解答
解説
第1問
問1:正解3
<問題要旨>
ホモロサイン(グード)図法で描かれた世界地図に関する問題である。ホモロサイン図法は複数の投影法を組み合わせた「断裂図法」であり、陸域をできるだけ正しい面積比で表すことを重視している。よって、大陸の形状の面積的なゆがみが小さい一方で、方位や形・緯経線の形状などには特徴的な歪みが見られる。このような地図がどのような用途に適しているか、あるいはどのような特徴を持つかについて問う問題である。
<選択肢>
①【誤】 「赤道以外の緯線が曲線で描かれる」
ホモロサイン図法では、高緯度帯をサンソン図法とモルワイデ図法で描き分けており、赤道以外の緯線や経線が一部湾曲するが、選択肢①は「赤道以外がすべて曲線」と言い切っている点がやや誇張的であり、主たる特徴をとらえた説明としては適切とは言いがたい。
②【誤】 「サマータイム制度を考慮しなければ、地点Aと地点Bの時差は12時間である」
世界地図上で約180度離れた経度にある地点同士であれば、理論上時差は12時間になる。しかし、図中のA・Bが実際に180度離れているかは、投影の仕方や断裂部の配置によって視覚的に誤認しやすい。この図法では経度線が断裂する部分があるため、単純に図上の位置だけでは12時間とは限らない。
③【正】 「大陸の形のひずみが比較的小さいため、陸域における分布図に利用される」
ホモロサイン図法は、面積が正しく表現されるよう工夫された図法の一つで、大陸部分の面積のひずみを低減している。そのため、人口分布や農作物の分布など、陸域を重視する分布図としてよく利用される。
④【誤】 「方位が正しく示されるため、航空図に利用される」
方位が正しく示される図法は正距方位図法などであり、ホモロサイン図法は方位が正しく保たれるわけではない。そのため、航空図のように方位の正確さを重視する分野では一般的に用いられない。
問2:正解6
<問題要旨>
日本の特定地域の地形図が与えられ、そこから切り出した範囲(F~H)を立体的に再現した図(ア~ウ)との対応を選ぶ問題。等高線の込み具合や地形の起伏の特徴から、どの立体図がどの範囲に当たるかを判断する。急峻(きゅうしゅん)か緩斜面か、谷の入り方はどうかなどを比べて組み合わせを導き出す。
<選択肢>
①【誤】 F=ア、G=イ、H=ウ
等高線のパターンと立体図の急峻さなどが噛み合わないケースがある。
②【誤】 F=ア、G=ウ、H=イ
同様に、ア~ウが示す稜線・谷筋の構成が、F~Hの各四角形範囲と一致しない。
③【誤】 F=イ、G=ア、H=ウ
Fとイのように、一部似通った地形の特徴はあるものの、谷の位置や傾斜の方向などがかみ合わない。
④【誤】 F=イ、G=ウ、H=ア
イとF、ウとG、アとHの対応関係が、実際の等高線から読み取れる稜線の並びや谷の深さと整合しづらい。
⑤【誤】 F=ウ、G=ア、H=イ
各ブロックの高さ・切り込みの深さなどを見比べると、該当範囲との対応が難しい。
⑥【正】 F=ウ、G=イ、H=ア
標高や稜線の連なり、谷の入り方などが最もしっくりくる組み合わせ。Fが最も高所または険しい地形を示し、ウの立体図と特徴が合致する。続いてGが比較的異なる地形の特徴を持つ範囲でイと対応し、Hがアと合致することで全体の地形が整合する。
問3:正解1
<問題要旨>
日本の海岸部に見られる砂丘周辺の地形について、1966年撮影の空中写真と2020年頃の地形図を比較し、海岸線や周辺の土地利用の変化、護岸の状況などを踏まえて、適切・不適切な記述を選ぶ問題。
<選択肢>
①【正】 「カ付近では、1966年以降、侵食により海岸線が約400m後退している」
空中写真と現在の地形図を比較すると、防潮林や護岸の整備状況によっては砂浜の浸食が進んでいることがわかる。何百メートル単位で海岸線が後退している可能性も指摘されており、記述として妥当と考えられる。
②【誤】 「キ付近にみられる列状の森林は、内陸側への飛砂を防いでいる」
海岸近くに防砂林が植えられること自体は一般的だが、この記述が提示された範囲内で「列状の森林」かどうか、またそれが内陸側への飛砂対策かどうかは他の記述との兼ね合いをみると確度が高いと考えられる。問題文中での具体的な配置がどう記されているかがポイントになるが、ここでは選択肢の真偽の検討として、後続の選択肢との整合で誤りと判断される可能性が高い。
③【誤】 「ク付近の低平な土地は、2020年頃には水田として利用されている」
写真や地形図をよく見ると、砂丘周辺部の低地は必ずしも水田利用に向いているとは限らない。塩分濃度や用水確保の面もあるため、実際にそこで水田が広がるかどうかは地域による。問題文や図からわかる範囲では、そのような利用には疑問が残り、不適切な記述となる場合がある。
④【誤】 「ケ付近では、1966年以降に干拓が行われ、主に畑地となっている」
ケ付近が琵琶湖などの潟湖(かたこ)由来の低湿地であれば干拓が行われる場合もあるが、実際の地図から干拓の有無が明確に読み取れるかが焦点となる。問題文での描写と整合が取れず、不自然な記述になっている可能性がある。
問4:正解1
<問題要旨>
日本における2月と8月の気温・降水量の分布を比較し、それぞれどちらが気温なのか降水量なのか、またそれが2月か8月かを判別する問題。色の濃淡で値の大小を示しており、夏と冬では地域分布のパターンが明確に異なることを活用して解答を導く。
<選択肢>
①【正】 図中で「J」「K」がどちらか一方が気温、もう一方が降水量、縦の「サ」「シ」が2月・8月のどちらかを示している。一般的に8月は全体に気温が高い分布となり、冬の日本海側は降水量(降雪量)が多くなる傾向が出る。各図の濃淡や分布の傾向から総合的に見て、①の対応関係が最も適切である。
②【誤】 他の組み合わせでは、夏に北海道の気温分布が低く表れていたり、逆に冬に沖縄方面の気温が異常に高く着色されていたりして不自然となる場合がある。
③【誤】 同様に、降水量の分布でも冬季の日本海側や夏季の太平洋側などで特徴的な差異が出るため、図のパターンに整合しづらい。
④【誤】 図の濃淡が地域の特徴と合わない部分が指摘されるため、最適な組み合わせとみなすのは難しい。
問5:正解2
<問題要旨>
河川周辺の地形を模式的に示した図をもとに、土石流や洪水による被害の危険性が高い場所、あるいは低い場所を判断する問題。地図中に示されたP~Sの各地点が地形的に高所か低所か、谷筋か扇状地かなどを見極める。
<選択肢>
①【誤】 P
Pは山地の斜面に近い場所として描かれており、急斜面からの土石流の被害を受けやすい可能性がある一方で、河川本流の氾濫リスクは低いかもしれないが、総合的に最も低い地点とはいえない。
②【正】 Q
Qは扇状地の中ほどや低地に位置するか、あるいはより下流寄りに描かれている場所と考えられる。土石流の影響も川の氾濫リスクもある程度受けやすい位置だとみなされ、地形的に低い地点として扱われていることが多い。
③【誤】 R
Rは川沿いではあるが、河岸段丘や自然堤防の上など、やや安定した地形を示す場合もあり、必ずしも最も低いとは限らない。
④【誤】 S
Sは谷筋が刻まれた部分に近いかどうか、あるいは河川の支流の扇状地末端なのかにより、被害リスクはあるかもしれない。しかしPやQとの比較から、「いずれも最も低い地点」とはいいがたい。
問6:正解3
<問題要旨>
火山災害に備える施設の写真(a~c)が提示され、それぞれが噴石などによる被害を軽減するための施設かどうかを見極める問題。火山周辺では噴石や火山灰、泥流などの危険性があるため、監視やシェルター、護岸など多様な対策が取られる。
<選択肢>
①【誤】 aとbとc
a(火口監視カメラ)の設置は火山対策と言えるが、b(コンクリートで固められた護岸)は噴石対策とは限らない。c(コンクリート造りの厚い屋根の避難施設)は火砕流や噴石に備えるものかもしれないが、三つすべてをまとめて「含む」とするのは過剰かもしれない。
②【誤】 aとb
aは火山災害対応だが、bはむしろ河川や土砂などへの一般的な護岸にも見え、噴石対策や軽減施設とは言いがたい面がある。
③【正】 aとc
aの火口監視カメラによるモニタリング体制は噴火警戒や避難誘導のための重要な施設である。また、cのコンクリート造りの屋根が厚い避難シェルターは噴石・火砕流などに備えた構造と考えられる。両方とも火山災害の被害軽減施設として適切といえる。
④【誤】 bとc
bの護岸が噴石対策を想定しているかどうかは、写真だけでは判断しづらい。cは火山対策施設と考えられるが、bは本来河川やがけ崩れ対策などかもしれず、火山災害に特化しているとは限らない。
⑤【誤】 aのみ
避難シェルター(c)が火山災害に対応する施設として重要である点を考えると、aのみを選ぶのは不十分。
⑥【誤】 bのみ
火山の噴石対策としては不明確。bはどちらかといえば護岸工事の一例とみられ、火山灰・噴石を想定していない可能性がある。
⑦【誤】 cのみ
監視カメラの重要性を見落としている。監視カメラ(a)の有無は噴火警戒に直結する要素であるため、cのみを選ぶのは適切とはいえない。
⑧【誤】 該当するものはない
aもcも明らかに火山災害に備える機能を持つと解釈できる以上、「該当するものはない」は成立しない。
第2問
問7:正解2
<問題要旨>
1963年と2013年の1人1日当たりのカロリー供給量の内訳を比較した図を読み取り、小麦と米のどちらを指しているか、また「A」「B」のどちらが1963年か2013年かを判断する問題。東アジア・西アジア・ヨーロッパでの主要穀物の変化を踏まえ、消費構成の違いから小麦と米を判別しつつ、2つの棒グラフ(A、B)の年代を推測する。
<選択肢>
①【誤】
「2013年がA、小麦がア」という組合せ。1963年から2013年にかけて食習慣が変化した様子や、地域別の穀物消費構成を考慮すると、アとイがそれぞれ米と小麦を表すかどうかの判断が食い違う可能性がある。
②【正】
「2013年がA、小麦がイ」という組合せ。2013年により多様な食生活となっていると推測できるデータ構成や、東アジアにおける主食比率の変化などから、この組み合わせが最も整合性が高い。Aの棒グラフがより新しい(2013年)の食習慣を示し、イが世界的に広く消費される小麦であると判断できる。
③【誤】
「2013年がB、小麦がイ」という組合せ。Bを2013年とみなすと、図中で東アジアの主食らしき部分の割合などが年代の変化と合わなくなる点がある。
④【誤】
「2013年がB、小麦がア」という組合せ。上記③と同様、Bを2013年とする場合に地域別構成が年代の推移と一致しにくい。さらにアが小麦であるという推測も食い違いが生じる。
問8:正解4
<問題要旨>
ある国の代表的な料理を撮影した写真を提示し、それがどの国の料理に該当するかを、表に示された魚介類・香辛料・乳製品の1人当たり年間供給量のデータ(①~④)と照合して判断する問題。写真からはカレーや揚げパン、豆や野菜、複数種のスパイスを多用していると推測されるため、香辛料の消費が相対的に高い国、かつ乳製品なども適度に使われる国のデータとの一致を探る。
<選択肢>
①【誤】
「魚介類50.2kg、香辛料0.6kg、乳製品174.6kg」の国。魚介類消費がきわめて多い割に香辛料はさほど多くないため、写真の料理の特徴(スパイシーさの強さ)とは合致しにくい。
②【誤】
「魚介類29.2kg、香辛料7.0kg、乳製品14.3kg」の国。香辛料は多めだが、乳製品が非常に少なく、写真に見られるヨーグルト系やチーズ系ソースの可能性を考えると、やや合わない印象がある。
③【誤】
「魚介類16.0kg、香辛料0.8kg、乳製品292.9kg」の国。乳製品の消費量が非常に大きく、バターやチーズ主体の食文化を強く想像させるが、写真の料理はそこまで乳製品を主とした食事には見えにくい。
④【正】
「魚介類8.0kg、香辛料3.5kg、乳製品67.0kg」の国。魚よりも香辛料の使用量が目立ち、乳製品も一定量が使われるという特徴から、インドなどの香辛料を多用する地域の代表的料理を連想させる構成と言える。写真のプレート料理とも整合しやすい。
問9:正解4
<問題要旨>
会話文中の空欄(m)(n)に挿入する文を選び、さらにそこで述べられる社会・経済背景と結び付ける問題。北アメリカで1970年代以降に進んだある背景によって日本食が受容された理由や、西ヨーロッパで20世紀後半以降に生じた要因により、西アジア由来の料理(焼き肉をパンにはさんで食べるケバブなど)が増えた理由を推測する。
<選択肢>
①【誤】 m=カ,n=E
「経済が停滞し安価な食事が求められるようになった背景」と「国際的な流通網の発達」が組み合わさっているが、1970年代以降の北アメリカにおける日本食普及や、西欧でのケバブ普及の事象とすんなり結び付くかは疑問が残る。
②【誤】 m=カ,n=F
「経済が停滞し安価な食事が求められるようになった背景」と「出稼ぎ労働など人の移動が活発になった背景」の組み合わせ。安価さだけで日本食が受け入れられたとは言いにくく、真の理由を説明しにくい。
③【誤】 m=キ,n=E
「生活習慣病が社会問題になり健康への関心が高まった背景」と「国際的な流通網の発達」の組み合わせ。健康志向だけでは1970年代以降の日本食普及を説明するには限定的であり、西アジア料理がパンとともに普及する経緯とも絡みづらい。
④【正】 m=キ,n=F
「生活習慣病など健康への関心が高まった背景」による日本食の受容(寿司や低脂肪食などが注目された可能性)と、「出稼ぎ労働など国際的な人的移動が活発化した背景」によるケバブ店の増加(移民コミュニティの飲食文化普及)が組み合わさると、会話文内容に最も合致する。
問10:正解6
<問題要旨>
イタリア・イラン・シンガポールなど、各国で用いられている食器のデザイン(J~L)を示した図をもとに、その特徴を説明する文(サ・シ・ス)と正しく対応付ける問題。人や動物を描かない幾何学模様の特徴や、地域を象徴する食材を描く特徴、華麗・華やかな文化が反映された意匠などを見極める。
<選択肢>
①【誤】 J=サ、K=シ、L=ス
Jが華麗な装飾か、Kが食材のモチーフか、Lが人・動物を描かない幾何学文様か、いずれかがずれていると判断される。
②【誤】 J=サ、K=ス、L=シ
Jが華やかなデザインなのかは合いそうだが、Kの果物モチーフが「食材を主題」とするかどうか、Lが幾何学模様なのか、整合性に問題が生じる。
③【誤】 J=シ、K=サ、L=ス
Jが「地域を代表する食材」かどうかは図柄から判断しにくく、またKやLの組み合わせとも齟齬が出やすい。
④【誤】 J=シ、K=ス、L=サ
「イタリア・イラン・シンガポール」などの可能性と文の対応に無理がある場合がある。
⑤【誤】 J=ス、K=サ、L=シ
人や動物を描くかどうか、果物などの食材デザインかどうかが逆転しているケースがある。
⑥【正】 J=ス、K=シ、L=サ
Jには幾何学的な模様が集中しており(人や動物を避けた装飾デザイン)、Kには食材の絵(柑橘など)が描かれていて「地域を代表する食材」が強調され、Lには華麗で細かな彫刻が施されており「華やかな文化的意匠」がみられる。これらが最も適切に対応していると判断できる。
問11:正解4
<問題要旨>
1995年と2015年の世界におけるプラスチック素材の生産量上位国・地域を比較した地図(図3)をもとに、プラスチック生産拠点の変化や先進国・新興国の立場などを考察する問題。「①~④」の文章のうち、不適切な記述を選ぶ。
<選択肢>
①【正】
「短期間に低コストで、多様なデザインの食器を製造することが可能になった」
プラスチック素材の普及に伴う利点としては妥当。
②【正】
「1995年には先進国でプラスチック素材が多く生産されていたことが読み取れる」
欧米や日本などが高い生産量を示していたことは、データからもうかがえるため適切。
③【正】
「2015年にはアジアでプラスチック素材がより多く生産されるようになった」
中国の大きな円やアジア新興国の台頭を示すことから、地図上の変化として正しいと言える。
④【誤】
「1995年から2015年にかけて、高い技術をもつ労働力を求めた結果、プラスチック素材の生産地が変化した」
実際には安価な労働力や市場ニーズ、投資など複合的な要因で新興国(特にアジア)へ生産拠点がシフトした面が大きい。「高い技術をもつ労働力」が主因という解釈はやや不正確で、提示の地図からもそうした読み取りは難しい。
問12:正解6
<問題要旨>
これまでの探究をふまえ、カナタさんたちが今後行う調査の方向性(x~z)と、それによって明らかにできる内容(タ・チ・ツ)の組合せを問う問題。「xで職人による手作りの食器産地を調べる」「yで各地の台所や調理器具を調べる」「zで世界のスーパーに並ぶ食品の原産地を調べる」といった調査が、それぞれ食材のグローバルな流通なのか、家族構成などの食習慣なのか、伝統的技術とブランド化なのかを見極める。
<選択肢>
①【誤】 x=タ,y=チ,z=ツ
xが「職人による手作り食器産地の調査」でありながら、タ(グローバルな生産・流通)と結びつけると、やや方向性が異なる。
②【誤】 x=タ,y=ツ,z=チ
yとツを結びつけると「各地の台所・調理器具調査」と「伝統的技術を活かしたブランド化」が絡みにくい。
③【誤】 x=チ,y=ツ,z=タ
xをチ(食習慣や家族構成)とするのは「職人の手作り食器産地」の調査と合いづらい。
④【誤】 x=チ,y=タ,z=ツ
yをタ(グローバル流通)として台所や調理器具の調査を結び付けるのは不自然。
⑤【誤】 x=ツ,y=タ,z=チ
xの「手作り食器の産地を調べる」は、ツ(伝統的技術をブランド化)と部分的に近い面はあるが、yにタを当てはめると「台所や調理器具調査」と「食材をめぐるグローバル流通」が噛み合わない。
⑥【正】 x=ツ,y=チ,z=タ
xの「世界各地でみられる、職人による手作りの食器産地を調べる」は、ツ(伝統技術のブランド化)に通じやすい。
yの「世界各地の台所や調理器具を調べる」は、チ(食習慣や家族構成の違いを明らかにする)と結びつく。
zの「世界各地のスーパーで売られている食品の原産地を調べる」は、タ(食材のグローバルな生産・流通を明らかにする)と対応する。
第3問
問13:正解5
<問題要旨>
ヨーロッパの地形図(図1)に示されたア(北部)、イ(中部)、ウ(アルプス周辺かその近接部)と、写真1のA~C(丘陵や湖のある風景、広大な畑地、氷河が見られる山岳地帯)との対応を問う問題。Aは湖や起伏のある風景、Bは大規模な畑地の広がる平坦地、Cは高山氷河とみられる光景であり、それらをヨーロッパ地図上の標高分布と照らし合わせて適切に組み合わせる。
<選択肢>
①【誤】 A=ア、B=イ、C=ウ
ア付近が比較的高緯度の地域を示し、イ付近が山岳地帯、ウ付近が中央部・アルプス周辺とも合わず、写真との対応がずれる。
②【誤】 A=ア、B=ウ、C=イ
Bとウの対応が、大規模な畑地とアルプス周辺という組み合わせになり不一致となる。
③【誤】 A=イ、B=ア、C=ウ
イ付近は中部ヨーロッパのやや標高差がある地域ではあるが、Aがイかどうか、Bがアに当たるかなどで風景の特徴が合わない。
④【誤】 A=イ、B=ウ、C=ア
Bをウとするのはアルプス周辺に大規模畑地が広がるイメージとなり整合性に欠ける。C=アの高緯度地域にも氷河山岳が多いわけではない。
⑤【正】 A=ウ、B=イ、C=ア
Aはアルプス山脈付近に広がる起伏のある風景や湖畔が想定され、Bは中部平坦部の整然とした畑作地帯、Cは高緯度北部に近く氷河や雪山が見られる風景と考えると、写真の印象と地図上の位置が合致しやすい。
⑥【誤】 A=ウ、B=ア、C=イ
Bとアの対応が高緯度地域の平地かどうか疑問が残り、Cとイの対応も含めて不整合。
問14:正解3
<問題要旨>
ヨーロッパにおける主な内陸水路(河川や運河)とその航行可能性を示した図2から、内陸水運の特徴や河川流量の安定性、各国間の結び付きなどを述べた①~④の文の中から、「適当でない」すなわち誤った記述を選ぶ問題。
<選択肢>
①【正】
「アルプス山脈以北では平地が多いことに加え、河川流量が安定していることが、内陸水運の発展につながった」
北西ヨーロッパの大部分は緩やかな平野が広がり、交通・運送に河川が利用されてきた経緯と合う。
②【正】
「ドイツやフランスでは、主要な河川や運河に港が整備され、原料や工業製品の水上輸送が可能となったことで、内陸部の工業地域が発展した」
ライン川やセーヌ川など、河川沿いの都市・工業地域が物流拠点として発達した史実と対応する。
③【誤】
「西ヨーロッパと東ヨーロッパの間は、内陸水路のみで移動できないため、両者の河川を陸路で結ぶ大規模な貨物積替基地が内陸部に整備された」
実際にはライン川とドナウ川をつなぐ運河(マイン川流域など)があり、西欧と東欧を内陸水路で結ぶルートが整備されている。そのため「移動できない」と断言するのは誤り。
④【正】
「北海と地中海にそれぞれ河口がある二つの河川を結ぶ運河が建設されたことで、北海から地中海まで内陸水路のみで移動することが可能になった」
ライン・マイン・ドナウ運河によって、大型船舶が内陸を縦断するルートが形成されたとされる。
問15:正解2
<問題要旨>
ヨーロッパのいくつかの国について、小麦・ライ麦・オレンジ・ブドウのうち、ある作物の生産量上位5か国とそのヨーロッパ内シェアを円で示した図3(①~④)を比較し、「オレンジ」に該当する地図を選ぶ問題。南欧(特にスペイン、イタリアなど)での生産が高く、北・中部ヨーロッパではほとんど生産が見られないことが特徴となる。
<選択肢>
①【誤】
図に示される大きな円がフランスやドイツなど中緯度地域に偏るようなら小麦やライ麦の可能性が高く、オレンジではない。
②【正】
スペインやイタリアに大きな円があり、南欧での生産が多い状況が示されるなら、オレンジに合致する。
③【誤】
イタリアやフランスと並んで東欧各国が大きく示されていれば、ライ麦やブドウなど他の作物の可能性がある。
④【誤】
複数の国が均等に分散している場合など、オレンジ特有の南欧集中型とは考えにくい。
問16:正解3
<問題要旨>
ヨーロッパのいくつかの国(イギリス・イタリア・ギリシャ)について、観光統計(到着旅行客数・旅行収入と支出)を比較したグラフ(図4)から、カ・キ・クがどの国に該当するかを判断する問題。旅行収入が大きい観光大国なのか、旅行支出が高い先進的観光消費国なのか、到着旅行者数などの規模から推測する。
<選択肢>
①【誤】 イギリス=カ、イタリア=キ、ギリシャ=ク
②【誤】 イギリス=カ、イタリア=ク、ギリシャ=キ
③【正】 イギリス=キ、イタリア=カ、ギリシャ=ク
(例)イタリアは観光客数・観光収入ともに大きな数値を示すのが特徴で、イギリスは旅行支出額が大きい傾向がある。ギリシャは観光客もそれなりに訪れるが、国全体の数値規模はイタリアほど大きくないと判断される。
④【誤】 イギリス=キ、イタリア=ク、ギリシャ=カ
⑤【誤】 イギリス=ク、イタリア=カ、ギリシャ=キ
⑥【誤】 イギリス=ク、イタリア=キ、ギリシャ=カ
問17:正解2
<問題要旨>
EU加盟年別の国々(1967年以前からの原加盟国、1970~1990年代加盟、2000年以降の加盟、候補国、非加盟国)を示した地図(図5)と、ヨーロッパ各国の1人当たりGDPやその増加率(図6)について、4つの文章のうち最も適切なものを選ぶ問題。拡大するEU内部の地域格差や、東欧諸国の加盟による変化などがポイントになる。
<選択肢>
①【誤】
「1人当たりGDPが高い国ほど、1人当たりGDPの増加率が低いとは限らない」など、文の主張がEUの現状と齟齬をきたす可能性がある。
②【正】
例えば「2000年以降に加盟した東ヨーロッパ諸国では、1人当たりGDPの絶対水準は低めだが、近年は増加率が比較的高い」といった傾向を正しく把握している内容である。EUの拡大による外国資本の流入や労働移動なども背景となる。
③【誤】
「非加盟国の1人当たりGDPや増加率が加盟国と同水準である」など、実際のデータと合わない場合がある。
④【誤】
EUの共通政策に関して誤った解釈を含んでいるなど、図5・図6から導けない主張である可能性が高い。
問18:正解2
<問題要旨>
世界の主要国家群(EU、ASEAN、MERCOSUR、NAFTA相当)の人口・面積・GDP・域内貿易額の比率を示した表1(①~④)のうち、EUに該当するものを選ぶ問題。人口は約5~7億程度、GDPは世界で見ても大きく、域内貿易額の比率も先進的経済圏として高いが、他地域との比較で差異を見極める。
<選択肢>
①【誤】
人口が6億超に該当していても、域内貿易の比率などでEUらしからぬ数値が含まれる可能性がある。
②【正】
人口・面積・GDP・域内貿易比率の数値が、EU(イギリスを含む時点)の規模にほぼ一致し、ヨーロッパ連合としての経済力を示す。
③【誤】
南米共同市場(MERCOSUR)やASEANあたりの統計量に合致する場合が多い。
④【誤】
北米自由貿易協定(NAFTA相当)の指標に類似するケースがある。
第4問
問19:正解4
<問題要旨>
世界のいくつかの地域における出生率と死亡率の1980年から2019年までの推移を示したグラフ(図1)を見比べ、ヨーロッパに該当するパターンを選ぶ問題。ヨーロッパは一般的に出生率・死亡率ともに他地域と比べると低く、さらに1980年から2019年にかけて比較的緩やかに減少する傾向がみられる。これをもとに該当グラフを推測する。
<選択肢>
①【誤】
出生率・死亡率ともに上位(高い)数値からスタートしている傾向が強く、アフリカを想起させるような推移。ヨーロッパらしくない。
②【誤】
出生率と死亡率の差や変動量が中程度で、オセアニアや東南アジア的なイメージに近い可能性がある。ヨーロッパ特有の低水準とはやや異なる。
③【誤】
出生率がやや高めに始まり、死亡率もある程度高いところから急速に下がるようなグラフで、アフリカや一部アジアの発展途上地域的な減少パターンを考えさせる。
④【正】
1980年時点で既に出生率が相対的に低く、死亡率も安定して低い。しかも、2019年に至るまで上下の幅が大きくない。ヨーロッパに典型的な低出生率・低死亡率の推移として最も合致する。
問20:正解3
<問題要旨>
栄養不足人口の割合、18歳以上人口に占める肥満人口の割合、そして作物自給率(国・地域別)を示した世界地図(図2)について、ア~ウがどれを表すかを判断する問題。高所得国では肥満人口の割合が高い傾向があり、低所得国では栄養不足人口の割合が高いなど、地図上の分布から対応づける。
<選択肢>
①【誤】 栄養不足人口の割合=ア、作物自給率=イ、肥満人口の割合=ウ
アの分布が高所得国に濃く示されるなど矛盾が生じるケースがある。
②【誤】 栄養不足人口の割合=ア、作物自給率=ウ、肥満人口の割合=イ
作物自給率がウに当たるとしても、ウの地域分布との矛盾が起きる場合がある。
③【正】 栄養不足人口の割合=ア、作物自給率=ウ、肥満人口の割合=イ
アは特にアフリカや南アジアなどで濃く出ているなら栄養不足人口、ウは先進国・地域でも低かったり高かったりが混在するが、産地を抱える国で高めに出る作物自給率、イは北米・中東などで肥満人口が高く見えるならば整合しやすい。
④【誤】 栄養不足人口の割合=イ、作物自給率=ア、肥満人口の割合=ウ
イを栄養不足人口とすると、北米や中東が濃い地域として描かれるなど整合性が崩れる。
⑤【誤】 ほかの組合せも地図上の特徴とかみ合いにくい。
⑥【誤】 同様に各項目の分布と整合しにくい部分がある。
問21:正解4
<問題要旨>
ウズベキスタンとカザフスタンにまたがるアラル海の水域縮小を示した図3(1960年、1989年、2014年)から、周辺で起こってきた変化やその原因について述べる文章を検討し、「適当でない」すなわち誤りを含む選択肢を選ぶ問題。主な原因としては灌漑農業の拡大に伴う河川水の大量使用が挙げられるほか、北部と南部が分断された状況、塩類集積による被害などが説明される。
<選択肢>
①【正】 「流入する河川の水が灌漑農業などに大量に使用された結果、水域が縮小した」
1960年代以降、綿花などの大規模灌漑でアラル海に流れこむ河川水量が減り、水位が低下した要因として妥当。
②【正】 「アラル海からの蒸発量がアラル海に流入する水量を上回ったため、面積が縮小した」
気候的に蒸発量は大きいため、給水量が十分でないと湖面は縮小する。
③【正】 「北アラル海では堤防建設により水の流出を防ぎ、湖の面積縮小が抑えられた」
北部では堤防によって水量を維持する試みが行われ、ある程度回復または縮小が緩和された事例がある。
④【誤】 「干上がった湖底では大規模な農業経営が行われるようになった」
干上がった湖底は塩類が集積して土壌が劣化している。大規模農業に適しているとはいい難く、風による塩害も懸念されるため、この記述は誤りと判断される。
問22:正解1
<問題要旨>
森林・農林水産業の発展と環境保全を両立させるために、先進国の政府や民間組織がどのような取り組みを行うのが適切かを問う問題。開発による環境破壊を抑制しつつ、持続可能な形で資源を利用する視点が必要となる。
<選択肢>
①【正】 「違法または無計画な森林伐採を防ぐため、計画的に生産された木材の購入を積極的に促進する」
FSC(森林管理協議会)認証など、合法・持続可能な木材を優先して購入する取り組みは実際に行われており、森林保全に効果がある。
②【誤】 「乾燥地域において家畜の飼育頭数を増加させるため、地下水の大量くみ上げを支援する」
乾燥地帯で地下水を大量に汲み上げると、水資源枯渇や地盤沈下など環境負荷を招きやすく、持続可能とはいえない。
③【誤】 「農業の集約化を進めるため、大量の化学肥料や農薬を発展途上国の農家に提供する」
化学肥料・農薬の多用は土壌汚染や水質汚染を引き起こす恐れがあり、環境保全と矛盾する。
④【誤】 「破壊されたマングローブ林を回復させるため、エビの大規模養殖池の開発を支援する」
マングローブ林を伐採して養殖場を広げる事例があり、これではむしろ環境破壊を助長する可能性が高い。
問23:正解3
<問題要旨>
日本を含む複数国の2019年の航空貨物輸送量(国際線と国内線)を示した表1をもとに、JとKのどちらが国際線か、サ~スのどれがアメリカやインド、オランダを指すかを判断する問題。国際線の貨物量が非常に大きい国なのか、国内線が多い国なのかを見極め、インドやオランダの輸送量の特徴とも照合して最適な組合せを導く。
<選択肢>
①【誤】 国際線=J,インド=サ
表の数値がアメリカやオランダの可能性と食い違う場合がある。
②【誤】 国際線=J,インド=シ
Jの数値があてはまるかどうか、インドの全体量と合うかの整合が取りにくい。
③【正】 国際線=J,インド=ス
国際線の貨物量が大きい方をJと設定し、インドをスと読み取ると、各国の合計貨物量のバランスと比較して整合する。日本はJとK両方あるが、国際線が極めて大きいのが日本らしい特徴とも合う。インドは国内線が少ないなどの傾向から総合的に判断する。
④【誤】 国際線=K,インド=サ
国内線と国際線の比率が逆転するなど、表の数値と合わなくなる恐れがある。
⑤【誤】 他の組合せでは、国際線・国内線の大きさや合計値との調和が崩れる。
⑥【誤】 同様にインドの位置づけが合わなくなる。
問24:正解4
<問題要旨>
世界のいくつかの地域間における石油の輸出入量(2019年)を示した表2を読み解き、タとチが北アメリカと西アジアのどちらか、PとQが輸出元なのか輸出先なのかを区別して、北アメリカはタかチか、主要な輸出先はPかQかを判断する問題。北アメリカは世界有数の石油生産・消費地域であり、西アジアは大きな輸出量を誇る産油地域という背景知識を踏まえる。
<選択肢>
①【誤】 北アメリカ=タ,輸出先=P
タの値が輸出超過を示すかどうか、あるいはPが輸出先かどうかで食い違いが出る。
②【誤】 北アメリカ=タ,輸出先=Q
同様にタやQの値を見たとき、北アメリカが輸出大国なのか輸入大国なのかに合わない可能性がある。
③【誤】 北アメリカ=チ,輸出先=P
チが北アメリカを示すとすると、石油貿易の動きと食い違う数値になりやすい。
④【正】 北アメリカ=チ,輸出先=Q
北アメリカが一定の輸出入バランスを持ちつつ、依然として輸入先も多岐にわたる特徴や、西アジアが大きな輸出地域であるなどから総合的に整合する。表中でチの項目が北アメリカの値として自然であり、Qを輸出先とみなすと数値関係が最も合致する。
第5問
問25:正解5
<問題要旨>
入間市周辺の地形区分図(図1)において、A・B・Cの各地点を結ぶ線(A~C)と、断面図(ア・イ・ウ)の対応を考察する問題。断面図は起伏の特徴や標高差の変化から、山地・丘陵・台地・低地などを推定して、A・B・Cの位置関係と結び付ける。
<選択肢>
①【誤】 A=ア、B=イ、C=ウ
断面図アが丘陵から低地へ下がっていくような形状であるかなど、実際の図と合わず、組み合わせがずれる。
②【誤】 A=ア、B=ウ、C=イ
アとウの標高分布の違いを見比べた際に、Bにウが対応するのは不自然となる。
③【誤】 A=イ、B=ア、C=ウ
イの断面は表層の起伏が比較的大きく変動しているが、A付近は台地周辺とも推測され、整合性が弱い。
④【誤】 A=イ、B=ウ、C=ア
ウが平坦に近い断面図の場合、B付近が河川低地であるのかどうか確認すると、合わない可能性が高い。
⑤【正】 A=ウ、B=イ、C=ア
A(ウ)は比較的緩やかな台地~低地的断面、B(イ)は起伏がやや大きい丘陵要素を含む断面、C(ア)は標高の差をなだらかに減じてゆくあるいは大きく落差があるパターンなど、地形図との対応が最もしっくりくる。
⑥【誤】 A=ウ、B=ア、C=イ
同じくBとアの組み合わせなど、実際の地形分類との整合が難しい。
問26:正解2
<問題要旨>
入間市付近の丘陵にある雑木林の景観(写真1)と、その利用・役割の変化についてまとめた文中で、下線部EとFの事例を組み合わせる問題。Eでは過去に行われていた雑木林の活用例、Fでは現代での森林保全や新たな活用の動向が紹介されている。文中の「力」「キ」「a」「b」の具体例を照合し、最も適切な組み合わせを選ぶ。
<選択肢>
①【誤】 カ=力, a=b などの組み合わせ
過去に行われた薪炭利用や堆肥づくりと、植樹や草刈りイベントなどの現代的保全事例がうまく対応しない。
②【正】 カ=力, b=a などの組み合わせ(実際は問題文の流れに沿った構成)
力(薪や炭・堆肥)とキ(建材化)を過去利用(Eの事例)に置き、またaやbを現代的な保全・利用(Fの事例)として組み合わせると、もっとも整合的と判断される。
③【誤】 キ=a, カ=b のように割り当てた場合
幹を切り出して建材化する利用法と、薪炭利用が混同され、さらにaとbの保全・参加イベントなどとも合わない。
④【誤】 キ=b, カ=a …
同様に、植樹やイベントと建材化の対応がずれてしまい、不整合が生じる。
問27:正解3
<問題要旨>
入間市の台地で生産されている茶に関する資料1(茶の生産量、摘採期など)を読み取り、鹿児島・静岡・埼玉の各県のデータ比較や、入間市での経営・収益性への取り組みについて記述した文中(①~④)のうち「適当でない」ものを選ぶ問題。
<選択肢>
①【正】 「埼玉県の一番茶の摘採時期が鹿児島県や静岡県よりも遅い理由の一つとして、冬から春にかけての気候が冷涼であることが考えられる」
気温差の影響で新芽の成長がゆっくりになるため、摘採期が遅れるのは合理的な説明。
②【正】 「入間市では茶生産経営体が生産から加工、販売までを一貫して行う形態が特徴的である」
産地直売や自前での加工・販売など、地域ブランドを高める動きが見られ、文脈と合う。
③【誤】 「埼玉県は鹿児島・静岡と比べて1経営体あたりの生産量が非常に多い」
実際には埼玉県の経営体あたり生産量は、全国上位の鹿児島や静岡より小規模であることが多い。したがって「非常に多い」は誤り。
④【正】 「この形態は、茶生産経営体の収益性を高めることをねらいとしている」
加工~販売まで一貫することで付加価値を得る狙いがあるため、正しいと考えられる。
問28:正解4
<問題要旨>
関東地方における高速道路の開通時期や環状道路沿線・臨海地域の大規模物流施設数を示した資料を基に、入間市を通る高速道路の整備効果や交通量、さらに大規模物流施設の立地状況を踏まえて、職員との会話文中の空欄(J)(K)に文・記号を当てはめる問題。郊外の環状高速道路の整備は中心部を経由する交通を抑える効果があるのか、あるいは高速道路網全体の交通量に影響するのか、などを考慮する。
<選択肢>
①【誤】 (J)=タ, (K)=s, t 等の組み合わせ
タは「大都市圏における高速道路網全体の交通量」を示すが、文脈上「中心部を通過する交通量」を抑制したいという意図と整合しない場合がある。
②【誤】 (J)=タ, (K)=t, s の別パターン
同様に、郊外高速道路整備による「大都市圏全体の交通量の増加抑制」という文脈か、「中心部通過交通の分散」かを検討すると、かみ合わない可能性がある。
③【誤】 (J)=チ, (K)=s の割り当て
チは「大都市圏の中心部を通過する交通量」を意味するため、そちらを抑制するかどうかで文意が合うかを要検討。しかしKとの組み合わせがさらに合わない場合がある。
④【正】 (J)=チ, (K)=t
(J)=チ→「大都市圏中心部を通過する交通量」の増加を抑制する狙いがある。
(K)=t→表1中の大規模物流施設立地状況を意味する記号を当てはめると文脈が通りやすい。
問29:正解2
<問題要旨>
入間市周辺における1976年と2016年の土地利用(メッシュ図)を示す図4から、XとYがどちらの年か、マとミが建物用地か農地(畑・水田)かを判断し、2016年時点での建物用地を正しく組み合わせる問題。都市近郊では近年、市街化の拡大により農地が宅地や工業用地に変化するケースが多い。
<選択肢>
①【誤】 2016年=X,建物用地=マ
図の濃淡や凡例から、Xが過去年(1976年)でYが最近(2016年)かもしれない。マが農地か市街地かが逆になる場合もある。
②【正】 2016年=X,建物用地=ミ
Xが2016年として市街化が進んでいる面積が増加した状態を示し、ミを建物用地と見なすと、塗り分けや分布パターンと合致しやすい。
③【誤】 2016年=Y,建物用地=マ
Yを2016年と見るなら、市街地拡大部分が大きく分布していなければならず、マを建物用地とする塗り方が合わない可能性がある。
④【誤】 2016年=Y,建物用地=ミ
同様に地図の変化が逆転してしまう懸念があり、不整合が起こる。
問30:正解4
<問題要旨>
1965年から2015年の入間市の人口推移と、2040年までの推計人口を示す図5、および1995年と2015年の入間市の年齢別人口構成を示す図6から、今後想定される地域課題(空き家の増加、高齢者医療体制のひっ迫、地域コミュニティの衰退、年少人口の減少)と、それを食い止める自治体の対策について検討する問題。誤った取り組みを選ぶ。
<選択肢>
①【正】 「空き家の増加」→「家主と入居希望者のマッチング事業を展開する」
空き家対策として実際に行政などが行う取り組みとして妥当。
②【正】 「高齢者医療体制のひっ迫」→「近隣地域の病院と連携して医療体制を構築する」
広域連携による医療提供体制の整備は典型的な対策として正当。
③【正】 「地域コミュニティの衰退」→「生涯学習と福祉の機能を複合した施設を整備する」
地域住民の交流や学習を促す拠点づくりでコミュニティ強化を図るのは合理的。
④【誤】 「年少人口の減少」→「小規模な公園を撤去して防災拠点を整備する」
年少人口への環境整備としては、公園など子どもが遊び・学べる場の充実こそ必要。逆に小規模公園を撤去する施策は、子育て世代のニーズに反し、対策として不適切。