2023年度 大学入学共通テスト 追試験「物理基礎」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。
解答
解説
第1問 小問集合(配点16)
力のつりあい・気柱の共鳴・状態変化・波の4分野からの小問集合です。いずれも図やグラフを選ぶ形式で、計算そのものは軽い一方、「どの量を比べればよいか」を見抜けるかが問われます。
問1:正解 ②(解答番号1/配点4)
<問題要旨>石造りのアーチ橋の中央にある要石にはたらいている力の矢印を表す図として、最も適当なものを選ぶ問題です。要石は、重力と、左右に隣接する石から受ける力とがつりあって静止しています。
<考え方>隣接する石が要石を「押す」力なので、矢印の向きは要石に向かう向き(内向き)です。また、なめらかな面どうしが押し合う力は接触面に垂直にはたらきます。要石の側面は上に開いた斜面なので、垂直な力は斜め上向きの成分を持ち、これが重力とつりあいます。
【はたらく力を数える】 重力 … 鉛直下向き 左の石から受ける力 … 左の接触面に垂直 右の石から受ける力 … 右の接触面に垂直 【向きを決める】 石は要石を「押す」 → 矢印は 石 → 要石 の向き(内向き) → 外向き(①)は誤り 面に垂直に押す → 要石の側面は上に開いた斜面 → 垂直な力は「斜め上向き」 → 水平(④)では上向き成分が出ない 【つりあいを確認する】 左右の力の水平成分 … 打ち消し合う 左右の力の鉛直成分 … 上向きに残る この上向き成分が重力とつりあう ③は矢印が要石から外へ出ており 「押される」向きになっていない よって ②
問2:正解 ②(解答番号2/配点4)
<問題要旨>密閉容器の中に長さ 50 cm の閉管とスピーカーを入れ、容器内を 0 ℃・1気圧のある気体で満たしました。振動数を 500 Hz から下げていくと 480 Hz 付近で気柱の基本振動の共鳴が起こりました。表1(各気体の 0 ℃・1気圧での音速)から、容器内の気体を選ぶ問題です。
<考え方>閉管の基本振動では、管の長さが波長の 4分の1 になります。ここから波長を出し、v = fλ で音速を計算して、表1の値と照らし合わせます。
【閉管の基本振動】 閉じた端 … 節 開いた端 … 腹 管の長さ L = λ/4 【波長を求める】 λ = 4L = 4 × 0.50 m = 2.0 m 【音速を求める】 v = fλ = 480 Hz × 2.0 m = 960 m/s 【表1と照らし合わせる】 H2 1270 m/s He 970 m/s ← 960 に最も近い N2 337 m/s Ne 435 m/s Ar 319 m/s よって ②
問3:正解 ③(解答番号3/配点4)
<問題要旨>1気圧のもとで氷を加熱していったときの、温度と加えた熱量の関係を表す図として最も適当なものを選ぶ問題です。氷の融解熱 3.3×10² J/g、氷の比熱 2.0 J/(g・K)、液体の水の比熱 4.2 J/(g・K) が与えられています。
<考え方>グラフの横軸は「加えた熱量」なので、各段階に必要な熱量が横方向の長さになります。1 g あたりで、①0 ℃での融解に必要な熱量と、②0 ℃から 100 ℃まで温める熱量を計算して大小を比べます。さらに、氷の比熱と水の比熱の違いから、斜面の傾きの違いも確認します。
【1 g あたりの熱量を計算する】
0 ℃での融解
Q1 = 3.3 × 10^2 J/g
= 330 J
0 ℃ → 100 ℃ の昇温
Q2 = 4.2 J/(g・K) × 100 K
= 420 J
【横方向の長さを比べる】
Q1(330)< Q2(420)
→ 0 ℃の平らな部分は
0 → 100 ℃の斜面より短い
→ ①(平らな部分のほうが長い)は誤り
【傾きを比べる】
氷の比熱 2.0、水の比熱 4.2
比熱が小さいほど温度が上がりやすい
→ 氷の斜面のほうが急
→ ②・④(氷の斜面が緩い)は誤り
【残った③を確認する】
氷の斜面が急
0 ℃の平らな部分が短い
0 → 100 ℃の斜面が長い
100 ℃で再び平らになる
よって ③
問4:正解 ③(解答番号4/配点4)
<問題要旨>x軸の正の向きに速さ 5.0 cm/s で伝わる、振幅 3.0 cm の正弦波を考えます。図3は時刻 t = 0 s における変位 y と位置 x の関係を表しています。位置 x = 2.5 cm における変位の時間変化を表す図を選ぶ問題です。
<考え方>手順は3つです。図3から波長を読み取って周期を出す、x = 2.5 cm での t = 0 の変位を読む、そして「その点が次にどちらへ動くか」を決める。最後の向きは、正の向きに進む波では「左隣の波形が流れ込んでくる」と考えるのが確実です。
【波長と周期】
図3より
x = 0 で y = +3(山)
x = 5.0 で y = -3(谷)
x = 10 で y = +3(山)
波長 λ = 10 cm
周期 T = λ / v
= 10 cm ÷ 5.0 cm/s
= 2.0 s
→ 周期 1.0 s の ②・④ は誤り
【t = 0 の変位】
x = 2.5 cm のとき y = 0
【次にどちらへ動くか】
波は x の正の向きに進む
→ 少し時間がたつと
「左隣の波形」がこの点に来る
x = 2.5 のすぐ左(x < 2.5)は
y > 0(山の側)
→ この点は 0 から
正の向き(上向き)に動き出す
→ ①(下向きに動き出す)は誤り
【③を確認する】
t = 0 y = 0(上昇中)
t = 0.5 y = +3
t = 1.0 y = 0
t = 1.5 y = -3
t = 2.0 y = 0 周期 2.0 s
よって ③
第2問 力学的エネルギーと水圧(配点16)
Aは、なめらかな斜面とばね(問1)、あらい水平面での摩擦(問2・問3)を、いずれも「エネルギーのやりとり」で処理する問題です。Bは連結したシリンダーの水圧と、油を注いだときの液面差を扱います。
問1:正解 ②(解答番号5/配点3)
<問題要旨>なめらかな斜面となめらかな水平面を滑って、壁に固定されたばねに衝突する装置です。高さ h から初速度0で滑らせるとばねが a だけ縮んで速度0になりました。高さ 2h から滑らせたときの縮み d を表す式を選ぶ問題です。
<考え方>摩擦がないので力学的エネルギーが保存します。「最初の位置エネルギー=ばねに蓄えられた弾性エネルギー」という等式を、h のときと 2h のときの2つ立てて割り算します。ばねのエネルギーが縮みの2乗に比例することが要点です。
【高さ h のとき】 位置エネルギー = 弾性エネルギー mgh = (1/2)k a^2 … ① 【高さ 2h のとき】 mg(2h) = (1/2)k d^2 … ② 【②÷①】 2h / h = d^2 / a^2 2 = d^2 / a^2 d^2 = 2 a^2 d = √2 a 【確認】 高さが2倍 → エネルギーが2倍 ばねのエネルギーは縮みの「2乗」に比例 → 縮みは √2 倍であって 2倍ではない よって ②
問2:正解 ④(解答番号6/配点2)
<問題要旨>なめらかな斜面を滑り降りたあと、あらい水平面上を滑って停止する装置です。あらい水平面上を滑り始めた時刻を0として、小物体の速さ v と時刻 t の関係を表すグラフを選ぶ問題です。動摩擦係数は一定とされています。
<考え方>動摩擦係数が一定なら、はたらく動摩擦力の大きさも一定です。力が一定なら加速度も一定、つまり等加速度直線運動になり、v−t グラフは直線になります。
【はたらく力】 動摩擦力 F = μN = μmg μ も m も g も一定 → F は一定 【加速度】 ma = -F a = -μg (一定) 【v−t グラフの形】 加速度が一定 = 傾きが一定 → 直線 ①(下に凸の曲線)… 傾きが変化 → 誤り ②(減衰する曲線)… 同上 → 誤り ③(水平な直線) … 減速していない → 誤り ④(右下がりの直線)… 一定の割合で減速 よって ④
問3:正解 ③(解答番号7/配点3)
<問題要旨>同じ装置で、高さ 2h の位置に小物体を置いて初速度0で滑らせたとき、停止するまでにあらい水平面上を滑った距離を表す式を選ぶ問題です。高さ h のときは L だけ滑って停止しました。
<考え方>「最初の位置エネルギーが、すべて動摩擦力のする仕事に使われて0になる」というエネルギー収支で立式します。位置エネルギーは高さに比例し、摩擦の仕事は距離に比例するので、両者は比例します。
【高さ h のとき】 位置エネルギー = 摩擦がした仕事 mgh = μmg × L L = h / μ … ① 【高さ 2h のとき】 mg(2h) = μmg × L' L' = 2h / μ … ② 【②÷①】 L' / L = 2 L' = 2L 【確認】 問1(ばね)は2乗に比例したので √2 倍 問3(摩擦)は距離に比例するので 2 倍 同じ「高さ2倍」でも答えが違う よって ③
問4:正解 ②(解答番号8/配点4)
<問題要旨>管で連結された断面積 S_P のシリンダー C_P と断面積 S_Q のシリンダー C_Q に水が入っていて、水面は水平に静止しています。管の中の点Aは、水面から深さ h、C_P の底面から高さ h_A の位置にあり、点Aから鉛直上方に測った管内壁までの距離は h_B です。点Aにおける圧力 p_A を表す式を選ぶ問題です。
<考え方>水中の圧力は「水面からの深さ」だけで決まります。容器の形も、底面からの高さも、真上の壁までの距離も関係しません。ここに出てくる h_A・h_B・S_P・S_Q はすべて引っかけです。
【水圧の基本式】 深さ d の点の圧力 p = p0 + ρ0 g d p0 … 大気圧 ρ0 … 水の密度 d … 水面からの深さ 【点Aの深さ】 問題文に「水面から深さ h」と明示 → d = h 【代入する】 p_A = p0 + ρ0 h g 【引っかけを確認する】 h_A(底面からの高さ) → 圧力は底からの高さでは決まらない → ③は誤り h_B(真上の管内壁までの距離) → 壁の位置は無関係 → ④・⑤は誤り S_P, S_Q(断面積) → 圧力は断面積によらない ①(p0 のみ) → 水の重さを無視している → 誤り よって ②
問5:正解 ①(解答番号9/配点4)
<問題要旨>図3の状態から C_P 側に密度 ρ1(ρ1 < ρ0)の油を高さ h1 となるように注ぎました。C_Q 側の水面の高さと、C_P 側の水と油の境界面の高さとの差 h2 を表す式を選ぶ問題です。
<考え方>つながった液体では、同じ高さの面(等圧面)で圧力が等しくなります。基準の高さを「C_P 側の水と油の境界面」にとると、両側とも「大気圧+その上に載っている液体の重さ」で書けます。断面積は式に入りません。
【基準の高さを決める】 C_P 側の水と油の境界面の高さを基準にする この高さは水どうしでつながっているので等圧面 【C_P 側の圧力】 上に載っているのは油だけ(高さ h1) p = p0 + ρ1 g h1 【C_Q 側の圧力】 上に載っているのは水(高さ h2) p = p0 + ρ0 g h2 【等しいとおく】 p0 + ρ1 g h1 = p0 + ρ0 g h2 ρ1 h1 = ρ0 h2 h2 = (ρ1 / ρ0) h1 【確認】 ρ1 < ρ0 なので h2 < h1 図4でも h2 は h1 より小さく描かれている 断面積 S_P・S_Q は出てこない → ③・④・⑤は誤り ②は分母分子が逆で h2 > h1 になってしまう よって ①
第3問 抵抗器と豆電球の電圧・電流特性(配点18)
AさんとBさんが、抵抗器と豆電球の電圧 V と電流 I の関係を調べる探究活動です。抵抗器は比例(オームの法則どおり)ですが、豆電球はジュール熱でフィラメントの温度が上がるため比例しません。この「非オーム性」をグラフから読み取って電力を計算していきます。
問1(1):正解 ③(解答番号10/配点3)
<問題要旨>図2(豆電球の電圧と電流の関係)から、V が 1 V のときに豆電球で消費される電力を求める問題です。
<考え方>電力は P = VI です。図2から V = 1 V に対応する電流を読み取り、単位(mA → A)に注意して掛け算します。選択肢が 0.6 / 6 / 60 / 600 mW と10倍刻みなので、桁を合わせることが要点です。
【図2の読み取り】 V = 1 V のとき I ≒ 60 mA = 60 × 10^-3 A 【電力を計算する】 P = VI = 1 V × 60 × 10^-3 A = 60 × 10^-3 W = 60 mW 【桁の確認】 1 V × 60 mA = 60 mW (V〔V〕× I〔mA〕= P〔mW〕がそのまま使える) よって ③
問1(2):正解 ③(解答番号11/配点3)
<問題要旨>V を 2 V にしたとき、豆電球で消費される電力が 1 V のときのおよそ何倍になるかを求める問題です。
<考え方>比例していれば「電圧2倍 → 電流2倍 → 電力4倍」ですが、豆電球はそうなりません。図2から V = 2 V の電流を読み取って、実際に電力を計算し、1 V のときと比べます。
【図2の読み取り】
V = 1 V のとき I ≒ 60 mA
V = 2 V のとき I ≒ 80 mA
【それぞれの電力】
P(1V) = 1 × 60 = 60 mW
P(2V) = 2 × 80 = 160 mW
【倍率】
160 ÷ 60 = 2.67…
≒ 2.7 倍
【なぜ4倍にならないか】
電圧を上げるとジュール熱で
フィラメントの温度が上がる
→ 抵抗率が大きくなる
→ 電流が「2倍」までは増えない
(60 → 120 ではなく 60 → 80)
④の4.0倍は「比例する場合」の値
②の2.0倍は「電流が一定の場合」の値
よって ③
問2:正解 ④(解答番号12/配点4)
<問題要旨>空欄ア(抵抗器で、加える電圧を 1/10 倍にしたときの電力の倍率)と、空欄イ(豆電球では電力がア倍より「小さく」なるか「大きく」なるか)の組合せを選ぶ問題です。
<考え方>アは抵抗器なので P = V²/R で処理できます。イは、豆電球の抵抗が低電圧ほど小さいことを使います。同じ電圧まで下げたとき、電流は「比例する場合よりも多く流れる」ので、電力の減り方は抵抗器より緩やかになります。
【ア:抵抗器】 オームの法則が成り立つので P = V^2 / R (R 一定) V → (1/10)V にすると P → (1/10)^2 P = (1/100) P → ア = 1/100 【イ:豆電球】 図2の傾き(= I/V)は 低電圧ほど大きい → 低電圧ほど抵抗が小さい 例(図2から) V = 6 V I ≒ 150 mA P = 900 mW V = 0.6 V I ≒ 45 mA P ≒ 27 mW 27 ÷ 900 = 1/33 1/33 > 1/100 → 抵抗器の 1/100 倍より大きい → イ = 大きく よって ④
問3(1):正解 ④(解答番号13/配点2)
<問題要旨>同じ豆電球を2個用意して並列接続し、5 V の電圧を加えたとき、電源から流れ出る電流 I1 を求める問題です。
<考え方>並列接続では、それぞれの豆電球に電源電圧がそのままかかります。図2から 5 V のときの電流を読み取り、2個ぶんを足します。
【並列接続の特徴】 各豆電球にかかる電圧 = 5 V(電源と同じ) 【図2の読み取り】 V = 5 V のとき I ≒ 140 mA(1個あたり) 【電源から流れ出る電流】 I1 = 140 + 140 = 280 mA 【誤答の意味】 ③ 140 mA … 1個ぶんしか数えていない ② 70 mA … 電流を半分にしている よって ④
問3(2):正解 ④(解答番号14/配点2)
<問題要旨>同じ並列回路で、2個の豆電球で消費される電力の和を求める問題です。
<考え方>電源が供給する電力を計算すれば、それがそのまま2個の豆電球で消費される電力の和になります。P = VI に、電源電圧 5 V と (1) で求めた I1 = 280 mA を代入します。
【電力の和】 P = V × I1 = 5 V × 280 mA = 1400 mW 【1個ずつ足しても同じ】 1個あたり 5 × 140 = 700 mW 2個で 700 × 2 = 1400 mW 【誤答の意味】 ③ 700 mW … 1個ぶん ② 350 mW … 電流を半分にした場合 よって ④
問4:正解 ⑥(解答番号15/配点4)
<問題要旨>2個の豆電球を直列接続して 5 V を加えると、それぞれに 2.5 V ずつ加わります。このときの電流 I2 と、2個の豆電球で消費される電力の和 P の組合せを選ぶ問題です。
<考え方>選択肢が「値」ではなく「範囲」で与えられているので、図2から 2.5 V の電流を読み取ることに加えて、範囲の上下がどこから来るのかを筋道立てて示せると確実です。上限は「電圧が下がれば電流は減る」、下限は「豆電球は低電圧ほど抵抗が小さいので、比例のときより多く流れる」から出ます。
【上限:5 V のときより小さい】 直列なので各豆電球は 2.5 V 2.5 V < 5 V なので I2 < 140 mA 【下限:比例のときより大きい】 もし比例するなら 電圧が半分 → 電流も半分 = 70 mA 実際は低電圧ほど抵抗が小さいので 半分より多く流れる I2 > 70 mA → 70 mA < I2 < 140 mA (図2から読むと I2 ≒ 90 mA) → ③・④(0〜70 mA)は誤り 【電力の和】 P = 電源電圧 × I2 = 5 V × I2 I2 = 70 mA のとき P = 350 mW I2 = 140 mA のとき P = 700 mW → 350 mW < P < 700 mW (I2 ≒ 90 mA なら P ≒ 450 mW) → ⑤(175〜350 mW)は誤り よって ⑥
※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

