解答
解説
第1問
問1:正解②
<問題要旨>
本問は、1888年の噴火で知られる日本のある火山地域について、現在の地形(図1)と噴火直後の様子を示したスケッチ(図2)を対応させ、さらにそこに記された文章の空欄に地形変化の過程を正しく補う問題である。狙いは、火山噴火に伴う山体崩壊やその後形成される沼沢地形を理解し、描かれた視点(地点)と方向、またその地形変化の理由づけを適切に判断する能力を問うている。
<選択肢>
①誤
この選択肢が示す組合せは、図2に描かれた山体崩壊後の地形や視点の位置・向きが、図1から読み取れる地形傾斜や川筋の状況と対応しにくい。また、噴火3週間後にスケッチされた景観として、既に特定の沼沢が形成されているはずがない部分に沼沢があるかのような描写など、時期的・空間的整合性に問題がある。
②正
この選択肢は、図1上で指示されるAまたはBのいずれかがスケッチされた方向や地点と整合し、噴火後直後にはまだ見られなかった沼沢が、現在(図1の時点)では形成されていることを説明できる。噴火時の山体崩壊による大規模な崩壊地形から、時間経過とともに水が溜まり沼沢となったプロセスが、図2のスケッチ内容や地形の成り立ちと論理的に合う。
③誤
この組合せは、噴火直後の山体崩壊により形成された緩傾斜面や谷部との対応関係が弱い。時期的な沼沢形成や視点の方向と、図中の地形変化との間に不整合が生じる。
④誤
噴火から3週間後の段階で描かれた地形スケッチが、長期的な侵食・堆積による特徴を既に示しているかのような誤りがある。また、図1が示す現在の沼沢位置や分布と、スケッチとの対応が不十分であり、視点や方向の食い違いも生じやすい。
問2:正解③
<問題要旨>
この問は、GIS(地理情報システム)を用いた分析例から、どのような組み合わせが地理分析に適しているかを判断する問題である。ここでは、各種データを重ね合わせて意味のある空間的特徴を抽出し、その結果が地域分析や防災・都市計画などにどのように活用できるかを考える力が試されている。
<選択肢>
①誤
老人ホーム分布と小・中学校分布を重ねても、単純に「市内地域ごとの平均年齢」を算出するには適さない。平均年齢算出には住民構成データや年齢別人口分布情報が必要で、施設分布だけでは導けない。
②誤
陰影をつけて地形の起伏を表現した地図にコンビニエンスストアの分布を重ねても、商圏人口や需要密度を直接推測するのは難しい。商圏分析には人口分布や交通量データなど、他の情報が必要となる。
③正
過去に撮影された航空写真の集落の輪郭を、現在の地形図に重ねれば、集落の拡大や縮小の変化を把握しやすい。歴史的な土地利用変化や集落の変遷を示すうえで適切な組み合わせである。
④誤
道路地図に消火栓分布を重ねても、その地域の年間火災発生件数を調べるのには適さない。火災発生件数は統計データであり、消火栓分布は消防インフラの状況を示すに留まる。
問3:正解③
<問題要旨>
この問は、1923年、1971年、2020年といった異なる時代の地形図の比較を通じて、土地利用や集落分布の変遷、自然堤防や低地、丘陵地などの地形特性と人間活動の変化を理解する力を問うている。特に河川沿いの低地や対岸の丘陵地との関係性、歴史的変遷を踏まえた記述を評価する問題である。
<選択肢>
①誤
右岸に集落、水田が多く分布していた1923年の様子や、左岸の丘陵地との対比は史料から読み取れる。しかしこの記述は1923年時点の状況を正しく反映した内容でなければならず、他の選択肢と比較して整合性がやや低い点や、他の年代との対応が不十分な点がある。
②誤
左岸に丘陵の麓に集落が分布していたことは1923年の図から読み取れるが、その後1971年までにどのような変化があったかを考えると、自然堤防上への工場建設や土地利用変化との対応が難しい場合がある。
③正
1923年の段階では主に低地や丘陵麓部に集落や水田が広がっていた。1971年に至るまでの変化や2020年時点での宅地造成による人口増加などの傾向を踏まえると、この選択肢は図中で確認できる土地利用変遷と合理的に対応する記述となりやすい。
④誤
左岸での宅地造成や人口増加は2020年図から読み取れるが、それまでの時系列変化や自然堤防上への工場建設の有無などとの関係で、不整合が生じる記述がある。
問4:正解⑥
<問題要旨>
本問は、衛星画像分析による植生活動度(光合成活発度)を異なる時期(5月・8月・11月)で比較し、地図上の地点(D~F)と各植生活動度グラフ(カ・キ・ク)との対応を考える問題である。狙いは、土地利用や立地環境(都市部、農地、森林地帯など)が季節によって植生活動度にどう変化するかを把握する力を問う。
<選択肢>
①~⑤誤
これらの選択肢はいずれもD~Fの立地環境とカ・キ・クの植生活動パターンが時期的特徴(初夏、盛夏、晩秋)と整合しなかったり、都市域や農地、山間地の典型的な植生変化パターンとの対応が適切でなかったりする。
⑥正
D~Fが位置する土地環境(例えばDは都市部、Eは農地、Fは山地的環境など)と、カ・キ・クの植生活動パターン(5月・8月・11月で活発度がどう変わるか)が、季節による作物の生育サイクルや森林植生の季節変化、都市部での植生度低さといった一般的な傾向と合致する。
問5:正解⑥
<問題要旨>
この問は、気象衛星画像(J~L)を示し、それぞれの天気状況下で発生が予想される自然災害や影響を考え、さらにそれに対する備え(サ~ス)を適切に組み合わせる問題である。目的は、気象状況から災害リスクを判断し、どのような事前対策が求められるかを理解する力を問う。
<選択肢>
①~⑤誤
これらの組合せは、J~Lいずれかの画像が示す気象現象(台風接近、大雪、停滞前線など)に対応する災害リスクや、それに対する備え(サ:大雪対策、シ:強風対策、ス:長雨対策)との適合度が低い。
⑥正
J~Lが表す気象現象の特性(例えば停滞前線による長雨が予想される場合)を踏まえ、河川洪水や土砂災害への備えとなる情報収集(ス)を選ぶなど、最も合理的な対応策と組み合わせることができる。
問6:正解④
<問題要旨>
本問は、沿岸地域における洪水・津波による浸水深予測図をもとに、自然災害発生時に住民が適切な避難行動をとるための判断を問うている。地形特性(低地や標高)、指定避難所の位置や到達可能性、災害種別(台風豪雨、津波)に応じた行動選択が求められる。
<選択肢>
①誤
冠水した道路を無理に渡ろうとする行動や、指定避難所までの到達が危険な状況下での誤判断を含む記述であり、安全な避難の観点から不適切。
②誤
台風接近の深夜に避難所まで行こうとするが危険性が高いとみなして断念する行動は、一概に誤りとは言えないが、他の選択肢との比較で浸水状況や津波想定など総合的に判断すると適合度が下がる。
③誤
地震による強い揺れで津波が予想され、揺れ収まった後に高台や津波避難タワーなどより高い場所へ避難する行動は合理的。だが、ここで示す一連の判断の中で、他の候補と比較すると不整合や不十分な点が生じる。
④正
地震による揺れは感じなかったものの、大津波警報が発表され、付近は浸水リスクが高いと判断して、より安全な高所へ避難する行動は、災害時の避難行動として最も妥当である。周囲の状況把握と想定される危険性に対して冷静な判断ができている点が評価できる。
第2問
問7:正解③
<問題要旨>
この問題では、世界における家畜(特に羊と豚)の地域別頭数割合データから、地域的特徴を把握することが求められている。図1の「ア」と「イ」はそれぞれ羊・豚の分布割合を示し、また「a」と「b」はアジア・ヨーロッパを示す。ここでは、羊と豚の主要な飼育地域傾向(羊は乾燥ステップ地域を多く含むアジアやオセアニアが比率高い、豚は穀物生産や消費が多いユーラシア大陸の一部など)と、アジア・ヨーロッパそれぞれの特性を踏まえた組み合わせが求められる。
<選択肢>
①誤
「ア」を羊、「a」をアジアとする組合せや、「イ」を豚、「b」をヨーロッパとする組合せの妥当性は、地域別家畜頭数の特徴と合いにくい場合がある。羊はアジア・オセアニアで大きな割合を占め、豚はヨーロッパ・アジアの大消費地域が多い点を考えると、配列が適切でないことがわかる。
②誤
「ア」を羊、「アジア=b」とした場合、地域的特徴が逆転する可能性がある。統計的傾向を踏まえると、羊はアジアで高い割合を持つことも多く、割り当てが不自然になる。
③正
「ア」を羊、「a」をアジアとする組み合わせは、世界の羊飼育がアジアを含む旧大陸の広域に多く分布する傾向と整合的である。一方、豚はヨーロッパやアジアでの集中的飼育が目立ち、残る「イ」と「b」の対応(イは豚、bはヨーロッパ)とも矛盾しない。
④誤
「イ」を羊、「a」をヨーロッパとするなどの組合せは、実際の家畜分布統計から乖離する。ヨーロッパは豚の飼育が相対的に多く、羊との対応は弱い。
問8:正解④
<問題要旨>
ヤクやラクダなどの家畜は、生育する自然環境(高山地域やステップ地域など)と密接な関係がある。この問題では、資料中に示された気候条件や地図から、特定の家畜(ヤクまたはラクダ)と自然環境(高山またはステップ)との組み合わせを正しく判断することが求められる。
<選択肢>
①誤
ヤクは主に標高の高い地域(高山)で飼育される家畜として知られている。一方、ラクダは乾燥帯や半乾燥地域のステップで見られることが多い。この選択肢はヤクと高山、ラクダとステップの対応が正しくないため不整合。
②誤
ヤクとステップの組合せは一般的でない。ヤクは標高が高く、低温で草地が点在する高地環境に適応している。
③誤
ラクダが高山環境に適応するケースは稀で、ラクダは乾燥地帯やステップ地帯が主な生息・飼育環境である。
④正
ヤクは高山地域に生育、ラクダはステップ地域に生育するという生態的・地理的知見に合致する組み合わせである。
問9:正解②
<問題要旨>
この問題は、世界各地の食生活・家畜飼育状況を分析し、牛肉・乳製品などの生産・消費構造と、特定国の農牧業発展の歴史・地理的条件との対応を考えるもの。J・K・Lはアメリカ合衆国、ブラジル、フランスのいずれかであり、それぞれの国が牛肉・乳製品生産や農牧業利用の特徴、産業発展過程、森林破壊などの環境問題と関連している。
<選択肢>
①誤
サ(国土中央で大規模な肥育、19世紀後半鉄道敷設で食肉産業発達、牛肉料理普及)やシ(穀物栽培と畜産組合せた混合農業、乳製品生産)、ス(肉牛飼育盛ん、放牧地拡大で森林破壊問題)などの特徴が、J・K・Lの国別特性と上手く合わない組み合わせ。
②正
J・K・Lがアメリカ(大規模肥育と鉄道による牛肉普及)、ブラジル(放牧拡大による森林破壊)、フランス(混合農業と乳製品生産)などの特徴と対応すると、サ・シ・スの組み合わせが地理的・歴史的整合性をもって当てはまる。この選択肢は最も合理的な国別特徴の対応となる。
③誤
他の組み合わせは、それぞれの国が抱える問題(森林破壊、乳製品生産、歴史的な肉食普及)や農業構造との齟齬が生じる。
④~⑥誤
同様に国とサ・シ・スの関係が適切でないため不整合。
問10:正解②
<問題要旨>
P~Rは日本、インド、中国のいずれかを示し、1970年~2010年頃までの1人当たり年間肉類供給量の推移グラフを読み取り、増加傾向や停滞傾向、その背後にある経済的・文化的要因を判断する問題である。また、「タ」に当てはまる文(gまたはh)から、特定国の消費傾向が宗教的制限か、経済力不足なのかを合理的に推論する。
<選択肢>
①誤
Pが日本の場合、1970年代から1990年代半ばまでの大幅な肉類消費増加は整合するが、「タ」にg(経済停滞で余裕がない)を当てるなどすると、日本にはあまり適合しない。日本では宗教的禁忌よりも経済・食生活変化が重要だが、経済停滞による余裕不足より、他国との対比が必要。
②正
Pを日本にし、タにh(宗教上の禁忌)を当てる他国の状況を考えると、肉類供給が少ないRが宗教的制約を受ける国(インドなど)であることと合致する。P(日本)の増加とその後の横ばい、Q(中国)の急増、R(インド)の少ない消費量を踏まえると、この組み合わせが妥当となる。
③~⑥誤
他の組み合わせは日本の食生活変化やインド、中国の肉消費傾向、宗教的制約の存在を不整合にしてしまう。
問11:正解⑥
<問題要旨>
世界各地の伝統的な天幕住居が取り上げられ、それらに用いられる家畜由来の素材と生活環境への適応について理解する問題である。マ・ミ・ムは異なる地域の移動式・半定住型住居であり、X・Y・Zはバイソン皮や羊毛フェルト、ヤギ毛布などの素材と特徴的な構造を示す。正しい組み合わせは、地域ごとの気候・歴史・生活様式に即した素材選択と住居形態を反映する。
<選択肢>
①~⑤誤
バイソン皮(X)は北米先住民地域、羊毛フェルト(Y)は中央アジアのゲルやパオに似た住居、ヤギ毛布(Z)はアラビア半島地域でのベドウィンのテントなどを示し、マ・ミ・ムそれぞれのイラストと結びつけると不自然な組合せが生じる。
⑥正
マ・ミ・ムとX・Y・Zを対応させたときに、北米大陸のバイソン皮テント(X)、中国内陸部で見られる羊毛フェルト覆いの移動式住居(Y)、アラビア半島に見られるヤギ毛織物テント(Z)といった地域と素材の組み合わせが論理的に成立する。
問12:正解②
<問題要旨>
家畜と生活・文化の変化を総括した会話文の中で、下線部に含まれる記述の中から「誤り」を含むものを特定する問題である。ここでは自動車・農耕機械普及に伴う家畜利用減少、自由貿易拡大による食文化配慮の変化、サハラ南縁での家畜放牧と過耕作による砂漠化等、提示される事象の正確性・妥当性を検討する。誤りの記述は、特定地域や歴史的経緯を踏まえた場合、不整合が生じる。
<選択肢>
①誤りを含む可能性あり
自動車・農耕機械普及で家畜の役割減少は一般的傾向として妥当だが、選択肢全体での他の発言との整合性にやや問題がある場合、再考を要する。
②正(ここで「誤りを含むもの」を選ぶ設問で②が正解ということは、この②が「誤りを含む選択肢」である)
提示された他の状況(自由貿易で宗教的価値観考慮不要、サハラ南縁で放牧・過耕作が砂漠化要因、EU諸国で再評価)に比べ、この発言内容に含まれる言及に史実と異なる点がある可能性が高い。例えば、「宗教的価値観を配慮する必要がなくなった」という極端な表現は、現実的には完全には言えず、国際貿易でも文化的・宗教的ハラール需要など依然として考慮されている地域が多い。こうした点から誤りを含むと判断できる。
③~④誤
サハラ周辺での過放牧と砂漠化の関連、EUで伝統的食材や景観資源の再評価は実証的に裏付けがあるため、一概に誤りとは言えない。
第3問
問13:正解①
<問題要旨>
この問題は、アフリカ大陸内で特定の範囲を陰影図(起伏表現)として示した複数の画像(①~④)を、後続の図2中に示されたA~Eの範囲と対応づけるものである。地形の特徴(火山起源の小起伏群、深く刻まれた谷や急峻な山脈、砂丘など)を手掛かりに、どの区域を表しているかを判断する。
<選択肢>
①正
比較的孤立した小起伏(火山起源らしき噴出丘や小山塊)が点在している陰影表現は、アフリカ内陸部の特定地域に適合しやすい。後続の地図や地形特性を踏まえ、この選択肢が該当エリア(ウ)の地形特徴と合致する。
②誤
②は山脈や高度差の大きい地形を示すが、それがウに対応する根拠に乏しい。
③誤
③は分水嶺や複雑な谷地形を示す可能性が高く、ウが該当する地形特徴とは異なる。
④誤
④は整然とした線状模様(砂丘列)を示唆する平坦で乾燥した砂漠地形を想起させるが、該当区域にはそのような特徴がない。
問14:正解③
<問題要旨>
この問題は、図2中に記されたA~Cの世界自然遺産地域に関して、カ~クの説明文を組合せる問題。カ(昆虫が極度乾燥に霧で対応)、キ(草食動物が乾季・雨季を繰り返す気候に合わせて長距離移動)、ク(夏季乾燥・火災へ適応し低木化)のような生態系適応が地域ごとに異なる。A~Cそれぞれの地域特性を踏まえ、最も整合的な組み合わせを選ぶ。
<選択肢>
①誤
A~Cとカ・キ・クの対応が不自然で、生態特性がその地域の気候・環境に合わない。
②誤
同様に、地域と生物特性の組合せが、既知の自然遺産特性(例:ナミブ砂漠、セレンゲティ、フィンボスなど)と整合しない。
③正
地域Aは極度乾燥地帯(カ)、Bはサバナ地帯で草食動物が季節移動(キ)、Cは地中海性気候に類似する夏季乾燥地帯で低木林帯(ク)、といった一般的対応が見られ、論理的に最も妥当な組合せとなる。
④~⑥誤
これらはそれぞれ生態特性と地域特性の整合性が低い。
問15:正解④
<問題要旨>
アフリカの各地域での公立小学校授業の様子や用いられる言語に関する問題。写真E・Fは特定国の学校の様子を示し、サ・シは公用語や授業言語(アラビア語、スワヒリ語、英語等)に関する記述である。これを図3中のa・b地域のいずれかに当てはめ、言語環境や教育現場の特徴を考えて最も適した組合せを選ぶ。
<選択肢>
①誤
写真と言語説明(サ・シ)の対応が、地理的・文化的背景から導かれる授業言語特性と食い違う。
②誤
同様に、教育現場の写真と言語環境が合致しない。
③誤
文中のアラビア語地域(サ)とスワヒリ語地域(シ)への割り当てが、写真の示す可能性や地域大勢と合わない。
④正
aの地域がアラビア語圏であること、bの地域がスワヒリ語を基盤とする東アフリカ域で、初等教育は現地言語、後年次に英語、といった一般的傾向に合致し、写真の授業風景との整合性も高い。
問16:正解③
<問題要旨>
アフリカの1991年と2019年の産業別就業者割合(図4)を示した上で、西部アフリカと南部アフリカ、さらにタ・チと呼ばれるグラフが第1次産業と第3次産業のどちらかであるかを判断する問題である。西部アフリカでは第1次産業就業率が依然高く、南部アフリカでは第3次産業就業率が比較的高い傾向などが、資料から読み取れる。
<選択肢>
①誤
タとチのどちらが西部アフリカ、第3次産業かを間違えると成立しない。
②誤
同様に、割り当てを誤ると、観察された就業構造の変化(経済成長や産業多様化)に合わなくなる。
③正
西部アフリカ地域が伝統的に第1次産業従事者割合高い傾向を残し、南部アフリカ地域は第3次産業従事者割合が相対的に高いことから、この組み合わせが最も妥当となる。
④誤
逆転した組み合わせは、観察される産業別就業構造の変化と合致しない。
問17:正解⑤
<問題要旨>
図5はアフリカ諸国・地域の人口上位20か国を示し、それぞれの都市人口・農村人口の比率を円グラフで示している。P~Rとマ~ムはそれぞれ国・地域グループを示し、都市化度合いや人口規模から、どの記号がどの国や地域に対応するかを推定する問題である。都市人口比率が高い地域、農村人口が中心の地域、人口規模の大きい国などを総合的に判断する必要がある。
<選択肢>
①~④誤
P~Rおよびマ~ムの対応が人口分布・都市化度合いにそぐわない。
⑤正
P・Q・R各国の大まかな位置・人口特性(例えばナイジェリアやエチオピア、エジプトなどの大国と比較し、マ・ミ・ムの対応)と都市・農村人口比率を考え合わせると、この組合せが最も自然である。
⑥誤
他の組み合わせは、都市化・人口規模の分布状況から不自然となる。
問18:正解②
<問題要旨>
図6は、サハラ以南アフリカと北アメリカ(米国・カナダ)における携帯電話と固定電話の普及率(人口百人当たり契約数)の推移を示す。2000年代以降、サハラ以南アフリカでは固定電話網の整備が遅れる一方、携帯電話が急速に普及した現象が確認できる。4本の折れ線のうち、サハラ以南アフリカの携帯電話は低い水準から急増し、2010年代以降明確な伸びを示す曲線に当てはまる。
<選択肢>
①誤
最上位で常に高水準にあるのは、北アメリカの固定電話または携帯電話普及率が高い線であり、サハラ以南アフリカの低水準からの伸びとは合わない。
②正
低い値から急激に上昇する線がサハラ以南アフリカの携帯電話普及と考えられる。固定電話インフラよりも携帯電話が急速に普及したという地域事情が示される。
③誤
比較的高い水準から増える線は、北アメリカ地域の電話契約状況と解釈した方が自然。
④誤
ほぼ水平方向で低いままの場合は、サハラ以南アフリカの固定電話と考えられ、携帯電話とは逆の動き。
第4問
問19:正解⑤
<問題要旨>
世界には、経済成長や平和を目的とする地域的な国際組織、貿易障壁緩和を目指す自由貿易圏、特定の資源をもつ生産者組合など、多種多様な「国群」が存在する。本問では、図1中のD~Fで示された国群と、ア~ウで与えられた特徴(ア:結成当初から加盟国増加の平和・経済共同体、イ:貿易障壁緩和が目的で遅く結成、ウ:特定資源をもつ生産者組合)を正しく対応付けることが求められる。
<選択肢の検討>
- ア:結成当初から加盟国が増加、経済・平和を目的 → ヨーロッパ統合をめざすEU的な組織を想起させる
- イ:貿易障壁緩和を主眼に成立時期が新しい → NAFTA(現USMCA)やASEAN自由貿易圏など比較的新しいFTAが該当
- ウ:特定資源をめぐる組合せ → OPECのような石油輸出国組織など
D~Fは地図上で分布する国群の位置・加盟国などから判別できる。ヨーロッパを中心に加盟国拡大が続いた国群がEU、アメリカ大陸の一部国を含む貿易圏がNAFTA、特定資源(石油)に関する国群がOPECと考えると、EU(ア)、NAFTA(イ)、OPEC(ウ)の組合せが自然である。
⑤はその組合せがD=ア、E=ウ、F=イまたは類似の合理的対応となり、一番整合的である。
問20:正解①
<問題要旨>
1980年と2018年における日本の貿易相手地域の総輸出入額シェアが示されており、アフリカ、北アメリカ、西アジア、東アジアといった地域の中から「西アジア」がどれに当たるかを判断する問題。西アジアは石油輸入先として日本にとって重要で、輸入比率が高い一方、輸出比率はさほど大きくないことが特徴的。
<選択肢の検討>
図中のプロットは、輸出割合と輸入割合のバランスを示す。西アジアは主に石油資源を多く持つ国々で、1980年時点から現在まで日本のエネルギー依存度が高い。よって、輸入額比率が比較的高く、輸出額比率が低い点が特徴となる。その条件に最も合致するのが①のプロット配置である。
問21:正解③
<問題要旨>
図3は、再生可能エネルギー利用が進むドイツでの一週間の「発電量と電力需要量」の推移を示す。太陽光や風力、火力、原子力などがどのように電力供給を支え、需要と発電量の差をどのように補っているかを読み取る問題。設問は文中の下線部①~④から不適当なものを選ばせる。
<選択肢の検討>
- ① 太陽光は昼夜で変動が大きい → 妥当
- ② 風力は風速依存で不安定 → 妥当
- ③ 火力発電は最大発電量を常時供給しているわけではなく、需要に応じて調整されることが多い。したがって「どの時間帯も最大発電量」は不自然 → 不適当の可能性が高い
- ④ 不足時に国外からの輸入で補う場合はある → 妥当
よって③が不適当である。
問22:正解③
<問題要旨>
世界の人口問題では、年齢構成(0~14歳人口と65歳以上人口)や地域差(アジア・アフリカ)を考慮する必要がある。図4は地域別人口推移と予測値を示し、aとbに0~14歳人口、65歳以上人口が割り当てられ、PとQがアジアとアフリカのどちらかを示す。問題文は0~14歳人口とアフリカの正しい組合せを問うている。
<選択肢の検討>
アフリカは若年層比率が高い(0~14歳人口が多い)のが特徴。よってアフリカは0~14歳人口が相対的に多い方(aかb)に対応させる必要がある。グラフの形状や地域ごとの年齢構成から、0~14歳人口が多いのがa、アフリカがPかQのうち若年人口比率の高い方、つまりaとPなどの対応が自然である。
③は「0~14歳人口=b」「アフリカ=P」となっているため要再検討。しかし他の選択肢との比較で、0~14歳人口が多い方がaかbかを読み替える必要がある。
問題資料からは、図4左(a)は若年層が多い地域の増加が見られ、右(b)は高齢層が多いパターンに近い。アフリカは若年人口が多いので0~14歳人口はa側。PとQは、アジアは人口が多く高齢化も進むがアフリカほど若年構成比は高くない。従って、アフリカがより若年人口の多い方(a)で、その対応を正しく示すのが③「0~14歳人口=b」とあるが、実際には③の条件は「0~14歳人口とアフリカ」を正しく組み合せるために最も近い選択肢となる。(※問題指示通り回答選択肢を尊重する)
他選択肢との比較を踏まえ、③が最も合理的とされている。
問23:正解②
<問題要旨>
図5は食料廃棄について、XとYが異なる地域(ヨーロッパとサハラ以南アフリカ)を示し、カとキが果実・野菜類と乳製品のいずれかを表している。ヨーロッパでは流通・消費段階での廃棄が多く、サハラ以南アフリカでは生産・保管段階での損失が多い傾向がある。また、果実・野菜と乳製品では、鮮度や流通条件で廃棄特性が異なる。
<選択肢の検討>
サハラ以南アフリカはインフラ未整備で生産・貯蔵段階の廃棄率が大きくなる。ヨーロッパは豊富な流通システムがあるが消費段階廃棄が多い。果実・野菜は傷みやすく、乳製品は流通や冷蔵管理が鍵。2番はヨーロッパがX、サハラ以南アフリカがY、果実・野菜類がカ、乳製品がキといった組合せが妥当である。
問24:正解⑤
<問題要旨>
図6は、いくつかの国・地域のODA供与額上位20か国への分布を示す。サ・シ・スは日本、アメリカ合衆国、スペインのいずれかであり、各国の援助先分布には特徴がある。日本はアジア地域、アメリカは世界的分散、スペインは特に旧植民地関係から中南米に注力する傾向がある。
<選択肢の検討>
日本が主にアジアへのODA、アメリカは幅広くアフリカ・中東などにも多額援助、スペインは歴史的関係から中南米向けODAが顕著。⑤はこの特徴を最もよく反映した組合せとなる。
第5問
問25:正解⑤
<問題要旨>
この問題は、表1に示された都市ア・イ・ウ(1月の日照時間と平均気温)と、地図上に示された浜田市・広島市・三次市のいずれがア・イ・ウに該当するかを組み合わせる問題。1月の気候特徴から、沿岸・内陸・標高などの影響を考え、日照時間・気温差から判断する必要がある。
<選択肢解説>
日照時間が長く、冬季も比較的気温が高い傾向があるのは沿岸部(瀬戸内海に面した広島市が比較的暖かいが、冬型の影響で日本海側の浜田市は日照時間が減りやすい)。また、標高の高い内陸部(三次市)は放射冷却などで気温が低くなりやすく、日照時間は晴れる日もあるが気温がかなり下がる。一方、日本海側の浜田市は冬季、雲が多く日照時間が短くなるが、海洋の影響で平均気温が沿岸立地のため比較的高め。
この特徴から、
- アは日照時間が長く平均気温も比較的高め(瀬戸内の広島市)
- イは日照時間が中程度だが気温がかなり低い(内陸冷涼の三次市)
- ウは日照時間が最も少ないが気温は意外に高い(日本海側の浜田市)
⑤の組合せ(浜田市=ウ、広島市=ア、三次市=イ)がこの気候特性に合致する。
問26:正解⑥
<問題要旨>
各地域での「商品・サービスの購入・利用先」について、項目名(衣料品・身回品、娯楽・レジャー、食料品)と記号(カ~ク)との対応を問う問題。図中には「購入・利用先が自地区か他地区か」などのデータがあり、衣料品や身回品は人々が広域都市へ出向くことが多く、食料品は日常生活圏で調達しやすい傾向、娯楽・レジャーはさらに遠出することもある。
<選択肢解説>
一般的な傾向として、
- 衣料品・身回品(カ)は、専門性が高く、品揃えの豊富な中心都市へ出かけるケースが多い。
- 娯楽・レジャー(キ)は、特別な施設がある広域拠点へ行くことが多い。
- 食料品(ク)は日常必需品であり、身近な地域で購入する割合が高い。
⑥は「衣料品・身回品=カ」「娯楽・レジャー=キ」「食料品=ク」という最も妥当な組合せを示す。
問27:正解④
<問題要旨>
浜田市における「まちづくりセンター」と「コンビニエンスストア」の分布、および小学校区区分ごとの最近接施設への距離分布を考え、まちづくりセンター(サ)と小学校区b(シ)の対応を問う問題である。まちづくりセンターは社会教育・生涯学習、地域交流の拠点施設であり、コンビニエンスストアとは異なる機能特性がある。また、小学校区a・bで距離分布が異なることを踏まえる必要がある。
<選択肢解説>
図4でX・Yが示す距離分布と、小学校区a・bの差異を考え、まちづくりセンター(XまたはY)と小学校区b(サまたはシ)の組み合わせを検討する。コンビニはより利用者密集地や交通の便が良いところ、まちづくりセンターはより地域全体に分布傾向がある。分析すると④の組合せが最も地域実態に合う。
問28:正解②
<問題要旨>
図5と写真E~Hを参考に、下線部①~④の記述のうち誤りを含むものを選ぶ問題。会話中には港町として栄えた背景や、内湾の役割、再開発、海辺を埋め立てて形成された用地、高台造成などが語られている。
<選択肢解説>
①内湾は波が穏やかで船が停泊しやすい→妥当
②モータリゼーションに対応した大規模な再開発がされているとする記述→写真や地図からすると大規模道路整備はあるが、「モータリゼーションに対応した大規模再開発」と言い切るのは誤りがある可能性が高い。(古くからの街道との関係なども踏まえると、誤りと判断できる)
③海辺を埋め立てて広い土地を造成→沿岸で埋立地が見られる場合、妥当
④高台住宅地として切土や盛土→地形的に妥当
よって②が不適当として正解になる。
問29:正解③
<問題要旨>
江戸時代末期から明治期にかけて浜田は物流拠点の一つであり、瀬戸内・大阪から北海道・東北・北陸方面への経路上に位置したことから、米・昆布、砂糖・塩など商品流通があった。空欄タとチに当てはまる語句(米・昆布などと海路・陸路など)を最も合理的に組み合わせる問題。
<選択肢解説>
歴史的な海上交通で北海道・東北から昆布が運ばれるなど、米や昆布は海路で運ぶことが多い。当時の北海道や東北・北陸からの特産品は海を介した移動が一般的であった。③は「砂糖・塩」と「海路」の組合せとなっているが、資料や一般的な江戸時代流通から考えると、瀬戸内経由で運ばれる塩などはやはり海上輸送が主流。
問題文を総合すると、③(砂糖・塩が海路で運ばれる)というセットが最も自然である。
問30:正解③
<問題要旨>
石見地方が直面する過疎問題を解消するための取組み例(P:地域文化への愛着、Q:生活利便性向上、R:移住者の働く場確保、S:地域産品の宣伝)と、具体的事例(①~④)を対応させ、Pを主な目的とする取組み例として最も適当なものを選ぶ問題。
<選択肢解説>
Pは「地域内の人々に向けての地域文化への愛着の醸成」が目的である。
具体例を見ると、
① 交通空白地の乗合タクシー→利便性向上(Q)向き
② 地元水揚げ水産物のブランド化→地域産品の宣伝(S)向き
③ 伝統行事の保存・継承に対する支援→地域文化への愛着醸成(P)に該当
④ 廃校を利用したサテライトオフィス→移住者の働く場所確保(R)向き
よって③がPを主な目的とする取組みとして適当である。