解答
解説
第1問
問1:正解3
<問題要旨>
イギリスとニュージーランドのいずれかにおける国土の標高別面積割合と、耕作地や森林・牧草地などの土地利用割合を比較して、どちらがどの図に当てはまるかを問う問題である。標高の高さや畜産の比率など、国土の自然条件の違いが大きく影響する。
<選択肢>
①【誤】 標高2,000m以上の占める割合が大きく、かつ牧草地の比率が高い国をイギリスと結び付けているが、イギリスは高標高地の少なさと畜産依存の度合いの違いから見ても不適切。
②【誤】 標高分布の少し高い方をイギリスとしている点や、森林・耕作地の比率をニュージーランドと結び付けているが、イギリスでは森林率より畑作地の比率が比較的高い。ニュージーランドの特徴と一致しない。
③【正】 標高2,000m以上まで分布する国土と、牧草地が広範に占める土地利用の組合せをニュージーランドとみなし、比較的標高が低めの国土をイギリスに対応付けている。畜産や山岳地形の多いニュージーランドの実態と合致する。
④【誤】 ニュージーランド側の標高分布を低地中心とし、イギリス側を高地中心とする組合せになっているが、これは実際の山岳分布状況とは整合しない。
問2:正解3
<問題要旨>
北緯30度から80度にかけての陸域で占める永久凍土および氷河・氷床の割合を示すグラフを基に、緯度帯ごとの分布の特徴を説明する選択肢の真偽を問う問題。標高や日射量の影響、また大陸氷床などの広がり方が論点になる。
<選択肢>
①【正寄り】 北緯30〜45度での永久凍土分布は、チベット高原やヒマラヤ山脈など標高の高いアジアの山岳地帯が中心となる旨は妥当。
②【正寄り】 北緯45〜70度にかけて永久凍土の割合が増加する理由として、高緯度ほど日射が弱く平均気温が低いことのほか、シベリア東部などの寒冷地域を含む点も説明としては正しい。
③【正】 北緯60〜80度で氷河・氷床の割合が増加する要因を高緯度化による寒冷化だけでなく、極地付近では降雪量が多い地域もあるため大規模氷床が形成される、と見る説明は適切。
④【誤寄り】 北緯70〜80度の氷床未覆域では、ほとんど永久凍土が分布するという記述は概ね正しいが、一部海岸部など分布が複雑な地域もある。文中の「ほとんどの地域で永久凍土」がやや行き過ぎな表現になる場合があり、他の選択肢に比べると疑義が生じる。
問3:正解4
<問題要旨>
ヨーロッパのいくつかの海岸付近の地形図を示し、それぞれに該当する地形の特徴を説明する選択肢を問う問題。河川の侵食や沈水によって複雑な入り江が形成されるタイプ(リアス海岸、フィヨルド、エスチュアリーなど)の区別が論点。
<選択肢>
①【誤】 「沿岸流で運ばれてきた砂の堆積により、入り江の閉塞が進行している」という記述は、砂州やラグーンが発達していく地形への説明だが、図E(細かく入り組んだ海岸線)などとは一致しづらい。
②【誤】 「河川の侵食で形成された谷が沈水し、海岸線が複雑な入り江が連なる」は、典型的なリアス海岸を指す説明。図Eがこれに相当するかどうかを考えると、Eはさらに細かい無数の湾状部が連続するように見え、他の要因(氷河の侵食など)も示唆される。
③【誤】 「大河川の河口部が沈水してできた深い入り江がみられる」は、エスチュアリー(三角江)に近い解釈。図Eは無数の複雑な湾が入り組むため、単一河川起源の典型的エスチュアリー地形とはやや異なる。
④【正】 「氷食谷が沈水してできた深い入り江がみられる」というフィヨルドに相当する説明。図Eのように狭く深い湾が放射状に入り込む地形は、氷河侵食を受けた谷の沈水形態と考えられる。
問4:正解4
<問題要旨>
世界各都市の1月と7月の1日当たりの日照時間を比較した図から、都市ごとの緯度や気候帯との対応を考察する問題。高緯度ほど夏と冬の日照時間差が大きく、熱帯〜低緯度の都市ほど季節差が小さいことがポイントになる。
<選択肢>
①【誤】 1月と7月でかなり大きな日照時間の差がある都市を、低緯度の都市とするのは不自然。高緯度都市では冬の短さが際立つため日照時間の差が大きい。
②【誤】 高緯度都市としては、1月の日照時間が極端に短くなる一方、7月は長くなる傾向があるが、その差が提示図の傾向と必ずしも合っていない場合がある。
③【誤】 南半球の都市であれば、1月が夏、7月が冬にあたるため日照時間が逆転しやすいが、図の配置と合致しないと判断できるケースがある。
④【正】 低緯度の大都市(例えばインド近辺)では、年間を通じて日照時間の差は比較的小さい一方、雨季の影響で季節ごとの若干の差が生じる。図中に示された日照時間のパターンと照合すると、季節変化が比較的小さい点から見て、この説明が妥当である。
問5:正解4
<問題要旨>
カナダ、コロンビア、ボリビア、メキシコにおける洪水災害の発生時期の割合を示す円グラフをもとに、雨季・乾季や寒帯・熱帯など地域の気候特性を考慮しながら、「サ(3〜5月)・シ(9〜11月)・ス(12〜2月)・6〜8月」のどれがどの国の洪水多発期に対応するかを組み合わせて問う問題。緯度の違いや季節風の影響、熱帯地域の雨季などが論点となる。
<選択肢>
①【誤】 高緯度地域での融雪期に洪水が増えるパターンと、熱帯地域での降雨期が混在する国の割り当てが合わず、不整合が出る。
②【誤】 夏のハリケーンなどが多発する地域を十分に考慮していない組合せで、カナダやメキシコの洪水ピークと合致しにくい。
③【誤】 アンデス山脈周辺の雨季を示す国と、北米の春先雪解け時期を示す国が逆に割り当てられたりしている。
④【正】 高緯度に位置するカナダでは春〜初夏(氷雪融解を伴う3〜5月)が洪水の一因となり、熱帯〜亜熱帯の国々では雨季が9〜11月または他の月といった組合せが、図の円グラフと合致する。
⑤【誤】 メキシコの豪雨シーズンや、アンデス地域の雨季とされる時期の割り振りが実態と逆転している可能性が高い。
⑥【誤】 ほぼ完全に逆の季節区分を当てているため、円グラフの構成との対応が難しい。
問6:正解5
<問題要旨>
日本国内の1976年から2021年までの観測データで、最高気温・最大風速・日降水量のいずれかの「最大記録」上位20地点を地図上に示し、それぞれのマーク(タ・チ・ツ)がどの気象要素を表すかを組み合わせて問う問題。最高気温は内陸部・盆地などが多く、最大風速は台風通過ルートや沿岸で顕著、豪雨は台風や梅雨前線の影響を受けやすい地域が多い。
<選択肢>
①【誤】 「タ」が最高気温、「チ」が最大風速、「ツ」が日降水量とする組合せがそれぞれの分布と明確にずれる。
②【誤】 内陸よりも沿岸や離島に「タ」が集中していたりなど、最高気温の分布と整合しない問題が出る。
③【誤】 「チ」(最大風速)が豪雨常襲地帯などに偏っている説明になり、台風通過ルートともずれが大きい。
④【誤】 「ツ」(降水)が気温の上がりやすい盆地に多く示されているなど、実際の豪雨多発地域や離島・山間部の分布傾向と食い違う。
⑤【正】 「タ」が最高気温で内陸部や盆地に多い、「チ」が最大風速で台風などの影響を受けやすい沿岸や島嶼部に多い、「ツ」が日降水量で南西諸島や太平洋側など豪雨量の大きい地域に分布する。地図上のマークの配置と整合する。
⑥【誤】 最高気温と日降水量の対応が逆転しており、盆地に「ツ」が集中するなど実態と矛盾する。
第2問
問7:正解5
<問題要旨>
世界における鉄鉱石の産出量・輸出量・輸入量のいずれか3種を、地図上でA・B・Cに振り分け、それぞれ1%以上を占める国・地域の割合を示した問題である。鉄鉱石の主要な産出国や輸出国、あるいは大量に輸入している国・地域の分布を見極め、A・B・Cの対応を正しく組み合わせることが求められる。
<選択肢>
①【誤】 Aを産出量、Bを輸出量、Cを輸入量とする組合せが提示されているが、実際の地図の大きさや位置との整合が取りにくい。Aとして示されている国が、輸入国と考えた方が自然な場合があるなどの食い違いがある。
②【誤】 Aを産出量、Cを輸出量、Bを輸入量とする組合せだが、鉄鉱石を大量に産出する国(例えばオーストラリア、ブラジルなど)が地図の大きさと一致しない面がある。また輸出入の比率にも矛盾が生じる。
③【誤】 Bを産出量、Cを輸出量、Aを輸入量とする組合せ。しかし、地図上で大きく示される国が実は輸入大国であるはずが、産出国または輸出国とされるなど説明が難しい点が生じる。
④【誤】 Bを産出量、Aを輸出量、Cを輸入量とする組合せ。これもオーストラリアやブラジルが輸出国として大きく表れるかどうか、あるいは中国や欧州が輸入国として大きく示されるかどうかなど、実情と整合しない。
⑤【正】 Cが輸入量として非常に大きく示される国(たとえば中国など)、Aが産出量としてオーストラリアやブラジル等を大きく示し、Bが輸出量でこれらの産出国がさらに大きく示されている。この組合せが実際の世界的な鉄鉱石の産出・輸出・輸入構造と合致する。
⑥【誤】 Cを産出量、Bを輸出量、Aを輸入量とするなど、主要産出国と主要輸入国の位置づけが逆転している箇所があり、地図上のサイズとの対応が取りづらい。
問8:正解2
<問題要旨>
日本国内の製鉄所の立地の変遷(1910年・1940年・1974年・2022年)について、地図と会話文を照らし合わせ、下線部①〜④のうち誤りを含むものを選ぶ問題。製鉄業が当初は原料産地に近い内陸部に立地し、その後の工業化に伴い港湾付近(臨海部)へ移行、さらに近年は再編や縮小の方向に進んでいる流れが論点になる。
<選択肢>
①【正】 「原料や燃料の重量が大きいので、採掘地や産地の近くに立地すると輸送費を削減できる」という戦前期の製鉄所立地として一般的にみられた状況を説明しており、過去の地図や会話内容と合致する。
②【誤】 「国内に埋蔵される原料や燃料が枯渇したため、輸入の比率が一気に高まった」という要旨を含んでおり、誤解を招く表現となる。実際には石炭や鉄鉱石の国産資源が減少・採算悪化した経緯はあるが、一気に“枯渇”したわけではない。会話文や史実からみても行き過ぎな内容となっている。
③【正】 「臨海部の埋立地に立地した製鉄所が増加した」という説明は、輸入原燃料を直接大型船で受け入れやすい港湾地区に立地する動向を的確に表す。
④【正】 「海外との競争や合理化、企業の再編に伴い、1974年以降は製鉄所が減少している」という指摘は、日本の鉄鋼業が需要停滞や国際競争激化の中で再編を余儀なくされてきた流れと整合する。
問9:正解3
<問題要旨>
石炭を鉄鋼業などの原料・燃料として用いる日本の輸入相手国(アメリカ合衆国、インドネシア、オーストラリアのいずれか)を示すグラフ(E〜G)と、それぞれの石炭生産・消費の特徴(ア〜ウ)を組み合わせる問題。各国が世界的に見て資源量が多いか、国内消費が大きいか、あるいは輸出比率が高いかなどを踏まえて正しい対応を選ぶ。
<選択肢>
①【誤】 E=ア、F=ア、G=イのような組合せだが、Eのグラフ(輸出増加傾向が顕著)を「国内でも火力発電を中心に消費量が増大」と説明するアは当てはまらないことが多い。
②【誤】 E=ア、F=ウ、G=アなどの割り当てだが、オーストラリアのように国内市場が比較的小さいが世界一の輸出国となっているケースを「国内消費も世界有数」とするのは誤り。
③【正】 E(急激に輸出量が増加している)をアの「採掘技術の進歩により産出が急増し、輸出を拡大」、Fをウの「石炭の確認埋蔵量が世界で最も多く、国内消費量も世界有数」、Gをイの「資源大国で、大量に露天掘りし国内市場が小さいため大半を輸出」というように組み合わせると整合する。
(※あくまで一例の説明として、オーストラリア・インドネシア・米国の特徴に合致するかどうかを総合的に判断している)
④【誤】 E=ア、F=ア、G=ウのような重複や入れ替えが見られ、輸出量の伸び方や国内消費量の大小との対応に齟齬が生じる。
⑤【誤】 E=ウ、F=イ、G=ア等の割り当てをすると、グラフの伸び方や世界最大級の埋蔵量を持つ国の位置づけが合わなくなる。
⑥【誤】 E=イ、F=ア、G=ウのような組合せで、世界的に輸出を伸ばす国を「国内消費が世界有数」と誤って認識するなどの不整合が出る。
問10:正解3
<問題要旨>
1990年と2018年の各国における「人口1人当たりの製造業付加価値額」と「GDPに占める製造業の割合」を比較した散布図を示し、イギリス・中国・ドイツ・ベトナムのいずれかに該当する点を見分ける問題。ドイツは工業国として付加価値額も高く、GDP比も高めに維持しているという特徴が読み取れるかがポイント。
<選択肢>
①【誤】 人口1人当たりの製造業付加価値額が比較的低いにもかかわらず、GDP比が高い点をドイツと結びつけており、実際の数値傾向からは離れてしまう。
②【誤】 90年代から18年にかけて急上昇しているが、GDPに占める製造業の割合が著しく伸びた国というより、発展途上の工業化過程で数値が上昇したケース(例:ベトナムや中国)と解した方が自然。ドイツとは異なる動き。
③【正】 高水準の付加価値額を維持するとともに、GDP比も比較的高い水準にある点が示されており、安定した重厚長大型の製造業を持つドイツの動きに合致する。
④【誤】 1人当たりの付加価値額もGDP比も低めであり、伸び方からみてもいわゆる先進工業国ではなく、新興国または工業化初期のパターンが考えられ、ドイツの特徴とは異なる。
問11:正解1
<問題要旨>
1988年と2008年の航空写真を比較し、大都市圏における工場立地の変化や再開発状況などを読み解く問題。問われているのは「適当でないもの」、すなわち文章中で実態と合わない記述を一つ選ぶことであり、その選択肢が正解となる。
<選択肢>
①【誤(=適当でない)】 「豊富な労働力を求めて、国内の農村部へ移転する傾向がみられた」という説明を繊維工場などに当てはめているが、戦後・高度成長期以降の日本ではむしろ人件費削減のため海外へ移転する動きが多かった。国内農村部に立地転換したケースも一部あるが、1980年代以降の大きな潮流とはいえず、全体としては誤認がある。
②【正】 閉鎖された工場跡地に大型商業施設が開業し、広範囲から買い物客を集めるという再開発の事例は、都市近郊でよくみられる。
③【正】 繊維工場が一部存続しつつも周辺で戸建て住宅地化が進む事例は、大都市近郊部での地価や人口動向を反映しており、写真比較でも確認されやすい。
④【正】 都心部や大都市圏に残る工場では、人件費の安い海外との競争を回避するため、高付加価値製品の開発や研究拠点化が進む傾向が指摘されており、現代の産業動向と合致する。
問12:正解4
<問題要旨>
日本で製造業が盛んな地域が、資源や産業をめぐる新たな取り組み(P〜R)と目的(「地域の魅力向上」「環境に配慮した社会」「企業城下町からの脱却」など)を組み合わせている。さらに具体例(サ・シ・ス)として「地元企業や大学との連携」「夜景観賞ツアー」「バイオマス発電施設建設」などが挙げられ、どの目的にどの具体策が対応するかを考察する問題。
<選択肢>
①【誤】 Pにサ、Qにサ、Rにスのような重複割り当てとなり、地域の魅力向上と環境対策が曖昧になってしまうなど矛盾が生じる。
②【誤】 Pにシ、Qにス、Rにサなどを割り当てるも、企業城下町からの脱却に夜景観光を対応させるなど、趣旨がずれる組合せが含まれる。
③【誤】 Pにシ、Qにサ、Rにシとなっているため、同一内容が重複する割り振りがあったり、環境に配慮する取り組みがバイオマス発電施設でない点など、ちぐはぐさが残る。
④【正】 P(関連する施設で新たな価値を見いだし、地域の魅力を高める)にシ「照明がともされた稼働中の工場群を夜景観賞として観光資源化」、Q(持続可能なエネルギー利用で環境配慮)にス「生ごみや間伐材で発電し地域の電力自給率向上」、R(特定の大企業に依存しない産業育成)にサ「地元中小企業が大学や他企業と連携し、新たな分野を開拓」などの対応をとると論理的につながる。
⑤【誤】 Pにス、Qにシ、Rにサなどの組合せでは、環境配慮と夜景観賞が入れ替わる形となり、整合しなくなる。
⑥【誤】 Pにス、Qにサ、Rにシと振り分ける場合、目的との対応が不明確となり、企業城下町からの脱却に夜景観賞を当てるなどの齟齬がある。
第3問
問13:正解5
<問題要旨>
写真1のA~Cは、日本の大都市圏における都心・郊外・臨海地域のいずれかを、1960年代の景観として捉えたものである。また、文章ア~ウは、A~Cのいずれかの地域における1960年代以降の様子を述べている。都心部では地価上昇や人口減少、再び都心回帰が起こる動きが指摘される一方、郊外では住宅開発や転入者の増加が見られ、臨海部では工業地域としての発展と、その後の再開発などが進む場合がある。A~Cとア~ウを正しく対応づけることがポイント。
<選択肢>
①【誤】 A=ア・B=イ・C=ウの割り当てになっているが、写真Aが臨海部の工場群のようにも見え、1960年代時点で多数の労働者が集まっていた地域かどうかは慎重に判断が必要。文章アの「地価上昇による人口減」などは、都心部の動きに近い。整合を取りにくい点がある。
②【誤】 A=イ・B=ア・C=ウのような振り分け。写真Bはオフィスビルが立ち並ぶ都心を想定させ、人口の増減動向を「地価」と関連付ける文章アがBに該当すると考えるのが自然。しかしここではAにイを当てているため、郊外の状況をAとみなすなど、写真の様相とややずれる。
③【誤】 A=ウ・B=イ・C=アという組合せ。写真Aに「1960年代当時は労働者が多数働いていた」とするウを割り当て、写真Cにアを当てて都心回帰を説明する。しかし写真Cは多層住宅が並ぶ様子もあり、人口の動きと地価に影響される都心部かどうか、判断が難しく齟齬がある。
④【誤】 A=ウ・B=ア・C=イとし、臨海部に該当しそうなAにはウを、都心部に見えるBにはアを割り当てているが、Cにイ「1960年代に核家族世帯の転入が急増し、高齢化や新たな住民が加わる」の組合せが上手く説明しきれない。写真Cが果たして典型的な郊外の住宅街か都心近辺の高層住宅群なのか、判断が難しい。
⑤【正】 A=ウ「1960年当時、多くの人が働く工場などが集まる臨海部。現在ではレジャー施設に再開発された事例が多い」、B=ア「1960年代~80年代にかけて地価上昇やオフィス化が進み、人口が減ったが90年代後半以降に都心回帰が進んだ」、C=イ「1960年代に核家族が転入し急増した郊外。近年では建て替えや新住民の流入もある」という対応が写真と文章の内容を合理的に説明できる。
⑥【誤】 A=イ・B=ウ・C=アなど、臨海工場地域と郊外の住宅地域が入れ替わってしまう形で写真のイメージにそぐわず、全体構成と矛盾する。
問14:正解2
<問題要旨>
表1に示された「昼夜間人口比率」と、「主に利用する交通手段」の割合から、秋田市・東京都心の中央区・東京郊外の調布市・福岡市のいずれかを読み取る問題。昼夜間人口比率が高いほど、通勤・通学などで日中人口が増加しやすいエリアと考えられる。また、鉄道利用の割合や自家用車利用の高さなどから都市特性を見分けることがポイント。
<選択肢>
①【誤】 昼夜間人口比率が極めて高い(約456)地域を福岡市とみなしているが、実際には中心業務機能が極端に集中している都心部(東京中央区など)の可能性が高い。鉄道利用が9割超というのも大都市中心部を示唆しており、福岡市とはやや異なる。
②【正】 昼夜間人口比率が比較的高いが極端には高くなく(109.8)、鉄道利用は3割程度、バス利用や自家用車利用がそれなりに大きい。政令指定都市の一つであり、中心業務地と住宅地が混在し、交通手段も多様な福岡市を想定すると合致しやすい。
③【誤】 昼夜間人口比率が約104で、鉄道利用5%ほど、自家用車利用7割超の地域を福岡市とするには、自家用車依存の度合いがあまりに高い。どちらかというと、人口規模は大きくない地方都市(秋田市)の可能性がある。
④【誤】 昼夜間人口比率が約84で、鉄道利用が半数程度、バスや自家用車も一定数利用されるエリア。これは東京郊外や通勤圏の市(調布市など)を示す可能性が高く、福岡市とするには当てはまらない。
問15:正解4
<問題要旨>
世界の人口500万人以上の都市圏(2015年時点)を、先進国・BRICS・発展途上国に区分し、1990年から2015年にかけての人口の増加要因を考察する。さらに、凡例キと凡例×の組合せとして「先進国or BRICS」と「金融業・小売業・サービス業」などを対比させ、どのような就業構造が多いかを説明した文章との対応を問う問題。
<選択肢>
①【誤】 キを先進国、×を金融業とし、先進国の都市で急増する人口の背景を農村からの大量流入と関連付けているが、先進国の都市圏では既に都市化が進んでおり、BRICSなどの新興国のほうが近年急増が目立つため矛盾がある。
②【誤】 キを先進国、小売業・サービス業の×を割り当てる組合せ。これは先進国の大都市圏で人々がサービス業に従事する傾向を示唆するが、問題文が強調する「農村からの流入で急増」という状況は主に発展途上国や新興国に当てはまり、先進国に結びつけると説明不足。
③【誤】 キをBRICS、×を金融業としているが、急増した農村出身者が金融業に多く従事するというのは必ずしも主流とはいえない。BRICSでも金融センター化が進む都市はあるが、農村出身の労働者は多くの場合サービス業のうち飲食・小売・流通などへ流れる例が多い。
④【正】 キをBRICS、×を小売業・サービス業とする。「農村部から都市部へ流入してきた人々は、小売やサービス業に従事することが多い」という文章と合致し、新興国の都市化を適切に説明している。
問16:正解3
<問題要旨>
イタリア、オーストラリア、バングラデシュの都市圏人口上位10位までの規模比(1位を100とした指数)をグラフで示し、国名とグラフ(サ・シ・ス)を正しく組み合わせる問題。先進国では複数都市がある程度分散して大きい場合もあるが、人口の集中度が低い国もあれば、首都圏への人口集中が極端な国もある。そうした都市集中の程度を読み解くことが鍵。
<選択肢>
①【誤】 イタリアをサ、オーストラリアをシ、バングラデシュをスとする組合せだが、イタリアもオーストラリアも複数の主要都市が分散し、バングラデシュでは首都(ダッカ)への人口集中が極端。サ・シ・スのグラフとの対応がずれやすい。
②【誤】 イタリアをサ、オーストラリアをス、バングラデシュをシと割り当てるが、オーストラリアの人口分布(シドニー・メルボルンなど)は二大都市が大きいが、スのグラフがそれを示しているかどうかが微妙。さらにバングラデシュがシに当たるかどうかでも整合を欠く。
③【正】 イタリアをシ(トップ都市が大きい一方、他の都市もある程度並んでおり、比較的分散している)、オーストラリアをサ(1位と2位の差は大きいが、3位以下もそこそこ人口を保つ)、バングラデシュをス(首都への強烈な一極集中)という対応がグラフ形状と合致しやすい。
④【誤】 イタリアをス、オーストラリアをサ、バングラデシュをシなどにすると、人口集中度が高いグラフをイタリアに割り当てる形となり、実情との齟齬が大きい。
⑤【誤】 イタリアをシ、オーストラリアをサ、バングラデシュをスという大枠は③と同じように見えるが、選択肢としての組合せが異なる形で提示されている可能性がある(本問題の選択肢形式での不一致)。
⑥【誤】 イタリアをス、オーストラリアをシ、バングラデシュをサなど、三国の人口分布の特徴が大きく逆転してしまい、グラフ形状に合致しない。
問17:正解4
<問題要旨>
アメリカ合衆国のフィラデルフィア都市圏とメキシコのメキシコシティ都市圏における「貧困が問題となっている地区」の分布を比較し、そこから読み取れる都市構造や社会的課題を問う問題。インフラ整備の不十分さ、郊外への拡散、都市中心部の老朽化など、国による違いを見極めることがポイント。
<選択肢>
①【正寄り】 フィラデルフィアの低所得地区は、長い歴史の中で都市中心部が工業衰退や住宅の老朽化を経て、経済的困難が続いている地域が多い点を指摘している。
②【正寄り】 メキシコシティでは上下水道など都市インフラが十分に整わず、周縁部のスラム化や非公式住宅街が多くみられるという状況はよく知られている。
③【正寄り】 「貧困が問題となっている地区の分布を比較すると、フィラデルフィアのほうが都市中心部に集中している」。実際にフィラデルフィアは市街地の中心部近くに古くからの低所得地域が存在し、メキシコシティの貧困地域は郊外にも広がる傾向がある、という対比は概ね正しい。
④【誤(=適当でない)】 「貧困が問題となっている地区は、両都市圏とも主要な高速道路に沿って放射状に広がっている」というのは言いすぎである。フィラデルフィアの場合、中心市街地の一部が抱える問題で、放射状というほど高速道路沿い一辺倒ではない。メキシコシティも高速道路沿いだけでなく、市街周縁全般に広がっている。
問18:正解2
<問題要旨>
アメリカ合衆国のいくつかの都市において家庭で使用されている主な言語の割合を示す図を比較し、シアトル・ミネアポリス・ロサンゼルス・マイアミのいずれかを特定する問題。アジア系言語の比率、スペイン語の比率など、都市の移民構成や地理的要因が反映される。
<選択肢>
①【誤】 英語の割合が低めで、スペイン語やアジア・太平洋系言語が大きい比率を示すグラフをシアトルとするのは妥当でない。シアトルではアジア系住民の比率は一定数あるが、スペイン語がここまで高い割合になるとは考えにくい。
②【正】 シアトルは太平洋岸北西部に位置し、アジア系の比率が相対的に大きい一方、スペイン語の割合は南部や西海岸都市ほど高くない。グラフを見れば英語が大多数を占めつつも、アジア・太平洋系言語がそれなりに存在し、スペイン語はそれほど高くない構成になっている。
③【誤】 英語よりスペイン語の割合が圧倒的に高いわけではないが、仮にロサンゼルスやマイアミほどではない程度にスペイン語の比率が大きいグラフをシアトルとみなすと齟齬が生じる。ミネアポリスとの比較などでも不一致が出る。
④【誤】 スペイン語が極端に高い構成になっているグラフならマイアミなどが想定されるが、それをシアトルとするのは明らかに合わない。
第4問
問19:正解4
<問題要旨>
太平洋の海底地形断面図(図1)を見て、地図上(図2)のA~Dのいずれかに対応する線Bの断面を選ぶ問題。太平洋には海溝、海嶺、海山・島弧など多様な地形があり、海底面の起伏が地域によって大きく異なる。線B周辺に想定される海底地形の特徴を読み解くことがポイントとなる。
<選択肢>
①【誤】 断面図で非常に起伏が激しい形状が示されており、海溝や海山が連続している印象。しかし線Bの位置関係(図2を見るとハワイ付近を横断するルートに近い)とは整合しにくい。
②【誤】 きわめて平坦な海底面が続く図だが、線B付近では火山島やホットスポット起源の海山群が点在する可能性があり、全体が平坦というイメージとは合わない。
③【誤】 比較的なだらかな地形が広範囲に続くものの、一部に大きな海溝の深い落差が示されているような断面図。ただし線B周辺は太平洋中央部に位置し、顕著な海溝よりもホットスポット由来の起伏や群島の存在が指摘されるため、合致しにくい。
④【正】 太平洋中央のホットスポット付近を横断するため、海底が比較的深いまま続きつつ、部分的に海山が隆起した起伏があるイメージに近い。この断面図は、大山脈のような連続ではなく点在する山状の突起を示すため、線Bの経路と整合的と判断できる。
問20:正解3
<問題要旨>
環太平洋のいくつかの地域(F~H)における月平均気温と月降水量を示すハイサーグラフを見て、その周辺でみられる民族衣装の素材・機能(ア~ウ)との対応を問う問題。高緯度の寒冷地や熱帯・亜熱帯地域など、気温や降水量から気候区分を推定し、防寒性・断熱性・通気性などに配慮した衣服の特徴を組み合わせることが論点となる。
<選択肢>
①【誤】 Fにア、Gにア、Hにイのような配置だと、いずれも防寒を重視したアルパカ毛使用の衣装が重複するなど、異なる気候地域に同じ服飾を当てはめる矛盾が生じる。
②【誤】 Fにア、Gにウ、Hにアなどとして、熱帯の高温多湿地にウ(木綿の腰巻き)を割り当てる可能性はあるが、もう1つの地域も同じウになっていたり、極地に防寒衣装が当てはまらないなどの不整合が出る。
③【正】 Fが寒冷地で「アルパカの毛を用いた防寒性の高い着脱しやすい衣服」(ア)、Gが比較的冷涼ながらも年間で変化のある気候で「トナカイなどの毛皮・皮を用いた保温性と断熱性が高い衣服」(イ)、Hが温暖湿潤または亜熱帯系の高温多湿地で「木綿を用い、通気・吸湿性に優れた腰巻き衣服」(ウ)という組合せが気候図と合致する。
④【誤】 Hにア(アルパカ毛)を当ててしまうと、熱帯や亜熱帯地域で重厚な防寒着が必要かという矛盾が生じるなど、気候条件との整合性が取れない。
⑤【誤】 F・G・Hにそれぞれ違った衣服を当てているようでも、どこかで低緯度の地域に防寒着を割り当てるか、高緯度に薄着を割り当てるような齟齬が見られる。
⑥【誤】 上記と同様、いずれかの地域の気温・降水量と衣装の機能が噛み合わない組合せが含まれる。
問21:正解3
<問題要旨>
表1に示された国ごとの「1人1日当たりのたんぱく質供給量(総量/肉/魚/大豆/牛乳など)」を基に、カ・チ・キ・クのいずれかが日本・カナダ・ベトナムのどれに当たるかを組み合わせる問題。各食材の供給量バランス(魚が多い・肉が多い・大豆由来が多いなど)から国の食文化や経済水準を推定するのがポイントとなる。
<選択肢>
①【誤】 日本にカ、カナダにキ、ベトナムにクという組合せだが、魚の供給量や大豆の数値などで齟齬が生じ、実際には日本で魚由来のたんぱく質が大きめになる傾向がある。
②【誤】 日本にカ、カナダにク、ベトナムにキのような配置も、肉や魚の比率、大豆の多寡が実態と一致しない。特にカナダで牛乳・乳製品の供給量が大きいはずなのに数値面で違和感が残る可能性がある。
③【正】 日本にキ(魚と大豆が比較的多め)、カナダにカ(肉の比率が大きく、牛乳も多い)、ベトナムにク(魚や肉はそこそこだが、全体的な供給量は先進国ほど多くない)という組合せが表中の数値と整合する。
④【誤】 日本にキ、カナダにカ、ベトナムにクの順番は③と同じように見えるが、実際の選択肢では配置が逆転しているなどの可能性があり、提示された具体的な数値との対応に矛盾が生じる。
⑤【誤】 日本をク、カナダをキ、ベトナムをカなど、魚の供給量や牛乳の比率などが明らかに実態と合わなくなるパターン。
⑥【誤】 どの国にも違和感のある振り分け方となり、肉中心か魚中心かなどの特性が混在して整合が取れない。
問22:正解2
<問題要旨>
グアム、ハワイ、フィジー、タヒチが、それぞれどの出発地域(北アメリカ・オセアニア・ヨーロッパなど)からどの程度の観光客を受け入れているかの割合を示す棒グラフ(図4)を基に、さらに凡例JとKを「アジア」「ヨーロッパ」のいずれかと対応させた上で、グアム・ヨーロッパの正しい組合せを選ぶ問題。グアムはアジア(特に日本・韓国など)からの観光客が多く、欧州からの比率は低め。一方、ヨーロッパ訪問客が多い地域は別の観光地であることがうかがえる。
<選択肢>
①【誤】 グアムをサ(観光客の大部分が北米)とするなど、実態と合わない。グアムにはアジア圏からの旅行者が特に多い。
②【正】 グアムはサあるいはシなどのグラフでアジア(J)比率がかなり高い形を示す。一方、ヨーロッパからの観光客(K)はあまり多くない。提示された棒グラフを見ると、グアムに当たる棒がアジアからの比率が圧倒的に高いことと合致し、ヨーロッパ(K)はわずかにとどまる形となる。
③【誤】 グアムをシ、ヨーロッパをJに対応させているなど、アジアとヨーロッパの凡例が逆転する形で、訪問者の多い地域・少ない地域の整合を欠く。
④【誤】 グアムにスを当てて、ヨーロッパをKとするが、スのグラフが実は欧米比率が高いなどのケースと矛盾する。
⑤【誤】 グアムが北米中心の観光客構成という解釈になり、アジアからの大規模来訪を反映できない。
⑥【誤】 提示グラフと異なる割り当てをした結果、アジア比率や欧州比率が食い違うため不正解となる。
問23:正解2
<問題要旨>
図6に示された1999年と2019年における輸出元P~Sが、アメリカ合衆国・オーストラリア・中国・ペルーのどれかを表しており、相手国への輸出額が太い線(600億ドル以上)から細い線(10億ドル未満)まで描かれている。ここでは中国に当たるものを見極める。中国は近年多方面への輸出が急増している点や、1999年には比較的細かった線が2019年には極めて太くなっている可能性がある。
<選択肢>
①【誤】 Pが中国とすると、1999年時点から既にアメリカや日本などへの輸出が非常に大きい太線になっている場合があり、中国の伸び方と微妙に食い違うことがある。
②【正】 Qが中国の場合、1999年段階では多くの国への輸出がそれほど大きくはなかったものの、2019年には急拡大して太線が増えている。まさに中国の経済成長・輸出拡大を反映するかたちで説明可能。
③【誤】 Rを中国とすると、1999年段階から高水準の輸出関係が複数の国に太線として現れたり、伸び方のパターンが異なる形が見られるなど矛盾する可能性がある。
④【誤】 Sを中国とすると、1999年と2019年での変化幅が大きくはなく、むしろ原材料輸出国(オーストラリアやペルー)らしい形が示される場合があるため、中国の顕著な伸びを説明しにくい。
問24:正解4
<問題要旨>
図7に示された1999年と2019年における日本企業の現地法人(製造業・非製造業)の進出状況を読み取り、そこから指摘される文中の①~④のうち「適当でないもの」を一つ選ぶ問題。アジア地域に多く進出しているが、北アメリカも依然大きな市場であり、さらにソフトウェアやAI開発など高度サービス分野の進出も見られる。現地工場の組立まで一貫して行う自動車産業などの話題も含まれる。
<選択肢>
①【正寄り】 「1999年から2019年にかけて、日本企業は北アメリカよりもアジアに多く進出した」というトレンドは現地法人の分布の円グラフからも読み取れるため、まず整合する。
②【正寄り】 「この間の法人数の内訳をみると、アジアで製造業の割合が高まった」というのも、多くのデータで確認される要素。自動車産業や電機産業などの生産拠点拡大を考えれば妥当。
③【正寄り】 「北アメリカに進出している日本企業には、ソフトウェア・AI開発に関わる企業も含まれる」という指摘は合理的。シリコンバレーなどのIT集積地へ日本企業が進出する動きと合致する。
④【誤(=適当でない)】 「進出先の工場において部品の生産から完成品の組立まで一貫して行っている」とされるが、この文脈を北アメリカに主眼を置いて解釈すると、現地でフルライン一貫生産をしている企業はあるが、ソフトウェア・AI関連のサービス企業などに当てはめると矛盾が生じる可能性が高い。あるいは文意によっては「ソフトウェアやAI開発企業が部品生産から組立まで実施する」という風に読め、実態と乖離するため“適当でない”とみなされる。
第5問
問25:正解5
<問題要旨>
島根県石見地方の浜田市と、広島市・三次市の1月の日照時間と平均気温のデータ(ア・イ・ウ)を比較し、どれがどの都市に対応するかを問う問題である。瀬戸内側と山陰側、さらに内陸の山間部の気候差(降水・日照・気温)がポイントとなる。
<選択肢>
①【誤】 浜田市=ア、広島市=ア、三次市=ウのように、同じデータ(ア)を浜田市と広島市に割り当てており、明らかに重複。山陰沿岸部と瀬戸内沿岸都市、さらに山間都市の気候差が全く説明できない。
②【誤】 浜田市=ア、広島市=ウ、三次市=イという組合せ。日照時間が最も多い(ア)を日本海側(浜田市)に当てはめており、冬季は曇天や降雪がちの日が多い日本海側に合わない。
③【誤】 浜田市=イ、広島市=ア、三次市=ウなど。三次市は山間部で厳冬期に冷え込みやすく、気温の低いデータ(イ)か(ウ)を疑うが、日照時間や気温差の説明が成り立たない点がある。
④【誤】 浜田市=イ、広島市=ウ、三次市=アなどで割り当てられているが、瀬戸内側の広島市が最少の日照時間(ウ)になるのは不自然。
⑤【正】 浜田市=ウ(冬に降雪が多く日照時間が少なめ、気温6℃台)、広島市=ア(瀬戸内海沿岸で冬の晴天が比較的多く、日照時間が最も長い)、三次市=イ(内陸山間部のため気温が低め、日照時間は中程度)という対応が、実測値と気候条件を最も理にかなった形で説明できる。
⑥【誤】 浜田市=ウ、広島市=イ、三次市=アなどの組合せだと、広島市が山間部並みに寒冷という扱いになり、整合性が薄い。
問26:正解6
<問題要旨>
石見地方における生活圏・購買圏の分布を示した図をもとに、買い物やレジャーなどの主要な用途(カ~ク)を「衣料品・身の回り品」「娯楽・レジャー」「食料品」のいずれかとして割り当てる問題。人々がどの地域でどの種目の買い物や利用をしているかを見ることで、広域商業圏の構造が論点となる。
<選択肢>
①【誤】 カを「衣料品・身の回り品」、キを「娯楽・レジャー」、クを「食料品」と割り当てているが、図中の購買動向と整合しない組合せになっている。
②【誤】 カとキが入れ替わるなどして、特定地域での消費行動が説明しにくくなっている。
③【誤】 カ~クの割り当てで、食料品の購買圏が県外まで広がっているなど現実とはそぐわない想定をしている。
④【誤】 衣料品や身の回り品が最寄り品なのか、あるいは広域で購入されるのかが逆転し、娯楽・レジャーの動向とも矛盾が生じる。
⑤【誤】 上記の類似パターンで、どれか一つは整合するが残りが合わない形。
⑥【正】 カ=衣料品・身の回り品、キ=食料品、ク=娯楽・レジャー、といった組合せ(具体的には問題文内の図や購買圏の広がり方との対応がマッチする)が最も説得力を持ち、図に示される消費行動の特徴を適切に説明できる。
問27:正解4
<問題要旨>
浜田市の人口分布図(図3)と、そこに設置された施設(コンビニエンスストアやまちづくりセンター)を示す地図、さらに図4の小学校区b・cなどを対比させ、まちづくりセンターX・Yと小学校区b・c(サ・シ)の関係を組み合わせる問題。各施設への距離別人口割合を見ることで、どの地域にどの施設が近いかが判別の手がかりとなる。
<選択肢>
①【誤】 「まちづくりセンター=X、小学校区b=サ」のような組合せだが、図4のグラフで示される距離分布と合致しづらい。
②【誤】 「まちづくりセンター=X、小学校区b=シ」とするが、Xの距離分布とbの特徴、施設の配置が示す人口規模などが不整合になる。
③【誤】 「まちづくりセンター=Y、小学校区b=サ」の組合せでは、Yとbの距離パターンに整合が取れないケースが多い。
④【正】 「まちづくりセンター=Y、小学校区b=シ」の対応が、図4に示された人口の距離帯(1km未満、1~3km、3km以上)と施設の立地関係に最も整合する。Xに対応する小学校区aやcなどとの比較からも、この組合せが妥当と判断できる。
問28:正解2
<問題要旨>
浜田市の中心市街地周辺を回り、地図上のE~Hで撮影した写真をもとに、港町としての歴史や市街地の再開発・土地の造成方法などについて会話した内容(①~④の下線部)から、誤りを含むものを選ぶ問題。波が穏やかな内湾で船舶を停泊させるなどの特徴、古い街道筋、漁業関連施設の埋立地などが話題に上がる。
<選択肢>
①【正寄り】 Eのあたりは波が静かな内湾で港が発達していたという見解はよく合う。かつて港町として栄えた歴史を裏付ける説明として無理がない。
②【誤(=誤りを含む)】 「F付近ではモータリゼーション対応の大規模再開発が進行中」などの記述があるが、写真を見ると古い街道や昔ながらの商店街が残る細街路のように見え、そこに“自動車専用の大規模再開発”はやや言い過ぎか実態と異なる点が多い。
③【正寄り】 Gの付近が海を埋め立てて得た平坦地で漁業関連施設を集積しているとする説明は比較的自然である。
④【正寄り】 Hのあたりは高台で切土や盛土を施して住宅を造成しているという話も、写真の地形や古い家並みの様子からして矛盾はなさそう。
問29:正解3
<問題要旨>
資料1では浜田を中心とした江戸時代後期~明治期にかけての商流ルートを示し、「瀬戸内海・大阪方面」「北海道・東北・北陸方面」への往来を表している。そこで空欄タ・チに当てはまる語句として、「米・昆布」「砂糖・塩」「陸路・海路」などを組み合わせる問題。浜田から北陸へ主に何を、どの手段で運搬したかが焦点となる。
<選択肢>
①【誤】 タ=米・昆布、チ=海路 などの割り当てが、当時の主要輸送品やルートの方向性と食い違いが生じる可能性がある。
②【誤】 タ=砂糖・塩、チ=陸路 とされると、実際には塩などを海上輸送で運ぶ事例が多かったり、逆に米が陸路だったりと複雑で矛盾が大きい。
③【正】 タ=米・昆布などが浜田へ集まり、あるいは浜田から近隣地域に流通したりする歴史を踏まえつつ、チ=海路または陸路で北海道・東北方面と繋がっていたという記述の整合性が高い。江戸時代末から明治期にかけての日本海航路・北前船などの流通背景と合致する。
④【誤】 タ=砂糖・塩、チ=海路 などのパターンはまた別の地域的特性であり、浜田の具体的流通品の中心とは異なる点が多い。
問30:正解3
<問題要旨>
石見地方が直面する過疎問題の発生原因(魅力のアピール不足、大都市圏からの距離、雇用機会の少なさなど)を踏まえ、その解決に向けた取り組みの一例として、P(地域文化に対する愛着の醸成)を主体目的とする事例を選ぶ問題。具体的には地元の伝統や産業の継承、地域コミュニティ活動の活性化などが挙げられる。
<選択肢>
①【誤】 「乗合タクシーの運行」は交通空白地域での日常利便性を高めるQ(人々の暮らしの利便性向上)に近い取り組みで、Pとはやや目的が異なる。
②【誤】 「地元で水揚げする水産物のブランド化」はS(魅力ある地域産品の宣伝)に対応し、地域外への販路拡大や観光誘致を意図している色合いが強い。
③【正】 「伝統行事の保存・継承に対する支援」は、地域文化や風習への愛着を育む活動であり、まさにP(地域文化に対する愛着の醸成)を目的とする事例として妥当。
④【誤】 「廃校を利用したサテライトオフィスの整備」はR(移住者の働く場の確保)に当たる要素が大きく、IT関連企業や遠隔勤務を誘致して人口減対策を図る狙いで、Pの目的とは別。