解答
解説
第1問
問1:正解1
<問題要旨>
図1中の高地A〜Dのいずれかにみられる自然環境の特徴を示す文章①〜④のうち、Cにあてはまるものを選ぶ問題。標高や地形の特徴(氷河侵食、乾燥地形、テーブル状地形、永久凍土帯など)を比較し、該当する地域を推定する力が問われている。
<選択肢>
①【正】
「標高が約500〜1000mで、氷河の削った侵食地形がみられる」という内容。標高が低めの高地であるうえ、過去または現在の氷河作用が及んだ痕跡がある地形を指しており、図のC周辺の位置関係からも、氷食地形や低めの高地がみられることが考えられる。
②【誤】
「標高が約900〜3000mで、ワジやオアシスがみられる」という内容。ワジは降雨が少ない乾燥地域で形成される涸れ川で、内陸乾燥地形に多い。Cの位置や自然環境の特徴とは一致しにくい。
③【誤】
「標高が約2000〜3000mで、テーブル状の山が分布している」という内容。テーブルマウンテン(メサなど)は主に乾燥地域の台地が浸食されて形成される場合が多く、Cはそこまで高標高の乾燥高原ではないと考えられる。
④【誤】
「標高が約4000〜5000mで、永久凍土が分布している」という内容。大陸内部の高地や高緯度地域に対応しやすいが、Cはそれほどの高所には該当しないため、あてはまらない。
問2:正解3
<問題要旨>
図2には、図1中の地点A〜Eのいずれかにおける月平均気温と月降水量をプロットしたハイサーグラフが①〜④の4種類示されている。問題では、地点「ウ」に該当するのはどれかを判別する。季節による降水量の増減や気温分布の特徴から、どの気候型に当たるかを推理する問題である。
<選択肢>
①【誤】
グラフからみると、降水量の増加幅が大きく、気温が年間を通じて比較的高めである。赤道〜亜熱帯付近のサバナ気候や熱帯雨林気候を想起させるパターンだが、地点「ウ」の特徴とはずれる可能性がある。
②【誤】
年間を通じて高温で、降水量が少なめに推移しているように見える。乾燥の程度が強い砂漠やステップの気候にも見えるが、「ウ」はもう少し別の特徴をもつ。
③【正】
月ごとの気温変化や降水分布をみると、夏と冬の差が中緯度らしく、雨季と乾季が明瞭というよりも比較的バランスよく降水がみられる気候が示唆される。高温湿潤期が限られ、冬期には気温が下がるグラフ形状が読みとれ、図中の「ウ」の環境に合致すると考えられる。
④【誤】
冬期の気温が著しく低く、夏期の気温上昇が大きいなど、冷帯や亜寒帯に近い特徴がある。年間通じて雨量が多いというほどではなく、地点「ウ」とは異なるパターンとなっている。
問3:正解2
<問題要旨>
図1中の「カ〜ケ」の地域のうち、震源の分布と火山の分布の両方が重なるプレート境界付近を探す問題。プレートの沈み込み帯や衝突帯では火山活動と浅い震源の地震の両方が多くみられるため、その地域と対応する組合せを選ぶ。
<選択肢>
①【誤】
「カとキ」の組み合わせは、一方だけ地震が多かったり、火山は少なかったりする場合があり、両方が同時に密集するとは限らない。
②【正】
「カとク」の組み合わせは、環太平洋火山帯などプレート境界付近を含む可能性が高く、地震と火山の両方の分布が確認されると推察される。
③【誤】
「カとケ」の場合、火山と地震の分布状況が限定的で、片方が多いか、またはほとんど見られない場合も考えられる。
④【誤】
「キとク」などの組み合わせも、プレート境界から離れた地域の可能性があり、火山や地震の分布がともに高密度とはいえない。問題文の条件を満たしにくい。
問4:正解4
<問題要旨>
図3には1月と7月の全球的な高圧帯・低圧帯の緯度位置を示す模式図があり、それをもとに各緯度帯の降水の特徴やその背景を問う問題。選択肢①〜④のうち、記述内容が「適当でないもの(誤り)」を選ぶ形式となっている。
<選択肢>
①【正】
「サの緯度帯では下降気流の影響で、年間を通じて雨が降りにくい」という趣旨。中緯度高圧帯付近では下降気流が卓越し、乾燥しやすいことと一致する。
②【正】
「シの緯度帯では上昇気流の影響で、年間を通じて多量の雨が降りやすい」という趣旨。熱帯収束帯付近で上昇気流が強まり、降雨が多い特徴と合致する。
③【正】
「スの緯度帯では、1月ごろに雨季の見られる気候が形成されやすい」という趣旨。例えば、赤道の北側と南側で熱帯収束帯の季節移動に伴う雨季・乾季があり、1月ごろに雨の多い地域も存在する。
④【誤】
「セの緯度帯では、7月ごろに高温で乾燥する気候が形成されやすい」という趣旨だが、セが示す高緯度帯や他の緯度帯の移動を考えると、一概に7月に乾燥期が形成されるわけではない。極付近や亜寒帯では夏に比較的降水が多い地域もあり、文中の背景説明とは食い違う。
問5:正解2
<問題要旨>
図4の①〜④の棒グラフは、図1中のP〜Sのいずれかの経線に沿った「樹木の最大高」の分布を示したもの。ある経線上を南北へ移動したときの植生分布(森林や低木帯、無樹林帯)の変化を読み取り、Qにあてはまるグラフを選ぶ問題。
<選択肢>
①【誤】
赤道付近から高緯度へ向かうにつれ、徐々に樹高が低下するが、データの減り方や緯度ごとの特徴が必ずしもQと一致しないケースが考えられる。
②【正】
熱帯〜亜熱帯で樹高が高く、乾燥帯や寒冷地帯を通るにつれて極端に樹高が下がるパターンが比較的明確に示されている。Qの位置関係を考慮すると、この変化が該当しやすい。
③【誤】
ほぼ全域で樹高が極端に低いままの状態が長く続いているようなグラフで、乾燥帯や極地付近のみを通るときなどに想定される。Qとの対応は難しい。
④【誤】
高緯度から赤道付近までを通るパターンでも、急激な上昇下降が複数箇所でみられる。Qに比して変化の仕方が大きく異なると考えられる。
問6:正解6
<問題要旨>
図5では、南北アメリカにおける2008〜2017年の「ある自然災害」の発生数が国別に示されている。タ・チ・ツはいずれも地震・森林火災・熱帯低気圧のいずれかを指し、各災害の空間分布から組合せを見分ける問題。各災害が複数国に被害をもたらした場合には発生数が加算されており、どこで地震・火災・熱帯低気圧が多発しているかを総合的に読む。
<選択肢>
①【誤】
「地震=タ、森林火災=タ、熱帯低気圧=ツ」という組合せで、表を見ると地震と火災が同じ文字になっており矛盾する。
②【誤】
「地震=カ、森林火災=ツ、熱帯低気圧=タ」などのように、図上の多発地域(中米など)と照合すると一致しない部分がある。
③【誤】
「地震=カ、森林火災=ケ、熱帯低気圧=チ」のように、頻度の大小や広がり方が図と対応しない。
④【誤】
「地震=チ、森林火災=ツ、熱帯低気圧=タ」など、分布を照合すると各球の大きさ・位置と噛み合わない点が多い。
⑤【誤】
「地震=キ、森林火災=ト、熱帯低気圧=タ」のような割り当てになり、図5の発生規模や分布との不一致が生じる。
⑥【正】
地震分布が南米西側〜中米など環太平洋沿いに集中し、森林火災は亜熱帯〜温帯域に多く、熱帯低気圧はメキシコ湾岸やカリブ海域などに多い様子と符号している。図の球の分布・大きさとも整合性がとれ、納得しやすい。
第2問
問7:正解2
<問題要旨>
図1には、いくつかの国におけるマンガン鉱の輸入量の推移(2000年~2015年頃まで)が折れ線グラフで示されている。それぞれの線①〜④が、インド・韓国・スペイン・日本のいずれかに対応するという設定で、「韓国」に該当する線を判別する問題である。輸入量の変化傾向や国ごとの産業構造などから判断する力が問われる。
<選択肢>
①【誤】
2000年代前半からの輸入量が比較的多く、2010年以降に急伸しているグラフとして描かれている。インドや日本など、鉄鋼産業の成長過程や国内需要の動向などと対比すると、この線を韓国と断定するには根拠が薄い。
②【正】
中規模程度の輸入量が徐々に増加し、2010年以降にやや顕著な伸びを示すグラフとして描かれている。韓国は鉄鋼業をはじめとする重化学工業が盛んであり、海外からの原料輸入に依存している割合が高い。その推移がグラフと整合する。
③【誤】
輸入量の水準や伸びが連続的ではあるものの、別の国(例えばスペインのように規模があまり大きくない国)に該当する可能性が高い。国内の産業需要や経済規模からみても韓国とは断定しにくい。
④【誤】
年間の輸入量が比較的低水準で横ばいに近く、わずかな増加はあっても大きく跳ね上がる傾向は見られない。この特徴からは、日本のように国内に一定の製造業需要がある国か、あるいはスペインなど規模が限られた国として考えられ、韓国とはズレがある。
問8:正解4
<問題要旨>
水産業や水産資源に関する記述①〜④のうち、適当でない(誤っている)ものを選ぶ問題。日本や世界の水産物の輸入量・養殖業の比率・漁場の立地条件(大陸棚付近への分布)・排他的経済水域設定による漁業形態の変化などに関する基礎的な知識を問う。
<選択肢>
①【正】
1980年代後半から1990年代半ばにかけて、日本では水産物輸入が増加傾向にあった。国内漁業生産量の減少や需要の高まりを補うため、輸入が拡大したという史実と合致する。
②【正】
世界的に水産資源に対する需要が高まる中、養殖業の割合が21世紀に入ってから拡大している傾向が見られる。特に2000年から2015年にかけては世界の養殖生産量が大きく伸びており、統計データとも整合する。
③【正】
好漁場の多くは、大陸棚や潮境に近い海域に分布する。栄養塩類が上昇し、プランクトンが豊富になるなど、漁業に好条件がそろう海域として広く知られている。
④【誤】
「日本では排他的経済水域の設定の影響で沖合漁業の漁獲量が激減した」という表現は過度に強調された説明である。実際には、排他的経済水域(EEZ)は沿岸国の漁業権益を強化する制度であり、日本周辺での漁獲量減少は他国の水域拡大や漁場資源の枯渇など複合的要因が関わるが、「EEZ設定が直接的に沖合漁業を減少させた」というのは正確性に欠ける。
問9:正解4
<問題要旨>
表1には、1990年と2015年におけるシンガポールとトルコの主な輸出品目トップ5と、それぞれの輸出総額に占める割合が示されている。ア〜ウは「衣類」「果実類」「電気機械」などを指し、それらをどの順に当てはめるかを考察する問題である。工業化の進展や加工貿易の発展などにより品目構成が変化する様子が読み取れる。
<選択肢>
①【誤】
衣類・果実類・電気機械の割り当てが「ア=衣類、イ=果実類、ウ=電気機械」のようになっているが、シンガポールやトルコの輸出データからすると、1990年〜2015年で果実類の順位が上位に大きく食い込むケースは限定的であり、一致しにくい。
②【誤】
品目の対応関係が「ア=衣類、ウ=果実類、イ=電気機械」のような組み合わせだと、シンガポールの輸出品目として衣類が1位で長年続くとは考えにくい。また、トルコの果実輸出がそこまで高比率になるかどうかも疑問がある。
③【誤】
「イ=衣類、ウ=電気機械、ア=果実類」の組み合わせと想定しているが、表1の数値や順位と照合すると矛盾が生じやすい。シンガポールのトップ品目に果実類が占める割合はそれほど高くない場合が多く、トルコでも布製品や自動車関連が高比率になる例が多い。
④【正】
「ア=衣類、イ=果実類、ウ=電気機械」のような対応が、シンガポールとトルコ双方の1990年・2015年の輸出上位品目の変化と合致しやすい。シンガポールでは電気機械関連が大きな比率を占める傾向が強く、トルコでは果実類や繊維製品(衣類)がある程度の割合を保ちながら、電気機械も徐々に増えていった構図と説明がつく。
問10:正解6
<問題要旨>
図2には「カ」「キ」「ク」として示された世界の米(コメ)に関する上位12か国・地域の分布図が3種類ある。これらがそれぞれ、生産量・輸出量・輸入量のいずれかを表しており、その項目名と「カ〜ク」の組合せを選ぶ問題である。米はアジアを中心に生産が多く、輸出ではタイやインドなど、輸入では中国やいくつかの中東諸国などが目立つ傾向がある点から推理する。
<選択肢>
①【誤】
「生産量=カ、輸出量=キ、輸入量=ク」のパターンとするが、図の大きな円の分布や国の偏りが必ずしも一致しない。例えば、中国は生産量が最も多いはずだが、その位置づけがズレるなど問題がある。
②【誤】
「生産量=カ、輸出量=ク、輸入量=キ」のような組合せにしても、輸入量が大きい国がアジア圏(特に中国など)に多い図と合わない場合がある。
③【誤】
「生産量=キ、輸出量=カ、輸入量=ク」とするが、生産大国の分布(中国やインドなど)は「キ」に示されているかどうかで矛盾が生じやすい。
④【誤】
「生産量=キ、輸出量=ク、輸入量=カ」などの組合せも、地図上の大きな円の分布と対照すると、中国やインド、タイ、ベトナムなどがどう振り分けられているかで不整合が出てくる。
⑤【誤】
「生産量=ク、輸出量=カ、輸入量=キ」とした場合、クがアジア一帯で大きく示されているかなど細部で一致しない。
⑥【正】
「生産量=カ、輸出量=キ、輸入量=ク」の順番が、地図上の主要国の分布や円の大きさと最も整合する。特に中国やインドが大きく示されるのが『生産量=カ』、タイやインド、ベトナムなど輸出が大きい国が『輸出量=キ』、そして中国や中東など大きな輸入需要のある国が『輸入量=ク』という対応関係になりやすい。
問11:正解4
<問題要旨>
2015年における世界の年発電量のうち、風力が占める割合が20%を超える国・地域を答える問題。イラン(①)、カナダ(②)、台湾(③)、ポルトガル(④)と並び、どこが20%以上の風力発電を導入しているかを問う。再生可能エネルギーへの投資や国の政策などが比較のカギとなる。
<選択肢>
①【誤】
イランは化石燃料資源が豊富であり、近年再生可能エネルギーも導入を進めているが、2015年時点で風力発電が20%を超える水準に達しているとは考えにくい。
②【誤】
カナダは水力発電を中心に再生可能エネルギー割合が高いが、風力だけで20%超を占めるという状況は当時はなかったと推測される。
③【誤】
台湾は石炭火力や原子力の割合が一定程度あり、当時の風力発電比率はそこまで高くない。近年になって再生エネ比率を上げる施策を進めているが、20%超までは至っていないだろう。
④【正】
ポルトガルはEU加盟国の中でも風力発電の導入に積極的で、2010年代半ばにすでに風力の比率が大きく伸びている。統計でも風力の割合が20%前後に達したと報告されており、選択肢中では最も当てはまる。
問12:正解3
<問題要旨>
表2には、ある4か国(①〜④)の「1人当たりGNI」「1人当たり研究開発費」「労働人口に占める金融・保険業の従業者割合」が示されており、それぞれアラブ首長国連邦、スイス、日本、ハンガリーのいずれかに該当する。日本に相当するデータを探し出す問題で、一定水準の経済力と比較的高い研究開発費投資率などの特徴が読み取れるかがポイント。
<選択肢>
①【誤】
「1人当たりGNIが8万ドル超、研究開発費が2000ドル超、金融・保険業従業者割合5%強」はスイスなどの高所得国の指標に近い。日本よりもさらにGNIが高い傾向から、こちらを日本とは見なしにくい。
②【誤】
「1人当たりGNIが約4万ドル、研究開発費が600ドル台、金融・保険業従業者割合2%弱」というのは、研究開発投資がそれほど高くない。どちらかといえば、新興国で経済水準がそこそこ高いがR&D投資が低めなケース(例:中東産油国の一部など)を想定でき、日本とは合致しにくい。
③【正】
「1人当たりGNIが3万ドル台半ば、研究開発費が1000ドル超、金融・保険業の従業者割合が約3%」は、先進国水準の経済力を有し、研究開発投資にも力を入れている日本の指標と近い。ヨーロッパの富裕国ほどではないが、アジアの中でも高い開発費水準が特徴であり、日本の位置づけとして妥当である。
④【誤】
「1人当たりGNIが1万ドル強、研究開発費が数百ドル程度、金融・保険業従業者割合2%程度」は、先進国としては比較的低水準の数値に該当する。ハンガリーなど欧州の中進国や、新興国と見る方が自然で、日本との整合性は低い。
第3問
問13:正解2
<問題要旨>
図1では北半球を赤道から緯度15度刻みに区切った範囲(ア・イ・ウ・エ)が示されており、表1には1975年・1995年・2015年の各範囲における人口300万人以上の都市数が掲載されている。問題文では「ウ」に該当する数値の推移(①~④のどれか)を選ぶよう求められる。世界的な大都市の増え方には地域差があり、中緯度以南の新興国が急激に大都市数を増やす傾向にあるなどを踏まえて推測する問題である。
<選択肢>
①【誤】
1975年の値が21、2015年が54と、既に1970年代でも大都市数が多い範囲を示す。大都市数の元からの多さやその後の増え方を考慮すると、「ウ」が対応する地域とは異なる可能性が高い。
②【正】
1975年6都市、1995年19都市、2015年39都市という推移は、1970年代には少なかった大都市が新興国の都市化などで増加してきた地域像と合致する。中低緯度帯に位置し、経済発展が加速する国が多い範囲として説明しやすい。
③【誤】
1975年6都市、2015年でも9都市と伸び幅が小さい。新興国を多く含む範囲にしては都市数の増加が目立たず、「ウ」に相当する大幅増加とは言いにくい。
④【誤】
1975年4都市、2015年15都市と増加はあるが、全体の桁感や世界平均との比較からみて「ウ」に該当するほど顕著な伸びとは言いにくい。
問14:正解2
<問題要旨>
国内の都市人口規模に関する問題。第1位の都市人口が第2位の都市の「2倍未満」である国を選ぶ。つまり国内の最大都市が人口面で圧倒的独走ではなく、第2位都市も比較的拮抗している国の事例を探す問題。選択肢としてエチオピア・オーストラリア・韓国・チェコが挙げられ、それぞれの人口上位都市の規模差から判断が求められる。
<選択肢>
①【誤】
エチオピアの場合、首都アディスアベバが圧倒的に大きく、第2位都市との人口差が2倍以上開いている傾向があるため、「2倍未満」という条件を満たしにくい。
②【正】
オーストラリアはシドニーとメルボルンをはじめ、大都市が複数あり首位都市と第2位都市の差がそこまで絶対的ではない。実際にシドニーとメルボルンの人口差は2倍を下回るため、条件に合う。
③【誤】
韓国では首都ソウルの人口が大きく、第2位都市の釜山(プサン)と比較すると2倍以上の差が見られる時期もあるなど、首位都市の人口独占度が強い。
④【誤】
チェコはプラハがかなりの人口を抱え、第2位都市のブルノなどとの比率を考えると2倍を上回る場合が多い。国内でプラハの集中度が高いため「2倍未満」は成り立ちにくい。
問15:正解3
<問題要旨>
都市の経済発展や人口集中にはさまざまな都市問題が伴う。①〜④は具体的な国や都市を例に挙げた記述で、うち「都市問題への対策等」として不適当(誤った)内容を選ぶ形式となっている。どれも都市における住宅・交通・環境などの課題に対する取り組みだが、内容に違和感のある記述を見極める問題である。
<選択肢>
①【正】
インドのムンバイ(ボンベイ)では大規模な人口流入が続き、周辺にスラムが形成されている。これは実際に見られる深刻な都市問題であり、誤った説明ではない。
②【正】
ドイツのライプツィヒなど多くの都市では、路面電車(トラム)などの公共交通整備によって中心街での車流入を抑制し、都市部の混雑や大気汚染を緩和しようとしてきた事例がある。
③【誤】
ニューヨークの都心部では再開発が進められ、高層マンションなどの整備により資本が集まる地域が拡大した。一方、高所得者層が都心部を去り「減少」するよりも、むしろ居住が増える「ジェントリフィケーション」現象が知られているため、ここで述べられている「高所得者層が減少した」は対策の結果としては不自然である。
④【正】
ペキン(北京)は工場や自動車の増加による大気汚染が深刻化している状況が長期的に続き、近年は排出規制などの対策強化に至っている。これ自体は実際に見られる都市問題の典型である。
問16:正解1
<問題要旨>
香港の労働者数総数および管理職・専門職(看護師や小学校教員、土木技術者なども含む)の割合を、1996年と2016年で比較した表が示されている。選択肢①〜④はイギリス・タイ・日本・フィリピンのいずれかに該当し、「フィリピン」に当たるものを選ぶ問題。フィリピン国籍の労働者は香港での家事労働などに従事することが多いため、管理職・専門職従事者の割合は低く、人数規模が比較的大きい特徴を示すと推測される。
<選択肢>
①【正】
1996年の労働者数115,102人から2016年には177,984人と人数が増えつつ、管理職・専門職従事者の割合が2.6%とかなり低い。これは香港内での外国人家事労働に従事するケースが多いフィリピン人労働者層の特徴と合致する。
②【誤】
96,272人から19,468人と全体数がむしろ減っているような形になり、さらに管理職・専門職割合が83.6%と非常に高い。イギリスなど欧米圏出身の専門職や管理職の出稼ぎ・赴任スタイルを想起させるが、フィリピン人労働者とは性質が異なる。
③【誤】
9,663人→5,589人と少人数で推移しており、管理職・専門職従事者の割合81.9%と大変高い。日本人駐在員などを想像させ、フィリピンとは違う。
④【誤】
9,444人→6,145人とやや減少傾向で、管理職・専門職の割合は8.6%。①と比較すればまだ割合は高めだが、人口規模が1万人弱と少ない。フィリピン人労働者の大規模な就労者数とは違うと推察される。
問17:正解4
<問題要旨>
表3には、ある年(2017年)の都府県間の人口転出入数が示されており、東京や大阪から「カ・キ・ク・ケ」に転入した人数、また「カ・キ・ク・ケ」から大阪や東京に転出した人数を整理している。カ〜ケはいずれも東北や中国地方などの県であり、そこから鳥取県にあたるデータを判断する問題。鳥取県は全国でも人口が最少クラスの県で、移動人数の規模が小さい傾向がある点などがヒントになる。
<選択肢>
①【誤】
「カ」は表上で東京・大阪への人口移動が比較的大きく示されるなど、ある程度の移動規模が見られるため、鳥取とは合致しにくい。
②【誤】
「キ」も「カ」と同様、それなりの移動人数が確認でき、鳥取ほど少規模とはいえない。
③【誤】
「ク」は一定規模の転入・転出を含む可能性があり、数値的に鳥取より多いケースも見られる。
④【正】
「ケ」は東京・大阪との人口移動が他より相対的に少なく、表中の人数がごく小さい。人口規模が最も少ない県である鳥取に該当すると考えられる。
問18:正解1
<問題要旨>
図2では、人口50万人規模の県庁所在地都市をメッシュで示し、「サ」「シ」「ス」の3つの指標分布が描かれている。これらは「①居住期間が5年未満の人口割合」「②核家族世帯割合」「③第1次産業就業者世帯割合」のいずれかに対応しており、都市中心部や周辺部の特徴から推定する問題である。
<選択肢>
①【正】
サ=居住期間が5年未満の人口割合。都市中心部や利便性の高い地区ほど短期転入者が多く、高位が分布している
シ=核家族世帯割合。中心部よりもやや郊外の住宅地で高めの分布が見られる場合が多い
ス=第1次産業就業者世帯割合。市街地を離れた周辺部ほど高い傾向にあり、図からも周辺地域に高位メッシュが散在する様子と合致する。
②【誤】
サ・シ・スの割り当てが逆転してしまうと、中心部の転入者の多さや農村部の就業構造との対応がずれ、地図上の特徴を十分に説明できない。
③【誤】
これも指標の対応を別の組合せにすると、核家族世帯や居住期間が短い地域の分布が混乱し、整合性を欠く。
④【誤】
サ・シ・スをさらに異なる割り当てにすることで、郊外農業地域や中心市街地の住民の入れ替わり具合が解釈しづらくなる。結果として地図の分布パターンと噛み合わない。
第4問
問19:正解3
<問題要旨>
図1中のア・イ・ウ・エのうち、水深が最も深い地点を含む海域を見分ける問題。地形図や海溝の位置関係から、特にマリアナ海溝などの超深度を有する場所がどの記号に該当するかを推測する力が問われる。
<選択肢>
①【誤】
「ア」の位置は東南アジアの大陸部付近を指す可能性が高く、大陸棚など比較的浅い海域が多い。世界最深の海溝があるとは考えにくい。
②【誤】
「イ」は島嶼部周辺であると推測されるが、大陸棚から急激に深くなる個所はあっても、世界でも最深級かどうかは疑わしい。
③【正】
「ウ」はマリアナ海溝に近いとみられ、世界最深部チャレンジャー海淵を含む場所が想定できる。よってここが最深の海域を含むと判断される。
④【誤】
「エ」はポリネシア方面など遠洋の島々周辺と推測されるが、そこまで極端な深さの海溝は存在しないため、最深域とはいえない。
問20:正解4
<問題要旨>
図2には、図1中の地点A〜Dのいずれかにおける月平均気温と月降水量が描かれた4つのハイサーグラフが示されている。ここで「D」に相当するグラフがどれかを判断する問題。南北半球や緯度、海洋性・大陸性の違いなどから、気温の推移と降水量の分布を総合的に見極める力が問われる。
<選択肢>
①【誤】
高温期が年の前半に集中し、年後半に気温が大きく下がるパターン。降水量も少なく、明らかに乾季と雨季の落差が小さいため、Dとは異なる可能性が高い。
②【誤】
年間を通じて気温が高く降水量が多いグラフに近い。熱帯雨林や熱帯モンスーン気候を思わせる分布だが、地点Dの特徴とは合わないと考えられる。
③【誤】
気温が30℃前後と高く、夏(北半球の該当時期)に降水量が増すパターン。赤道付近のサバナ気候やモンスーン気候を想像させるが、Dにふさわしい形ではない。
④【正】
夏に気温が下がり、冬に気温がやや高めに推移する反転型のグラフ(南半球)を示すほか、雨季・乾季の明確な偏りがそこまで大きくない。オセアニアや南半球の温暖な沿岸都市などを連想させ、Dに該当すると考えられる。
問21:正解1
<問題要旨>
東南アジアやオセアニアでのプランテーション農業産品として、コプラ油(ココナツから得られる油)、サトウキビ、茶の3種類が挙げられ、それぞれを示す図(カ・キ・ク)の分布から品目との対応を判断する問題。コプラ油はフィリピンやインドネシアなどココヤシ生産が盛んな地域で多く、サトウキビは熱帯〜亜熱帯で広範に栽培され、茶はやや高地を含むモンスーン地域での生産が目立つ。
<選択肢>
①【正】
「コプラ油=カ、サトウキビ=キ、茶=ク」の対応が、図に示される円の大きさや分布と整合する。コプラ油の最大生産国が島嶼部(フィリピン、インドネシア)に集中し、サトウキビがタイやオーストラリア北部などで大きく示され、茶がインドネシアや一部大陸部で見られるため、納得できる組み合わせとなる。
②【誤】
「コプラ油=カ、サトウキビ=ク、茶=キ」とすると、サトウキビと茶の分布が逆になり図の情報と矛盾が生じる。
③【誤】
「コプラ油=キ」とした場合、図中の大きな円が島嶼部に集中しているかどうか合致せず、ずれが生じる。
④【誤】
「コプラ油=キ、サトウキビ=カ、茶=ク」なども同様に、生産量の中心地との対応が逆転してしまい、図に描かれた分布パターンと食い違う。
⑤【誤】
「コプラ油=ク、サトウキビ=カ、茶=キ」でも、同様に分布の逆転を起こしてしまう。
⑥【誤】
「コプラ油=ク、サトウキビ=キ、茶=カ」のような組み合わせでは特にコプラ油の島嶼部集中と一致せず、図と合わない。
問22:正解3
<問題要旨>
東南アジアやオセアニアにおける鉄鉱石・すず・ニッケル・ボーキサイトの世界生産シェアを示す表(①〜④)を照合し、どれがボーキサイトの分布に当たるかを判定する問題。オーストラリアが世界有数のボーキサイト産出国として知られ、表中の数値からもオーストラリアの占める割合が大きい列を探すことが鍵となる。
<選択肢>
①【誤】
東南アジア(島嶼部)やオーストラリアの数値バランスが、鉄鉱石やすずなどに近い分布を示し、ボーキサイトとしては合わない。
②【誤】
東南アジア(島嶼部)のシェアが際立って高い列であり、ニッケルやすずの分布に近い可能性があるが、オーストラリアの数値がそこまで突出していないため、ボーキサイトと判定しにくい。
③【正】
オーストラリアが3割を超える大きな世界シェアを占めている列。実際にオーストラリアは世界的なボーキサイト輸出国として著名であり、東南アジア島嶼部やその他地域の比率もこの列と整合する。
④【誤】
別の鉱産資源の分布を示唆する数値で、東南アジア大陸部や島嶼部よりもオセアニア全体の比率が微妙に異なるため、ボーキサイトとは一致しない。
問23:正解1
<問題要旨>
図4では、サ・シ・ス・セの4つの国間の輸出額フローが示され、オーストラリア・タイ・中国・ラオスのいずれかを割り当てる問題。オーストラリアは輸出総額が大きく、資源の対外輸出などが盛んであることが図の矢印の太さなどから示唆される。
<選択肢>
①【正】
「サ」がオーストラリアとすると、他の国への輸出額が大きい矢印が複数見られ、かつ工業製品や鉱産資源の対外輸出を多方面に行っている形が図と合致する。
②【誤】
「シ」がオーストラリアだと仮定すると、最も矢印が太い部分と国力の対応に食い違いが生じる。大きな輸出が複数方面に及ぶ構図は「サ」の方があてはまりやすい。
③【誤】
「ス」にオーストラリアを当てはめても、矢印の太さや取引相手国の多さと不釣り合いになる。
④【誤】
「セ」がオーストラリアだとしても、図中の数字・矢印の太さと国の実態が整合しづらい。
問24:正解1
<問題要旨>
東南アジアやオセアニアの国々の歴史・文化にまつわる事項から、適切でない(事実と異なる)記述を選ぶ問題。宗教分布や旧宗主国の影響、移民政策の変遷と多文化共生などのトピックが挙げられており、現地の実態を正しく把握しているかが問われる。
<選択肢>
①【誤】
「インドネシアのバリ島ではムスリム(イスラム教徒)が人口多数」というのは誤り。バリ島はインドネシアの中でもヒンドゥー教が多数を占める地域として知られている。よって不適切な文となる。
②【正】
オーストラリアは1970年代に白豪主義政策を廃止し、移民を受け入れて多文化主義へ転換した。実際に多様な背景をもつ住民が社会を構成している。
③【正】
シンガポールでは英語が行政やビジネスの共通語として使われている。学校教育にも取り入れており、公用語として中華系やマレー系など多民族間の意思疎通に英語が用いられる。
④【正】
ベトナムはかつてフランス領だった歴史をもち、コーヒーを飲む習慣やバゲット(フランスパン)文化など、旧宗主国フランスの影響が見られる。
第5問
問25:正解2
<問題要旨>
図2中のアとイは、図1の長江とアマゾン川のいずれかの河川勾配を示す折れ線であり、図3中のAとBは、その河川の流量観測地点における月平均流量を棒グラフで示している。長江・アマゾン川それぞれについて「勾配(ア・イ)と流量分布(A・B)」を組み合わせる問題。季節による流量の変動幅や河川の標高変化(勾配)を比較して、どちらが長江に相当するかを見極める。
<選択肢>
①【誤】
「河川の勾配=ア、月平均流量=A」の組み合わせとするが、アの勾配は標高が上流に向けて急峻に上がることを示唆しており、流量Aも年間を通じて大きく変化する。実際、アマゾン川のほうが流量が遥かに多い傾向があるため、長江と対応づけるには矛盾しやすい。
②【正】
「河川の勾配=ア、月平均流量=B」が長江を表しているとすると、アは河口から約3000kmにかけて急峻に標高が上がる様子を示し、Bは年間の流量変化が比較的緩やかなグラフで、流量値自体もアマゾン川ほど大きくない。中国の気候や長江の流量特徴とも整合する。
③【誤】
「河川の勾配=イ、月平均流量=A」を長江とする場合、イは大きく標高が上がらない緩やかな曲線であり、Aは年間を通じて大量の水量と大きな季節変動がみられる。むしろイがアマゾン川の緩やかな勾配、Aがアマゾン川の巨大流量を示すと考えたほうが自然で、長江とは合わない。
④【誤】
「河川の勾配=イ、月平均流量=B」を長江とみなすと、イが非常に緩やかな勾配のため急峻な山地を通る長江の上流の特徴を反映しにくい。またBの流量規模を長江とするには微妙な印象があり、無理がある。
問26:正解3
<問題要旨>
図4のカ〜クは、中国とブラジルそれぞれにおける「牛乳」「小麦」「バナナ」の生産量の地域的分布を円で示したもの。国全体に占める生産比率が州・省ごとに可視化されており、品目の栽培条件や家畜飼育の地域差を踏まえ、どれが牛乳・小麦・バナナに該当するかを組み合わせる問題。
<選択肢>
①【誤】
牛乳=カ、小麦=キ、バナナ=ク、と割り当てるが、それぞれの地図上の円の大きさや分布状況が合わないケースがある。たとえば牛乳の主産地がブラジル南部や中国北部に集中するかなど、配分に無理が生じやすい。
②【誤】
牛乳=カ、小麦=ク、バナナ=キ、とすると、バナナの分布が中国南部やブラジル北部寄りに集中しているかなど、図の分布と逆転現象が起こる。
③【正】
牛乳=カ、小麦=キ、バナナ=ク、の組み合わせが各地図の円の大きさや産地分布と一致しやすい。カは中国北部やブラジル南部付近で円が大きく、乳牛飼育が盛んな地域を示す。キは中国の華北平原やブラジル中南部の一部が中心となる小麦。クは南の熱帯性気候に適応したバナナが多い地域と合致する。
④【誤】
牛乳=キ、小麦=カ、バナナ=クなど、他の組合せもあるが、地図との対応が食い違う点が多く、整合が取れない。
⑤【誤】
牛乳=キ、小麦=ク、バナナ=カとするなど、さらに組み替えても主要生産地の分布が噛み合わない。
⑥【誤】
牛乳=ク、小麦=カ、バナナ=キという割り振りも同様に、中国南部やブラジル北部に大きな円が来る品目が何かなどで矛盾が多い。
問27:正解3
<問題要旨>
BRICS各国(インド・中国・ブラジル・ロシア)の製造業全体に占める品目別の割合をグラフで示した図5をもとに、「サ〜セ」のいずれかが「食料品・飲料」に該当するかどうかを問う問題。各国の工業構造を比べ、農畜産物の加工が盛んな国や、機械・石油製品が大きい国などの特徴を読み解き、どの項目が食料品・飲料にあたるかを推定する。
<選択肢>
①【誤】
「サ」が食料品・飲料だとすると、インドやブラジルで非常に大きい比率を占めるかなどが確認されるが、実際のグラフとの対応で不整合が生じる場合がある。
②【誤】
「シ」を食料品・飲料とすると、特定国の割合が大幅に高い・低いなどが合わず、インドやブラジルの実際の食料品工業規模と矛盾する。
③【正】
「ス」が食料品・飲料に該当すると、ブラジルなど農畜産物の加工が重要産業である国で割合が大きくなる一方、中国やロシアではそこまで大きな比率を占めていないことが図から読みとれ、説明が成立しやすい。
④【誤】
「セ」を食料品・飲料とする場合、インドやブラジルでの比率・中国での比率など、グラフ上のパターンと整合しない点が出てくる。
問28:正解2
<問題要旨>
表1では、ある「国土面積が広い国」4か国の鉄道貨物輸送量(億トンキロ)と国内航空貨物輸送量(百万トンキロ)が示されている。アメリカ合衆国、インド、中国、ブラジルのいずれかに該当し、「中国」がどれかを選ぶ問題。鉄道インフラと航空網の発達度合いを比較し、広大な国土を持つ国の運輸特性を読み解く必要がある。
<選択肢>
①【誤】
鉄道貨物輸送量が27,027億トンキロ、国内航空貨物が15,619百万トンキロ。大きく両方とも高水準のため、米国の可能性が高い。中国よりも航空貨物もかなり大きい数値になっている可能性がある。
②【正】
鉄道貨物が23,087億トンキロ、国内航空貨物が5,948百万トンキロ。中国は鉄道貨物輸送量が非常に大きい一方で、国内航空貨物も一定の規模を持つが、米国ほど突出していないという特徴に合致する。
③【誤】
22,986億トンキロ、772百万トンキロという組み合わせで、国内航空が非常に小さい。ロシア連邦などの可能性が想定される。
④【誤】
6,658億トンキロ、620百万トンキロのように規模が相対的に小さく、鉄道や航空インフラが先進国ほど発達していないブラジルやインドなどを想起させるが、中国とは差が大きい。
問29:正解2
<問題要旨>
図6には、日本における「中国国籍またはブラジル国籍をもつ居住者数」の推移が示され、図7には「中国またはブラジルにおける日本出身の居住者数」の推移を示す。それぞれ1990年の値を100とした指標で変化を比較したものであり、「タ・チ」および「X・Y」のどちらが中国、どちらがブラジルを示すかを判断する問題。ブラジルの日系人コミュニティ、中国に住む日本人駐在者の動向などがヒントになる。
<選択肢>
①【誤】
「中国国籍またはブラジル国籍をもつ居住者数=タ、日本出身の居住者数=X」とすると、図6・図7の増減パターンが中国・ブラジルと合致しない部分がある。タが大幅に上昇しチが横ばいなら中国とブラジルの実情とずれを起こす可能性が高い。
②【正】
「タ」は中国関連、すなわち日本国内の中国国籍者が増えてきた推移を示し、やや緩やかに下がる時期もあるグラフ、そして「チ」はブラジル関連として、日系ブラジル人が減少または停滞する時期がみられる。図7のXがブラジルでの日系コミュニティや日本人ルーツ人口の緩やかな推移を示しているなど、グラフの形状と照合すると整合しやすい。
③【誤】
「タ」と「X」をブラジル側にまとめるなどの組合せにすると、図6・図7の軸の変化と国の事情を十分に説明できなくなる場合が多い。
④【誤】
「チ」を中国側、Xをブラジル側としても増減幅や近年の傾向が食い違い、整合性を確保できない。
第6問
問30:正解5
<問題要旨>
表1には、甲府を含む3地点(御前崎・甲府・東京)の気象観測所ごとに「夏季の気温の日較差(6〜8月の平均)」と「冬季の総降水量(1・2・12月の合計)」が示されている。これらの観測所がどれに該当するか(ア・イ・ウ)を組み合わせる問題である。内陸盆地では夏の日較差が大きく、冬季の降水量は比較的少ないなどの特徴を踏まえて、御前崎・甲府・東京の各地点を推定する。
<選択肢>
①【誤】
「御前崎=ア、甲府=イ、東京=ウ」という組合せ。御前崎は海洋性気候の影響を受けて夏の日較差が小さい傾向があるはずだが、アは日較差9.4℃と最も大きい数値を示すため不自然。
②【誤】
「御前崎=ア、甲府=ウ、東京=イ」という組合せ。甲府がウ(5.1℃、248.7mm)に割り当てられているが、甲府は内陸盆地で夏の日較差が大きい一方、ウは最も日較差が小さいため噛み合わない。
③【誤】
「御前崎=イ、甲府=ア、東京=ウ」とすると、甲府にア(9.4℃、118.4mm)を当てるのは日較差が大きい点で合うものの、御前崎がイ(6.5℃、159.4mm)としては降水量との整合にやや疑問が残る。東京をウとしても、ウの降水量が最大という点で都心部とはずれを感じる。
④【誤】
「御前崎=イ、甲府=ウ、東京=ア」という組合せも、甲府がウ(5.1℃、248.7mm)なら夏の日較差が小さすぎる。東京がアで最も日較差が大きいのも疑わしく、この割り当ては難しい。
⑤【正】
「御前崎=ウ、甲府=ア、東京=イ」の組合せ。
- 甲府=ア(夏の日較差9.4℃、冬季降水118.4mm):内陸盆地特有の夏の大きな日較差と冬季の降水量が少なめ、という特徴に合致する。
- 東京=イ(6.5℃、159.4mm):沿岸部ほどではないが比較的日較差はそこそこで、冬季降水量も中程度。
- 御前崎=ウ(5.1℃、248.7mm):海に近い地点として夏日較差が最小かつ冬季の降水量が大きい。
この3地点の気候特性とデータの数値が最もよく一致する。
⑥【誤】
「御前崎=ウ、甲府=イ、東京=ア」など、さらに置き替えても、甲府がイ(6.5℃、159.4mm)だと日較差がやや小さく、海洋性が想定されてしまうため矛盾が生じやすい。
問31:正解2
<問題要旨>
図2は、Wの範囲(甲府盆地とその周辺)を200mごとの等高線で示した地形図で、図3はそれをある方位から見下ろした鳥瞰図のイメージを表したもの。選択肢①〜④の「どの方向から見ているか」を判別する問題である。甲府盆地を取り囲む山地の標高分布や、南北・東西方向の地形変化を比較しながら、鳥瞰方向を推定する。
<選択肢>
①【誤】
北方向から南を見下ろす場合、富士山方面は手前(南西)になり、図3の山々の隆起や盆地の開き方との配置が合わないことが多い。
②【正】
「東側から西に向かって見下ろす」場合、左手(南側)に富士山があるイメージとなり、中央部に広がる甲府盆地、その奥(西側)に南アルプスなどの山地が高くそびえる形になる。図3の凹凸の強調と方位の関係からこれが最も自然である。
③【誤】
南方向から北を見下ろすなら、富士山は背後に来やすく、また盆地中央〜北側の山並みの見え方が図3と異なるため不一致。
④【誤】
西から東を見下ろす場合、富士山は右側奥に位置し、なおかつ北部の山地との位置関係も変わるため、図3の形状とは食い違う。
問32:正解2
<問題要旨>
図4では、1916年の地形図(石積みの堤防が描かれている)と2008年発行の同地域の地形図を重ね合わせ、扇状地を流れる御勅使川(みだいがわ)の旧流路と現流路、周辺の土地利用状況を示している。選択肢①〜④は図4中のA〜Dいずれかの地点における土地利用の特徴をまとめた文章で、「D」に相当する説明を選ぶ問題である。
<選択肢>
①【誤】
「1916年ころには御勅使川がここを流れていたが、直線的な道路整備により住宅や農地がみられるようになった」という説明は、川筋の変遷や開発を示唆しているが、D地点の地形・土地利用には直接当てはまらない可能性が高い。
②【正】
「かつては水を得にくい土地だったが、用水路の整備や低地との高低差を利用し果樹栽培が広くおこなわれるようになった」という趣旨。D地点は標高がやや高い扇状地上部に近く、水利の改善で畑や果樹園が広がった事例が多い。地形図や地域住民への聞き取りとも整合する。
③【誤】
「扇状地のより高い位置にあり、被害を免れた」というのは、別の場所(扇状地の上部)に当てはまりそうだが、必ずしもD地点の特徴を要約したものではない場合がある。
④【誤】
「古くからの集落があり、等高線に沿うように道路が延びている」等は、山麓の別の地形や集落形態を表している可能性が高く、D地点に適切とはいえない。
問33:正解1
<問題要旨>
写真1は、神金(かみかね)地域の伝統的家屋を撮影したもので、屋根の中央部が高く突き上げられている。会話文では「養蚕を行うため屋根裏を改修した」「屋根の中央部(サ)と採光に配慮した構造」「養蚕業が明治~昭和中ごろに盛んだった」などが述べられている。サとシに当てはまる語句(通気性、防音性/遅くまで行われていた、早くに縮小した)を選ぶ問題。
<選択肢>
①【正】
「サ=通気性、シ=遅くまで行われていた」
── 養蚕期には屋根裏で蚕を育てるため通気性を確保し、高温多湿を避ける工夫が必要だった。また会話文では、神金地域は塩山地区より養蚕業が遅くまで行われていた、と言及されているため、この組合せが合致する。
②【誤】
「サ=通気性、シ=早くに縮小した」とすると、会話文での神金地域の方がむしろ長く続いていた旨と矛盾する。
③【誤】
「サ=防音性、シ=遅くまで行われていた」は、屋根裏改修の主目的を防音とするのは不自然。会話文の内容とかけ離れる。
④【誤】
「サ=防音性、シ=早くに縮小した」も同様に、防音を目的とした屋根形状という説明は成り立たず、神金地域の養蚕業が早期に衰退したというのも文中と食い違う。
問34:正解3
<問題要旨>
図6には、甲府駅南側の中心市街地周辺で、1991年と2017年の大型小売店の分布や店鋪面積が示されている。駅からの距離、主要道路やバイパス沿いへの進出状況を比較し、小売業の立地変化を読み取る問題である。選択肢①〜④は、図の読み取りをもとにした説明文で、もっとも妥当なものを選ぶ。
<選択肢>
①【誤】
「1991年時点での店舗面積1万m²以上の大型小売店は、甲府駅から半径1kmの範囲内よりも範囲外の方が多い」── 図を確認すると、駅周辺にも大型店があり、一概に範囲外の方が多いとは言えない。
②【誤】
「1991年時点と2017年時点を比べると、2017年の方が駅から半径1kmの範囲内で店舗面積1万m²未満の大型小売店が多い」── 図では必ずしも小型の大型店が駅近に集中するとは限らず、このように断定しにくい。
③【正】
「2017年時点での甲府バイパスより南側にある店舗面積1万m²以上の大型小売店は、1991年時点に農地であった場所に立地している」── バイパス沿いに新しく郊外店が建てられたケースがあり、地図を見比べると以前は農地だったエリアが開発されていることが読み取れる。
④【誤】
「2017年時点での甲府バイパスより南側にある店舗面積1万m²以上の大型小売店は、それぞれ最寄りの駅から500m以内に立地している」── 実際には駅から離れた郊外に立地するため、500m以内は不自然。
問35:正解1
<問題要旨>
図7は、北杜市の「自然増加率・社会増加率」の推移を示し、図8は北杜市への転入者の年齢別構成を、山梨県・東京都・神奈川県・長野県からの転入に分けて示している。それらを踏まえ、①〜④の記述のうち「適当でない(誤り)」ものを選ぶ問題。
<選択肢>
①【誤】
「自然増加率と社会増加率の関係からみて、2010年から2017年にかけて北杜市の総人口は増加している」という断定は誤り。社会増加率がプラスに転じても、自然増加率のマイナス幅が大きい場合、総人口は減少している可能性がある。グラフを見ても自然増加は負の値が続き、人口増加につながったとは言いがたい。
②【正】
「北杜市では、2015年を除いて転入者数が転出者数を上回っている」── 図7を見ると、社会増加率が多くの年でプラス圏にあるため、そのように読み取れる。
③【正】
「東京都と神奈川県からは、2015年時点における転入者に占める高齢者の割合が他の2県に比べて高い」── グラフでは、首都圏からの移住に高齢層の移住者が一定数含まれる傾向が読み取れる。
④【正】
「山梨県内からは、2015年時点における中学生以下の子どもと同居する世帯単位の転入の割合が他都県より高い」── 図8を見ると、山梨県内からの転入は若年層や子ども連れが比較的多いと考えられ、そのような傾向が示唆される。