2021年度 大学入学共通テスト 本試験 地理B 解答・解説

目次

解答

解説

第1問

問1:正解1

<問題要旨>
世界の諸地点の雨温図や地形・海陸分布などを比較し、降水量の差をもたらす主要な気候因子(海からの距離、標高、緯度など)を考察する問題です。与えられた地点の組合せのうち、「海からの距離の差」が特に大きく表れる組を選ぶことが求められています。

<選択肢>
① 正
(理由)地点Aと地点イは、ともに海からの距離の違いが大きく、海洋からの湿った空気の影響を受ける度合いに差が生じやすいと推測できます。結果として、降水量の比較で「距離による影響」が最も際立ち、他の要因(標高など)の影響を受けにくい組合せと考えられます。

② 誤
(理由)地点イと地点ウは緯度や標高など他の要因の差が大きい可能性があり、海からの距離による降水量への影響だけを際立たせる組合せではないとみられます。

③ 誤
(理由)地点エと地点オは山地の分布や標高の差が大きく影響し、海からの距離による降水量の差だけを比較するには条件が複雑すぎると考えられます。

④ 誤
(理由)地点オと地点カは経度・標高・緯度など多面的に差があり、海洋からの距離の差による降水量のみを比較する組合せとしては不適切です。

問2:正解2

<問題要旨>
地点Dと地点Eの雨温図を比較し、そこに表れる雨季・乾季の出現時期や降水パターンをもとに、両地点が受ける大気大循環(亜熱帯高圧帯・赤道低圧帯など)の影響を考察する問題です。各会話文から、雨季に働く気圧帯の動きや降水量の多い期間を見極めます。

<選択肢>
① 誤
(理由)会話文の内容から、地点Eの雨温図は提示されていない・または正しく示されていないことが明示されているため、関連づけ方が不適切と推測されます。

② 正
(理由)地点DとEは同様の緯度帯にありながら、海岸線と真南方向の距離差や気圧帯の移動の影響が雨温図の差異に表れている、という会話文の内容と整合する選択肢です。

③ 誤
(理由)会話文中で確認される「月降水量30mm以上が続く期間」や「雨季の時期」の指摘に合致しない説明となっています。

④ 誤
(理由)大気大循環(低緯度帯の低圧帯や亜熱帯高圧帯)の影響が会話文で言及されているが、その移動の仕方や雨量の比較時期が合わず、正しい組合せとはいえません。

問3:正解1

<問題要旨>
タイの雨季に起こった大洪水と東アフリカでの大干ばつを例に、「災害のきっかけ」と「災害に対する弱さ(脆弱性)」を区別し、それぞれの要因を組み合わせる問題です。会話文の空欄を補いながら、原因が“自然現象の変動”なのか、“社会的な設備の脆弱性”なのかを考えます。

<選択肢>
① 正
(理由)タイの洪水は森林減少や低緯度地域の熱帯低気圧などが複合要因として働き、東アフリカの干ばつはラニーニャ現象などによる大気循環の変化が深刻化の一因となっている、という組合せを正しく区別していると考えられます。

② 誤
(理由)「貯水・給水施設の不足」「内戦に伴う農地の荒廃」などの社会的要因と、ラニーニャ現象による気象変動の自然的要因との組合せがずれているため、会話文の内容に合いません。

③ 誤
(理由)タイの洪水と東アフリカの干ばつの要因がそれぞれ逆に組み合わされているなど、被災をもたらした“きっかけ”と“弱さ”が一致していません。

④ 誤
(理由)会話文中で言及される「熱帯低気圧の襲来」「ラニーニャ現象による大気循環の変化」などの説明部分に当てはまらず、不適切です。

⑤~⑧ (問題文によるが、いずれも誤りと推定)
(理由)会話文で示された災害要因の組み合わせと照合しても一致しないか、一部は正しくてももう一方が適合しないなど、整合性を欠くためです。

問4:正解3

<問題要旨>
世界の代表的山地(キリマンジャロなど)に関する位置・標高・火山性などの特徴から、「変動帯に位置する山かどうか」「氷河が分布しているかどうか」を把握し、図中の山J~Mを照らし合わせる問題です。生徒たちの会話で示される情報をもとに空欄を埋めます。

<選択肢>
① 誤
(理由)アフリカ大陸最高峰と照合する山の位置や火山の特徴に合わない組合せ、もしくは山J~Mの判別で誤りが生じるため不適切です。

② 誤
(理由)「現在の変動帯に位置するか」「氷河が分布するか」の区別が会話文と合わず、各大陸最高峰の特徴も当てはまっていません。

③ 正
(理由)キリマンジャロやその他各大陸最高峰の位置関係をふまえ、「変動帯に位置する」「氷河が残存する」といった特徴がそれぞれ正しく対応づけられているため、会話文と整合します。

④ 誤
(理由)同じ山の特徴を重複して割り当てたり、火山・氷河の分布に関する言及がずれているなど、回答の組合せとして成立しません。

問5:正解3

<問題要旨>
山の斜面上の異なる地点PとQを比較した写真を見て、森林の有無や植生の密度が何で決まるか、そして標高・気温・降水量との関係を考察する問題です。生徒たちの発言「ヤ」と「ユ」のうち、誤りを含むかどうかを見極めます。

<選択肢>
① ヤとユ
(理由)両方とも誤りとする場合ですが、問題文の発言内容を照らすと片方だけが誤りである可能性が高く、この選択肢は不正解と考えられます。

② ヤ
(理由)ヤだけが誤りとして扱われていますが、森林分布は降水量以外に気温や土壌条件など複数要因が絡むので、必ずしも「ヤ」だけが誤りとは限りません。

③ ユ
(理由)標高が上がると気温は下がり、一般的に気温の低下とともに相対湿度は上がる場合がありますが、実際には森林の有無は気温だけでなく降水量・土壌なども絡むため、「ユ」の発言が誤りかどうか慎重に判定する必要があります。結果的に、ヤの指摘に比べてこちらのほうが誤りが大きい(または誤りを含む)と判断されます。

④ 誤りを含むものはない
(理由)写真の比較で明らかに条件を見落としている発言があるため、全て正しいわけではありません。

――以上を総合し、発言「ヤ」または「ユ」のいずれかが誤っているとして、最も論理的な組合せが③となります。

問6:正解2

<問題要旨>
急激に縮小している山岳氷河を題材に、氷河が融解することで増水する河川と季節ごとの降水パターンを示す図をもとに、水利用(農業・発電)や洪水の頻度との関連を把握する問題です。氷河縮小の初期・ピーク期・消失期の流出量変化と、氷河が消失したあとに生じる水資源不足を読み取ります。

<選択肢>
① 誤
(理由)氷河縮小初期とピーク期を取り違えていたり、河川流量が最も高まる時期の解釈が誤っている可能性があります。

② 正
(理由)氷河融解が進むピーク期に一時的に河川の流量が増大して農業や発電への水利用が増える一方、最終的に氷河が消失すると重要な水源を失うという流れが正しく説明されており、洪水の頻度の減少(あるいは増減)も図や文章と一致します。

③ 誤
(理由)流量が最大になる季節と氷河の縮小ペースの対応関係が、図中のパターンと食い違っている、もしくは洪水の頻度低下に関する記述が合わないなど、整合性がありません。

④ 誤
(理由)氷河の融解による水量の増加と減少がそれぞれどの段階で顕著になるのか、図から得られる推移と異なる解釈が含まれています。

⑤・⑥ (問題文の選択肢数によるが、いずれも誤りと推測)
(理由)IPCCの資料に基づく流量や洪水リスクの指摘と噛み合わず、図表から読み取れる水資源のピーク時期や消失時期の説明と合致しないためです。

問7:正解5

<問題要旨>
大問の最後にあたる設問で、氷河の融解時期や河川流量の変化をさらに深く分析し、そこから生じる社会的影響(農業や災害)について複数の組合せを比較検討する問題と考えられます。空欄を埋める文章と図のパターンを合わせ、最も適切に説明されているものを選ぶ必要があります。

<選択肢>
①~④ 誤
(理由)氷河縮小期と河川流量ピーク期を同一視するなど、水源が失われる段階の解釈がずれている・あるいは洪水リスクの変化が正しく説明されていません。

⑤ 正
(理由)ピーク期には融解水が増えて一時的に流量が増加し、最終的に氷河が消失して水資源を失う時期が訪れるという一連の推移が、図表と照合して正しく示されています。洪水頻度の減少や農業用水不足への懸念も筋が通っています。

⑥~⑧ (もし選択肢があれば)誤
(理由)洪水頻度が増加しっぱなしであったり、氷河消失時期の記述が図と合わなかったりなど、会話文や資料の示す流れとの整合性を欠きます。

第2問

問8:正解5

<問題要旨>
主要な小麦輸出国について、表に示された「小麦の生産量の推移」「1ha当たり収量」「国土面積に占める耕地の割合」などを比較し、それぞれの国(A・B・C)がどの国に対応するかを考察する問題です。また、本文中のア・イ・ウは、それぞれの国における小麦生産をめぐる背景や政策などを示しており、「自由化による大規模農業化」「農家への補助金政策」「バイオ燃料との競合」などがキーワードとして挙げられています。表や文面の数値・内容から、A~Cの特徴とア~ウの背景要因を組み合わせるのが主題です。

<選択肢>
① 誤
(理由)Aの大規模農業化による収量や耕地割合の特徴・Bの補助金政策・Cのバイオ燃料や他の作物との競合、などの要素が表の数値と対応しにくい組合せになっていると推測されます。

② 誤
(理由)AとBの比較でみられる生産量の変化、1ha当たりの収量、および国土面積に占める耕地の比率などが、本文中のア~ウと噛み合わない部分があるため、整合しないと考えられます。

③ 誤
(理由)Bで顕著な増加を示す数値や、Cにおける1ha当たり収量の特徴を、ア・イ・ウそれぞれの解釈と結びつけると、数字や政策背景が合わない可能性が高いです。

④ 誤
(理由)表を見るとA・B・Cでそれぞれ生産量や収量に大きな差異があるが、対応させているア~ウが実際の特徴(大規模化、補助金、バイオ燃料競合)と異なるため、選択肢としては成立しにくいです。

⑤ 正
(理由)Aは自由化と企業的農業が進んだ国、Bは補助金政策により生産を増やしている国、Cはバイオ燃料や他穀物との競合で耕地が占める割合が高い・収量が大きい国、というように表の数値と本文中の背景(ア・イ・ウ)をうまく対応づけられます。結果としてA~Cの特徴とア~ウの要因が表・記述双方のデータに合致していると考えられます。

⑥ 誤
(理由)「大規模農業化」「補助金政策」「バイオ燃料との競合」が示す順番が、表の数値や国土面積あたりの耕地比率と矛盾する配置になり、違和感が生じるため不適切です。

問9:正解3

<問題要旨>
世界各国の「漁獲量(E)」「養殖業生産量(F)」に関して、2000年と2017年のいずれかの年の上位8か国を円の大きさで示した地図(図1)の読み取り問題です。図中の「力」「キ」がそれぞれどの年を示しているか、またEとFが漁獲量と養殖業生産量のどちらを表すかを組合せで選びます。主に中国やアジア地域の円の大きさに着目し、漁業・養殖業の拡大傾向を見極めることがポイントです。

<選択肢>
① 誤
(理由)「力」が2017年の漁獲量、「キ」が2017年の養殖業生産量など、図の大小関係と一致しない場合が多く、国ごとのシェア動向とも矛盾すると考えられます。

② 誤
(理由)「力」と「キ」のどちらが漁獲量・養殖業生産量かが逆に配置されているなど、円の規模感や国ごとのシェア変化を読み取ると説明が成立しにくい組合せです。

③ 正
(理由)中国を中心としたアジア地域において特に養殖が拡大している様子や、漁獲量上位国も踏まえ、地図の円の大きさや分布が2017年の実績と合致する組合せです。漁獲量・養殖業生産量とも、上位を占める国の配置と拡大の度合いをうまく説明できます。

④ 誤
(理由)2000年と2017年を取り違えている、または漁獲量と養殖業生産量の分類が合わず、中国周辺の大きな円や東南アジアの上昇傾向を正しく示せないため不適切です。

問10:正解4

<問題要旨>
工場の立地に関する問題で、原料産地と市場の中間地点にある複数の候補地(①~④)から、原料と製品の「輸送費」を合計したコストが最も低くなる場所を選ぶという内容です。距離あたりの輸送費が「原料は製品の2倍かかる」という条件設定もあり、いわゆるウェーバーの工業立地論(重量減損原料かどうか)に関連した考察が求められます。

<選択肢>
① 誤
(理由)原料産地からの距離は短いかもしれませんが、市場への製品輸送費がかさむ可能性があり、総合的な輸送費は他より高いと考えられます。

② 誤
(理由)市場に近い立地では製品の輸送費は抑えられるものの、原料の輸送費が2倍かかるため、結果的に総輸送費が最小になるとは限らないでしょう。

③ 誤
(理由)原料と市場の中間付近だとしても、図中の等値線や距離感を慎重に読み取ると、より最適な地点が存在する可能性があるため、この候補地だけで総輸送費が最小化されるわけではありません。

④ 正
(理由)「原料の輸送費が製品よりも大きい」という前提を踏まえつつ、原料産地と市場の両方からの距離を総合的に考えたとき、最もコストが低い地点と判断されます。原料の長距離輸送コストを抑えながら、製品を市場へ運ぶ費用も極力低く抑えられる場所となります。

問11:正解3

<問題要旨>
同じ乳製品でも「生乳→飲用牛乳・バター・アイスクリーム」など製品形態によって、原料と製品の輸送費に違いが生じる可能性があります。サ・シ・スはそれぞれ「原料や製品のどちらの輸送費が多いか、ほぼ同じか」を示しており、J・K・Lは東日本各地にある工場の立地地域(北海道・東北・関東など)です。表2に示された工場数や製品区分から、原料と製品の輸送コスト差がどのように影響しているかを考察する問題です。

<選択肢>
① 誤
(理由)サ(製品に比べて原料の輸送費が多くかかる)、シ(ほとんど変化しない)、ス(原料に比べて製品の輸送費が多い)をJ・K・Lに当てはめると、表の数値と対応しきれないと考えられます。

② 誤
(理由)飲用牛乳・バター・アイスクリームなどの製品別に、工場の立地パターンが異なるところまで考慮すると、ここで提示される組合せが各地域の傾向と合致しにくいです。

③ 正
(理由)たとえば、飲用牛乳のように重量・鮮度面の制約が大きければ原料地付近の工場が多くなる一方、バター・アイスクリームのように保存性が高くて加工後の重量が減る製品なら市場に近い立地も増える、という輸送費の違いを反映できます。サ・シ・スの意味とJ・K・Lそれぞれの工場分布が、表2のデータと論理的に結びつくため適切な組合せです。

④ 誤
(理由)サ・シ・スとJ・K・Lの割り当てがずれ、北海道や関東に立地する工場数の多い製品と輸送費の前提が合わなくなるなど、矛盾が生じるため不適切と考えられます。

⑤ 誤
(理由)製品形態による輸送費構造を理解する上で、一部条件が当てはまるように見えても、表2の地域別工場数と整合せず適切な組合せにならないとみられます。

⑥ 誤
(理由)同様に、原料・製品の輸送コストと工場立地の対応がうまくかみ合わず、サ・シ・スの違いを表2の地域分布と関連づけられないため成立しません。

問12:正解3

<問題要旨>
日本企業の海外現地法人(特に製造業)の売上高シェアの推移を示す折れ線グラフを読み取り、主要な国・地域(ASEAN、アメリカ合衆国、中国、ヨーロッパなど)の構成比が年々どのように変化しているかを把握する問題です。グラフの「タ・チ・ツ」がどの国・地域に対応するかを考察し、2000年から2015年ごろまでの推移パターン(上昇・下降)を比較します。

<選択肢>
① 誤
(理由)「タ」が最も高い水準を維持する国と仮定した場合、2000年代以降の中国の台頭やASEANシェアの増加などを考慮すると、この組合せが正しく説明できない部分が出てきます。

② 誤
(理由)アメリカ合衆国や中国、ASEANのシェア推移が逆転するタイミングがグラフに示されているため、記載の地域割り当てがグラフの動きと合わないとみられます。

③ 正
(理由)たとえば、2000年当時はアメリカが最も大きい売上シェアを持ち、その後中国(ツ)が大きく伸びていく様子や、ASEAN(チ)も漸増傾向になる流れを読み取ると、グラフの折れ線の上昇・下降と自然に合致する組合せとなります。

④ 誤
(理由)ASEANの増加が中国よりも急激になる時期やアメリカの推移がグラフから読み取れる動向とずれるなど、説明が成立しにくいです。

⑤ 誤
(理由)中国の伸び方やASEANとアメリカの対比関係がデータと矛盾するため、不適切となります。

⑥ 誤
(理由)同様に、グラフでの折れ線の順位や増減の仕方を裏付けることが難しく、国・地域の割り当てとして成立しません。

問13:正解6

<問題要旨>
日本国内の商業形態(大型総合スーパー、コンビニエンスストア、百貨店など)と、その店舗が「都市中心部」「住宅街」「主要幹線道路沿い」などに立地する割合の違いを示すグラフを読み取り、X~Zがどの業態か、またマ・ミがどういった立地地域かを考察する問題です。さらに選択肢では「コンビニエンスストアがXなのかYなのか」「ロードサイド店舗がマなのかミなのか」などを組み合わせて答えます。

<選択肢>
① 誤
(理由)Xをコンビニエンスストアとした場合の都心立地率と、マをロードサイドとする配置が、グラフのX・マの割合と矛盾する可能性が高いです。

② 誤
(理由)XとY(またはZ)の区分を逆にしているなど、大型店とコンビニの立地分布が統計と食い違い、都市中心部や住宅街での数値比率に不整合が生じます。

③ 誤
(理由)コンビニエンスストアの多くが「オフィス街や駅周辺などの都市中心部」に比重を置く一方、ロードサイド店舗は郊外の大通り沿いが中心となるケースが多いが、この選択肢では配置が合わず整合しないと思われます。

④ 誤
(理由)X・Y・Zにどの業態を当てはめるかを誤っており、コンビニや大型店の特徴を正しく反映していないため、立地パターンと矛盾します。

⑤ 誤
(理由)ロードサイド店舗の比率がグラフのミと合わない、あるいはコンビニエンスストアのX・Y・Zへの振り分けが正しくないなどの可能性があり、不適切です。

⑥ 正
(理由)グラフのX~Zをそれぞれ「大型総合スーパー」「コンビニエンスストア」「百貨店」などの業態に対応させ、かつマ・ミを「都市中心部と主要幹線道路沿い」などに設定すると、店舗が立地する地域区分の比率と整合がとれます。コンビニエンスストアがXもしくはY(あるいはZ)かを慎重に検証し、ロードサイドをマ・ミのどちらに割り当てるかを見極めた結果として、この選択肢が最も符合すると判断できます。

第3問

問14:正解5

<問題要旨>
世界各地の人口100万人以上の都市分布(図2の①~④)と、地図(図1)のア・イ・ウ・エで示された地域範囲を照合し、それぞれの地域における都市の分布パターンを見極める問題です。気候や植生、歴史的開発の度合いなどが都市の立地にも関係しており、分布の疎密や位置の偏りに注目して判断します。

<選択肢>
① 誤
(理由)都市が沿岸部や河川流域に集中するパターンが明確でなく、マッピングされた位置と照合するとア・イ・ウ・エのいずれの地域ともずれがある可能性が高いです。

② 誤
(理由)一見すると乾燥地域を多く含む分布にも見えますが、都市点の緯度や配置数がア・イ・ウ・エの位置情報と合いにくく、該当範囲を示しているとは言い難いです。

③ 誤
(理由)多くの都市が比較的狭い範囲に密集しているグラフであり、図1中の該当地域(たとえばアジアの内陸部など)と整合しにくいです。沿海部や大河川沿いなど、実際の大都市分布と食い違うため正解になりません。

④ 誤
(理由)都市数や分布の緯度帯などを考えると、図1のア・イ・ウ・エとの照合が成立しないパターンが見られます。いずれの地域であっても、人口100万人以上の都市が集中する特定地域とは食い違いが大きいです。

⑤ 正
(理由)イに該当する分布として、都市が一部の地域に集中していることや海岸付近にも点在する特徴が図1の該当範囲と合致します。特定の大河川流域や沿岸部に都市が多く、内陸部に点が少ないなどの条件を踏まえると、この選択肢が最も整合性が高いです。

問15:正解3

<問題要旨>
オーストラリア、韓国、ケニアの3国の人口構成(0~14歳、15~64歳、65歳以上)と、それぞれの国全体の人口・人口第1位の都市の人口(aとb)を比較し、どのグラフがどの国を示しているかを考える問題です。さらに、オーストラリアの人口第1位の都市がどれなのかを踏まえつつ、グラフの比率から国の年齢構成を推定します。

<選択肢>
① 誤
(理由)カ(a)・カ(b)をオーストラリアだと仮定しても、高齢化率や若年層の割合が他国と比べて合わない可能性があり、また韓国・ケニアのデータとも一致しにくいです。

② 誤
(理由)カをオーストラリアと結びつけるにしても、aとbいずれが国全体か最大都市かが対応しづらく、韓国・ケニアの人口構成との整合も取りづらいです。

③ 正
(理由)キ(a)を韓国の国全体、キ(b)を人口第1位の都市(ソウル首都圏)などとすれば、高齢化率が比較的高く、かつ大都市人口集中度も高い国の特徴に合致します。また、カ・クのグラフをオーストラリア、ケニアに充てると、若年層の比率と高齢化率が納得できる配置になりやすいです。

④ 誤
(理由)キ(b)をオーストラリア最大都市やケニア最大都市と結びつけると、都市圏人口の集中度合いや年齢構成の分布が説明しきれず、韓国の特性とも合わなくなります。

⑤ 誤
(理由)ク(a)をケニアの国全体として扱う場合、高齢化率が低く0~14歳の比率が高いはずですが、提示されているグラフとの対応が異なるため不適切です。

⑥ 誤
(理由)ク(b)をケニアの最大都市(ナイロビ)とする場合などに矛盾点が多く、オーストラリアと韓国を振り分けられなくなるため成立しにくいです。

問16:正解4

<問題要旨>
インド系住民の人口上位20か国とその国籍別割合を示す地図(図4)に関する設問で、歴史的植民地支配や労働力移民、IT技術者の海外流出などを総合的に捉え、どの文が最も適切に説明しているかを見極める問題です。図4の分布からイギリス連邦諸国や北米・中東などへのインド系住民の集中がうかがえます。

<選択肢>
① 誤
(理由)英語を公用語とする国やイギリス植民地だった国へのインド系住民の集中自体は大きな傾向ですが、移住先の国籍を有する者が必ずしも全員「英語公用語国」だけに多いと断定するのは正確性に欠けます。

② 誤
(理由)東南アジアやラテンアメリカへのインド出身者の移住には時代的背景があるものの、「第二次世界大戦前に観光業に従事するため」などとする説明は実証的に乏しく、地図の主要分布ともずれがあります。

③ 誤
(理由)1970年代のオイルショック以降に増加した西アジアへのインド系住民がすべて「油田開発に従事する技術者」であるとは限りません。実際にはブルーカラーからホワイトカラーまで幅広い移住があったため、この記述だけでは限定的すぎます。

④ 正
(理由)1990年代以降にインド国内のIT・通信産業が成長し、技術者がアメリカ合衆国やイギリスなどに渡るケースが著しく増えました。図4でも北米やイギリス圏の大きな円が確認でき、この背景と結び付ける説明として最も適切です。

問17:正解3

<問題要旨>
東京都市圏を例に、大都市内部での人口分布の変化を時系列で捉えた問題です。1925年・1965年・2010年といった各時点の人口密集地や市区町村の人口増加率を示し、A・B・Cそれぞれの位置(都心から近いか遠いか)とサ・シ・ス(大幅増加、減少、再び増加など)の組合せを考える内容です。

<選択肢>
① 誤
(理由)A・B・Cの位置関係とサ・シ・スの増減率の傾向が合わず、たとえば都心から近いほど早期に高密度化、郊外では戦後に人口爆発などの歴史が反映されていません。

② 誤
(理由)1925年~1930年・1965年~1970年・2005年~2010年の三時期における増減率のパターンを読み解くと、ここで提示されるサ・シ・スの組み合わせがA・B・Cの実態と整合しない部分が出ます。

③ 正
(理由)たとえば、都心に近いAでは1925~1930年に大きく増加(サに対応)、その後は一部でマイナス成長や微増になる時期があるなど、表1の数値や図5の位置と一致します。一方、B・Cも郊外化・再開発のタイミングが反映され、サ・シ・スの対応づけがうまく説明可能です。

④ 誤
(理由)A・B・Cのいずれかのエリアを取り違えると、1925年前後の急増や1965年前後の動きが合わなくなり、表1との数値が矛盾するため正解になりません。

⑤ 誤
(理由)サ・シ・スを別の割り当てで考えると、都心周辺の増減率と郊外の増減率を正確に説明できなくなるため不適切です。

⑥ 誤
(理由)同様に、三つのエリア間の対比が成り立たず、時系列の人口増減データと位置情報に矛盾が生じるため成立しません。

問18:正解3

<問題要旨>
近年、日本の都市部や農村部で増加している「居住者のいない住宅」について、空き家・賃貸用住宅・別荘などの区分とその比率を示した統計(図6)をもとに、タ・チ・ツがどの市区町村に該当するかを見極める問題です。また、E~Gの説明文(観光地、過疎地域、大都市圏など)をタ・チ・ツと組み合わせます。

<選択肢>
① 誤
(理由)タ(空き家比率が高い)を「観光・レジャー」の多い地域と決めつけるなど、E・F・Gのどれが該当するかが統計とずれている可能性があります。

② 誤
(理由)チが「高齢化や過疎化によって人口減少が進む」地域かどうかを見分ける必要があるが、グラフを読み取ると別荘などの要因が大きいのか、賃貸用が多いのかで区別が生じ、ここでは当てはまりにくいです。

③ 正
(理由)たとえば、タは空き家や別荘などが多く観光地域(E)に該当し、チは比較的過疎化が進む農村(F)で、ツは大都市圏(G)といった組み合わせにより、図6の棒グラフの構成割合とE~Gの説明文が整合します。空き家や賃貸用住戸、別荘などの内訳を吟味すると、この選択肢が最も適切です。

④ 誤
(理由)タを大都市圏、チを観光地、ツを過疎地域などの逆の割り当てでは、グラフの違いを説明しきれず、E~Gの内容と矛盾します。

⑤ 誤
(理由)観光地や大都市圏・過疎地域の特徴を見誤った配置となり、棒グラフの構成比率に当てはまりません。

⑥ 誤
(理由)同様に、空き家の割合や賃貸・別荘の比率に関して不一致が多く生じるため不適切です。

問19:正解6

<問題要旨>
台湾の台北市における交通網整備、特にバス専用レーンの設置時期と地下鉄路線の整備状況(図7・図8)をもとに、都市交通再編の目的や効果について説明を読み取る問題です。本文中の下線部xとyの正誤の組合せを選択します。xは「都心部・副都心と郊外を結ぶ道路から整備されてきた」という説明、yは「大量輸送の可能な地下鉄が2000年代以降整備拡充された」という説明の正否を見極めます。

<選択肢>
① 誤/正
(理由)バスレーンの整備が市役所周辺から順に整備されたのか、副都心と郊外を結ぶ主要道路から始まったのかなど、地図の年代別表記と食い違いがあります。

② 正/正
(理由)xとyの両方とも正しいとする選択肢ですが、バス専用レーンはむしろ都心部や主要幹線道路沿いから段階的に整備されており、必ずしも「都心部・副都心と郊外を結ぶ道路から」という説明だけでは不十分な面があります。

③ 正/誤
(理由)地下鉄が2000年代後半に大きく延伸・整備された点について、図8ではむしろ1998年以降ずっと増えているため、誤とするのはやや無理があります。

④ 誤/誤
(理由)xだけでなくyについても、地下鉄の整備が2000年代半ば以降に進んだことは事実であり、両方とも誤りとするのは不適切です。

⑤ 誤/正
(理由)xの「都心部・副都心と郊外を結ぶ道路から整備」という部分は資料と合いにくいが、yについては地下鉄の整備が急速に進んだ事実に合致するため、この組合せも可能性はあるものの、最終的な整合は他の選択肢と比較が必要です。

⑥ 正/正
(理由)地図を見ると、バス専用レーンは台北駅を中心とする都心~副都心間、さらには周辺地区までの幹線道路を段階的に整備している様子がわかります。さらに、地下鉄整備は2000年半ば以降に路線数が拡充され、大量輸送機能が強化されたことが図8でも読み取れます。ゆえに両方の記述が正しいと判断できます。

第4問

問20:正解2

<問題要旨>
アメリカ合衆国の人口分布の重心が、1950年から2010年にかけてどのように移動したかを示す問題です。地図には複数の矢印(ア・イ・ウ・エ)が描かれており、それらの中で実際に確認される重心の移動(西・南西方向など)を最も的確に表しているものを選びます。

<選択肢>
① 誤
(理由)アは大きく北上・東側に傾く方向を示しており、実際の1950年から2010年までの人口移動の大きな流れ(サンベルトへの移住や西部へのシフト)と合わない可能性が高いです。

② 正
(理由)重心が徐々に西側・南寄りへ移動していることを表せる矢印であり、1940~50年代以降にサンベルト地域(南西部など)への人口流入が顕著だった史実とも一致します。

③ 誤
(理由)ウは地図上の向きが大きく南下しすぎるなど、アメリカ中西部からさらに南東方向へ大きくずれるパターンであり、史実上の人口重心移動とは異なる軌跡となっています。

④ 誤
(理由)エは東北方面に近づく向きに見えるなど、実際の南西・西部方向へのシフトを示しているわけではなく、1950~2010年の人口重心移動とはかけ離れているため不適切です。

問21:正解1

<問題要旨>
1950年から2010年にかけてのアメリカ合衆国人口重心が「西・南寄り」へ動いた理由を問う問題です。自動車産業の盛衰や都市化の進展、大陸横断鉄道の影響など、提示された4つの説明文のうち、最も可能性が高い要因を選びます。

<選択肢>
① 正
(理由)「安価な労働力を招いて工場の進出や先端技術産業の成長」がサンベルト地域で顕著に見られ、人口重心の南西方向シフトの一因となりました。特にメキシコ湾岸や西海岸での産業立地が増えたことが背景です。

② 誤
(理由)「製鉄業や自動車産業の成長と雇用の増加」は、むしろ五大湖周辺のラストベルト地域で戦前から繁栄していたため、1950~2010年の重心が南西へ移った理由としては中心的ではありません。

③ 誤
(理由)「大陸横断鉄道の開通と開拓の進展」は19世紀後半~20世紀初頭の要因であり、1950年以降の人口重心の動きとはタイミングがずれます。

④ 誤
(理由)「農村部から大都市圏への大規模人口移動」は全米的に見られた都市化の流れですが、とりわけ南西方向へ重心が動く理由とは必ずしも結びつかず、全国的な都市集中を言うのみで説明が足りません。

問22:正解5

<問題要旨>
テキサス州・ネブラスカ州・マサチューセッツ州における取水量の水源別・使用目的別の割合を示した表(カ・キ・ク)を見分け、各州名とカ・キ・クを正しく対応づける問題です。地下水と地表水のバランス、工業用水・農業用水・生活用水のいずれが高いかなどがポイントになります。

<選択肢>
①~④ 誤
(理由)「テキサス州」「ネブラスカ州」「マサチューセッツ州」のうち、どこで農業用水の比率が高いか、どこで工業用水や生活用水が中心かを突き詰めると、これらの組合せでは表の数値と合いません。

⑤ 正
(理由)例として、テキサス州は農業用水の比率が高く、ネブラスカ州も地下水利用が多いとされます。一方、マサチューセッツ州は工業や生活用水の比率が高く地表水利用も多いと考えられます。これらの特徴を踏まえると、この選択肢が三州の数値と最も合致します。

⑥ 誤
(理由)地表水と地下水の比率、使用目的の配分から見て、テキサス・ネブラスカ・マサチューセッツの順番が逆転してしまい、表のデータと噛み合わないため不適切です。

問23:正解1

<問題要旨>
ミシガン州とワシントン州(同緯度・ほぼ同面積)における月平均気温と月降水量をハイサーグラフ(図2)で比較し、そのどちらがどのグラフに該当するかを考えます。また、小麦とテンサイの年間生産量を示す表2(G・H)から、どの州がどの作物を多く生産しているかを割り当てる問題です。

<選択肢>
① 正
(理由)「ハイサーグラフ:サ」「作物:G」の組合せが、ミシガン州の気候特性(冬季の寒冷・夏季の適度な湿度)と、小麦生産量とテンサイ生産量のバランスに対応していると考えられます。ワシントン州のほうが若干雨量分布や夏季気温の特徴が違うため、「シ」と「H」がそちらに合致するという説明が成り立ちます。

② 誤
(理由)ハイサーグラフのプロットや月別気温・降水分布を入れ替えると、ミシガンとワシントンの気候特性に矛盾が生じやすく、表2の年間生産量とも一致しなくなります。

③ 誤
(理由)ワシントン州の地域によっては潤沢な灌漑・農業生産もあるが、全体的な年間生産量などを照らすと、小麦とテンサイの比率が逆転する場合があり不自然です。

④ 誤
(理由)ハイサーグラフ「シ」にミシガン州をあてはめ、小麦15,321万ブッシェル(G)などとするのは、月降水量の分布が違うため不整合となります。

問24:正解1

<問題要旨>
ミシガン州とワシントン州の人種・民族別人口構成(州全体と、その州の人口最大都市)の円グラフを比較し、それぞれが「デトロイト(ミシガン州最大都市)」と「シアトル(ワシントン州最大都市)」のどちらに該当するかを判定する問題です。アフリカ系・アジア系・ヒスパニック系などの比率が手掛かりとなります。

<選択肢>
① 正
(理由)ミシガン州の州全体(J)では、ヨーロッパ系が多くを占める一方、デトロイト市(K)ではアフリカ系住民の比率が非常に高い。ワシントン州(タ・チのもう一方)については、アジア系やその他の人種が比較的多いシアトル市と、より白人比率が高い州全体を区別でき、グラフの対応が合致します。

② 誤
(理由)ワシントン州の最大都市シアトル市はアフリカ系住民比率がミシガン州デトロイトほど高くないため、もし逆の割り当てをするとグラフと不一致が生じます。

③ 誤
(理由)ミシガン州をアジア系が多いとして扱うのは不自然であり、デトロイト市のアフリカ系比率にも合いません。

④ 誤
(理由)州全体の円グラフと大都市の円グラフが逆になり、アフリカ系住民比率が突出しているものをワシントン州に当ててしまうなど、整合性が取れません。

問25:正解2

<問題要旨>
アメリカ合衆国の各州における「都市人口率」や「外国生まれの人口の割合」「貧困水準以下の収入の人口の割合」「持ち家率」を図4(マ・ミ・ム)で比較し、どれがどの指標を示しているかを考える問題です。地図の濃淡や地域傾向(南部が高いか低いか、西部や北東部が高いかなど)から推定します。

<選択肢>
① 誤
(理由)外国生まれの人口の割合をマ、貧困率をミ、持ち家率をムとする場合、各地図の濃淡分布(たとえば西部や南部の特徴)と矛盾が出やすいです。

② 正
(理由)外国生まれの人口(マ)は主に西海岸や南西部、フロリダなどで高くなる傾向、貧困水準以下の収入(ミ)は南部で高いところが多い、持ち家率(ム)は逆に南部や中西部で高いところが目立つなど、地理的パターンと合致します。

③ 誤
(理由)マ・ミ・ムの組み合わせを入れ替えると、南部が濃くなるはずの貧困率や西部で高まる外国生まれ率が合わなくなり、地図情報と合致しません。

④ 誤
(理由)いずれかの指標が東部や中西部で突出していることを示すならば、実際の分布データとは異なるため不適切です。

⑤ 誤
(理由)持ち家率が地理的に大きく偏る傾向や貧困率の分布を入れ替えてしまい、データと整合しなくなるため成立しません。

⑥ 誤
(理由)他の地域区分との兼ね合いから、外国生まれ人口率・貧困率・持ち家率の3つを正しく振り分けられないので、誤りです。

問26:正解4

<問題要旨>
2012年と2016年のアメリカ合衆国大統領選挙において、各州が共和党候補・民主党候補のどちらに選挙人票を与えたかを示す地図を比較し、その背景にある地誌的要因や製造業の動向などを読み解く問題です。本文中では、ラに当てはまる地域(南部・中西部か、ニューイングランド・西海岸か)、リに当てはまる政策(移民労働力を増やすか、工場の海外移転を抑制するか)について、正しい組合せを問います。

<選択肢>
① 誤
(理由)「南部や中西部」で両党候補が勝利した州が多いのは事実だとしても、リに「移民労働力を増やす」は必ずしも該当しないため、2016年に製造業保護を訴えた共和党候補の政策とは一致しにくいです。

② 誤
(理由)同様に、ラを「南部や中西部」とし、リを「海外移転を抑制する」ではなく「工場の海外移転を増やす」等とすると、実際の背景と逆になるため合いません。

③ 誤
(理由)ラを「ニューイングランドや西海岸」に設定すると、これらの地域は近年民主党色が強い場所が多く、両党が競り合う州が多いとは必ずしも言いがたいです。

④ 正
(理由)ラを「ニューイングランドや西海岸」で両党が勝利した州が多いのではなく、むしろ「南部や中西部」で2012・2016年ともに競合州が見られました。さらにリを「工場の海外移転を抑制する」政策として掲げたことが、ラストベルト地域での支持につながったとされるため、この組合せが適切です。

第5問

問27:正解3

<問題要旨>
京都府全域の市町村について、1990~2015年の人口増減率と2015年の京都市への通勤率を示すテーマ図(図2)を読み取り、地域ごとの人口動向・京都市との通勤関係を関連づけて考察する問題です。特に宮津市やその周辺部では高齢化・若年層の流出等により人口減少が顕著なところが多く、一方で京都市近郊では通勤率が高く人口が維持・増加している市町村もあることがうかがえます。

<選択肢>
① 誤
(理由)「宮津市とその隣接市町村ですべて人口が15%以上減少している」と言い切るのは過剰で、図2を見ると15%減少までは至らない地域もあると考えられます。

② 誤
(理由)「京都市への通勤率が10%以上の市町村ではすべて人口が増加している」とは限りません。郊外地域でも高齢化やほかの要因により減少する場合があるため、一律には成立しません。

③ 正
(理由)「京都市への通勤率が3~10%の市町村の中に、人口が増加している市町村がある」は、図2のテーマ図から見て妥当です。京都市から適度な距離にある市町村では住宅開発などの影響で人口が増えているところも確認できます。

④ 誤
(理由)「京都市への通勤率が3%未満の市町村の中に村がある」との断定は、京都府内の自治体構成や図2の示す市町村の名称・実際の増減状況からみて誤りと考えられます。京都府における村数の分布や通勤率がそれほど低い自治体との対応が合わないためです。

問28:正解2

<問題要旨>
宮津市中心部は江戸時代に城下町として整備されていた史実があり、近世以来の町並みや施設配置との比較を通じて、現代の市街地形成の変化や継承状況を読み取る問題です。図3では、宮津城と周辺の古地図(江戸時代)を現在の地形図と重ね合わせ、船着き場や大手橋、本丸跡などの位置関係がポイントになります。

<選択肢>
① 誤
(理由)「新浜から本町にかけての地区には、江戸時代は武家屋敷が広がっていた」という記述は、地図や歴史資料から確定できず、むしろ武家地は城郭周辺に限られる場合が多いです。

② 正
(理由)「体育館の北側にある船着き場は、近代以降の埋立地に立地している」は、江戸期の海岸線と比べて陸地が拡張された可能性が高く、現代地図では海岸線が前進していることが示唆されるため、もっとも当てはまりやすい説明です。

③ 誤
(理由)「宮津駅から大手橋までの道は、江戸時代から城下町の主要道であった」という説明は、宮津駅自体が鉄道敷設以後(近代以降)にできた施設であり、江戸時代にその道筋が主要道であったかは根拠が乏しいです。

④ 誤
(理由)「宮津城の本丸の跡地には、市役所を含む官公庁が立地している」と断定するのは事実と異なる可能性があります。市役所が置かれている場所は、図3から見ると必ずしも城本丸跡に重ならないため、不正確です。

問29:正解2

<問題要旨>
宮津湾と阿蘇海の間にある砂州「天橋立」をさまざまな地点から撮影した写真(写真1)を判別する問題です。図4では、A~Dそれぞれの地点・矢印の向きが示されており、そこから眺める天橋立の景観がどのように見えるかを対応づけます。

<選択肢>
① 誤
(理由)写真①は、海と砂州が正面に大きく見えるアングルであり、地点Aから撮ったとするならば山や他の方向との位置関係が違う。

② 正
(理由)写真②は、適度に湾曲した天橋立と対岸の陸地が斜めに見える構図。地点A(図4)からの方角を考慮すると、このアングルが最も近いと推測できます。

③ 誤
(理由)写真③には手前に建物らしき構造物が写り、砂州全体が遠望できない構図になっているため、A地点からの遠景とは合致しにくいです。

④ 誤
(理由)写真④も方向が異なり、砂州の見え方や背景との相対位置からみて地点Aの撮影とは考えにくいです。

問30:正解6

<問題要旨>
丹後ちりめんの織物製品について、その生産環境や動向を資料1で整理した問題です。四季風(カ)・織物製品の価格帯や戦略(キ)・海外市場への展開(ク)に関する空欄を埋め、近年の洋服生地やスカーフへの転換、ブランド戦略か大量生産かといった方向性を読み取ります。

<選択肢>
①~5 誤
(理由)「乾いた風or湿った風」「安価or高価」「大量生産orブランド化」の組合せを誤ると、丹後ちりめんの特徴(湿度管理が適した気候、量産よりも高品質路線へシフトなど)と矛盾します。

⑥ 正
(理由)冬季に湿った(カ)季節風が生産に適し、80~90年代以降の安価な機械織物の輸入増によって(キ)=安価な織物製品との競合が生じ、2000年代以降は高付加価値製品を作り出すため(ク)=ブランド化を図って海外市場へ進出、という流れがもっとも妥当です。

⑦~⑧ 誤
(理由)「乾いた風」「大量生産」などの記述では、実際の丹後ちりめんの特徴・戦略と食い違い、生産現場の実態や転換期の状況を正しく表せません。

問31:正解4

<問題要旨>
宮津市北部の山間部にある集落への聞き取り調査の結果をもとに、過疎化による学校(分校)の廃校、伝統行事や技術の継承、都市と農村の交流、移住者の増加などが記され、その背景を考察する問題です。選択肢①~④のうち、内容と合わないものを選ぶ必要があります。

<選択肢>
① 正(内容に合う)
(理由)若年層の流出や少子化で分校が廃止に至ったのは一般的な過疎地域の傾向であり、聞き取り内容とも整合します。

② 正(内容に合う)
(理由)住民の高齢化は伝統技術の後継者不足につながり、織物や和紙づくりなどが衰退の危機にあることは資料2からもうかがえるため妥当です。

③ 正(内容に合う)
(理由)都市住民の自然環境への関心が高まり、農村との交流(ツアーやNPO活動)を促している旨が資料2に記されているので、これも一致します。

④ 誤(内容に合わない)
(理由)「移住者の増加は、宮津市における人口の郊外化が背景にある」という指摘は筋が異なります。資料2では過疎地への移住動機として米作りや狩猟を目的とした事例が紹介されており、都市周辺の郊外化の文脈とは異なります。よって“郊外化”とは結びつきにくく、聞き取り調査の内容と合わないと判断できます。

問32:正解1

<問題要旨>
天橋立で多くの外国人観光客を見かけたことから、外国人観光客の動向を調べた問題です。2018年の外国人延べ宿泊者数と2013年との比較を都道府県別に示した図5を基に、東京や大阪などの都市部だけでなく地方観光地における宿泊者数増加の傾向・その背景(ショッピング型、体験型観光など)を考察し、空欄サ・シや文F・Gとの組み合わせを判断する内容です。

<選択肢>
① 正
(理由)「大阪府-F」の組合せを挙げると、大阪府はショッピングやテーマパークなどのイメージよりも、むしろ京都や兵庫とも近接し、“温泉・農山漁村などの体験型”とは必ずしも専売ではないが、問題文のサには「大阪府」が最も多い観光地として挙がり、Fは「温泉や農山漁村を訪れて体験型の観光を楽しむ」という内容が結びつきやすいと考えられます(逆にGは大型テーマパークのイメージが強い)。また、沖縄県はショッピングやテーマパークよりもビーチリゾート型の観光要素が強いが、ここでは提示されたF・Gのうちどちらを当てるかで、この選択肢が最も筋が通ると判断できます。

② 誤
(理由)「大阪府-G」は、テーマパークを楽しむイメージが強いとはいえ、問題文でのサ・シや大阪の外国人宿泊者数増加の背景が“体験型観光”と結び付けられないわけではない。しかし、沖縄にFを当てると温泉や農山漁村のイメージが合わずに不自然となり、全体の組み合わせが崩れます。

③ 誤
(理由)「沖縄県-F」で“体験型”をメインにする可能性はあるが、一方で大阪府にGを置くと、ショッピングや大型テーマパークばかりを取り上げる形となり、資料や背景説明と乖離する部分があるため完全には整合しません。

④ 誤
(理由)「沖縄県-G」で大型テーマパークを楽しむ、というのも沖縄の観光の主力とは言えず、全体の文脈と適合しにくいです。

投稿を友達にもシェアしよう!
  • URLをコピーしました!
目次