解答
解説
第1問
問1:正解1
<解説>
質量のある物体が3本の同じばねに吊られている場合、それぞれのばねは等しく荷重を支えると考えられる。そのため、物体全体を支える力は3本のばねで分担されることになる。すなわち1本あたりが担う力は、全体の重力を3等分した大きさになるので、各ばねの伸びも小さくなる。これにより、3本分を合わせた合計のばねの反発力が物体の重力につり合うことがわかる。
問2:正解6
<解説>
同じ大きさの力で物体を引く場合でも、引く方向によって物体の速度や位置エネルギーの変化が異なる。水平方向に力を加えるときは重力とは垂直方向で干渉せず、物体に加わる力の成分が効率的に運動エネルギーへ変化しやすい。一方、鉛直上向きに引く場合は重力に逆らう形となり、得られる運動エネルギーが小さくなりやすい。斜め方向はこの2つの中間程度になる。そのため、同じ時間だけ力を加えたときに得られる運動エネルギーは、水平方向が最も大きく、斜め方向がその次、鉛直上向きが最も小さい順になる。
問3:正解4
<解説>
発電所から電力を送るときに、送電線で生じる熱によるロスを小さくするには、電圧を高くして電流を小さくする工夫が必要になる。そうすると、同じ電力を送る際に流れる電流が減少し、送電線での電力損失を抑えられる。また、変圧器を使って電圧を自由に上げ下げするために、交流が使われる。こうして高電圧・小電流・交流の組み合わせで送電され、受電側で必要な電圧に変換されて利用される。
問4:正解3
<解説>
振動数が少し異なる音を同時に鳴らすと、うなりと呼ばれる周期的な強弱が生じる。1秒あたりのうなりの回数は2つの音の振動数の差に対応する。そのため、振動数が近い2つの音(たとえば445 Hzと440 Hz)の場合、1秒間にわずかに異なる波が重なり合って、数回だけ音の強弱がくり返される。1回分のうなりにかかる時間は、1秒間で生じるうなりの回数の逆数になり、その時間に生じる波の差も1回分で計算される。
問5:正解2
<解説>
固体が融点を迎えて液体へと姿を変えるとき、物質は周囲から熱を受け取りながらも、温度を上げるのではなく状態変化に使う。そのときに物質が吸収する熱は、後になって温度上昇には寄与しない性質をもつため「潜熱」と呼ばれる。この潜熱は、融解や蒸発などの過程で重視されるエネルギーである。
第2問
問6:正解3
<解説>
図に示された2つの波は、互いに逆向きに進みながら同じ速さで伝わっている。時刻が 0.50 秒異なる2つの瞬間の波形を比較すると、特徴的な位相(山や谷など)の位置がある程度移動していることが読み取れる。その移動距離と経過時間の比から、双方の波がちょうどそれくらいの速さで進むとわかる。波のピークや谷が 0.50 秒で移動した距離を手がかりにすると、1秒あたりどの程度進むかが推測でき、その値が選択肢のなかで最も適当なものとして示されている。
問7:正解5
<解説>
2つの波が左右からやってくると、原点(x=0)の位置では時間の経過とともに両方の波の重なり方が変わる。初期状態と 0.50 秒後の波形から、原点付近で山同士、谷同士、あるいは山と谷がどのようにすれ違うかがわかる。その結果、原点での変位はある時刻には正方向に大きく振れ、別の時刻には負方向に振れるといった特徴的なパターンになる。選択肢にあるグラフを見比べると、その時間変化を最もよく表しているものが該当する。
問8:正解7
<解説>
回路図では、抵抗3つが電源につながれ、スイッチが a 側にも b 側にも接続されていない状態が示されている。このとき、電流が流れる道筋が限られるため、ある部分の電位差が電源電圧の全てになり、別の部分では電流が流れないために電位差がゼロになる場合がある。具体的には、電源のプラスとマイナスの間が直接つながる部分と、そうでない部分を区別すると、どの地点間の電位差がどれだけになるかが判断できる。そうして求められる電位差の組み合わせが選択肢の中でひとつだけ該当し、それが答えとなる。
問9:正解8
<解説>
スイッチを a 側に接続するときと b 側に接続するときとで、抵抗のつながり方(直列・並列の組み合わせ)が変化し、全体で消費される電力が変わる。それは、各抵抗に流れる電流や加わる電圧が異なるためである。ある接続では電流の通り道が増えるか減るか、また抵抗値の見かけ上の合成が大きくなったり小さくなったりする結果、消費電力に差が生じる。選択肢を見比べて、2つの接続による消費電力の大小関係を最もよく説明できる値と語句の組み合わせがひとつだけ当てはまる。
第3問
問10:正解5
<解説>
質量のある小球を自然の長さだけ下にある位置まで落とすとき、最初はゴムひもがまったく伸びておらず、空気抵抗なども無視できるとすると、そこまでは単なる自由落下と同じ振る舞いになる。落下を始めた時点では静止しているため、小球が特定の距離を落下するまでにかかる時間は、重力下での等加速度運動の考え方で求めることができる。そうすると、自然の長さぶんだけ下へ移動する最初の通過時刻は、自由落下における時間と同様の関係によって判断できる。
問11:正解5
<解説>
小球が最下点に達したとき、ゴムひもは自然の長さ以上に伸びているが、その伸び始めの位置から最下点までに生じる弾性力の働きによって、失われた位置エネルギーの一部が弾性エネルギーに変換される。そこで、小球の質量を含めた関係を考えると、重力によるエネルギーの減少量とゴムひもに蓄えられたエネルギー量のつり合いから、伸び始めから最下点までの区間におけるゴムひもの伸びの大きさと小球の質量との関係式が決定される。この手順で導くと、選択肢の中で特定の式が該当する。
問12:正解6
<解説>
小球が水平方向に移動する速さは、斜め上向きに発射された後も一定であると仮定されている。壁までの水平方向の距離を、変わらない水平方向の速さで移動するとすれば、その移動時間は「距離を一定の速さで割った」値となる。斜めに投げ上げても、水平方向の動きには重力の影響が及ばないとみなせる場合、発射直後から壁に衝突するまでの時間は、その簡単な比から導くことができる。
問13:正解3
<解説>
斜め上向きに発射された小球の鉛直方向の運動は、重力の影響下での鉛直投げ上げと同じように振る舞う。発射直後の鉛直方向の速さがわかれば、最高点までの高さも決まる。最高点では鉛直方向の速さがいったんゼロになるため、そこまでの運動で失われた運動エネルギーと位置エネルギー増加分が対応する。さらに、水平方向の運動は高さには影響しないので、純粋に鉛直成分だけを考えれば、初速の鉛直成分と重力加速度とから、最高点までの上昇距離を判断できる。