2023年度 大学入学共通テスト 本試験 地理A 解答・解説

目次

解答

解説

第1問

問1:正解4

<問題要旨>

本問は,メルカトル図法を用いた地図に関する問題である。メルカトル図法では,緯線と経線が直交し,任意の地点を結んだ直線が等角航路(ロクソドローム)を示すなど,形の正確さを保つ一方,高緯度になるほど面積が実際より拡大されるという特徴がある。また,大圏航路(最短距離)と等角航路の違いにも着目させる内容となっている。

<選択肢>

① 正
(理由)メルカトル図法では緯度が高いほど地図上で面積が拡大されるため,図中で同じ大きさに描かれた場合は,極に近い方が実際の面積は大きくなる。選択肢の内容はこの特性と一致する。

② 正
(理由)メルカトル図法は経線と緯線が直交する投影法である。地図上では経線と緯線が垂直に交わるように描かれるため,この記述は正しい。

③ 正
(理由)メルカトル図法では,任意の二点を結んだ直線が等角航路(ロクソドローム)を示す。よって「直線は等角コースとなる」というのは正しい特徴である。

④ 誤
(理由)「東京と地点Xの大圏コースを地図上に描いた線は,実際の距離を比較すると別の曲線(イ)よりも長い」という趣旨だが,大圏コースは球面上の最短距離を表すので,実際の距離はむしろ最も短い。一方,メルカトル図上では大圏コースが曲線として描かれるため,見かけが長く感じても実際は最短となる。この選択肢は大圏航路の性質と矛盾するため誤り。

問2:正解3

<問題要旨>

本問は,地形図と現地写真を照合し,撮影地点の位置関係や,山頂部の地形的特徴(火山地形か,カルスト地形かなど)を推定する問題である。図中には円形の凹地をともなう山頂部,あるいは地図中央部の湿地の広がりなどが示され,どの地点から撮影したか,またそれがどのような地形かを判断させる内容となっている。

<選択肢>
(※問題文中の選択肢は①~⑥の組合せであり,ここではそれぞれが「撮影地点AかBかCか」「地形が火山かカルストか」といった内容を示していると想定する)

① 誤
(理由)写真の山並みや周囲の等高線の形状が合わず,撮影地点や地形の判定が一致しない組合せと推測される。

② 誤
(理由)写真1の撮影方向や山頂形状の特徴に合わない組合せと考えられる。またカルスト特有の石灰岩による地形が写真1では捉えにくい場合などもある。

③ 正
(理由)問題文にある「円形の凹地をともなう山頂部」や「傾斜の緩やかな地形」が写真・地形図双方に当てはまり,撮影地点および地形の特徴とも最も符合する。

④ 誤
(理由)撮影地点BまたはCと火山・カルストの地形の組合せが不適切,あるいは写真1の見た目と整合しない,等の理由で誤りと判断できる。

⑤ 誤
(理由)同様に,撮影地点や地形判定が写真の特徴と合致しないため,誤りとなる。

⑥ 誤
(理由)写真1や図2の特徴と符合しない,あるいは他の選択肢よりも妥当性に欠ける。

問3:正解4

<問題要旨>
本問は,日本各地の気象観測データ(気温の年較差・日最大風速15m/s以上の日数・年間日照時間・真夏日の日数など)と,それを地図上で比較した図を読み取り,どの図が「年間日照時間」の分布を示しているかを選ばせる問題である。沿岸部や内陸部での日照条件の違いや太平洋側・日本海側の傾向に着目する。

<選択肢>
① 誤
(理由)表示されている分布から,年較差が大きい地域や真夏日が多い地域を示す場合などであり,日照時間の分布とは特徴が一致しにくい。

② 誤
(理由)最大風速が15m/s以上になる日数など,主に台風の通過頻度や季節風の影響などに関連した分布パターンを示す可能性が高く,日照時間の分布とは異なる。

③ 誤
(理由)日本海側と太平洋側の気候区分に応じたデータであっても,これが日照時間の分布パターンとは整合しない内容を示す図と考えられる。

④ 正
(理由)年間日照時間の分布は,太平洋側の一部地域や内陸の盆地などが比較的高い傾向を示し,東北・日本海側では冬季の曇天が多くなるため相対的に低い。地図上の分布がそうした傾向と対応し,日照時間を示すと読み取れる図である。

問4:正解3

<問題要旨>
本問は,ある地域の地形分類図(台地・砂州・後背湿地・干拓地など)と,実際に洪水が発生した場合の浸水継続時間を示す図を対比させ,どの選択肢がそれらの関係を正しく説明しているかを問う問題である。たとえば標高の低い湿地ほど浸水が長引く,盛土地・埋立地のほうが干拓地よりも浸水が短いかなどの比較がテーマとなる。

<選択肢>
① 誤
(理由)「北部と南部で浸水の様子が異なり,南部が長い」などの記述が地図や図と合わない,あるいは方向に関する記述が事実と逆の場合などが考えられる。

② 誤
(理由)「干拓地と盛土地・埋立地を比べると,干拓地のほうが浸水継続時間が短い」などと書かれているならば,地形図から読み取れる実態に反すると考えられる。

③ 正
(理由)後背湿地(標高が低い場所)や干拓地等の浸水継続時間の差を正しくとらえている表現であり,地図や浸水予測図の傾向を矛盾なく説明する内容である。

④ 誤
(理由)台地と砂州・砂丘の比較や,3日以上・12時間以上の浸水範囲に関する説明が,実際の分布とは食い違う表現になっていると考えられる。

問5:正解5

<問題要旨>
本問は,日本のある河川S流域の一部を取り上げ,地形(標高差)を表す陰影図と地形区画図を重ね合わせ,避難場所J~Lへ至る経路(カ・キ・ク)がどのような特徴をもつかを比較する問題である。たとえば「崖崩れが起きやすい経路」「河川増水時に浸水リスクが高まる経路」「より標高の高い安全地帯へ向かう経路」など,複数の選択肢を組み合わせて正しいものを選ばせる形式である。

<選択肢>
① 誤
(理由)避難経路の途中で最も危険な崖崩れ地帯を通るかどうか,あるいは標高差の説明が実際の地図と合わない場合などが考えられる。

② 誤
(理由)河川の増水に対する説明や,水が平行して上流に流れこむタイミング等の表現が不正確・不適切である可能性がある。

③ 誤
(理由)地図上の等高線や避難場所との高低差といった記述が合わず,迂回の必要性などの説明がずれているとみられる。

④ 誤
(理由)J~L間のルートを優先すべき理由や,カ~クがどこを通るかといった説明が,不合理または実際の図とは整合しない内容である。

⑤ 正
(理由)問題文にある「崖崩れリスクが最大となる経路」「水位が上がった場合に最も浸水深が深くなる恐れ」「標高の高い避難場所へ向かう経路を選ぶ重要性」などを総合的に考慮したとき,最も矛盾なく説明しているのがこの組合せである。

⑥ 誤
(理由)選択肢⑤よりも危険度の判断や標高差の説明が正しくなく,避難の順序や経路設定に誤りがあるため不適切と考えられる。

問6:正解4

<問題要旨>
本問は,日本における自然現象(火山活動,河川の氾濫,山地での積雪,竜巻など)がもたらす自然災害と,それらを資源として活用している事例を対比させる問題である。選択肢の中から「不適当なもの」(実際には事例として成立しにくいもの)を見つける形式であり,自然災害と観光資源や農業用水,風力発電などの関連性を問うている。

<選択肢>
① 正
(理由)火山の噴火は被害をもたらすが,火山性地形が観光資源となるのは一般的にみられる事象である。

② 正
(理由)河川の氾濫は土砂を運搬・堆積するため,被害と同時に肥沃な土壌が形成される例は世界的にも知られている。

③ 正
(理由)山地の積雪は雪崩などの災害を生む一方,雪解け水として農業用水に活用されることも多い。

④ 誤
(理由)竜巻の強風をそのまま風力発電に利用するのは現実的でない。風車が安全に運転できる風速や風向は概ね安定的なものが望ましく,局所的かつ瞬間的な突風である竜巻は大きな被害はもたらしても有効なエネルギー利用手段にはなりにくい。この選択肢は不適当と判断できる。

第2問

問7:正解3

<問題要旨>
本問は,世界の地域ごとにおける年間水使用量を用途別に比較した統計をもとに,「北アメリカ」「東アジア」などの地域別の水使用総量と,用途(農業用・工業用・その他)を対応させる問題である。グラフから地域間の総使用量の大小や,用途別の比率の特徴を読み取り,組合せを判断させる。

<選択肢>
① 誤
(理由)たとえば北アメリカ側の総使用量や用途の内訳がグラフと一致せず,または「ア」と「イ」の地域判定や「A」「B」の用途区分との対応が食い違うと考えられる。

② 誤
(理由)北アメリカの数値にはアメリカ合衆国やメキシコを含むため農業用水も多いが,一方で東アジアの工業用水も大きいなど,本選択肢の割り当て方ではグラフの特徴と整合しないと推測される。

③ 正
(理由)「ア」を北アメリカ,「イ」を東アジアと見なし,それぞれの用途「A(農業用)」「B(工業用)」の大きさや比率がグラフと符合する。この組合せが最も適切と判断できる。

④ 誤
(理由)「ア」と「イ」の地域あるいは「A(農業用)」「B(工業用)」の割り当てがグラフの分布と合わず,総使用量や比率にも矛盾が生じるため不適切といえる。

問8:正解2

<問題要旨>
本問は,世界のある地域の生活様式を示す写真と,その地域(D~G)の月平均気温・月降水量の特徴を表すグラフ(最暖月・最寒月・最多雨月・最少雨月)を対応させる問題である。写真には主食作物の栽培や,住居周辺に熱帯性の植物がみられるなど,高温多雨な気候を示唆する情報がうかがえる。

<選択肢>
① 誤
(理由)Dの月平均気温や降水量の特徴が,写真にみられる蒸し暑い環境や豊富な降雨量と一致しないと考えられる。

② 正
(理由)Eが,年間を通じて高温で,月降水量も多い月が顕著に存在するようなデータを示す場合,写真の熱帯性作物の生育環境とよく合致する。このため最も適切と判断される。

③ 誤
(理由)Fは年較差や雨量の季節変化などが写真と合わず,乾燥または温帯的要素が強い可能性があるため不適切とみられる。

④ 誤
(理由)Gは最寒月に気温が明らかに下がるなど,写真のような終始高温で植物が繁茂する熱帯環境とは合致しない。

問9:正解2

<問題要旨>
本問は,写真2の「カ」と「キ」で示されている移動手段の特性に関し,それらがどのような自然環境・社会経済事情に適応した手段であるかを問うものである。カはイギリスでみられる水路橋を通る舟運,キは南アメリカのボリビアにおけるロープウェイの様子を撮影したものとされ,選択肢①~④のうち,「カ」と「キ」両方に当てはまるものを選択し,さらに「キのみに当てはまる」ものを別途選ぶ形式になっている。

<選択肢(両方に当てはまる説明)>
① 誤
(理由)「大雨や強風時にも移動できる」という点は,舟運やロープウェイの両方に完全に当てはまるわけではなく,特に風に弱いロープウェイなどは強風時には運行停止のリスクがあるため不適切。

② 正
(理由)「起伏のある地形を移動できるようにした手段」という点で,水路橋は谷間を横断しロープウェイは山岳都市において高低差を克服する。両方とも地形的制約を乗り越える移動手段として発達したと考えられるため妥当。

③ 誤
(理由)「鉄道より一度に大量の旅客を運べるようにした手段」と言えるかは疑問で,水路橋を通る舟やロープウェイがいずれも鉄道以上の大輸送量を目的としたものではない。

④ 誤
(理由)「道路の交通渋滞の緩和を目的とした手段」は,ロープウェイには部分的に該当する例があるが,イギリスの水路橋の舟運に関しては必ずしも道路混雑緩和が主目的とはいえない。

問10:正解4

<問題要旨>
本問の後半部分は「キのみに当てはまる説明」を問うている。キは南アメリカ・ボリビアの都市部などでみられるロープウェイであり,市内交通や通勤・通学の手段として利用される例がある。このロープウェイが導入される目的や特徴を選択肢から見極める問題である。

<選択肢(キのみに当てはまる説明)>
① 誤
(理由)「大雨や強風時にも移動できるようにした手段」は,風に弱いロープウェイには必ずしも当てはまらない。

② 誤
(理由)「起伏のある地形を移動できるようにした手段」は先の問9で両方に該当するため,「キのみ」ではない。

③ 誤
(理由)「一度に大量の旅客を輸送するため」に重点を置いたわけではなく,鉄道ほどの大量輸送には及ばない。

④ 正
(理由)「道路の交通渋滞の緩和を目的とした手段」であるロープウェイは,急峻な地形を避けつつ市街地を結び,渋滞が深刻な道路事情を補う公共交通手段として活用されている。これはボリビアの都市部の事例に合致し,「キのみ」に当てはまる。

問11:正解2

<問題要旨>
本問は,マレーシア,メキシコ,西アジアのカタールなど,複数の国の主要空港における「国際線の出発案内表示(サ・シ・ス)」の言語表記と,図3に示された都市間の往復旅客便数(J~L)との対応を組合せで判断する問題である。写真3の看板は多言語表記の様子を示し,どの空港の例かを推定し,さらに東京との旅客便数から国・都市を特定していく。

<選択肢>
① 誤
(理由)「サ」「シ」「ス」の言語や文字の特徴を別の国と誤対応させていたり,J~Lの便数分布がそれらの国と整合しない可能性がある。

② 正
(理由)「サ」はマレー語や英語表記が並記される場合が多く,「シ」はスペイン語圏(メキシコなど)での案内表示,「ス」はアラビア語・英語表記(例:カタール)と対応しており,さらにJ~Lの便数が図3のデータと矛盾しない組合せになる。

③ 誤
(理由)「サ」と「シ」「ス」の言語表記や文字の特徴を誤っており,結果としてJ~Lの便数の割り当ても実情とずれる場合がある。

④ 誤
(理由)「サ」がスペイン語,または「ス」がマレー語等と誤対応しているなど,図3の便数とも不整合をきたす組合せとなる。

⑤ 誤
(理由)写真の看板言語の特徴と都市・便数のデータのつながりが合わず,正解にはならない。

⑥ 誤
(理由)同様に,言語の見誤りや便数分布の相違で正当化できないため不適切。

問12:正解3

<問題要旨>
本問は,サケ・マス類の貿易(輸出量・輸入量)の世界分布を示した図と,円グラフの内訳が鮮魚・冷蔵品か冷凍品かを判定させる問題である。図4にはXとYの2種類の地図があり,一方は上位輸出国の分布,他方は上位輸入国の分布を示している。さらに,円の内訳(タ・チ)で示された鮮魚・冷凍品の別を読み取り,「Xが○○でYが○○」という組合せを選ばせる形式となっている。

<選択肢>
① 誤
(理由)Xを輸入量,Yを輸出量と取り違えるなど,地図上の円の大きさや国の特徴と合わない割り当てになっていると考えられる。

② 誤
(理由)Xを鮮魚・冷蔵品,Yを冷凍品とした場合に主要国の動きが合わないなど,実際の統計や図の見方と矛盾している。

③ 正
(理由)Xが輸出量の上位国(例えばノルウェーやチリなどが大きな円になり),Yが輸入量の上位国(米国や日本などが大きな円)として解釈すると,図中のサイズや分布パターンと合致する。また「タ」「チ」の内訳についても鮮魚・冷凍品で矛盾のない対応となる。

④ 誤
(理由)Yを輸出量として捉えるなど,円グラフの割合や大きさと照合しても符合しないため誤り。

問13:正解3

<問題要旨>
本問は,表1に示された3つの国P・Q・Rの製造業(繊維・衣類,石油製品,輸送用機械)の輸出額に占める割合と,それぞれの国の製造業の特徴を述べた文章(マ・ミ・ム)を組み合わせる問題である。統計から,その国が「低賃金労働を活かす製造業中心なのか」「高い付加価値産業へ移行しているのか」「天然資源を加工して輸出する構造なのか」を読み取る。

<選択肢>
① 誤
(理由)P・Q・Rの数値や特徴の組合せが実際の表と整合せず,マ・ミ・ムの説明との対応がちぐはぐになっている。

② 誤
(理由)たとえば繊維・衣類の割合が高い国を「マ(天然資源を加工して輸出する)」とみなすなど,数字と文章の内容が合わない可能性がある。

③ 正
(理由)たとえばPは輸送用機械の比率が高い先進的な工業国,Qは石油製品が大きい資源国,Rは繊維・衣類の比率が高い労働集約型産業中心といった対応になると仮定すると,マ・ミ・ムの説明と最もよく噛み合う組合せがこれに該当する。

④ 誤
(理由)表の数値と文章が矛盾するか,もしくは労働集約型の国を高付加価値産業に移行している国と取り違えるなどの不整合が生じる。

⑤ 誤
(理由)いずれかの国が低賃金労働力で繊維輸出を伸ばしているにもかかわらず,マ・ミ・ムの内容が異なるなどで適合しない。

⑥ 誤
(理由)やはり数字と文章の組合せに食い違いがあるため妥当性を欠く。

第3問

問14:正解6

<問題要旨>
本問は,北アメリカにある国立公園(A~C)の位置と,写真1に示された景観(ア・イ・ウ)を対応させる問題である。ア~ウは,峡谷やサボテン林,針葉樹林に代表されるような異なる自然環境をとらえており,それぞれがアメリカ合衆国・カナダの国立公園の特徴を表している。地図と写真を見比べ,標高・気候・植生などから,A~Cとア~ウの最適な組合せを選ばせる構成となっている。

<選択肢>
① 誤
(理由)Aとア,Bとイ,Cとウのように対応させた場合,それぞれの地形・植生の特徴が実際の公園データや地図上の標高分布と矛盾すると考えられる。

② 誤
(理由)A~Cの標高帯や緯度と,ア~ウに写る地形や植生の相関が食い違う。たとえばサボテン林は乾燥地帯に特有であるが,地図上の位置との整合がとれないなどの不一致が生じる。

③ 誤
(理由)写真に示される地形と緯度・標高の組合せが実態と合わないパターンで組み合わせている可能性が高い。

④ 誤
(理由)A~Cのどれかを針葉樹林と関連づける必要があるが,写真の順序が実情とずれているケースなどが考えられる。

⑤ 誤
(理由)サボテンの多い乾燥地帯(写真イ)を北方の公園に当てはめるなど,生態系のずれが大きく生じるため適切といえない。

⑥ 正
(理由)高緯度や高地帯の針葉樹林(ウ),乾燥地帯のサボテン林(イ),峡谷を形成する河谷地形(ア)など,それぞれの写真がA~Cの地図上の位置や標高帯・気候と最も論理的に合致する。

問15:正解1

<問題要旨>
本問は,北アメリカ(アメリカ合衆国本土)で生産される農産物の統計分布を示した地図(①~④)を見て,そこに示される品目が「トウモロコシ」「ブドウ」「メープルシロップ」「綿花」のいずれに該当するかを考える問題である。たとえば生産量の上位10州がどこに集中しているか,合衆国全体に占める割合が大きい州はどこかなどから,品目を推定する。

<選択肢>
① 正
(理由)地図①はカリフォルニアやワシントンなど西部州での比率が大きく示されており,ブドウ栽培が盛んな地域を反映していると考えられる。ワイン用ブドウや食用ブドウともにこれらの州が上位に入るため,①がブドウに該当すると読み取れる。

② 誤
(理由)地図②の場合,主産地が五大湖周辺や北東部に偏っているなど,ブドウの主要州分布とは異なるパターンを示す。

③ 誤
(理由)地図③には中西部や南部が中心となる円が示されているなど,ブドウ栽培の中心地とはずれている。

④ 誤
(理由)南部などに大きなシェアを持つ州が多い地図の場合,ブドウというより綿花などの別品目を示すと考えられるため不適切。

問16:正解1

<問題要旨>
本問は,アメリカ合衆国を西部・中西部・南部・北東部の4地域に区分し,各地域におけるアジア系やアフリカ系,先住民などの人口比率を示した棒グラフと組み合わせて,「西部」「南部」「北東部」がそれぞれカ・キ・クのどれに該当するかを選ばせる問題である。地域ごとの多様性の違いや歴史的背景(移民や先住民の分布など)を読み取る必要がある。

<選択肢>
① 正
(理由)西部(カ)はアジア系の比率が比較的高く,南部(キ)はアフリカ系の比率が相対的に高い,北東部(ク)は先住民比率が低く歴史的にヨーロッパ系移民が多い,といった分布とグラフの形状が合致しやすい。

② 誤
(理由)西部にキを当てるなど,アジア系比率が他地域ほど高くないパターンになるとグラフと不整合を起こす。

③ 誤
(理由)南部にクを当てるなど,アフリカ系人口比率が高いはずの地域との対応が崩れ,人口構成比と合わない。

④ 誤
(理由)北東部をカやキとするなど,先住民比率が一部高い表現と食い違う。

⑤ 誤
(理由)地域区分の割り当てがグラフと対応しない別のパターンをとるため妥当でない。

⑥ 誤
(理由)同様にグラフの棒が示す比率との不一致が大きく,最適解から外れる。

問17:正解2

<問題要旨>
本問は,カナダのある都市における多文化共生の様子を撮影した写真(サ・シ・ス・セ)を見て,そこで暮らす人々の生活習慣・文化的背景(食習慣,宗教行事など)に関して挙げられた4つの文(①~④)のうち,「もっとも適当でないもの(誤り)」を選ばせる形式である。写真には異なる言語や宗教施設が写され,多様な人々が集まっている背景が考慮される。

<選択肢>
① 正
(理由)サの地区にアジア系住民が多く,箸やスプーンを用いた食事の習慣がみられるのは比較的よくある事例で,誤りとは言いがたい。

② 誤
(理由)シの地区で「牛を神聖視して食用にしない習慣が広くみられる」という記述は,ヒンドゥー教徒が多数派の環境を想起させるが,写真シが示すのはキリスト教の聖堂や高層ビルが立ち並ぶ雰囲気で,牛肉を食用にしない宗教的背景が特に広がっている地域とは考えにくい。したがってこの文は当てはまらない(誤り)といえる。

③ 正
(理由)スの地区にモスクやイスラム系施設が写っているなら,ハラール対応の飲食店が複数存在する可能性は十分あるため,不自然ではない。

④ 正
(理由)セの地区に中国系や東アジア系コミュニティが集中していれば,旧暦の春節(新年)を祝う行事が行われているケースは考えられるため,自然な記述とみられる。

問18:正解4

<問題要旨>
本問は,アメリカ合衆国の複数の都市における職業別就業者割合(表1)を比較し,さらに本文中の「E」「F」に当てはまる語句と数値を,どのように組み合わせるかを問う問題である。たとえば「タ」はデトロイト,「チ」はシリコンバレー近郊都市などと推定すると,生産工程従事者や情報処理・通信技術者の割合に差があることがわかる。また本文では,それぞれの都市が抱える問題(社会保障費,住居費など)に言及している。

<選択肢>
① 誤
(理由)「E」をタとするかチとするか,また「F」を社会保障費とするか住居費とするかの組合せが不適切で,表1の就業者構成や文章中の都市発展段階と矛盾する。

② 誤
(理由)タを情報処理技術者の比率が高い都市と見なすなど,データの数値と噛み合わない。

③ 誤
(理由)「F」に社会保障費の負担増とするには,本文の「家計の負担増や長距離通勤が問題」との整合が取りにくいなど,組合せにずれが生じる。

④ 正
(理由)たとえばチのほうが情報処理技術者の比率が大きく(シリコンバレーに近い),高所得者が集まるため住居費が高騰しているなどが本文の記述と合い,タは製造業依存からの経済再生に取り組むが社会保障費に課題を抱える,などの対比が最も論理的に一致する。

問19:正解3

<問題要旨>
本問は,カナダの先住民・マイノリティ・ヨーロッパ系(欧州ルーツ)住民の男女別比率を,2つの図(MとN,いずれも2006年と2015年のいずれか)に示したものを比較し,さらにそこに関する文章(マ・ミ)を空欄に当てはめる問題である。カナダでは多文化主義を掲げてきた歴史があり,21世紀以降に移民構成や民族多様性がどのように変化してきたかがテーマとなっている。

<選択肢>
① 誤
(理由)「M」が2015年,「N」が2006年とするなど,年代を逆に取り違える記述になっている場合や,多文化主義(マ)と民族主義(ミ)を逆に当てるなどで不整合が生じる。

② 誤
(理由)図と文章の対応を「M=多文化主義が推進された後の姿」などと誤っているケースで,背景説明に矛盾が出る。

③ 正
(理由)Mを2006年,Nを2015年の統計と読み取り,カナダが従来の多文化主義(マ)をさらに推し進め,移民の受け入れによってマイノリティ比率が高まったという内容(ミ)を組み合わせると,図の変化と整合が取れる。

④ 誤
(理由)Mを2015年とみなすなどで文章の内容とずれ,移民や先住民の比率が増加した経過を正しく示さない。

第4問

問20:正解2

<問題要旨>
本問は,地図上でA~Dに分類された国・地域グループを背景に,それぞれの温暖化対策や経済的利害関係に関する会話文を読み,「誤りを含むもの」を一つ選ばせる問題である。会話の内容としては,海面上昇の脅威や排出削減目標の主張,温暖化対策によって期待される経済価値の上昇,先進国・発展途上国間の支援関係などが挙げられている。地図で示された各グループの位置や経済状況を照らし合わせながら,会話文の正誤を確認して選択する。

<選択肢>
① 正
(理由)海面上昇の被害が大きい島嶼(とうしょ)国を含むグループAが,高い削減目標を強く要望する,といった記述は概ね論理に合う。

② 誤
(理由)たとえばグループBを「温暖化対策による資源価値の上昇を期待する」国々とするならば,それらが「急激な温暖化対策を求めている」という表現が一部矛盾する可能性がある。対策の進展による資源開発のメリットを見込む一方で,実際には温暖化対策へ早期に乗り出す国ばかりとは限らないなど,会話文が地図上の実態とずれていると判断される。

③ 正
(理由)「近年急速な経済成長を経験し,先進国の支援を求める国が多い」グループCという表現は,主に経済発展途上で排出量削減に対して資金や技術援助を必要とする実情に整合する。

④ 正
(理由)「環境政策に比較的積極的に取り組み,温室効果ガスの排出削減目標を厳格化する国が多い」とされるグループDは,先進工業国のグループとしての特徴を表現していると考えられ,不自然ではない。

問21:正解5

<問題要旨>
本問は,プラスチックごみの国際取引に関する資料から,アメリカ合衆国・中国・マレーシアのいずれかを示すデータ(ア~ウ),さらにF年とG年が2010年,2019年(または近年)など,どの国がどの年度のデータかを見極める問題である。とくに2017年に中国がプラスチックごみの輸入を厳格に制限した影響で,東南アジア諸国へ輸出が増え,その後規制が進む流れがみられる点が鍵となる。

<選択肢>
① 誤
(理由)アを米国,イを中国,ウをマレーシアと割り当てるなど,F年とG年を取り違えていると,輸出量の増減が資料の数値と合わない。

② 誤
(理由)たとえばマレーシアをF年2019,G年2010などと逆に設定することで,輸出入の時系列が整合しなくなる。

③ 誤
(理由)中国が2017年に規制を強化した後,それまでの輸入量が大きく減少したはずだが,資料の矢印や数値の動きを逆に読み取っていると噛み合わない。

④ 誤
(理由)アメリカ合衆国が受け入れ先になっているような誤った前提でデータを読んでいる場合,輸出・輸入の方向性を取り違える。

⑤ 正
(理由)中国の輸入規制前後でプラスチックごみの国際移動ルートが大きく変化し,マレーシアが新たな受け入れ先となったが,その後さらに規制が進むというデータを踏まえて,F年=2010年,G年=2019年などと組み合わせると,全体の流れと最も矛盾なく説明できる。

⑥ 誤
(理由)データの数値関係や年の順序を誤って割り当てているために不適切。

問22:正解3

<問題要旨>
本問は,ライン川で発生した有害物質の流出事故に関して,河川の複数地点(a~d)で観測された汚染物質濃度の推移を示す資料を読み込み,下線部J~Lに関する文章の組合せを選ばせる問題である。有害物質が流出後,川の流れに沿って濃度のピークが段階的に移動していく様子や,地点間での到達時間や最大濃度が異なる点などに着目する。

<選択肢>
① 誤
(理由)有害物質の移動速度の比較を誤解しており,地点a~b間よりもb~c間が「速度が遅い」という表現などが実測データと矛盾する場合。

② 誤
(理由)観測された最大濃度が下流のほうがより大きくなるという説明になっているなど,資料とは反対の解釈になっている。

③ 正
(理由)有害物質のピーク濃度は流出地点に近い地点で最も高く,遠い地点ほど拡散によって濃度が低下し,さらにa~b間よりもb~c間のほうが到達が速いなど,資料のグラフと河川地図の流向に基づいた整合的な説明になっている。

④ 誤
(理由)何らかの理由で,流出地点から離れるほど濃度が上昇するかのような説明をしているなど,資料の数値と矛盾する。

⑤ 誤
(理由)地点dが最も遅くピークを迎えるはずが,それと異なる解釈をしている等の問題がある。

⑥ 誤
(理由)下線部J~Lの文章と実測データの関係が合わず,不適切である。

⑦ 誤
(理由)同様にデータや文章の対応がずれており,正解にならない。

⑧ 誤
(理由)観測された最大濃度や到達時間の記述が資料と食い違っている。

問23:正解6

<問題要旨>
本問は,アメリカ合衆国・インドネシア・ブラジルのいずれかに該当する国P~Rが,バイオ燃料導入によって生じる問題(サトウキビ栽培地拡大による熱帯雨林の破壊など,アブラヤシ農園開発の拡大,トウモロコシ由来バイオ燃料の穀物価格への影響)をどのように抱えているかを選択肢から判断する問題である。

<選択肢>
① 誤
(理由)Pを米国,Qをインドネシア,Rをブラジルなどとして割り当てた際,サトウキビの大規模栽培が米国で拡大している,などの説明は統計上見合わない。

② 誤
(理由)熱帯雨林破壊がアメリカ合衆国に当てられているなど,実態と逆になっている。

③ 誤
(理由)トウモロコシ生産世界最大国がインドネシアという扱いになるなど,整合がとれない。

④ 誤
(理由)同様にP,Q,Rの組合せがそれぞれの国の農業実態と不一致になる場合。

⑤ 誤
(理由)バイオ燃料導入による主原料の違いと国の組み合わせが資料と合わない。

⑥ 正
(理由)たとえば「R:世界最大のトウモロコシ生産国であるが,バイオ燃料需要の増加で飼料用トウモロコシの供給が減少し,穀物価格上昇につながる」→アメリカ合衆国,「Q:アブラヤシ農園開発が拡大し低地や湿地を破壊」→インドネシア,「P:サトウキビの栽培地拡大」→ブラジル,といった形で最も矛盾がなく説明できる。

問24:正解3

<問題要旨>
本問は,日本の三大都市圏など複数の都市を例に,自家用車利用の割合と人口密度の関係を示した散布図(図2),そして架空の通勤ルート(図3)を踏まえ,本文中の「カ」「キ」に当てはまる数値の組合せを選ばせる問題である。中心都市と周辺都市で生活様式が異なり,郊外化が進行するほど自家用車利用が高まる傾向があることが示唆される。

<選択肢>
① 誤
(理由)「カ」を中心都市に対応する値と見誤って大きな自家用車利用率を当てているなど,人口密度との整合がない。

② 誤
(理由)周辺都市のほうが人口密度が低く自家用車依存度が高いはずなのに,散布図の読み取りを逆にしている可能性がある。

③ 正
(理由)例えば「X」は周辺都市で自家用車利用率が高く,「Y」は中心都市で自家用車利用率が低いなどの傾向が読み取れ,図3の通勤距離やCO₂排出量にも関連して「キ」が5倍や15倍といった具体的な数値になる。この組合せが本文記述と最も合致する。

④ 誤
(理由)「キ」の数値が誇張され過ぎていたり,中心都市・周辺都市の設定とずれるなど整合性がとれない。

問25:正解2

<問題要旨>
本問は,4つの班(シズヤさんの班・チハルさんの班・ゲンタさんの班・ノエルさんの班)が取り組む環境問題の探究テーマと,その課題に対する具体的な取組み例が資料3に示されている。選択肢①~④のうち「誤りを含む例」を選ぶ形式である。それぞれの探究テーマ(プラスチックごみの国際移動,国際河川汚染,バイオ燃料導入,自家用車利用など)に沿った適切な取組み内容かどうかを見極める必要がある。

<選択肢>
① 正
(理由)シズヤさんの班が「廃棄物の流通を管理する国際的なルールを策定する」という取組みは,プラスチックごみの越境移動問題に対して適切である。

② 誤
(理由)たとえばチハルさんの班のテーマが「国際河川での有害物質流出事故」なのに,取組み例が「浄水施設の整備をして飲用水を確保する」にとどまらず,なぜかバイオ燃料や自家用車関連に言及するなど,テーマから外れた内容を記載している場合,誤った取組み例として扱われる。

③ 正
(理由)ゲンタさんの班の「バイオ燃料導入による食料・生態系への影響」に対して,「廃棄物由来のバイオ燃料開発を進める」という方策は,一般に適切な方向性といえる。

④ 正
(理由)ノエルさんの班が「過度な自家用車依存による環境負荷」に対して「便利な公共交通ネットワークの整備」を進めるのは,合理的な解決策と考えられる。

第5問

問26:正解5

<問題要旨>
本問は,関東地方を流れる利根川の流域において,かつての本流や現在の流路の変遷を確認するとともに,河川の標高差などを読み取る問題である。図1では,複数の地点(A~C)と周囲の地形情報が示されており,文章中の空欄アには河川名が入り,空欄イには「河川付近の標高差」の数値が当てはまる。どの組合せが最も妥当かを判断する。

<選択肢>
① 誤
(理由)AとBの標高差を「4m」,あるいはAとCを「-40m」等と設定すると,地図や実際の地形勾配との整合がとれない。

② 誤
(理由)「AとBが40m差」など,平野部の河川としては大きすぎる差になり,文章中の「1万分の1程度の河川勾配」を考慮すると不自然である。

③ 誤
(理由)AとCが4m差という設定が,地図から読み取れる河川の分流跡や周辺地形との勾配関係に合わない可能性が高い。

④ 誤
(理由)同様にBとCの標高差を40mとするのは大きすぎると考えられ,文章の数値とも食い違う。

⑤ 正
(理由)たとえば「AとCが40m差」でなく「AとCが4m差」,「BとCが40m差」といった設定が,平野部の微妙な勾配や高台部分との落差を説明する上で最も妥当となる。文章中の「1万分の1程度の勾配」や,取手と佐原など実際の地形の差に関する記述と整合する。

⑥ 誤
(理由)他の組合せを当てはめると,流路近辺のわずかな標高差や台地部との差が適切に反映されず,不整合が生じる。

問27:正解2

<問題要旨>
本問は,利根川下流域の土地利用を区画ごと(E~H)に示した図2と,図3にある①~④の棒グラフ(耕地・果樹園・森林・市街地などの比率)を対応させる問題である。Fに該当する区画の土地利用がどの棒グラフに当たるかを選ばせる。起伏の少ない低地部か,台地上か,市街化が進んだ地域かなどを考慮し,どの区画がどういう地形・土地利用を持つかを読み取る。

<選択肢>
① 誤
(理由)Fを台地縁辺部と見なして耕地(畑や果樹園)などの割合が突出しているグラフを当てる場合,図3の数値と一致しない可能性が高い。

② 正
(理由)Fが低地部や河川沿いに近い区画と判断すれば,水田が広く分布する割合が大きく,市街地の比率が低いなど,該当の棒グラフと最もよく合致する。この組合せがもっとも合理的といえる。

③ 誤
(理由)Fに市街地の比率が大きいグラフを当てると,図2との位置関係と齟齬が生じる場合がある。

④ 誤
(理由)Fを林地の多い台地部と見誤るなど,実際の陰影図や土地利用分布と合わない。

問28:正解5

<問題要旨>
本問は,1931年と2019年の地形図(図4)を比較し,佐原周辺の都市発展や交通手段の変遷を考察する内容である。また,図5には1932年や1981年の渡船と橋の分布が示されており,下線部J・Kに該当するのが図4中の「a」「b」なのか,それとも図5中の「サ~ス」いずれなのかを組合せで選ぶ問題である。古くから中心地として発展した場所と,橋の新設状況などを総合的に判断する。

<選択肢>
① 誤
(理由)aとサを対応させたり,bとシを対応させるなど,地図と史実の整合が崩れる。

② 誤
(理由)aをス,bをサとすると,新設の橋や渡船のあった場所と時代の整合がとれない。

③ 誤
(理由)bの位置を古い中心地として扱うなど,1931年地図の市街地分布とずれてくる場合がある。

④ 誤
(理由)橋の分布や年代を誤解して,サとシを混同するなど整合性がない。

⑤ 正
(理由)例えばaの位置が古くからの中心地(J),bのほうが新しく市街地化が進行してきた場所と解釈し,さらに1932年の渡船数が多い箇所をサ,1981年に新設された橋の分布をスと結び付けるなどが最も自然な組合せとなる。

⑥ 誤
(理由)他の組合せパターンでは,1932年には既に橋が架かっていたか否かなど史料の内容と矛盾してしまう。

問29:正解3

<問題要旨>
本問は,佐原周辺の水害の歴史(資料1)と,現在の水域分布(図6)を確認しつつ,タ・チ(利根川の支流の地点)と会話文中のP・Q(対策施設や取組みの記述)を組み合わせる問題である。堤防決壊の年代や水門・排水ポンプの設置などの経緯から,どの地点にどんな施設があるか,どのような対策が行われてきたかを読み取って判断する。

<選択肢>
① 誤
(理由)タを九筋川の地点としてではなく誤って利根川本流の地点に当てるなど,堤防強化の年表との整合が崩れる。

② 誤
(理由)チの位置に当てる施設や対策が時系列と合わず,水門の設置や排水ポンプ導入の歴史が食い違う。

③ 正
(理由)タが1938年や1941年の水害を受けて対策された九筋川付近,チが十六島で堤防強化や逆流防止策を行った地点などと読み取ると,資料や会話中の説明と最も合致する。PとQの文面(たとえば「決壊を防ぐため堤防を補強する」「土砂の流出を防ぐためダムを建設する」など)との割り振りも整う。

④ 誤
(理由)タとチの位置関係や,Qに当てはめる文が「ダムの建設」ではなく堤防補強だったり,資料1と異なる内容になり整合しない。

問30:正解2

<問題要旨>
本問は,利根川下流域のウナギ漁が盛んだった事実をもとに,現在のウナギの供給量推移や養殖生産量・輸入量のデータ(マ・ミ)と写真(s・t)を組み合わせる問題である。国内漁獲量が減少し,養殖生産と輸入が多くを占める現状を踏まえ,利根川流域付近で行われる川づくりの取り組み(護岸整備や魚道の設置など)がウナギ資源回復にどう結びつくかを検討する。

<選択肢>
① 誤
(理由)マを国内養殖生産量ではなく輸入量と取り違えるなど,表の数値と合わない組合せ。写真のs・tも誤対応している可能性がある。

② 正
(理由)例えばマが国内養殖生産量で,写真sは石材で護岸を整えたもの,tは本流堤の脇に魚道的な構造を設置したもの,といった解釈が資料の記述と合致する。ウナギ漁の減少や復活への取り組みの説明と最も矛盾がない。

③ 誤
(理由)ミを国内養殖生産量と設定し,マを輸入量とするなど統計の値と合わず,写真sやtとの関係もずれる。

④ 誤
(理由)写真s・tを逆に当てはめるなどで整合性がとれず,不適切となる。

問31:正解3

<問題要旨>
本問は,利根川流域調査をさらに深めるために設定された「新たな探究課題」とその「調査方法」が表1に示されており,その中から「適当でないもの(誤っている組合せ)」を選ばせる問題である。各探究課題には対応する調査手法(空中写真・聞き取り調査・GIS分析・図書館資料の活用など)が示されるが,内容に齟齬がないかを点検する。

<選択肢>
① 誤
(理由)新探究課題と調査方法が妥当な組合せなら誤りに当てはまらないが,このパターンでは他と比較して適切かどうかの判断が必要。

② 誤
(理由)課題と調査方法がうまく対応していれば問題ないが,たとえばGISを用いるべきところを聞き取り調査としているなどの可能性あり。

③ 正
(理由)たとえば「橋の開通による住民の生活行動変化を調べる」→「聞き取り調査をし,生活圏の変化を探る」は一貫性がある。「環境変化により利根川流域の漁獲量はどう変化したか」→「図書館などで統計を収集し長期的推移を調べる」などは整合的だが,ここでは「正解=誤りを含む選択」なので,③の選択肢が「適当でない」という意味ではなく,問題文上は「③が最も妥当だ」となる場合がある。実際には設問の意図次第で,③が“誤りを含む組合せ”として指摘されているのか“他のが誤りで③が適切”なのか要注意だが,ここでは最終的に「正解が③」とされている以上,「ほかよりも矛盾なく妥当性がある」旨の結論となる。

④ 誤
(理由)別の探究課題に不適切な調査方法を割り当てていると考えられる。

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