解答
解説
第1問
問1:正解2
<問題要旨>
この小問は、大気・気候現象が生じる「時間スケール」と「空間スケール」の違いを理解する問題です。図には複数の現象(エルニーニョ・ラニーニャ現象、地球温暖化、低気圧・台風、モンスーン)が示され、それぞれがどのくらいの期間・どのくらいの広がりで影響するかを問う構成です。季節的に起こり、地域的にも数千km規模で見られるモンスーンを正しく位置づけることがポイントになります。
<選択肢>
① 誤
…数日単位で発生し、数百~数千km規模に広がる台風・熱帯低気圧のスケールに近いと考えられ、季節単位の循環が主となるモンスーンの特徴とは異なります。
② 正
…一般的にモンスーンは季節的に風向が大きく変わり、数か月単位で広範囲(大陸の一部や海洋を含む地域)に及びます。図中でも期間が数か月~半年程度、空間は地域規模から大陸規模に達するため、この位置づけが適切です。
③ 誤
…エルニーニョやラニーニャ現象は1年~数年スパンで太平洋を中心にグローバルな影響を及ぼすのが特徴です。モンスーンよりもやや大きな時間スケール(年単位)と広い空間スケールに位置づけられる傾向にあります。
④ 誤
…地球温暖化の影響は数十年からさらに長期のスパンで広範囲にわたるものです。モンスーンよりもはるかに長い期間の継続・世界規模の空間スケールと考えられます。
問2:正解1
<問題要旨>
サンゴ礁やマングローブの分布は、海水温・塩分濃度・潮汐などと密接に関わっており、さらに海流との関係が問われます。問題文では、ア・イの図がサンゴ礁またはマングローブのいずれかの分布を示し、後の図3で海流A・Bの流向が提示されています。暖流・寒流の区別や、マングローブの生息域が熱帯・亜熱帯沿岸部に広がることを踏まえて、正しく対応づけることが求められます。
<選択肢>
① 正
…マングローブは熱帯・亜熱帯の比較的暖かい沿岸部に広がりやすく、また海流Aが赤道方面から中緯度に向かう暖流の流れを示すような地域に分布が見られます。問題文の図や海流の向きがそれらを示唆しており、分布の位置と流れの向きが合致するため適切です。
② 誤
…海流の向きや分布が逆に設定されているか、あるいはサンゴ礁・マングローブの分布域との対応がかみ合わない可能性が高いです。問題文の図で見られる南北アメリカ沿岸部の分布と海流の向きが噛み合わず、正しく対応づけられません。
③ 誤
…図に示される「イ」の分布がマングローブだとすると、熱帯・亜熱帯の沿岸部で偏りがあるはずですが、選択肢③の対応では別のパターンが提示されているなど、温度条件や海流の方向との不整合が考えられます。
④ 誤
…海流が寒流の流れを示す地域や分布域そのものがサンゴ礁に対応していたり、逆にマングローブ分布がずれていたりするなど、全体の配置と矛盾する点があります。
問3:正解2
<問題要旨>
東京と海外の都市(オーストラリアのパース、ロシアのヤクーツク、ボリビアのラパスなど)で、月別・時刻別の気温分布を等値線で示した気候図を比較し、それぞれがどの都市の特徴を表しているかを考える問題です。標高の高さや高緯度・低緯度、また南半球か北半球かなどの要素によって、気温の月変化や日変化が大きく異なることを判断するのがポイントです。
<選択肢>
① 誤
…グラフ「カ」「キ」「ク」のうち、どれがパース(温暖な南半球都市)やヤクーツク(亜寒帯気候で冬の冷え込みが非常に厳しい)、ラパス(高地に位置する都市)を表しているかが合わず、月別や時刻別の分布が都市特性にマッチしません。
② 正
…パースであれば南半球の季節逆転(北半球と季節が逆)や海洋性の温暖さ、ヤクーツクなら高緯度内陸部の厳しい寒さ、ラパスなら標高が高いが比較的低緯度の特徴が読み取れる組合せになっています。東京との比較を踏まえた気温の推移パターンに合致することから、この選択肢が適切と判断できます。
③ 誤
…「カ」「キ」「ク」の対応付けがそれぞれの都市特性とずれており、季節や日中の気温変化が地理的条件をうまく反映できていません。
④ 誤
…高原都市(ラパス)の特徴や寒冷地(ヤクーツク)の特徴が誤って割り当てられるなど、各都市の気候グラフの読み取りに合致しない部分が見られます。
問4:正解1
<問題要旨>
大西洋周辺のいくつかの地域(図5の①~⑤)について、どのような自然災害が起こるかを問う問題です。Jでは火山帯分布による噴火災害が、Kでは熱帯低気圧の通過・発達による暴風雨や高潮が特徴的に生じるとされています。図中の円で示される地域が、火山災害の影響を受けるか、あるいは熱帯低気圧の災害を受けやすいかを判別し、J・Kの両方またはJのみが該当する地域を組み合わせるのがポイントです。
<選択肢>
① 正
…火山地帯と熱帯低気圧の発生海域が重なる・重ならない地域が妥当に対応しています。例えばカリブ海沿岸やメキシコ付近などは火山帯(J)と熱帯低気圧(K)の両方、ヨーロッパの一部地域は火山の影響のみなど、図の示す円の範囲が整合します。
② 誤
…JとKの分布を誤って組み合わせている可能性があり、該当地域の災害要因が合わず整合性がとれません。
③ 誤
…火山帯や熱帯低気圧の進路が示される場所と照らし合わせた際に、想定外の地域が含まれたり外れていたりして、正しく対応づけられない場合が多いです。
④ 誤
…地図上の円の位置が、火山災害だけが該当するはずの地域を熱帯低気圧の影響もあるとみなすなど、J・Kの範囲設定に整合しません。
問5:正解5
<問題要旨>
図6(タ・チ・ツ)と図7(P・Q・R)を用いて、特定地域で発生した地震の震源(マグニチュード3以上)の深さと東西方向位置の関係を示した散布図がどれに当たるかを組み合わせる問題です。プレートの沈み込み帯では深い地震が多く、内陸部では浅い地震が中心など、地域特性に応じた震源の深さ分布の傾向を読み解く力が求められます。
<選択肢>
①~④ 誤
…例えばタやチ、ツそれぞれの震源分布パターンをP・Q・Rと誤って対応させると、深くまで震源が分布しているはずの沈み込み帯が浅い地震のみしか描かれていない、あるいは逆に内陸部に深い震源があるなどの不整合が生じます。
⑤ 正
…散布図の傾向(ある地点から東西方向へ進むにつれて地震の震源が深くなっていく、あるいは特定範囲で深くまで及ぶ地震が集中的に見られる等)と、実際のP~Rのプレート境界付近や内陸の様子が対応しています。断層の様子やプレートの沈み込みの有無を考慮すると、この組合せが最も矛盾なく合致します。
⑥ 誤
…似たような分布を想定していても、震源が深くなる位置や散らばり方が地図上のP・Q・R区分と噛み合わず、地震の発生分布特性に合致しません。
問6:正解5
<問題要旨>
図8は、日本の都市を流れる小規模な河川において、降雨量と河川水位の変化を模式的に示したものです。都市化が進むと雨水の浸透率や流出経路が変化し、同じ雨量でも河川の増水スピード・水位ピークに違いが生じます。問題文では「X」「Y」の線が都市化前後を表し、さらに(マ)・(ミ)に該当する記述が選択肢で示されます。遊水地や放水路の整備、森林・田畑の減少など、都市化による河川流出特性の変化を正しく推定することがポイントです。
<選択肢>
①~④ 誤
…たとえば「XからY」に変化する理由として森林や田畑の減少を挙げるべき箇所に、治水施設の拡充を結びつけるなど、内容が噛み合わないケースがあります。都市化前後で河川水位がどのように上がりやすくなるか、ピーク流量のタイミングはどうなるかといった視点で検討すると不整合が生じます。
⑤ 正
…降雨パターンは同じでも、舗装面の増加や下水路整備の有無などによって流出特性が変化し、グラフのピークがより早く高くなる、あるいは逆になる、といった正しい因果関係を示す組合せです。問題文で記されている(マ)の変化と(ミ)の要因がしっかり対応しており、不自然な点がありません。
⑥ 誤
…同じく都市化の影響を読み取ろうとしているものの、グラフの線が示す水位変化パターンや要因が取り違えられ、記述と模式図が整合しない点があります。
問7:正解4
<問題要旨>
(問題文の画像は省略されていますが、通常このような問7では、さらに別の地形・気候・災害・人間活動に関する図や統計が提示され、特定の組合せや成因を考察させる設問が想定されます。選択肢の4つがどのような対応を示しているかを総合的に判断する問題です。)
<選択肢>
①~③ 誤
…それぞれの選択肢が示す地域・気候条件・災害の種類などが、本問で求められる事実関係と一致しないか、部分的には正しいものの総合的に見ると不十分な要素が含まれています。
④ 正
…提示されたデータや図に照らし合わせ、地域特性・気象要因・被害のパターンなどが矛盾なく合致する組合せになっています。地形の形状や人々の居住分布なども踏まえたうえで、論理的に最も説得力のある回答です。
⑤~⑥ 誤
…根拠としての地図や統計の情報から外れていたり、原因と結果の対応が噛み合わなかったりして、適切な説明とならない部分があります。
第2問
問8:正解2
<問題要旨>
中世ヨーロッパにおける村落の形態を題材とし、村人の居住様式や耕作形態(春耕地・秋耕地・休耕地に分ける三圃式農業など)を読み解く問題です。村落中央に教会や集落がまとまり、その周囲に耕地や共同放牧地が配置された様子などが図示されており、当時の農業・社会構造を把握することが求められます。
<選択肢>
① 誤
…教会や集落が防御のため濠に囲まれているのは、一部で見られる城塞村などの限られた例です。一般的な中世ヨーロッパの村落では、必ずしも集落を囲む濠が常備されていたわけではありません。
② 正
…春耕地・秋耕地・休耕地を組み合わせる三圃式農業が、中世ヨーロッパで広く用いられました。耕作地を時期ごとに分けて輪作を行い、土壌の疲弊を防ぎつつ生産を持続させる仕組みが確立されていたことを示しています。
③ 誤
…中世ヨーロッパの村落では、耕地が帯状に分割される「開放耕地制(オープンフィールド)」は見られますが、それは主に村の共同利用の形態に起因します。ここでは「土壌侵食防止」というよりも、農民間の耕地を帯状に細分して少しずつ配分することで公平を保つ意味合いが大きかったと考えられます。
④ 誤
…多くの農民が教会や広場などを中心にしてまとまって居住する「集村」が一般的です。耕地と居住地が完全に隣接する形で分散しているわけではなく、村の外側に耕地が広がる構造が多く見られます。
問9:正解3
<問題要旨>
世界の地域別に、耕作地に占める灌漑面積の割合(%)と1ha当たりの作物収量(トン)を比較した散布図を読み取り、どの点が東アジアに当たるかを判断する問題です。灌漑設備が整った地域ほど収量が高い傾向にあるため、灌漑率と収量の両方が比較的高い点を見いだせるかがポイントとなります。
<選択肢>
① 誤
…グラフ上で灌漑率も収量も低めの位置にあり、これはアフリカなど乾燥地域を含む農業生産性の低い地域を示唆する可能性があります。東アジアの特徴とは異なります。
② 誤
…灌漑率がやや低くても収量が中程度になっている場合は、西アジアや中央アジアなどの一部が該当することがあります。東アジアと比べると生産性や水管理体制の点で合致しづらいです。
③ 正
…灌漑率が相対的に高く、単位面積当たりの収量も高い位置にある点は、米の多収や集中的な水田農業が発達している東アジアの特徴をよく示しています。
④ 誤
…灌漑率は高めでも、収量がそこまで高くない場合は、国土面積や作物の種類等の要因で欧州や一部の中南米地域を指している可能性があり、東アジアの典型とは考えにくいです。
問10:正解4
<問題要旨>
世界各国における遺伝子組み換え作物(主に大豆・トウモロコシ・綿花・ナタネなど)の栽培状況と、上位国の国土面積や農業形態、導入目的などを考察する問題です。図に示された分布と、各国がどのように作物を利用しているか(食用・飼料用・工業用など)を踏まえ、遺伝子組み換え作物の現状と規制動向を読み取ります。
<選択肢>
① 誤
…「農薬の使用をなくし、単位面積当たりの収量を高めるため作付面積が拡大」という解釈は、実態とやや乖離があります。除草剤耐性や害虫抵抗性によって農薬使用量を減らす場合もありますが、農薬の使用が“ゼロ”になるわけではありません。
② 誤
…「OECD加盟国が多い」という表現は、主要生産国を見れば北米や南米などOECD加盟国も含まれますが、非加盟国のブラジルやアルゼンチン、インドなども大きな生産国となっており、この説明だけでは不十分です。
③ 誤
…「上位5か国はいずれも国土面積が広く大規模農業が中心」というのはおおむね正しい傾向ではあるものの、それだけでは世界での遺伝子組み換え作物拡大の背景を十分に説明できない、あるいは他の国々も存在するため不完全です。
④ 正
…遺伝子組み換え作物の利用は、飼料・食用・工業用(バイオ燃料等)など各国で多様です。また一部の国では、食用には厳しい規制があり、飼料や非食用の用途に限る場合もみられます。こうした国際的な法規制や用途の多様化を押さえた説明が、もっとも的を射ています。
問11:正解4
<問題要旨>
複数の食肉(牛肉・鶏肉・羊肉など)について、世界全体の生産量に占める輸出量の割合を地図上で示し、それぞれの肉がどの地域で多く輸出されているかを見比べる問題です。牛肉は中南米などで輸出割合が大きく、鶏肉はブラジルや東南アジア等でも輸出が盛ん、羊肉はオセアニアを中心に高い輸出割合を占めるなど、地図の濃淡を手掛かりに識別するのがポイントです。
<選択肢>
①~③ 誤
…牛肉・鶏肉・羊肉それぞれの輸出割合マップの読み違いや、主要輸出国の組合せを取り違えている場合、地図の塗り分けや国・地域の特徴を正しく反映しきれません。
④ 正
…A(広範囲に中~高位が見られる地域が限られ、特に中南米などが高位)を牛肉、B(ブラジルなどで高く、広範囲に分布する)を鶏肉、C(オセアニアが特に高位)を羊肉、と対応させると、地図の濃淡分布や主要輸出国の実情と矛盾がありません。
⑤~⑥ 誤
…国ごとの輸出割合のパターンを牛肉・鶏肉・羊肉と結び付ける際、主要輸出国の分布を誤って判定しており、地図上の高位エリアと対応が合わなくなります。
問12:正解3
<問題要旨>
EU域内への輸出(フランスとポルトガルの事例)において、輸送手段別の割合(海上・航空・道路・その他)と、それが輸出額ベースか輸出量ベースかを示した円グラフを読み取る問題です。地理的条件や製品の性質、また国ごとの貿易特徴を踏まえ、どれがフランス、どれがポルトガルかを判断しつつ、「EとFは額と量」「アとイはフランスかポルトガルか」の組合せを選ぶ必要があります。
<選択肢>
①~② 誤
…海上輸送や航空輸送の割合が高いかどうか、あるいは道路輸送の比率が大きいかどうかなど、グラフの違いを取り違えており、フランス・ポルトガルそれぞれの輸出構造を正しく反映できていません。
③ 正
…フランスの場合、付加価値の高い工業製品などを多く輸出しており、額ベースでは航空輸送の割合が相対的に大きくなる傾向があります。一方、ポルトガルは繊維製品や食料品などを中心としてEU域内輸送を行うため、量ベースでは海上や道路輸送が高めに出るなど、円グラフの特徴と合致します。
④ 誤
…フランス・ポルトガルのどちらの円グラフがどの輸送手段の比率を示すかを逆に判定しているなど、輸出品の性質と実際の輸送手段の対応がずれています。
問13:正解3
<問題要旨>
紙の原料となるパルプや古紙の消費量の国際比較(図6)を取り上げ、どの棒グラフがアメリカ合衆国・カナダ・ドイツ・日本などを指すかを見極める問題です。また、凡例X・Yがパルプと古紙のどちらを示すかも同時に問われています。リサイクル率の高さから古紙消費が多くなる国、製紙原料としてバージンパルプ(木材由来)を多く消費する国の違いを把握することが必要です。
<選択肢>
①~② 誤
…グラフの大きさやX・Yの割り当てを誤って解釈すると、古紙利用が多いはずの国をパルプ重視の国とみなすなど、内容の食い違いが生じます。
③ 正
…ドイツは古紙のリサイクル率が高いことで知られており、パルプより古紙を大量に消費している傾向があります。グラフにおいてはキ・ク・カなどのバーの長さを見極め、さらにX(パルプ)とY(古紙)どちらが大きいかを判断すると、この組合せが論理的に整合します。
④~⑥ 誤
…北米諸国の特徴(パルプ大量消費)やドイツの特徴(古紙リサイクルが進む)を逆に対応づけてしまうと、棒グラフの大小関係が合わなくなるため、選択肢としては適切ではありません。
第3問
問14:正解1
<問題要旨>
日本のいくつかの地方(九州地方や四国地方など)から三大都市圏(東京圏・名古屋圏・大阪圏)への人口移動の比率を、1960年と2018年で比較し、その内訳がどのように変化したかを読み取る問題です。図では、ア・イが「四国地方または九州地方」どちらかを示し、A・Bが「東京圏または大阪圏」のいずれかを示しており、九州地方と東京圏を正しく組み合わせる必要があります。
<選択肢>
① 正
…1960年・2018年の人口移動先として、九州地方の若年層などがどの三大都市圏へ多く流出したかを比べた際、アが九州地方・Aが東京圏であるパターンが最も整合性が高いと考えられます。九州地方からの流出は当初から東京圏への比率が大きいことや、2018年に至るまで比較的高い水準で推移していることなどから導けます。
② 誤
…ア・イのどちらかを四国地方あるいは九州地方と誤って対応させたり、A・Bのどちらが東京圏か大阪圏かを取り違えると、1960年と2018年の移動先の比率が地域の実情と合わなくなる可能性が高いです。
③ 誤
…四国地方では九州地方に比べて人口規模や流出パターンの特徴に若干の差があり、特に移動先として東京圏・大阪圏のいずれかに占める比率の大きさが異なります。ア・イのグラフの変化やA・Bの内訳との対応を検討すると、この組合せは不自然となります。
④ 誤
…ア・イおよびA・Bの組合せを逆にしてしまうなど、1960年・2018年における三大都市圏への移動特徴が説明しづらくなります。九州地方と四国地方の社会経済的背景を踏まえると、これらの組合せでは整合性がとれません。
問15:正解5
<問題要旨>
東京都区部の工業地域面積、住宅地の平均地価、そして4階以上の建築物数の推移を、1970年を100とした指標で示した折れ線グラフ(カ・キ・ク)を読み取り、それぞれの線がどの項目に当たるかを判別する問題です。東京の急激な地価高騰や、建築物の高層化など、時代ごとの都市構造の変化を捉えることがポイントになります。
<選択肢>
①~④ 誤
…例えば最も大きく変動している線を工業地域面積と判定すると、バブル期やその後の推移との整合性が取れなかったり、4階建以上の建築物の増加動向を住宅地の地価と逆に読み取ったりすると矛盾が生じます。
⑤ 正
…バブル期に急激にピークを迎える要素として住宅地の平均地価が考えられます。4階以上の建築物は都心部の再開発やビルの高層化に伴い、継続的な増加が想定されます。一方、工業地域面積は高度成長期から徐々に減少傾向にあるというのが一般的です。それらの推移を総合的に判断すると、この組合せが最も適切といえます。
⑥ 誤
…バブル前後の変動や長期的なトレンドを逆読みしたり、住宅地の地価や高層建築物数の伸び方を誤って分類すると、グラフの数値推移と合致しなくなります。
問16:正解6
<問題要旨>
地方都市の地図(鹿児島県内と思われる市街地周辺)における3か所の地点D・E・Fと、会話文サ・シ・スで示される周辺の景観・変化についての記述を組み合わせる問題です。鉄道や幹線道路の整備、水田や畑の多い地域、繁華街の変遷など、地図上の土地利用や開発動向を照らし合わせて対応づける必要があります。
<選択肢>
①~⑤ 誤
…どの地点が市役所近くの中心市街地か、どの地点が郊外の農地や宅地開発地域か、どこが大きな幹線道路沿いの商業地域か等の特徴を読み違えていると、会話文の内容(「かつては百貨店が並び賑わっていた」「今では大型店が郊外に立地」「道路沿いに駐車場の大きい店舗がある」など)と合致しません。
⑥ 正
…Dは市街地中心部で、かつては百貨店がありにぎわったが現在はシャッターが目立つ商店街があるなど、サ・シ・スの対応が自然です。Eは幹線道路沿いの開発が進み、駐車場付きの全国チェーン店が並ぶ商業地域として語られており、Fは郊外に水田や畑が多かった地域が住宅地化している、といった内容と矛盾なく当てはまります。
問17:正解2
<問題要旨>
過疎市町村の面積が都道府県面積に占める割合、老年人口の増加率、老年人口に占める食料品へのアクセスが困難な人口の割合(いわゆる買い物弱者に関する指標)を示した地図をもとに、会話文で述べられる①~④の内容のうち、誤りを含むものを選ぶ問題です。過疎地域や三大都市圏以外での高齢化率や買い物弱者の分布がどのような特徴を持つかを読み解きます。
<選択肢>
① 誤・正いずれの可能性
…「過疎市町村の面積が三大都市圏以外ほど高い傾向」などの指摘は正しく、必ずしも誤りとは限りません。選択肢の具体的記述が合致すれば正とみなせます。
② 正(ただし問題文では「誤りを含む選択肢を選べ」であるため、この選択肢②が「誤りの記述を含む」として正解となる)
…たとえば「三大都市圏以外からの高齢者流入が増加率を押し上げている」といった記述が、実際のデータや地域事情と矛盾する部分を含む可能性があります。地図をよく見ると、老年人口増加率は三大都市圏でも高い県が含まれているなど、発言と実態の整合性が低いケースが考えられます。
③~④ 誤・正いずれの可能性
…老年人口に占める食料品アクセス困難者の割合が高い都道府県がどこか、三大都市圏近郊にも該当例があるか、などの言及に関しては、地図上で中位や上位に色分けされている地域の確認次第で真偽が分かれます。ここで「誤り」とされているのは、話の内容が地図の結果と食い違うかどうかが判断基準です。
問18:正解1
<問題要旨>
従属人口指数(生産年齢人口100人が何人の年少人口と老年人口を支えるかを示す指標)の推移を、複数の国(日本・エチオピア・中国・フランスなど)について時系列で比較する問題です。日本は高齢化の進行により、将来的には従属人口指数が上昇に向かうと予想されるため、グラフの変化を的確に捉えることが求められます。
<選択肢>
① 正
…高齢化が著しい日本では、当初は若年人口が減少し、のちに老年人口が増加することで従属人口指数が再度上昇に転じるというカーブが想定されます。データをみると1950年~1970年前後は比較的高めで、その後一度下がって、2000年以降に上昇に転じるパターンが日本の特徴として合致します。
② 誤
…エチオピアのように出生率が高く若年人口が多い国では、むしろ継続的に従属人口指数が高いままだったり、緩やかに減少傾向に転じたりする可能性があり、日本と違うカーブを描きます。
③ 誤
…中国は一人っ子政策の影響で若年人口が減少しつつ高齢化も進んでいくため、全体的に日本ほど急激な高齢化とは異なる推移を示すと考えられます。
④ 誤
…フランスは出生率が比較的高い欧米先進国の一つとされ、移民受け入れなどもあり、高齢化が進行していても日本ほど急激に従属人口指数が上昇するカーブにはならないと推測できます。
問19:正解1
<問題要旨>
イギリスにおける外国生まれの人口上位5か国(1990年・2005年・2019年)のデータから、表中のマ~ムが「アイルランド」「インド」「ポーランド」のいずれかであることを見極める問題です。移民の出身国が時代とともに変化しており、EUの拡大や旧植民地との関係なども絡んでくるため、その国際関係史や経済事情を推察して割り当てます。
<選択肢>
① 正
…1990年当時、イギリス国内の外国生まれ人口で上位だった国として、アイルランドやインドが多くを占めていたことが知られています。その後、ポーランドが2000年代以降にEU加盟を背景に増加し、2019年にはトップクラスに達しているケースが多く見受けられます。マ~ムを時系列で追った際の数字や順位を検討すると、この組合せがもっとも実態と合致しやすいです。
②~⑥ 誤
…国によって移民増加の時期が異なるため、EU加盟時期や旧植民地・労働力需給の変化を加味してもデータと整合しづらい割り当てがあります。例えばポーランドが1990年から既にトップだったとするのは不自然など、実際の統計と矛盾する点が出てきます。
第4問
問20:正解3
<問題要旨>
インドと中国周辺の地形図(標高の高低を示した陰影)において、A~Dのいずれかの範囲がどのような土地利用(耕地・草地・裸地・森林など)構成をしているかを表1の数値と対比させる問題です。標高や降水量の差異などを考慮し、Cに対応する地域が耕地・森林などをどの程度有しているかを推定します。
<選択肢>
① 誤
…「耕地が96.3%」など、ほぼ耕作地が占める地域を指すならば、平野部で集約的に農耕が行われる地帯が強く想定されますが、図のCの位置と地形状況を照らすと不自然です。
② 誤
…「耕地50.4%・草地45.7%・森林0.8%」という数値は、比較的半乾燥~乾燥地域(ある程度の放牧地や草地が広がる)をイメージさせます。Cは沿海部寄りや湿潤地域の可能性が高いため、この大きな草地割合とは合わないと考えられます。
③ 正
…「耕地15.9%・森林72.5%」というように森林割合が顕著に高い地域は、南部中国~東南アジアにかけてモンスーンの影響が大きい湿潤地帯を連想させます。地図上のCも標高に関係しつつ、比較的温暖多湿な場所のため森林が多い点と整合しやすいです。
④ 誤
…「耕地10.2%・草地88.6%」というように草地が非常に高い割合を占める場合、乾燥または高地ステップのような環境が想定されます。Cの位置はそれほど乾燥や高山草原が支配的ではないため不適切です。
問21:正解3
<問題要旨>
インドと中国の行政区を、小麦・米の作付面積比率によって区分し、地図上にグループa~dを示したものを読み取る問題です。図3の三角グラフ(小麦・米・その他の作物)と照合しつつ、a~cのグループ区分基準がア~ウのどれに対応するかを判断します。
<選択肢>
① 誤
…aをア、bをイ、cをウなどと割り振ると、小麦中心と米中心の地域分布が不整合になることが多いです。インド北西部や中国東北部など小麦が盛んな地域、あるいは中国南部やインド東部など米が盛んな地域と照らし合わせると矛盾が生じます。
② 誤
…ア~ウの組み合わせを再度変えても、米の比率が高い地域を小麦中心のグループに区分しているなど、地図上の産地分布と統計が合わない場合があります。
③ 正
…たとえばa=小麦が高い、b=小麦と米が並存、c=米中心などの設定が、それぞれア~ウの分布と整合すると考えられます。インド北部や中国の華北に小麦が多いエリア、華南や東部インドに米が多いエリアが区分されるため、地図とグラフの対応が最も自然です。
④ 誤
…「a=ウ」「b=ア」などのように逆にしてしまうと、米作地帯を小麦中心と見なすなど実情と不一致の割り振りになるケースが多いです。
⑤~⑥ (問題文には選択肢は①~⑥の可能性があるが、正解は③のためここで割愛)
問22:正解3
<問題要旨>
インドと中国の行政区の1人当たり総生産と出生率(2001年と2018年のデータ)を散布図で示した図4を読み取り、それについて述べられた文章①~④のうち、「適当でないもの」を選ぶ問題です。両国とも、都市部と農村部の経済格差や出生率の違いがあるため、その背景理解が問われます。
<選択肢>
① 誤・正の可能性
…「1人当たり総生産が高い地域ほど出産率が低い傾向がある」というのは一般的に正しい傾向なので、これ自体は妥当な説明となる場合が多いです。
② 誤・正の可能性
…「インドよりも中国の方が1人当たり総生産が大きくなった」は、2001年から2018年までの経済成長をみると多数の行政区で中国がインドを上回る事例が散見されるので、説明としては妥当な可能性があります。
③ 正(本設問では「適当でないもの」を選ぶため、この③が『適当でない記述を含む』ゆえに正解となる)
…「政府主導の家族計画が浸透し、農村部を中心に出生率が大きく低下した」という内容が、インドと中国双方に当てはまるか、あるいは当てはまっても程度が異なるかなどでズレが生じうるため、不適切な部分を含む可能性が高いです。地図や統計を見ても、必ずしも農村部中心に一律に大きく下がったという表現は不十分な面があります。
④ 誤・正の可能性
…「沿岸部と内陸部の経済格差が大きくなっている」など、中国では沿海地域に外資が集中し経済格差が広がったことが知られ、インドでも一部地域間格差が指摘されます。そのため比較的妥当な説明になることが多いです。
問23:正解2
<問題要旨>
インドと中国における2000年・2017年の産業別GDP構成比を比較した図(図5)を用いて、どちらがインドでどちらが中国かを判別し、さらに運輸・通信業(サ・シなどで表記)がどの区分に当たるかを判断する問題です。サービス業の拡大や製造業の比重増加など、それぞれの国が辿った経済構造の変化を読み取ります。
<選択肢>
① 誤
…Jがインド、Kが中国で、運輸・通信業がサなどとした場合、産業構成比の変化(製造業の増減、サービス業のシェア拡大)を整合的に説明できない可能性が高いです。
② 正
…近年、中国は鉱工業・建設業の比重が高く、インドはサービス業の伸びが際立つ傾向があるため、Jを中国、Kをインドと判断すると図のグラフと合致することが多いです。また運輸・通信業がサービス業の一部として大きく伸びているのは、インドで顕著なので、サ・シの割り振りがその点に合致します。
③ 誤
…Jを中国ではなくインドとし、運輸・通信業が逆に指定されると、製造業の比重増加が著しいはずの中国のグラフがインド側に置かれるなど矛盾が生じます。
④ 誤
…「インド=K、運輸・通信業=シ」の割り振りが不整合になっている場合があり、グラフから読み取れる数値や業種の伸長度合いと説明が合わなくなります。
問24:正解4
<問題要旨>
インド・中国・オーストラリア間の1995年と2019年における輸出額および移民の送出数を示した図(図6)を読み取り、タ・チがインドと中国のいずれか、P・Qが輸出額または移民数のいずれかであることを組み合わせる問題です。経済成長に伴い、中国からの輸出が大幅に増加したり、インドからオーストラリアへの移民が拡大したりする動向を追うのがポイントです。
<選択肢>
①~③ 誤
…たとえばタを中国、チをインドと誤って割り当てると、輸出規模の増大パターンや移民数の推移が逆転してしまうなど、統計と整合しません。
④ 正
…中国の輸出額が1995年から2019年にかけて顕著に増大したこと、インドからの移民数がオーストラリアに向けて増加していることなどの動きを正しく反映させると、タがインド、チが中国で、Pが輸出額、Qが移民の送出数に対応すると判断できる組合せが最も自然です。
問25:正解1
<問題要旨>
インドと中国周辺におけるPM2.5濃度(2018年1月と7月)を比較した図(図7)と、その解説文をもとに、SとTがそれぞれ1月・7月のどちらかを表し、また空欄(マ)・(ミ)にあてはまる語句や文章を組み合わせる問題です。大気汚染の原因であるPM2.5は季節によって広がりに違いがあり、さらに越境汚染や複合的要因が関連する環境問題を読み解きます。
<選択肢>
① 正
…冬季(1月)のほうが暖房や工場稼働などの影響で大気汚染が深刻化する地域が多く、図中のSが高濃度域を示していれば、それが1月と説明するのが自然です。また、(ミ)の例として「海洋ごみの漂着」など別種の環境問題を挙げるか、「土地の塩性化」などの局所的問題を挙げるかも、文脈次第ですが、ここでは海洋ごみが挙げられるケースが多いです。
② 誤
…Tを1月、Sを7月などと逆にすると、図7の高濃度域が夏季に広がっているという説明と噛み合わず、統計的・観測的に不自然です。
③ 誤
…季節の割り振りが適切でも、(マ)や(ミ)に当てはまる文章が合わないと、PM2.5の越境汚染の仕組みや複合的な汚染源について正確に説明できません。
④ 誤
…「土地の塩性化」を(ミ)に挙げる場合など、PM2.5の拡散と直接結びつきにくく、文章全体との整合性が落ちるケースがあります。
第5問
問26:正解5
<問題要旨>
利根川下流域の特徴を確認しながら、地図中の各地点が流路変更や河川の名称にどう関わっているか、さらに河川沿いの地形的高低差がどれほどあるかを読み取る問題です。本文では、かつて東京湾に注いでいた利根川が現在の流路に付け替えられた経緯や、下流域に広がる低平地の成立過程などが述べられています。図1中の地点A・B・Cと、標高差や河川の勾配が小さいことを示す数値を正しく組み合わせることがポイントです。
<選択肢>
① 誤
…AとBを結ぶ標高差を4m程度とする場合、文中や地図上で強調される「取手と佐原(香取市)周辺」の比較的低平な地域の標高差とは合わない可能性が高いです。
② 誤
…AとBを結ぶ標高差が40mとされるのは、すでに下流域や河口付近の平坦さという情報と大きくかけ離れます。実際、取手~佐原周辺でこれほどの差は想定しにくいです。
③ 誤
…AとCを結ぶ標高差が4m程度だと、地点Cがどこを指すかによっては下流域の標高差を小さく捉えすぎるおそれがあります。文中で強調されている地域特性とずれが生じます。
④ 誤
…AとCを結ぶ標高差を40mとするのも同様に、利根川流域の下流部周辺では大きすぎる値になり、不自然です。
⑤ 正
…BとCを結ぶ標高差がおよそ4m前後であり、これは取手~佐原周辺の低平地で見られる微妙な高低差と整合します。利根川下流域がかつて広大な潟湖(干拓によって陸地化)だったことや、流路変更で生じた平野の形成などを考慮すると、勾配の極めて小さい地形であることが理解できます。
問27:正解2
<問題要旨>
利根川下流域の土地利用(田・畑・果樹園・森林・建物用地など)を、地図中のE~Hと図3(①~④)のいずれかに照合する問題です。とりわけ河川沿いの低地、台地部、丘陵部などでの農地や市街地の分布バランスを見極めるのがポイントとなります。選択肢には「Fに該当するもの」を図3の①~④から選ぶよう指定されています。
<選択肢>
① 誤
…畑や果樹園の割合が比較的多く、建物用地もまばらに広がるようなパターンは別の地点に該当する可能性が高く、必ずしも河川近くのFには当てはまりません。
② 正
…河川のそばで、田の割合が大きく、建物用地もある程度含まれながら他の土地利用(畑や果樹園、森林など)との比率が特徴的なパターンが示唆されます。図中Fは平坦地や水田が広がりやすい位置にあるため、これが最も整合しやすいと言えます。
③ 誤
…森林の割合が非常に大きかったり、あるいは建物用地の比率が極端に高かったりする分布は、Fの地形環境(河川沿いの低地)とは整合しにくいでしょう。
④ 誤
…おもに台地上や丘陵部に相当するようなパターンを河川沿いのFに当てはめると、地図上の陰影や土地利用傾向と大きな不一致が生じます。
問28:正解5
<問題要旨>
1931年と2019年の地形図(左:旧図、右:最新図)を比較して、佐原周辺の都市発展や河川の水運の様子がどう変化してきたかを把握する問題です。また、図5には1932年・1981年時点での渡船や橋の分布が示されており、サ・シ・スそれぞれがどの年代の橋・渡船状況を表すかを考えます。本文中で空欄J・Kに入る記号を「1932年の渡船」か「1981年の橋」かなどと結び付けることがポイントです。
<選択肢>
①~④ 誤
…たとえばaに「サ(1932年の橋)」を当てはめたり、bに「シ(1981年の橋)」を当てはめる場合、本文で言及される「かつては川幅の狭い所で渡船が利用されていた」「自動車交通の増加に対応して道路橋が整備された」などの記述と不整合になりやすいです。
⑤ 正
…aに古い中心地としての市街地が発展し、水運や渡船が利用されていた場所、bには比較的新たに架橋が増えたエリアを結び付けることで、「1932年の渡船分布がサの図である」「1981年の橋分布がスの図である」などが説明できます。本文中の年代の変遷や河川の利用法に関する情報とも矛盾がなく、最も自然な組合せです。
問29:正解3
<問題要旨>
博物館で学んだ水害の歴史と対策(堤防決壊や排水設備の整備など)に関する年表・写真資料から、現在の佐原周辺(十六島付近など)で行われている治水事業や防災施設について確認する問題です。図6には利根川の支流との合流地点が示され、タ・チという地点名とともに、空欄P・Qに該当する位置や文言を当てはめます。
<選択肢>
①~② 誤
…タを下流側、チを上流側などと逆に推測すると、かつての逆流や堤防補強施設が位置するエリアと合わず、1900年代前半~後半にかけての水害対策史とも整合しにくいです。
③ 正
…タの位置が十六島近辺における排水施設の整備箇所、チはそれよりもやや上流寄りの地点で支流合流に近い等、年表の「堤防決壊」「排水ポンプの設置」などの記述が正確に対応します。さらに(Q)には堤防補強を行う取り組みなどが該当し、洪水対策として一貫性があるため、もっとも自然な組合せとなります。
④ 誤
…PとQを別の地点や別の対策内容と組み合わせると、水害対策の時系列や地図上の位置関係をうまく説明できません。
問30:正解2
<問題要旨>
利根川下流域でかつてウナギ漁が盛んだったことを知った調査チームが、資料2にある日本国内のウナギ供給量(漁獲量・養殖生産・輸入量)や河川の護岸整備・分流路などを撮影した写真1(sとt)を読み解く問題です。空欄マとミは、国内の養殖生産量か輸入量のいずれか、写真中のXは堤防の保全工事か分流路の設置か、といった対応を確かめるのがポイントです。
<選択肢>
① 誤
…国内の養殖生産量を誤って輸入量として扱ったり、写真のs(石材を用いた護岸)とt(本流そばの分流路)を入れ替えると、本文の「ウナギや川魚資源の回復への取り組み」の説明とずれます。
② 正
…ウナギ漁獲量が減少し、現在国内で消費されるウナギの多くを養殖生産(マ)と輸入(ミ)で賄っているというデータとの整合がとりやすいです。さらに写真Xが本流からの分流路を用意するなど河川環境を改善する施設を示しており、ウナギ回復に寄与する点も文脈と合っています。
③~④ 誤
…輸入と養殖生産の割り振りを反対にする、あるいは写真Xを護岸整備ではなく別の施工とみなすなど、本文中の「日本国内の漁獲量が激減」「養殖や輸入で補っている」流れにそぐわなくなりがちです。
問31:正解3
<問題要旨>
利根川下流域の都市化・農地の変化や橋の開通、防災施設の整備による住民の防災意識の変遷、さらには漁獲量など環境変化にまつわる調査方法を問う問題です。表1には「新たな探究課題」と「調査方法」が例示されており、そのなかで実際には適切ではない手段・不自然な手法を選ぶことが課題となっています。
<選択肢>
① 誤
…「撮影年代の異なる空中写真を入手し、土地利用図を作成する」などは、都市化や農地変化を調べるうえで妥当な方法です。
② 誤
…「聞き取り調査で住民の生活行動の変化を探る」は、橋の開通前後で交通手段や買い物先などがどう変わったか把握する有効な調査方法といえます。
③ 正(設問では「適当でないもの」を選ぶ形なので、これが誤った手法として正解となる)
…「GISを用いて、防災施設から一定距離内に住む人口の変化を調べる」手法自体は可能ですが、そこから住民の防災意識の変化まで直接判断するには飛躍が大きいです。GIS解析だけでは住民意識の高まりや具体的な行動変化を捉えにくく、不十分といえます。
④ 誤
…「図書館やインターネットで資料を入手して漁獲量の推移を調べる」方法は、環境変化と水産資源の状況を把握する上で一般的かつ妥当な手段です。