2019年度 大学入試センター試験 本試験 地理A 解答・解説

目次

解答

解説

第1問

問1:正解4

<問題要旨>
図中の地域(D〜GのうちE)の代表的な地形の特徴を問う問題です。選択肢では、石灰岩の溶食作用・長期侵食によるなだらかな山脈・氷河の侵食作用・海流の影響による砂嘴など、主に自然地形の成因を取り上げています。Eの位置が暖流の影響を受けやすく砂が堆積しやすい海岸であると考えられ、砂嘴の形成がみられることを推測する問題です。

<選択肢>
①【誤】
「石灰岩の溶食作用による大小の凹地(カルスト地形)」を示していますが、これは内陸の石灰岩分布地域などで典型的に見られる地形です。E付近の気候や海岸線の様子を踏まえると、カルスト地形ではないと考えられます。

②【誤】
「造山運動後の長期侵食でなだらかになった山脈」に関する説明です。山地として標高が高い地域で起こりやすい現象であり、海岸付近の低地に対応する地形とはいえません。

③【誤】
「氷河の侵食作用によって形成された大規模な谷地形」は、高緯度や標高の高い地域など、氷河が発達した地域で主に見られます。温暖な海流の影響を受ける沿岸域とは結びつきにくいため不適当です。

④【正】
「付近を流れる海流の影響で形成された砂嘴」は、沿岸流による砂の堆積で生じる代表的な海岸地形です。E付近が比較的温暖な海域で潮流の影響を受けやすいと考えると、砂嘴形成が想定されます。

問2:正解1

<問題要旨>
図2の降水量グラフ(①〜④)のいずれかが、図1中の緯線上の地点(ア〜エ)を示す問題です。ある場所の季節降水の特徴を棒グラフから読み取り、該当する地域を特定する力が問われます。

<選択肢>
①【正】
グラフ①は、比較的乾燥した時期と多雨期が明確に分かれており、徐々に降水量が増加していくような季節変化が見られます。夏季にまとまった雨が降るモンスーン地域などの特徴と照合した際、与えられた緯度と気候区分に合致すると考えられます。

②【誤】
グラフ②は年間を通じて降水量がほぼゼロに近い状態で、極度に乾燥した砂漠気候を想定します。問題文にある地点イはここまで極端に降水量が少ない気候条件ではないと推測できます。

③【誤】
グラフ③は年間を通じて降水量が確保されている一方で、夏季や冬季に一定の変化はあっても、乾季・雨季が極端に分かれているわけではありません。モンスーンやサバナ気候ほど明瞭な降水変化ではないといえます。

④【誤】
グラフ④は四季を通して降水量が高水準で、夏と冬の差がそこまで大きくないタイプです。熱帯雨林や西岸海洋性気候など、年間を通じて平均的に降水が多い地域に近い分布ですが、問題文で指示された地点イには当てはまらないといえます。

問3:正解4

<問題要旨>
「国や領域」に関する基本的な知識を問う問題で、下線部の記述が適切かどうかを判断する設問です。人口・領域・主権といった国家の三要素や国境線、排他的経済水域(EEZ)の定義などが論点となっています。

<選択肢>
①【正】
国家が成立する三要素として「国民・領域・主権」を挙げるのは一般的な理論です。

②【正】
国家領域の画定に人工的な国境線(緯線・経線による区画など)を用いる例は、アフリカや北米などで多数見られます。

③【正】
世界には明確な国境が定められていない地域(南極や一部の係争地域など)があります。

④【誤】
「排他的経済水域(EEZ)は領海に含まれ、海域面積が領土に含まれる」という点は誤りです。EEZは沿岸国に資源利用権などが認められる海域ですが、領海とは別の概念であり、国家の領土そのものではありません。

問4:正解6

<問題要旨>
図3では、P〜Rのいずれかの地点における月平均の日の出・日の入り時刻を示しており、それぞれを表した折れ線(カ・キ・ク)の組合せを問う問題です。高緯度ほど夏と冬で昼の長さが大きく変化し、赤道付近ほど年間を通じて昼夜の長さの変化が小さいなど、地球上の緯度差による特徴を読み取る力が求められます。

<選択肢>
①【誤】
P,Q,Rをカ・カ・キ…などと対応させた組合せですが、高緯度と低緯度の特徴づけが不十分で、各折れ線の振れ幅と合いません。

②【誤】
P,Q,Rをキ・ク・カ…という組合せ。同様に、折れ線の季節変化の大きさが実際の緯度分布を説明しきれない可能性が高いです。

③【誤】
P,Q,Rをカ・カ・ク…という組合せ。夏と冬の日の長さの差が大きい地点を高緯度として割り当てるならば、折れ線の形状と噛み合わない部分があります。

④【誤】
P,Q,Rをキ・ク・ク…の組合せ。折れ線の特徴を見ると、高緯度ほど夏期の日の出が極端に早く冬期が極端に遅いはずであり、該当する折れ線と合致しません。

⑤【誤】
P,Q,Rをス・サ・シ…のような組合せ(問題の記号と実際が異なっている場合など)。各折れ線に対して適正に緯度を振り分けられていないため誤りといえます。

⑥【正】
P,Q,Rをク・キ・カ…など、実際の緯度差に基づき、グラフの振れ幅(年間での日の長さの違い)を正しく割り当てた組合せと考えられます。高緯度地点では夏と冬の日照時間が大きく変動し、低緯度地点では変動が小さい、という特徴が合う組合せです。

問5:正解4

<問題要旨>
GIS(地理情報システム)で扱う「位置情報」に関する問題です。地表上の地点を示す情報かどうか、または位置を特定できる情報かどうかを判断する力を問われます。

<選択肢>
①【正】
「ガイドブックに紹介されている店舗の住所」は地理的な場所を特定できる情報なので、位置情報に含まれます。

②【正】
「GPSから取得した集合場所の緯度・経度」は、座標によって地点を直接示す位置情報であり、GISの典型的な利用対象です。

③【正】
「都道府県の観光統計に掲載されている市区町村名」は、どの行政区域かを示す意味で地理的な位置情報に該当します。

④【誤】
「方位磁石において示される方角」は、その地点の向きや方向を示すだけで、緯度・経度のように『場所』を特定するための情報にはなりません。従って一般的にはGISが扱う位置情報とはみなされにくいです。

問6:正解2

<問題要旨>
イチョウの黄葉日から、日本各地の季節変化や気候差を読み解く問題です。標高や緯度、地域の気温などによって落葉・黄葉の時期が変わるため、表にある観測値から最も適切な日にちを選びます。

<選択肢>
①【誤】
「11月23日」は、より北部や標高が高い地域であれば黄葉がもっと早まる、あるいは低緯度であれば逆に遅くなるなど、表のほかの地点と比較した際に合致しないことが考えられます。

②【正】
「11月18日」は、水戸市の緯度や標高、気温条件からほかの選択肢と比べてバランスが良く、平年値として想定しやすい日付です。

③【誤】
「11月8日」は、標高の高い長野市のような場所なら早めの黄葉日とも重なるかもしれませんが、水戸市はより標高が低く暖かい地域のため、これほど早い時期には黄葉のピークに達しにくいと考えられます。

④【誤】
「10月25日」はさらに黄葉時期としては早すぎるため、水戸市の気候条件とは合いにくいと推測されます。

問7:正解5

<問題要旨>
災害時の「防災期(予防)」「応急対策期(発生直後)」「復興期」において、GISをどのように活用するか、その段階と事例を正しく組み合わせる問題です。衛星画像や被害状況マップの作成、インフラ復旧の可視化、避難経路の表示などが災害対応のどの段階で有効かを考察します。

<選択肢>
①【誤】
「予防期にサ、応急対策期にサ、復興期にス」のような割り振りでは、災害直後に行うべきはサ(空中写真や衛星画像から被害箇所の把握)ではあるものの、予防期と応急対策期で同じ作業になるのは不自然です。

②【誤】
「予防期にサ、応急対策期にス、復興期にサ」という組合せも、災害直後の被害把握をス(避難経路をGISで表示)に任せるのは優先順位が異なるため整合しません。

③【誤】
「予防期にシ、応急対策期にサ、復興期にス」のような割り振りだと、予防期に被害分布や社会基盤の復旧状況を可視化するのは時期的に合致しにくいです。

④【誤】
「予防期にシ、応急対策期にス、復興期にサ」の場合、予防期はまだ被害が起きておらず復旧状況の可視化を行う段階ではないので整合性が取れません。

⑤【正】
「予防期にサ、応急対策期にシ、復興期にス」という流れは、

  • 予防期(災害前)に空中写真・衛星画像で地域特性を把握し、被害想定マップを事前に作成しておく(サ)。
  • 応急対策期(災害直後)に被災分布や社会基盤(インフラ)の復旧状況を可視化・共有し、安全な対策を計画する(シ)。
  • 復興期(長期)に避難経路などをGISで表示し、交通や人口、地形情報を組み合わせて再発防止策や街づくりを検討する(ス)。
    という手順として妥当な組合せになります。

⑥【誤】
「予防期にス、応急対策期にサ、復興期にシ」のように、予防期に避難経路の表示・検討のみを行うのは一面では有効ですが、被害想定マップを作るべきタイミングとずれが生じます。

問8:正解4

<問題要旨>
日本の自然環境や防災設備に関する問題です。写真に示された構造物が、どの自然災害を主に想定した対策設備であるかを問う内容です。堤防や調節池、道路沿いの柵、避難階段など、それぞれ異なる災害対策の狙いがあります。

<選択肢>
①【誤】
「擁壁(ようへき)」は、土砂崩れや斜面の崩壊を防ぐための構造物で、斜面を支えることを目的とします。津波対策ではありません。

②【誤】
「調節池」は、大雨時の河川増水を一時的にため、水害(洪水被害)を緩和するための設備です。津波対策とは用途が異なります。

③【誤】
「道路沿いの柵」は、主に走行車両の防音、防風、衝突防止などを目的とした設備が多く、津波被害を軽減するものではありません。

④【正】
「避難階段」は、津波が発生した際に高台へ素早く避難するための構造物です。津波被害を想定した地域では高所へ逃げる手段が重要で、写真のような階段がその対策として設置されることがあります。

第2問

問9:正解3

<問題要旨>
地図中の地点A~Dのいずれかで行われる祭礼や伝統文化に関するイベントの写真(①~④)を見比べ、該当する地域を推測する問題です。騎馬による競技や踊りといった伝統芸能が特徴的な写真を、地図上の地点Cにあてはめる力が問われます。

<選択肢>
①【誤】
白い布を身にまとった人々が練り歩いている様子が写っており、インドや東南アジアなどの地域で見られる宗教的行列を思わせます。これを地点C(内陸部の騎馬文化が色濃い地域)にあてはめるのは不自然です。

②【誤】
勇壮な装いで踊る人々が写っており、アフリカや中南米などで行われる伝統的な踊りの一場面を連想させます。騎馬競技を中心とした文化ではないため、地点Cとは結び付きにくいです。

③【正】
騎馬に乗った人々が集団で競技をしているように見える写真です。草原地帯など、馬を用いた祭典(ナーダムなど)で知られる地域の様子と考えられ、地図上のC(内陸アジアの草原地帯)に対応しやすいと推測されます。

④【誤】
民族衣装の人々が円形に踊っており、ヨーロッパ地域などで伝統的なフォークダンスとして見られる光景に近いです。地点Cと想定される内陸アジアの雰囲気とは異なるため不適当です。

問10:正解4

<問題要旨>
図2に示された2つの国章(ア,イ)と、2つの説明文(X,Y)を組み合わせ、地図上のF・Gのどちらがどの国章・どの国の特徴に当てはまるかを問う問題です。国章に描かれたダムや宗教施設、農作物、月と星のシンボルなどから国を比定し、さらに「雨季と乾季がはっきりして焼畑が行われる」「大規模な灌漑農業が行われてきた」などの説明文を照合する力が求められます。

<選択肢>
①【誤】
(国章ア+説明X)と(国章イ+説明Y)の組合せを誤った形、または逆にしている可能性があります。たとえば、ダムや宗教施設があって山地が多い国をYにあてると、灌漑主体の平原国との特徴が食い違います。

②【誤】
(国章ア+説明Y)と(国章イ+説明X)にしている場合、国章の描写と説明文の内容がかみ合わない例が考えられます。雨季・乾季が明瞭で山地が多く、焼畑が伝統的に行われる国の国章にダムや森林、稲などが描かれているのを無視することになるからです。

③【誤】
(国章イ+説明X)のほうを山地が多い国と結び付けるなど、国章や象徴的農作物に整合しない組合せになると、特徴と国章図案が矛盾します。

④【正】
国章アはダム・稲・宗教施設などが描かれ、雨季・乾季がはっきりした山岳地帯での伝統的焼畑が想定される「説明X」を対応させることが妥当です。一方、国章イは月と星、綿花・茶・麦などがあしらわれ、国土の多くが乾燥帯に位置する「説明Y」(灌漑を中心にした農業)と結び付きます。これらの国章と説明文の組合せとして、選択肢④が適切です。

問11:正解2

<問題要旨>
表1では、ある3か国の淡水化水・地下水・地表水の年間使用量が示されています(単位:億m³)。各数値から、主に脱塩処理した海水を利用しているかどうか、地理的要因によって地下水・地表水を多用するかを推測し、国名(アルジェリア、日本、メキシコ)との対応を考える問題です。

<選択肢>
①【誤】
ここでは3か国の組合せを正しくマッチングできていません。淡水化水を利用するかどうか、総使用量の内訳などで食い違いが生じます。

②【正】
淡水化水を6億m³使用している「カ」は、乾燥地域を抱え海水淡水化が重要な「アルジェリア」。地下水318億m³・地表水510億m³を利用する「キ」は、水資源が豊富で地表水を重視する「日本」。そして地下水94億m³・地表水719億m³を利用する「ク」は「メキシコ」と考えると、数値バランスが合致します。

③【誤】
アルジェリアと日本、メキシコのうち、淡水化水のある国を誤って他国に割り当てているなど、淡水化水の有無や利用規模と実情が整合しません。

④【誤】
それぞれの国の水利用特徴を大きく取り違えている可能性が高く、淡水化水を利用しない国をアルジェリアとするなどの誤結合が生じます。

⑤【誤】
同様に、どの国がどの程度の地下水・地表水を利用しているかを考慮すると、ここで示される組合せは矛盾を含むと考えられます。

⑥【誤】
表の数値を見れば、淡水化水が0の国が2つ、6の国が1つという構成です。これを他の組合せで割り当てると、国の特性と合わなくなります。

問12:正解5

<問題要旨>
イモ類(キャッサバ、ジャガイモ、タロイモ)の世界生産量上位10位までの国・地域を地図上に示し、その分布を比べた図(サ・シ・ス)をどの作物に対応させるかを問う問題です。生産国が集中する気候帯や大陸などを読み取り、どのイモ類かを推測する力が求められます。

<選択肢>
①【誤】
図「サ」「シ」「ス」のうち、どれをキャッサバ・ジャガイモ・タロイモとするかを誤って組み合わせた例です。大陸ごとの特徴が合いません。

②【誤】
キャッサバの主要生産地域は主に熱帯アフリカや東南アジア、ジャガイモの主要生産国は中国やインド、ロシアなど。こうした分布を混同すると誤りとなります。

③【誤】
キャッサバを「シ」、ジャガイモを「サ」と誤って割り当てているなど、世界地図の分布パターンと生産実態が齟齬をきたします。

④【誤】
キャッサバを「シ」、タロイモを「サ」などと取り違えれば、アフリカや南米に大きな生産円が描かれている図との照合で不一致が生まれます。

⑤【正】
キャッサバの大生産地はナイジェリアやブラジル、タイなどで、図の「ス」がそれら熱帯地域に大きな円が集中していることと一致。ジャガイモは中国、インド、ロシアなどが多いため、「サ」に大きな円が示されているのが妥当。タロイモはアフリカ西部や東南アジア太平洋地域に散在しており、「シ」の分布として合致しやすい。これらの組合せを確認すると選択肢⑤が論理的に正しいと考えられます。

⑥【誤】
キャッサバとタロイモを逆に判定するなど、熱帯性作物の中心地を見誤る配分となるため不適切です。

問13:正解2

<問題要旨>
訪日外国人旅行者数の国・地域別推移(図4)を見て、そこに関する文章①~④のうち「適当でないもの」を選ぶ問題です。グラフでは、中国や韓国、台湾など東アジアからの訪日客が大きな比率を占め、近年の伸びが顕著であることが示唆されます。

<選択肢>
①【正】
「移動時間が比較的短い東アジアからの旅行者が2016年時点で過半数」という主旨であれば、グラフ上でも東アジア圏の比率は高いため妥当です。

②【誤】
台湾からの旅行者が「2007年から2016年にかけて最も増加数が大きい地域」と書かれている場合など、実際の統計を確認すると他の地域が伸び幅で上回る可能性があるなど、数字に食い違いがある表現が含まれていると考えられます。このため「適当でない」文章に該当しやすいです。

③【正】
「中国語やハングルによる観光地の案内が増えている」といった指摘は現実に即しており、訪日客を呼び込むための多言語対応の事例としては広く見られます。

④【正】
「イスラーム教義にもとづくハラール対応の食事を提供する飲食店が増加している」という流れも、外国人観光客の多様化に伴う取り組みとして実際に進んでいます。

問14:正解1

<問題要旨>
国境や民族・国民の問題と、人々の生活様式や移動との関係を問う問題です。歴史的に引かれた国境が住民に与える影響や、多数民族・少数民族との関係などを読み解き、最も適切な記述を選びます。

<選択肢>
①【正】
「検問が廃止され、人々が自由に往来できる国境がある」は、EU諸国内などシェンゲン圏の例を挙げれば実例が存在します。完全に無制限ではないにせよ、比較的自由な移動が可能な国境は見られるため、一部地域では適切な表現です。

②【誤】
「国境線が画定されると当該国の内部では住民の生活様式が一律に統一される」というのは過度な一般化です。実際には国内でも地域差が大きく、生活様式は多様に存在します。

③【誤】
「少数民族の意向を最大限尊重して国境線を引いた」というのは、歴史的経緯を見ても多くの場合あまり当てはまりません。植民地時代や各国の思惑で国境線が設定され、少数民族の意向が尊重されなかった地域のほうが多いと考えられます。

④【誤】
「自然の障壁によって国境線が決まった地域では、民族問題や領土問題が起こらなかった」わけではありません。山脈や河川などを国境線とした地域でも、民族・宗教対立や帰属問題が多く発生しています。

問15:正解4

<問題要旨>
地域固有の文化や特性を大切にする取り組みについて述べた文のうち、「適当でないもの」を選ぶ問題です。先住民の言語の公用化、歴史的景観の復元などが事例として挙げられ、どの国や地域で行われている取り組みかを正確に理解しているかが問われます。

<選択肢>
①【正】
インドでは植民地時代に定められた地名や公用語の歴史的経緯に対し、地域の言語による再命名・改称の動きがあります。複数都市名の変更事例からも、各地方の言語を重視する動きとして解釈できます。

②【正】
韓国では近代化の過程で失われつつあった宮殿などの歴史的景観や文化財の修復事業に力を入れています。文化財を保全・復元して歴史を再評価しようとする事例は多々見られます。

③【正】
ニュージーランドでは先住民マオリの言語が公用語の一つに位置づけられています。マオリ語復興を図る施策が公式にとられていることが確認できます。

④【誤】
フィリピンで農作物の伝統的な栽培方法を守ろうとする動きを「緑の革命」とは呼びません。一般的に「緑の革命」といえば、高収量品種と化学肥料・農薬などを組み合わせた生産性向上の動きを指し、必ずしも伝統的農法の保護ではありません。このため「適当でない」選択肢となります。

第3問

問16:正解4

<問題要旨>
図2の4種類の気温・降水量グラフ(①〜④)のうち、図1中の地点ア〜エのいずれかに対応する「ア」を選択する問題です。南米西沖合のガラパゴス諸島(地点A)など、低緯度ながら寒流の影響を受ける地域や、高緯度または高地での日較差・年較差などを読み取り、月ごとの気温変化と降水パターンから判断します。

<選択肢>
①【誤】
気温が年間を通じてやや高温を維持し、降水量が比較的多い夏季にピークを持つグラフです。赤道付近の内陸部や熱帯モンスーン地域をイメージさせますが、ガラパゴスの年間パターンとは合致しにくいです。

②【誤】
気温が半年ごとに明確な高温期・低温期を示す大陸性気候の特徴があり、降水量も冬季にはほぼゼロに近い乾燥が続くイメージです。寒冷な冬と乾燥を伴うため、海洋性の気候を受けるガラパゴスとは相容れません。

③【誤】
気温が南半球の夏(年明け)に低めとなり、冬(年中頃)に高めとなるなど、標高の高い高地または南緯の中高緯度帯に位置する都市のようなパターンを思わせます。ガラパゴス諸島はそこまで顕著な年較差は見られないため不適切です。

④【正】
年中ほぼ温暖な気候を保ちつつ、月ごとの降水量が控えめな時期とやや多い時期に分かれる海洋性のグラフです。ガラパゴス諸島が位置する緯度・寒流の影響で、極端な高温や大雨にはならないが、夏期にはやや降水が増加するパターンと対応します。

問17:正解5

<問題要旨>
図1中のA〜C付近に存在する世界遺産の景観写真(カ〜ク)を示し、それぞれどの地点の周辺にあるかを組合せで答える問題です。ペルーやボリビアなどのアンデス地域を含む高地の遺跡、塩原、海洋生物豊かな島々の特徴を映した写真を手がかりに、A・B・Cとカ・キ・クを正しく対応付けます。

<選択肢>
①【誤】
Aに「カ(インカ遺跡のような景観)」を当てるなど、ガラパゴス諸島付近とは明らかに地形・文化が異なる組合せです。

②【誤】
Bに「カ(塩の大地)」を当てているなど、ボリビア周辺の景観を誤ってほかの地点に割り当てれば不整合が生じます。

③【誤】
Cに「ク(海洋生物が棲息する沿岸風景)」を当てるなど、アンデス内陸部と海洋性の写真とを混同すると不適切となります。

④【誤】
AやBの位置関係を逆にしてしまうなど、マチュ・ピチュ遺跡・ウユニ塩湖・ガラパゴス諸島をそれぞれの写真カ・キ・クと合わせる際に整合しない割り当てです。

⑤【正】

  • A(ガラパゴス諸島付近)には「ク」(海辺に生息する海洋動物が写っているような景観)。
  • B(アンデス高地のボリビア寄り)には「キ」(ウユニ塩湖に見られる塩の大地)。
  • C(ペルー側の高地)には「カ」(インカ遺跡らしき世界遺産景観)。
    このように各写真と地点の組合せが最も合理的です。
問18:正解3

<問題要旨>
図3はアンデス山脈における標高帯(ペルーからボリビアに至る)の土地利用例を模式的に示したものです。アルパカの放牧、キャッサバ、ジャガイモ、トウモロコシの耕作地が標高ごとに描かれ、ジャガイモの作付け高度範囲がどこかを問う問題です。標高の高い冷涼な地域で栽培されやすい作物として、ジャガイモの最適標高帯を推測します。

<選択肢>
①【誤】
標高が非常に低い領域や熱帯低地で栽培されるキャッサバなどを割り当てている場合であり、ジャガイモは主に高冷地でも作られる作物であるため不適合です。

②【誤】
標高が中程度の地域を指しているが、トウモロコシなどの温暖な地帯向けの作物になりやすい例が考えられ、ジャガイモ生産にはやや標高が低すぎる可能性があります。

③【正】
標高2,000〜3,000m超にかけての涼しい高冷地帯がジャガイモ栽培に適するとされ、アンデスでは伝統的に高所でもジャガイモを作ってきました。図3で示された最も合理的な高地帯が③の位置に該当すると推測されます。

④【誤】
さらに高い標高帯であるアルパカ放牧が主体となるような極地的環境では、ジャガイモ生産は困難です。よって④は過剰に高標高で、栽培限界を超えている可能性が大です。

問19:正解4

<問題要旨>
図4では、南米の主な国々の「漁業生産量(横軸)」と「肉類生産量(縦軸)」をプロットしています。アルゼンチン、ブラジル、ペルー、ボリビアの4か国を示す点①〜④のうち、漁業生産が非常に多いが肉類生産はそれほど多くない国を探すなど、国の生産特性を比較して答えを選ぶ問題です。

<選択肢>
①【誤】
肉類生産量が非常に大きい国としてアルゼンチンやブラジルが想定されます。漁業生産量はあまり突出していない点であればペルーとは合わないでしょう。

②【誤】
肉類生産がそこそこ、漁業生産は低いという位置づけなら、ボリビアのように内陸国で漁獲が限られる国の指標かもしれませんが、ペルーではありません。

③【誤】
両者ともにかなり低めで、内陸国かつ放牧主体の小規模生産国を連想させます。漁業生産量で世界的に注目されるペルーとは整合しません。

④【正】
ペルーは世界的に漁業生産量が多い(特にカタクチイワシなどの水揚げで有名)一方、肉類生産はアルゼンチンやブラジルほどではないため、グラフ上では横軸が大きく、縦軸が中〜低程度になる点が該当します。

問20:正解2

<問題要旨>
図5は南米における主要な鉱産資源の産地分布(サ・シ・ス)を示し、それらが石油・鉄鉱石・銅鉱のどれに当てはまるかを答える問題です。産地の地図を見比べることで、特にベネズエラ・ブラジル・チリなどの代表的な資源分布を把握し、正しく資源名を紐づける力が問われます。

<選択肢>
①【誤】
「サ=石油、シ=鉄鉱石、ス=銅鉱」などの対応が地図の分布と食い違う例です。南米北部(ベネズエラなど)に多い油田を別の記号で示したり、アンデス山脈沿いの銅鉱などを正しく振り分けられない組合せが誤りとなります。

②【正】

  • サ:石油(主にベネズエラやエクアドルなど北西部沿いに分布)
  • シ:鉄鉱石(ブラジル高原を中心に大規模な鉱床が広がる)
  • ス:銅鉱(チリ北部からペルー南部にかけてアンデス沿いに集中)
    このような分布と記号の対応が地図と合致します。

③【誤】
石油・鉄鉱石・銅鉱の分布地域を逆にしており、ベネズエラやエクアドルにあるはずの油田の記号とチリ付近の銅鉱の記号が入れ替わっているなどの矛盾が生じます。

④【誤】
一部は正しくても、ブラジルの鉄鉱石を別の記号で示してしまう、チリの銅鉱を取り違えるなど、全体の整合性を欠いています。

⑤【誤】
資源分布の位置と記号が大幅に合わない組合せとなり、南米北部やアンデス山脈付近の多くの鉱点と一致しない例です。

⑥【誤】
各鉱産資源の産地が散在し、石油・鉄鉱石・銅鉱のいずれを指しているかが逆転しているなどで、明確に誤りと判定されます。

問21:正解3

<問題要旨>
南アメリカ諸国で公用語として採用されている言語を問う問題です。旧宗主国の影響を色濃く受けるため、ほとんどの国でスペイン語またはポルトガル語が使われています。選択肢の国名から、スペイン語を公用語とする国を識別します。

<選択肢>
①【誤】
ガイアナは英語が公用語です。旧イギリス領であるためスペイン語ではありません。

②【誤】
スリナムの公用語はオランダ語です。旧オランダ領としての歴史が背景にあり、スペイン語ではありません。

③【正】
チリはスペイン語を公用語とする国の一つです。南アメリカ大陸でスペイン語を話す国々の代表例として適切です。

④【誤】
ブラジルの公用語はポルトガル語であり、スペイン語ではありません。

問22:正解4

<問題要旨>
ブラジルと日本との人的交流・移住に関する歴史的記述から、下線部①〜④のうち「適当でないもの」を選ぶ問題です。日本人のブラジルへの移住、コーヒー農園での労働から始まる成功例、1990年代以降の在留外国人増加などを踏まえ、最後の記述が実態と食い違うかどうかを検討します。

<選択肢>
①【正】
「コーヒー農園の労働者として働いていた日本移民がいた」というのは、歴史上よく知られた事実です。

②【正】
「土地を所有して農業で成功したり、商工業などで成功する日本人移民が現れた」という流れも、移民史で実際に存在します。

③【正】
「日本は1990年の法改正を経てブラジル国籍を含む外国人が増加した」という背景は、いわゆる在日ブラジル人の急増を説明する事実として知られています。

④【誤】
「日本に在留するブラジル人の大半が大都市にあるITソフトウェア企業で働いてきた」というのは実態と大きく異なります。多くは製造業やサービス業、特に自動車関連工場などに勤める人が多いのが現実で、IT産業の比率が大半を占める事例は考えにくいため、これが『適当でない』選択肢となります。

第4問

問23:正解4

<問題要旨>
第二次世界大戦後、国際協調が進む中で設立されたさまざまな国際機関の中に、OECD(経済協力開発機構)に加盟しているもの・していないものを区別する問題です。OECDは先進国中心の組織であり、経済発展や国際貿易の促進などを目指して活動しています。

<選択肢>
①【誤】
APEC(アジア太平洋経済協力会議)は太平洋を取り巻く国・地域が参加する枠組みで、OECD加盟国と重なる国が多いですが、別組織として成立しており、一部非OECD加盟国も含みます。ただしAPEC参加国の中にはOECD加盟国(アメリカ、日本、カナダ、オーストラリアなど)も複数あります。

②【誤】
EU(欧州連合)はヨーロッパ地域の統合を目的とした枠組みで、EU加盟国の多く(フランス、ドイツ、イタリアなど)はOECDにも加盟しています。よってEUはOECD加盟国を多数含む国際組織です。

③【誤】
NATO(北大西洋条約機構)は軍事同盟ではありますが、加盟国のほとんどがヨーロッパや北米の先進国であり、OECDに加盟している国が多数含まれます。

④【正】
OPEC(石油輸出国機構)は産油国が石油の生産量や価格調整を行うために結成した組織であり、加盟国は中東やアフリカ、南米などの主要産油国です。OECDに加盟していない国が多く、OPECそのものがOECDに含まれるという性質はありません。

問24:正解2

<問題要旨>
表1では、「人口1,000人当たりの自動車保有台数」と「年間航空旅客輸送量(国内線・国際線)」が示されています。イ(インドネシア)、ロ(タイ)、ハ(ドイツ)、ニ(日本)などのうち、どれが日本に該当するかを推測する問題です。自動車の普及度の高さや国内線・国際線の利用規模のバランスから、日本の特徴を読み取ります。

<選択肢>
①【誤】
自動車保有台数が人口1,000人当たり600台超と多い一方、国際線の利用者数が非常に大きい数値が示されていますが、別の先進国の可能性もあり、日本よりも国際線利用が格段に多い国を想起させる場合があり得ます。

②【正】
日本は自動車保有台数が先進国の中では多めで、国内線・国際線ともに利用者数が大きいが、国土の広大な国(アメリカなど)と比べると国内線利用はそこまで桁違いに多くはなく、国際線も国際ビジネス・観光で多い水準ながら、極端ではない中間の数値です。表のデータを照らし合わせると、この番号が最も日本らしいバランスを示しています。

③【誤】
自動車保有台数が230台程度であり、航空旅客の国際線利用も比較的大きいが、全体的に日本よりは車保有率が低い国を連想させます。新興国の中でも成長が進んだタイやインドネシアなどに当てはまりやすいです。

④【誤】
自動車普及が低く、国内線利用が意外に多いパターンもあり得るため、タイなど観光立国として国内観光客や地方間の移動が活発な国を示唆するかもしれません。日本とは異なる傾向といえます。

問25:正解3

<問題要旨>
2015年における携帯電話の普及率が固定電話の普及率と比べて20倍以上の値を示す国を特定する問題です。携帯電話の急速普及は、固定電話のインフラが十分整っていない国や近年のICT発展に伴う通信手段の急激な切り替えが見られる国で顕著です。

<選択肢>
①【誤】
アルゼンチンは比較的固定電話インフラも整っており、携帯との普及差が20倍を超えるほどではないことが多いです。

②【誤】
オーストラリアは先進国なので固定電話の普及度が高かった歴史を持ちます。携帯電話が主流化してはいるものの、固定電話と20倍以上の差があるほどではない可能性が高いです。

③【正】
ケニアのように、アフリカの一部地域では固定電話網が未整備のまま、携帯電話が急速に普及した事例が確認されています。固定回線がほとんど普及しない一方、モバイル回線を使った金融サービス(モバイル送金など)が活発に利用されるなど、大きな普及格差が生じやすいです。

④【誤】
日本は固定電話が普及した段階から徐々に携帯電話に移行したため、携帯が固定電話の20倍という極端な比率にはなりにくいです。

問26:正解2

<問題要旨>
図1では、英国・エチオピア・韓国・ブラジルの4か国の「65歳以上人口が全体に占める割合」の推移を比較しています。経済発展や医療水準の向上などによって高齢化の度合いが進む時期は国によって異なり、その変化曲線を読み解き、どれが韓国に該当するかを判断する問題です。

<選択肢>
①【誤】
比較的早い時期から高齢化が進み、1960年代から既に高い水準に達している線は、英国のような先進国の典型と考えられます。韓国の急速な高齢化とはパターンが異なります。

②【正】
韓国は1990年代以降に急速に経済発展を遂げ、それに伴い出生率の低下と平均寿命の延伸により、高齢化の進展が速いと言われています。グラフで2000年代にかけて曲線が急上昇する特徴がこの線と合致します。

③【誤】
極めて低い高齢者率が長期にわたって継続し、ゆるやかに上昇している線は、エチオピアのような発展途上国の事例に近いと考えられます。

④【誤】
中庸の上昇を示すが、一部先進国よりは低めの数値で推移している線は、ブラジルのように人口ピラミッドの若年層がまだ厚い国を想定できます。韓国の急速な高齢化とは合致しません。

問27:正解4

<問題要旨>
図2のア〜ウの地図は、

  • 合計特殊出生率
  • GDPに対する外国からの送金額の割合
  • 総人口に占める国際移民の割合
    のいずれかを色分けで上位・中位・下位などと示したものです。各地図の分布から、どの指標かを判断し、ア〜ウに対応させる問題です。

<選択肢>
①【誤】
ア=合計特殊出生率、イ=GDPに対する外国からの送金額、ウ=総人口に占める国際移民の割合、のような割り振りが地図の色分けと不一致の場合は誤りとなります。

②【誤】
ア=合計特殊出生率、イ=総人口に占める国際移民の割合、ウ=GDPに対する外国からの送金額、などの組合せでも、アフリカなどでの出生率と中東産油国での移民率を正しく当てはめられていないときは誤りです。

③【誤】
イ・ウのうち一方を合計特殊出生率として扱うと、地図の高位・中位・下位の分布と合わない例があります。

④【正】

  • ア(アフリカが上位色となっている地図)を合計特殊出生率
  • イ(中米やアジア諸国が比較的高い地図)をGDPに対する外国からの送金割合
  • ウ(中東などで移民率が高く、移住労働者を多数受け入れる国が上位色)の地図を総人口に占める国際移民の割合
    という組合せが地図の特徴ともっとも整合します。

⑤【誤】
アを送金割合、イを合計特殊出生率などに割り当てれば、アフリカが世界一の送金上位地域のようになり矛盾が生じ、全体の分布が適合しません。

⑥【誤】
他のいずれの組合せも、それぞれの地図上の分布と合わない箇所が出てくるため成立しません。

問28:正解3

<問題要旨>
発展途上国の大都市における人口集中や社会的インフラの不足など、都市問題に関する記述を読み、「適当でないもの」を選ぶ問題です。スラムの形成や交通渋滞、高層ビル林立など、典型的な問題点がいくつか例示されており、そこに紛れた誤った記述を見抜きます。

<選択肢>
①【正】
「首都や中枢都市へ人口や資本が集まる」現象は、インドネシアやタイなどで顕著に見られる典型的な集中傾向です。

②【正】
「高層ビルが建ち並ぶ近代的な都心部」も、大都市の急速な都市化でありうる姿です。金融機関や豪華ホテルが立地し、地価や商業地が急成長してきた事例は多くあります。

③【誤】
「低密度で富裕層の住宅地帯に特徴づけられる不良住宅地(スラム)が形成される」というのは誤った表現です。スラムは過密・低所得層の住宅が密集する地区を指すのが一般的であり、「低密度」「富裕層」とは真逆の概念と言えます。ここが「適当でない」選択肢となります。

④【正】
「社会基盤(インフラ)整備には他国からの技術や資金が導入される」ケースは、発展途上国の都市開発の実態として広く認められます。国際機関や先進国援助により道路・上下水道などが整備される事例は多数存在します。

第5問

問29:正解1

<問題要旨>
大阪市から直線距離がおおむね同程度の位置にある3つの都市(水戸市・佐賀市・宮崎市)について、1969年当時と2016年の鉄道所要時間の比較データ(表1)をもとに、ア~ウをどれがどの都市に対応するか見極める問題です。各都市へ向かう鉄道網の発達度合いや新幹線延伸などによる所要時間の変化を手掛かりに、A・I・Uの順番を判定します。

<選択肢>
①【正】
「水戸市がア、佐賀市がイ、宮崎市がウ」という組合せは、1969年当時より2016年にかけて最も顕著な短縮がみられる区間を宮崎市(ウ)とし、また所要時間の順序などを考慮すると合理的です。距離・鉄道経路の事情から宮崎が最も長い所要時間(1969年時点13時間超)であったこととも符号します。

②【誤】
「水戸市がア、佐賀市がウ、宮崎市がイ」のように割り当てると、所要時間の長短関係が食い違います。九州北部の佐賀市と南九州の宮崎市を逆にすると、実際の時間差と矛盾が生じやすいです。

③【誤】
「水戸市がイ、佐賀市がア、宮崎市がウ」のように組み合わせる場合も、距離と時刻表の整合性をとるのが難しくなります。水戸市は東京方面との交通が比較的整備されているため、9時間以上かかるという1969年時点の数値は想定しづらいです。

④【誤】
「水戸市がウ、佐賀市がア、宮崎市がイ」とした場合、ウ(13時間超→5時間台)ほどの大幅な短縮を水戸市に当てはめるのは不自然です。地理的・鉄道事情からも合致しません。

問30:正解3

<問題要旨>
宮崎市における月別の観光客数(県内・県外別)と、宮崎市・全国平均の月別日照時間(図2・図3)を読み取り、「冬のキャンプ誘致」や「梅雨時の悪天候」などと観光客数の増減理由を関連付ける問題です。1~4のうち不適切な記述を排除します。

<選択肢>
①【正】
「冬季の1・2月と夏季の7・8月に観光客数が大きく上昇している」というのは図2の折れ線から読み取れる基本的傾向です。

②【正】
「全国平均よりも日照時間が長く、温暖な気候によってプロスポーツのキャンプが行われる」ことは宮崎県が冬場の誘致で知られる特徴を反映しています。

③【誤】
「南東からの季節風によってもたらされる冬季の特徴的な気候」という表現は誤りです。宮崎市は冬季に北西季節風などの影響を受けることが多く、南東季節風は主に夏の海洋から吹き込む風向が中心です。このため冬の気候要因として「南東風」を指摘するのは当てはまりにくく、不適切です。

④【正】
「梅雨時などの悪天候期が1年のうち6月に集中することが観光客の落ち込み要因のひとつになっている」という記述は、図2・図3から夏季(特に梅雨)に雨や天候不順が続きやすいことを考慮すれば妥当です。

問31:正解3

<問題要旨>
図4の範囲(X周辺)にある青島や、その周辺の地形図・写真(A~D)を見て、土地利用や自然環境に関する説明文①~④のうち「適当でないもの」を見つける問題です。ゴルフ場の造成、亜熱帯性植物の分布、堤防や海岸地形などの特徴を踏まえて選択肢を検討します。

<選択肢>
①【正】
「丘陵部を切土や盛り土によって造成し、なだらかなゴルフ場を作った」というのは標高差のある地形を活かしつつ整地している例として妥当です。

②【正】
「亜熱帯性植物が島内に見られるが、黒潮(日本海流)の影響で種子が運ばれ、温暖な気候のもと生育していると考えられる」という解釈は宮崎県の海岸部と黒潮の流れを踏まえると現実的です。

③【誤】
「多雨の季節には高潮による冠水の可能性が高く、たびたび通行止めになってきた」という内容は、高潮は台風接近時など海面が上昇する要因と関連しますが、直接「多雨季節=冠水多発」という言い方はずれており、宮崎の海岸地形の場合は雨よりも台風・潮位の影響が大きいです。これが不適切な説明と考えられます。

④【正】
「砂岩と泥岩が波の営力で侵食されてできた特徴的な海岸地形」が青島周辺に存在するというのは、堆積岩の浸食により形成される“鬼の洗濯板”のような独特の海岸地形を想起させ、妥当な内容です。

問32:正解4

<問題要旨>
図5は1976年と2014年における宮崎市Yの範囲の土地利用変化(建物用地・農地・森林・水域・空港・鉄道など)を示しています。市街地拡大や港湾整備、森林分布の変化などを読み取り、①~④の説明文のなかで「適当でないもの」を探します。

<選択肢>
①【正】
「1976年時点での市街地周辺の農地が建物用地となり、市街地が広がった」というのは、1976→2014年の地図を比較すると市街化が進展していることが確認でき、適切です。

②【正】
「大淀川の河口部北側では、海岸線の人工的な改変により港湾が整備された」と考えられる部分も、地図から防波堤や埠頭などが整備されている形跡が伺えれば妥当です。

③【正】
「空港の周辺では、市街地化が進んだ」ことも、1970年代に比べて空港アクセス道路などが整備され、周辺に建物用地が増えていることがうかがえ、違和感はありません。

④【誤】
「森林の伐採は、内陸部よりも海岸部で進んだ」という表現は、地図を比較すると必ずしも海岸部ばかりでなく、市街化の広がりは平野部中心に進む傾向があります。海岸線付近は堤防や港湾などが整備される一方で、森林部分が大きく減少しているのはむしろ内陸側も含まれる可能性が高いため、この断定は不適切です。

問33:正解4

<問題要旨>
図6には、宮崎県内の市町村ごとに「耕地面積あたり農業産出額」「乾燥シイタケの生産量」「キュウリの作付面積」「早場米の作付面積」などが示されており、カ〜クはいずれかの品目を意味しています。これらが県全体に占める市町村ごとの割合・分布を比較して、どの品目がどの図に対応するかを導く問題です。

<選択肢>
①【誤】
「乾燥シイタケ=カ、キュウリ=キ、早場米=ク」のように誤って割り当てると、図上で分布する地域の山間部・平野部などの特徴と食い違う例が出てきます。

②【誤】
「乾燥シイタケ=カ、キュウリ=ク、早場米=キ」など、山間地域に集中するはずのシイタケと平野部に多い稲作などの対応が逆転してしまうと不整合が起こります。

③【誤】
同様に、キュウリ作付が広い平野部や、椎茸が盛んな山間部の分布を取り違えると判断が難しくなり、誤りです。

④【正】
一般的に、乾燥シイタケは山間部や林業地帯が多い市町で盛ん(カ)、キュウリは温暖な平野部での施設園芸やハウス栽培が活発(キ)、早場米は気温の高い地域で通常の水稲より早めに作付・収穫(ク)されるため、地図上の分布と照合して最も理にかなう組合せが④です。

⑤【誤】
シイタケ・キュウリ・早場米をさらに別パターンで割り当てると、山と平野の違いや生産状況との間に齟齬が出ます。

⑥【誤】
同様に組合せを逆にすると、特定地域での主力生産の傾向と合わない結果になるため不適切です。

問34:正解1

<問題要旨>
口蹄疫が発生した2010年当時の被害状況と、消毒ポイントの設置、ウイルスの感染経路などに関する会話文中の空欄(サ・シ)を補う問題です。家畜の移動規制範囲や、発生確認時期との対応関係を地図から読み取り、空欄①~④に当てはまる適切な組合せを選びます。

<選択肢>
①【正】
「サ=高い、シ=4月」のように読み取ると、感染力の強さや農場の密集度(高い接触度)と、最初の発生確認が4月である自治体を対応付ける形が整合します。地図でも4月認定地域が都農町付近で、その後段階的に拡大していると推測されます。

②【誤】
「サ=高い、シ=6月」としてしまうと、最初に確認された自治体が4月だった点など、地図との整合が取れません。

③【誤】
「サ=低い、シ=4月」と割り当てると、ウイルスの感染力が極めて強いという特性とは反し、家畜同士の密接度が低いとの表現も実態に合わない可能性が高いです。

④【誤】
「サ=低い、シ=6月」では、そもそも最初の確認が4月だったという事実と矛盾しますし、感染力の特徴とも合致しません。

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