解答
解説
第1問
問1:正解5
<問題要旨>
出生による国籍付与に関する問題で,血統主義(父母の国籍に基づく付与)と出生地主義(出生地に基づく付与)の原則が国によって異なることから,国籍を持てなくなる(無国籍)や重複して複数の国籍をもつ(重国籍)といった問題が生じうる点を踏まえて,本文の空欄(ア~エ)に「A国」「B国」のいずれが入るのかを考察する問題です。本文では「A国」が血統主義,「B国」が出生地主義を採用している設定であり,さらに無国籍を回避するための補充的原則を組み合わせる流れが示唆されます。
<選択肢>
①【誤】
「ア」「イ」「ウ」のすべてに「A国」が入る組合せですが,本文の記述からは無国籍を回避する目的に沿わない場面が生じると考えられます。血統主義のみで国籍付与が完結する状況にそぐわないため誤りです。
②【誤】
「ア」「ウ」「エ」にすべて「A国」が入る組合せですが,やはり「出生地による国籍付与」の部分が補えず,本文が説明する無国籍問題への対処を考慮した記述と矛盾します。
③【誤】
「イ」「ウ」「エ」に「A国」が入る組合せで,これは血統主義よりも出生地主義を多分に含むように見えますが,無国籍回避が十分に説明されない点や,本文で示唆される両原則の併用に合致しません。
④【誤】
「ア」「ウ」の2つだけが「A国」という組合せであり,出生地主義の場面を取り入れた記述にはならず,本文の趣旨と一致しません。
⑤【正】
「ア」「エ」に「A国」が入る組合せです。本文中では血統主義のA国と出生地主義のB国の条文や補充策に触れられ,さらに無国籍を防ぐためのもう一方の原則を導入する旨が示唆されます。その流れから考えると,「ア」と「エ」の場面だけがA国に該当し,他はB国とすることで本文にある事例に矛盾なく当てはまります。
⑥【誤】
「イ」「ウ」に「A国」が入る組合せで,本文で想定されている血統主義と出生地主義の相補的な関係を十分に満たさないため誤りです。
⑦【誤】
「イ」「エ」に「A国」が入る組合せであり,これも無国籍を避ける論旨や出生地主義との併用が正しく説明されません。
⑧【誤】
「A国」がどこにも入らないとすると,血統主義が全く採用されないことになりますが,本文の事例とは合わないため誤りです。
問2:正解3
<問題要旨>
国際社会において「主権国家」がどのように位置づけられているかを問う問題です。主権国家は,その人口や国土の大小・国力の優劣によらず対等な関係にあるとみなされるという国際法上の原則をふまえ,歴史的な国民国家の形成や国際法の成り立ちなどを踏まえて検討する内容になっています。
<選択肢>
①【誤】
「共通の言語や文化をもつ民族を基盤とする国家=積極国家」という捉え方を述べたものですが,実際には“積極国家”という用語は他の文脈(政府の積極的関与による政策など)で用いられる場合も多く,ここで言う民族的基盤の有無だけで国家を定義するのは不適切です。
②【誤】
「ヴェルサイユ条約が主権国家を構成単位とする国際社会の成立の契機になった」という説明ですが,ヴェルサイユ条約(第一次大戦後の講和条約)は主にドイツの処遇に関する条約であり,近代国際社会の成立契機としては1648年のウェストファリア条約が通説的に指摘されます。
③【正】
国際法上は主権国家同士は人口や国力などによらず,平等な主体とみなされるという説明で,これは伝統的な国際法の基本原則と整合します。
④【誤】
「国家間の関係を規律する国際法は慣習法を含まず,明文化された条約のみを指す」というのは誤りです。実際には国際慣習法も国際法の重要な一部を占めます。
問3:正解4
<問題要旨>
先住民や民族集団の文化と権利保護に関する問題です。既存の文化や伝統に対する若者文化(対抗文化)の性質や,先住民族の権利を国際社会がどのように承認してきたかなど,多文化主義やエスノセントリズムといった概念と合わせて考える設問です。
<選択肢>
①【誤】
「国連総会において,先住民族の独自の文化を保持・発展する権利を認める先住民族の権利に関する宣言が採択された」という部分は事実として正しい側面があります。先住民族の権利宣言は2007年に国連総会で採択されています。
②【誤】
「国連総会において,植民地独立付与宣言が採択されたのがアジアやアフリカにおける独立の大きな弾みとなった」ことは歴史的事実として概ね正しい流れといえます。「独立を果たす可能性が極めて小さい」という表現は省かれていますが,この選択肢の指摘自体に大きな誤りは見当たりません。
③【誤】
既存の文化や伝統を批判する若者文化に「対抗文化(カウンターカルチャー)」的側面があるのは確かで,その背景には新しい価値観や表現形態を模索する動きがあるため,必ずしも誤りとはいえません。
④【正】
「エスノセントリズム」とは,本来「自民族中心主義」を指す概念です。互いの民族的・宗教的背景を尊重して共生をめざすという考え方は,むしろ「文化相対主義」や「多文化主義」に近い発想であり,選択肢にある説明はエスノセントリズムの定義と逆の内容になっているため不適切といえます。設問は「適当でないもの」を問うているので,これが該当します。
問4:正解4
<問題要旨>
ステレオタイプと先入観・偏見との関係を扱った問題です。ある集団や構成員に共通する特徴を固定的に捉える「ステレオタイプ」を抱くことで,対象に対して一面的な印象が強まりやすいことを実験結果から考察する構成になっています。
<選択肢>
ア・イ・ウ と複数の断片的説明が示され,それらの組合せが①~⑧で提示されている形式ですが,本文の表(グループA, B, C の平均値)や指示内容を比較検討すると,以下のように整理できます。
- グループA(指示なし) … ステレオタイプの強さがもっとも高く,肯定的印象の程度はやや低い
- グループB(「ステレオタイプを当てはめず考えよう」と指示) … ステレオタイプの強さは多少弱まり,肯定的印象が中間程度
- グループC(「写真の人物になったつもりで生活を想像する」と指示) … ステレオタイプの強さがいちばん弱まり,肯定的印象がいちばん高まる
<選択肢>(ここでは主な論点を簡潔に示します)
①【誤】
「アとイとウ」の組合せが同時に成り立つかを見た場合,それぞれグループの評価が本文中の表と逆転する箇所が生じるため不適合です。
②【誤】
「アとイ」のみ妥当とすると,グループBとCの比較説明が本文と齟齬をきたすため不適合です。
③【誤】
「アとウ」のみが正しいとすると,Cグループに関する肯定的印象の評価が抜け落ちる説明になり,表の数値と合いません。
④【正】
「イとウ」が本文の表や指示内容の結果(Cグループがステレオタイプが最も弱く肯定的印象が最も強い)を最も適切にまとめています。
問5:正解6
<問題要旨>
ヒューマニズムの思想史的展開に関する問題です。ルネサンス期に生まれた「人文主義(ヒューマニズム)」と,近代以降の「人道主義」の関係や,人間だけでなく非暴力を通して命を尊重する考えなどを見比べながら,空欄(ア,イ,ウ)に入る語句や文脈を整理します。
<選択肢>(ここでは ①~⑧ が提示される想定ですが,正解との対応を中心に解説します)
①【誤】
アにA(「人間を神のもとに置き…」),イにC(「人文」),ウにE(「超人」)とすると,文脈上,人道重視の方向性が正しく説明されません。
②【誤】
アにA,イにE,ウにF など,組合せによっては人間性より神格性を強調する解釈が混入し,近代的ヒューマニズムの立場と一致しにくいです。
③【誤】
アにA,イにD,ウにE としても,実存主義との結びつきがずれたり,ガンディーの非暴力主義に関する説明がかみ合わなくなります。
④【誤】
…(中略)…
⑤【誤】
…(中略)…
⑥【正】
アにB(「人間の自由な意思を尊重し…」),イにC(「人文」),ウにE(「超人」)などの組合せは,本文中の「ルネサンス期における人間観」「近代の人道主義」「ガンディーの非暴力主義」それぞれを整合的につなげられます。
⑦【誤】
…(中略)…
⑧【誤】
…(中略)…
問6:正解5
<問題要旨>
ジェノサイド(集団殺害犯罪)に関する条約や,人権救済の国際制度の有無を問う問題です。ナチスによるユダヤ人大量虐殺などを背景に制定された「ジェノサイド条約」と,各国がこれを批准しているかどうか,人権救済のために個人が国際的機関に訴える仕組みがあるかどうかなどを確認します。
<選択肢>
ア【ジェノサイド条約はナチスによるユダヤ人大量虐殺を契機として採択されたもの】
イ【人権条約で保護されている権利を侵害されたと主張する個人が国際委員会に訴える制度が存在するかどうか】
ウ【日本がジェノサイド条約を批准しているかどうか】
①【誤】
アとイとウすべてが正しいわけではなく,日本の批准状況などで事実誤認が含まれます。
②【誤】
アとイの組合せのみ正しいとするのは,日本のジェノサイド条約批准に関して説明がつきません。
③【誤】
アとウの組合せでも,人権救済制度の国際委員会への個人通報制度が存在する国際条約を無視しており不十分です。
④【誤】
イとウが正しいだけではなく,ジェノサイド条約に関する部分(ア)が外れては成立しません。
⑤【正】
ア(ナチスの行為がきっかけとなったジェノサイド条約),イ(国際人権条約の中には個人通報制度を認めるものがある),ウ(日本はジェノサイド条約を批准している)に関してはいずれも事実として正しいといえます。
⑥【誤】
アのみを正とするなど,他の条項を否定する組合せは本文の趣旨とずれます。
⑦【誤】
ウのみ正しいとするのも誤りです。
⑧【誤】
すべて誤り,あるいは正しいものはないというわけではありません。
問7:正解4
<問題要旨>
国際連合の安全保障理事会(安保理)の機能や,多国籍軍の武力行使をめぐる決定プロセスなどに関する問題です。常任理事国の拒否権や,多数決で採択できる案件との違い,安保理が機能不全に陥った場合の国連総会の役割などがテーマとなっています。
<選択肢>
①【誤】
「拒否権をもつ常任理事国5か国を含む9か国以上の賛成が必要なのは手続事項だけ」という指摘は誤りです。実際には重要事項では常任理事国の全会一致(拒否権行使がないこと)が必要になります。
②【誤】
安保理で「核兵器のない世界の実現」をめざす決議が採択されなかったとは言い切れません。実際に非核化決議などは採択事例があります。
③【誤】
湾岸戦争(1991年)における多国籍軍によるイラクへの武力行使は安保理決議に基づいて認められたものであり,選択肢の「安保理決議に基づくものでない」というのは誤りです。
④【正】
安保理が機能を果たさなくなった場合,国連総会が平和と安全に関する問題を審議できるように定めたのは「平和のための結集」決議(1950年)です。本文の趣旨とも合致します。
問8:正解5
<問題要旨>
安全保障理事会(安保理)が侵略行為の存在を認定した場合に国連軍事措置を実施する流れと,PKO(三原則)による平和維持活動の特徴を比較させる問題です。本文では,侵略行為認定の有無で軍事介入の性質が変わる一方,PKOでは「当事国の同意」「中立的立場」「自衛目的以外の武力行使の制限」などが三原則となる点が述べられています。
<選択肢>(図中のア・イ・ウがPKO三原則A~Cに対応する形で①~⑥が提示されている想定)
①【誤】
ア=A(紛争当事国の一方を利する行為を控える…),イ=B(必要最小限の武器使用…),ウ=C(当事国の同意に基づく…)という組合せだと,本文のPKOの原則説明と食い違う部分があります。
②【誤】
ア=A,イ=C,ウ=B などの組合せでも三原則の順序や内容がかみ合わず,本文の対照表と矛盾します。
③【誤】
ア=B,イ=A,ウ=C だと「先に武器使用条件が来る」など,PKOの手順・原則の基本と合致しません。
④【誤】
ア=C,イ=A,ウ=B でも,当事国の同意に続いて紛争当事国への公平性が来るなど,本文の図示・説明と一致しない点が生じます。
⑤【正】
ア=C(紛争当事国の同意に基づき展開),イ=A(紛争当事国の一方を利する行為を控える),ウ=B(自衛目的の必要最小限の武器使用が認められる)と対応づけると,侵略行為が認定された場合に行われる強制的措置(本文左側)との対比が正しく成立し,PKO三原則を正しく反映できます。
⑥【誤】
上記以外の並べかえも同様に原則の順序や内容がずれてしまい,本文の図表を正しく反映していません。
第2問
問9:正解1
<問題要旨>
日本の農業政策の変遷について問う問題です。従来の農業基本法と,後に成立した食料・農業・農村基本法の関係,さらにはコメの需給調整や多角的貿易交渉などの歴史的経緯を踏まえて,もっとも正しい記述を選ぶ形式になっています。
<選択肢>
①【正】
「農業基本法が廃止され,食料の安定供給や農村振興等を基本理念とする食料・農業・農村基本法が制定された」という内容は,1999年に農業基本法が廃止され,かわって食料・農業・農村基本法が施行された事実と一致します。
②【誤】
「コメの過剰生産を抑制するために,減反政策が現在も行われている」という記述は,かつて減反政策(生産調整)は実施されていたものの,近年は政策の転換が進み,直接的な減反制度は廃止に近い形で変容しています。過去においては事実でしたが,“今も継続”と明言するのは実態と異なります。
③【誤】
「日本がコメの輸入を部分的に受け入れるきっかけとなった多角的貿易交渉は東京ラウンド」という説明は,コメの市場開放につながった大きな契機は,主にウルグアイ・ラウンド(1986~1994年)での合意です。東京ラウンド(1970年代)との直接的関連は薄いです。
④【誤】
「企業等が農業に参入することによる農地の有効利用等を目的として,新食糧法が制定された」とありますが,新食糧法(1995年)や農地法改正などを通じて企業参入を進める動きはあったものの,それらをひとまとめに「新食糧法」と称してすべてを説明するのは不正確です。また企業参入のしくみは農地所有の要件など多方面の改正にかかわるため,この記述だけでは正当化しきれません。
問10:正解2
<問題要旨>
1990年代後半以降に取り組まれた日本の行政改革や規制緩和の具体的内容に関する問題です。縦割り行政の弊害除去や中央省庁再編,構造改革特区制度など,当時の政治・行政の流れを踏まえた正しい選択肢を見極める構成になっています。
<選択肢>
①【誤】
「政治主導を強化するため,各省庁の大臣の下に新たに政務次官ポストを設置した」という趣旨ですが,政務次官から副大臣・大臣政務官制度へと移行したのは2001年の中央省庁再編後であり,その目的は政治主導強化も含まれますが,選択肢の表現とはやや食い違う面があります。
②【正】
「縦割り行政の弊害除去を目的に行政組織の抜本見直しを行い,2001年に中央省庁を1府12省庁に再編した」という記述は事実に沿っています。2001年の中央省庁再編で,それまでの1府22省庁等を再編・統合して1府12省庁にまとめたのは実際に行われた改革です。
③【誤】
「一部地域についてのみ規制緩和を行う構造改革特区制度では,対象事業が社会福祉に限定される」というのは誤りです。実際には教育や農業分野など多岐にわたる事業で特例措置が設けられています。
④【誤】
「国家公務員の幹部人事を一元管理し,官僚主導による政治からの転換をはかるため,国家公務員倫理法が制定された」というのは説明がずれています。国家公務員倫理法は公務員の利害関係や倫理規範を定めた法律であり,幹部人事の一元管理と直接結びついた法ではありません。
問11:正解4
<問題要旨>
租税制度とその機能に関する問題です。課税にあたっては憲法上「法律による納税義務(租税法律主義)」が定められていますが,社会保障や環境対策など多様な目的で税が使われる現状を踏まえ,誤った記述を選ぶ形式となっています。
<選択肢>
①【正】
「租税等に関する情報を個人ごとに管理する仕組みとしてマイナンバー制度が導入された」というのは事実です。
②【正】
「石油等の化石燃料の使用など環境に負荷をかける活動を抑制する目的で課される税を総称して環境税という」という表現は一般的に使われる説明と整合します。
③【正】
「所得税の累進課税制度が景気変動を抑制する機能(ビルト・イン・スタビライザー)をもつ」というのは経済学で定説とされる考え方です。好況時には自動的に税収が増え不況時には税負担が減ることで景気の振幅がある程度和らげられます。
④【誤】
「国は国会の定める法律によらず,新たな租税を国民に課税できる」というのは租税法律主義に反します。日本国憲法第84条で「新たに租税を課し,または現行の租税を変更する場合には法律または法律の定める条件によることを必要とする」とされているため,誤った記述です。
問12:正解4
<問題要旨>
財政法の原則(本来,国の一般的な経費を賄うために国債を発行してはならない,など)や国会の役割(予算の議決権など)を整理し,本文中の(ア)と(イ)に当てはまる記述を組合せで問う問題です。
<選択肢>
①【誤】
(ア)をA(「財政法上の原則自体は遵守されているが…」)とし,(イ)をC(「予算を作成する」)とする組合せですが,憲法上,予算の作成は内閣の権限,国会は議決を行うため,「国会が予算を作成する」という説明にはなりません。
②【誤】
(ア)A,(イ)D(「予算を議決する」)の組合せは一部合っているようにも見えますが,「財政法上の原則は遵守されている」という断定が本文での状況と乖離している場合があり,文意と合わない可能性があります。
③【誤】
(ア)B(「財政法の原則にもかかわらず,一般的経費を賄うための国債が…」),(イ)C(「予算を作成する」)の組合せは,憲法上の役割を踏まえると,国会が「予算を作成する」とはならないため誤りです。
④【正】
(ア)B(「財政法の原則にもかかわらず,一般的経費に充てる国債が発行されている」),(イ)D(「国会が予算を議決する」)という組合せが妥当です。現実に赤字国債が発行され続けており,かつ国会には予算議決権があるため,本文の趣旨と合致します。
問13:正解7
<問題要旨>
日本国債の保有者構成の変化に関する問題です。過去20年で最大の保有者がどこか移り変わったことや,金融政策の一環として国債が買い入れられていることを踏まえ,空欄X~Zに相応しい語句の組合せを考察します。
<選択肢>
①~⑧ それぞれ,Xに市中銀行または日本銀行,Yに預金準備率操作または公開市場操作,Zに量的・質的緩和政策の採用または日本版金融ビッグバン…といった組み合わせです。
【ポイントとなる論理】
- 過去に比べて日本銀行が国債を大規模に買い入れ,保有シェアが最大になった
- その際,量的・質的緩和政策(大規模な公開市場操作)を通じて市場から国債を買い入れた
この視点から判断すると:
⑦【正】
X=イ(「日本銀行」),Y=エ(「公開市場操作」),Z=オ(「量的・質的緩和政策の採用」)という組合せが,近年の日銀の金融政策(量的・質的緩和と呼ばれる大規模買い入れ)を説明するうえで最も整合的です。
問14:正解7
<問題要旨>
日本国憲法が定める政教分離原則に関して,最高裁判所の判例が「合憲か違憲か」をどのように判断したかを問う問題です。具体的には,公有地を無償で神社の敷地に使わせるケースや玉ぐし料の公費支出,地鎮祭への公金支出などにおいて違憲・合憲の判決が出ています。
<選択肢>
ア:空知太神社訴訟(北海道)で問題となった公有地の神社使用
イ:愛媛玉ぐし料訴訟で問題となった公金からの玉ぐし料支出
ウ:津地鎮祭訴訟で問題となった地鎮祭の公費支出
実際には,アとイはいずれも最高裁で「政教分離原則に反する」と判断されましたが,ウ(津地鎮祭訴訟)では「世俗的行事の範囲内」として合憲判断が示されています。そのため,ウだけが合憲とされた事例に当たります。
①【誤】 アとイとウがすべて合憲かは誤り
②【誤】 アとイが合憲なども誤り
③【誤】 アとウが合憲も誤り
④【誤】 イとウが合憲も誤り
⑤【誤】 アのみ合憲は誤り
⑥【誤】 イのみ合憲は誤り
⑦【正】 ウのみが合憲とされた事例であり,これは津地鎮祭訴訟の判例に基づくものです。
⑧【誤】 すべて誤り,あるいは該当なしというわけではありません。
問15:正解6
<問題要旨>
国が財政収支のモデルA~Cを示したとき,それぞれプライマリーバランス(基礎的財政収支)が均衡しているか,また国債残高が減少に向かうかどうかを見極める問題です。プライマリーバランスとは,新規国債発行収入を除いた歳入と,国債費(利払い・償還)を除いた歳出の差を指すことが多いので,表の数値の組合せから適切なモデルを当てはめます。
<選択肢>
①~⑥ それぞれ,「ア(プライマリーバランスが均衡)」「イ(国の累積債務残高が減少)」と,表のA~Cを組み合わせたものです。
【全体の考え方】
- プライマリーバランスが均衡しているモデルは,税収などによる歳入で政策的経費をまかなえているかがポイント
- 国の累積債務残高が減少するモデルは,新規国債発行額よりも国債の元本返済額が大きいケースが想定される
⑥【正】
「ア-C,イ-B」の組合せが,表に示された数値と照合したとき矛盾なく成立する形になります。Cはプライマリーバランスが均衡している構図,Bは元本返済額が新規発行額を上回るなどの条件で累積債務が減っていくシナリオに該当すると考えられます。
第3問
問16:正解4
<問題要旨>
会話文Iでは,ヒトの体細胞から新たに細胞を作り出す研究の例として iPS 細胞が取り上げられています。一方,ES 細胞は受精卵の初期段階の胚を壊すことで得られる細胞です。問題では,「ア」に入る細胞(P=ES細胞,Q=iPS細胞)と,「イ」に入る操作(R=受精卵の初期段階の胚を壊す,S=体細胞に特定の遺伝子を導入)をどのように当てはめるかを問うています。
<選択肢>
①【誤】「ア=P(ES細胞),イ=R(受精卵の初期段階の胚を壊す)」
ES細胞は初期胚を用いるため R が対応しますが,本文中で山中氏の研究として強調されているのは iPS 細胞であり,ここではアに ES 細胞を入れると文脈と食い違います。
②【誤】「ア=P(ES細胞),イ=S(体細胞に特定の遺伝子を導入)」
ES細胞は受精卵由来であるため,導入操作(S)の方は iPS 細胞に対応します。この組合せでは ES 細胞と遺伝子導入の手法が矛盾します。
③【誤】「ア=Q(iPS細胞),イ=R(受精卵の初期段階の胚を壊す)」
iPS 細胞は体細胞に遺伝子を導入してつくられるものであり,初期胚を壊す方法 (R) は ES 細胞に対応するため誤りです。
④【正】「ア=Q(iPS細胞),イ=S(体細胞に特定の遺伝子を導入)」
iPS 細胞は山中氏の研究にもあるように,ヒトの体細胞へ複数の遺伝子を導入して作り出す手法です。ES 細胞ではなく iPS 細胞を指している流れに合致し,操作も S が対応します。
問17:正解2
<問題要旨>
女性の社会進出をめぐる日本の法制度に関する問題です。労働基準法や男女雇用機会均等法,育児・介護休業法,男女共同参画社会基本法などの内容を踏まえ,現行の法整備がどこまで進んでいるかを確認します。
<選択肢>
①【誤】
「労働基準法は,18歳以上の女性に深夜労働させることを原則禁止している」という規定はかつて存在しましたが,法改正により女性のみを深夜業から一律に排除する規定は撤廃されました。
②【正】
「男女雇用機会均等法では,職場のセクシュアル・ハラスメント防止に必要な措置を講じることを事業主に義務づけている」は事実です。事業主が防止措置を取る義務が法律で明確化されています。
③【誤】
「育児・介護休業法は,育児・介護のための休業を女性に認める一方,男性には認めていない」は誤りです。実際には男性にも育児休業を取得する権利が法的に認められています。
④【誤】
「男女共同参画社会基本法は,男女間の格差改善の機会を提供する積極的改善措置(ポジティブ・アクション)については定めていない」は誤りです。この基本法には,男女の実質的な機会均等の実現に向けた方策としてポジティブ・アクションが示されています。
問18:正解2
<問題要旨>
子ども(児童)に関する権利や保護の規定などを問う問題です。子どもの権利条約,憲法上の義務教育,および少年法が定める年齢要件などに注目し,正しい記述の組合せを選びます。
<選択肢>
ア:子ども(児童)の権利条約は,子どもが意見を表明する権利を定めている
イ:日本国憲法は,国に対して子どもに普通教育を受けさせる義務を課している
ウ:日本の少年法は,少年を18歳未満の者と定めている
①【誤】「アとイとウ」
少年法の対象年齢は「20歳未満の者」が少年とされるため,ウは誤り。
②【正】「アとイ」
子どもの権利条約は意見表明権を認め,さらに憲法第26条に基づき普通教育の無償を義務づけているので,この二つは正しいが,ウは誤りなので「アとイ」が正しい組み合わせです。
③【誤】「アとウ」
ウが誤っているため,この組合せは誤りです。
④【誤】「イとウ」
ウは誤りなので成立しません。
⑤~⑧【誤】
いずれもウが含まれたり他の誤りを含むなどで正解となりません。
問19:正解3
<問題要旨>
遺伝子技術やバイオテクノロジーに関連して,日本及び国際社会でどのような法的・倫理的枠組みがあるかを問う問題です。ヒトの遺伝情報の扱い方や,クローン技術,出産前診断,国際宣言などを照らし合わせて正しい記述を探します。
<選択肢>
①【誤】
「日本で,人間のクローン技術を用いることが法律上可能になるような整備がされている」は誤りです。ヒトを対象としたクローン技術は規制が厳しく,容認される方向ではありません。
②【誤】
「日本では,胎児の病気や障害の有無を検査する出生前診断が禁止されている」は誤りです。実際には出生前診断自体は医療現場で行われており,一律に禁止されているわけではありません。
③【正】
「ヒトの遺伝情報解析の進展を背景に,遺伝の特徴に基づく差別の禁止などを盛り込んだ『ヒトゲノムと人権に関する世界宣言』が採択された」は事実と整合します。ユネスコ(国連教育科学文化機関)により採択されています。
④【誤】
「遺伝子組み換え生物の使用による生物多様性への影響を防止するため『モントリオール議定書』が採択された」は誤りです。モントリオール議定書はオゾン層保護に関する取り決めであり,遺伝子組み換え生物に直接対応するのは「カルタヘナ議定書」です。
問20:正解3
<問題要旨>
日本国憲法および国会の仕組み,国会議員の権限・特権等に関する問題です。衆議院と参議院の関係や不逮捕特権,免責特権などを踏まえ,もっとも正しい記述を選ぶ形式になっています。
<選択肢>
①【誤】
「緊急集会で可決された法案が参議院で否決されても,緊急集会が出席議員の過半数でもう一度可決すれば法案は成立する」という内容は実際の憲法規定とずれがあります。衆参の合意や衆議院の優越に関しては憲法で詳細に定めがありますが,ここでいう緊急集会の手続きとの記述が合致しません。
②【誤】
「内閣不信任を決議することができるのは参議院に限られている」は誤りです。不信任決議は衆議院のみが行います。
③【正】
「国会議員は,法律の定める場合を除き,会期中は逮捕されない」旨は憲法第50条が規定する不逮捕特権であり,現行犯や院の許諾など例外を除いて正しい説明です。
④【誤】
「国会議員は免責特権により,議院で行った演説について院外で責任を問われないことはない」という表現次第ですが,憲法第51条で院内での発言などについて院外で責任を問われないことが定められています。もし「責任を問われない」と書いているならそれ自体は正しいのですが,選択肢の文言が問題文とずれている可能性があり,ここでは③がより正確に合致します。
問21:正解4
<問題要旨>
「医学モデル」と「社会モデル」という障害観・支援アプローチの違いを題材にした問題です。医学モデルは障害の原因を個人の機能に求めがちですが,社会モデルでは障壁となる環境や社会的要因を取り除く支援を重視します。提示されたア~ウの具体例がどの程度「社会モデル」に基づく支援に近いかを考察します。
<選択肢での事例>
ア:補聴器を使用している児童が授業で聞き取りにくいと訴え,教師が補聴器自体が合っているか検査に行くよう勧める → 個人の身体機能を調整する手法が主体で,医学モデルに近い
イ:視力が弱い大学生が黒板の文字を読みにくいと訴えた結果,大学が板書の読解を補助する学生支援を配置 → 環境側の工夫(人的支援)で障壁を緩和しようとしており,社会モデル的
ウ:車椅子利用者が市立図書館を利用する際,大きな段差が障壁となっていたため市に相談し,スロープが設置された → 物理的バリアを解消する取り組みであり,社会モデル的
①【誤】「アとイとウ」
アは医学モデルの要素が強いため,社会モデルに基づく支援と見るには適切ではありません。
②【誤】「アとイ」
アが含まれているため誤りです。
③【誤】「アとウ」
同様にアの事例は社会モデルというより医学モデル的です。
④【正】「イとウ」
イは人的サポート,ウは物理的バリアの除去という形で,いずれも環境や社会的要因を変えて障害を取り除くアプローチに近く,社会モデル的支援の例に当たります。
⑤~⑧【誤】
他の組合せや「医学モデルよりも社会モデルに基づく支援に近いものはない」などの選択も,当該2つの事例を正しく抽出していないため誤りです。
第4問
問22:正解1
<問題要旨>
比較生産費説(比較優位)を踏まえた自由貿易の効果に関する問題です。表で示されているように,X国とY国それぞれが毛織物とぶどう酒を生産するために必要な労働者数を比較し,貿易開始前後の生産量変化や1人当たり生産性の大小関係を検討して最も適切な選択肢を選ぶ形になっています。
<選択肢>
①【正】
「貿易開始前において,毛織物1単位の生産を取りやめたとき,その代わりに増産できるぶどう酒の生産量は,X国がY国よりも大きい」という内容です。
表から,X国は毛織物1単位に50人,ぶどう酒1単位に40人必要で,Y国は毛織物80人,ぶどう酒160人必要となっています。X国が毛織物生産を減らして浮いた50人をぶどう酒生産に回すと,毛織物1単位ぶんでぶどう酒を1.25単位(=50 ÷ 40)増やせます。一方,Y国が毛織物1単位ぶん(80人)をぶどう酒に回しても0.5単位(=80 ÷ 160)にしかなりません。よって,X国のほうが“取りやめた財の分を別の財に回した場合の増産量”が大きいことを示しており,この選択肢が正しいです。
②【誤】
「ぶどう酒1単位の生産を取りやめたとき,増産できる毛織物生産量がY国はX国より大きい」とあるが,実際にはぶどう酒から毛織物へ労働力を振り替えた場合,X国のほうが有利であるかどうかを計算すると矛盾が生じます。
③【誤】
「貿易開始前の労働者一人当たりの生産量について,いずれの財においてもX国はY国より小さい」とありますが,X国がぶどう酒を生産する場合の労働生産性は明らかにY国より高く,この記述は誤りです。
④【誤】
「X国が毛織物のみを,Y国がぶどう酒のみを生産し貿易すると,各財の両国全体での生産量はいずれの財においても貿易開始前より大きくなる」と断定していますが,選択肢①のように具体的に労働配分を計算すると,必ずしも両財とも以前より多くなるとは限りません。
問23:正解1
<問題要旨>
紛争・内戦や核兵器に関する国際情勢を問う問題です。第二次世界大戦後の国際関係や中東問題,核不拡散条約(NPT)や包括的核実験禁止条約(CTBT)の採択状況について正しく把握する必要があります。
<選択肢>
①【正】
「第二次世界大戦後にユダヤ人国家(イスラエル)が成立した結果,アラブ人とユダヤ人の対立が深まったのはパレスチナ紛争である」という歴史的経緯は事実と一致します。1948年のイスラエル建国以降,中東戦争などもこの対立の延長線上にあります。
②【誤】
「ダルフール地方において争いが激化し,国の分裂につながった紛争はソマリア内戦である」は誤りです。ダルフール地方はスーダン西部での紛争を指し,ソマリア内戦とは異なる紛争です。
③【誤】
「爆発を伴う核実験をすべて禁止する包括的核実験禁止条約(CTBT)が採択され発効した」という記述ですが,CTBTは1996年に採択されているものの,未発効のままです。必要な批准国が揃っていないため発効していません。
④【誤】
「核兵器保有国の増加を防ぐことを目的とする核拡散防止条約(NPT)は,一定期間に限って延長された」は誤りです。NPTは1995年の再検討会議で無期限延長が決定されました。
問24:正解2
<問題要旨>
フェアトレード(公正貿易)に関する問題です。フェアトレード認証ラベル付きコーヒーのように,開発途上国の原料や製品を適正価格で購入し,生産者の生活改善や自立支援をめざす取り組みを正しく理解しているかが問われています。
<選択肢にある A~C の概要>
- A:開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入する取り組み
- B:開発途上国の貧困層の生活改善と自立を目指す取り組み
- C:開発途上国の農産品に対する関税を引き上げる取り組み
①【誤】 AとBとC
Cはフェアトレード本来の趣旨に反する(むしろ関税を下げることが多い)ので誤り。
②【正】 AとB
フェアトレードは,途上国の農産品などを適正価格で買い取り,生産者の生活水準を向上させ自立を支援する取り組みであり,AとBに当てはまる内容が正しい。
③【誤】 AとC
Cは誤りであるため,この組合せも誤りです。
④【誤】 BとC
同上,Cが誤り。
⑤~⑧【省略】
いずれも C を正解扱いするものや,AやBを除外するものはフェアトレードの趣旨と合致しません。
問25:正解3
<問題要旨>
GDP(国内総生産)に含まれる具体的な事例を問う問題です。「ある取引が家族内のみで金銭のやりとりにとどまる場合はGDPに計上されない」「外部に対して貨幣を支払ってサービスを購入する場合はGDPに含まれる」などの原則を,条件2の説明(貨幣を伴わない取引も市場価格換算ができればGDPに含める等)と照らし合わせます。
<選択肢のA~C>
- A:コメ農家が自分で作ったコメの一部を自宅で消費
- B:親が料理を手伝った同居の子どもに少額のおこづかいを渡す
- C:海が工場排水で汚れたので,工場が排水処理施設の建設費を支出
①【誤】 AとBとC
A,Bのどちらかは家族内取引のためGDPに含まれないと考えられます。
②【誤】 AとB
Bが家族内での支払い(親と同居の子)なら市場取引とみなさないのが一般的です。
③【正】 AとC
Aの場合,「農家が自給用に生産したコメ」のようなケースでも“自家消費”を市場価格換算してGDPに含める場合があります。条件2にある「貨幣を介さない取引でも,あれば他の消費を回す余裕が生まれるとみなせるときは市場価格に換算してGDPに加える」論理を適用できると考えられます。
Cは工場が外部に発注して施設を建設するならば,その支出は生産活動として計上されます。
④【誤】 BとC
Bは家族内のやりとりのため,一般的にはGDPに算入しません。
⑤~⑧【省略】
いずれもAとCだけを選ぶ組合せではないため誤りです。
問26:正解4
<問題要旨>
当初所得と再分配後の所得のジニ係数(格差の度合い)を国ごとに比較し,格差是正効果が大きい国はどれか,また「当初の格差を小さくする」か「再分配後の格差を小さくする」かという政策手段(資産課税強化や最低賃金の引き上げ)を検討する問題です。
<選択肢>
①【誤】
「イ=A,ウ=B,I=P」などの組合せであるが,表の数値(A国0.46→0.39,B国0.34→0.29,C国0.51→0.26)やどこが当初最小/再分配後最大などの説明とずれが生じます。
②【誤】
「イ=A,ウ=C,I=Q」なども,同様に当初所得が最小の国や再分配後の格差が最大の国を示す部分と噛み合わない可能性があります。
③【誤】
「イ=C,ウ=A,I=P」などの組合せも当初・再分配後の数字(0.46,0.34,0.51 → 0.39,0.29,0.26)と対応しづらいです。
④【正】
「イ=A,ウ=B,I=Q」の組合せなど,設問文が示す『当初格差が最も小さい国』『再分配後の格差が最大の国』『格差是正効果が最も大きい国』『当初の格差を小さくする政策(最低賃金の引き上げ)』『再分配後の格差を小さくする政策(資産課税強化)』を正しく振り分けたものがこれに該当します。
⑤~⑧【省略】
上記と同様の理由で整合しないか,別の誤りを含むため正解にはなりません。
問27:正解2
<問題要旨>
日本の思想家として挙げられた福沢諭吉,新渡戸稲造,夏目漱石らの一部著作や言説を抜粋し,それぞれの論点(知識の活用や主体性,西欧との関わり方など)をどのように位置づけるかを見極める問題です。提示されたア・イ・ウの文言が,どの人物の思想を反映しているかを組み合わせます。
<選択肢>(新渡戸稲造 - ア?イ?ウ?, 夏目漱石 - ア?イ?ウ? などの組み合わせ)
①【誤】 新渡戸稲造=ア,夏目漱石=イ
②【正】 新渡戸稲造=ア,夏目漱石=ウ
たとえばアの引用文は『武士道』的な文脈で知識や修養を重んじる実践的学問観がうかがえ,ウの引用文は「西洋人がどう評価しても私は日本人として主体的判断をすべきだ」という夏目漱石の独立自尊の姿勢を色濃く示していると推察されます。
③【誤】 新渡戸稲造=イ,夏目漱石=ア
④【誤】 新渡戸稲造=ア,夏目漱石=イ
⑤~⑥【省略】
いずれもア,イ,ウの内容を違う組合せで当てはめているため誤りです。
第5問
問28:正解4
<問題要旨>
在留資格別に見る外国人の在留者数(2012~2020年)の推移を読み取り,どの在留資格がどのように増減しているかを比較する問題です。「身分又は地位に基づく在留資格」「留学」「技能実習」「専門的・技術的分野の在留資格」の人数推移や増加率を見極めて,表の内容と合う記述を選ぶ形式です。
<選択肢>
①【誤】
「専門的・技術的分野の在留資格の人数が,2012年から2020年までの間,一貫して技能実習の人数を上回っている」という主張ですが,表を見ると技能実習の急増もあり,専門的・技術的分野のほうが常に多いとは限りません。
②【誤】
「身分又は地位に基づく在留資格,専門的・技術的分野の在留資格の人数が,2019年から2020年にかけて減少している」というのは事実と異なります。該当する数値を比べると,2019→2020で両方とも増加傾向が見られます。
③【誤】
「2013年から2014年の人数の増加率を比較すると,留学が技能実習や専門的・技術的分野よりも低い」というのは表の数字と合いません。留学ビザの増加率を見ても,必ずしも技能実習などより明らかに低いとはいえないケースが読み取れます。
④【正】
「2018年から2019年の人数の増加率を比較すると,技能実習は留学や専門的・技術的分野の在留資格よりも高い」という内容が表と符合します。該当期間で技能実習は特に著しい伸びを示しており,留学・専門的技術分野を上回る増加率になっていることが確認できます。
問29:正解1
<問題要旨>
移住者が自国の文化をどう扱い,移住先の文化とどう関わるか,いわゆる「統合(A)」「同化(B)」「分離(C)」「周縁化(D)」というモデルを踏まえ,具体的なエピソード(ア・イ・ウ)を組み合わせる問題です。選択肢では AおよびC をそれぞれどのエピソードに当てはめるかを問っています。
<選択肢>
①【正】(A-ア,C-イ)
- A(統合):「元々の文化を維持しつつ,移住先の異文化とも関係を求める」
→ アの事例は母国料理を大切にしつつ,移住先の料理も積極的に取り入れようとする記述で,統合に該当します。 - C(分離):「元々の文化は維持するが,移住先の文化との関係は望まない」
→ イの事例は母国の文化や言語には積極的に触れる一方,移住先の国の人々との交流は特に必要性を感じない,という態度で,分離に当たります。
②【誤】
(A-ア,C-ウ)などの組合せではウの事例に注目すると,むしろ「どちらの文化にも関心がない」ように見え,分離(母国の文化を維持)の定義とも合わず,整合しません。
③【誤】
(A-イ,C-ア)などの組合せは,アとイの内容が逆転しており不適切です。
④~⑥【省略】
いずれも A, C とア, イ, ウの対応が合わず,誤りです。
問30:正解8
<問題要旨>
U国の「ボルダルール」という選挙制度の仕組みを示し,投票結果(1位3点,2位2点,3位1点)をもとに当選候補が誰かを決める流れを分析しながら,会話文中の空欄(ア・イ・ウ)に「X候補,Y候補,Z候補」や「少数の特定有権者を大切にする」「3位にされないよう配慮する」などをどう当てはめるかを問う問題です。
<選択肢>
①~⑦【誤】
それぞれアやイに入る候補名の選定,ウに入る選挙対策が「少数有権者を狙うか,3位候補にならないよう注意するか」などの組合せが異なるため,投票数の内訳(4万票・3万票・2万票)をもとに計算した結果と矛盾するパターンが生じます。
⑧【正】
「アに入る候補が…」「イに入る候補が…」「ウに入る対策が…」という組合せが,会話文の指摘(最多得票候補が単記式なら当選だが,ボルダルールだと別の候補が当選する可能性がある,等)に最も合致します。具体的にはボルダルールで逆転勝利する候補が誰か,その候補がどのような選挙戦略をとれば有利か,という説明に対応するのがこの選択肢です。
問31:正解3
<問題要旨>
国内に複数の文化集団が存在することを承認し,公的支援によってそれぞれの文化を保持・継承する取り組み(多文化主義的政策)を例に,ア~ウの事例のどれが該当するかを考える問題です。提示された選択肢は「A国の事例」「B国の事例」「C国の事例」について書かれていますが,いずれも手法が異なるため,多文化共生策として適切な組合せを見極めます。
<選択肢>
①【誤】 アとイとウ
イが環境破壊に伴う居住地変更を推奨するもので,多文化の尊重というより集団移転要請に近いので必ずしも多文化共生策とは言い難い。
②【誤】 アとイ
同様にイが強制的に生活様式を変えさせている印象があり,多文化の承認・支援とはずれている。
③【正】 アとウ
アは「文化集団の作品を説明し,副読本を公立学校に配布するなどの理解促進策」,ウは「国内に居住する多様な文化集団の行事を支援して伝統継承を助ける策」。いずれも国家が公的支援を行って文化を維持するための具体的措置であり,多文化共生の取り組みに合致します。
④【誤】 イとウ
イの例は強制的移住を促す色彩が強く,多文化を尊重する施策とはいえません。
⑤~⑧【省略】
いずれも多文化共生策として適切な組合せとはならず誤りです。