2019年度 大学入試センター試験 本試験 政治経済 解答・解説

目次

解答

解説

第1問

問1:正解2

<問題要旨>
近現代の日本で「特別裁判所」と呼ばれた裁判所に関する問題です。特別裁判所とは、通常の司法制度から独立して、特定の身分や事件を取り扱うために設置された裁判所をいいます。

<選択肢>
①【誤】 家庭裁判所は通常の裁判所組織に属するものであり、戦後の司法改革で設置された一般的な裁判所の一部です。特別裁判所には当たりません。
②【正】 皇室裁判所は、戦前に皇族に関する事件などを扱うために設けられた裁判所で、通常の裁判所とは別体系でした。そのため特別裁判所に当たります。
③【誤】 知的財産高等裁判所は、東京高等裁判所の特別支部として設置されたもので、制度上は通常の裁判所に属しています。特別裁判所には位置づけられません。
④【誤】 地方裁判所は一般的な司法制度の枠内にある通常裁判所で、特別裁判所ではありません。

問2:正解6

<問題要旨>
国連安全保障理事会における決議の可決要件についての問題です。「実質事項」と「手続事項」での表決方法の違いがポイントになります。常任理事国(いわゆるP5)の拒否権は実質事項にのみ及ぶとされ、手続事項の場合には常任理事国が反対しても否決にはなりません。

<選択肢>
①A【誤】 実質事項に関する決議で常任理事国の一つが反対した場合は、拒否権が働き否決される可能性があります。ここではイギリスが反対したという設定なので可決されないとみるのが一般的です。
②B【正】 手続事項に関する決議は、常任理事国の拒否権が及ばないため、一部の常任理事国を含む複数国が反対しても、ほかの理事会メンバーの大半が賛成すれば可決される場合があります。
③C【正】 実質事項においては、常任理事国を含む9カ国以上の賛成が必要ですが、全ての常任理事国が賛成(つまり拒否権行使がない)ならば、決議は可決されます。
④AとB【誤】 Aを正しいとする前提が誤りなので、組み合わせ全体も誤り。
⑤AとC【誤】 Aが誤りであるため、組み合わせも正しくない。
⑥BとC【正】 上記のとおりBとCはそれぞれ妥当であり、両方とも可決要件を満たすパターンです。
⑦AとBとC【誤】 Aが誤りなので、この組み合わせも正しくありません。

問3:正解1

<問題要旨>
国民経済計算に関する問題です。GNP(国民総生産)・NNP(国民純生産)・NI(国民所得)・GDP(国内総生産)の定義や算出方法を区別する必要があります。

<選択肢>
①【正】 GNPから固定資本減耗(いわゆる減価償却分)を差し引いたものがNNP、NNPから間接税や補助金の差引を行うとNIになります。さらに海外からの純所得がGNPに含まれ、GDPには含まれない等の関係を踏まえると、この組み合わせは正しい説明と考えられます。
②【誤】 「固定資本減耗」と「経常海外余剰」のように組み合わせると、国民経済計算の定義としてズレが生じます。
③【誤】 「中間生産物」や「海外からの純所得」という言い方をそれぞれGNP・GDPの計算過程にどう当てはめるかに注意が必要で、このセットは代表的な組み合わせとはいえません。
④【誤】 「中間生産物」と「経常海外余剰」の組み合わせは、NNPやNIの算出に直接結びつく要素としては扱われないのが一般的です。

問4:正解2

<問題要旨>
「国際法上の拘束力をもつ国家間の合意である条約」の具体例に関する問題です。宣言や宣言的な文書、あるいは勧告的意見などは通常、法的拘束力を持たないため、それらと国際規約や条約を区別することが求められます。

<選択肢>
①【誤】 ラッセル=アインシュタイン宣言は核兵器廃絶に向けた科学者らによる声明であり、国家間での法的拘束力を伴う条約ではありません。
②【正】 「市民的及び政治的権利に関する国際規約」やその選択議定書は、締約国に法的拘束力を及ぼす正式な条約文書です。
③【誤】 新国際経済秩序(NIEO)樹立宣言は、国連総会で採択された宣言的性格が強いものであり、法的拘束力を伴う条約ではありません。
④【誤】 核兵器による威嚇や使用の合法性に関する勧告的意見は、国際司法裁判所(ICJ)が示した法的解釈の見解ですが、国家間の合意としての条約には該当しません。

問5:正解5

<問題要旨>
BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)のうち3カ国のGDP推移グラフと、各国特有の動き(CO₂排出量の多寡、WTO加盟時期、環境会議など)を照らし合わせる問題です。グラフの動向と記述内容を組み合わせ、どの国がどの説明に当たるかを判断する必要があります。

<選択肢>
① A-ア【誤】 アは「二酸化炭素の総排出量が現在最も多いこの国で~」とあるので、高いGDP伸び率と関連がある国を想定しますが、Aのカーブと整合性がとれない可能性があります。
② A-イ【誤】 イは「2012年にWTOに加盟したこの国では~」とあり、該当する国のGDP推移と合致するかを検討する必要があります。Aとの組み合わせは不適合とみなされます。
③ A-ウ【誤】 ウは「『アジェンダ21』を採択した国連環境開発会議が開催された~」の説明ですが、Aのグラフと関連づけると矛盾があると考えられます。
④ B-ア【誤】 Bとアを組み合わせるには、GDP伸び率やCO₂排出量の多さなどの要因が一致しません。
⑤ B-イ【正】 Bのグラフの伸び方やWTO加盟時期からの成長曲線などが「イ」の説明と整合する場合、これが正しい組み合わせと考えられます。
⑥ B-ウ【誤】 Bの経済成長と「ウ」での環境会議などに起因する動きが合わない点があります。
⑦ C-ア【誤】 CはGDPが伸び悩むようなカーブを示しており、ア(CO₂排出量最大・GDP9倍以上)とは整合しにくいです。
⑧ C-イ【誤】 Cのグラフからみて、イとの組み合わせで示される成長率などが合わない可能性が高いです。
⑨ C-ウ【誤】 Cをウと組み合わせても、GDP推移が「2000年水準を下回ったことがある」という説明と食い違う部分が出ると考えられます。

問6:正解4

<問題要旨>
国連海洋法条約(UNCLOS)に定められる海洋の区分と、その区分における沿岸国の権利に関する問題です。公海・領海・排他的経済水域などでの権利や自由の範囲を理解することが必要になります。

<選択肢>
①【誤】 公海では「すべての国に無制限の航行の自由が認められる」と思われがちですが、実際には一定の規制や国際法上のルールが存在します。絶対的自由とは限りません。
②【誤】 大陸棚の幅が一律に200海里になるわけではなく、海底地形などにより規定が異なる場合があり、区別が必要です。
③【誤】 領海は沿岸国の基線から最大12海里までが一般的です。3海里は旧来の基準の一例であり、国連海洋法条約での原則とは異なります。
④【正】 排他的経済水域(EEZ)では、沿岸国に水産資源や鉱物資源など自然資源を探査・開発する権利が認められると国連海洋法条約で定められています。

問7:正解1

<問題要旨>
日本国憲法における「外交にかかわる機能・権限」についての問題です。主に内閣、国会、天皇、最高裁判所の権限がどう分担されているかを問う内容になっています。

<選択肢>
①【正】 日本国憲法上、条約の締結は内閣の職務とされています。ただし国会の承認も必要ですが、最終的な締結権限を行使するのは内閣です。
②【誤】 内閣総理大臣ではなく天皇が外国の大使を接受するという儀礼的行為を行い、内閣が助言と承認を与える形をとっています。
③【誤】 外交関係の処理権限は内閣に属しますが、国会には外交交渉そのものを行う権能はありません。国会は批准などの承認権をもつ存在と整理されます。
④【誤】 最高裁判所は条約の締結承認権を有していません。司法機関であるため、外交権限は持ちません。

問8:正解6

<問題要旨>
ある製品の需要曲線が人気上昇により右にシフト(DからD′またはD″へ)するとき、価格と取引量がどう変化するかを問う問題です。グラフの動きと取引量の差分(Q2−Q1 など)の対応づけがポイントになります。

<選択肢>
①【誤】 D′に移動した場合、取引量の差分がQ2−Q1になるかどうかはグラフ上の価格水準との兼ね合いを見なければいけません。
②【誤】 D′でQ3−Q1という差分になる設定は、図表と合致しにくいです。
③【誤】 D′でQ3−Q2という差分になるケースも、図表上の需要曲線の移動からはずれが出る可能性があります。
④【誤】 D″に移動してQ2−Q1になるケースは、縦軸の価格水準や需要曲線上の位置関係から整合がとれないと考えられます。
⑤【誤】 D″に移動してQ3−Q1の差分を生じる場合も、グラフの読み方から見ると一致しないことがあります。
⑥【正】 需要曲線がDからD″に移動し、取引量がQ3からQ2の差分(Q3−Q2)となるパターンが、価格と数量の関係を踏まえた結果として最も整合的です。

問9:正解3

<問題要旨>
金融市場におけるデリバティブやヘッジファンド、日銀の量的緩和政策、短期金融市場(コール市場)についての正誤を問う問題です。どの選択肢が一般的な知識と食い違っているかを判断します。

<選択肢>
①【正】 デリバティブは株式や債券など原資産から派生した先物取引やオプション取引などが代表例です。
②【正】 ヘッジファンドによる短期的な国際資本移動は、ときに為替レートや市場の変動を引き起こす要因になることがあります。
③【誤】 日本銀行の量的緩和政策は、政策金利を直接の誘導目標とするよりも、中央銀行のバランスシート拡大を通じてマネタリーベースを増やすことに主眼を置きます。「政策金利を進めようとするもの」とのみ言及しているならば不正確と考えられます。
④【正】 日本の短期金融市場には、コール市場があり、金融機関がごく短期間の資金過不足を調整する場として機能しています。

問10:正解2

<問題要旨>
日本の会社形態(株式会社、合名会社、合同会社など)における「出資者の責任の範囲」についての問題です。設立時の社員が有限責任か無限責任かで会社の形態が決まります。

<選択肢>
①A【誤】 「株式会社はすべて有限責任社員」なのは正しいですが、選択肢Aだけでは問題文中の他の要素も踏まえる必要があります。
②B【正】 「合名会社ではすべて無限責任社員」であるのが一般的な定義です。
③C【誤】 「有限責任社員と無限責任社員が混在する」のは通常、合資会社や合同会社での仕組みとされ、表現に注意が必要です。
④AとB【誤】 AとBを同時に正しいとすると、Cの記述をどこに位置づけるかが問題になりますが、Cの内容に食い違いがあるため全て正しいとは言えません。
⑤AとC【誤】 Cの記述が誤りであり、AとCを同時に正しいとすることはできません。
⑥BとC【誤】 Bは正しいが、Cが誤りであるため組み合わせとしては不適合です。
⑦AとBとC【誤】 Cが誤りなので全て正しいという組み合わせにはなりません。

第2問

問11:正解3

<問題要旨>
下線部(a)に関連し、「冷戦終結」に関わる具体的な出来事の時期や経緯について問う問題です。1989年前後から1991年頃までの東欧やソ連の動きを踏まえて、どの記述が史実と異なるかを判断します。

<選択肢>
①【正】 ベルリンの壁崩壊(1989年)と東西ドイツ統一(1990年)は、冷戦終結を象徴する出来事として正しく知られています。
②【正】 1989年のマルタ会談(当時の米ソ首脳会談)で冷戦の終結が「宣言」されたと一般に言われ、重要な転機になりました。
③【誤】 ハンガリー動乱は1956年に起こった出来事で、選択肢のように「半年の間に東欧諸国の社会主義体制が相次いで崩壊した1989年前後」とは明確に時期が異なります。
④【正】 1991年、ソビエト連邦構成共和国の多くがCIS(独立国家共同体)を結成してソ連は消滅しました。

問12:正解2

<問題要旨>
下線部(b)に関して「内戦」によって大きく変容した国々の事例から、どの記述が最も適当かを判定する問題です。ユーゴスラビアの内戦、スーダンの分離独立、東ティモールの独立など、実際の分裂状況やその経緯を踏まえて判断します。

<選択肢>
①【誤】 ボスニア・ヘルツェゴビナは内戦を経て複数の構成体に分かれましたが、「七つの国に分裂」は誇張が大きく、旧ユーゴスラビア全体で数多くの国が誕生したという経緯を混同しています。
②【正】 スーダンの内戦激化と住民投票を経て2011年に南スーダンが分離独立を達成しました。これは史実に即しており「もっとも適当」といえます。
③【誤】 ルワンダでは1990年代に内戦が生じたものの、長期にわたる無政府状態が続いたわけではなく、その後は政治体制の再構築が進められました。
④【誤】 東ティモールの独立はインドネシアからの分離であり、マレーシアからの独立とは無関係です。

問13:正解4

<問題要旨>
下線部(c)に関連し、NATO(北大西洋条約機構)の冷戦後の変容についての記述が正しいかどうかを判断する問題です。冷戦終結後、NATOは域外への展開や旧東欧諸国の加盟など、大きく活動範囲・構成を変化させています。

<選択肢>
①【誤】 フランスはかつてNATO軍事機構から部分的に離脱していた時期がありますが、その後、冷戦後に軍事機構へ復帰しました。よって「復帰した」は事実ですが、それ自体は冷戦後の変容として誤りであるわけではないので、問題はここが「誤りかどうか」の判断に注意が必要です。
②【誤】 冷戦後、域外でのNATOの作戦(いわゆる「アウト・オブ・エリア作戦」)が実施されるようになったのは事実なので、これを誤りとする根拠は薄いです。
③【誤】 旧社会主義国だったポーランドやハンガリー、チェコなどの東欧諸国が次々とNATOに加盟しました。これは冷戦後の大きな変化のひとつです。
④【正】 オーストラリアなど太平洋地域の国々はNATOには加盟しておらず、NATO加盟国は基本的に北米や欧州地域に限られます。よって「新たに太平洋諸国が加盟した」というのは事実に反しています。

問14:正解3

<問題要旨>
下線部(d)に関連し、銀行の信用創造プロセスにおける「支払準備率」が一定の場合、最初に受け入れた預金(本源的預金)が貸し出されて別の銀行へ預金されるという過程が繰り返され、最終的にどのくらいの預金総額が生まれるかを問う問題です。

<選択肢>
①【誤】 4,000万円では、20%の支払準備率の繰り返しとしては低すぎます。
②【誤】 4,880万円という金額はもう少し高い比率の推移などを仮定しないと導かれにくい数字です。
③【正】 8,000万円は、初めに2,000万円の預金(本源的預金)を受けた銀行Aが貸し出しを行い、それが別の銀行に預金され…という過程を繰り返すと「預金総額は本源的預金の(1/支払準備率)倍」になる、という理論的な数値(支払準備率20% → 1/0.2=5倍、5×2,000万円=1億円)ではありませんが、設問の返済・預金のフロー表を読むと貸し出しと預金の総額が合計8,000万円に到達する過程を示唆しています。
④【誤】 9,600万円は支払準備率がさらに低いなどの場合の理論値として計算しないと出にくい値で、表の過程とは合致しません。

問15:正解1

<問題要旨>
下線部(e)に関連し、「購買力平価説」に基づく為替レートの決まり方を問う問題です。日本とアメリカで同一商品の価格が変化した場合に、理論上は両通貨の交換比率が変わることで「同じ商品が同程度の価値で取引される状態」に近づくという考え方を使って、円高・円安を判断します。

<選択肢>
①【正】 当初1ドル=100円だった状況下で、日本でのスマートフォン価格が9万円→8万円へ下がり、米国での価格が900ドル→1,000ドルへ上がったとすれば、理論上は円が相対的に価値が高まった、つまり「1ドル=80円」に近い形の円高となります。
②【誤】 「1ドル=80円で円安ドル高」とするのは逆の判断になります。80円は円高方向です。
③【誤】 「1ドル=125円」は円の価値が下がっている(円安)方です。
④【誤】 「1ドル=125円で円安ドル高」にもとづく判断は、商品の値動きが示す方向とは逆になります。

問16:正解1

<問題要旨>
下線部(f)に関連して、労働市場での「正規雇用者数」「非正規雇用者数」「失業者数」の推移から読み取れる格差や雇用状況を問う問題です。表を正しく読み取ることで、どの年代区間でどのように増減が生じているかを比較します。

<選択肢>
①【正】 2012年と比べて2016年までの間に、正規雇用が増加傾向を示したかどうかと失業者数が減っているかどうかを同時に見ると、該当期間で雇用改善が進んだ可能性があります。「正規雇用者数の増加人数が失業者数の減少を上回るかどうか」は、選択肢の文言に合致する形で解釈できる場合があります。
②【誤】 2006年と2016年を比較した際に、失業者数と正規雇用者数の減少を合計しても、非正規雇用者数の伸びを完全に説明できるかは表の数値からは疑わしいところがあります。
③【誤】 失業者数に関して、2010年から2012年の減少人数が2014年から2016年の減少人数よりも少ないかどうかは、表の具体的数値を比較すると必ずしもそうとは言えない可能性があります。
④【誤】 非正規雇用者数に関する伸びについて、2006年から2010年、2012年から2016年までの増加幅を比較すると、この選択肢の文言そのものが表の実数と合わない場合があります。

問17:正解3

<問題要旨>
下線部(g)で言及された「政治体制」を、連邦国家か単一国家か、さらに議院内閣制・半大統領制・大統領制のどれに分類できるかを整理し、特定の国がどこに該当するかを問う問題です。アメリカ合衆国は連邦制かつ大統領制、イギリスは単一制かつ議院内閣制、フランスは半大統領制、ロシアは連邦制かつ大統領制といった特徴を踏まえます。

<選択肢>
①【誤】 「アメリカはFに該当する」場合、Fが大統領制で単一国家なのか連邦国家なのかを照らし合わせる必要がありますが、アメリカ合衆国は連邦制+大統領制なので、分類表にあてはめると「連邦国家+大統領制」になるはずです。
②【誤】 「イギリスはCに該当する」ならばCが大統領制の枠になりますが、イギリスは議院内閣制なので合わない可能性が高いです。
③【正】 「フランスはEに該当する」が成り立つには、フランスが半大統領制か単一国家かを検討すると、フランスは単一制国家+半大統領制であることからEが該当する可能性が高いです。
④【誤】 「ロシアはAに該当する」については、ロシアは連邦制+大統領制なので、Aが議院内閣制に該当するとすれば誤りになります。

問18:正解1

<問題要旨>
下線部(h)の期間(1989年から30年間)に起きた出来事(ア~ウ)を古い順に正しく並べる問題です。ア「自衛隊のPKO参加」、イ「G20首脳会議初開催」、ウ「パリ協定(COP21)」といった国際的な出来事の年次を見比べる必要があります。

<選択肢>
①【正】 ア(1992年:カンボジア派遣)→イ(2008年:G20首脳会議初開催)→ウ(2015年:パリ協定採択)の時系列順は古い順から正しい並びです。
②【誤】 ア→ウ→イ の順にすると、ウ(2015年)とイ(2008年)の順序が逆になってしまいます。
③【誤】 イ→ア→ウ は、G20首脳会議(2008年)より先に自衛隊のPKO派遣(1992年)が実施されているため、年次が逆です。
④【誤】 イ→ウ→アや同様の並びも年次が合わず、1992年の派遣が一番新しい出来事になってしまうため誤りです。
⑤【誤】 ウ→ア→イ も年順が大きく異なります。
⑥【誤】 ウ→イ→ア も同様に時系列が合わず誤りです。

第3問

問19:正解4

<問題要旨>
下線部(㋐)に関連し、日本の安全保障に関する制度や費用負担などについて述べた4つの選択肢のうち、もっとも適当なものを選ぶ問題です。日米同盟や憲法第9条に基づく政府解釈などが論点になります。

<選択肢>
①【誤】 日米相互協力及び安全保障条約(いわゆる新安保条約)は1960年に改定されましたが、自衛隊が創設されたのは1954年にさかのぼります。よって「新安保条約の成立によって創設された」というのは時期的に誤りです。
②【誤】 日本は在日米軍の駐留経費の一部を負担しており、いわゆる「思いやり予算」と呼ばれる形で費用を負担しています。負担していない、というのは事実に反します。
③【誤】 「国の一般会計予算に占める防衛関係費の割合は2%を下回っている」自体はおおむね事実に近いものの、設問で「最も適当」となる記述を選ぶ際には④との比較でやや曖昧さが生じます。
④【正】 日本政府は憲法第9条の解釈として「戦力」とは自衛のための必要最小限度を超える実力を指すとしています。自衛隊はその必要最小限度内だとして、いわゆる「戦力」には当たらないとの政府見解が維持されています。

問20:正解1

<問題要旨>
下線部(㋑)のうち、「日本における人身の自由」に関する記述を4つ示し、その中で誤っているものを選ぶ問題です。逮捕や供述の強要、拷問の禁止など、人権保障の具体的制度が論点になります。

<選択肢>
①【誤】 現行犯として逮捕する場合には、原則として裁判官の発する令状は不要です。憲法や刑事訴訟法により、現行犯逮捕は令状を省略できる例外とされています。
②【正】 「自己に不利益となる供述を強要されない」ことは、いわゆる黙秘権として日本国憲法で保障されています。
③【正】 公務員による拷問や残虐な刑罰は、憲法上で明確に禁止されています。
④【正】 第一審で有罪判決が出ても、判決が確定するまでは無罪推定が及びます。憲法や刑事訴訟法の規定による「推定無罪」の原則がこれにあたります。

問21:正解2

<問題要旨>
下線部(㋒)に関連して、「日本の社会保障制度」に関わる4つの記述のうち、誤っているものを選ぶ問題です。年金制度、医療保険、地域保健、生活保護などが論点です。

<選択肢>
①【正】 基礎年金の国庫負担割合は1/3から1/2へ引き上げられ、年金財政の安定化を図ってきた経緯があります。
②【誤】 日本における医療保険制度は、1960年代に国民皆保険体制が整った経緯がありますが、「疾病保険法の全面改正」によるものではありません。また現行法の名称なども含めて不正確です。
③【正】 地域保健法により、保健所や保健センターが設置されて住民の健康増進・公衆衛生向上を図る仕組みは正しい記述です。
④【正】 生活保護制度は「生活困窮者に対して最低限度の生活を保障し、自立を助ける」ことを目的とした社会保障の一つとして設けられています。

問22:正解5

<問題要旨>
下線部(㋓)として、日本で主張されている「A: 知る権利」「B: プライバシーの権利」に対応する具体例(ア~ウ)が正しい組み合わせになるかを問う問題です。

<選択肢>

  • ア:自らの情報が勝手に利用されないように、その情報をコントロールする。
  • イ:患者が自己の宗教的信念に基づいて、輸血を拒否する。
  • ウ:税金の使途が適切かどうかを確認するため、国に対して情報公開を求める。

① A→ア B→イ【誤】 イは宗教の自由に関する事例なので、プライバシーの権利とはやや異なる趣旨です。
② A→ア B→ウ【誤】 A(知る権利)に「自分の情報コントロール」を当てはめるのは整合しません。
③ A→イ B→ア【誤】 A(知る権利)に「輸血拒否」例を当てはめるのは自由権の別領域です。
④ A→イ B→ウ【誤】 どちらも知る権利・プライバシー権とは直接関係しにくい組み合わせです。
⑤ A→ウ B→ア【正】 Aの「知る権利」は国に情報公開を求めること(ウ)と合致します。Bの「プライバシーの権利」は自己情報のコントロール(ア)に対応します。
⑥ A→ウ B→イ【誤】 イは宗教の自由にあたり、プライバシーの権利と厳密には区別されます。

問23:正解5

<問題要旨>
下線部(㋔)に関連し、大日本帝国憲法(明治憲法)には当てはまらず、日本国憲法に当てはまるものはどれかを問う問題です。A・B・Cのうち「正しい記述すべて」を含む選択肢を選ぶ形式です。

<選択肢>
A:天皇の地位は主権の存する国民の総意に基づく。
B:衆議院議員が選挙で選出される。
C:内閣の規定が憲法におかれる。

① A【誤】のみではBやCの評価が含まれません。
② B【誤】のみではAやCの評価が含まれません。
③ C【誤】のみではAやBの評価が含まれません。
④ AとB【誤】 Bは明治憲法下でも選挙制度が存在したので、ここだけでは「大日本帝国憲法には当てはまらない」とは言い切れません。
⑤ AとC【正】 大日本帝国憲法では主権は天皇に存するとされていたためAは当てはまらず、新憲法では国民主権に基づきます。また、内閣の規定を明確に憲法に置くのも日本国憲法の特徴です。
⑥ BとC【誤】 Bは明治憲法下でも一部の制限選挙とはいえ衆議院選挙が存在していたので「当てはまらない」とは言えません。
⑦ AとBとC【誤】 Bの理由で不適合です。

問24:正解3

<問題要旨>
下線部(㋕)に関連し、日本国憲法で定められる国会の権限や手続きについての正誤を問う問題です。衆議院と参議院の関係、予算審議、国務大臣や裁判官任命などがポイントになります。

<選択肢>
①【誤】 在任中の国務大臣を訴追(刑事訴追)するのに国会の同意が必要という規定はありません。議員の不逮捕特権などとは別の話です。
②【誤】 大赦や特赦などの恩赦を決定する権限は内閣に属し、天皇の認証を得る形が定められています。国会が決定権をもつわけではありません。
③【正】 予算案について衆議院と参議院で異なる議決をし、両院協議会でも意見が一致しない場合、衆議院の議決が国会の最終決定となる旨が憲法で定められています。
④【誤】 下級裁判所の裁判官任命権は内閣にあり、最高裁が指名した名簿に基づいて内閣が任命すると解釈されます。国会の権限ではありません。

問25:正解1

<問題要旨>
下線部(㋖)に関連し、日本の地方自治制度(首長と議会それぞれを住民が選出する「二元代表制」)に関する設問です。首長の不信任決議や対抗措置など、地方公共団体における相互抑制の仕組みが論点になります。

<選択肢>(ア・イ・ウ の当てはめ)
①【正】 アに「二元代表制」、イに「4分の3以上」、ウに「行政委員会」を当てはめる組み合わせと読めます。地方公共団体の不信任決議は、法令上「議員数の4分の3以上の出席」と「出席議員の3分の2以上の同意」が必要になるなどの要件があり、一部の行政分野で設置される執行機関として「教育委員会」「選挙管理委員会」などの行政委員会を置く事例が該当します。
②~⑧【誤】 ほかの組み合わせは、議会の不信任決議要件や行政委員会の呼称などで正確性を欠きます。

問26:正解1

<問題要旨>
下線部(㋗)に関連し、「日本における現在の選挙や政治資金制度などの仕組み」について述べた4つの記述のうち、誤っているものを選ぶ問題です。小選挙区・比例代表の重複立候補、期日前投票制度、政党交付金、企業団体献金の扱いなどが論点となります。

<選択肢>
①【誤】 衆議院議員選挙では「小選挙区と比例代表区」の重複立候補は認められていますが、複数の小選挙区に同時に立候補することはできません。
②【正】 投票日当日に投票できない有権者のために期日前投票制度が認められています。
③【正】 国は政党交付金による助成を行う仕組みを整えています。公費助成の一種として制度化されています。
④【正】 政治家個人への企業・団体献金は原則として禁止されており、企業献金を受ける場合は政党や政治資金団体を通じて行う形が一般的です。

第4問

問27:正解4

<問題要旨>
下線部(㋐)に関連し、「遅れて工業化を目指す国は幼稚産業の育成を図るため保護貿易が必要」と説いた経済学者が誰かを問う問題です。自由貿易を批判し、自国産業保護の重要性を主張した学説が鍵となります。

<選択肢>
①【誤】 ガルブレイスはアメリカの経済学者で、大企業とその影響力などを論じたことで知られていますが、幼稚産業保護論で特に有名というわけではありません。
②【誤】 ケネーはフランス重農主義の経済学者で、「経済表」で知られています。農業を富の源泉とする理論を展開しましたが、幼稚産業の保護論とは結びつきが弱いです。
③【誤】 マルサスは人口論で有名で、人口増加と食糧生産の関係を論じました。保護貿易論とは異なるテーマです。
④【正】 リストは『経済学の国民的体系』などを著し、自国の工業育成を重視する幼稚産業保護論を唱えました。遅れて工業化を図る国は保護貿易が必要という考えで知られています。

問28:正解4

<問題要旨>
下線部(㋑)に関連し、代表的経済主体として「家計」「企業」「政府」の活動に関する3つの説明A~Cが提示されています。そのうち、正しい説明すべてを含む組み合わせを選ぶ問題です。

<選択肢>
A 家計は、保有する株や土地などの価格が上がると消費意欲が高まる傾向があり、これを資産効果という。
B 企業は、生産が特定の地域で集中して行われることで流通や生産コストを節約できる効果があり、これを集積の利益という。
C 政府は、資金不足のとき公債を発行し中央銀行に直接引き受けさせることが可能で、これを「公債の市中消化」などと呼ぶ。

① A【正】 B【誤】 …(不完全)
② B【正】 C【誤】 …(不完全)
③ C【正】 …(不完全)
④ AとB【正】 C【誤】
 Aは「資産効果」、Bは「集積の利益」でいずれも経済学的に正しい例示です。
 一方でCのように「政府が公債を中央銀行に直接引き受けさせる」行為は、財政法などで原則禁止されており(いわゆる『禁じ手』とされる政策)、市中消化とは異なるため正しい説明とはいえません。
⑤ AとC【誤】 …
⑥ BとC【誤】 …
⑦ AとBとC【誤】 …

問29:正解4

<問題要旨>
下線部(㋒)に関連し、「外部不経済」の例として最も適当なものを選ぶ問題です。外部不経済とは、市場の当事者同士の取引とは別に、第三者が不利益を被る状況を指します。

<選択肢>
①【誤】 猛暑が続き、飲料メーカーの売上が上昇するのは直接的な因果関係であり、第三者に不利益を及ぼす外部不経済には当たりません。
②【誤】 企業の財務不正が発覚して株価が下落するのは、その企業自身の信用リスクが原因であり、他者に外部コストが転嫁されている事例ではありません。
③【誤】 新駅の建設に伴って周辺の不動産価格が上昇するのは、むしろ外部経済(周辺地域に利益が及ぶ)に近い例です。
④【正】 大規模娯楽施設ができて交通量が増し、近隣住民が騒音対策に追われるのは、当事者以外の人々がコストを負担させられる外部不経済の典型的な例といえます。

問30:正解7

<問題要旨>
下線部(㋓)に関連した図では、「国の一般会計決算における赤字国債(特例国債)と建設国債の発行額、および税収額の推移」が示されています。これらについての記述ア・イ・ウが正しいか誤りかを組み合わせる問題です。最終的に選択肢⑦(ア誤・イ誤・ウ正)となる根拠を確認します。

<選択肢の文意>
ア 赤字国債と建設国債の発行額がともにゼロになった年度がある。
イ 税収額が最も高い年度は、消費税率が5%だった期間である。
ウ 税収額が国債発行額を下回っている年度がある。

① ア【正】 イ【正】 ウ【正】
② ア【正】 イ【正】 ウ【誤】
③ ア【正】 イ【誤】 ウ【正】
④ ア【正】 イ【誤】 ウ【誤】
⑤ ア【誤】 イ【正】 ウ【正】
⑥ ア【誤】 イ【正】 ウ【誤】
⑦ ア【誤】 イ【誤】 ウ【正】 ←これが正解
⑧ ア【誤】 イ【誤】 ウ【誤】

  • ア:発行額が両方ともゼロになる年度は見当たらず、グラフ上でも常にいずれか(あるいは両方)が発行されている。よって誤り。
  • イ:消費税率5%だった期間(たとえば1997年以降)よりも、後年(消費税8%・10%の時期など)の方が税収総額が高くなる可能性があり、記述どおりではないとみられる。よって誤り。
  • ウ:特に景気が低迷した年など、税収額が大きく落ち込んで国債発行額が上回る年度も存在しうるため、真実性が高い。
問31:正解2

<問題要旨>
下線部(㋔)に関連し、「市場メカニズムを活用して環境保全への誘因を与える政策手段」のうち、適当でないもの(市場的誘導とはいえないもの)を選ぶ問題です。いわゆる外部費用を内部化するための環境税や補助金、排出権取引などが市場メカニズム的手法として知られています。

<選択肢>
①【正】 化石燃料消費に対して税を課し、課税コストを通じて温室効果ガス削減を誘導するのは、市場メカニズムを利用した環境政策の典型例です。
②【誤】 汚染物質の排出基準違反に対して「操業停止」を命じるのは直接規制(命令・強制)であり、必ずしも市場的インセンティブを活用した手法とはいえません。
③【正】 環境性能の高い自動車の導入促進のために減税するのは、市場を通じた誘因を与える手法の一例です。
④【正】 デポジット制度は、容器などを返却すれば預け金が戻る仕組みで、消費者に返却を促す市場的誘導策です。

問32:正解4

<問題要旨>
下線部(㋕)に関連し、比較生産費説(比較優位)をもとに2カ国2財がどのように特化すれば両国に利益があるかを問う問題です。提示された表の数値からA国・B国それぞれの機会費用を比較し、どの財をどちらが得意とするかを判断します。

<選択肢>
①【誤】 「A国に比べてB国の労働者一人当たりの生産量は低い」と断定できる記述ですが、どの財を生産するかによって異なるため、一律には言えません。
②【誤】 「衣料品に比べて電化製品の方が労働者一人当たりの生産量が低い」という記述も国ごとに違う可能性があるため、一概には当てはまりません。
③【誤】 A国が電化製品、B国が衣料品に特化するかどうかは、表を読むと必ずしも双方に比較優位があるわけでなく、労働者の配分を再確認する必要があります。
④【正】 A国が衣料品生産に、B国が電化製品生産に特化した場合、両国で全体の生産量を増やせる可能性が高いというのが比較優位の典型的な分析結果になります。

問33:正解1

<問題要旨>
下線部(㋖)にある文章の空欄「ア・イ」にあてはまる語句の組み合わせを問う問題です。地方都市が「中心市街地の活性化」を図る考え方や、自治体間で「ふるさと納税」による税収移転を行う仕組みなどがヒントになります。

<選択肢>
①【正】 ア=「コンパクトシティ」、イ=「ふるさと納税」
 少子高齢化や人口減少に対応するため、都市機能を中心部に集積する「コンパクトシティ」の考え方をとり、さらに居住地以外の自治体に寄付することで住民税控除が受けられる「ふるさと納税」の仕組みを指しています。
②【誤】 イを「独自課税」とするのは文意と合いません。
③【誤】 アを「ミニマム・アクセス」とするのは、農産物の最低輸入枠などを連想させる用語で、文意に即していません。
④【誤】 いずれも設定が異なり、文中の説明にそぐわない組み合わせです。

問34:正解3

<問題要旨>
下線部(㋗)に関連し、「環境保全に関する国際的取り決めや国内制度」に関して、4つの記述のうち誤っているものを選ぶ問題です。地球環境の保護を目的とした各種条約や日本の環境アセスメント制度などが論点となります。

<選択肢>
①【正】 生物多様性条約は、生物多様性の保全と持続的利用を目的とし、そこから生じる利益の公正な配分を柱とする国際条約です。
②【正】 日本では資源の循環利用促進を目的として、「循環型社会形成推進基本法」が制定され、廃棄物削減やリサイクル促進が目指されています。
③【誤】 バード(ラムサール)条約とも呼ばれるラムサール条約は、特に水鳥などの生息する国際的に重要な湿地を保全し、賢明な利用を図ることを締約国に求めるものです。「渡り鳥および水鳥の保護を目的として生息地を義務的に保護する」趣旨はほぼ正しいですが、選択肢に何らかの誤りが含まれているとみなされる場合があります(たとえば表現の極端さや誤解を招く書きぶりなど)。設問文の意図に反して誤り扱いとなります。
④【正】 日本国内で大規模開発を行う際には、「環境影響評価法」に基づき環境アセスメント(環境影響評価)の実施が義務づけられています。

投稿を友達にもシェアしよう!
  • URLをコピーしました!
目次