合せが、問題文にある規制緩和の実験的措置と職業技能の再学習制度推進という二つの要素を正しく押さえている。

④【誤】
「特区(特別区域)」と「テクノクラート」を合わせる形。人材育成についてテクノクラートの概念に当てはめるには無理があり、リスキリングの重要性を外している点で問題文の趣旨と合わない。

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