2023年度 大学入学共通テスト 追試験「政治経済」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。
解答
解説
第1問 三人の生徒の夢と政治・経済(配点26)
ジャーナリスト志望の生徒X、CEO志望の生徒Y、国連職員志望の生徒Zの活動をテレビ番組が取り上げたという設定の大問です。政治参加の制度、衆議院総選挙の結果と政権、立法過程、多国籍企業への課税、外国為替介入、価格の変動要因、平和思想と国連、EUと、政治分野・経済分野・国際分野を横断します。
問1:正解 ①(解答番号1/配点3)
<問題要旨>
現在の日本における政治参加の制度に関する記述として最も適当なものを選ぶ問題です。
<考え方>
憲法改正の国民投票、最高裁判所裁判官の国民審査、地方特別法の住民投票、直接請求権の四つについて、要件と手続の相手方を確認します。数字の要件と「誰に請求するか」が誤りの作られやすいところです。
<選択肢>
①【正しい】
日本国憲法第96条は、憲法改正には国会の発議のあと国民投票で過半数の賛成が必要と定めています。
②【誤り】
国民審査の対象は最高裁判所の裁判官だけです。地方裁判所や高等裁判所の裁判官は対象になりません。
③【誤り】
憲法第95条により、特定の地方公共団体のみに適用される特別法の制定には、その地方公共団体の住民投票で過半数の同意が必要です。3分の2以上ではありません。
④【誤り】
首長の解職請求(リコール)は、原則として有権者の3分の1以上の署名を集め、選挙管理委員会に対して行います。内閣に対して行うものではありません。
正解【①】
最も適当なものを選ぶ問題なので①が正解です。
問2:正解 ④(解答番号2/配点3)
<問題要旨>
図a(第44回衆議院議員総選挙の政党別当選人数。自由民主党が約300議席で第一党)と図b(第45回。民主党が約300議席で第一党)を見て、それぞれの総選挙後の日本政治に関するア〜ウのうち正しいものをすべて選ぶ問題です。
<考え方>
まず図から選挙を特定します。自民党が圧勝した第44回は2005年のいわゆる郵政選挙、民主党が圧勝した第45回は2009年の政権交代選挙です。年代が決まれば、ア〜ウの出来事がその後に起きたかどうかを判定できます。
<選択肢>
ア【正しい】
2005年の総選挙後は自由民主党と公明党の連立政権、2009年の総選挙後は民主党・社会民主党・国民新党の連立政権が成立しました。いずれも連立政権です。
イ【正しい】
郵政民営化を争点に掲げた2005年9月の総選挙で自民党が圧勝し、その直後の特別国会で郵政民営化法が成立しました。
ウ【誤り】
小選挙区比例代表並立制が導入されたのは1994年の政治改革関連法によるもので、細川護熙内閣のときです。2009年の総選挙後ではありません。
正解【④】
アとイが正しいので④が正解です。
問3:正解 ②(解答番号3/配点3)
<問題要旨>
2021年の常会に提出された法案の表(一方は提出63件・成立61件、他方は提出82件・成立21件)の空欄ア・イに入る語句と、会話文の空欄ウに入る記述の組合せを選ぶ問題です。
<考え方>
成立率の高さが決め手です。内閣提出法案は閣議決定の前に与党審査を経ているため、国会に出る時点で与党の賛成が固まっており、非常に高い成立率になります。ウは、その仕組みを言い当てている記述を選びます。
<選択肢>
ア=内閣【正】
提出63件に対し成立61件と成立率が9割を超えているのは内閣提出法案です。
イ=議員【正】
提出82件に対し成立21件と成立率の低いほうが議員提出法案です。
ウ=b(与党審査と党議拘束がセットで機能している)【正】
閣議決定の前に与党が法案を審査して了承し、国会では党議拘束によって与党議員が賛成する。この二つがそろうことで、与党議員は事前段階で法案内容に影響力を行使でき、かつ法案は高い確率で成立します。会話文の続きとぴったり噛み合います。
ウ=a(党首討論の導入)【誤】
党首討論は1999年の国会審議活性化法で導入された制度ですが、内閣提出法案の成立率の高さを説明するものではありません。
正解【②】
ア=内閣、イ=議員、ウ=bの組合せなので②が正解です。
問4:正解 ⑧(解答番号4/配点3)
<問題要旨>
「経済のグローバル化と企業への課税」という原稿の空欄ア(国連が「資産を2ないしそれ以上の国において統括するすべての企業」と定義するもの)、イ(税を逃れるために利用される国・地域)、ウ(OECD加盟国を中心に合意された法人税率の設定)に入る語句の組合せを選ぶ問題です。
<考え方>
アは国連の定義文がそのまま手がかりです。ウは、税率の国家間競争(引下げ競争)を防ぐという目的から考えます。引下げ競争を止めたいのですから、設定すべきは下限です。
<選択肢>
ア=多国籍企業【正】
複数の国に資産や拠点を持って事業を統括する企業が多国籍企業です。寡占企業は少数の企業が市場を支配する状態を指す語で、国の数とは関係ありません。
イ=タックスヘイブン【正】
法人税などがきわめて低い、あるいは課されない国・地域をタックスヘイブン(租税回避地)といいます。ヘッジファンドは高い運用益を狙う投資ファンドで、国・地域の名称ではありません。
ウ=下限【正】
各国が企業誘致のために法人税率を引き下げ合う競争を止めるには、これ以上下げてはいけないという下限を設けることになります。2021年にOECD・G20の枠組みで最低法人税率15%が合意されました。
正解【⑧】
ア=多国籍企業、イ=タックスヘイブン、ウ=下限の組合せなので⑧が正解です。
問5:正解 ①(解答番号5/配点4)
<問題要旨>
外国為替資金特別会計のバランスシート(資産=外貨準備、負債=政府短期証券、資産・負債差額は一定)の模式図をもとに、メモの空欄ア(外貨準備の増加に対応する負債の動き)、イ(円売り・米ドル買い介入による政府短期証券残高の動き)、ウ(この介入が抑えようとするもの)の組合せを選ぶ問題です。
<考え方>
バランスシートの左右が釣り合うこと、そして資産・負債差額が一定であることがポイントです。資産(外貨準備)が増えるなら、同じだけ負債(政府短期証券)も増えなければ左右が合いません。介入の向きは、円を売ってドルを買う=円の供給を増やす、と考えれば分かります。
<選択肢>
ア=増加【正】
資産・負債差額が一定なので、資産である外貨準備が増えれば、負債である政府短期証券も同額だけ増えます。
イ=増加【正】
円売り・米ドル買い介入では、政府は政府短期証券を発行して円資金を調達し、その円でドルを買います。したがって政府短期証券の残高は増加し、買ったドルは外貨準備として積み上がります。
ウ=円高【正】
円を売ってドルを買えば、市場に出回る円が増えて円の価値は下がる方向に働きます。この介入は過度な円高を抑えることを目的として実施されます。
正解【①】
ア=増加、イ=増加、ウ=円高の組合せなので①が正解です。
問6:正解 ②(解答番号6/配点3)
<問題要旨>
企業どうしが自由に競争している市場を前提に、商品Aの価格を下落させる要因をまとめたメモの空欄ア(過程a=原材料の調達)、イ(過程b=生産)、ウ(過程c=流通)に入る語句の組合せを選ぶ問題です。
<考え方>
三つとも「商品Aの価格が下がる」方向につながるかどうかで判定します。原材料が余れば原材料価格が下がり、生産効率が上がればコストが下がり、代わりになる商品が安くなれば商品Aは値下げを迫られる、という筋道です。
<選択肢>
ア=供給過多【正】
原材料が供給過多になれば原材料価格が下がり、商品Aの生産費用が下がって価格の下落要因になります。供給不足なら逆に価格上昇要因です。
イ=向上【正】
製造工程の変更で労働生産性が向上すれば、商品1単位あたりの費用が下がり、価格の下落要因になります。
ウ=低下【正】
代替品の価格が低下すると消費者は代替品に流れるため、商品Aは需要が減り、価格の下落圧力を受けます。
正解【②】
ア=供給過多、イ=向上、ウ=低下の組合せなので②が正解です。
問7:正解 ⑤(解答番号7/配点3)
<問題要旨>
会話文の空欄ア(18世紀に『永久平和のために』を著した人物)、イ(安保理が九つの理事国の賛成だけで決定できる事項)、ウ(安保理が機能不全に陥った場合の例)に入るものの組合せを選ぶ問題です。
<考え方>
アは著書名から一つに決まります。イは安保理の表決手続の基本で、実質事項には拒否権が及ぶ点を押さえます。ウは「安保理が動けないとき総会が何をできるか」を問うています。
<選択肢>
ア=b(カント)【正】
カントは『永久平和のために』で、諸国家による連合(平和連合)の設立を説きました。国際連盟や国際連合の構想の源流とされます。グロティウスは『戦争と平和の法』を著し、国際法の父と呼ばれる人物です。
イ=c(手続事項)【正】
安全保障理事会では、手続事項は15理事国のうち9理事国の賛成で決定できます。実質事項は5常任理事国すべてを含む9理事国の賛成が必要で、ここに拒否権が働きます。
ウ=e(「平和のための結集」決議)【正】
朝鮮戦争を機に1950年に採択された「平和のための結集」決議により、安保理が拒否権で機能しない場合、緊急特別総会が3分の2以上の賛成で平和維持のための措置を勧告できるようになりました。
ウ=f【誤】
個別的自衛権は自国が武力攻撃を受けたときに行使できるものです。他国への武力攻撃に対して実力で阻止するのは集団的自衛権であり、記述は誤りです。
正解【⑤】
ア=b、イ=c、ウ=eの組合せなので⑤が正解です。
問8:正解 ④(解答番号8/配点4)
<問題要旨>
EUに関する会話文の空欄ア(ユーロ導入の条件でGDPの3%以下とされるもの)、イ(2009年に発効しEUの基本構造を定めた条約)、ウ(その条約によって創設された役職・機関)の組合せを選ぶ問題です。
<考え方>
アは収斂基準(マーストリヒト基準)の内容です。単年度の指標なので、ストックである公的債務残高ではありません。イ・ウはリスボン条約が何を創設したかを思い出します。
<選択肢>
ア=財政赤字【正】
ユーロ導入の収斂基準では、単年度の財政赤字がGDPの3%以下、公的債務残高がGDPの60%以下とされています。「単年度の」という限定が財政赤字を指しています。
イ=リスボン【正】
2004年調印の欧州憲法条約はフランス・オランダの国民投票で否決されて発効しませんでした。その内容を修正して2007年に調印され2009年に発効したのがリスボン条約です。ニース条約は2003年発効で、時期が合いません。
ウ=欧州理事会常任議長(EU大統領)【正】
リスボン条約は欧州理事会常任議長(EU大統領)とEU外務・安全保障政策上級代表を新設し、政治統合を進めました。欧州安定メカニズム(ESM)は2012年に設立された金融支援の枠組みで、リスボン条約による創設ではありません。
正解【④】
ア=財政赤字、イ=リスボン、ウ=欧州理事会常任議長の組合せなので④が正解です。
第2問 現代の法をめぐる課題(配点25)
「現代の法をめぐる課題」というテーマで、生徒Xが人権保障、生徒Yが司法制度、生徒Zが議会制度を分担して発表するという設定です。法の役割、人権宣言の年代、障害者への合理的配慮、外国人の地方参政権、司法制度改革、死刑制度、労働法改正、年代別投票率までを扱います。なお公開されている問題冊子では、問2の記述a・c・dが省略されています。
問1:正解 ②(解答番号9/配点3)
<問題要旨>
「社会秩序を維持するために国家が設定した社会規範」としての法を、国家が直接に強制しているといえる事例を選ぶ問題です。
<考え方>
ポイントは二つあります。第一に、その規範が国家の定めた法かどうか。第二に、その規範を国家が直接に強制しているか、つまり国家機関が実際に制裁を加えているかです。家族や仲間からの注意、民間事業者による処分は、国家による直接の強制ではありません。
<選択肢>
①【誤り】
法律の規定に触れてはいますが、Jが受けたのは家族からの注意にとどまります。国家が直接強制したとはいえません。
②【正しい】
Kは窃盗として起訴され、裁判所によって罰金刑を科されています。国家機関が刑罰という制裁を直接に加えており、国家による直接の強制にあたります。
③【誤り】
アカウントを削除したのは民間事業者であり、根拠は会員規約という私的な取決めです。国家が設定した法ではありません。
④【誤り】
部活動の決まりという任意団体の内部ルールで、しかも注意したのは他の部員です。国家は関与していません。
正解【②】
最も適当なものを選ぶ問題なので②が正解です。
問2:正解 ③(解答番号10/配点3)
<問題要旨>
アメリカ独立宣言、児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)、フランス人権宣言、ワイマール憲法の一節である記述a〜dを成立年の古い順に並べたとき、3番目にくるものを選ぶ問題です。なお公開されている問題冊子ではa・c・dが省略され、bのみ(「いかなる児童も、その私生活、家族、住居もしくは通信に対して恣意的にもしくは不法に干渉されまたは名誉および信用を不法に攻撃されない」)が読める状態になっています。
<考え方>
まず四つの文書の成立年を並べます。アメリカ独立宣言1776年 → フランス人権宣言1789年 → ワイマール憲法1919年 → 子どもの権利条約1989年です。したがって3番目はワイマール憲法です。読めるbは「児童」を主語とする条文なので子どもの権利条約であり、4番目にあたるのでbではありません。残るa・c・dのうちワイマール憲法にあたるものが答えになります。
<選択肢>
b【子どもの権利条約(4番目)】
児童のプライバシーの保護を定めた第16条にあたります。1989年採択で四つの中では最も新しく、3番目ではありません。
3番目【ワイマール憲法(1919年)】
世界で初めて社会権(生存権)を保障した憲法として知られます。1776年のアメリカ独立宣言、1789年のフランス人権宣言に続き、1989年の子どもの権利条約より前にあたるので3番目です。
正解【③】
公式の解答は③(記述c)です。省略されていないbが4番目だと確定できるので、残るa・c・dの中で年代を並べる問題に帰着します。
学習のポイント【—】
人権保障の歴史は「自由権(18世紀)→ 社会権(20世紀初頭)→ 権利の国際化・個別化(20世紀後半)」という三段階で押さえると、年代の並べ替えに強くなります。
問3:正解 ④(解答番号11/配点3)
<問題要旨>
障害者の権利についての会話文の空欄ア(不利益な取扱いの禁止だけでは足りないという考え方)と、空欄イ(合理的配慮の具体例)に入る記述の組合せを選ぶ問題です。
<考え方>
アは形式的平等と実質的平等の区別です。「より一層の機会を提供していく必要がある」という発言は、格差を積極的に是正する実質的平等の考え方です。イは、障害の特性に応じて障壁を除去する措置にあたるものを選びます。積極的な採用は障壁の除去ではなく、機会の拡大のための別の手段です。
<選択肢>
ア=b(人々の間にある格差の是正を積極的に図って実質的平等を確保する)【正】
同じ扱いをするだけでは不十分で、置かれた条件の違いに応じてより多くの機会を提供する、という発言に対応します。aの「属性によらず画一的に扱って形式的平等を確保する」は、まさにXが不十分だと言っている考え方です。
イ=d(周囲の物音に敏感で集中できない障害のある人について、職場で静かな環境で作業に従事できるようにすること)【正】
個々の障害の特性に応じて、日常生活・社会生活上の障壁を除去する個別の措置であり、合理的配慮の定義そのものです。
イ=c(障害者を積極的に採用すること)【誤】
これは職場の多様性確保のための積極的差別是正措置(ポジティブ・アクション)にあたり、個々の障害の特性に応じた障壁の除去である合理的配慮とは別の概念です。
正解【④】
ア=b、イ=dの組合せなので④が正解です。
問4:正解 ④(解答番号12/配点4)
<問題要旨>
外国人の地方参政権をめぐる最高裁判所判決(1995年)の資料から読みとれる記述として最も適当なものを選ぶ問題です。
<考え方>
この判決は二段構えになっています。前段は「憲法93条2項の『住民』とは日本国民を意味する」という判断、後段は「永住者等について法律で選挙権を付与することは憲法上禁止されていない」という判断(いわゆる傍論)です。この二つを取り違えないことが要点です。
<選択肢>
①【誤り】
資料は「住民とは、地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味する」としています。外国人も含まれるという読み方は誤りです。
②【誤り】
前半は正しいのですが、資料は永住者等について「選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではない」と述べており、後半が資料と逆です。
③【誤り】
前半・後半ともに資料と食い違っています。
④【正しい】
「住民には外国人は含まれない」(前段)が、「永住者等について法律で選挙権を与えることは憲法上禁止されていない」(後段)という、判決の二段構えを正確に押さえています。
正解【④】
最も適当なものを選ぶ問題なので④が正解です。
問5:正解 ②(解答番号13/配点3)
<問題要旨>
司法制度改革の中で設けられた仕組みに関する記述として「誤っているもの」を選ぶ問題です。
<考え方>
法テラス、被害者参加制度、取調べの可視化、知的財産高等裁判所という四つの制度について、それぞれ誰が何をする制度かを確認します。誤りを選ぶ問題です。
<選択肢>
①【正しい】
法テラス(日本司法支援センター)は2006年に業務を開始し、司法に関する情報提供、無料法律相談、民事法律扶助などを行っています。
②【誤り】
被害者参加制度は、犯罪被害者やその家族が「被害者参加人」として刑事裁判に参加し、被告人質問や意見陳述などを行う制度です。裁判員として参加するわけではありません。裁判員は有権者から無作為に選ばれます。
③【正しい】
2016年の刑事訴訟法改正により、裁判員裁判対象事件と検察独自捜査事件については、被疑者取調べの全過程の録音・録画が義務づけられました。
④【正しい】
知的財産高等裁判所は2005年に東京高等裁判所の特別の支部として設置され、特許権などの知的財産権に関する訴訟を専門に扱っています。
正解【②】
誤っているものを選ぶ問題なので②が正解です。
問6:正解 ③(解答番号14/配点3)
<問題要旨>
死刑をめぐる資料1(1948年の最高裁大法廷判決)と資料2(団藤重光『死刑廃止論』)を読み、日本の死刑制度に関する記述ア〜エから正しいものを二つ選ぶ問題です。
<考え方>
資料1は「死刑そのものは憲法36条の残虐な刑罰にあたらないが、残虐な執行方法を定める法律ができればそれは憲法違反である」という構成です。資料2は誤判で無実の者が処刑される危険を最重視する立場です。どちらも、逆向きに読み違えさせる選択肢が用意されています。
<選択肢>
ア【正しい】
資料1の「死刑そのものが一般に直ちに憲法第36条にいわゆる残虐な刑罰に該当するとは考えられない」「残虐な執行方法を定める法律が制定されたとするならば、その法律こそは、まさに憲法第36条に違反する」という二点をそのまま述べています。
イ【誤り】
資料1は死刑自体を違憲だとはしていません。また憲法第31条は、法律の定める手続によれば生命を奪う刑罰も科しうることを前提としています。
ウ【誤り】
資料2は「無実の者が処刑されることは、とうてい許すべからざる不正義であります」と述べ、犯罪予防を重視して誤判の犠牲を容認する論者を厳しく批判しています。記述は資料2と正反対です。
エ【正しい】
資料2は誤判の危険を死刑廃止の根拠としています。実際に免田事件・財田川事件・松山事件・島田事件では、死刑判決確定後の再審で無罪が確定しました。
正解【③】
アとエが正しいので③が正解です。
問7:正解 ⑤(解答番号15/配点3)
<問題要旨>
2010年以降に行われた労働に関する法改正の内容ア〜ウと、その背景となった事情a〜cとの組合せを選ぶ問題です。アは出生時育児休業(産後パパ育休)の導入、イは有期労働契約の無期転換ルールの導入、ウは時間外労働の罰則付き上限規制の導入です。
<考え方>
背景の統計が何を測っているかを見れば対応関係がつかめます。aは有期契約の勤続年数、bは年間実労働時間と過労死、cは男女の権利行使率の大きな差です。
<選択肢>
ア=c【正】
出生時育児休業は、育児休業の取得率が女性は8割を超えるのに対し男性は1割に満たないという大きな差を背景に、2021年の育児・介護休業法改正で導入されました(2022年10月施行)。
イ=a【正】
有期契約が反復更新されて実質的に長期雇用となっている実態を背景に、2012年の労働契約法改正で、通算5年を超えて更新された場合に労働者の申込みによって無期労働契約に転換できる制度が導入されました。
ウ=b【正】
年間労働時間が長時間のまま推移し、過労死・過労自殺への対策が求められたことを背景に、2018年の働き方改革関連法で、労働基準法に罰則付きの時間外労働の上限規制が設けられました。
正解【⑤】
ア=c、イ=a、ウ=bの組合せなので⑤が正解です。
問8:正解 ①(解答番号16/配点3)
<問題要旨>
2016年から2021年までの4回の国政選挙の年代別投票率を示した表について、会話文の空欄ア(表から読みとれる記述)と空欄イ(2013年の公職選挙法改正で認められたもの)の組合せを選ぶ問題です。
<考え方>
アは「すべての国政選挙で」という全称の主張なので、反例を一つ探せば消せます。18歳と19歳が別々に示されている点に注目してください。イは、ネットで何が解禁されたのかという知識で決まります。
<選択肢>
ア=a【正】
20代から60代までは4回とも年代が上がるにつれて投票率が高くなっています。また18歳の投票率は51.17%・50.74%・35.62%・50.36%で、それぞれ同じ選挙の20代(35.60%・33.85%・30.96%・36.50%)をすべて上回っています。
ア=b【誤】
2016年参院選の60代は70.07%、20代は35.60%で、2倍にわずかに届きません(約1.97倍)。また10代全体では2019年参院選が32.28%で20代の30.96%を上回るものの、「2倍以上」の部分がすでに誤りです。
ア=c【誤】
前半は正しいのですが、19歳は2017年衆院選で32.34%と、20代の33.85%を下回っています。
イ=d(選挙運動)【正】
2013年の公職選挙法改正で解禁されたのは、ウェブサイトや電子メールを利用した選挙運動です。インターネット投票は現在も国政選挙では認められていません。
正解【①】
ア=a、イ=dの組合せなので①が正解です。
第3問 経済発展・財政・公共財(配点25)
生徒Xが授業を振り返ってまとめたノートを題材に、経済発展と政府の支援、日本の農業、国と地方の財政関係、多角的貿易交渉、社会保障の財源と基礎的財政収支、経済格差、公共財の性質、行政のアウトソーシングまでを扱う大問です。図表の読み取りが3問あり、計算をともなう設問もあります。
問1:正解 ①(解答番号17/配点3)
<問題要旨>
メモの空欄ア(『経済学の国民的体系』の著者)とイ(その主張の一つ)に入る人名と語句の組合せを選ぶ問題です。
<考え方>
『経済学の国民的体系』という書名から著者が決まり、その主張も一つに定まります。発展途上国の経済成長という文脈にも合う政策を選びます。
<選択肢>
ア=リスト【正】
ドイツの経済学者フリードリヒ・リストは『経済学の国民的体系』(1841年)で、後発国であるドイツの立場から歴史学派の経済学を展開しました。
ア=シュンペーター【誤】
シュンペーターは『経済発展の理論』でイノベーション(新結合)を経済発展の原動力とした人物で、『経済学の国民的体系』の著者ではありません。
イ=幼稚産業の保護【正】
リストは、育ちきっていない自国産業は関税などで一定期間保護すべきだという幼稚産業保護論を唱えました。自由貿易を説くイギリス古典派経済学に対する反論です。
正解【①】
ア=リスト、イ=幼稚産業の保護の組合せなので①が正解です。
問2:正解 ②(解答番号18/配点3)
<問題要旨>
日本の農業の現状あるいは農業政策の現状に関する記述a〜cのうち、正しいものをすべて選ぶ問題です。
<考え方>
aは食糧管理制度がいつまで存在したか、cは関税撤廃が輸入制限の強化になるかという、事実関係のねじれを見抜けるかが問われています。
<選択肢>
a【誤り】
食糧管理制度は1995年の食糧法施行によって廃止されました。2000年以降に導入されたという事実はありません。また同制度は米の生産・流通・価格を国が管理する仕組みで、米以外の作物の生産を奨励するものでもありません。
b【正しい】
後継者不足と高齢化への対策として、農作物のブランド化や、生産(第一次)・加工(第二次)・販売(第三次)を一体化する六次産業化による高付加価値化が進められています。
c【誤り】
関税を撤廃すれば海外農産物は入りやすくなります。輸入制限の強化とは逆の効果です。
正解【②】
bだけが正しいので②が正解です。
問3:正解 ⑤(解答番号19/配点4)
<問題要旨>
国の一般会計と地方財政の関係を示した図(2021年度当初予算)を参考にした会話文の下線部ア〜エのうち、正しいものを二つ選ぶ問題です。
<考え方>
アとエは知識、イとウは図の数値の計算です。イは一般財源(使途が特定されない財源)が何を指すかを押さえたうえで、地方財政計画の歳入総額に対する比率を出します。
<選択肢>
ア【誤り】
公共事業などの財源に限定して発行されるのは建設国債(財政法第4条)です。赤字国債(特例国債)は、それ以外の経費をまかなうために特例法を制定して発行されるものです。
イ【正しい】
地方財政の一般財源は地方税38.3+地方交付税17.4+地方譲与税等2.2=57.9兆円。歳入総額は38.3+17.4+11.2(地方債)+14.8(国庫支出金)+5.9(その他)+2.2=89.8兆円です。57.9÷89.8は約64%で、半分以上になります。
ウ【誤り】
地方交付税対象税目は49.1兆円、そこから地方交付税交付金として支出されるのは15.9兆円で、半分に届きません(約32%)。
エ【正しい】
地方債は借入れなので返済義務がありますが、地方財政計画の歳入11.2兆円を占める重要な財源です。
正解【⑤】
イとエが正しいので⑤が正解です。
問4:正解 ③(解答番号20/配点3)
<問題要旨>
知的財産権の保護が主な交渉内容となり、またWTO(世界貿易機関)の設立が合意された多角的貿易交渉(ラウンド)の名称を選ぶ問題です。
<考え方>
GATTの主要ラウンドを年代順に整理します。ケネディ・ラウンド(1964〜67年、関税一括引下げ)、東京ラウンド(1973〜79年、非関税障壁)、ウルグアイ・ラウンド(1986〜94年)、そしてWTO発足後のドーハ・ラウンド(2001年〜)です。
<選択肢>
①【誤り】
ドーハ・ラウンドはWTO発足後の2001年に始まった交渉で、WTOの設立を合意したものではありません。先進国と途上国の対立で難航しました。
②【誤り】
東京ラウンドの主題は非関税障壁の軽減で、知的財産権やWTO設立は扱っていません。
③【正しい】
ウルグアイ・ラウンド(1986〜94年)では、知的財産権(TRIPS協定)やサービス貿易(GATS)が新たに交渉対象となり、農産物の関税化も合意されました。その結果、1995年にWTOが発足します。
④【誤り】
ケネディ・ラウンドは関税の一括引下げ方式を導入した交渉です。
正解【③】
正しいものを選ぶ問題なので③が正解です。
問5:正解 ②(解答番号21/配点3)
<問題要旨>
国の一般会計予算(1990年度と2020年度)を比較した資料から読みとれる内容として正しい記述(ア=社会保障の費用の増加額は消費税の増加額よりも大きい/イ=小さい)と、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字を示す図(図aまたは図b)の組合せを選ぶ問題です。
<考え方>
前半は資料から引き算するだけです。後半は、基礎的財政収支が「税収等 −(国債費を除く政策的経費)」で測られることを思い出し、税収等のほうが政策的経費より大きい図を選びます。
<選択肢>
ア【正しい】
社会保障の費用は11.6兆円から35.9兆円へ24.3兆円の増加。消費税は5.3兆円から21.7兆円へ16.4兆円の増加です。社会保障の増加額のほうが大きくなっています。
図b【正】
図bは税収等が政策的経費を上回っており、政策的経費を税収等だけでまかなったうえで余りが出ている状態、すなわち基礎的財政収支の黒字を表しています。
図a【誤】
図aは公債金が大きく、政策的経費が税収等を上回っています。これは基礎的財政収支の赤字の状態です。
正解【②】
ア+図bの組合せなので②が正解です。
問6:正解 ⑤(解答番号22/配点3)
<問題要旨>
日本における個人の経済格差に関する記述ア〜ウのうち、正しいものをすべて選ぶ問題です。
<考え方>
ジニ係数の意味、累進性を強化するとどうなるか、公的扶助の性格という三点です。イは方向が逆になっていないかを確かめます。
<選択肢>
ア【正しい】
ジニ係数は0に近いほど平等、1に近いほど不平等を表す指標です。上昇すれば所得格差が拡大したことを意味します。
イ【誤り】
累進性を強化すれば、多くの資産を相続する者ほど高い税率が適用されるので税負担は重くなります。軽減されるという記述は逆です。
ウ【正しい】
公的扶助(生活保護)は、税を財源として低所得者に給付を行う仕組みであり、所得再分配機能を持ちます。
正解【⑤】
アとウが正しいので⑤が正解です。
問7:正解 ④(解答番号23/配点3)
<問題要旨>
公共財としての公園が非排除性と非競合性の両方の性質を保つことができている事例を、ア〜ウからすべて選ぶ問題です。
<考え方>
非排除性とは対価を払わない人を排除できないこと、非競合性とはある人の消費が他の人の消費を減らさないことです。それぞれの事例で、この二つの性質が失われていないかを確認します。
<選択肢>
ア【当てはまる】
テーマパークができて誰も公園を利用しなくなっても、地方自治体が無料で管理している以上、利用したい人を排除する仕組みはなく(非排除性)、利用者が少ないので混雑による競合も生じません(非競合性)。両方の性質は保たれています。
イ【当てはまる】
管理主体が地方自治体から企業に変わっても、利用方法は同じままなので、無料で誰でも利用でき(非排除性)、これまでどおりの利用状況が続きます(非競合性)。
ウ【当てはまらない】
入場料金を徴収するようになると、料金を払わない人を排除できるようになります。非排除性が失われるため、両方の性質を保っているとはいえません。
正解【④】
アとイが当てはまるので④が正解です。
問8:正解 ④(解答番号24/配点3)
<問題要旨>
地方自治体が新たにアウトソーシング(業務の外部委託)をしたと考えられる例として最も適当なものを選ぶ問題です。
<考え方>
アウトソーシングとは、自治体が自ら行っていた業務を外部の主体に委ねることです。「これまで自治体が担っていた業務が、外部の主体に移った」といえるかどうかで判定します。
<選択肢>
①【誤り】
求職者相談会を催したのは地方自治体自身であり、業務を外部に委ねてはいません。
②【誤り】
新商品の開発を行う部署を自治体「内」に新設したのですから、むしろ内部化です。
③【誤り】
助成金の対象地域を広げただけで、業務の委託ではありません。
④【正しい】
自治体の職員が管理していた国際交流センターの管理を民間企業が請け負うことになったのですから、自治体が担っていた業務が外部に移っています。地方自治法に基づく指定管理者制度がその代表的な仕組みです。
正解【④】
最も適当なものを選ぶ問題なので④が正解です。
第4問 ディーセント・ワークの日本での実現(配点24)
「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の日本での実現」をテーマに、生徒XとYが探究学習を進めるという設定の大問です。需要の価格弾力性、賃金と労働時間の国際比較、平均消費性向と所得格差、労働環境改善の取組み、私法の基本原則の修正、労働紛争解決制度と、経済理論・統計・法制度がバランスよく問われます。全6問がすべて配点4点です。
問1:正解 ①(解答番号25/配点4)
<問題要旨>
需要曲線D₁とD₂を描いた図をもとに、メモの空欄ア(需要の価格弾力性が高いほう)、イ(同じ価格の下での価格の変化に対する需要量の変化)、ウ(高校生の需要曲線として映画館が想定するもの)に入る記号と語句の組合せを選ぶ問題です。図ではD₁が緩やかな傾き、D₂が急な傾きで描かれています。
<考え方>
需要の価格弾力性とは、価格が変化したときに需要量がどれだけ敏感に反応するかの度合いです。グラフでは傾きが緩やかなほうが、同じ価格変化に対する需要量の変化が大きく、弾力性が高くなります。ウは、学生割引で入館者と収益の増加を期待できるのはどちらのタイプかを考えます。
<選択肢>
ア=D₁【正】
図でD₁は傾きが緩やかです。同じだけ価格が下がったとき需要量の増え方が大きいので、需要の価格弾力性が高いのはD₁です。
イ=大きい【正】
弾力性が高いとは、価格の変化に対する需要量の変化が大きいということです。
ウ=D₁【正】
高校生は自由に使えるお金が少なく時間が多いので、値下げされれば映画館に足を運びやすくなります。つまり価格に敏感=弾力性が高い集団です。学生割引で値下げすれば入館者が大きく増え、収益の増加が期待できます。
正解【①】
ア=D₁、イ=大きい、ウ=D₁の組合せなので①が正解です。
問2:正解 ⑤(解答番号26/配点4)
<問題要旨>
日本・アメリカ・ドイツの名目賃金指数(図1)、実質賃金指数(図2)、年間総実労働時間(図3)をもとにしたメモの空欄ア(年間総実労働時間の傾向)、イ(単位時間あたり名目賃金の変化)、ウ(アメリカとドイツの物価の動き)の組合せを選ぶ問題です。
<考え方>
イは「賃金総額÷労働時間」という割り算で考えます。分子が横ばい以上で分母が減れば、商は必ず増えます。ウは名目賃金指数と実質賃金指数の差が物価であることを使います。実質賃金=名目賃金÷消費者物価指数なので、名目の伸びが実質の伸びを上回っていれば物価は上がっています。
<選択肢>
ア=減少【正】
図3では、2000年から2018年にかけてアメリカ・日本・ドイツのいずれも年間総実労働時間が減少傾向にあります。
イ=上昇【正】
名目賃金指数は日本が横ばい、アメリカとドイツは上昇しています。一方で労働時間はどの国も減っているので、賃金総額を労働時間で割った単位時間あたり名目賃金は、すべての国で上昇したことになります。
ウ=上昇【正】
アメリカとドイツは名目賃金指数が2018年に165〜170程度まで伸びているのに対し、実質賃金指数は120程度にとどまっています。名目の伸びが実質の伸びを大きく上回っているので、その差の分だけ物価が上昇していたことがわかります。
正解【⑤】
ア=減少、イ=上昇、ウ=上昇の組合せなので⑤が正解です。
問3:正解 ④(解答番号27/配点4)
<問題要旨>
5人の可処分所得の合計が同じ250万円でありながら、分配が均等なケースAと格差のあるケースBを比べる表をもとに、メモの空欄ア(直接税や社会保険料が消費支出に含まれるか)とイ(消費支出の合計額の比較)に入る記述の組合せを選ぶ問題です。
<考え方>
アは可処分所得の定義から考えます。可処分所得は所得から直接税と社会保険料を差し引いた後の金額なので、それらは消費支出に含まれません。イは各人の可処分所得×平均消費性向を足し上げて比べます。
<選択肢>
ア=b(含まれない)【正】
可処分所得は、所得から直接税や社会保険料を差し引いた「手取り」です。消費支出はその可処分所得の中から行われるので、直接税や社会保険料は消費支出に含まれません。
イ=c(ケースAの方がケースBよりも大きい)【正】
ケースAは50×0.7×5=175万円。ケースBは20×0.9+40×0.8+50×0.7+60×0.6+80×0.5=18+32+35+36+40=161万円です。所得の合計は同じでも、所得が高い人ほど平均消費性向が低いため、格差があるケースBのほうが消費支出の合計は小さくなります。
考察のポイント【—】
所得の合計が同じでも、分配が偏っていると社会全体の消費は小さくなります。所得格差の是正が消費の下支えにつながるという議論の、数量的な裏づけになる設問です。
正解【④】
ア=b、イ=cの組合せなので④が正解です。
問4:正解 ④(解答番号28/配点4)
<問題要旨>
ある企業の労働環境改善の取組みをまとめたメモから読みとれる、この企業が取り入れている仕組みとして正しいものを、a(フレックスタイム制)〜c(高度プロフェッショナル制度)からすべて選ぶ問題です。
<考え方>
三つの制度の定義を確認したうえで、メモの各項目と突き合わせます。とくに高度プロフェッショナル制度は、高度な専門業務に就く高所得者を労働時間規制の対象外とする制度で、メモにその記載があるかを見ます。
<選択肢>
a(フレックスタイム制)【正しい】
メモの3に「従業員が出社と退社の時刻を一定の時間帯の中で自由に決められるようにする制度を導入」「コアタイムを縮小」とあります。フレックスタイム制そのものです。
b(テレワーク)【正しい】
メモの1に「育児や介護などを行う従業員を対象に在宅勤務制度を導入」「Web会議システムを活用」とあり、テレワークにあたります。
c(高度プロフェッショナル制度)【誤り】
メモの2はむしろ残業時間に上限を設定し休暇取得を推奨する内容で、労働時間規制を外す高度プロフェッショナル制度とは方向が逆です。メモにこの制度の導入は記載されていません。
正解【④】
aとbが正しいので④が正解です。
問5:正解 ②(解答番号29/配点4)
<問題要旨>
労働基準法・土地収用法・大気汚染防止法の条文ア〜ウが、私法の基本原則a(契約自由の原則)〜c(所有権絶対の原則)のどれの例外や修正にあたるかの組合せを選ぶ問題です。
<考え方>
私法の三大原則は、契約自由の原則・過失責任の原則・所有権絶対の原則です。それぞれの条文が、どの原則をどのように制限しているのかを読み取ります。
<選択肢>
ア=a(契約自由の原則)【正】
労働基準法第13条です。当事者が合意しても、法定基準に達しない労働条件は無効になります。私人が合意で自由に権利義務を決められるという契約自由の原則の修正です。
イ=c(所有権絶対の原則)【正】
土地収用法です。公共の利益のために、所有者の意思にかかわらず土地を収用・使用できるとするもので、自分の物を自由に使用・収益・処分できるという所有権絶対の原則の例外です。
ウ=b(過失責任の原則)【正】
大気汚染防止法の無過失責任の規定です。故意・過失がなくても健康被害について賠償責任を負わせるもので、故意または過失があった場合にのみ責任を負うという過失責任の原則の修正です。
正解【②】
ア=a、イ=c、ウ=bの組合せなので②が正解です。
問6:正解 ⑥(解答番号30/配点4)
<問題要旨>
発表原稿の空欄ア(労働組合の組織率)、イ(労働関係の民事訴訟の件数の推移)、ウ(労働審判の件数の推移)に当てはまるものを、図中のa〜cから一つずつ選ぶ問題です。図には、1987年から一貫して低下する折れ線c、1987年から2018年まで長期に続く折れ線b、2006年から始まって急上昇する折れ線aが描かれています。
<考え方>
決め手は三つあります。第一に、組織率は%なので右軸の目盛りに対応します(1987年の約27%から2018年の約17%へ低下)。第二に、労働審判制度は2006年4月に始まったので、2006年から始まる系列が労働審判です(図の注にも「aの2006年の値は4月〜12月のもの」とあります)。第三に、残る系列が労働関係の民事訴訟です。
<選択肢>
ア=c【正】
1987年の約27%から2018年の約17%へと一貫して低下しています。労働組合の推定組織率の長期低下傾向と一致します。
イ=b【正】
1987年から2018年まで一貫して記録があり、1990年代から2000年代前半にかけて増加した後、リーマン・ショック後の2009年前後に3,200件台へ急増しています。労働関係の民事訴訟の新受件数です。
ウ=a【正】
2006年から記録が始まっており、労働審判制度の開始年(2006年4月)と一致します。図の注の記載もこれを裏づけます。
正解【⑥】
ア=c、イ=b、ウ=aの組合せなので⑥が正解です。
※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

