2025年度 大学入学共通テスト 追試験「物理基礎」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。
解答
解説
2025年度(令和7年度)大学入学共通テスト追試験「物理基礎」の全3大問・14設問について、解答と考え方をまとめました。50点満点(「物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎」のうち2科目を選んで100点満点)、試験時間60分(2科目合計)。
第1問は発電・磁石・エネルギー・熱の小問集合、第2問は摩擦の実験、第3問はA乾電池の内部抵抗・B気柱の共鳴です。第3問Aは「新しい乾電池と古い乾電池を一緒に使わないでください」という身近な注意書きの理由を回路で説明する問題で、内部電圧の差 0.40 V が内部抵抗だけの回路を駆動してしまう——という結論が鮮やかです。
第2問は表の数値から速さを求める場面があります。前後の時刻の位置の差を使う(中央差分)と精度よく求められることを覚えておくと、実験考察問題全般で役に立ちます。
第1問(必答) 小問集合
発電方法の利点と問題点、磁石とはかり、力学的エネルギーのグラフ、鉛の粒の温度上昇。配点16点。
問1(解答番号 101) 発電方法の利点と問題点
<考え方>
「少量の燃料から大量のエネルギー」=核分裂、「資源の枯渇の恐れがない」=太陽光、「出力の調整が容易」=火力、と特徴語を手がかりに割り振ります。
(a) 資源が枯渇しない/CO₂を出さない/出力調整が困難 → 太陽光発電 (b) 出力調整が容易/CO₂を出す → 火力発電 (c) 少量の燃料で大量のエネルギー/CO₂を出さない/事故の被害が広範囲 → 原子力発電 ア(原子力)= (c),イ(太陽光)= (a),ウ(火力)= (b)
101 = ⑤
問2(解答番号 102) 磁石を吊るしたペットボトルとはかり
<考え方>
磁石Bにはたらく力は、重力 W(下向き)・糸の張力 T(糸は底面に固定されているので下向き)・磁石Aからの引力(上向き)の3つ。はかりの目盛りは「系全体の重さ」なので、内部の力は関係ありません。
磁石Bのつりあい:引力 = W + T はかりの目盛り = ペットボトル30g + 磁石A 30g + 磁石B 30g = 90 g
102 = ⑥(W+T/90 g)
問3(解答番号 103・104) 鉛直投げ上げのエネルギーグラフ
<考え方>
103は力学的エネルギー保存 K+U=一定 を K=E−U と読み替えるだけ。104は v=v₀−gt を K=½mv² に入れます。
103:K = E − U(一次関数・右下がりの直線)
104:v = v₀ − gt
K = ½m(v₀ − gt)²
→ 下に凸の放物線で、最高点(t = v₀/g)で 0 になり
そこでの傾きも 0
103 = ①(直線)、104 = ③(下に凸の曲線)
問4(解答番号 105) 落下による鉛の温度上昇
<考え方>
50回ぶんの位置エネルギーがすべて熱になったとして、Q=mcΔT を使います。質量の単位を g のままにすれば比熱の単位と揃うのがポイント。
失われた位置エネルギー = 50 × 0.500 kg × 9.8 m/s² × 1.0 m = 245 J Q = mcΔT 245 = 500 g × 0.130 J/(g·K) × ΔT ΔT = 245 / 65 = 3.77 ≒ 3.8 K
105 = ③(3.8 K)
第2問(必答) 摩擦の実験
ばねはかりで最大摩擦力を測り、超音波センサーで動摩擦下の運動を測る、実験重視の大問。配点16点。
問1(解答番号 106) 静止摩擦力の性質
<考え方>
物体が動かないということは、加えた力 F と摩擦力がつりあっているということ。最大摩擦力は「動きだす直前」の F として測れます。
ア:静止摩擦力の大きさは F と等しい イ:物体が動きだす直前の F を測る
106 = ③
問2(解答番号 107) 静止摩擦係数
<考え方>
最大摩擦力 f_max = μN = μmg なので、グラフの傾きが μg になります。
グラフの傾き ≒ (2.84 − 0.92) N / (0.75 − 0.25) kg
= 1.92 / 0.50 = 3.84 N/kg
μ = 3.84 / 9.8 = 0.39 ≒ 0.38
107 = ②(0.38)
問3(解答番号 108) 時刻 1.00 s での速さ
<考え方>
前後の時刻を使った中央差分(0.90 s と 1.10 s の位置の差を 0.20 s で割る)が最も精度のよい求め方です。
v(1.00) ≒ (60.52 − 40.45) cm / 0.20 s
= 20.07 / 0.20 = 100 cm/s = 1.0 m/s
108 = ⑥(1.0 m/s)
問4(解答番号 109) 動摩擦力についてわかること
<考え方>
等加速度運動=合力が一定。おもりが引く力も一定なので、差である動摩擦力も一定でなければなりません。速さは時々刻々変わっているのに摩擦力は変わらない、というのが結論です。
等加速度 → 合力一定 合力 = 糸の張力 − 動摩擦力(どちらも一定) 速さは増え続けているのに摩擦力は一定 → 動摩擦力は速さによらない
109 = ①
問5(解答番号 110) 台車に置き換えたときのグラフ
<考え方>
台車はなめらか(摩擦なし)なので加速度が大きくなります。どちらも等加速度運動なので距離は時間の2乗に比例し、放物線を描きます。
ブロック:ma = T − f(摩擦あり) 台車 :ma = T(摩擦なし) → 台車の方が加速度が大きい どちらも x = ½at²(放物線)で、台車の方が上
110 = ①
第3問(必答) A 乾電池の内部抵抗/B 気柱の共鳴
Aは「新しい乾電池と古い乾電池を混ぜて使ってはいけない理由」を回路で説明する問題。Bはリコーダーを開管とみなす問題。配点18点。
問1(解答番号 111) 抵抗で消費される電力
<考え方>
P=VI と I=V/R を組み合わせます。
I = V/R P = VI = V·(V/R) = V²/R
111 = ④(V²/R)
問2(解答番号 112) 電球の抵抗値
<考え方>
内部抵抗 r と電球の抵抗 R_L が直列。全体で V = I(r + R_L)。
V = I(r + R_L) R_L = V/I − r = (V − rI)/I
112 = ⑥((V−rI)/I)
問3(解答番号 113) 新旧の乾電池を並列につなぐと
<考え方>
二つの乾電池を並列につなぐと、スイッチを切っていても二つの内部電圧の差が二つの内部抵抗の直列回路を駆動してしまいます。これが発熱・液漏れの原因です。
電圧の差:1.50 − 1.10 = 0.40 V 内部抵抗の和:0.80 + 1.20 = 2.00 Ω I = 0.40 / 2.00 = 0.20 A → (a) 内部抵抗での消費電力 P = I²(r₁ + r₂) = 0.20² × 2.00 = 0.080 W → (d)
113 = ①((a)と(d)) 古い電池に逆向きの電流が流れ続けるのが危険
問4(解答番号 114) 開管の基本振動
<考え方>
大きさではなく振動数を上げていくと共鳴が起きます。開管の基本振動は λ=2L、f=v/(2L) なので、管が長いほど振動数は小さくなります。
開管の基本振動:λ = 2L f = v/λ = v/(2L) → L が大きいほど f は小さい
114 = ⑤(振動数/長さが長いほど小さい)
問5(解答番号 115) リコーダーの波長
<考え方>
まず λ=v/f で波長を出し、開管の関係 λ=2L から管の長さを求めます。指穴を開けると開口端が上がり、管が 16 cm 短くなります。
λ = 340 / 360 = 0.944 m ≒ 94 cm λ = 2L より L = 47 cm 指穴を開けると L′ = 47 − 16 = 31 cm λ′ = 2L′ = 62 cm
115 = ⑤(94 cm/62 cm)
※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

