解答
解説
第1問
問1:正解②
<問題要旨>
権力分立とモンテスキューの思想
国家権力の濫用を防ぐために、権力を「立法・執行・裁判」の三つに分割し、互いに抑止・均衡させる仕組み(三権分立)とその目的について問われています。
<選択肢>
①【誤】
本文では権力の抑制について説かれていますが、政府を倒す「革命権(抵抗権)」については言及がありません。
革命権は主にロックの思想に見られる特徴です。
②【正】
「権力が権力を抑止するようにしなければならない」という記述や、三権が分離されなければ「自由は存在しない」とする記述と内容が一致します。
これがモンテスキューの説く三権分立の本質です。
③【誤】
文章では「権力を有する人間がそれを濫用しがちなことは万代不易の経験である」と述べています。
権力者は濫用する傾向にあることを前提として警鐘を鳴らしています。
④【誤】
自然権を国家に譲渡し、絶対的な権力を認める考え方はホッブズの社会契約説に見られるものですが、本文は権力の制限と分離を主張しています。
問2:正解⑧
<問題要旨>
地方自治の本旨(団体自治と住民自治)
日本国憲法第92条の「地方自治の本旨」を構成する「団体自治」と「住民自治」の原理、および地方分権の意義について問われています。
<選択肢>
ア:【分権】
団体自治は、国から独立した団体が自律して自治権を行使することを指します。
したがって、中央集権ではなく「地方分権」的な要請です。
イ:【民主主義】
住民自治は、地域社会の政治が住民の意思に基づいて行われるべきという要請です。
これは、民主政治の基本原理である「民主主義」に基づいています。
ウ:【団体自治】
国から地方への権限移譲や、国の関与を法律で限定することは、地方公共団体という「団体」の自立性を高めるものです。
これは直接的に「団体自治」の強化を意味します。
問3:正解⑥
<問題要旨>
政教分離原則と最高裁判所の判例
日本国憲法に基づき、国家と宗教の関わりについて最高裁が下した違憲・合憲の判断事例について問われています。
<選択肢>
ア:【誤】
津地鎮祭訴訟の最高裁判決では、市が行った地鎮祭は「宗教的活動」にはあたらず、世俗的な行事として合憲(憲法に違反しない)とされました。
イ:【正】
愛媛玉ぐし料訴訟の最高裁判決では、県が神社へ公金から玉ぐし料を支出したことは、特定の宗教を助長する活動にあたり、違憲と判断されました。
ウ:【正】
空知太(そらちぶと)神社訴訟の最高裁判決では、市が神社に市有地を無償提供したことは、特定の宗教団体への特権付与にあたり、違憲と判断されました。
問4:正解①
<問題要旨>
財産権の制限と公共の福祉
日本国憲法第29条で保障される「財産権」が、公共の利益(公共の福祉)のために法律でどのような制限を受けるのか、空家対策の事例から問われています。
<選択肢>
ア:【公共の福祉】
憲法第29条第2項には「財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める」と規定されています。
イ:【周辺住民の生命や身体に対する危険がある場合】
空家法(問題文のメモ3)によれば、保安上危険(a)や衛生上有害(b)な状態の特定空家等に対しては除去命令が可能ですが、景観を損なう場合などでは除去の命令はできません。
問5:正解②
<問題要旨>
日本の農業政策・法制度の変遷
戦後の農地法から農業基本法、そして現在の食料・農業・農村基本法へと続く、日本の農業政策の目的と内容の変化について問われています。
<選択肢>
①【誤】
1961年の「農業基本法」の説明です。
農業と工業の格差是正や、生産の選択的拡大をめざしていました。
②【正】
1999年の「食料・農業・農村基本法」の説明です。
食料の安定供給や、環境保全などの「多面的機能」の発揮をめざしています。
③【誤】
1952年の「農地法」制定時の説明です。
地主制の復活を防ぎ、自作農を保護するための強い規制を設けていました。
④【誤】
2009年の「農地法改正」の説明です。
耕作放棄地の解消等を目的として、法人による農地利用の規制が緩和されました。
問6:正解③
<問題要旨>
市場経済における規制緩和と経済的自由
参入障壁を取り除く「規制緩和」の考え方と、公共の利益を理由とした営業の自由への制限について、論理的な整合性を問うています。
<選択肢>
ア:【規制緩和】
利用者の選択肢を増やし、地域経済を活性化させるという考え方は、「規制緩和」を支持する立場です。
イ:【住宅街において民泊事業を始めることを地方議会が条例で禁止する】
対話文では「新たに参入することを制限するのはだめ」とされており、条例などで一律に営業を禁止し、新規参入を阻む動きに反対しています。
問7:正解①
<問題要旨>
私法の体系と消費者保護の法律
私人間の契約を規律する「私法」である民法と、契約の適正化を図るための「消費者契約法」について問われています。
<選択肢>
ア:【民法】
民泊の利用契約など、私人同士の一般的な権利義務関係を規定するのは「民法」です。
イ:【私法】
民法は、対等な個人の関係を規律する法体系であるため、公法ではなく「私法」に分類されます。
ウ:【消費者契約法】
不当な勧誘による契約の取消しや、消費者に不利な条項の無効を定めた、消費者保護のための法律は「消費者契約法」です。
問8:正解③
<問題要旨>
日本の立法過程
国会における法律案の提出、審議、および成立後の大臣による署名・連署といった手続き上のルールについて問われています。
<選択肢>
①【正】
国会議員が法律案を発議するための要件として、予算を伴わない場合は衆議院20人、参議院10人以上の賛成が必要です。
②【正】
日本の国会は委員会中心主義を採っており、本会議の前に専門的な委員会で審議・採決が行われます。
③【正】
憲法第59条に基づき、参議院が法律案を受け取ってから60日以内に議決しない場合、衆議院はこれを「否決」とみなすことができます。
④【誤】
法律には、その事務を所管する「主任の国務大臣」が署名し、内閣総理大臣が連署します。
すべての大臣が署名する必要はありません。
第2問
問1:正解③
<問題要旨>
現代企業の動向と社会情勢の影響
企業統治(コーポレート・ガバナンス)の概念や、近年の社会状況が企業活動に与えた具体的な影響について問われています。
<選択肢>
①【誤】
株主が経営を監視する仕組みは「コーポレート・ガバナンス」です。
リストラクチャリングは不採算部門の整理などの事業再構築を指します。
②【誤】
利潤のうち株主への「配当」を増やすと、企業内に残る「内部留保」は減少します。
両方が同時に上昇することはありません。
③【正】
2020年の感染症拡大による外出自粛などの影響で、特定の需要(巣ごもり需要)に対応した企業が売上を伸ばしました。
④【誤】
2006年施行の会社法では、起業を促進するため、かつての「最低資本金制度(株式会社1,000万円など)」が撤廃されました。
問2:正解④
<問題要旨>
経済主体の関係図(環境問題への対応)
企業からの汚染物質排出に対し、政府(環境税)や市民団体(NPO)がどのように関与するかを図から読み取る問題です。
<選択肢>
対話文の内容を整理すると、以下の関係になります:
- 企業から汚染物質が排出されている。
- 政府が企業に対策(環境税を課す)を行っている。
- NPOなどが企業を監視している。
図④は、政府から企業へ「環境税を課す」矢印があり、NPOから企業へ「監視をする」矢印が向いているため、会話内容と完全に整合します。
問3:正解①
<問題要旨>
機会費用とトレード・オフ
経済学の基本概念である、何かを選択することで失われる価値(機会費用)と、両立できない関係(トレード・オフ)の理解を問うています。
<選択肢>
ア:【トレード・オフ】
一つの土地を駐車場として使うと、同時に公園や宅地には使えません。
このような「あちらを立てればこちらが立たず」の関係を「トレード・オフ」と呼びます。
イ:【公園】
機会費用とは、諦めた選択肢の中で最も価値が高いものを指します。
利益の順位が「駐車場 > 公園 > 宅地」の場合、駐車場を選んだ際の機会費用は次点である「公園」の利益です。
問4:正解①
<問題要旨>
公開市場操作と通貨量の指標
日本銀行の金融政策(買いオペレーション)が、実際に世の中に流通する通貨量(マネーストック)に与える影響を問うています。
<選択肢>
ア:【緩和】
日銀が市中銀行から国債を買い入れ、代金を供給する「買いオペ」は、景気を刺激する「金融緩和」政策です。
イ:【マネーストック】
個人や一般企業などが保有する通貨の総量は「マネーストック」と呼ばれます。
日銀当座預金などは、日銀が供給するお金の基盤である「マネタリーベース」に含まれます。
問5:正解④
<問題要旨>
銀行の信用創造の仕組み
銀行が貸し出しを行う際、実際に現金を手渡すのではなく、預金口座の数字を増やすことで通貨を創り出す仕組みを図から解釈する問題です。
<選択肢>
図1と図2を比較すると、新規の貸出(20)が行われると、同額の新規の預金(20)が右側の負債項目に発生しています。
銀行が貸し出しによって預金を創り出す(信用創造)ため、銀行の資産(貸出金)と負債(預金)は同時に増加します。
問6:正解③
<問題要旨>
労働基準法と労働者の権利
企業が労働者と契約を結ぶ際、日本の労働法規(主に労働基準法)が定める最低限の労働条件を満たしているかを判断する問題です。
③【不適法(抵触する)】
労働基準法第39条により、雇い入れから6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者には、パートやアルバイトといった雇用形態に関わらず、勤続年数に応じた日数の有給休暇を付与しなければなりません。 したがって、「付与なし」という条件は法律に違反します。
問7:正解③
<問題要旨>
需要・供給曲線と市場価格の調整
災害による供給不足(供給曲線の左シフト)で価格が上がった際、政府がどのような対策を行えば価格を元に戻せるかを問うています。
<選択肢>
災害で供給が減ると、供給曲線は左上の $S_a$ 方向に移動し、価格が上昇します。
これを元の価格に戻すには、生産コストを下げて供給を増やす必要があります。
生産者への「助成金支給」は、コストを下げて供給曲線を右下の方向に押し戻す効果があるため、適当です。
問8:正解④
<問題要旨>
購買力平価説と為替レートの決定
「同じ商品は世界中どこでも同じ価格になる(一物一価の法則)」という仮定に基づき、各国の物価水準の比率から理論的な為替レートを導き出し、実際のレートとの乖離(かいり)を判断する問題です 。
<選択肢>
ステップ1:理論上の為替レート(購買力平価)を計算する
図の条件に従い、日米で販売されている「SEIKEIバーガー」の価格を比較します。
日本での販売価格:600円
アメリカでの販売価格:5ドル
購買力平価説では、600円と5ドルが等しい価値を持つと考えます。
600円 ÷ 5ドル = 120 となり、理論上の為替レート(a)は 1ドル=120円 と算出されます。
ステップ2:理論値と実際のレートを比較する
理論上のレート:1ドル=120円
実際のレート(20XX年○月△日):1ドル=99円
ステップ3:円高か円安かを判断する
理論上は1ドルのものを買うのに「120円」必要であるはずなのに、実際には「99円」というより少ない円で1ドルが手に入っています。 これは、理論値(120円)に比べて、実際の市場では円の価値がより高く評価されていることを意味します。 したがって、実際のレートは理論値に対して 円高(ドル安) の状態です。
ステップ4:差額を算出する
120円(理論値)- 99円(実際)= 21円
よって、実際の外国為替レートは、理論上のレートを基準とすると 1ドルあたり21円の円高ドル安 であるといえます 。
以上の論理的推論により、選択肢④の内容が正解となります。
第3問
問1:正解⑤
<問題要旨>
フローとストックの概念
経済の動きを、一定期間の流量(フロー)と、ある時点での貯蔵量(ストック)に分類する概念を問うています。
<選択肢>
フローは「一定期間」の動きを表します。小遣い帳では「月間の収入(小遣い)」や「月間の支出」がこれにあたります。
ストックは「ある時点」での蓄積を表します。小遣い帳では「月初(11/1)の残高」や「月末(11/30)の残高」がこれにあたります。
問2:正解⑦
<問題要旨>
労働力調査の分類(就業者・失業者)
日本の統計における労働力人口の定義を、具体的な個人のケースに適用できるかを問うています。
<選択肢>
ア:【b(一致しない)】
15歳以上人口には働くことができない高齢者等も含まれるため、15〜64歳の「生産年齢人口」とは数値が一致しません。
イ:【図3】
A(学生で応募中)は非労働力人口、B(求職せず勉強中)も非労働力人口、C(臨時でも調査週間に1日働いた)は「従業者」として就業者に分類されます。
問3:正解⑧
<問題要旨>
インフレーションの影響
物価が上昇した際、お金の実質価値がどう変化し、債権者(貸し手)と債務者(借り手)のどちらが有利・不利になるかを問うています。
<選択肢>
物価が上がると、同じ金額で買える数量は「減少(ア)」します。
お金の価値が「下落(エ)」するため、返してもらうお金の価値が減る債権者は「不利(イ)」になり、借金の負担が軽くなる債務者は「有利(ウ)」になります。
問4:正解⑥
<問題要旨>
国家予算の編成と補正予算
予算案を国会に提出する主体と、年度途中で必要に応じて編成される予算の種類について問われています。
<選択肢>
ア:【内閣】
予算の作成・提出権を持つのは「内閣」です。
イ:【補正予算】
当初予算が成立した後に、災害や景気変動などの事態に対応して追加・修正される予算は「補正予算」です。
問5:正解②
<問題要旨>
消費税の逆進性
所得が低い人ほど、収入に占める消費税の負担割合が高くなる「逆進性」の概念を表の数値から読み取る問題です。
<選択肢>
逆進性とは、所得に対する税負担の「割合」に注目する概念です。
表を見ると、可処分所得(ア)が高い人ほど、所得に占める税負担(カ)の割合が低くなっていることが分かり、これが逆進性の例となっています。
問6:正解⑦
<問題要旨>
国際連合の主要な専門機関・補助機関の役割
保健、児童福祉、難民保護を担う国連関連機関(WHO、UNICEF、UNHCR)の活動内容について、正しく理解しているかを問うています。
<選択肢>
ア【正】
WHO(世界保健機関)は、すべての人々が可能な限り最高水準の健康を享受することを目的に、国際的な保健事業の指導や調整、伝染病対策などを行っています。
イ【正】
UNICEF(国連児童基金)は、開発途上国や紛争地域の子どもの生存と健やかな発達を守るため、保健、栄養、教育、緊急援助などの活動を世界中で展開しています。
ウ【正】
UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)は、紛争や迫害によって故郷を追われた難民の保護や支援を行い、難民問題の恒久的な解決をめざして活動しています 。
記述ア、イ、ウはいずれも正しい内容であるため、正しい記述をすべて含んでいる選択肢⑦が正解となります。
問7:正解③
<問題要旨>
アジア通貨危機のメカニズム
通貨危機が起きた際、為替レート、経常収支、外貨準備高がどのように推移するかをグラフから選択する問題です。
<選択肢>
為替レート:通貨暴落により「1ドルあたり何バーツか」の数値は急増します(図ア)。
経常収支:危機前は赤字(マイナス)が継続しており、危機後に改善します(図工)。
外貨準備:通貨の買い支えのために外貨を消費するため、危機時に激減します(図才)。
問8:正解①
<問題要旨>
自由貿易協定とWTOの基本原則
特定の国との経済連携(TPPなど)と、WTOが掲げる無差別の原則について問われています。
<選択肢>
ア:【TPP11】
アメリカ離脱後に日本を含む11か国で発足したのは「TPP11」です。
イ:【最恵国待遇原則】
特定の国に与えた有利な貿易条件を、他の全加盟国にも等しく適用するWTOの基本ルールを「最恵国待遇」と呼びます。
第4問
問1:正解①
<問題要旨>
戦後の地方自治の歴史的展開
地方自治法制定から平成の大合併、住民投票までの出来事を時系列に沿って整理する問題です。
<選択肢>
順序は以下の通りです:
C:地方自治法の制定(1947年)
B:革新自治体の誕生(1960年代後半〜70年代)
A:市町村合併による自治体数1,700台への減少(2000年代中盤)
D:大阪都構想を問う住民投票(2015年、2020年)
3番目は A です。
問2:正解③
<問題要旨>
地方分権一括法(1999年)の内容
国と地方の関係がどう変化したか、および対立時の紛争処理手続きについて問われています。
<選択肢>
ア:【対等・協力】
改革により、従来の上下・主従関係から、対等な関係に改められました。
イ:【自治事務】
機関委任事務が廃止され、事務は自治事務と法定受託事務に整理されました。
ウ:【国地方係争処理委員会】
国の関与に不服がある地方自治体が審査を申し立てる機関です。
問3:正解②
<問題要旨>
地方選挙の課題と期日前投票
投票率の低下や無投票当選の現状、および投票を促すための制度について問われています。
<選択肢>
ア:【a(無投票当選者数の割合)】
町村議会などで急増している数値です。
イ:【b(投票率)】
長期的に低下傾向にある数値です。
ウ:【政治的無関心】
投票率低下の背景にある心理的要因です。
エ:【期日前投票】
選挙権を行使しやすくするための制度です。
問4:正解③
<問題要旨>
社会保障に関する統計資料の読み取り
各国の家族関係社会支出の比較グラフから、数値を正しく読み取る問題です。
<選択肢>
資料3(各国の家族関係社会支出の対GDP比)を確認すると、日本の1.6%に対し、イギリス(3.2%)やノルウェー(3.2%)はちょうど2倍の規模であることが読み取れます。
問5:正解②
<問題要旨>
地方財政の歳入構成
地方税、地方交付税、国庫支出金の割合から、特定の条件に合う自治体を特定する問題です。
<選択肢>
文章の条件「自主財源(地方税)が50%以上」「依存財源のうち国庫支出金の比率が高い」に合致するのは、地方税52%、国庫支出金18%となっている自治体②です。
問6:正解④
<問題要旨>
雇用のミスマッチとノーマライゼーション
インターンシップの効果や、障がい者雇用の理念を事例に適用する問題です。
<選択肢>
ア:【b(雇用のミスマッチを防ぐ取組み)】
仕事内容を事前に把握することで、入社後の不一致を防ぎます。
イ:【d(ノーマライゼーションの考え方を実行に移す取組み)】
障がいのある人とない人が共に働く環境を整えることは、ノーマライゼーション(正常化)の考え方に基づいています。

