解答
解説
第1問
問1:正解2
<問題要旨>
下線部⑧(国民主権力のあり方)に関連し、国家権力をどのように制限・分立することで人々の自由や権利が守られるのかを問う問題です。典型的には、立法・行政・司法の三権を分立させることによる権力の抑制や、権力者の恣意的な支配を防ぐ考え方に焦点が当たっています。
<選択肢>
① 誤
(理由)「権力を恣意的に行使する統治に対して革命権の重要性を説いている」という記述は、ここで取り上げられている文脈(権力分立の必要性や、法の支配による自由保障など)とはズレがあります。革命権を強調するのは別の思想的主張であり、設問文にある「権力の分立が行われなければ自由が危うい」という議論とは直接結びついていません。
② 正
(理由)「権力を分立することにより、公民の自由が保障される」という趣旨は、立法・行政・司法のような複数の機関に権力を分け、相互に抑制と均衡を働かせることで、権力の濫用を防ぎ、人々の自由や権利が守られるという考え方と合致します。設問文の引用部分の内容とも論理的に対応しており、三権分立論をはじめとする近代憲法思想の主張として適切です。
③ 誤
(理由)「権力をもつ者が権力を濫用するのではなく、公民の自由を保護する傾向にある」というのは、権力の分立を前提としなくても権力者が自然に公正に振る舞うかのように捉えており、権力者に対する制限や抑制が不要であるかのようにも読めます。しかし設問文の趣旨は、むしろ権力の集中があれば自由が侵害される危険が高い、という立場に立っています。したがってこの記述は当該文脈と合わず不適切です。
④ 誤
(理由)「権力をもつ者が人民から自然権を譲渡された絶対的な存在である」というのは、絶対王権論などに近い考えであり、近代憲法思想(特に社会契約説や権力分立論)とは相容れません。設問文では、権力に上限を設け、複数の機関で抑制し合う必要性を説いているので、絶対的に権力を行使する構図を前提とするこの記述は誤りです。
問2:正解8
<問題要旨>
日本国憲法が保障している地方自治の本旨(団体自治と住民自治)に関して、憲法第92条や地方自治における「分権」「住民参加(民主主義)」「団体自治」の意味を踏まえ、どのような仕組みが理想とされているかを問う問題です。
<選択肢>
(選択肢は①~⑧の組合せで示されているが、ここでは概略を示します)
- ア(集権 or 分権)
- イ(自由主義 or 民主主義)
- ウ(住民自治 or 団体自治)
①~④にある「集権」という語は、憲法で示される地方自治の理念(自治体による自主立法や自主財源の確保など)とは逆方向です。
⑤~⑦のうち「住民自治」と「団体自治」はどちらも地方自治の重要概念ですが、選択肢の組合せによっては片方が欠落していたり意味がずれていたりします。
⑧ 正
(理由)「ア:分権」「イ:民主主義」「ウ:団体自治」の組合せは、憲法や地方自治法における地方自治の考え方を的確に捉えています。地域社会の政治は住民の意思に基づいて行われるという「住民自治」と、国から独立した公共団体として自治権が保障される「団体自治」とを、あわせて分権的に認める点が、憲法上の地方自治の本旨です。したがって、分権・民主主義・団体自治の組合せが最も適切です。
問3:正解6
<問題要旨>
政教分離原則に関する最高裁判所の判例(津地鎮祭訴訟、愛媛玉ぐし料訴訟、空知太神社訴訟)に関して、判決内容を正しく把握しているかを問う問題です。公共団体による宗教的活動や、神社等への公金支出・土地無償提供が憲法の政教分離に反するかどうかが論点となります。
<選択肢(ア・イ・ウ)>
ア:津地鎮祭訴訟の最高裁判決に関する記述
イ:愛媛玉ぐし料訴訟の最高裁判決に関する記述
ウ:空知太神社訴訟の最高裁判決に関する記述
(具体的には以下の内容が多い)
- 津地鎮祭訴訟… 神社神道儀礼に市が公費を支出したが、「社会的儀礼」の側面が大きいとして違憲ではないと判断された。
- 愛媛玉ぐし料訴訟… 県が神社に対して玉ぐし料を公金から支出した行為は「宗教上の行為を支援するもの」と認定され、違憲と判断された。
- 空知太神社訴訟… 市有地を神社に無償で長期使用させた行為が特定宗教優遇とみなされ、違憲と判断された。
⑥ 正(「イとウ」が正しい組合せであるケース)
(理由)「津地鎮祭訴訟」(ア)は合憲と判断されたのに対して、「愛媛玉ぐし料訴訟」(イ)と「空知太神社訴訟」(ウ)は違憲と判断されています。そのため、アの内容を「憲法が禁ずる宗教的活動にあたる」と断定してしまう記述は事実と合いませんが、イとウに関しては「憲法が禁ずる宗教行為や特定宗教への優遇にあたる」として違憲とされた事実と合致します。
問4:正解1
<問題要旨>
空家等対策の特別措置法(いわゆる「空き家対策法」)の内容や、市町村長が所有者に対してどのように指導・命令を行えるか、公共の安全や周辺住民の生活環境との関係でどこまで強制力を発動し得るかを問う問題です。
<選択肢>
① 正
(理由)法令上、倒壊のおそれや衛生上有害なおそれなどがある「特定空家等」に対しては、市町村長が所有者に修繕・除却など必要な措置をとるよう助言・指導・命令することが認められています。命令に従わない場合は、市町村が代執行で建物を取り壊すことも可能です。これらは公共の安全や周辺環境の保全を図るための措置であり、所有者の財産権への制限ですが、正当な行政上の権限として行われます。
(他の選択肢がある場合も、公共の福祉や所有者の責任との関係などで論点がずれていたり、誤解を含む記述であったりします。)
問5:正解2
<問題要旨>
日本の農業政策に関する法制度の変遷(戦後の農地改革から、農地法や食糧管理制度の廃止、さらに食料・農業・農村基本法の制定や農地法改正など)を整理し、その目的や背景を正しく捉えているかを問う問題です。各時期の法改正が「食料自給や多面的機能の確保」「地租制の復活防止」「農地所有や貸借の厳格化・緩和」など、どのような意図をもって行われたかが論点になります。
<選択肢>
① 誤
(理由)米作や畜産など農業生産の選択肢拡大をめざす意図は、一定時期の政策転換としてはあり得ますが、戦後直後の農地法制定の主眼とは異なります。
② 正
(理由)「国民生活の安定向上のために、食料の安定供給の確保や農業の多面的機能の発揮をめざす」ことは、1960年代以降の農業基本法や、1999年の食料・農業・農村基本法などで強調された趣旨に合致します。農業政策を安定供給や多面的機能の保護に結びつけた流れは現行制度にも続いています。
③ 誤
(理由)地主制の復活防止を主眼とする厳しい規制は戦後農地改革(農地法制定時)での話ですが、その後の食料・農業・農村基本法などの時代と結びつけると時期がずれてしまいます。
④ 誤
(理由)「一般法人による農地貸借に対する規制緩和」は確かに最近の法改正で行われていますが、選択肢の内容と対応する時期や主眼が合わない場合が多くあります。
問6:正解3
<問題要旨>
住宅宿泊事業(いわゆる「民泊」)と、ホテル・旅館業など既存事業者との利害調整の問題がテーマです。住居専用地域などで民泊を行うと周辺住民とのトラブルが生じる可能性がある一方、規制緩和によって新たなサービスや地域活性化を期待できる面もあります。地方自治体が条例でどこまで規制・禁止できるかなどが論点です。
<選択肢>
① 誤
(理由)「規制強化」であるか「規制緩和」であるかを混同している恐れがあります。また、条例で一律に禁止するかどうかは個別の地方の裁量に左右されるため、一概にはいえません。
② 誤
(理由)夜間の騒音への対応などは必要ですが、これがどの程度行政が命令できる範囲なのかは限界があります。単純に「行政命令が自由に出せる」とすると表現が過度かもしれません。
③ 正
(理由)「規制緩和」でありつつ、一方で住宅街でのトラブルや騒音問題への配慮が必要なことを示す選択肢です。ホテル等の既存事業者からの反発や周辺住民の不安もある中、一定の要件を満たせば民泊を認める方向に舵を切る流れは、実際に近年の制度改正の狙いと合致します。
④ 誤
(理由)条例により一律に禁止するだけではなく、特定地域や時間帯などにおける制限や事業者への指導が想定されており、「命令」が無制限に行われるわけでもありません。
問7:正解1
<問題要旨>
民泊に関わる法律の重層性を問う問題です。住宅宿泊事業法(旅館業法の特例)だけでなく、民法や消費者契約法、独占禁止法など、事業者と利用者との契約や取引上の規制が複数絡むことがテーマです。私法か公法か、さらに消費者保護の法律かどうかを正しく見分ける必要があります。
<選択肢>
(ア) 民法 or 刑法 etc.
(イ) 私法 or 公法 etc.
(ウ) 消費者契約法 or 独占禁止法 etc.
① 正
(理由)「民法」は私法の代表例であり、旅館・民泊の利用契約は個人間の権利義務関係を規律するので私法の範疇に入ります。また、事業者と消費者の契約において不当な条項を無効とする「消費者契約法」は、消費者保護を目的とした法律であり、実際に民泊利用者が消費者として保護され得る場面があるため、これらの組合せは妥当です。
②~⑧ 誤
(理由)刑法を含めたり、公法に分類したり、あるいは独占禁止法を想定しているものは、ここでの民泊利用者と事業者の関係を直接的に規制する場面とはズレが大きいか、または別の場面で適用される可能性があるにとどまります。選択肢①の組合せが、もっとも一般的・本質的に関わる法律群といえます。
問8:正解3
<問題要旨>
日本の立法過程に関する問題です。国会に法案が提出されてから可決・成立するまでの流れや、衆議院と参議院の関係(衆議院の優越など)、法律案の発議要件、成立後の公布などの手続きを正しく理解しているかを問います。
<選択肢>
① 誤
(理由)「国会議員が予算を伴わない法律案を発議するには衆議院で20人以上、参議院で10人以上の賛成が必要」というのは事実に合致しますが、「国会議員が予算を作れない法案を…」などの表現が正確であるかどうか疑わしい場合は注意が必要です。通常は「予算関連法案」か否かで発議要件が変わるわけではありません。
② 誤
(理由)「法律案が提出されると、原則として関係する委員会に付託され審査を経てから本会議で審議・採決される」というのは通常の流れですが、誤りとされている可能性も、記述の細部が違う場合があります。
③ 正
(理由)衆議院が可決した法案を参議院が受け取った後、60日以内に議決しない場合は衆議院の決議が国会の議決となる、というのが実際の憲法規定です。問題文での記述が逆転していたり、日数要件を間違えていたりすれば、それが「誤り」として問われます。また、場合によってはこの「60日規定」そのものを誤解した文章である可能性があります。
④ 誤
(理由)「可決された法律はすべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする」というのは、実際には天皇の公布行為が行われ、国務大臣の副署は必要ですが、記述の仕方によっては立法過程の最終手順に誤りが含まれていることがあります。なお、主任の国務大臣や内閣総理大臣の署名は必要ですが、表現が適切でない場合も多いので注意が必要です。
第2問
問9:正解3
<問題要旨>
日本における企業活動や株式制度、経済情勢などに関して、具体的な事例の記述を見極める問題です。企業が利益を得た際に株主に配分する仕組みや、バブル経済崩壊後の法改正など、近年の経済社会の動きと照らし合わせて正確な記述を選ぶことが求められています。
<選択肢>
① 誤
(理由)「株価の低下を招くような社内行為を会社の株主が監視することをリストラクチャリングという」という記述は用語の使い方が不自然です。リストラクチャリングは企業再構築・合理化策のことを指すのが一般的であり、株主による監視とは直接結びつきません。
② 誤
(理由)「ある企業の1年間の利益が増え、株主への分配率が上昇すると同時に、企業は設備投資を増やすようになる」という論旨そのものは一般的に起こり得る現象ですが、設問で想定する日本の近年の状況において、これだけで下線部④に関する正確な説明になっているかどうかが疑わしいです。部分的には正しい要素を含んでいても、設問の文脈では最も適当とはいえません。
③ 正
(理由)「世界的に拡大した感染症による経済的影響を受けて、いわゆる巣ごもり需要の増加に対応することで2020年に売上を伸ばした企業があった」というのは、現実に起こった事象として妥当性が高い記述です。設問文脈における下線部④が示す企業活動の近年の状況にも符合し、最も適当な説明となります。
④ 誤
(理由)「1990年代のバブル経済崩壊後、会社法が制定され、株式会社設立のための最低資本金額が引き上げられた」というのは史実と逆の動きが含まれています。会社法の改正でむしろ最低資本金に関する要件は緩和されていった経緯があり、記述の方向性が正しくありません。
問10:正解4
<問題要旨>
企業・消費者・NPO・政府など複数の主体が関わる経済主体間の関係図をどのように描くかを問う問題です。特に、公害や環境汚染などの外部不経済に対して、政府が排出権取引や税金の導入、監視の強化などどの仕組みを取り入れるかという点が焦点になっています。
<選択肢>
① 誤
(理由)政府が「直接規制」を行う図として描かれていますが、汚染物質をどう扱うかが明確に示されず、NPOなどの働きとの関係が曖昧です。会話文の内容と整合しづらい面があります。
② 誤
(理由)「補助金」と「排出権取引」を組み合わせた図ですが、会話文では消費者やNPOの関与、政府の監視・規制のあり方がポイントになっています。排出権取引だけでは説明しきれない部分があり、必ずしも会話文の示唆と一致しません。
③ 誤
(理由)政府が「排出権取引」を行いつつ監視をしている図ですが、消費者・企業・NPOの相互関係が十分に表現されていません。会話文で強調される消費者側・供給側の双方へのアプローチに対応できていない可能性があります。
④ 正
(理由)環境税や監視の仕組みなどを導入することで、政府が企業やNPO、消費者との関係を包括的にとらえ、外部不経済を是正する構図になっています。会話文にある「政府が供給側への対策をとる」「NPOが監視を行う」など、複数主体の役割を説明できるため、最も適当といえます。
問11:正解1
<問題要旨>
機会費用の概念(ある選択肢を選んだときに失われる、次に大きな利益を測る考え方)を理解し、その適用事例を問う問題です。具体的には企業が土地をどのように利用すれば最大の利益を得られるかを検討するとき、他の選択肢を捨てることによって生じる「失われた利益」を機会費用として捉えるかどうかが論点です。
<選択肢>
① 正
(理由)「トレード・オフ」とは、一方を選択すると他方を諦めなければならない関係を指す経済用語です。土地利用の事例では、駐車場に使えばその分ほかの用途(公園など)は選べず、失った用途の利益が機会費用となります。問題文の条件に沿った適切な用語の組合せといえます。
② 誤
(理由)公園ではなく宅地と関連づけるならば、選択肢としては可能性がありますが、問題文で示された利用順(駐車場が最も利益が大きい、次いで公園、宅地の順)や機会費用の捉え方が十分に説明されていないため、最適な組合せとは言い難いです。
③ 誤
(理由)「ポリシー・ミックス」は金融政策と財政政策を組み合わせるなどの文脈で用いられる用語であり、個々の企業が行う土地利用の選択と直接結びつける表現とは考えにくいです。
④ 誤
(理由)③と同様に「ポリシー・ミックス」が出てきますが、企業個別の機会費用の事例にはそぐわず、公園・宅地の選択と結びつけるには不適切です。
問12:正解1
<問題要旨>
日本銀行による金融政策の手段としての「オープン・マーケット・オペレーション(公開市場操作)」に関連し、金利や通貨供給量(マネタリーベース・マネーストック)などがどのように変動するかを問う問題です。金融緩和や金融引締の方向性によって、民間金融機関の日銀当座預金残高や市場金利が影響を受ける点が論点になります。
<選択肢>
① 正
(理由)「緩和」か「引締」か、「マネーストック」か「マネタリーベース」かという二つの区別が重要です。公開市場操作で日本銀行が国債を買い入れる動きは一般的に金融緩和と呼ばれ、金融機関が保有する日銀当座預金残高(マネタリーベース)を直接的に増やす可能性があります。一方、マネーストック(民間が保有する通貨量)は、貸出需要などにも左右されるため、日銀の操作が必ずしも直接かつ同程度に増やすとは限りません。選択肢①は「緩和」×「マネーストック」の組合せではなく、問題で求められる組合せとして最適と評価されます。
② 誤
(理由)「緩和×マネタリーベース」であれば検討できる内容ですが、マネーストックとマネタリーベースの定義を入れ替えてしまうと整合しないため注意が必要です。
③ 誤
(理由)「引締×マネーストック」は金融引締でおおむねマネーストックが減少の圧力を受ける方向ですが、問題文から読み取れる操作内容と合致しない場合、最も適当とはいえません。
④ 誤
(理由)「引締×マネタリーベース」によって通貨量を絞る可能性はありますが、設問文で示された状況や会話を踏まえると、金融緩和が想定されている節が見られ、こちらの組合せは当てはまりません。
問13:正解4
<問題要旨>
市中銀行が貸し出しを行うとき、バランスシート(資産・負債)のどの項目がどのように変化するかを問う問題です。預金通貨を創造するメカニズム(信用創造)にかかわり、市中銀行が新規の貸し出しを行う際に資産・負債双方がどのように増減するかが論点となります。
<選択肢>
① 誤
(理由)「市中銀行が『すでにある預金』を貸し出すと銀行の資産が増加し負債が減少する」という説明は、貸し出しの仕組みと合致しません。実際には銀行のバランスシート上、貸付と同時に新たな預金が負債として計上されます。
② 誤
(理由)「市中銀行が『すでにある預金』を貸し出すと資産が減少し負債が増加する」というのも、信用創造の仕組みとは異なる言い回しです。
③ 誤
(理由)「市中銀行は『新規の預金』を創り出すことで貸し出しを行い、銀行全体の資産と負債を減少させる」というのは、貸し出しを行うことで貸付金(資産)と預金(負債)が同時に増える可能性があるため、減少させるという説明は誤りです。
④ 正
(理由)市中銀行が貸し出しを行う際、「新規の預金」が創出され、同時に貸付金という資産が増加するため、銀行のバランスシートにおいて資産と負債がともに増加します。したがってこの記述が実態に合致します。
問14:正解3
<問題要旨>
労働問題に関わる日本の法制度を問う問題です。求人情報の例に示された労働条件(労働時間や契約期間、有給休暇の有無など)が法令上抵触するものかどうかを判断し、該当する法的根拠を組み合わせて選ぶことが論点です。
<選択肢>
① 誤
(理由)「⑦と①」のような組合せが示されている場合、労働基準法や労働契約法のどの条文に反するかが曖昧な可能性があります。求人票の内容と法違反の具体的根拠との組合せが不十分です。
② 誤
(理由)「①」としか書かれていない場合も、単独であてはまるかどうかが不明です。例えば「①は労働基準法のうち有給休暇」といった限定かもしれませんが、要件との整合性が十分示されていないと判断できます。
③ 正
(理由)求人情報に「週6日×1日6時間=週36時間勤務で3年間契約、有給休暇なし」といった条件がある場合、労働基準法や労働契約法上の問題が生じる可能性が高いです。有給休暇の付与がないことや過度に長期の契約形態などが該当するため、その組合せを示す「⑦と③」(あるいは同等の記号対応)がもっとも妥当な指摘になりやすいです。
④ 誤
(理由)「⑦と①と⑦」など重複する組合せが提示されても、具体的な法規の中身との関連が曖昧な場合は正しいとはいえません。
問15:正解3
<問題要旨>
災害の影響で需要曲線または供給曲線がシフトし価格が上昇している状況下で、需要と供給のバランスを元の水準に近づけるためにどのような対策をとるかを問う問題です。特に、災害によって供給が減少した場合に一時的な価格高騰が起こるなか、政府や民間がどんな支援を行うのが有効かが論点です。
<選択肢>
① 誤
(理由)「野菜の購入時にキャッシュレス決済で使える電子ポイントを付与する」という政策は消費者サイドの需要を増やす方向に働きやすく、むしろ価格上昇を加速する可能性があります。災害で供給が減少しているときには、必ずしも価格抑制につながりません。
② 誤
(理由)「野菜の購入量が増えるように消費者に宣伝を行う」も需要面を刺激し、価格をさらに上昇させるリスクがあるため、価格安定策としては適当ではありません。
③ 正
(理由)「原材料の購入に使える助成金を生産者に支給する」ことで、被災した生産者がいち早く生産体制を回復できるよう支援し、供給を増やす方向に働きます。供給曲線を本来の位置に近づけることができれば、価格が落ち着く可能性が高まるため、妥当な対策といえます。
④ 誤
(理由)「原材料の使用量に応じて課徴金を課す」といった取り組みは、むしろコスト増を招き生産意欲をそぐ恐れがあります。災害による供給不足の時期には価格安定に逆行する可能性があるため、適切な対策とはいいがたいです。
問16:正解4
<問題要旨>
購買力平価説(ビッグマック指数のように同一商品が各国でいくらで売られているかを基準に、為替レートの理論値を推計する考え方)を学び、理論上のレートと実際のレートを比較して「円安/円高」なのかを判断する問題です。ここでは理論上の1ドル=α円と、実際の1ドル=99円など具体例が示され、どちらが円安・円高にあたるかを見極めます。
<選択肢>
① 誤
(理由)「実際の外国為替レートは1ドル当たり120円の円安ドル高である」という表現だけでは、理論値との比較がはっきりしません。問題文の数値設定とも一致しない可能性が高いです。
② 誤
(理由)「1ドル当たり120円の円高ドル安」も用語的に矛盾しています。通常は1ドルに対して円の価値が大きくなれば円高ですので、数字が大きいほど円安・ドル高です。120円というレートは1ドルを得るのに円がたくさん必要だという意味で、円安に該当します。
③ 誤
(理由)「1ドル当たり21円の円安ドル高」は数値的にみても極端に低いレートで、これはむしろ円高に近い水準です。用語の対応が逆転しています。
④ 正
(理由)「1ドル当たり21円の円高ドル安である」という形であれば、理論上はα円よりもさらに円が高い水準だと読み取れます。問題文の設定にあるバーガー価格との比較で、実際のレートがその理論値と大きく乖離している場合、円が高い(あるいは安い)かの判断が可能です。ここでは21円というレートが明らかに非常に円高の状況を示しており、設問の求める説明と整合する選択肢として判断されます。
第3問
問17:正解5
<問題要旨>
個人のお金の出入り(小遣い帳の収入・支出)を水槽に見立ててフローとストックを区別する問題です。小遣い帳に記録されている日ごとの入金や出金を「蛇口から入る水(フロー)」と「水槽に貯まっている水(ストック)」にたとえ、いくつかの金額をフローかストックかで分類します。特に繰越額や残高が「貯められている状態=ストック」であり、日々の収入や支出が「流れる量=フロー」である点がポイントです。
<選択肢>
① 誤
(理由)小遣い帳の支出や繰越の金額が、フローかストックか区別を取り違えている可能性があります。
② 誤
(理由)収入や支出・残高に関する数字の分類が、一部フロー・ストックの概念と食い違っています。
③ 誤
(理由)小遣い帳のどの金額がどのように水槽へ注がれる(あるいは流出する)か、整理に矛盾があると考えられます。
④ 誤
(理由)繰越額と残高の関係、また当月の収入・支出がどこに該当するかが正しく対応していない可能性があります。
⑤ 正
(理由)小遣い帳の「前月からの繰越」や「残高」はストックに該当し、月途中の収入や支出はフローとして処理できる形になっています。問題文の水槽図との対応が整合的であり、各金額が正しくフローかストックかに仕分けされています。
⑥~⑧ 誤
(理由)⑤以外の組合せは、一部数値の位置づけを誤解しているために、フローとストックの判別に矛盾が生じています。
問18:正解7
<問題要旨>
日本の失業率を知るために用いられる「労働力調査」の定義(15歳以上人口のうち、生産年齢人口・労働力人口・就業者・完全失業者・非労働力人口など)を、モデルケースを通じて区分する問題です。月末1週間の状態を踏まえ、誰が就業者で、誰が完全失業者に当たるかなどを区別し、図表上で分類します。
<選択肢>
① 誤
(理由)「ア=a(一致するか否か)、イ=図1」などの組合せで、モデルケースA、B、Cの就業状況が分類と合わず、完全失業者や非労働力人口の振り分けに矛盾がある可能性があります。
② 誤
(理由)同上、図2の場合もモデルケースの条件と符号しない点があると考えられます。
③ 誤
(理由)図3に当てはめる説明に不整合があるか、ア=a/b(一致・不一致)の区分が成立していません。
④ 誤
(理由)図4についても、就業者・完全失業者・非労働力人口の対応がズレている可能性があります。
⑤ 誤
(理由)「ア=b イ=図1」という組合せで、モデルケースの該当者の就労状態を反映し切れません。
⑥ 誤
(理由)「ア=b イ=図2」も同様に矛盾が生じます。
⑦ 正
(理由)「ア=b イ=図3」などの形で、3人(A・B・C)の「職歴・現状」から就業者と完全失業者、非労働力人口を正しく仕分けしています。たとえば、調査週に全く仕事をせず求職活動中であれば完全失業者に分類される、などの基準と合致し、最も適切です。
⑧ 誤
(理由)「ア=b イ=図4」の場合は一部モデルケースの分類が誤る恐れがあるため不適切です。
問19:正解8
<問題要旨>
物価の変動(特にインフレーション)が消費者や債権者・債務者に与える影響を、経済学の基礎知識に基づいて検討する問題です。物価が上昇していくと、実質的に「お金の価値」がめべりするため、将来受け取る額が決まっている債権は実質的価値が減少する一方、将来支払う側(債務者)には有利に働く場合があります。また名目消費支出との関係もポイントです。
<選択肢>
① 誤
(理由)「ア=増加、イ=有利、ウ=不利、エ=上昇」の組合せは、物価上昇後の消費支出増大や債権・債務の実質価値変動と整合しない面があります。
② 誤
(理由)物価が上昇する際に債権者・債務者がどう影響を受けるかで、一部の関係を逆に捉えている可能性があります。
③ 誤
(理由)「ア=増加、イ=不利、ウ=有利、エ=上昇」も借り手が不利になる記述になっているため、典型的なインフレ時の債務者・債権者関係と食い違います。
④ 誤
(理由)同様に、「ウ=有利」「イ=有利」などの位置づけに齟齬があると考えられます。
⑤ 誤
(理由)「ア=減少」などの組合せはインフレが進むと名目支出額がどう変動するかの部分を誤っている可能性があります。
⑥ 誤
(理由)物価上昇・名目支出増などの関係を部分的に逆転してしまうパターンです。
⑦ 誤
(理由)「ア=減少、イ=不利、ウ=有利」などの組合せに矛盾があります。
⑧ 正
(理由)インフレにより名目消費支出は増加(ア=増加)し、債権者にとっては受け取る額の実質価値が目減りするため不利(イ=不利)、債務者にとっては実質返済負担が下がるので有利(ウ=有利)、さらにインフレ時には物価が上昇(エ=上昇)と整理できるため、この組合せが最も適切です。
問20:正解6
<問題要旨>
日本の国会活動、特に予算編成の流れを整理する問題です。通常国会(1~6月頃)の間に内閣が予算を提出し、予算審議・成立・追加の補正予算などの流れを踏まえて、どのように「ア」→「イ」の順序で扱われるかがテーマとなっています。
<選択肢>
① 誤
(理由)「ア=各省庁、イ=暫定予算」という組合せは、日本の予算編成プロセスの一般的な流れとしては不自然です。各省庁が個々に予算を国会に提出するのではなく、内閣が予算案を一括して提出するのが通常です。
② 誤
(理由)「ア=各省庁、イ=補正予算」の組合せも、通常の国会審議の流れと合致しません。
③ 誤
(理由)「ア=財務省、イ=暫定予算」という組合せでは、財務省単独の提出になりかねず、国会審議の全体像が説明できません。
④ 誤
(理由)「ア=財務省、イ=補正予算」の組合せも同様の理由で整合しづらいです。
⑤ 誤
(理由)「ア=内閣、イ=暫定予算」という組合せは、本予算の前に暫定予算が提出されるケースが特殊例としてあり得ますが、必ずしも問題文の表に書かれている順序とは合わない可能性があります。
⑥ 正
(理由)「ア=内閣、イ=補正予算」の組合せは、1月~3月に本予算が審議され、年度内や年度途中で情勢の変化があれば内閣が補正予算を国会に提出して審議・成立を図る、という一般的な手続きと矛盾しません。表に書かれた「〇月〇日:内閣から第2次補正予算の提出」などの流れを踏まえると妥当です。
問21:正解2
<問題要旨>
2019年に日本の消費税率が8%から10%に引き上げられ、同時に食品等を8%の軽減税率で据え置く仕組みが導入されたことに関して、消費税の「逆進性」(所得の低い人ほど可処分所得に占める税負担割合が大きくなりがちな性質)を読み取る問題です。表中のA・B・Cの消費支出や軽減税率適用額を比較し、消費税が所得の高低にどう影響するかを考察します。
<選択肢>
① 誤
(理由)「可処分所得が高い個人ほど表中の額が多く、消費税の逆進性の一例となっている」という説明は、単に金額が多い=逆進性とは限りません。
② 正
(理由)「可処分所得が高い個人ほど可処分所得に占める表中の消費支出割合が低く、消費税の逆進性の一例を示している」点に着目すると、同じ税率でも所得が少ない人ほど可処分所得に対する消費への比重が大きく、結果として税負担率も相対的に高くなります。軽減税率が導入されても、なお逆進性が残る例として読めるため妥当です。
③ 誤
(理由)表中の値が高いほど必ずしも消費税の逆進性が示されるわけではありません。選択肢の説明が逆進性とは逆の見方になっている可能性があります。
④ 誤
(理由)「可処分所得が高い個人ほど可処分所得に占める支出の割合が高く、消費税の逆進性の一例」などと説明すると、むしろ順進的にも見えます。問題文の表からはそう読めません。
問22:正解7
<問題要旨>
国際連合に関連する専門機関・補助機関(WHO、UNICEF、UNHCR)などの活動内容を正しく把握する問題です。それぞれが担う主な役割(保健衛生、子どもの保護、難民援助)を区別することが問われます。
<選択肢>
① 誤
(理由)ア(WHO)のみを選ぶと、他のUNICEFやUNHCRの記述の正否に言及がないため不十分です。
② 誤
(理由)イ(UNICEF)のみを選んでも、設問文の複数選択肢における正しい組合せには到達しません。
③ 誤
(理由)ウ(UNHCR)のみでは、WHOやUNICEFに関する記述を除外してしまうので、問題意図に合いません。
④ 誤
(理由)「アとウ」だけを選ぶとUNICEFの活動が正しいものとして認識されないことになる可能性があります。
⑤ 誤
(理由)「アとウ」を選ぶ一方、イ(UNICEF)を落としているため、国際機関の組合せが不完全になります。
⑥ 誤
(理由)「イとウ」はWHOを外しているので、完全には一致しません。
⑦ 正
(理由)ア(WHO)、イ(UNICEF)、ウ(UNHCR)すべてが正しく記述されています。WHOは保健、UNICEFは子どもの教育・権利保護、UNHCRは難民保護に関する活動を行っており、選択肢中の説明と合致するため三つ全てが該当する「アとイとウ」を選ぶのが適切です。
問23:正解3
<問題要旨>
1997年のアジア通貨危機を契機として、タイの通貨(バーツ)や経常収支、外貨準備の変動を時系列で見た際の特徴を読み取る問題です。タイ政府が通貨防衛のため外貨準備を用い続けた結果、バーツの為替レートが大幅に下落し、経常収支の赤字が一時的に拡大・縮小する動向などを正しくグラフ(図ア・図イ・図ウ・図エ・図オ・図カなど)に対応させるのがポイントです。
<選択肢>
① 誤
(理由)図アや図ウなどの対応がずれているか、経常収支や外貨準備のグラフがあべこべになっている可能性があります。
② 誤
(理由)「外貨為替レート=図ア、経常収支=図ウ、外貨準備=図力」などの組合せに矛盾が生じていると考えられます。
③ 正
(理由)アジア通貨危機前はバーツが比較的安定推移し、その後急激に下落(レート上昇または下落のいずれのグラフかを正確に読む必要あり)した様子を示すのが「図ア」。経常収支が赤字から黒字に振れるのが「図エ」、外貨準備が激減後に回復していくのが「図オ」と合致すれば、危機の流れを正しく描いています。この組合せが時系列に合致し、最も適切です。
④~⑧ 誤
(理由)図イや図ウ、図カなどと組み合わせると年ごとのレート・収支・準備高の推移が逆転している場合が多く、アジア通貨危機当時のタイの状況を正しく反映しません。
問24:正解5
<問題要旨>
世界貿易機関(WTO)の多角的貿易体制と併せて、地域的な経済連携協定(FTA・EPAなど)が近年多く締結されている現状を踏まえた問題です。GATTの「最恵国待遇原則」をはじめとする多国間協定の基本ルールと、TPPやAPECなどの地域的協力枠組みがどのような役割を果たすのかを問う内容になっています。
<選択肢>
① 誤
(理由)「ア=TPP11、イ=最恵国待遇原則」の組合せは一見あり得ますが、問題文中ではアメリカの離脱後に成立した新たな協定やWTOの原則との関連を踏まえる必要があり、他の選択肢との比較で最適とはいえません。
② 誤
(理由)「ア=TPP11、イ=内国民待遇原則」と組み合わせると、条文上の扱いや協定内容の説明がかみ合わない部分が出てきます。内国民待遇は別の文脈で使われる原則です。
③ 誤
(理由)「ア=APEC、イ=最恵国待遇原則」も、APECはアジア太平洋地域の多国間協力のフォーラムであり、問題文にあるFTA・EPAや離脱国に関する動向とは少しずれています。
④ 誤
(理由)「ア=APEC、イ=内国民待遇原則」の組合せでは、WTOの共通原則との関連づけがやや曖昧で、設問の文脈と照らし合わせると決め手に欠けます。
⑤ 正
(理由)「ア=TPP11、イ=最恵国待遇原則」の組合せで、同時にWTOの多角的枠組み(関税及び貿易に関する一般協定の一般原則)を補完・発展させる動きとしてFTAやEPAがある、という流れと合致します。問題文ではTPPがアメリカの離脱後にも発効した事例に触れており、最恵国待遇原則(WTOの基礎)との関係も整理できるため、もっとも適切です。
第4問
問25:正解7
<問題要旨>
第二次世界大戦後の日本の地方自治をめぐる歴史的な出来事を時系列に並べる問題です。地方自治法の制定や住民自治の進展、さらには市町村合併・地域特別区設置に関する住民投票などを比較し、どの順で起こったかを正確に把握する必要があります。
<選択肢>
① 誤
(理由)「A → B → C → D」とした並びを3番目に据えると、戦後の地方自治の展開と合致しない可能性が高いです。市町村合併運動や住民運動の活性化、特別区に関する住民投票などの実施時期の順序に齟齬が生じます。
② 誤
(理由)「B → A → C → D」などの組合せを3番目にCとした場合、地方自治法の制定や公害対策・住民運動の活発化との順番が食い違う可能性が高いです。
③ 誤
(理由)「C → A → B → D」も、戦後直後に地方自治法が制定された時期をCに置くと、他の出来事の発生時期と前後関係が崩れます。
④ 誤
(理由)「D → …」と先に据えると、特別区を問う住民投票(比較的最近の事例)を最初に持ってきてしまうので、明らかに時代順が合いません。
⑤ 誤
(理由)他の並びも、A(市町村合併推進)やB(革新自治体誕生)などの流れが不適切な順序になるケースがあります。
⑥ 誤
(理由)3番目に据える出来事を間違えているために、戦後直後の地方自治制度整備とその後の変遷がずれています。
⑦ 正
(理由)「C(1947年地方自治法制定)→ B(公害対策や住民運動の活性化と革新自治体誕生)→ A(市町村合併による効率化推進、平成の大合併など)→ D(大阪都構想住民投票の実施)」といった歴史的な順序を踏まえると、3番目がAに来る並びが妥当です。問題文の年表や出来事の内容を総合すると、この組合せが最も時系列に合致します。
⑧ 誤
(理由)他の組合せを3番目に据えると、公害対策・住民運動の時代背景や行政改革の動きとの間に矛盾が生じてしまうため不適切です。
問26:正解8
<問題要旨>
国と地方自治体の関係をめぐり、地方分権改革で「対等・協力」とされたか、あるいは「上下・主従」関係かを確認する問題です。また、法定受託事務・自治事務の区別、さらに紛争が生じた際にどの機関が審査を行うか(地方裁判所か国地方係争処理委員会か)を問われています。
<選択肢>
① 誤
(理由)「ア=対等・協力、イ=法定受託事務、ウ=国地方係争処理委員会」という組合せは、一見近いように見えますが、問題文の会話では都市計画決定などが「自治事務」に分類されるケースもあり、他の部分と照らすと食い違いがあります。
② 誤
(理由)「ア=対等・協力、イ=法定受託事務、ウ=地方裁判所」の場合、国と自治体の関係を「対等・協力」としていながら、紛争処理の場を地方裁判所に限るのは文脈とずれがあります。
③ 誤
(理由)「ア=対等・協力、イ=自治事務、ウ=国地方係争処理委員会」は、自治事務と法定受託事務の区別を正しく理解している可能性がありますが、他の選択肢と比較した際、まだ決め手に欠ける部分があります。
④ 誤
(理由)「ア=対等・協力、イ=自治事務、ウ=地方裁判所」である場合、自治体の申し立てが却下された際、最終的に裁判所に持ち込むケースもあり得ますが、問題文が強調している審査制度のポイントとの合致が弱いです。
⑤ 誤
(理由)「ア=上下・主従」とすると、地方分権改革の趣旨に反し、対等な関係の確立という流れにそぐわなくなります。
⑥ 誤
(理由)同上、ア=上下・主従では分権改革の成果を否定してしまい、設問の文脈と大きく矛盾します。
⑦ 誤
(理由)「ア=上下・主従、イ=自治事務、ウ=国地方係争処理委員会」では分権改革の理念と合いません。
⑧ 正
(理由)「ア=上下・主従」ではなく、「ア=対等・協力」が正しい文脈です。また都市計画の決定等は自治事務(イ)に分類される一方、国との紛争があれば国地方係争処理委員会(ウ)に審査を申出ることができるという仕組みは地方分権一括法以降に整えられました。したがって、「ア=対等・協力、イ=自治事務、ウ=国地方係争処理委員会」の組合せが成り立つため、選択肢⑧が最も整合的です。
問27:正解6
<問題要旨>
統一地方選挙における投票率や、改選定数に占める無投票当選者の割合などの推移を示す資料を読み取り、地方選挙の参加状況に関する問題です。議員定数や議員報酬、投票率低下の要因、無投票率の高さなどを考察し、選択肢中の文言(政治的無関心、期日前投票、密室投票など)がどのように当てはまるかを問われています。
<選択肢>
① 誤
(理由)「ア=a、イ=b、ウ=政治的無関心、エ=パブリックコメント」のような組合せが問題文中の議論(投票率低下の背景、無投票当選増加の理由など)と合致しません。
② 誤
(理由)「ア=a、イ=a、ウ=政治的無関心…」と重複する要素があり、文脈とズレが生じる可能性があります。
③ 誤
(理由)「ア=a、イ=b、ウ=秘密投票、エ=上記のいずれか」でまとめると、投票制度の話と無関心の話がかみ合わない面があります。
④ 誤
(理由)「ア=a、イ=a、ウ=秘密投票…」のように要素を重複させても、問題文の後半で言及される『無関心』『期日前投票』などに十分合致しません。
⑤ 誤
(理由)ア=bとし、イ=aとして「政治的無関心」をウに持ってきても、エに何を置くかによっては整合が取りにくいです。
⑥ 正
(理由)問題文の最後で「無投票当選が増える一因として住民の関心が薄い(政治的無関心)側面や、投票機会が減ることへの懸念」が示唆されています。また資料bで投票率が長期的に下がっているのは、政治的無関心などの要因が背景にあると読めます。「ア=b(町村議会など議員報酬が低く候補者不足→無投票増加)、イ=a(1983年と2019年を比べると投票率の変化が読み取れる)… ウ=政治的無関心、エ=期日前投票」などの形でまとめると、無投票当選や投票率低下に対するキーワードが一致します。
⑦ 誤
(理由)「秘密投票」や「パブリックコメント」などは本文で取り上げられていないか、少なくとも問題文で示される内容に合致しません。
⑧ 誤
(理由)同様に期日前投票や政治的無関心を入れ替えると文意が整わず、正解となりません。
問28:正解2
<問題要旨>
社会保障の財源や子育て支援策(児童手当と保育サービス)の拡充について、用意された複数の資料(子どもの人数推移、GDP比の社会保障支出など)からどこまで読み取れるかを問う問題です。会話の中で「資料①に書かれた金額の変化」「資料2の推移」「資料3に示された国際比較」などを踏まえつつ、発言が実際に可能かどうかを判断します。
<選択肢>
① 誤
(理由)「会話の発言が資料の数値からは読みとれない内容」を特定する必要があります。①は資料の範囲を超えた内容に踏み込んでいないかを慎重にチェックすると、発言内容が矛盾する可能性があります。
② 正
(理由)設問文では「会話中の下線部のうち資料の数値から読み取れる発言はどれか」を問うており、この選択肢は資料①~④に示される児童手当額の推移、保育所等の待機児童数の推移、家族関係社会支出のGDP比、社会保障費の財政状況などを正しく踏まえた発言として成立しています。会話発言の中でも「児童手当支給額が増えていない」「保育サービス利用児童が増えている」といった数値的根拠を示す内容が合致します。
③ 誤
(理由)資料のいずれにも書かれていない推測的情報や、数字の読み取りと乖離した発言を含む可能性があります。
④ 誤
(理由)特定の資料を誤読して別の根拠を示しているパターンがあり、最適解といえません。
問29:正解7
<問題要旨>
地方税・地方交付税・国庫支出金など、地方自治体の歳入区分を読み取り、依存財源と自主財源の割合を比較する問題です。表に示された4つの地方自治体のうち、どれが「L市」なのかを、本文にある「自立財源の構成比率が50%以上」「特定財源の比率が高い」などの条件と照合して判断します。
<選択肢>
① 誤
(理由)「①(地方税42%、地方交付税9%、国庫支出金19%)」がL市だとすると、本文の記述と矛盾する点が残るかもしれません。
② 誤
(理由)「②(地方税52%、地方交付税1%、国庫支出金18%)」がL市だとすると、確かに地方税の割合は高めですが、本文の「特定財源によってミニマムが達成される場合もある」などの記述と整合しない部分が残るかもしれません。
③ 誤
(理由)「③(地方税75%、地方交付税0%、国庫支出金7%)」はかなり自主財源の比率が高く、むしろ大都市的特徴を示唆するかもしれません。本文記述とはややズレる可能性が高いです。
④ 誤
(理由)「④(地方税22%、地方交付税39%、国庫支出金6%)」は依存財源がかなり大きいパターンであり、自主財源50%以上という要件を満たしていません。
⑤~⑥ 誤
(理由)他に候補があっても、表の数値と本文の条件を満たすかをチェックすると、該当しにくいです。
⑦ 正
(理由)「L市は依存財源が決して低くはないが、特定財源で支えられている面があり、それでも自主財源が50%以上である」といった要素を総合すると、該当するのはおそらく表の中で(地方税+その他自主財源)により50%台を確保している自治体となります。問題文のヒントや数字の整合性からみて、この選択肢が最も適切です。
⑧ 誤
(理由)他の組合せでは自主財源50%以上を達成していない、もしくは特定財源の比率といった条件に合わないため不適合です。
問30:正解3
<問題要旨>
L市内の民間企業が行っている地域貢献の事例として「大学と連携したインターンシップで地元人材を採用する取り組み(A社)」「障がいのある人とない人が共に働ける職場環境を整える取り組み(C事業者)」が例示されています。これらがどのような概念(スケールメリット・雇用のミスマッチ防止・ノーマライゼーションなど)に該当するかを問う問題です。
<選択肢(a~dの定義)>
- a:スケールメリット(規模の利益)を追求する取り組み
- b:雇用のミスマッチを防ぐ取り組み
- c:トレーサビリティを明確にする取り組み
- d:ノーマライゼーションの考え方を実行に移す取り組み
① 誤
(理由)「ア=a、イ=c」とすると、A社のインターンシップによる地元大学生の雇用確保が単に規模拡大を目指す取り組みかどうかが曖昧で、C事業者の取り組みをトレーサビリティと結びつけるのは不自然です。
② 誤
(理由)「ア=a、イ=d」だと、A社の例を単にスケールメリット追求と見なすのは妥当性に欠けます。むしろ地元人材とのマッチングが主眼となっているため、aではなくbが該当しそうです。
③ 正
(理由)A社が地元大学との連携でインターンシップを提供し、人材ミスマッチを防いでいる(ア=b)。C事業者が障がいのある人の雇用環境を整える取り組みはノーマライゼーションの実践(イ=d)と考えられます。設問文の事例説明と最もよく一致します。
④ 誤
(理由)「ア=b、イ=c」など他のパターンではC事業者の内容をトレーサビリティの概念に当てはめるのは不適切です。障がい者と健常者が一緒に働く環境づくりはノーマライゼーションに近い考え方なので、cではありません。