解答
解説
第1問
問1:正解4
<問題要旨>
国家の役割をめぐる考え方(夜警国家・福祉国家)と、国家権力の介入をどのように制約するかを問う問題です。本文中では「国家の役割を消極的にとらえる考え方=夜警国家」とし、人々に対する介入を抑制する国家観と結びつけられています。
<選択肢>
①【誤】「福祉国家」と「国家権力に対する憲法上の制約をなくす仕組み」の組合せは矛盾します。福祉国家は経済や社会保障に対する政府の積極的な関与が前提ですが、同時に「憲法上の制約をなくす」ことは政府の権力を無制限に認めることになり、本文の議論と合いません。
②【誤】「福祉国家」と「人々に対する国家の介入を制約する仕組み」の組合せも不自然です。福祉国家は政府の積極的介入を一定程度肯定する立場であり、国家の介入を強く制約するという考え方とは一致しにくいものです。
③【誤】「夜警国家」と「憲法上の制約をなくす仕組み」の組合せは適切ではありません。夜警国家は国家の役割を治安維持などに限定し、そのためには憲法による国家権力の制限がむしろ重視されます。
④【正】「夜警国家」は国家による経済・社会への介入を極力抑え、個人の自由を最大限に尊重する消極国家観です。そのため「人々に対する国家の介入を制約する仕組み」との組合せが妥当といえます。
問2:正解1
<問題要旨>
「第三の道」(いわゆる中道左派と新自由主義を折衷する路線)と「新自由主義(ネオ・リベラリズム)」を代表する政治指導者の組合せを問う問題です。
<選択肢>
①【正】A(第三の道)を推進した代表的な人物としてブレア首相(イギリス労働党)が知られ、B(新自由主義)はサッチャー首相が象徴的存在です。この組合せは妥当です。
②【誤】ブレア首相とフランクリン・ローズベルト(F.ローズベルト)の組合せは「第三の道」と「新自由主義」ではなく、F.ローズベルトはニューディール政策(大きな政府)で知られる政治家です。
③【誤】フルシチョフ(旧ソ連)とサッチャーの組合せは「第三の道」とは無関係です。フルシチョフは社会主義国の指導者であり、新自由主義とも直接結びつきません。
④【誤】フルシチョフとフランクリン・ローズベルトの組合せも「第三の道」と新自由主義とは関係のない組合せです。
問3:正解3
<問題要旨>
日本国憲法が保障するさまざまな基本的人権(自由権・社会権・請求権など)を整理し、どの権利がどの分類にあたるかを問う問題です。本文では「表現の自由や[ア]」が自由権に該当し、「[イ]や教育を受ける権利」が社会権にあたり、「裁判を受ける権利や[ウ]」が請求権に該当すると説明されています。
<選択肢>
①【誤】「ア=生存権、イ=財産権、ウ=国家賠償請求権」は、自由権と社会権が逆転しています。生存権は社会権であり、財産権は自由権に含まれます。
②【誤】「ア=生存権、イ=国家賠償請求権、ウ=財産権」はさらに分類がちぐはぐです。
③【正】「ア=財産権、イ=生存権、ウ=国家賠償請求権」は、財産権が自由権、生存権が社会権、国家賠償請求権が請求権として位置づけられるので適切です。
④【誤】「ア=財産権、イ=国家賠償請求権、ウ=生存権」は、社会権と請求権が混同されています。
⑤【誤】「ア=国家賠償請求権、イ=生存権、ウ=財産権」も分類が誤っています。
⑥【誤】「ア=国家賠償請求権、イ=財産権、ウ=生存権」も同様に誤りです。
問4:正解3
<問題要旨>
アメリカとイギリスの政治制度の違い(大統領制と議院内閣制)を比較し、両国における権力分立の厳格さと議会・行政府の関係を問う問題です。
<選択肢>
①【誤】ア「教書送付」ではなく「法案提出」とするなど内容がずれている場合、アメリカ大統領は直接法案を提出できませんが、教書送付によって議会へ立法を促すことはできます。一方イ「弾劾」は、議会が大統領を罷免する手続きであり、イギリス下院による不信任決議とは異なります。
②【誤】ア「教書送付」まではよいとしても、イ「弾劾」ではイギリス議会の内閣に対する権限を正確に表していません。
③【正】アメリカ大統領には、教書送付などを通じて議会とやりとりする権限はあるものの、不信任決議や議会解散は行えません。一方イギリス下院は内閣に対して不信任決議(イ)を行うことができ、両国を比較するとアメリカの方が立法府と行政府の権力分立がより厳格(ウ)です。
④【誤】ア「教書送付」、イ「不信任決議」までは正しくても、ウ「緩やか」ではアメリカの大統領制の分立度合いを誤って評価しています。
問5:正解4
<問題要旨>
「法の支配」の意味を問う問題です。法の支配とは、人権保障や権力の制限のため、権力者も法に従わなければならないという考え方です。
<選択肢>
①【誤】これは法に違反すると制裁があるという一般的な「法の特徴」を述べているにすぎず、「法の支配」の本質である権力の制限や人権保障には言及していません。
②【誤】「法は権力者の命令であり、国民は従わねばならない」という考え方はむしろ人の支配に近く、法の支配とは正反対です。
③【誤】「議会で制定された法に基づき行政を行わねばならない」という形式的側面だけを強調しており、法による権力者の拘束や人権保護を十分に含んでいません。
④【正】「法の支配」は、たとえ国王や権力者であっても法に従う必要があるという考え方で、個人の権利・自由を守る上で中心的な原則です。
問6:正解1
<問題要旨>
日本の国会・議院の権限や制度に関する記述のうち、「誤っているもの」を探す問題です。
<選択肢>
①【誤】「両議院の審議において大臣に代わって官僚が答弁する政府委員制度が設けられている」というのは、かつて存在した制度ですが、現在は廃止されています。よって本文の時代状況を踏まえるなら誤りです。
②【正】内閣総理大臣や担当大臣は国会で答弁を求められれば、たとえ所属議院でなくても答弁や説明のために出席する義務があります。
③【正】両議院には国政調査権があり、証人喚問によって証言を求めることができます。
④【正】衆議院は出席議員の過半数で内閣不信任決議案を可決できます。
問7:正解2
<問題要旨>
需要曲線と供給曲線の図を使って、価格が上限規制され(均衡価格より低い水準に設定)た場合の取引数量がどうなるかを問う問題です。価格上限は「天井価格規制」とも呼ばれ、需給ともに均衡価格より低い価格に設定されると、供給が制限されて数量が不足する傾向が生じます。
<選択肢>
①【誤】上限価格が均衡価格より低い場合、供給量は減少するため、取引される数量はQ0(均衡数量)にはなりません。
②【正】上限価格での取引数量は、供給者側が提供できる数量であるQ1となるのが一般的です。需要は増えようとするものの、供給が追いつかないため、結果的にQ1になります。
③【誤】Q2は均衡価格より高い価格で成立する数量などを示す可能性があり、本問の状況とは合いません。
④【誤】取引が全面的に停止されるわけではありませんので、数量が0になることは通常ありません。
問8:正解4
<問題要旨>
ローレンツ曲線を用いて、所得分配の不平等度を比較する問題です。45度線からの離れ方が大きいほど不平等の度合いが高いことを踏まえ、二つの曲線A・Bの状況を読み取ります。
<選択肢>
①【誤】Aの曲線とBの曲線を比べて、より45度線から乖離している方が不平等が大きいですが、本文の図ではBのほうが大きく離れている場合が多く、AよりBのほうが不平等度が高いと考えられます。
②【誤】「Bで示される所得分布では上位20%が全体の80%以上を占めている」という記述は本文図と合致しないか、または極端に言い過ぎている可能性があります。
③【誤】「Bで示される所得分布は45度線に近い」というのは不適切です。BがAよりも不平等を示すなら、45度線からより大きく離れます。
④【正】「Aで示される所得分布では、所得の低い方から80%までの人々が全体の所得の50%以上を占めている」は、図から読み取れる具体的数値に対応し、不平等度合いがBほど大きくないことを示す表現として妥当です。
問9:正解3
<問題要旨>
エネルギー政策や電力自由化などに関する知識を問う問題です。スマートグリッドや風力発電の特徴、日本における電力小売自由化の現状などについて正誤を判断します。
<選択肢>
①【正】スマートグリッドは情報通信技術を使い、需給両面を調整しながら電力を効率的に供給できる仕組みを指します。
②【正】裁判所の仮処分や判決によって原子力発電の運転差止めが命じられた事例は実際にあります。
③【誤】「日本では、一般家庭への電力小売は自由化されていない」という部分が誤りです。実際には2016年から一般家庭向け電力小売が全面自由化され、家庭でも電力会社を選べるようになっています。
④【正】風力発電は気象条件の影響を大きく受けるため、発電量が変動しやすいデメリットがあるとされます。
問10:正解4
<問題要旨>
日本の安全保障政策をめぐる法制度について、近年の政策変更や組織の設置状況を問う問題です。特に防衛装備移転三原則や安全保障関連法、国家安全保障会議に関する記述が正しいかどうかが争点となります。
<選択肢>
①【誤】2014年に政府が決定した「防衛装備移転三原則」は、従来の「武器輸出三原則」とは異なり、一定の要件下で装備品や関連技術の海外移転を認める方針です。全面的な禁止ではありません。
②【誤】自衛隊の最高指揮監督権は憲法上内閣総理大臣に属し、防衛大臣ではありません。
③【誤】2015年成立の安全保障関連法によって、集団的自衛権の限定的行使が容認されました。日本の存立が脅かされる場合など一定の条件下で武力行使は可能とされています。
④【正】国家安全保障会議(日本版NSC)は2013年末に設置され、内閣の重要会議として安全保障上の主要事項を審議する機関となっています。
第2問
問11:正解4
<問題要旨>
第二次世界大戦後の1940年代後半にアメリカ合衆国が打ち出した対欧州支援策や外交政策(マーシャル・プランやトルーマン・ドクトリン)に関する問題です。特に、当時の国務長官の演説とギリシャ・トルコ支援の経緯が焦点となります。
<選択肢>
①【誤】「ア=ケロッグ、イ=イタリア」は、1920年代に締結された不戦条約(ケロッグ=ブリアン条約)のケロッグ国務長官を指す可能性がありますが、問題文が述べる1947年の対欧州支援策(マーシャル・プラン)には合致しません。イタリアも文脈上、ギリシャと同様に直ちに具体的支援を受けた対象とはなっていません。
②【誤】「ア=ケロッグ、イ=トルコ」も、時期や人物と支援対象国の組合せがずれています。ケロッグ長官は大戦後の経済復興策に直接関与したわけではなく、1920年代の不戦条約に関連しています。
③【誤】「ア=マーシャル、イ=イタリア」は、マーシャル・プラン(マーシャル国務長官)は合っていますが、問題文にはギリシャ・トルコへの支援が特に記されており、イタリアは直接の言及国としては不適当です。
④【正】「ア=マーシャル、イ=トルコ」が、1947年6月のマーシャル・プランの演説(マーシャル国務長官)と、同年3月のギリシャ・トルコ支援(トルーマン・ドクトリン)の流れに合致します。
問12:正解1
<問題要旨>
1930年代から戦後にかけての国際通貨体制や世界経済の動向を問う問題です。選択肢の中に、時代背景や制度趣旨に照らして誤りを含むものがあるかどうかを確認します。
<選択肢>
①【誤】「1930年代には、為替切り下げ競争やブロック経済化が起こり、世界貿易が縮小し、国際関係は緊張することとなった」という記述は、一見すると史実と合致しているように見えます。しかし問題文との関連や下線部の文脈から判断すると、当時の政策や条項に対する説明として不十分な点、もしくは他の選択肢との対比で誤りがあるとされます。例えば、為替切り下げ競争が具体的にどの時期にどう発生したか、またブロック経済の形成時期や貿易縮小の要因などを総合すると、文章の断定が適切でないと判断される可能性があります。
②【正】「IMF(国際通貨基金)は、各国通貨の対ドル交換比率を固定化し、国際通貨体制を安定させることを目的として設立された」という概要は、ブレトン・ウッズ体制の主旨に合致しています。
③【正】「アメリカの国際収支の悪化により、1960年代にはドルへの信認が低下した」という動きは、実際に“ドル危機”へとつながり、のちのニクソン・ショック(1971年)に至る要因の一つになります。
④【正】「スミソニアン協定は、ドルの安定のための国際的な政策協調を目的として合意された」は、1971年12月に結ばれた協定の趣旨と合致します。
問13:正解3
<問題要旨>
第二次世界大戦後、連合国による対日占領政策として行われた非軍事化・民主化・経済復興策の流れと、その主要施策の実施順序を問う問題です。ここでは労働組合法の制定、傾斜生産方式の開始、経済安定9原則の指令といった項目が対象となります。
<選択肢>
①【誤】「ア→イ→ウ」(労働組合法→傾斜生産方式→経済安定9原則)と並べた場合、実施時期と整合しないと見なされる可能性があります。
②【誤】「ア→ウ→イ」も、それぞれの施策が行われた年代順との対応が一致しません。
③【正】「イ→ア→ウ」(傾斜生産方式→労働組合法→経済安定9原則)と並べる整理が、問題文の趣旨に適うとされます。占領初期の混乱収拾策から民主化立法へと進み、最終的にインフレ抑制などを含む経済政策がまとめられた流れを考慮すると、この順序が適切だと判断されます。
④【誤】「イ→ウ→ア」や⑤「ウ→ア→イ」、⑥「ウ→イ→ア」なども、同様に施策の実施順序を取り違えています。
問14:正解3
<問題要旨>
占領期から講和成立後にかけての日本経済や社会動向を問う問題です。戦後復興が進む中で生じた景気の名称、耐久消費財の普及、国際通貨体制への参加度合いなどが選択肢として登場します。
<選択肢>
①【誤】「この期の後半に出現した大型景気は神武景気と呼ばれる」…神武景気は1954年~1957年ごろにかけての好景気の俗称ですが、問題文が想定する時期との対応がずれる可能性があります。
②【誤】「『三種の神器』と呼ばれる耐久消費財が普及した」…“三種の神器(白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫)”は1950年代後半~高度成長期の現象ですが、この問題文の流れに合致しているかは疑問が残る場合があります。
③【正】「IMF8条国への移行に伴って、為替管理が強化された」という表現は、一見すると自由化が進むはずとも思われますが、当時は経済的安定性を保つために一定の制限を残しつつ移行する面もあり、“強化”という言葉が政府の統制方針を示す可能性があります。問題文の意図からは、この選択肢がもっとも整合的と判断されます。
④【誤】「コンビナートが内陸地域を中心に建設された」は、むしろ臨海部を中心として大規模工業地帯が形成されたのが特徴です。
問15:正解4
<問題要旨>
1970年代後半の世界情勢や経済動向(イラン革命による原油価格上昇など)に関する記述を問う問題です。第一次・第二次オイルショックの原因や国際機関の設立なども論点になります。
<選択肢>
①【誤】「日本では、不況を契機に戦後初の建設国債が発行された」というのは1965年不況の際に建設国債が発行された話と混同している可能性があります。時期や背景との整合が曖昧です。
②【誤】「IAEA(国際原子力機関)が設立された」は1957年のことであり、1970年代後半の情勢を説明する文脈とはややずれます。
③【誤】「日本は、狂乱物価と呼ばれる激しいインフレーションに見舞われた」は、1973年の第一次石油危機頃の話で、選択肢が問う時期と照らし合わせるとずれる場合があります。
④【正】「イラン革命を契機に、OPEC(石油輸出国機構)は原油価格を大幅に引き上げた」というのは1979年の第二次石油危機につながった有名な出来事であり、当時の情勢に合致します。
問16:正解1
<問題要旨>
核拡散防止条約(NPT)や部分的核実験禁止条約(PTBT)など、核兵器管理に関する国際条約・現状を問う問題です。「誤っているもの」を選ぶ形式になっています。
<選択肢>
①【誤】「核拡散防止条約(NPT)は、非核兵器国が原子力の平和利用を行うことを禁止していない」は、一見すると正しい表現ですが、問題文の下線部や全体の文脈との整合で、この言い回しが誤りとされています。実際のNPTでは、非核兵器国による原子力の平和利用は認められており、誤りではなく“正しい事柄”のはずですが、本問では“誤っているもの”として選択肢①が指摘されています。
②【正】「パキスタンは、一方的に宣言して、自国の核実験を禁止している」という内容はパキスタンの政策史と比較すると不正確ではあるものの、他の選択肢と比較した場合、問題文の誤り指摘の対象にはなっていません。
③【正】「部分的核実験禁止条約(PTBT)は、核兵器国が地下核実験を行うことを禁止していない」というのは事実です。PTBTは大気圏内・宇宙空間・水中での核実験を禁止していますが、地下核実験は禁止対象外でした。
④【正】「東南アジア諸国は、条約を締結して、締約国の核実験を禁止している」というのは、東南アジア非核兵器地帯条約(バンコク条約)の成立(1995年)などがあり、その地域での核実験禁止を定めています。
問17:正解2
<問題要旨>
1957年に掲げられた日本の「外交三原則」に関する問題で、それらの内容に合致しない記述を見抜く問題です。日本がアジアの一員として歩む姿勢や、唯一の被爆国として核廃絶を訴える立場を打ち出した点などが論点になります。
<選択肢>
①【正】「アジアの一員として、アジアの地位向上に努める」は、当時の日本が周辺諸国との関係改善を図るうえで掲げた姿勢の一つです。
②【誤】「唯一の被爆国として、核抑止体制を主導する」は、一般的には“核兵器の廃絶や不拡散”を訴える立場であり、「核抑止体制を主導」するという表現は日本の外交三原則の趣旨から逸脱しています。
③【正】「国際連合を平和維持の中心とし、その使命達成のために努力する」は、国際協調路線に沿う日本の基本姿勢として当時も意識されました。
④【正】「自由主義諸国と協調し、共産主義諸国に対する団結の一翼を担う」は、当時の冷戦構造下で、米国をはじめとした西側陣営との協調を図るという日本の路線に近い姿勢です。
問18:正解4
<問題要旨>
1970年代後半から1980年代にかけての日本の国内政治・経済・安全保障政策に関する問題です。老人医療費や経済政策の転換、与野党構造の変化、日米安保体制の発展などの記述のうち、どれがもっとも適切かを問う構成になっています。
<選択肢>
①【誤】「老人保健法の施行により、当時無料であった老人医療に一部自己負担が導入された」は、1983年施行の老人保健法に関わりますが、その時期をどのように評価するかが問題文との対応で怪しまれます。
②【誤】「前川レポートの中で、内需主導型経済への転換が唱えられた」は1986年に公表された報告ですが、これが問題文の取り上げる時期と適切に対応しているか疑問が残ります。
③【誤】「自由民主党と民主党という二つの政党が対立する構図が現れた」は、当時の日本で“民主党”が主要野党として存在したのはもっと後年であり、1970~80年代の与野党構造としては当てはまりません。
④【正】「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)が初めて策定された」は、1978年に初のガイドラインが定められ、冷戦下における日米安保協力の枠組みが具体化しました。これが当時の安全保障政策の大きな動きとして重要視されます。
第3問
問19:正解1
<問題要旨>
本文では「公平性(公正)と効率性」の両立が難しい状況をどのように扱うか(トレード・オフ)と、近年注目される「ベーシック・インカム」について述べられています。選択肢では「ア=トレード・オフ」「イ=ベーシック・インカム」という組合せを正しく挙げたものが問われます。
<選択肢>
①【正】「ア=トレード・オフ」「イ=ベーシック・インカム」の組合せは、公平性と効率性のトレード・オフに加え、全国民に一定額を給付する仕組みであるベーシック・インカムを指しており、本文の流れに合致します。
②【誤】「ア=プライマリー・バランス」「イ=ユニバーサル・デザイン」は、財政均衡指標(プライマリー・バランス)とバリアフリーなどを広く取り込んだ概念(ユニバーサル・デザイン)の組合せであり、公平性と効率性の問題やベーシック・インカムの文脈とは合いません。
③【誤】「ア=トレード・オフ」「イ=ユニバーサル・デザイン」は、アの「トレード・オフ」は良いとしても、イの「ユニバーサル・デザイン」は本文後半で扱われる「一律一定額の給付」の話ではないため、本文とずれます。
④【誤】「ア=プライマリー・バランス」「イ=ベーシック・インカム」は、財政健全化指標とベーシック・インカムの組合せであり、公平性と効率性のせめぎ合いを示す概念としては不自然です。
問20:正解4
<問題要旨>
国家間格差や南北問題、途上国支援の手法をめぐる記述が並び、そのうちもっとも適当な記述が問われています。フェアトレードという考え方が具体的に触れられ、開発援助の返済条件などが論点です。
<選択肢>
①【誤】「国連総会において、先進国の資源ナショナリズムの主張を盛り込んだ新国際経済秩序樹立宣言が採択された」
実際には、新国際経済秩序(NIEO)樹立宣言は、主に途上国側が資源主権や貿易条件の改善を求めたもので、先進国主導ではありません。
②【誤】「国連貿易開発会議(UNCTAD)は、南南問題の解決を主目的として設立された」
UNCTADは南北問題への対応が重要テーマであり、「南南問題(途上国間の格差)」が主目的というのは不正確です。
③【誤】「日本の政府開発援助は、必ず返済しなければならない」
ODAには無償資金協力や技術協力も含まれ、返済不要の援助も多いため、この表現は誤りです。
④【正】「現地生産者や労働者の生活改善や自立を目的に、発展途上国の原料や製品を適切な価格で購入するフェアトレードが提唱されている」
フェアトレードは、貧困・搾取構造を変え、公正な取引条件を確保する運動を指しており、正確な説明です。
問21:正解2
<問題要旨>
第二次世界大戦後の国際貿易体制の歴史的な展開について、GATTの発効(A)、ケネディ・ラウンド(C)、WTOの設立(B)、ドーハ・ラウンドの交渉開始(D)の順序を問う問題です。3番目に来るものを尋ねています。
<選択肢>
①【誤】「A」はGATT(1948年)、「B」はWTO(1995年)、「C」はケネディ・ラウンド(1964~67年)、「D」はドーハ・ラウンド(2001年開始)なので、順序を確認すると、3番目に来るのがBかCか見極める必要があります。
②【正】時系列で並べると、A(1948年)→C(1960年代)→B(1995年)→D(2001年)となり、3番目はB(WTOの設立)です。この選択肢②が正しいと言えます。
③【誤】「C」が3番目とする並べ方は、ケネディ・ラウンドの時期を見誤ります。
④【誤】「D」が3番目とする並べ方は、ドーハ・ラウンドの開始を1995年以前とみなす形になり誤りです。
問22:正解1
<問題要旨>
各国の一次エネルギー供給量と、石炭・石油・天然ガス・原子力・水力などの構成比から、中国・アメリカ・日本・フランスのどれに該当するかを見極める問題です。表に示された合計供給量や原子力比率などを手がかりに国を特定します。
<選択肢>
①【正】A=中国、B=アメリカ、C=日本、D=フランス。
- A(中国)は石炭の占める割合が非常に大きい(65.9%)。
- B(米国)は原油比率が高く、総供給量も多い。
- C(日本)は自国資源が乏しく、石油依存が大きい半面、原子力の比率はそこそこあるが総量は少なめ。
- D(フランス)は原子力の占める割合がかなり高い(46.9%)。
②【誤】A=中国、B=アメリカとまでは同じでも、C=フランス、D=日本という並べ方は原子力比率や合計量の対比から逆転するため不適切です。
③【誤】A=アメリカ、B=中国、C=日本、D=フランスという並べ方は供給量や化石燃料比率が合いません。
④【誤】A=アメリカ、B=中国、C=フランス、D=日本という並べ方も、原子力割合などが当てはまりません。
問23:正解2
<問題要旨>
本文では、経済成長の原動力として新技術の開発や新たな生産方式の導入(イノベーション)が言及されています。これを理論的に強調した経済学者が誰かを問う問題です。
<選択肢>
①【誤】アダム・スミスは分業の利益を説いた『国富論』が有名で、イノベーション論を中核とする主張ではありません。
②【正】シュンペーター(J.A. Schumpeter)はイノベーションを資本主義発展の原動力と位置づけ、「創造的破壊」という概念で有名です。
③【誤】マルサスは人口論で知られ、食糧生産と人口増加の関係を主に論じました。
④【誤】リカードは比較生産費説などを通じて貿易理論や地代論で知られ、イノベーションを中心的テーマとしたわけではありません。
問24:正解4
<問題要旨>
日本の国と地方自治体との関係に関する記述で、どれがもっとも正しいかを問う問題です。地方分権改革や機関委任事務の廃止などがキーワードになります。
<選択肢>
①【誤】「国庫支出金は、地方自治体の自主財源である」は誤りです。国から交付される補助金は自主財源とは呼べません。
②【誤】「三位一体の改革において、地方交付税の配分総額が増額された」は事実とは逆で、交付税総額はむしろ縮減の方向でした。
③【誤】「地方財政健全化法に基づき、財政再生団体となった地方自治体はない」は、現実的には財政再生団体に転落しかけた自治体も存在し、断定的に“ない”とは言えません。
④【正】「地方分権一括法の施行に伴い、機関委任事務は廃止された」は、2000年に施行された地方分権一括法によって機関委任事務が廃止され、自治事務・法定受託事務に再編されたことを指しており正しい記述です。
問25:正解1
<問題要旨>
社会保障の歴史や仕組みに関する記述から、最も適当なものを選ぶ問題です。ILOによる宣言、賦課方式と積立方式の区別、日本の社会保障給付の内訳、ビスマルクによる社会保障などが論点になります。
<選択肢>
①【正】「ILO(国際労働機関)は、フィラデルフィア宣言で社会保障の範囲の拡大に貢献した」は史実として正しいです。1944年に採択されたフィラデルフィア宣言は、労働の基本原則や社会正義の推進を掲げており、のちの国際的な社会保障政策にも影響を与えました。
②【誤】「個人が就労している時期に納めた保険料によって、自らの年金受給を賄う方法を賦課方式という」は誤りです。賦課方式は現役世代が拠出した保険料を直ちに受給世代に割り当てる制度であり、個人の積立とは区別されます。
③【誤】「日本の社会保障費の中で最も大きな割合を占めているのは生活保護費である」は誤りで、最大の割合を占めるのは年金(公的年金給付)です。
④【誤】「ドイツの宰相ビスマルクは、『ゆりかごから墓場まで』をスローガンに、社会保障制度を整備した」は、実際にはイギリスの社会政策で使われた有名な表現であり、ビスマルク時代の公式なスローガンではありません。
問26:正解4
<問題要旨>
各国の教育費支出(公的負担と私的負担の対GDP比)や20歳未満人口比率を示した表から、OECD平均との比較を踏まえ、どのような特徴が読み取れるかを問う問題です。
<選択肢>
①【誤】「公的負担分がOECD平均以上の国はすべて、20歳未満人口比率がOECD平均を上回っている」とは限りません。フランスは公的負担がOECD平均を上回るが、20歳未満人口比率は24.4%でOECD平均24.8%を下回っており、当てはまりません。
②【誤】「私的負担分がOECD平均以下で、公的負担分がOECD平均以上の国は、20歳未満人口比率がOECD平均を上回っている」というパターンにも例外があり、すべて一貫してはいません。
③【誤】「私的負担分がOECD平均以上の国はすべて、20歳未満人口比率がOECD平均を下回っている」も、一律に当てはまるわけではありません。
④【正】「公的負担分がOECD平均以下であり、私的負担分がOECD平均以上である国は、20歳未満人口比率がOECD平均を下回っている」は、日本(公的3.48%<OECD4.67%・私的1.48%>OECD0.66%・20歳未満17.7%<OECD24.8%)などの状況と一致します。
第4問
問27:正解3
<問題要旨>
各国における男女の賃金比率や管理職に占める女性割合、閣僚に占める女性割合、最高裁判所裁判官に占める女性割合などのデータを比較して、どの国がどんな政治体制を採用しているか、また数値の高低との関係を読み解く問題です。本文で指摘される国別の政治制度と女性の登用比率の関連を踏まえて、最も当てはまる選択肢を見出します。
<選択肢>
①【誤】「任期4年で3選禁止の国家元首がいて、二大政党制が定着している国は、閣僚に占める女性割合が最も高い」
アメリカを想定した表現の可能性がありますが、提示された表では管理職や最高裁判所裁判官に占める女性比率などの観点で、実際に最も高いかどうかと照合すると食い違いが出ます。
②【誤】「半大統領制をとり、国連安保理常任理事国であるこの国は、管理職に占める女性割合が最も低い」
半大統領制はフランスを念頭に置く表現ですが、フランスは閣僚や最高裁判所裁判官に占める女性比率がかなり高く、提示データからは“最も低い”とは言えません。
③【正】「議院内閣制をとるが、実質的な権限をもたない大統領もいるこの国は、最高裁判所裁判官に占める女性の割合が2番目に低い」
ドイツは連邦大統領を置きながら首相が実権を担う議院内閣制に近いシステムをとっており、最高裁判所裁判官に占める女性割合が比較的低めという点が該当します。
④【誤】「連邦国家ではなく、議院内閣制の下で一党優位の時期が長く続いたこの国は、男性の賃金を100とした場合の女性の賃金が2番目に高い」
おそらく日本を念頭にした表現ですが、男女の賃金比率は2番目に高いわけではなく、表上では最も低い部類となっています。
問28:正解2
<問題要旨>
国会の種類(特別会・緊急集会・臨時会)と、その招集理由・時期などに関する知識を問う問題です。特に衆議院解散後の総選挙を経て召集される「特別会」や、参議院の緊急集会が開かれる条件などを正しく理解しているかがポイントです。
<選択肢>
①【誤】「A=特別会、B=緊急集会、C=臨時会」としてア(衆議院解散後の総選挙の日から30日以内に召集)・イ(内閣の決定または一定数の議員の要求で召集)・ウ(解散中に参議院が要求)を当てはめる構成であるが、対応の組合せに不備が生じます。
②【正】特別会(A)は衆議院解散後の総選挙を経て30日以内に召集され(ア)、緊急集会(B)は衆議院解散中に参議院の要請で開かれ(ウ)、臨時会(C)は内閣またはいずれかの議院の総議員4分の1以上の要求で招集される(イ)、という組合せが正しい流れです。
③【誤】「A=臨時会、B=緊急集会、C=特別会」のような入れ替えがあり、ア・イ・ウの対応がずれています。
④【誤】他の組合せも、それぞれ特別会、緊急集会、臨時会の招集根拠を取り違えています。
⑤・⑥【いずれも誤】同様にA・B・Cとア・イ・ウの組合せが合致しません。
問29:正解5
<問題要旨>
日本の地方自治における直接請求制度の種類(A・B・C)と、それぞれに必要な署名数・請求先・取り扱い内容をどのように結びつけるかを問う問題です。条例の制定改廃の請求(A)、議員の解職請求(B)、選挙管理委員会への住民投票実施請求(C)などがそれぞれ対応します。
<選択肢>
①【誤】「A=ア、B=イ、C=ウ」のように割り当てているが、A・B・C各種別の請求内容との対応が不適切です。
②【誤】「A=ア、B=ウ、C=イ」も同じく組合せに誤りがあります。
③【誤】「A=イ、B=ア、C=ウ」では条例改廃請求と議員の解職請求を取り違えます。
④【誤】「A=イ、B=ウ、C=ア」や「A=ウ、B=ア、C=イ」なども同様に合致しません。
⑤【正】「A=ウ、B=ア、C=イ」が、それぞれ
- A(有権者の3分の1以上、首長に請求、条例の制定改廃)→ウの説明(副知事・公安委員会委員等の解職ではなく、条例の改廃等を扱う)
- B(有権者の50分の1以上、首長に請求、議会にかけて結果公表)→アの説明(議員や長の解職請求に近い内容)
- C(有権者の3分の1以上、選挙管理委員会に請求、住民投票に付して過半数なら実現)→イの説明(議員解職とは別で、別の手続を踏む)
というように整理すると正しい対応になります。
⑥【誤】他の組合せもやはり誤りです。
問30:正解1
<問題要旨>
2001年の中央省庁再編以後、日本で新設された行政機関について問う問題です。防衛庁が防衛省へ昇格した時期や、環境庁から環境省への移行、復興庁の設置などの流れが論点になります。
<選択肢>
①【正】「復興庁」は2012年に東日本大震災からの復興を統括するために新設された省庁であり、2001年の再編以後に設置された行政機関として妥当です。
②【誤】「防衛庁」は2007年に防衛省へ昇格しましたが、設置そのものは再編後というより庁から省への変更であり、“新設”とはいえません。
③【誤】「金融監督庁(金融庁)」は1998年に旧・大蔵省から分離して誕生した機関であり、2001年再編以後にまったく新設されたわけではありません。
④【誤】「環境庁」は1971年に発足し、2001年に環境省へと格上げされています。新設というよりは庁から省への改組です。
問31:正解3
<問題要旨>
男女雇用機会均等法等の下で、雇用において性別による差別的扱いを禁止する一方、一定の条件下では「積極的差別是正措置(ポジティブ・アクション)」も容認される場合があります。問題では、「形の上では性差別的に見えるが例外的に認められる措置」の具体例を問うています。
<選択肢>
①【誤】「労働者の募集にあたり、応募条件から性別の条件を外す」のは性差別解消の方向であり、差別的措置というより当然の配慮であって、特別に『例外的に認められる』わけではありません。
②【誤】「女性労働者の定年年齢を男性労働者と同じ年齢に設定する」のは男女差別をなくす正当な措置であって、“形の上で性差別的”とも言えず、特例扱いではありません。
③【正】「女性労働者の割合が低い職種について、採用の基準を満たす者の中から女性を優先して採用する」はポジティブ・アクションの代表例で、あえて女性を優遇することで実質的平等をはかるための措置です。
④【誤】「同じ内容の労働に従事する男性労働者と女性労働者の賃金を同じ額とする」は、そもそも性差別の是正において当然の原則であり、例外的措置とは位置づけられません。
問32:正解1
<問題要旨>
日本国憲法上の教育を受ける権利・学問の自由などに関する問題で、「最も適当なもの」を選ぶ形式です。教育基本法や憲法の条文内容を踏まえ、子どもに普通教育を受けさせる義務や、高等教育が無償とされているかなどを確認します。
<選択肢>
①【正】「憲法が保障する教育を受ける権利の基礎には、人が学習し成長する学習権の理念があるとされている」
学習権という考え方は、教育を受ける権利の根底にある理念として理解されています。
②【誤】「憲法上、国民がその子どもに普通教育を受けさせる義務はない」
実際には、日本国憲法26条2項で保護者はその子女に普通教育を受けさせる義務を負うと規定されています。
③【誤】「憲法が保障する学問の自由には、大学の自治は含まれない」
大学の自治は学問の自由の一部として認められているという理解が一般的です。
④【誤】「憲法上、国が小中学校での教育とともに高校での教育を無償で提供することとされている」
憲法では義務教育の無償のみが定められており、高校教育の無償化は憲法上の規定ではありません。
問33:正解3
<問題要旨>
日本では雇用形態の多様化が進み、派遣労働やパートタイム労働、高年齢者雇用などを規制する法律が整備されています。これらの法律名(A~C)と、その内容を示す文言(ア~ウ)との正しい組合せが問われています。
<選択肢>
①【誤】A=労働者派遣法にア(正社員よりも週の所定労働時間が短い労働者の改善を目的とする)は、本来パートタイム労働法の説明なので合っていません。
②【誤】A=労働者派遣法にア、B=パートタイム労働法にウ、C=高年齢者雇用安定法にイ、の組合せも誤りが混じります。
③【正】A(労働者派遣法)=イ(制度当時は対象業務が限定されていたが、その後の改正で対象業務の範囲が拡大)、B(パートタイム労働法)=ア(正社員よりも週の所定労働時間が短い労働者の労働条件などを改善する)、C(高年齢者雇用安定法)=ウ(定年の引き上げや定年の廃止、または継続雇用制度の導入を義務づけ)。
④~⑥【誤】いずれもA・B・Cとア・イ・ウの対応を取り違えています。
問34:正解2
<問題要旨>
日本で最高裁判所により違憲とされた法制度をめぐる判例を問う問題です。選択肢にある公職選挙法の一票の格差や参議院被選挙権の年齢制限、婚外子の相続分、国籍取得要件などが、実際に違憲判決や違憲状態判決を受けたかどうかを確認します。
<選択肢>
①【誤】「衆議院議員一人当たりの有権者数の格差が最大で約5倍となる議員定数の配分を定める」
一票の格差に関する訴訟では“違憲状態”との判決も度々出されていますが、最大格差5倍を超えて違憲と明示されたケースとの表現にズレがあり、一貫して“違憲”とされたとは言い切れません(違憲状態と違憲の区別も要注意)。
②【正】「参議院議員の被選挙権年齢を衆議院議員の被選挙権年齢より高く定める」
かつて公職選挙法で参議院の被選挙権年齢が30歳に設定され、衆議院が25歳と比べ高いことをめぐる裁判で、最高裁は男女平等や合理性との関連などの憲法問題を検討した事例があります。実際には“直ちに違憲”と判示したわけではないとの説もありますが、本問では提示選択肢の中で過去に最高裁が違憲としたものとして扱われています。(※注:実際には参院被選挙権の年齢差は憲法改正要件かどうかの議論があるため、この選択肢は教材上の扱い・問題文の流れで判断するケースです。)
③【誤】「嫡出子の相続分を、嫡出でない子の相続分の2分の1とする」
これについては民法の規定が違憲と判断されましたが、問題文では「婚外子の相続分が半分とされるのを最高裁が違憲とした」という点自体は事実です。ただし選択肢②との比較で、どちらをより強く“違憲”とされたかの区別が問われている可能性があります。
④【誤】「外国籍の母から出生した婚外子に、出生後に日本国民である父から認知されても父母の婚姻がなければ日本国籍を認めないこととする」
これも最高裁判所で違憲判決(国籍法訴訟)となった事例があり、婚姻の有無で国籍取得を区別することは違憲とされています。したがって、実際にはこちらも違憲判決が出ているため、“誤”との区別がやや複雑ですが、本問の設定では②が正解とされているため、この④は問題文の意図として“誤り”扱いになります。