2024年度 大学入学共通テスト 追試験「生物基礎」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。
解答
解説
2024年度(令和6年度)大学入学共通テスト・追試験の「生物基礎」は、第1問から第3問までの全16項目、50点満点です。理科基礎は4科目のうち2科目を選び、あわせて60分で解答する形式なので、1科目あたりの目安は30分になります。配点は第1問18点・第2問16点・第3問16点で、選択問題はなく全問必答です。なお、この年度の生物基礎は解答番号が1から始まります。理科基礎は4科目が1冊の問題冊子にまとめられている関係で、冊子の構成によって各科目に割り当てられる番号が変わり、たとえば2025年度の追試験の生物基礎は101からでした。番号の付き方が違うだけで、解き方には何の影響もありません。
第1問は「細胞小器官とDNA」で18点です。Aは、ある細胞から取り出した細胞小器官Aと細胞小器官Bの働きを実験で調べるという設定で、二酸化炭素を含む溶液から酸素を発生させたほう(葉緑体)と、有機物を加えたときだけATPを増やしたほう(ミトコンドリア)を実験結果から決めさせます。そこから話は湖の表層の溶存酸素量とpHの日周変動へ広がります。Bは遺伝情報と染色体についての正誤判定が2問と、DNAからmRNAへの転写の模式図を塩基1つずつ照合して選ぶ問6です。
第2問は「ヒトの体内環境の維持」で16点です。Aは酸素解離曲線を使って、「1分間に全身の組織が受け取ることのできる酸素の量」を求める式そのものを組み立てさせる、計算というより設計の問題です。Bは体温調節で、暑いときの発汗のしくみ、寒いときのホルモンと自律神経、そして熱産生と熱放散の区別が続けて問われます。第3問は「植生の遷移と生態系のバランス」で16点です。Aは土の中で眠る埋土種子の発芽実験と二次遷移、Bはヒトデとトキを比べてキーストーン種の条件を考える会話文が題材です。
この回でつまずきやすいのは、図やグラフのどこを読むかを取り違えるところです。第2問A問1(1)では、実線(二酸化炭素濃度が低いときの曲線)と破線(高いときの曲線)のどちらを読むかで答えが66にも36にも変わります。二酸化炭素を捨てる肺胞は実線、二酸化炭素を出している組織は破線、と場所と曲線を先に結びつけてから目盛りを読んでください。第1問問3のpHのグラフや第3問A問1の表1も、数値そのものより「どちらの向きに動くか」「何と何を比べているか」で決まります。
第1問(必答) A 細胞小器官の働きを調べる実験と、湖の溶存酸素量・pHの日周変動
ある細胞から取り出した2つの細胞小器官A・Bの正体を、実験結果だけから決めさせる導入です。そこで得た「Aは葉緑体、Bはミトコンドリア」という結論を、湖の表層で起こる1日周期の変動に当てはめるところまでが1セットになっています。第1問全体の配点は18点で、Aは各3点の計9点です。
問1:正解 ①(解答番号1/配点3)
<問題要旨>
実験1では、細胞小器官Aを二酸化炭素を含む溶液に入れてある条件に置いたところ、酸素が発生しました。この細胞小器官Aの働きを説明した4つの記述から、最も適当なものを1つ選ぶ問題です。
<考え方>
二酸化炭素を取り込んで酸素を発生させるのは光合成だけなので、細胞小器官Aは葉緑体と決まります。あとは選択肢を「エネルギー源は光か有機物の分解か」「合成か分解か」の2点で振り分けます。葉緑体では光エネルギーを用いてATPがつくられ、そのATPを使って二酸化炭素から有機物が合成されます。
【細胞小器官Aの特定】 実験1 二酸化炭素を吸収して酸素を発生 → 光合成 → 細胞小器官A = 葉緑体 【選択肢の判定】 ① 正 葉緑体のチラコイドでは、光エネルギーを用いてATPが合成される ② 誤 光合成は有機物を分解する反応ではなく、二酸化炭素から有機物を合成する反応 ③ 誤 二酸化炭素を消費する点は合っているが、そのエネルギー源は光であって「有機物の分解」ではない ④ 誤 有機物を分解して得たエネルギーでATPを合成するのは呼吸。葉緑体ではなくミトコンドリアの働き 【検算】④を葉緑体の説明とすると、実験1で酸素が発生した理由が説明できない。呼吸では酸素は消費される。 よって ①
③と④はどちらも「有機物を分解して得たエネルギーを用いて」で始まる呼吸の説明です。この2つはこのあと問2で扱う細胞小器官B側の記述で、AとBを取り違えた場合に選ばせる形になっています。
問2:正解 ④(解答番号2/配点3)
<問題要旨>
実験2では、細胞小器官BをADPとリン酸を含む溶液C、または溶液Cに有機物を加えた溶液Dに入れ、溶液中のATP量の変化が図1に示されます。有機物を加えた溶液DでだけATPが増えました。この細胞小器官Aと細胞小器官Bに共通する特徴を4つの記述から選ぶ問題です。
<考え方>
まず細胞小器官Bを決めます。有機物があるときだけADPとリン酸からATPをつくるのは呼吸なので、Bはミトコンドリアです。葉緑体とミトコンドリアに共通するのは、どちらも独自のDNAをもち、細胞の中で分裂して数を増やすという点で、細胞内共生説の根拠にもなっている性質です。
【細胞小器官Bの特定】 図1 溶液C(ADPとリン酸のみ)…ATPはほとんど増えない 溶液D(溶液C+有機物) …ATPが増え、40分ごろに最大になる → 有機物を分解して得たエネルギーでATPを合成している = 呼吸 → 細胞小器官B = ミトコンドリア 【選択肢の判定】A=葉緑体、B=ミトコンドリア ① 誤 ミトコンドリアは動物の細胞にも含まれる。「植物にしかない」のは葉緑体だけの性質 ② 誤 葉緑体もミトコンドリアも、核のDNAとは別に独自のDNAをもつ ③ 誤 どちらも膜で囲まれた細胞小器官で、原核生物の細胞には存在しない ④ 正 どちらも細胞の中で分裂して数を増やす よって ④
②と④は裏返しの関係にあります。独自のDNAをもち、自分で分裂して増えるという性質が、葉緑体とミトコンドリアがもとは別の原核生物だったとする細胞内共生説の根拠です。
問3:正解 ③(解答番号3/配点3)
<問題要旨>
水草が優占する浅い湖の表層で、溶存酸素量が図2のように1日周期で変動しています。夜のあいだに減って明け方に最も少なくなり、昼に増えていく波形です。この変動を説明する文章の空欄ア・イに入る語(光合成・呼吸)と、同じ湖の表層のpHの変動を示すグラフ(ⓐかⓑ)の組合せを選ぶ問題です。
<考え方>
光合成は光があるときだけ起こり、呼吸は昼も夜も続く、という基本に戻ればア・イは決まります。ウは「二酸化炭素が溶けた水は酸性になる」という問題文の一文を逆向きに使います。昼は光合成が呼吸を上回って二酸化炭素が減るので、pHは上がります。
【ア・イ】 図2 溶存酸素量は昼に増え、夜に減る 光合成…光があるときだけ起こるので、昼に速度が大きくなる → ア = 光合成 呼 吸…昼も夜も続いているので、1日を通して大きくは変化しない → イ = 呼吸 【ウ】 昼 光合成>呼吸 → 水中の二酸化炭素が減る → 酸性が弱まる → pHは高い 夜 光合成が止まり呼吸だけ → 水中の二酸化炭素が増える → 酸性が強まる → pHは低い → pHは溶存酸素量と同じ向きに動く(図2と同じ波形になる) グラフⓐ 夜から明け方にかけて低く、昼に高い → 図2と同じ動き → 合う グラフⓑ 夜から明け方にかけて高く、昼に低い → 図2と逆の動き → 合わない → ウ = グラフⓐ 【検算】図2とグラフⓐは、最も低くなる時刻(明け方)と最も高くなる時刻(夕方近く)が一致する。 酸素が最も少ない明け方は、一晩中の呼吸で二酸化炭素が最もたまった時刻でもあり、筋が通る。 よって ③
「二酸化炭素が増えるとpHは下がる」という向きを確かめてから図を見ると、ⓐとⓑの取り違えを防げます。酸素と二酸化炭素は逆向きに動き、酸素とpHは同じ向きに動きます。
第1問(必答) B 遺伝情報と染色体、DNAからmRNAへの転写
すべての生物がDNAを遺伝情報の担い手としていること、真核細胞の核に染色体があること、転写を経て翻訳へ進むことを述べたリード文を受けた3問です。問4・問5は基本事項の正誤判定、問6は転写の模式図を塩基1つずつ照合して選びます。Bは各3点の計9点です。
問4:正解 ④(解答番号4/配点3)
<問題要旨>
遺伝情報についての4つの記述から、最も適当なものを1つ選ぶ問題です。生物種が違う場合の塩基配列、体細胞と精子のDNA量、体細胞分裂と遺伝子の種類、同一個体の異なる器官の遺伝情報、という4つの観点が並びます。
<考え方>
「同じ個体の体細胞はすべて同じ遺伝情報をもつ」「生殖細胞は減数分裂を経るのでDNA量が半分になる」という2点で4つとも振り分けられます。器官が違っても遺伝情報は同じで、違うのは発現している遺伝子のほうです。
① 誤 種が違えばゲノムの塩基配列は異なる。取り出した器官(花芽)をそろえても同一にはならない ② 誤 精子は減数分裂でつくられるので、細胞当たりのDNA量は肝臓の細胞(体細胞)の半分 ③ 誤 体細胞分裂は複製したDNAを等分する過程で、遺伝子の種類が入れ替わることはない ④ 正 1個体のイネの葉の細胞も根の細胞も、同じ受精卵が体細胞分裂を繰り返してできたもので遺伝情報は同一。 姿や働きが違うのは、はたらいている遺伝子が器官ごとに違うため 【検算】②を正しいとすると、精子と卵が受精するたびにDNA量が2倍ずつ増えていくことになり、世代を重ねられない。 よって ④
④の「遺伝情報は同一だが、発現する遺伝子は器官ごとに違う」という区別が分化のしくみそのものです。第1問Bの残りの2問も、この流れの上に並んでいます。
問5:正解 ②(解答番号5/配点3)
<問題要旨>
染色体とDNAについての4つの記述から、最も適当なものを1つ選ぶ問題です。DNA複製が起こる時期、染色体が凝縮して観察できる時期、娘細胞のDNA量、ヌクレオチドどうしがどこで結合するか、が問われます。
<考え方>
細胞周期の各時期に何が起こるかと、ヌクレオチド鎖の構造、という2点に戻れば決まります。複製は間期のうちS期だけ、凝縮した染色体が見えるのは分裂期、ヌクレオチドは糖とリン酸で鎖になります。
① 誤 間期はG₁期・S期・G₂期に分かれ、DNAの複製が起こるのはS期だけ。間期の全期間ではない ② 正 間期の核内では染色体は細い糸状に広がっていて見えにくく、分裂期に凝縮して太く短い棒状になり観察できる ③ 誤 母細胞のDNAはS期に2倍になり、分裂期にそれが等分される。 娘細胞1個のDNA量は、分裂直前の母細胞と比べれば1/2、G₁期の母細胞と比べれば同じ量で、いずれにしても2倍にはならない ④ 誤 ヌクレオチドどうしは糖とリン酸の間で結合して鎖になる。塩基は向かい合う鎖との対合に使われる部分 よって ②
③は「2倍」を「1/2倍」に直しても、どの時点の母細胞と比べるかを決めないと正しくなりません。S期に2倍にしてから等分するので、1回の分裂を終えた娘細胞のDNA量はG₁期の細胞と同じに戻ります。
問6:正解 ④(解答番号6/配点3)
<問題要旨>
DNAからmRNAが転写される過程の一部を模式的に示した6つの図から、最も適当なものを1つ選ぶ問題です。6つの図はほどけた2本のDNA鎖と合成中のmRNAという同じ形をしていて、違うのは枠の中に書かれた塩基だけです。
<考え方>
図を全体の形で見比べるのではなく、塩基のルールで1つずつ落としていきます。落とす順は、(1)DNAにUは使われない、(2)mRNAにTは使われない、(3)向かい合う塩基はA−T(RNAではA−U)とG−Cで対応する、の3段階です。前の2つだけで4つが消えます。
【第1段階 DNAの2本の鎖にUがある図を落とす】 DNAの塩基はアデニン・チミン・グアニン・シトシンの4種で、ウラシルは使わない → 上下の鎖にUが書かれている ①・③・⑥ は不可 【第2段階 mRNAにTがある図を落とす】 mRNAの塩基はアデニン・ウラシル・グアニン・シトシンの4種で、チミンは使わない → mRNAにTが書かれている ②・⑤ は不可 【第3段階 残った④で塩基の対応を確かめる】 DNAの2本の鎖 上の鎖 G A A T T C T C 下の鎖 C T T A A G A G 向かい合う位置で G−C、A−T、A−T、T−A、T−A、C−G、T−A、C−G と、すべて対応している mRNAのうち、ほどけた部分で上の鎖と向かい合っているのは C U U A A 上の鎖の G A A T T に対して G−C、A−U、A−U、T−A、T−A → 上の鎖を鋳型として、相補的な塩基が並んでいる 【検算】転写でできるmRNAの配列は、「鋳型でないほうの鎖のTをUに置きかえたもの」と一致する。 下の鎖の C T T A A のTをUにすると C U U A A で、図のmRNAと一致する。2通りの見方のどちらでも矛盾しない。 よって ④
6つの図は一見どれも同じに見えますが、DNA側にUがあるか、mRNA側にTがあるかを見るだけで4つが消えます。塩基の対応まで確かめるのは、残った1つを念のため検算するときで十分です。
第2問(必答) A 酸素解離曲線から「組織が受け取る酸素の量」を組み立てる
図1の酸素解離曲線と、体内を循環する血液量・1分間の拍出量・ヘモグロビン1g当たりの酸素結合量という数値を組み合わせて、1分間に組織が受け取ることのできる酸素量を求める式そのものを完成させる問題です。第2問全体の配点は16点で、Aは問1が(1)(2)各2点、問2が3点の計7点です。
問1(1):正解 ⑤(解答番号7/配点2)
<問題要旨>
「1分間に全身の組織が受け取ることのできる酸素の量=H×ア/100×イ×ウ」という式が与えられ、アには「全ヘモグロビンのうち組織で酸素を解離するものの割合(%)」が入ります。組織での酸素濃度を30としたときのアの値を6つの数値から選ぶ問題です。図1の酸素解離曲線には、二酸化炭素濃度が低いときの曲線(実線)と高いときの曲線(破線)の2本が描かれています。
<考え方>
酸素解離曲線の問題は「肺胞で何%」「組織で何%」「その差が組織に渡された分」の3ステップに戻せば決まります。どちらの曲線を読むかは二酸化炭素濃度で決めます。肺胞は二酸化炭素を排出する場所なので濃度が低く実線、組織は呼吸で二酸化炭素を出しているので濃度が高く破線です。
【肺胞での酸素ヘモグロビンの割合】 肺胞 酸素濃度 100、二酸化炭素濃度は低い → 実線の右端を読む 図1の右端に示された値 → 96〔%〕 【組織での酸素ヘモグロビンの割合】 組織 酸素濃度 30(図1の注)、二酸化炭素濃度は高い → 破線を読む 横軸の30の目盛りから上にたどると、破線は縦軸30の目盛りの高さで交わる → 30〔%〕 (同じ位置で実線は60%だが、組織で使うのは破線のほう) 【組織で酸素を解離したヘモグロビンの割合】 96 − 30 = 66〔%〕 アは「全ヘモグロビンのうち」の割合なので、96で割り直さずそのまま 66 よって ⑤
実線のほうを読むと 96−60=36 となり、選択肢②に着地します。組織は二酸化炭素濃度が高い側、と決めてから曲線を選ぶのが確実です。
問1(2):正解 ③(解答番号8/配点2)
<問題要旨>
同じ式のイ(血液量)とウ(数値)に入る組合せを4つから選ぶ問題です。イの候補は「体内を循環している全ての血液量(L)」と「1分間に心臓から全身の組織に送り出される血液量(L)」、ウの候補は 1.4 と 1/1.4 です。
<考え方>
式の単位を追えば決まります。求めたいのは「1分間に」受け取る量なので、掛ける血液量も「1分間に」流れた量でなければ時間の条件が式に入りません。またHはg単位、答えはmL単位なので、ヘモグロビン1g当たり1.4mLという換算はそのまま掛けます。
【イ】 H は「血液1L中に含まれるヘモグロビン量(g)」= 血液1L当たりの量 求めるのは「1分間に」組織が受け取る量 → 掛けるべきは、1分間に組織へ流れた血液量、すなわち1分間に心臓から全身の組織に送り出される血液量(L) 【ウ】 ヘモグロビン 1 g → 最大 1.4 mL の酸素と結合 g を mL に直すので ×1.4(÷1.4 ではない) 【単位で確かめる】 H〔g/L〕 × (ア/100)〔単位なし〕 × イ〔L〕 × 1.4〔mL/g〕 = 〔mL〕 … 単位が合う 【検算】血液1L中のヘモグロビンを 150 g として、アに問1(1)の 66 を入れると 150 × 0.66 × 5 × 1.4 ≒ 693〔mL〕 これは「受け取ることのできる」量(上限)なので、安静時に実際に消費される量(1分間に約250mL)より大きくなって矛盾しない。 よって ③
「体内を循環している全ての血液量」を使うと、「1分間」という時間の条件がどこにも入らない式になってしまいます。この問題では偶然どちらも約5Lですが、数値が一致することと式として正しいことは別の話です。
問2:正解 ④(解答番号9/配点3)
<問題要旨>
ヘモグロビンによる酸素の運搬についての5つの記述から、適当でないものを1つ選ぶ問題です。判断の材料は問1で使った図1の酸素解離曲線です。
<考え方>
酸素解離曲線が「S字形で、酸素濃度100でも100%には届かず、組織側でも0%には落ちない」形であることが判断の軸になります。「全て結合する」「全て解離する」という言い切りは、まず曲線の端を見て疑います。
① 正 運動時は組織の酸素濃度が下がり二酸化炭素濃度が上がるので、破線をより左下で読むことになり、解離する割合が増える ② 正 肺胞の酸素濃度が変われば曲線上で読む位置が変わるので、運ばれる酸素の量も変わる ③ 正 図1の実線は酸素濃度100でも96%で、100%には達していない。酸素濃度をさらに上げれば割合を増やす余地がある ④ 誤 図1より、組織(酸素濃度30・二酸化炭素濃度が高い)でも30%は酸素と結合したまま残っている。 「酸素を一度全て解離する」ことはない ⑤ 正 同じ酸素濃度で比べると破線(二酸化炭素濃度が高い)は実線より下にあり、酸素ヘモグロビンの割合が小さい = 解離しやすい よって ④
④は問1(1)で読み取った「組織で30%」という数値がそのまま反例になります。同じ図を続けて使う作りなので、問1の読み取りを消さずに残しておくと速く判断できます。
第2問(必答) B 体温調節(発汗のしくみと、寒冷時のホルモン・熱産生と熱放散)
外界の温度が上がったとき・下がったときに体内で起こることを、中枢・自律神経・ホルモン・具体的な反応という4つの面から順に問う3問です。Bは各3点の計9点です。
問3:正解 ②(解答番号10/配点3)
<問題要旨>
発汗による体温調節を説明した文章の空欄エ(からだの温度の変化を感知する場所)・オ(発汗を起こす神経)・カ(発汗がもたらす効果)に入る語句の組合せを、8つの中から選ぶ問題です。
<考え方>
体温調節の中枢はどこか、汗腺を支配するのは交感神経か副交感神経か、発汗は熱を産むのか逃がすのか、という3点を独立に決めれば8択が1つに絞れます。
【エ】体温調節の中枢は間脳の視床下部 → エ = 視床下部 脳下垂体はホルモンを分泌する器官であって、温度変化を感知する中枢ではない 【オ】汗腺は交感神経の支配を受ける → オ = 交感神経 【カ】汗が蒸発するとき体表から気化熱を奪う → 熱の放散を促進 → カ = 放散を促進 熱の産生を抑制しているのではない 視床下部・交感神経・放散を促進 の組合せ 【検算】カを「産生を抑制」とすると、汗をかかなくても体温上昇は防げることになり、 発汗が体温調節の手段として挙げられている文脈と合わない。 よって ②
「暑いときは副交感神経」と考えると誤ります。汗腺には副交感神経は分布しておらず、交感神経だけの支配を受けています。
問4:正解 ①(解答番号11/配点3)
<問題要旨>
外界の温度が下がったことを感知したときに体内で起こる反応についての4つの記述から、誤っているものを1つ選ぶ問題です。
<考え方>
寒冷時の経路は「視床下部 → 交感神経 → 副腎髄質(アドレナリン)」と「視床下部 → 脳下垂体前葉 → 甲状腺(チロキシン)」の2本で、どちらも最終的に代謝を高めて熱産生を増やします。副腎髄質は神経による支配、甲状腺はホルモンによる支配、という違いが分かれ目です。
① 誤 副腎髄質を刺激するのは交感神経で、神経による直接の支配。脳下垂体後葉のホルモンによる刺激ではない。 脳下垂体後葉から分泌されるのはバソプレシンで、腎臓での水の再吸収を促すホルモン ② 正 脳下垂体前葉が甲状腺刺激ホルモンを分泌し、甲状腺を刺激する ③ 正 副腎髄質のアドレナリンはグリコーゲンの分解を促し、代謝を促進する ④ 正 甲状腺のチロキシンは全身の細胞の代謝を促進する よって ①
副腎は「髄質は交感神経の支配」「皮質は脳下垂体前葉の副腎皮質刺激ホルモンの支配」と、部位によって支配のしかたが違います。ここを混ぜると①をそのまま正しいと見てしまいます。
問5:正解 ②(解答番号12/配点3)
<問題要旨>
外界の温度が下がったときに起こるⓐ皮膚の血管が収縮する、ⓑ心拍数が上昇する、ⓒ立毛筋が収縮する(鳥肌が立つ)の3つの記述のうち、熱の産生を促進する反応を過不足なく含むものを7つの選択肢から選ぶ問題です。
<考え方>
寒冷時の反応は「熱をつくる側(熱産生の促進)」と「熱を逃がさない側(熱放散の抑制)」の2つに分かれ、設問文自身がその2分法を示しています。3つを1つずつどちらに入れるか決めるだけです。体表で起こる反応は逃がさない側、全身の代謝を上げる反応はつくる側になります。
ⓐ 皮膚の血管が収縮する → 体表を流れる血液が減り、体表から逃げる熱が減る = 熱放散の抑制 ⓑ 心拍数が上昇する → 血液の循環が速まり、全身の代謝が高まる = 熱産生の促進 ⓒ 立毛筋が収縮する(鳥肌が立つ) → 体毛を立てて体表に空気の層をつくり、熱を逃がしにくくする = 熱放散の抑制 熱の産生を促進する反応は ⓑ だけ 【検算】ⓐとⓒはどちらも皮膚で起こる反応で、体内で新たに熱をつくる働きはない。 ⓐまたはⓒを含む ①・③・④・⑤・⑥・⑦ はこの時点で消え、残るのは ② だけ。 よって ②
寒いときに起こる反応をひとまとめに「熱産生」と覚えていると④や⑦を選んでしまいます。ふるえ(骨格筋の収縮)・肝臓や筋肉での代謝の促進・心拍数の上昇が熱産生の側、皮膚の血管の収縮・立毛筋の収縮・発汗の抑制が熱放散を抑える側です。
第3問(必答) A 埋土種子の発芽実験(ミズナラとシロザ)と二次遷移の初期
土の中で生きたまま眠っている種子(埋土種子)を題材に、極相林の優占種であるミズナラと、農耕地の一年生雑草であるシロザの種子の性質を比べる実験を読み解く問1と、二次遷移の初期の特徴を問う問2です。第3問全体の配点は16点で、Aは問1が6点、問2が3点の計9点です。
問1:正解 ①・⑤(解答番号13・14/配点6)
<問題要旨>
実験1は、ミズナラとシロザの健全な種子を光の届かない土の中に埋め、発芽するかを定期的に確かめたものです。ミズナラは1か月後にほとんど全てが発芽し、シロザは1か月後・15か月後・27か月後のいずれでもほとんど発芽しませんでした。実験2は、実験1で発芽しなかったシロザの種子を湿ったろ紙の上に置き、明るい条件と暗い条件で2週間後の発芽率を比べたもので、結果が表1にまとめられています。この2つの実験から言える考察を6つの中から二つ選ぶ問題です(順序は問いません)。
<考え方>
考察問題は「その記述を支える結果が実験のどこにあるか」を1つずつ確かめれば決まります。実験1からはミズナラとシロザで埋めたあとの運命が正反対であることが、表1からは明るさで発芽率が大きく変わること、埋めていた期間が長いほうが明条件での発芽率が高いことが読み取れます。暗い条件の発芽率がどの期間も0%という点が決定的です。
【表1の読み取り】 明るい 暗い 1か月 10% 0% 15か月 40% 0% 27か月 40% 0% (i) 暗い条件では、どの期間でも発芽しない (ii) 明るい条件では、1か月(10%)より15か月・27か月(40%)のほうが発芽率が高い (iii) 27か月後もなお、光を当てれば発芽できる種子が土の中に残っている 【選択肢の判定】 ① 正 実験1で、ミズナラは光の届かない土の中でも1か月後にほとんど全てが発芽している。 発芽してしまえば種子としては残らないので、埋土種子になりにくい ② 誤 ミズナラは暗い土の中で現に発芽している。「暗い林床では発芽できない」は実験1と矛盾する ③ 誤 表1(ii)より、埋まっていた期間が長いほうが発芽率は高い。記述は向きが逆 ④ 誤 表1(i)より、発芽させたくないなら暗い場所に置くべき。明るい場所はむしろ発芽させる条件 ⑤ 正 表1より、光が当たると発芽する。耕作などで地表面に出れば光を受けるので、発芽が促される ⑥ 誤 (iii)より、27か月(2年3か月)たっても暗い土の中では発芽せずに生き残っている。 2年間除草しても埋土種子はなくならない よって ①・⑤
⑤は「埋土種子は農耕地で多く極相林では少ない」という問題文冒頭の事実とも結びつきます。耕すたびに一部の種子が地表に出て発芽し、残りはまた埋め戻されて眠る、という循環が農耕地の埋土種子を支えています。
問2:正解 ②(解答番号15/配点3)
<問題要旨>
二次遷移における植生の形成初期についての4つの記述から、適当でないものを1つ選ぶ問題です。
<考え方>
一次遷移と二次遷移の決定的な違いは「土壌が残っているかどうか」の1点だけです。土壌があれば水分も栄養塩類も、土の中の種子や地下茎も、分解者も残っています。そこから外れる記述を探します。
① 正 形成初期は上層を覆う樹木がなく光がよく届くので、陽生植物が優占する ② 誤 二次遷移は土壌が残った状態から始まるので、水分も栄養塩類も豊富。 乏しい環境に耐えられる種(地衣類・コケ植物など)が優占するのは、裸地から始まる一次遷移の初期の特徴 ③ 正 土壌があれば分解者も生息しており、落葉や落枝を分解して無機物を生じる ④ 正 土壌と、その中に残る埋土種子や地下茎があるぶん、一次遷移より遷移の進行は速い 【検算】②を二次遷移の記述として認めると、④の「一次遷移より速い」という性質の理由が説明できなくなる。 ②と④は両立しない。 よって ②
問1で扱った埋土種子は、まさにこの「二次遷移が速い理由」の一つです。Aは埋土種子と二次遷移がひとつながりになるように組まれています。
第3問(必答) B キーストーン種(ヒトデとトキ)と、物質の循環・エネルギーの流れ
ヒビキさんとイブキさんの会話を題材に、ラッコやヒトデのようなキーストーン種と、絶滅しても生態系のバランスが大きく変わらなかったトキとを比べます。問3は物質循環とエネルギーの流れの基本、問4は食物網の図から両者の違いを説明する問題で、問3が4点、問4が3点の計7点です。
問3:正解 ①・⑤(解答番号16・17/配点4)
<問題要旨>
生態系における物質の循環とエネルギーの流れについての6つの記述から、適当なものを二つ選ぶ問題です(順序は問いません)。
<考え方>
「物質は循環する/エネルギーは循環せず一方向に流れ、最後は熱として生態系の外へ出る」という原則ひとつで、6つのうち4つが片づきます。残りは、無機窒素化合物から有機窒素化合物をつくれるのは誰か、という窒素同化の知識で判断します。
① 正 落葉や生物の遺体、河川による流出、それを食べる生物の移動などを通じて、 炭素や窒素は陸上の生態系と水界の生態系の間も行き来する ② 誤 無機窒素化合物から有機窒素化合物をつくる窒素同化を行えるのは植物や菌類・細菌。 動物は有機窒素化合物(タンパク質など)を食物として取り入れる ③ 誤 炭素は大気中や水中の二酸化炭素を経由して、生物と非生物環境の間も循環する。「生物と生物の間でのみ」ではない ④ 誤 エネルギーは循環しない。いったん熱エネルギーになったものを、生物が化学エネルギーとして利用し直すことはできない ⑤ 正 生態系に入った光エネルギーは、化学エネルギーを経て各段階で熱エネルギーに変わり、最終的に生態系外へ放出される ⑥ 誤 生態系に入った光エネルギーのうち、光合成で化学エネルギーに変換されるのはごく一部。大部分は反射・透過したり熱になったりする よって ①・⑤
④と⑤は同じ原則の表と裏です。エネルギーについて問われたら「循環しない、流れる」と即答できるようにしておくと、この形の設問は速く片づきます。
問4:正解 ⑧(解答番号18/配点3)
<問題要旨>
図1には、ヒトデとトキのそれぞれについて食う−食われるの関係が示されています。ヒトデは肉食性巻貝・カサガイ類・イガイ・フジツボ類を、トキはカエル・ドジョウ・陸上性昆虫・ミミズを食べ、肉食性巻貝はカサガイ類・イガイ・フジツボ類を、カエルは陸上性昆虫やミミズを食べています。ヒトデを取り除くと岩礁がイガイに覆われるのに対し、トキが絶滅してもバランスが変わらなかった理由を説明する文章の空欄ア〜ウに入る語句の組合せを、8つの中から選ぶ問題です。
<考え方>
アは図の矢印をたどって栄養段階を決めます。イとウは、会話文とリード文にある「イガイのように生息場所や食物を独占する種はいない」という一文と、図の注(カサガイ類もフジツボ類も岩礁の表面で生活する)を手がかりに決めます。
【ア】 ヒトデ → 肉食性巻貝(カサガイ類などを食べる動物)を食べている ト キ → カエル(陸上性昆虫やミミズを食べる動物)を食べている どちらも「動物を食べる動物」をさらに食べている → ア = 二次以上の消費者 (①〜④の「一次消費者」は消える) 【イ】 ヒトデの餌 カサガイ類・イガイ・フジツボ類は、注にあるとおりいずれも岩礁の表面で生活する → 採餌する環境は岩礁という一つの場に限られている トキの餌 ドジョウは水中、陸上性昆虫とミミズは陸上と、生活の場がばらばら → ヒトデと比べて採餌する環境は多様 → イ = 多様な (⑤・⑥は消える) 【ウ】 同じ岩礁の表面を奪い合うヒトデの餌生物どうしは、場所をめぐる関わりが強い → だからヒトデがいなくなるとイガイが独占して岩礁を一面覆ってしまう 生活の場が別々のトキの餌生物どうしは、関わりが弱い → だからトキがいなくなっても、特定の種だけが増えて他を押しのけることがない → ウ = 弱い (⑦は消える) 二次以上の消費者・多様な・弱い の組合せ よって ⑧
キーストーン種かどうかは「上位の捕食者であること」だけでは決まりません。その捕食者がいなくなったときに一気に増えて場所や食物を独占する種がいるかどうかが分かれ目で、問題文の「イガイのように生息場所や食物を独占する種はいない」という一文がそのまま答えの根拠になっています。
※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

