2026年度 大学入学共通テスト 本試験 生物基礎 解答・解説

2026年度 大学入学共通テスト 本試験「生物基礎」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。

目次

解答

解説

生物基礎は全16問、満点50点、試験時間30分です(理科基礎は4科目から2科目を選択して、あわせて60分)。第1問から第3問の3大問すべてが必答で、配点は第1問16点・第2問18点・第3問16点。理科基礎は物理基礎・化学基礎・生物基礎・地学基礎の4科目が1冊の問題冊子にまとめられ、冊子全体で100点満点として扱われるため、生物基礎の解答番号は1番からではなく101から116になっています。

3大問すべてがA・Bの二つの文章に分かれ、それぞれに知識問題と図の考察問題が置かれています。第1問は、菌類から有機物を得るラン科植物を題材に、細胞の共通性とCO₂吸収速度・炭素の由来を読み、後半はDNAの半保存的複製を試験管内で1回起こしたときの鎖の本数を数えます。第2問は深部体温の調節を、安静時に体の外から温めた実験と運動で体の内側から熱を出した実験の比較で考え、後半は自然免疫・獲得免疫と、新型コロナワクチンの接種回数別の累積患者数を扱います。第3問は富士山南側の一次遷移と森林限界から、マメ科2種がなぜ住み分けるのかを表と図の突き合わせで説明し、最後は在来種のツチガエルと二つの外来生物の関係を間接効果として読みます。

つまずきやすいのは、図の読み方が判定そのものになる4問です。解答番号102は縦軸の負の値を「CO₂の放出」と読めるかどうか、108は同じ温度差を何分で稼いだかという傾きの比較、111は右端の3本の高さを読んで倍率を実際に割り算すること、113は表1の被度分布と図2の乾燥応答という二つの資料を突き合わせることが決め手になります。さらに解答番号116は、野外調査の一見すると逆に見える順序を、魚類C→ウシガエル→ツチガエルという2段の関係として読む必要があり、この回でもっとも差がついた設問といえます。

第1問 A ラン科植物の菌類依存と代謝

植物細胞のつくりから入り、根を介して菌類からも有機物を得るラン科の植物Aについて、緑色個体と、光合成色素を持たない白色個体を比べる図を2つ読みます。第1問全体の配点は16点です。

問1:正解 ⑤(解答番号101/配点3)

<問題要旨>
下線部(a)「植物の細胞は、他の生物の細胞と共通した特徴を多く持つ」に関連して、全ての生物の細胞に共通する特徴として最も適当なものを①〜⑤から一つ選ぶ設問です。図や表はありません。

<考え方>
「全ての生物」と問われたら、原核生物(細菌)と動物細胞の両方で成り立つかを1つずつ確かめるのが原則です。一方にしかない構造やはたらきを挙げた選択肢は、反例を1つ示せば落ちます。全生物に共通するのは、遺伝情報を扱うしくみと代謝を担う触媒、すなわちRNAと酵素です。

① 誤 細胞壁は植物や細菌にはあるが、動物細胞にはない。
② 誤 原核生物には核がなく、DNAは細胞質基質にある。染色体が核の内部にあるとは言えない。
③ 誤 ミトコンドリアは真核細胞の細胞小器官で、原核生物は持たない。
④ 誤 無機物から有機物を合成するのは独立栄養生物だけ。動物や菌類はできない。
⑤ 正 どの生物もDNAの遺伝情報をRNAを介して使い、酵素を触媒として代謝を行う。

よって ⑤

「全ての生物に共通」で問われる定番は、細胞膜・DNA・RNA・酵素・ATPを使う代謝の5つです。細胞壁・核・葉緑体・ミトコンドリアはいずれも一部の生物に限られるので、共通の特徴には入りません。

問2(1):正解 ③(解答番号102/配点3)

<問題要旨>
光合成を行う緑色個体と、光合成に必要な緑色の色素を持たない白色個体について、葉のCO₂吸収速度を明条件と暗条件で比べた図1を読む設問です。縦軸は緑色個体の明条件での値を1とした相対値で、0の線より下に伸びた棒もあります。

<考え方>
CO₂吸収速度の符号がそのまま判定の軸になります。値が正なら光合成によるCO₂の吸収が呼吸による放出を上回っており、値が負なら差し引きでCO₂を放出している、つまり呼吸(異化)で有機物を分解していることを意味します。4本の棒が0の線のどちら側に伸びているかを、すべて確認してから選択肢に当てます。

【図1の読み(棒が0の線のどちら側か)】
緑色個体 明条件 +1.0    → CO₂を吸収している
緑色個体 暗条件 約−0.67  → CO₂を放出している
白色個体 明条件 約−0.2   → CO₂を放出している
白色個体 暗条件 約−0.2   → CO₂を放出している

① 誤 明条件では光合成でも呼吸でもATPがつくられる。合成されていないとは言えない。
② 誤 暗条件の緑色個体はCO₂を放出しており、呼吸だけが起きている。呼吸ではO₂は吸収される。
③ 正 白色個体は明条件でもCO₂を放出している。放出は呼吸によるもので、有機物が分解されている。
④ 誤 白色個体の暗条件も約−0.2でCO₂を放出しており、異化は行われている。

よって ③

この設問の決め手は、縦軸の負の値を「CO₂の放出」と読むことです。「吸収速度が小さいだけ」と読み替えてしまうと、③も④も成り立つように見えて選べなくなります。白色個体は明条件でも棒が0より下にあり、光合成で放出を打ち消せていない、つまり光合成をしていないことが図から分かります。

問2(2):正解 ②(解答番号103/配点4)

<問題要旨>
緑色個体と白色個体のそれぞれの葉に含まれる炭素のうち、菌類から得た炭素の割合を、芽生えの時期・開花の時期・果実ができ始める時期・果実が成熟する時期の四つの生育段階で調べた図2を読む設問です。

<考え方>
「菌類から得た炭素の割合」の残りが「自身の光合成で得た炭素の割合」になる、という補数の関係で決まります。各段階の棒の高さを縦軸の目盛りで読み、100から引いた値を自前の割合として比べます。

【図2の読み(縦軸の目盛り)】
緑色個体 芽生えの時期 約86% 開花の時期 約53% 果実ができ始める時期 約48% 果実が成熟する時期 約20%
白色個体 四つの段階すべて 100%

【自身の光合成による炭素の割合(100からの残り)】
緑色個体 果実が成熟する時期 100 − 20 = 約80%

① 誤 図2が示すのは「得た炭素の割合」だけ。菌類へ与えているかどうかは読み取れない。
② 正 果実が成熟する時期の緑色個体は約80%が自身の光合成由来で、「主に」自前の有機物を代謝に用いている。
③ 誤 白色個体は四つの段階すべてで100%であり、菌類から得た有機物が必要でない時期はない。
④ 誤 葉に含まれる炭素の100%が菌類由来ということは、その炭素が体内に残っているということ。呼吸で使い切られてはいない。

よって ②

【検算】緑色個体は約86% → 約53% → 約48% → 約20% と単調に下がる。葉が育って光合成能力が上がるほど菌類への依存が減るという筋と一致する。

白色個体が四つの段階すべてで100%であることは、白色個体が菌類なしでは生きられないことの裏返しです。リード文の「白色個体は緑色個体より小さく、生産される種子の数も少ない」と合わせると、菌類依存だけでは生育に不足があると読めます。

第1問 B DNAの半保存的複製と鎖の本数

先生とセナさんの会話で、生きた生物を使わずにDNAの半保存的複製を確かめる方法を考えます。標識されたヌクレオチドを使って1回だけ複製したとき、標識を含む鎖が何本できるかを2本鎖と1本鎖の両方で数えさせるのが後半の山場です。

問3:正解 ①(解答番号104/配点3)

<問題要旨>
下線部(c)「遺伝子の本体であるDNA」に関連して、遺伝情報とDNAに関する記述として最も適当なものを①〜⑤から一つ選ぶ設問です。

<考え方>
2本鎖DNAの相補性(AとT、GとCが必ず対になる)と、転写・翻訳の基本に戻せば決まります。相補性から生物種によらずA=T、G=Cが成り立つ一方、残りの選択肢は「等しい」「1種類である」「全領域」という言い切りになっており、反例を1つ作れば落ちます。

① 正 2本鎖DNAではGとCが必ず対になるので、生物の種類によらずグアニンの割合とシトシンの割合は等しい(シャルガフの規則)。
② 誤 遺伝子として働かない領域の量が種によって大きく異なるため、遺伝子の数が同じでもゲノムの大きさは一致しない。
③ 誤 同じアミノ酸を指定するコドンが複数あるので、同じアミノ酸配列に対応する塩基配列は1種類には限らない。
④ 誤 RNAの塩基はアデニン・ウラシル・グアニン・シトシン。チミンはDNAの塩基。
⑤ 誤 細胞では必要な遺伝子だけが転写される。DNAの全領域がmRNAに写し取られるわけではない。

よって ①

①で割合が等しいのは「AとT」「GとC」の組で、「AとG」ではありません。②の「遺伝子の数」と「ゲノムの大きさ」を結びつける言い方は、毎年ねらわれる形です。

問4:正解 ②(解答番号105/配点3)

<問題要旨>
x本の2本鎖DNAに標識されたヌクレオチドを与えてDNA鎖全体を1回だけ複製したとき、標識を含む2本鎖DNAの本数(ア)と含まない2本鎖DNAの本数(イ)、さらにそれらを1本鎖に分けて数えたときの標識を含む本数(ウ)と含まない本数(エ)の組合せを、表の①〜④から選ぶ設問です。

<考え方>
半保存的複製では、もとの2本鎖がほどけて各鎖が鋳型になり、新しくつくられる鎖だけが標識されます。したがって1回複製後の1分子は必ず「もとの鎖1本(標識なし)+新しい鎖1本(標識あり)」という形になります。まず2本鎖で数え、そのあと1本鎖に数え直すという二段構えで進めます。

【複製前】
2本鎖DNA   x 本
1本鎖に分けると 2x 本(すべて標識なし)

【1回複製後】
2本鎖DNA  2x 本(x 本が2倍になる)
どの分子も もとの鎖1本(標識なし)+ 新しい鎖1本(標識あり)

ア 標識を含む2本鎖DNA … 全分子が新しい鎖を1本持つので 2x 本
イ 標識を含まない2本鎖DNA … 0 本
ウ 標識を含む1本鎖DNA … 新しい鎖だけなので 2x 本
エ 標識を含まない1本鎖DNA … もとの鎖だけなので 2x 本

よって ②

【検算】1本鎖の合計は ウ + エ = 2x + 2x = 4x 本。2本鎖 2x 本を1本鎖に分けた本数 2x × 2 = 4x 本と一致する。

①は標識を含む1本鎖を4x本としており、もとの鎖まで標識されたことになるので半保存的複製と矛盾します。③④は2本鎖の本数がx本のままで、複製によって分子の数が2倍になることを落とした形です。

第2問 A 体温と体液濃度の調節

自律神経系と内分泌系による体内環境の調節を扱い、後半は深部体温の実験2つを比べます。安静のまま体の外から温めた実験1と、運動によって体の内側で熱を出した実験2の違いが考察の軸です。第2問全体の配点は18点です。

問1:正解 ③(解答番号106/配点3)

<問題要旨>
下線部(a)「ヒトの体内環境は、自律神経系や内分泌系の働きによって、一定になるように調節されている」についての記述として誤っているものを①〜⑤から一つ選ぶ設問です。

<考え方>
自律神経の「出どころ」とホルモンの「出どころ」を分けて確認するのが近道です。副交感神経は中脳・延髄・仙髄から出ますが、交感神経は脊髄(胸髄から腰髄)から出ます。この違いが判定の軸になります。

① 正 血糖が不足するとグルカゴン・アドレナリン・糖質コルチコイドなど複数のホルモンが働き、血糖が増加する。
② 正 副腎皮質は糖質コルチコイドなど、副腎髄質はアドレナリンを分泌する。異なるホルモンである。
③ 誤 副交感神経は中脳・延髄・仙髄から出るが、交感神経は脊髄(胸髄〜腰髄)から出る。「どちらも中脳や延髄から出ている」は成り立たない。
④ 正 運動時は交感神経により心臓の拍動が促進され、血流が増えて組織への酸素供給量が増加する。
⑤ 正 チロキシンが増えると視床下部と脳下垂体前葉への負のフィードバックが働き、チロキシンの分泌が抑制される。

よって ③

交感神経と副交感神経は「はたらきが逆」で終わらせず、「出どころが違う」ことまで押さえます。副交感神経のうち内臓に広く分布するのは延髄から出る迷走神経です。

問2:正解 ②(解答番号107/配点3)

<問題要旨>
大量の発汗で体内の水分が失われて体液の塩類濃度が上昇したときの調節について、その上昇を感知する脳の領域(ア)と、ホルモンによって促進されるはたらき(イ)の組合せを①〜⑥から選ぶ設問です。

<考え方>
体液の濃度・体温・血糖の変化を感知する中枢は間脳の視床下部、という一点で(ア)が決まります。塩類濃度が上がったときは体内の水を増やして濃度を下げる向きに働くので、(イ)はバソプレシンによる腎臓での水の再吸収になります。

ア 体液の塩類濃度・体温・血糖の変化を感知する中枢 … 間脳(視床下部)
  中脳は姿勢の保持や眼球運動、延髄は呼吸・心拍の中枢で、体液濃度の感知は担わない。

イ 塩類濃度が上がった → 体内の水を増やして濃度を下げたい
  脳下垂体後葉からバソプレシンが分泌される
  → 腎臓(集合管)での水の再吸収が促進される
  → 尿量が減り、体液の塩類濃度が下がる

  「肝臓での物質の代謝」は血糖や尿素の調節に関わるが、体液の塩類濃度を直接下げるはたらきではない。

よって ②

濃度が「上がった」のだから、水を出す(尿量を増やす)のではなく、水を体内に戻す向きに働きます。この向きを逆に考えると④や⑥を選んでしまいます。

問3:正解 ④(解答番号108/配点3)

<問題要旨>
気温28℃の室内で、椅子に座って安静にした状態で頭部を除く全身を50℃の空気で60分間温め、深部体温と額からの発汗量を測った実験1(図1)と、気温20℃または40℃の室内で40分間運動したときの深部体温を5分ごとに測った実験2(図2)から考えられることを①〜④から選ぶ設問です。

<考え方>
対照実験との違いは、実験1が「安静のまま体の外から温める」のに対し、実験2は「運動によって体の内側で熱を出す」ことです。つまり熱源が外か内かだけが違うので、同じ温度差をどれだけの時間で稼いだかという傾きで比べます。あわせて、図1では深部体温と発汗量のどちらが先に動くかを横軸で確認します。

【実験1(図1)を縦軸の目盛りで読む】
温め始めてからの時間  0分 深部体温 約36.7℃
           10分     約36.5℃(わずかに下がっている)
           30分     約37.2℃
           60分     約38.65℃
 0〜10分ではほとんど上がらない。上がり方が最も急な30〜40分でも 37.2℃ → 37.6℃ で 約0.4℃/10分。
 発汗量(破線)は20分すぎまで低いまま。深部体温が上がり始める約10分よりあとに増え始める。

【実験2(図2)を縦軸の目盛りで読む】
気温20℃  0分 約36.8℃ → 10分 約37.9℃ (10分で 約1.1℃)
気温40℃  0分 約37.0℃ → 10分 約38.0℃ (10分で 約1.0℃)
 10分以降は、20℃では約38.0〜38.1℃で横ばい、40℃では上がり続けて40分に約39.4℃。

【傾きの比較】
安静で温めたとき  最も急な区間でも 約0.4℃/10分
運動開始直後            約1.0〜1.1℃/10分

① 誤 発汗は体表から熱を奪って体温を下げるはたらき。図1でも体温の上昇が発汗の増加より先に始まっており、因果が逆。
② 誤 発汗を促すのは交感神経で、副交感神経ではない。
③ 誤 図2の10分以降で20℃と40℃の曲線が離れていく。気温に関係なく同じように変化するとは言えない。
④ 正 運動開始直後の10分で約1.0℃上がり、安静で温めたときのどの10分よりも急である。

よって ④

図1は「発汗が増えたから体温が上がった」ではなく「体温が上がったから発汗が増えた」と読みます。順序は横軸のどこで両者が動き始めるかで確かめられます。③のように「気温に関係なく」という言い切りは、曲線が離れる区間を1つ見つければ落とせます。

第2問 B 感染症と免疫のしくみ

自然免疫と獲得免疫のはたらきを問い、最後は米国ロサンゼルスでのオミクロン株流行期に、新型コロナワクチンの接種回数ごとの累積患者数を示した図3を数値で読ませます。

問4:正解 ①(解答番号109/配点3)

<問題要旨>
下線部(c)「自然免疫および獲得免疫(適応免疫)」に関連して、自然免疫による防御に関する記述として最も適当なものを①〜⑤から一つ選ぶ設問です。

<考え方>
自然免疫と獲得免疫の境目で切ります。自然免疫は食作用を中心とし、病原体の種類を細かく区別せず、過去の感染経験に依存しません。抗体やリンパ球の記憶が出てきた選択肢は、獲得免疫の話にすり替わっています。

① 正 好中球は食作用をもつ白血球で、細菌を細胞内に取り込んで分解・排除する。
② 誤 樹状細胞が抗原を提示する相手はT細胞。「全ての白血球に」は言い過ぎで、好中球などには提示しない。
③ 誤 マクロファージは代表的な食作用をもつ白血球である。
④ 誤 抗体を産生するのは獲得免疫(体液性免疫)で働く形質細胞。自然免疫のはたらきではない。
⑤ 誤 過去の感染の経験を利用するのは獲得免疫。自然免疫は初めて出会う病原体にも同じように働く。

よって ①

⑤は「即座に様々な病原体に対して働く」という後半だけは自然免疫の特徴なので、正しそうに見えます。「過去の感染の経験により」という1句が獲得免疫の説明であることを見抜くのがポイントです。

問5:正解 ③(解答番号110/配点3)

<問題要旨>
獲得免疫の細胞性免疫と体液性免疫について、記述ⓐ〜ⓓのうち正しいものはどれか、その組合せを①〜⑥から選ぶ設問です。

<考え方>
抗原提示ができる細胞(樹状細胞・マクロファージ・B細胞)と、ヘルパーT細胞が活性化する相手(キラーT細胞・B細胞)を整理すれば4つとも決まります。ⓑとⓒはどちらも「活性化しない」「提示できない」という否定形なので、反例を1つ挙げれば落ちます。

ⓐ 正 樹状細胞はリンパ節でヘルパーT細胞やキラーT細胞に抗原を提示し、獲得免疫の起点となる。
ⓑ 誤 ヘルパーT細胞はキラーT細胞を活性化する。活性化しないという記述は成り立たない。
ⓒ 誤 B細胞も抗原を取り込んでヘルパーT細胞に提示できる。
ⓓ 正 キラーT細胞は病原体に感染した細胞を認識して直接攻撃し、感染細胞ごと排除する。

正しいのは ⓐ と ⓓ

よって ③

抗原提示ができる細胞を「樹状細胞だけ」と覚えているとⓒを正しいと判断してしまいます。マクロファージとB細胞も抗原提示を行います。

問6:正解 ②(解答番号111/配点3)

<問題要旨>
2021年11月20日から2022年1月8日までの米国ロサンゼルスについて、新型コロナワクチンの接種回数ごとの新型コロナウイルス感染症の患者数の推移を示した図3(縦軸は10万人当たりの直前2週間の累積患者数)から読み取れることや、関連した免疫のしくみについての記述を①〜④から選ぶ設問です。

<考え方>
「3倍以上」「2倍程度」という倍率の主張は、図の右端(1月8日)にある3本の線の高さを縦軸の目盛りで読み、実際に割り算すれば決まります。見るのは曲線の形ではなく、到達した数値です。

【図3の右端(1月8日)を縦軸の目盛りで読む】
未接種者  6000と7000の中ほど  約6700
1回接種者 3000をやや超えた位置 約3350
2回接種者 2000のすぐ下     約1870

【倍率を確かめる】
2回接種者の3倍 1870 × 3 = 約5600  < 未接種者 約6700 → 3倍以上 は成り立つ
1回接種者の2倍 3350 × 2 = 約6700  ≒ 未接種者 約6700 → 2倍程度 は成り立つ

① 誤 自然免疫は誰もが生まれつき持っている。未接種者に欠けていたのはオミクロン株に対する獲得免疫。
② 正 右端の値から、未接種者は2回接種者の約3.6倍、1回接種者の約2.0倍。本文の記述と合う。
③ 誤 右端で未接種者・1回接種者・2回接種者の順に低くなっており、接種回数による差は明確。
④ 誤 ワクチンは弱毒化・無毒化した抗原などを与えて記憶細胞をつくらせるもので、接種時に体内の病原体を排除するものではない。

よって ②

この図は縦軸が「10万人当たり」の値なので、人口の違いを気にせず3本を直接比べられます。倍率を問われたら目分量で判断せず、いちばん下の線の3倍が上の線に届くかを掛け算で確かめるのが確実です。

第3問 A 一次遷移と森林限界

富士山南側で江戸時代の噴火後に進む一次遷移と、徐々に上昇している森林限界を題材にします。中心は、森林限界付近に分布する2種のマメ科植物(種Mと種T)の被度分布(表1)と、乾燥に対する光合成速度の応答(図2)を突き合わせる設問です。第3問全体の配点は16点です。

問1:正解 ①(解答番号112/配点3)

<問題要旨>
下線部(a)「一次遷移」についての記述として最も適当なものを①〜④から一つ選ぶ設問です。

<考え方>
一次遷移は「土壌がない裸地から始まる」ことが出発点です。遷移が進むにつれて枯死体の分解で有機物が蓄積し、土壌が厚くなって層状構造ができ、そこに生育できる種が増えていく、という一方向の変化に照らして判定します。

① 正 遷移が進むと落葉や枯死体が分解されて有機物が積もり、落葉層・腐植層・風化した岩石の層といった層状構造が発達する。
② 誤 裸地にはまず少数の先駆種が入り、環境が整うにつれて生育できる種が増える。植物種の数は変わる。
③ 誤 先駆種は栄養の乏しい土壌や乾燥・強光に耐えられるからこそ、最初に裸地に入ることができる。耐性は低くない。
④ 誤 土壌が形成されていく過程は有機物が蓄積していく過程であり、土壌中の有機物量は増加する。

よって ①

③は「先駆種は競争に弱い」という別の性質と混ざりやすい選択肢です。他種との競争には弱いが、貧栄養や乾燥への耐性は高い、という二つの面を分けて覚えておきましょう。

問2:正解 ③(解答番号113/配点3)

<問題要旨>
森林限界付近のカラマツ林の様子を示した図1、森林限界付近のある地点を基準として標高が高い方向へ80mまでの区間で種Mと種Tの被度を10mごとに調べた表1、そして水やり回数が多い条件と少ない条件で十分強い光の下で2種の葉の光合成速度を測った図2から考えられることを①〜④から選ぶ設問です。

<考え方>
対照実験との違いは、図2が光を十分強い条件でそろえたうえで「水やり回数」だけを変えていることです。つまり図2に現れた差は乾燥だけによる差だと言えます。そこで、表1で2種がどこに分布しているかと、図2で乾燥にどれだけ強いかを突き合わせます。

【表1の読み(被度%、基準地点からの距離)】
種M 0〜30m 0  30〜40m 0.1  40〜60m 0  60〜70m 0.5  70〜80m 1.5
種T 0〜10m 1.2 10〜20m 2.0  20〜30m 1.1  30〜80m 0
 → 種Tは基準地点に近い側(カラマツ林に近い側)だけ、種Mは標高が高い側(裸地側)に偏る。

【図2の読み(縦軸の目盛り)】
種M 水やり多い 1.00 → 少ない 約0.97  低下 約3%
種T 水やり多い 約0.57 → 少ない 約0.38  低下 約33%

① 誤 乾燥で大きく下がるのは種Tのほう(約33%低下)。さらに表1で種Tは標高が高い側の裸地に分布していない。
② 誤 水やり回数が多い条件でも 種T 約0.57 に対して 種M 1.00。半分程度であり「同程度」とは言えない。
③ 正 乾燥させたときの低下は種Mが約3%、種Tが約33%。種Mのほうが乾燥の影響を受けにくい。
④ 誤 表1でカラマツ林に近い側(0〜30m)に分布しているのは種Tだけで、種Mは0。林床は種Tに適している。

よって ③

【検算】乾燥に強い種Mが、より乾燥しやすい標高の高い裸地側に分布し、乾燥に弱い種Tが林に近い側に分布している。表1と図2から読み取れる向きが一致する。

①と③は「どちらが乾燥に強いか」だけを入れ替えた対になっています。図2は棒が4本並ぶので、まず凡例(種Mが網かけ、種Tが白)でどの2本がどちらの種かを確かめ、そのうえで低下の割合を計算してください。

問3:正解 ②(解答番号114/配点3)

<問題要旨>
下線部(b)「森林限界」についての記述として最も適当なものを①〜④から一つ選ぶ設問です。

<考え方>
森林限界は「低温のために高木が育たなくなる境目」です。標高が上がるほど気温が下がるという関係に戻せば、緯度による違い・温暖化の影響・垂直分布の名称の3点をまとめて判定できます。

① 誤 緯度が高い北海道の山は同じ標高でも気温が低く、森林限界の標高は本州中部の山より低い。
② 正 標高が100m上がるごとに気温は約0.5〜0.6℃下がる。この低温が高木の生育を妨げ、森林限界が形成される。
③ 誤 高山帯は森林限界より上の区分。森林限界より標高が低い側は、上から亜高山帯・山地帯・低地帯(丘陵帯)に分けられる。
④ 誤 気温が上がれば高木が生育できる標高も上がるので、森林限界の標高は高くなると予想される。

よって ②

垂直分布の名称は下から低地帯(丘陵帯)・山地帯・亜高山帯・高山帯です。森林限界は亜高山帯と高山帯の境目にあたり、リード文の「森林限界の標高が徐々に上昇している」も④の判定に使えます。

第3問 B 絶滅と外来生物の駆除がもたらす間接効果

在来種のツチガエルと、外来生物のウシガエル・魚類Cの関係を扱います。野外調査で得られた池ごとのツチガエル密度の順序を、魚類Cを入れた実験1と入れなかった実験2から間接効果として説明させる、この回いちばんの考察問題が置かれています。

問4:正解 ③(解答番号115/配点3)

<問題要旨>
下線部(c)「絶滅」についての記述として誤っているものを①〜④から一つ選ぶ設問です。

<考え方>
生態系が自らを復元する力(復元力)には限度がある、という一点で決まります。「〜を超えることはない」という言い切りを見たら、限度を超えて別の状態に移ってしまう例を探します。

① 正 種の絶滅が続くと生物多様性が低下し、食料や水の供給、気候の調節といった生態系サービスも低下して、人間の生活に不都合が生じる。
② 正 過去の大量絶滅は自然現象によるものだが、現代において絶滅のおそれのある種が増えているのは、生息地の破壊・乱獲・外来生物の持ち込みなど人間活動が主な原因である。
③ 誤 攪乱の規模が生態系の復元力を超えると、もとの状態には戻らず別の状態へ移行する。「復元する力を超えることはない」は成り立たない。
④ 正 キーストーン種は個体数が少なくても生態系全体に大きな影響をもつため、その絶滅が及ぼす影響は小さくない。

よって ③

小規模な攪乱なら復元力の範囲内で回復しますが、規模が大きくなるほど回復は難しくなります。「攪乱の規模と復元力のどちらが大きいか」で場合分けする発想を持っておくと、この形の選択肢に強くなります。

問5:正解 ⑦(解答番号116/配点4)

<問題要旨>
ツチガエルの密度が「ウシガエルも魚類Cもいない池で最も高く、次いでウシガエルと魚類Cがいる池、ウシガエルはいるが魚類Cはいない池の順に低くなった」という野外調査の結果、水槽の半分に模型の水草を置いて魚類Cを1個体放し、捕食されたおたまじゃくしの割合を測った実験1(図4)、魚類Cを入れずにおたまじゃくしが水草のある側にいた時間の割合を測った実験2(図5)から、外来生物の駆除の影響について述べた文章の空欄ア〜エに入る語句の組合せを①〜⑧から選ぶ設問です。

<考え方>
対照実験との違いは、実験2が実験1から魚類Cだけを取り除いた条件だということです。捕食者がいない状態でも2種のいる場所が違うのなら、実験1の捕食率の差は魚類Cの好みではなく、おたまじゃくしがどこにいるかで説明できます。そのうえで野外調査の順序を、魚類C→ウシガエル→ツチガエルという2段の関係として読み直します。

【ア まず魚類Cを入れていない実験2(図5)を見る】
水草のある側にいた時間の割合 ウシガエル 約38.5%  ツチガエル 約76%
 → ツチガエルは隠れ場所のある側に長くいて、ウシガエルは開けた側に長くいる。

実験1(図4)で魚類Cに捕食された割合 ウシガエル 約42%  ツチガエル 約14%
 → 魚類Cが選り好みなく捕食するなら、開けた側に長くいるウシガエルのほうが多く食われる。
 → 実験1の差を生んだのは ア = 居場所
  (遊泳能力は測っていない。実験2が記録したのは「どちら側にいたか」だけ。)

【イ・ウ・エ 野外調査の順序を間接効果として読む】
ツチガエルの密度
 高 ウシガエルも魚類Cもいない池
 中 ウシガエルと魚類Cがいる池
 低 ウシガエルはいるが魚類Cはいない池

・最も高いのが両方いない池 → ウシガエルはツチガエルを減らしている
・ウシガエルがいる2種類の池を比べると、魚類Cもいる池のほうがツチガエルは多い
 → 魚類Cはウシガエルを多く捕食する(実験1)ので、ウシガエルを抑えていた
 → ウシガエルが抑えられれば、ウシガエルによるツチガエルの捕食も減る

魚類Cだけを駆除すると
 → ウシガエルを抑えていた捕食者がいなくなり、ウシガエルが増える
 → ウシガエル(イ)が ツチガエル(ウ)の個体数を減らす影響を間接的に 強める(エ)

ア = 居場所  イ = ウシガエル  ウ = ツチガエル  エ = 強める

よって ⑦

【検算】イとウを入れ替えると「ツチガエルがウシガエルの個体数を減らす」ことになり、ウシガエルがツチガエルを捕食するという本文の捕食−被食の向きと合わない。また、駆除でウシガエルが増えるのだから、エは「弱める」ではなく「強める」でなければならない。

野外調査の順序は、一見すると「捕食者が2種いる池のほうがツチガエルが多い」という逆の結果に見えます。魚類Cがウシガエルを優先的に食べることで、結果としてツチガエルを助けていた——という2段の関係(間接効果)に気づけるかどうかが分かれ目です。すでに定着した外来生物を一方だけ駆除すると在来種がかえって減ることがある、という現実の保全の難しさがそのまま設問になっています。

※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

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