2018年度 大学入試センター試験 本試験「国語」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。
解答
解説
2018年度(平成30年度)センター試験本試験「国語」の全問題について、当サイトが独自に作成した解答・解説です。第1問から第4問まで、大問ごとに設問を折りたたんで掲載しています。知りたい設問をクリックしてご覧ください。
国語は全4問・200点満点(各大問50点)、試験時間80分です。第1問が評論、第2問が小説、第3問が古文、第4問が漢文という構成で、設問は24、解答番号は36あります。
※ 著作権に配慮し、本文そのものは掲載していません。問題文は上の「過去問題はこちら」から大学入試センター公開の冊子でご確認ください。
第1問 評論 有元典文・岡部大介『デザインド・リアリティ——集合的達成の心理学』(配点50)
「デザイン」を人工物と人のふるまいの関係へ拡張して捉え直し、私たちが生きている現実そのものが人間のデザインの産物であると論じる評論です。段落に番号が振られ、湯飲み茶碗と珈琲カップの図版も添えられています。
問1:正解 ②・③・⑤・⑤・②(配点各2)
<問題要旨>
傍線部(ア)〜(オ)に相当する漢字を含むものを選ぶ問題。
<考え方>
(ア)イショウは「意匠」なので、同じ「匠」を含む「巨匠」の②。(イ)フみ込むは「踏み込む」で「踏襲」の③。(ウ)カワいたは「乾いた」で「乾電池」の⑤。(エ)セツリは「摂理」で「摂取」の⑤。(オ)センレンは「洗練」で「洗浄」の②。同音異字が五つずつ並ぶので、まず傍線部の熟語を漢字で確定させてから選択肢に当たります。
問2:正解 ②(配点8)
<問題要旨>
傍線部A「講義というような、学生には日常的なものでさえ、素朴に不変な実在とは言いにくい」の理由を選ぶ問題。
<考え方>
直後の段落で筆者は、講義とは「部屋の空気のふるえ」「教師のモノローグ」「問題解決のヒントとなる知恵」など多様に捉えられると列挙し、「世界は多義的でその意味と価値はたくさんの解釈に開かれている」と結びます。つまり同じ講義でも捉え方は一つに固定されないということ。②が正解です。
問3:正解 ⑤(配点8)
<問題要旨>
傍線部B「図1のように」について、四人の生徒の会話の空欄に入るものを選ぶ問題。
<考え方>
会話では、湯飲み茶碗に持ち手をつけると片手で持てる、指に引っ掛けて何個も運べる、といった「扱い方」の変化が語られます。そしてこれを受けて生徒Dが「今とは異なるデザインを共有する」ことで「今ある現実の別のバージョンを知覚する」ことになる、とまとめます。空欄には⑤「形を変える以前とは異なる扱い方ができることに気づく」が入ります。
問4:正解 ③(配点8)
<問題要旨>
傍線部C「このことは人間を記述し理解していく上で、大変重要なことだと思われる」の理由を選ぶ問題。
<考え方>
直前で筆者は、私たちの住まう現実が価値中立的な環境ではなく、文化から生み出され歴史的に洗練された、自分たちの身の丈に合わせてあつらえられた「オーダーメイドな現実」だと述べ、人間は自らが「デザインした現実」を知覚し生きてきたと結論します。③がこの趣旨を正確にまとめています。
問5:正解 ①(配点8)
<問題要旨>
傍線部D「『心理′学(しんりダッシュがく)』の必要性」の説明を選ぶ問題。
<考え方>
最終段落で筆者は、「心理′学」とは文化心理学のことであり、人間を文化と深く入り交じった集合体の一部と捉える立場だと述べます。人間性は社会文化と不可分のセットで成り立ち、「原心理」なるものは想定できない——だから文化歴史的条件と一体のものとして心理を捉える学が要る、ということです。①が正解。
問6(ⅰ):正解 ④(配点4)
<問題要旨>
第1〜8段落の表現に関する説明として、適当でないものを選ぶ問題。
<考え方>
第8段落の「私たちはこうした……考える」は筆者たち(著者)を指し、「私たちは繰り返してきたのだ」は人類一般を指します。両方とも「筆者と読者とを一体化して扱い、読者を巻き込む」とする④は当たらないので、これが不適当。①のかぎ括弧による話題への誘導、②の音声の物理的側面への着目、③の「新しい古典」という表現は、いずれも本文と対応しています。
問6(ⅱ):正解 ④(配点4)
<問題要旨>
この文章の構成に関する説明を選ぶ問題。
<考え方>
本文は、冒頭の講義の例→デザインの語源と定義→湯飲み茶碗と珈琲カップの例→アフォーダンス→はき物の例→定義の再検討→百マス計算や暗算の例→心理′学、という順で進みます。個別の例を挙げては抽象度を上げて捉え直す往復を繰り返しており、④が正解です。
第2問 小説 井上荒野「キュウリいろいろ」(配点50)
三十五年前に息子を、昨年に夫を亡くした郁子が、はじめて一人でお盆を迎える場面から始まります。夫の写真を借りに来た同級生との一日を通して、夫婦の来し方が静かに浮かび上がる小説です。
問1:正解 ②・⑤・⑤(配点各3)
<問題要旨>
傍線部(ア)〜(ウ)の本文中における意味を選ぶ問題。
<考え方>
(ア)「腹に据えかねた」は怒りを抑えきれないことなので「我慢ができなかった」の②。(イ)「戦(おのの)きながら」は恐れて震えることなので「ひるんでおびえながら」の⑤。(ウ)「枷が外れる」は束縛がなくなることなので「制約がなくなる」の⑤。慣用句の語義をまず確定し、場面に当てはめて確かめます。
問2:正解 ③(配点8)
<問題要旨>
傍線部A「写真の俊介が苦笑したように見えた」理由を選ぶ問題。
<考え方>
郁子は息子と夫それぞれにキュウリの馬を作り、「帰らなくたっていい、馬に乗ってきて、そのままずっとわたしのそばにいればいい」と思います。かつては息子のもとへ行きたいと言い、今は二人ともそばにいてほしいと願う——その身勝手さを、夫ならあきれつつ受け入れて笑ってくれるだろうと想像したのです。③が正解。
問3:正解 ①(配点8)
<問題要旨>
傍線部B「少し離れた場所に座っていた若い女性が……席を譲ってくれた」ときの郁子の心の動きを選ぶ問題。
<考え方>
席を譲られた郁子は、三十数年前、同じ電車の同じ時刻に妊娠四か月で席を譲られたことを思い出します。そのとき譲ってくれたのは年配の男性で、四人でしばらく言葉を交わしました。他人にもわかるほど気遣われていたあの頃の自分と夫に思いをはせているので、①が正解です。
問4:正解 ④(配点8)
<問題要旨>
傍線部C「郁子はまるで見知らぬ誰かを見るようにそれらを眺め……」のときの郁子の心情を選ぶ問題。
<考え方>
息子の死後しばらくは二人とも家に閉じこもっていましたが、いつしか外へ出て笑うようにもなっていた——そのことを写真の中に確かめると、それは強い驚きになりました。自分自身も笑って写っており、夫と顔を見合わせて微笑み合う一枚すらあります。④が正解。
問5:正解 ③(配点8)
<問題要旨>
傍線部D「その必要はありませんと郁子は答えた」理由を選ぶ問題。
<考え方>
校内の見学を勧められても郁子は断ります。何かを探しに来たわけではなく、もしそうだとしても、もう見つけたような感覚があったからです。夫の育った町と高校を歩くうちに、夫から聞いた高校時代の話が自分の中にずっと保存されていたことに気づき、夫婦の時間の積み重なりを実感していました。③が正解。
問6:正解 ③・⑥(配点各5・順序は問わない)
<問題要旨>
本文の表現に関する説明として、適当でないものを二つ選ぶ問題。
<考え方>
③は、丸括弧の中身を「他人に隠したい郁子の本音」としますが、実際には場面の補足説明であって隠したい本音ではありません。⑥は、「一度も来訪することはなかったのだった」に「郁子の悔やんでいる気持ち」があらわれているとしますが、本文からそこまでは読み取れません。よって③・⑥が不適当。①の会話のかぎ括弧、②の一人称、④の「〜俊介」の反復、⑤の「名所旧跡」の冗談めかした用法は、いずれも適切な説明です。
第3問 古文 本居宣長『石上私淑言』(配点50)
和歌についての自身の見解を問答体で述べた歌論です。なぜ恋の歌が多いのか、「情」と「欲」はどう違うのか、和歌と漢詩はどこが異なるのか——という三つの問いに沿って議論が進みます。
問1:正解 ①・③・⑤(配点各5)
<問題要旨>
傍線部(ア)〜(ウ)の解釈として最も適当なものを選ぶ問題。
<考え方>
(ア)「あながちにわりなく」は、「あながち」が一途に・むやみに、「わりなし」がどうしようもない・道理を超えているの意なので「ひたむきで抑えがたく」の①。(イ)「いかにもあれ」は「どうであろうとも」で③。(ウ)「さらになつかしからず」は、呼応の副詞「さらに〜ず」=全く〜ない、「なつかし」=心がひかれる、で「全く心ひかれない」の⑤です。
問2:正解 ③(配点5)
<問題要旨>
波線部「身にしむばかり細やかにはあらねばにや」の文法的な説明として、適当でないものを選ぶ問題。
<考え方>
「ね」は打消の助動詞「ず」の已然形で、そのあとの「ば」は已然形に接続しているので確定条件(順接)を表します。仮定条件なら未然形+「ば」となるため、③が誤りでこれが答えです。①の打消「ず」、②の断定「なり」の連用形「に」、④の疑問の係助詞「や」、⑤の格助詞「に」は、いずれも正しい説明です。
問3:正解 ②(配点6)
<問題要旨>
傍線部A「恋の歌の世に多きはいかに」という問いに、本文がどう答えているかを選ぶ問題。
<考え方>
筆者は『古事記』『日本書紀』の上代歌謡から代々の勅撰集まで恋の歌が多いことを挙げ、『万葉集』が全体を雑歌・相聞・挽歌に分けていることから、歌は恋を主とすると述べます。そのうえで「恋はよろづのあはれにすぐれて深く人の心にしみて、いみじく堪へがたきわざなるゆゑなり」と理由を示します。②が正解。
問4:正解 ③(配点8)
<問題要旨>
傍線部B「情と欲とのわきまへ」について、本文の説明を選ぶ問題。
<考え方>
本文では、人の心に思うことはすべて「情」であり、とりわけ人をあはれ・かなしと思う類を「情」と呼ぶとします。一方「欲」はひたすらに願い求める心で、身の栄えや財宝を求める思いがこれにあたり、身にしむほど細やかではないとされます。そして恋は欲から出るが特に「情」に深くかかる思いだと述べられます。③が正解。
問5:正解 ④(配点8)
<問題要旨>
「情」と「欲」の、時代による違いと歌との関係についての説明を選ぶ問題。
<考え方>
筆者は、「情」は心弱きを恥じる後世の習わしのために包み隠されることが多く、かえって「欲」より浅く見えるようになったと述べます。しかし歌だけは上代の心ばえを失わず、めめしく心弱い方を恥じることがなかった、と続きます。④が正解です。
問6:正解 ④(配点8)
<問題要旨>
歌や詩と「物のあはれ」との関わりについての説明を選ぶ問題。
<考え方>
本文は、生きとし生けるものはみな「物のあはれ」を知るが、人はとりわけそれを知る存在だとし、歌は「物のあはれ」から生まれると述べます。そして漢詩には「酒を讃めたる歌」のような「欲」の題材が多いが、それは「あはれ」ではないので歌には心づきなく憎くさえ思われる、と対比します。④が正解。
第4問 漢文 李燾『続資治通鑑長編』(配点50)
北宋の文人・王禹偁の子である王嘉祐と、政治家・寇準とのやりとりを記した一節です。宰相になろうとする寇準に対し、嘉祐が「ならない方がよい」と諫め、寇準がその見識に感服します。
問1:正解 ③(配点5)
<問題要旨>
二重傍線部X「議」、Y「沢」の意味の組合せを選ぶ問題。
<考え方>
Xは「外間議準云何」=世間は私(寇準)をどう論評しているか、という文脈なので「論評する」。Yは「沢生民」=人民に恩恵を及ぼす、という文脈なので「恩恵を施す」。よって③です。「沢」には潤す・恵みを与えるという意味があることを押さえておきましょう。
問2:正解 ①・③(配点各6)
<問題要旨>
波線部Ⅰ「知之」、Ⅱ「知開封府」の解釈を選ぶ問題。
<考え方>
Ⅰは「嘉祐平時若愚駃、独寇準知之」=嘉祐は普段は愚かで鈍いように見えたが、ただ寇準だけがそれ(=嘉祐が実は愚かでないこと)を知っていた、という文脈なので①。Ⅱの「知+官庁名」は「〜の長官を務める」という漢文の定型なので、「開封府の知事を務めていた」の③です。
問3:正解 ④・③(配点各5)
<問題要旨>
傍線部A「丈人不若未為相。為相則誉望損矣」の書き下し文と解釈を選ぶ問題。
<考え方>
「不若〜」は「〜に若かず」=〜に及ばない、つまり「〜する方がよい」という比較の句法。「丈人未だ相と為らざるに若かず。相と為れば則ち誉望損なはれん」と読むので、書き下し文は④。解釈は「あなたはまだ宰相とならないほうがよろしいでしょう。もし、あなたが宰相となれば、あなたの名声は損なわれるでしょう」の③です。
問4:正解 ③(配点7)
<問題要旨>
傍線部B「言聴計従」について、誰の言・計が誰によって聴かれ従われるのかを選ぶ問題。
<考え方>
この句は「自古賢相所以能建功業沢生民者、其君臣相得皆如魚之有水。故言聴計従、而功名倶美」という文脈の中にあります。魚と水にたとえられる君臣の関係が良好だからこそ、賢相の言葉が聴かれ計略が従われるのです。したがって(ⅰ)賢相、(ⅱ)君の③が正解。
問5:正解 ②(配点8)
<問題要旨>
傍線部C「嘉祐所以恐誉望之損也」と嘉祐が述べる理由を選ぶ問題。
<考え方>
嘉祐は「今あなたは天下の重望を負っており、宰相になれば朝廷の内外はあなたに太平の実現を求めるだろう。あなたは明主に対して、魚と水のような関係になれるだろうか」と述べます。つまり皇帝と一体の関係になれなければ太平は実現できず、人々の期待は裏切られる、という論理です。②が正解。
問6:正解 ④(配点8)
<問題要旨>
傍線部D「殆不能勝吾子也」の説明を選ぶ問題。
<考え方>
寇準は嘉祐の手を取って「元之(父の王禹偁)の文章は天下一だが、深い見識と遠い配慮にかけては、ほとんどあなたにかなわない」と言います。嘉祐は君臣関係のあり方を踏まえて寇準の進退を的確に諫めており、見識の高さという点で父を上回ると評されたのです。④が正解です。
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