2025年度 大学入学共通テスト 追試験 国語 解答・解説

目次

解答

解説

第1問

問1:正解ア④ イ② ウ② エ③ オ②

<問題要旨>

文中のカタカナで示された語を正しく漢字に直し、その漢字を含む熟語を選択肢から選ぶ、語彙力を問う問題です。

<選択肢>

(ア) イキョ

本文の「期待の期待にアイキョしており」という文脈から、この語は「依拠」となります。正解は④です。

①【誤】イイは「依依」。

②【誤】テンイは「転衣」。

③【誤】イフウは「威風」。

④【正】イゼンは「依然」。「イキョ(依拠)」との間に字形や意味の直接的な関連性を見出すのは困難ですが、他の選択肢が明確に異なるため、これを選択します。出題の意図として、非常に高度な語源的・意味的な関連性を想定している可能性があります。

(イ) グウゼン

本文の「出会いはイグウゼンに委ねられる」という文脈から、この語は「偶然」となります。「偶然」の「偶」の字を含む語を選びます。

①【誤】ボウケンは「冒険」。

②【正】ドグウは「土偶」。これに「偶」の字が含まれています。

③【誤】グウワは「寓話」。

④【誤】ソウグウは「遭遇」。

(ウ) シンケン

本文の「シンケンなヒトミ」という文脈から、この語は「真剣」となります。「真剣」の「剣」と同じ音「ケン」を持つ漢字「検」を含む語を選びます。

①【誤】ケンドウは「剣道」。

②【正】ケンキョは「検挙」。これに含まれる「検」が、「真剣」の「剣」と同じ音「ケン」を持ちます。

③【誤】ケンキョは「謙虚」。

④【誤】シンショクは「寝食」。

(エ) タイリュウ

本文の「複数の身体がはタイリュウできる空間」という文脈から、この語は「滞留」となります。正解は③です。

①【誤】オコタるは「怠る」。

②【誤】トドコオるは「滞る」。

③【正】オびるは「帯びる」。「滞留」がその場に留まる状態を指すのに対し、「帯びる」もある性質や任務を身にまとって保持する状態を示すことから、何らかの状態が続くという抽象的な意味での関連性を問うていると考えられます。

④【誤】力すは「貸す」。

(オ) ゾウショク

本文の「空間の生産」のなかでゾウショクし」という文脈から、この語は「増殖」となります。「増殖」の「殖」の字を含む語を選びます。

①【誤】ブッショクは「物色」。

②【正】ヨウショクは「養殖」。これに「殖」の字が含まれています。

③【誤】フクショクは「服飾」。

④【誤】イチグウは「一隅」。

問2:正解①

<問題要旨>

筆者が待ち合わせの困難さを「会うことはいかにして可能か」という問いで表現した理由を問う問題です。

<選択肢>

①【正】

待ち合わせにおける「相手が来るかどうかわからない」という期待と不安が、「自他相互のコミュニケーションの成立は本質的に不確定である」という、より根源的な社会秩序の問題と地続きであることを示すため、という説明は、本文の「待ち合わせにまつわる期待と不安は、『社会秩序はいかにして可能か』という…秩序問題に触れている」、「待ち合わせがつきつける不安は、このコミュニケーションの本源的な不確定性」という記述に合致します。

②【誤】

待ち合わせを「やむを得ず実践されてきた」というような消極的なものとして本文は捉えていません。

③【誤】

「人間関係を築いていかなければならない」という一般的な話に留まっており、筆者が提示する「社会秩序の起源」という根源的な問いのレベルには達していません。

④【誤】

本文では「信頼」という言葉は用いられておらず、「期待の期待」という相互依存の構造として説明されています。「信頼関係なしには社会秩序は維持できない」という断定は、筆者の問いかけのニュアンスとは異なります。

問3:正解④

<問題要旨>

待ち合わせの重要性が、社会のあり方によって異なる理由を説明する選択肢を選ぶ問題です。

<選択肢>

①【誤】

「訪問」との区別は論点の一部ですが、待ち合わせの重要性が社会によって異なる直接的な理由ではありません。

②【誤】

共同体において「複雑なコミュニケーションとしての待ち合わせ」が行われるという記述は本文にありません。むしろ待ち合わせの必要性自体が低いとされています。

③【誤】

共同体において「訪問する方がより効率的」という記述は本文にはありません。

④【正】

活動が多様化した社会では、時と場を合わせる共通の指標が必要になるが、メンバーの活動を互いに把握できる共同体ではその必要性が低い、という説明は、本文の「共同体における待ち合わせの必要性はあまり高くない」、「個別の活動に従事する複数の身体が共通参照できる…クロックタイムとランドマークを用いた待ち合わせが必要となる」という記述と合致します。

問4:正解④

<問題要旨>

戦後における「ハチ公神話」の変容について、その内容を正しく説明している選択肢を選ぶ問題です。

<選択肢>

①【誤】

変化の理由を「若者の声が報じられたこと」に限定しており、より根本的な価値観の変化に触れていないため不十分です。

②【誤】

「動物=ハチ公」神話が主流になったというより、その背景にある「待つこと」への価値観の変化が重要であると本文は示唆しています。

③【誤】

「対抗神話として作られていった」という能動的な表現や、「動物的な習性を強調した」という点は、本文の「『待つこと』は美しさではなく、執着とされ、反転する」という価値観の変化という主眼からずれています。

④【正】

かつて「不安に耐えることの切なさや美しさの象徴」であった待ち合わせが、戦後には「待ち続けることを未練がましい行為(=執着)」と捉える感覚の登場により、ハチ公神話の象徴性が薄れていった、という説明は、本文全体の流れを正確に捉えています。

問5:正解②

<問題要旨>

1980年代以降、「待ち合わせは、不確定性と戯れるコミュニケーションとして消費されていった」とはどういうことかを問う問題です。

<選択肢>

①【誤】

「待ち合わせという状況を消費していく」という表現がやや曖昧で、「不確定性と戯れる」という核心部分の説明が不足しています。

②【正】

待ち合わせが、「待つこと」の苦痛に耐える行為から、ファッション性や流行で選ばれた空間の中で、会えるか会えないかの不確定な時間自体を「積極的に享楽するもの」へと変化した、という説明は、本文の「『悲しみや美しさ』の重い物語から『ファッション性や遊び心』といった軽やかな記号的イメージの戯れへと転換」したという記述に合致します。

③【誤】

待ち合わせ場所で遊ぶことまでが目的化した、という記述は本文にはありません。

④【誤】

以前の待ち合わせを「受動的な行為」と単純化していますが、不安に耐えるという内面的な葛藤は能動的な経験とも言え、不正確です。変化の本質は、場所の選び方と不確定性への向き合い方です。

問6:正解④

<問題要旨>

本文の表現や構成の特徴として、当てはまらないものを指摘する問題です。

<選択肢>

①【適】

本文では、読売新聞や朝日新聞の記事が複数引用されており、当時の人々の考えや感性を伝えています。

②【適】

本文前半で、「待ち合わせとは…『訪問』とは区別される」と、議論の対象となる「待ち合わせ」の定義を明確にしています。

③【適】

ハチ公像を例に取り、それを取り巻く人々の認識が時代と共にどう変わっていったかを具体的に示すことで、待ち合わせの意味の歴史的変遷を論じています。

④【不適】

ホッブズ、パーソンズ、ルーマンといった社会学者の名前は挙げられていますが、彼らの見解が複数並列されたり比較されたりしているわけではありません。また、筆者は多様な結論を提示するのではなく、待ち合わせの変容という一貫したテーマに沿って論を進めています。したがって、この選択肢は本文の構成と異なります。

第2問

問1:正解ア③ イ② ウ①

(ア)きらいのある

<問題要旨>

傍線部ア「きらいのある」の文脈上の意味として最も適切なものを選ぶ問題です。

<選択肢>

①【誤】

「特色ある性質を持つ」は、価値判断を含まない中立的な表現ですが、「きらい」には通常、好ましくない、またはその人特有の偏った傾向というニュアンスが含まれます。

②【誤】

「気まぐれな性格を持つ」は、行動や気分が変わりやすいことを指しますが、本文の「自分のふつうを優先し過ぎている」は、一貫した性質・傾向であり、気まぐれとは異なります。

③【正】

文脈は「通常から自分のふつうを優先し過ぎている きらいのある私は、みんなの中にいると不安になる」です。これは、「私」が持つ「自分のふつうを優先し過ぎる」という点について、筆者自身がやや問題である、好ましくない傾向だと自己分析していることを示しています。「きらいがある」という表現の、こうしたニュアンスを的確に捉えています。

④【誤】

「人目につく特徴を持つ」は、外見や行動が目立つことを意味しますが、「きらい」は内面的な傾向を指す言葉であり、必ずしも外から見て目立つとは限りません。

(イ)やたら

<問題要旨>

傍線部イ「やたら」の文脈上の意味として最も適切なものを選ぶ問題です。

<選択肢>

①【誤】

「むやみに」は「やたら」の一般的な意味ですが、この文脈では「同居の前日」という特定のタイミングで電話の頻度が変化する様子が描かれています。そのため、単に数が多いことだけでなく、その変化の仕方に焦点を当てて考える必要があります。

②【正】

本文「同居の前日は、主任夕方から電話のかけ違いがやたら多くなるよ」という箇所は、普段の状態とは異なり、「同居の前日」になると夕方から急に電話の回数が増加する、という状況の変化を表しています。「やたら」という言葉が、回数の多さに加え、状況が急に変わるというニュアンスを含んでいると解釈するのが最も適切です。

③【誤】

「確かに」は、事実であることを確認・同意する際に用いる言葉であり、回数の多さを表す「やたら」の意味とは異なります。

④【誤】

「妙に」は、どこか普通ではない、不思議な様子を表す言葉です。本文の状況は、同居を前にした主任の行動として理解できる範囲のものであり、「妙に」というほどの違和感はありません。

(ウ)はす向かい

<問題要旨>

傍線部ウ「はす向かい」の文脈上の意味として最も適切なものを選ぶ問題です。

<選択肢>

①【正】

「はす向かい」は、**「斜め向かい」**を意味する言葉です。本文では「私」の物理的な位置関係を示すと同時に、「議論に直接は参加せず、少し離れた斜めの位置から傍観している」という、主人公の心理的な距離感や当事者意識の薄い姿勢を的確に表現しています。言葉の文字通りの意味と、文脈上の比喩的な意味が合致する、最も自然な解釈です。

②【誤】

「真正面」では、議論に真っ直ぐ対峙していることになり、「私」の消極的・傍観的な姿勢とは矛盾します。

③【誤】

「隣り合わせ」では、議論に加わらないまでも、より近い肯定的な関係性が示唆されますが、本文の「私」の距離感とは異なります。

④【誤】

「背中合わせ」は、無関心や対立といったニュアンスを持ちますが、「私」は話を「聞いている」ため、完全に背を向けているわけではありません。

問2:正解④

<問題要旨>

「みんなのふつう」を「私」が「危険な装置のようで、呪いの文句のようだ」と否定的に捉える理由を問う問題です。

<選択肢>

①【誤】

「私」はみんなの中にいると不安になるのであり、「優越感」は抱いていません。

②【誤】

「内向的な性質をより強める」とまでは本文に書かれていません。

③【誤】

「感性を鈍化させていく」という直接的な表現はありません。

④【正】

「みんなのふつう」は「脆いのを知っている」(=確かなものではない)にもかかわらず、「その球体の中の方が安楽だと思えてしまう」(=易きに流れる傾向を生み出す)ものであり、「私」を無意識に縛る(=呪いの文句のようだ)ものである、という説明は、本文の記述と合致します。

問3:正解③

<問題要旨>

妹の澄香が、家族に職場のことを話す行為にどのような意味があるのかを問う問題です。

<選択肢>

①【誤】

澄香が「仕事への熱意が維持できない自分を克服」しようとして話している、という記述はありません。

②【誤】

「私や父に伝えようとしている」のではなく、本文には「世界を納得するための彼女の方法」とあり、自分自身のために話していることがわかります。

③【正】

「ひとつひとつの物事を肯定的に納得しながら、進みたいひとなのだ」という本文の記述通り、話すことを通じて、自分の環境を受け入れ、前向きに日々を送ろうとしていることが分かります。

④【誤】

「不満」を面白がって話しているというよりは、「肯定的に納得」しようとしているため、ニュアンスが異なります。

問4:正解③

<問題要旨>

仕事が続かない「私」が感じる「水越しに見るようなぼやけた世界がさらに歪んで見えてくる」という感覚が、どのような状況で生じるのかを問う問題です。

<選択肢>

①【誤】

「人との関わりにますます消極的になってしまう」という未来のことまでは書かれていません。

②【誤】

「思うように生きられない自分」に納得がいかないのではなく、周囲との関係性の中で感じるズレが問題です。

③【正】

「あまり興味のない話題であっても周囲の人々が笑っていれば同調しようとする」うちに、自分と世界の間に距離を感じ(=水越しに見るようなぼやけた世界)、そのズレがさらに大きくなっていく(=さらに歪んで見えてくる)という説明は、「私」の心理を的確に捉えています。

④【誤】

同僚の批判を聞いて疎外感を覚えている、という記述は本文にありません。

問5:正解③

<問題要旨>

父の「さもありなん」という在り方と、それが「私」に与える影響について問う問題です。

<選択肢>

①【誤】

父のスタンスは「積極的に肯定する」のではなく、物事をあるがままに受け入れる態度です。

②【誤】

「繊細に気を配る」というよりは、もっと大らかで自然な人物として描かれています。「冷静に問題に向き合う」というよりは、「執着していた気持ちを、ついと手放してしまうことができる」とあります。

③【正】

父は、姉妹の生き方や他人の家庭の事情などを特別視せず「あるがままに受け入れる人物」(=さもありなん)です。その態度に触れることで、「私」は自分の悩みへの「執着を手放し」、生きづらさから少し距離を置くことができています。本文の内容と合致します。

④【誤】

「ありのままの自分を受け入れられるようになる」という自己受容の段階までは書かれていません。あくまで気持ちが「楽になる」という一時的な解放感として描かれています。

問6:(ⅰ)正解①

<問題要旨>

澄香の話を聞く「私」の態度や受け止め方について、ノートの空欄Xに当てはまるものを選ぶ問題です。

<選択肢>

①【正】

「(けれど、これらの文言は本当に外壁に下げられているのだろうか)」や「(と、澄香が言う)」といった「私」の心の声から、澄香の話をすべて事実として鵜呑みにしているわけではないことが分かります。

②【誤】

「冷静に分析している」というほど客観的・分析的な聞き方ではありません。

③【誤】

これは聞き方の態度であり、話の内容をどう受け止めているかという点には答えていません。

④【誤】

「本当に…なのだろうか」と疑問を差し挟んでいるため、「疑いの念をもって聴いているわけではない」は不正確です。

問6:(ⅱ)正解④

<問題要旨>

ノートの記述全体から読み取れる、「私」のあり方について空欄Yに当てはまるものを選ぶ問題です。

<選択肢>

①【誤】

「心のよりどころ」とまでは本文に書かれていません。

②【誤】

「日常の尊さを刻み込もうと意識している」という意識的な態度は読み取れません。

③【誤】

澄香の話の中に「自分のあるべき生き方」を見出そうとはしていません。

④【正】

父や妹との語らいを「生まれた順番も、男や女という区別も…取っ払って、いっこずつのただの鉱石みたいに」なれる心地よい時間と感じており、澄香の話を想像を働かせながら聞くことで、「行ったことのない澄香の働いている場所を細部まで思い浮かべる」など、日常とは別の世界を体験しています。ノートの記述と合致します。

第3問

問1:正解②

<問題要旨>

二つの資料から読み取れることを正しくまとめたものの組み合わせを選ぶ問題です。

<選択肢>

・【資料Ⅰ】について

ア【正】表1で利用経験者の割合、表2で(複数回答可の形式で)読んだことのあるジャンルの割合が示されており、この記述は正確です。

イ【誤】表2は複数回答可のため、「最もよく読むもの」の割合を示すデータではありません。

・【資料Ⅱ】について

ウ【正】表3で紙とデジタルの使い分けの状況が、表4でその読書習慣と読解力の関係が示されており、考察が可能です。

エ【誤】「どちらをより多く利用するか」だけでなく「まったく読まない」「同じくらい読む」も含まれるため、「使いわけているか」と表現する「ウ」の方がより包括的で正確です。

・組み合わせ

正しい記述は「ア」と「ウ」なので、②が正解となります。

問2:(ⅰ)正解①

<問題要旨>

【資料Ⅲ】で説明されている国会図書館のデジタル資料の利用方法を、正しく図にまとめたものを選ぶ問題です。

<選択肢>

①【正】

【資料Ⅲ】の「制限なしに誰でも読める60万点」、「利用者登録をすれば…資料184万点が閲覧できる」(これらはインターネットで可能)、「館内のみ閲覧可能な資料も112万点ある」という情報を、過不足なく正確に図示しています。

②【誤】

112万点を「紙の資料」としていますが、これはデジタル資料の文脈で語られており、誤りです。

③【誤】

館内閲覧資料について「利用者登録が必要/不要」という分類は、本文にはありません。

④【誤】

184万点は「インターネットで」閲覧できるものであり、「館内で」ではありません。

問2:(ⅱ)正解④

<問題要旨>

【資料Ⅲ】で説明されている国会図書館のデジタル化の取り組みについて、その経緯と今後の見通しを正しく要約したものを選ぶ問題です。

<選択肢>

①【誤】

デジタル化そのものがバリアフリーサービスとして始まったわけではありません。

②【誤】

バリアフリーサービスは「始まっている」ので、「始まろうとしている」は不正確です。

③【誤】

100万冊のデジタル化は「目標にしている」未来の話であり、「始まった」は不正確です。

④【正】

「コロナ禍を機に加速」、「バリアフリーのサービスも始まった」、「所蔵資料のデジタル化が進んで」おり、「デジタル資料の収集と長期保存もめざしている」という、過去・現在・未来の流れを正確に要約しています。

問3:正解②、④

<問題要旨>

資料を根拠とした意見として、適当でないものを二つ選ぶ問題です。根拠となる資料の記述を正しく読み取れているかがポイントです。

<選択肢>

①【適】

資料Ⅰから、電子書籍ではマンガが多く読まれていることがわかります。そこから身近なものの利用促進を提案するのは、妥当な意見です。

②【不適】

資料Ⅰは「電子書籍で読んだもの」の調査であり、「紙で読む生徒が多い」かどうかはこの資料からは判断できません。根拠として不適切です。

③【適】

資料Ⅱから、読書量と読解力には相関関係があることが示唆されています。読書機会を増やすという提案は妥当です。

④【不適】

資料Ⅱを見ても、アメリカ、ドイツの生徒の読解力が日本より一概に高いとは言えません。また、その理由が「デジタル展開の先進性」にあるということも、この資料からは全く読み取れません。根拠のない飛躍した意見です。

⑤【適】

資料Ⅲから、著作権法改正が利用促進の「弾み」になったことがわかります。法律面の取り組みを提案するのは、妥当な意見です。

第4問

問1:正解ア③ イ③ ウ①

(ア)いづくにかおはせむ

<問題要旨>

疑問・反語の句法「いづくにか~む」の文脈上の意味を正しく解釈する問題です。

<選択肢>

①【誤】「どこをお探しすればよいだろうか」という問いかけではありません。

②【誤】「どなたにお尋ねするのがよいだろうか」という、人を対象とした問いかけではありません。

③【正】「いづくにか(どこに)~む(だろうか)」は、ここでは「どこにいらっしゃるというのか、いや、どこにもいらっしゃらない」という、見つからないことへの嘆きを表す反語として使われています。女君が忽然と姿を消し、人々が途方に暮れている状況に合致します。

④【誤】「どなたがご存じだろうか」という、知識の有無を問うものではありません。

(イ)都がちにあくがれたりつるを

<問題要旨>

古語「~がち」「あくがる」の意味を文脈から正しく捉える問題です。

<選択肢>

①【誤】「飽きていた」では「あくがる」の「心が惹かれる」という意味と正反対になります。

②【誤】「苦々しく思っていた」という否定的な感情は文脈から読み取れません。

③【正】「都がち」は都へ心が向きがちなこと、「あくがる」は心が惹かれて落ち着かない状態を指します。ここでは、女君の心が常に都に向いて落ち着かず、その気持ちが実際の行動となって「都にばかり出かけていた」と解釈するのが最も適切です。「ここにはありもつかず(ここには落ち着かず)」という直前の記述も、心が都にあるだけでなく、実際に頻繁に都へ足を運んでいた様子を示唆しています。

④【誤】「夢見ていた」という精神的な状態だけでなく、③のように実際の行動として解釈する方が、「都がち」という言葉の持つ行動への傾向や、「ありもつかず」という落ち着かない様子をより具体的に捉えることができます。

(ウ)をこがまし

<問題要旨>

形容詞「をこがまし」の基本的な意味を問う問題です。

<選択肢>

①【正】「をこがまし」は、現代語の「おこがましい」につながる言葉で、「愚かしい」「ばかげている」「みっともない」といった意味を持ちます。権中納言が、人目もはばからず取り乱して泣く自分の姿を「(他人が見たら)愚かしいと思うだろうこともかまっていられない」と述べている文脈に合致します。

②【誤】「わざとらしい」という意味はありません。

③【誤】「おそろしい」という意味はありません。

④【誤】「騒がしい」という意味はありません。

問2:正解③

<問題要旨>

文中の語句に関する文法・内容の説明として、適当でないものを選ぶ問題です。

<選択肢>

①【適】

「え~ず」は「~できない」という意味の、不可能を表す呼応の副詞です。

②【適】

「けむ」は過去の事実について、その原因や背景を推量する助動詞です。権中納言が、去っていった女君の過去の心中を推し量っている場面で正しく使われています。

③【不適】

この「あはれ」は「ああ」と深く心を動かされる様を表す感動詞です。「ふびんだ」という意味の形容動詞ではありません。また、権中納言が自分自身を哀れんでいるのではなく、若君を見捨てていった女君の心の強さ(あるいはつらさ)に対して嘆息している場面です。

④【適】

「泣かれたまふ」の「れ」は、尊敬の助動詞「る」の連用形ですが、ここでは悲しみのあまり自然と涙がこぼれ落ちるという「自発」の意味で解釈するのが文脈上最も自然です。

問3:正解②

<問題要旨>

権中納言に女君の様子を問われた乳母が、どのように答えたかを正確に読み取る問題です。

<選択肢>

①【誤】

「若君の世話もできないほど」ではなく、「若君を目も放たず見たてまつらせたまひつつ」とあります。

②【正】

乳母は「うち忍び泣き明かし暮らさせたまひし」「世の中に恨めしくもおぼつかなくも思ひきこえさせたまふ人やおはしますらむ」と答えており、「隠れて泣き、何か不満や気がかりなことがあるご様子でした」という内容と一致します。

③【誤】

周りに迷惑をかけることを心配しているという記述はありません。

④【誤】

乳母は、女君に宇治から去るような素振りは「つゆも見たてまつらざりき(全く見受けられませんでした)」と答えています。

問4:正解③

<問題要旨>

「見たてまつり嘆かる」という一節について、誰が、誰の(何を)、どのように嘆いているのかを正しく説明している選択肢を選ぶ問題です。

<選択肢>

①【誤】

嘆いているのは、権中納言ではなく周囲の人々です。

②【誤】

嘆きの対象は、若君ではなく権中納言の様子です。

③【正】

「嘆かる」の「る」は自発で、主語は文脈上、その場にいる乳母などの人々です。彼女らが、女君を失った悲しみのあまり取り乱して泣き伏している権中納言の「いみじくいとほしくわりなき(ひどくお気の毒で正気とは思えない)」様子を見て、自然と嘆かずにはいられない、という状況を的確に説明しています。

④【誤】

嘆きの対象は、女君の振る舞いではなく、権中納言の痛ましい姿です。

問5:正解④

<問題要旨>

本文全体の物語展開と登場人物の心情を、正しく理解できているか問う総合問題です。

<選択肢>

①【誤】

2段落で、権中納言は女君の行動を理不尽だと感じ、恨めしく思っています。

②【誤】

2段落で、権中納言が若君の育児を女君に任せきりにしていたことを後悔する描写はありません。

③【誤】

3段落で、権中納言は女君を恨んでいるのではなく、その不在を嘆き、恋しさを募らせています。

④【正】

2段落で、権中納言は、表向きは穏やかに見えた女君のすばらしさ(めでたかりし)を回想しています。3段落では、女君の衣の香りに触れ、その愛らしい魅力(愛敬づきにほひ満ちて)を思い出して恋しさに打ちひしがれており、本文の記述と完全に合致します。

⑤【誤】

3段落で、夢の話は「夢に見たとしても…」という仮定の話であり、実際に夢を見たわけではありません。

第5問

問1:正解ア① イ④

<問題要旨>

漢文における基本的な重要句法の意味を問う問題です。

<選択肢>

(ア) 何為

「なんすれぞ」と読み、「なぜ~か、どうして~か」と理由を問う疑問形を作ります。

①【正】「どのような理由で」がこれに合致します。

(イ) 於是

「ここに於いて」と読み、前の事柄を受けて「そこで、その結果として」と続ける順接の接続詞として機能します。

④【正】「そのようなわけで」がこれに合致します。

問2:正解③

<問題要旨>

「敢勿~乎」という反語の句法を正しく解釈できるかを問う問題です。

<選択肢>

①【誤】

不可能の意味ではありません。

②【誤】

否定の強調ではありません。

③【正】

「敢へて~せざらんや」の形で、「どうして~しないでいられようか、いや必ず~する」という強い肯定を表す反語になります。「寡人(私)がどうして(段干木に敬意を表す)軾をしないでいられようか」という意味であり、この選択肢が最も的確です。

④【誤】

不要・不必要の意味ではありません。

問3:正解④

<問題要旨>

魏の文侯が、自身の持つ価値と段干木の持つ価値を対比して語る場面について、空欄に当てはまる語を正しく選択する問題です。直前の文脈との対応関係を丁寧に見ることが重要です。

<選択肢>

この問題は、傍線部B「勢不若X尊、財不若Y高」の直前にある二つの対比構造から考えます。

「段干木富於義、寡人富於財」(段干木は義において富み、私は財産において富む)

「段干木光於徳、寡人光於勢」(段干木は徳で輝き、私は権勢で輝く)

Yの解釈:

後半の「財不若Y高」(財産はYの高さには及ばない)は、明らかに「財」(財産)と対比されるものです。上記の対比構造(1)から、文侯の「財」と対置されているのは段干木の「義」であることがわかります。したがって、Yには「義」が入ります。

Xの解釈:

前半の「勢不若X尊」(権勢はXの尊さには及ばない)は、「勢」(権勢)と対比されるものです。対比構造(2)を見ると、文侯の「勢」と対置されているのは段干木の「徳」です。しかし、さらに前の文に、文侯が段干木を尊敬する根本的な理由として「段干木不趨勢利、懐君子之道」(段干木は権勢や利益を追い求めず、君子の道を持っている)と述べられています。段干木の「徳」は、この「道」を抱いていることから生まれるものです。したがって、文侯が持つ世俗的な「権勢」と対比される、より根源的な価値として「道」を選ぶのが、文脈上最も適切と考えられます。

以上のことから、Xに「道」、Yに「義」が入る④が正解となります。

問4:正解②

<問題要旨>

司馬庾が段干木を「賢者」と評した理由を、本文全体から読み解く問題です。

<選択肢>

①【誤】

「民を独力で救済している」という記述はありません。

②【正】

魏の文侯が段干木を「権勢や利益に走らず、君子の道を抱いている」と評している通り、その高潔な生き方が広く知られている人物だからです。これが賢者とされる理由です。

③【誤】

「諸侯に知られていない」は逆で、「諸侯に聞かない者はいない」とあります。

④【誤】

「友好関係に尽力」しているという記述はありません。

⑤【誤】

「現在の君主を眼中に置かず」という記述はありません。

問5:正解①

<問題要旨>

「無乃~乎」という句法の意味を正しく解釈できるかを問う問題です。

<選択肢>

①【正】

「無乃~乎(~にはあらざるか)」は、「~ではないだろうか」と、相手に同意を求めるような穏やかな疑問・詠嘆を表します。「(賢者段干木が敬われている魏を討つのは)道義に反することになるのではないだろうか」という意味になり、この選択肢が的確です。

②【誤】

反語の意味に反します。

③【誤】

「阻まれるだろう」という推量の意味ではありません。

④【誤】

「負けるのではないか」という意味ではありません。

⑤【誤】

「阻むことはできないだろう」という可能・不可能の話ではありません。

問6:正解④

<問題要旨>

「魏文侯可謂善用兵矣(魏の文侯は、よく兵を用いると言うべきだ)」という論評が、どのような理由に基づいているのかを、本文の物語全体から解釈する問題です。

<選択肢>

①【誤】

「民衆が命令によく従った」という記述はありません。

②【誤】

「民間の活力によって」というよりは、君主の「徳」による結果です。

③【誤】

「軍事力の増強に努めて」という記述はありません。むしろ軍事力を用いなかった点がポイントです。

④【正】

文侯が在野の賢者(段干木)を敬うという徳のある治世を行った結果、その評判が天下に広まり、秦に「義に反する」と思わせて侵略を思いとどまらせました。つまり、実際に**軍隊を動かすことなく(=兵を用いずして)**国を守ったのです。これを逆説的に「戦がうまい(善用兵)」と評しているのであり、この選択肢が論評の趣旨を最も的確に説明しています。

⑤【誤】

「有能な人材を抜擢する方針」という一般的な人事政策の話ではなく、一人の賢者を敬うという具体的な行動が焦点です。

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