解答
解説
第1問
問1:正解5
<問題要旨>
大日本帝国憲法と日本国憲法における統帥権や内閣の組織、あるいは政府解釈に関わる論点を扱った問題です。旧憲法下では天皇に統帥権があるとされた一方、現行憲法下では文民統制や内閣の仕組みが異なります。また政府による憲法第9条の解釈も、時代によって変化してきた経緯があり、その正否を判断する設問になっています。
<選択肢>
① AとBとC
A・B・Cすべてが正しいとする選択ですが、B・Cはいずれも史実や政府解釈と合致しない面があるため誤りです。
② AとB
Bの内容が現行憲法の規定とそぐわないため、この組合せも誤りです。
③ AとC
Cは政府解釈の現状を踏まえると全面禁止とはいえないため、誤りです。
④ BとC
B・Cともに誤りのため、この組合せも誤りです。
⑤ A
旧憲法(大日本帝国憲法)では「陸海軍の統帥権は天皇が有する」と定められており、史実に合致します。よってこれが正解です。
⑥ B
Bは、現行憲法における内閣総理大臣の任命規定などを誤ってとらえているため誤りです。
⑦ C
Cは政府の従来の憲法解釈を過度に単純化しており、全面禁止とまではいえない点で誤りです。
⑧ 正しいものはない
Aが正しく、他の選択肢に誤りがあるため、この選択肢は該当しません。
問2:正解6
<問題要旨>
冷戦後の日米関係に関する出来事の年代順を確認し、それらと日本の国内法制定(「安全保障関連法」「周辺事態法」)の施行年を結びつける問題です。冷戦終結後、日米安保共同宣言(1996年)やガイドライン改定(1997年)、周辺事態法(1999年)、ガイドライン再改定(2015年)、そして安全保障関連法(2015年)という流れを正しく押さえているかどうかがポイントになります。
<選択肢>
①~⑤
いずれも「周辺事態法(1999年)」と「安全保障関連法(2015年)」の成立順、ならびにガイドライン改定の年代を正しく組み合わせていません。
⑥
「周辺事態法(1999年)」をガイドライン改定直後の年代相当箇所に、「安全保障関連法(2015年)」を最も新しい段階に位置付けているため、全体の年代順が正しくなる組合せです。
それ以外の選択肢
年代の前後関係がいずれも食い違っており、誤りとなります。
問3:正解3
<問題要旨>
平和の実現に向けて打ち出された思想・構想を提示した人物を問う問題です。選択肢Aが「互いの人格を尊重し合う社会を『目的の国』と呼んで……」という記述はカントの思想を示唆しており、選択肢Bが「平和原則14か条」を提唱したのはアメリカ大統領ウィルソンの史実と合致します。
<選択肢>
① A=ヘーゲル,B=ウィルソン
ヘーゲルの主著や理念とは合致しないため、Aの内容をヘーゲルにあてはめるのは誤りです。
② A=ヘーゲル,B=F.ローズベルト
AもBも実際の史実とは一致しません。14か条の提唱はウィルソンであり、F.ローズベルトではありません。
③ A=カント,B=ウィルソン
「目的の国」はカントの道徳哲学(いわゆる「人格を目的として扱う」考え方)に対応し、「平和原則14か条」はウィルソンの歴史的事実です。よってこれが正解です。
④ A=カント,B=F.ローズベルト
ローズベルトは国際連合発足の原型となる構想(いわゆる四つの自由演説など)に関わりますが、「14か条」とは無関係です。
問4:正解6
<問題要旨>
インターネット選挙運動に関する特別な規制を題材とした問題です。公職選挙法改正により有権者もインターネットを利用した選挙運動が可能になりましたが、候補者の大量メール送信は禁止されるなど、従来の選挙運動とは異なる留意点があります。設問は具体的な行動例が選挙運動のルールに適合するかどうかを判断させるものです。
<選択肢>
① AとBとC
A・B・Cすべてが適法と認められるわけではありません。大量メール送信などは規制対象です。
② AとB
Aは候補者の公約を宣伝する文章を「メールアドレス宛に一斉送信」しており、これは候補者自身や陣営が行う電子メールでの選挙運動に該当し、禁止される行為にあたるため誤りが含まれます。
③ AとC
Aに同様の問題があるうえ、Cも公示日・告示日以降であっても投票日当日の呼びかけに接触しているかどうかなど、要件を満たさないおそれがあるため誤りが含まれます。
④ BとC
Cの投稿内容が「当日まで投票を呼びかける行為」に該当すると判断されれば規制に触れる可能性があるため、この組合せも不適当です。
⑤ A
A単独でも候補者による大量メール送信は禁じられており誤りです。
⑥ B
動画配信アプリ等を利用したライブ配信は、公示(告示)後~投票日前であれば有権者が行うインターネット選挙運動としては許される範囲に該当すると考えられます。よってこれが正解となります。
⑦ C
Cは投票当日までの呼びかけ内容との関係などで制限に触れる懸念があり、不適当とされます。
⑧ ポスターに掲げられたルールに適合しているものはない
Bが該当するため誤りです。
問5:正解4
<問題要旨>
日本国憲法における裁判官の身分保障や弾劾手続き、最高裁判所の仕組みに関する問題です。裁判官の独立や職務上の身分保障がどのように規定されているか、弾劾裁判所の位置づけがどうかなどを問う内容になっています。
<選択肢>
① 罷免の訴追を受けた裁判官を裁判する弾劾裁判所が最高裁判所に設置されている
弾劾裁判所は国会に設置されるものであり、最高裁判所ではありません。
② 裁判官は、心身の故障で職務が果たせないと国会が議決したとき、罷免される
実際には心身の故障の場合、国会の議決ではなく最高裁判所によって裁判官分限裁判がなされる手続きがあります。国会が罷免を決定するわけではありません。
③ 最高裁判所の裁判官のうち、長官以外の裁判官を任命する権限は最高裁判所の長官が有している
長官が他の裁判官を「任命」するわけではなく、内閣が任命し天皇が認証する手続きで行われます。
④ すべての裁判官は独立してその職権を行うという、裁判官の独立が保障されている
日本国憲法第76条などにより、すべての裁判官がその良心に従い独立して職権を行うことが保障されています。よってこれが正解です。
問6:正解2
<問題要旨>
日本国憲法下での違憲審査権と高度の政治性をもつ事柄の扱いについて問う問題です。日米安全保障条約のように、国家存立に関わる高度に政治的な問題が裁判所の審査範囲に入るかどうか――いわゆる「統治行為論」や「高度の政治性」の論点を扱っています。判決文においては「明白に違憲無効とされる場合を除き、司法判断の対象から外れる」という趣旨の主張や、反対に「高度な政治性を理由に審査を一切行わないのは違憲審査制の趣旨に反する」という立場があり、その両論を比較検討する形になっています。
<選択肢(概略)>
(1) ア―A イ―B ウ―C のように、完全に審査を排除しようとする立場を是認
(2) ア―A イ―C ウ―B のように、政治性が高い場合でも裁判所が審査を回避しない立場を示す
(3) ア―B イ―A ウ―C …
(4) ア―B イ―C ウ―A …
(5) ア―C イ―A ウ―B …
(6) ア―C イ―B ウ―A …
問題文や図の「ア」「イ」「ウ」が示す批判の組合せを考慮すると、(2)が「高度に政治的な事項でも一律に審査を放棄することは許されない」という論点と合致し、全体の流れが最も整合的になります。
※実際には詳細な条文や判例の引用が必要になりますが、ここでは問題文の趣旨と「裁判所がまったく審査をしない立場」と「国会や政府の判断でも明白に違憲な場合は審査すべき」という立場との対比がカギになっていると考えると、(2)が正答となります。
問7:正解1
<問題要旨>
「食料安全保障」について、異なる視点からどのような具体策や権利が主張されるのか、また国連機関などが提示する食料危機への対策目標(ミレニアム開発目標やSDGs等)との関係を整理する問題です。選択肢では「ア」「イ」「I」「II」「III」といった空欄に、複数の文章(A・B・P・Q・R・Sなど)を組み合わせる形式になっています。
<選択肢>
(1) イ=A,II=P,III=R
A(すべての人が安全で栄養のある食料を入手する権利をもつ)を「イ」に、P(食料自給率を向上させる)を「II」に、R(半減させる)を「III」に当てはめると、国連の目標として提唱されてきた「飢餓人口を半減する」趣旨にも合致し、国内外の安全保障論にも即します。これが正解となります。
(2)~(8)
「イ」「II」「III」への割り当てがそれぞれ史実や国際機関の提唱する目標と整合しない、あるいは文意と食い違うため誤りです。たとえば「半減させる」をS(ゼロにする)と誤ってしまうケースなど、国際目標の実際と噛み合わない組合せが多く見られます。
第2問
問8:正解5
<問題要旨>
卒業生に対して「働くことと生き方」を直接取材するための調査手法や、グループでの意見の出し合い方、収集した情報の整理方法を問う問題です。会話中で示される「実際に訪れて情報を得る方法」、「ブレインストーミングの手順」、「個々の事例から一般的傾向を導く方法」というキーワードを手がかりに、それぞれがどの用語に当たるかを判断します。
<選択肢>
① ア=A(ロールプレイ),イ=C(お互いのアイデアを否定しない…),ウ=E(帰納法)
「現地に赴いて情報を収集する」という内容が含まれず、ア=A(ロールプレイ)では会話文と合致しません。よって誤りです。
② ア=A(ロールプレイ),イ=C(…),ウ=F(演繹法)
アが同じ理由で誤りです。また、会話では「個々の経験から一般的な法則を導く」ことを示唆しているので、演繹法(一般から個別)には当てはまりません。
③ ア=A(ロールプレイ),イ=D(肯定側と否定側…勝ち負けを決める),ウ=E(帰納法)
イで述べられているのは「ディベート」のような形式であって、ブレインストーミングの説明とは合致しません。
④ ア=A(ロールプレイ),イ=D(…),ウ=F(演繹法)
ア・イの不適合に加え、ウも会話文で示される「帰納的な整理」にそぐわないため誤りです。
⑤ ア=B(フィールドワーク),イ=C(お互いのアイデアを否定しない…),ウ=E(帰納法)
アは「実際に訪問して体験し、記録しながら情報を集める」という会話文に合致し、これはフィールドワークを指します。イはブレインストーミングの方法として「否定しあわずに多くの意見を出し合う」点が一致します。ウは個々の事例から一般法則を導く方法を指すため「帰納法」が該当し、会話文の内容とも整合します。よってこれが正解です。
⑥ ア=B(…),イ=C(…),ウ=F(演繹法)
ウが「演繹法」では会話文と合いません。
⑦ ア=B(…),イ=D(…),ウ=E(…)
イがディベート的な対立構造(肯定・否定に分かれる)を示すDの内容と食い違います。
⑧ ア=B(…),イ=D(…),ウ=F(…)
イもウも会話中の説明と矛盾するため誤りです。
問9:正解2
<問題要旨>
日本における就労支援や働き方の実態に関する基本的な知識を問う問題です。インターンシップや政府による雇用支援機関、派遣法の改正経緯などが正しく理解されているかどうかを確認します。
<選択肢>
①「政府が設置している就労支援機関は国民生活センター」
国民生活センターは消費者相談窓口に関する機関であり、就職支援はハローワーク(公共職業安定所)が担います。誤りです。
②「高校生等が職業意識を高める目的で、企業や公的機関で一定期間就業体験することをインターンシップという」
一般的にインターンシップはこのように定義されるため、正しい記述といえます。
③「日本的雇用慣行の特徴の一つに、正規雇用労働者に対する成果主義の賃金体系がある」
日本的雇用慣行はむしろ長期的雇用や年功序列型賃金などが代表的で、成果主義を伝統的特徴とするのは不適切です。
④「労働者派遣法は対象業務数を減らす方向で改正されてきた」
実際には派遣労働が可能な業務の範囲は拡大方向で改正されてきた面が大きく、記述と異なります。
問10:正解2
<問題要旨>
内閣府が実施した「仕事選択時の重要な観点」に関する年代別の調査結果を読み取り、各年代でどの項目が増減傾向にあるのかを把握する問題です。表中の数値や項目を比較しながら、設問で示される説明文との合致を判断します。
<選択肢>
①「『安定していて長く続けられる』は、すべての年齢区分で回答割合が最も高い」
25~29歳では「自宅から通える」が回答割合51.0%で「安定していて長く続けられる」46.7%よりも高いため、誤りです。
②「『自分が身に付けた知識や技術が活かせる』と『能力を高める機会がある』は、16~19歳が他の年齢区分よりも回答割合が高い」
実際の数値を確認すると、16~19歳の回答割合が最も高い傾向が見られ、表のデータとも合致します。よって正解です。
③「年齢が上がるごとに『収入が多い』は減少し、『自由な時間が多い』は増加する」
表を見ると「自由な時間が多い」は16~19歳が35.0%、20~24歳が35.9%、25~29歳が31.3%で必ずしも増加し続けていません。よって誤りです。
④「年齢が上がるごとに『自宅から通える』と『子育て、介護等との両立』の回答割合が増加する」
「子育て、介護等との両立」は16~19歳(28.5%)→20~24歳(25.7%)で一度下がっており、一貫した増加にはなりません。誤りです。
問11:正解5
<問題要旨>
エリクソンの示す「アイデンティティ」の定義(斉一性・連続性・他者からの承認)に着目し、卒業生3名の発言文がどの感覚を示しているかを判別する問題です。空欄X・Y・Zがそれぞれ「斉一性のみ表れている」「連続性のみ表れている」「両方とも他者に認められている」といった説明文に対応するかどうかがポイントになります。
<選択肢>
① X=ア,Y=イ,Z=ウ など
いずれも発言文の内容が示す斉一性・連続性・他者承認の対応関係とは合いません。
② X=ア,Y=ウ,Z=イ など
会話中で語られている「自分が感じている一貫性」「過去とつながる感覚を他者が認めているか」などの要素と照合すると不整合が生じます。
③ X=イ,Y=ア,Z=ウ など
それぞれの発言に含まれる自己分析や他者の評価の程度と合いません。
④ X=イ,Y=ウ,Z=ア など
同様に内容がずれているため誤りです。
⑤ X=ウ,Y=ア,Z=イ
ウの発言は「同じ自分でありながら役割が異なっても違和感がない」という“斉一性”が表れている一方、過去から現在・未来へつなげる連続性の言及は薄く、よって斉一性のみのXに該当します。アは過去の経験を踏まえ自己分析を深めるなど“連続性”の感覚を表しているが、他者から承認されている描写は見られないためYと合致します。イは「周囲からも『変わらず同じあなた』と言われた」という記述があり、斉一性・連続性の双方を他者に認められているZに相当します。これらが最も整合的です。
⑥ X=ウ,Y=イ,Z=ア
ア・イ・ウの内容との対応が合わないため誤りです。
問12:正解5
<問題要旨>
社会人生活で遭遇する葛藤(コンフリクト)を、心理学における「接近-回避」型に当てはめる問題です。接近-回避型とは、同じ対象や行動に「望ましい面(接近したい)」と「望ましくない面(回避したい)」が併存して葛藤が生じる状態を指します。一方、複数の選択肢があってそれぞれに利点・欠点がある場合は「二重接近-回避」など別の類型となります。
<選択肢>
① アとイとウ
複数の事例をすべて同じ型として扱うのは、内容が異なるため不適切です。
② アとイ
イは「友人との旅行(プラス面) vs 同僚からの依頼(別のプラス面)で休みづらい」など、どちらにも利点がありそうな構造になっており、単純な接近-回避型とは言い難い部分があります。
③ アとウ
ウは「試験を受ければキャリアアップできるが勉強したくない」という複数の利点・欠点を天秤にかけている印象が強く、単独の接近-回避に当てはまるかは疑わしいです。
④ イとウ
イ・ウともに複数の選択肢があり、それぞれにプラス・マイナス面を感じる「二重接近-回避」型に近い要素が含まれます。
⑤ ア
アは「新入社員を早く育てたい(接近したい)一方で、あまり細かく指導すると嫌われるのではないか(回避したい)」という、同一の目標に対する肯定・否定が併存している状態です。これは典型的な接近-回避型の葛藤に当てはまります。よってこれが正解です。
⑥ イ
イ単独では接近-回避型としての特徴(同一対象のプラス・マイナス併存)が明確ではありません。
⑦ ウ
ウも「試験を受けるか受けないか」「新しい学びか現状維持か」といった複数の選択肢の間で揺れているように見え、単純な接近-回避に当てはまるとは言えません。
⑧ 「接近-回避」型に当てはまる事例はない
アが該当するため誤りです。
問13:正解1
<問題要旨>
「人間は孤立した個人として存在するのではなく、人と人との関係性の中で成り立っているのではないか」という社会観、あるいは倫理学説・哲学説が取り上げられています。それぞれの選択肢で示される思想家や論点が日本や海外の思想とどう関係するかを考察する問題です。
<選択肢>
①「和辻哲郎は、人間を孤立した個人ではなく、人と人との関係の中において人間たる『間柄的存在』であると述べた」
和辻哲郎は『風土』や『人間の学としての倫理学』などで、人間を相互関係のうちに存在すると捉える立場を展開しました。記述と一致します。
②「賀茂真淵は、日常生活における『忠信』の徳を基に他人への思いやりを…」
賀茂真淵は国学者であり、古道・万葉などを研究した人物として知られますが、このように「忠信」で日常倫理を説いたというのはむしろ儒教的色彩が強い解釈であり、史実としては正確ではありません。
③「ソロ他人指向型が現代社会に多く見られるようになったと述べた」
ここで言及されている「他人指向型」という概念はリースマンの社会学用語であり、「自分の考えより他者の評価を気にする」という説明が加わっていますが、設問文の流れから判断するとそのまま適切な紹介とは言えず、本肢が正解になる理由は薄いです。
④「アドラーは、異なる意見の人々が対話を通じ相互理解を目指す『対話的理性』による公共性の形成を論じた」
他者との対話による合意形成や公共性の概念は、むしろハーバーマスの議論と重なるものであり、アドラー心理学の中心的テーマとは異なります。
以上の理由から①のみが妥当といえます。
第3問
問14:正解3
<問題要旨>
日本の国会議員に関する制度(任期や選挙制度、被選挙権年齢など)を尋ねています。衆議院と参議院のそれぞれの任期や解散の有無、比例代表制のブロック数などが正しく把握されているかがポイントになります。
<選択肢>
①「参議院議員は、6年に1度の選挙ですべての議員が改選される。」
参議院は3年ごとに半数ずつ改選されるため、いちどきに全員が改選されるわけではありません。よって誤りです。
②「参議院議員の比例代表選挙は、11のブロック単位で行われる。」
衆議院の比例代表選挙が11ブロックに分かれるのに対し、参議院の比例代表選挙は全国を単位として行われます。誤りです。
③「衆議院議員の任期は4年であるが、衆議院が解散された場合、その任期は終了する。」
衆議院は解散があり得るため、任期満了前に終了となる場合があります。これは憲法上の定めと合致する正しい記述です。
④「選挙権年齢が引き下げられたことに合わせて、衆議院議員の被選挙権も満18歳以上になっている。」
衆議院議員の被選挙権は現行では満25歳以上であり、18歳ではありません。誤りです。
問15:正解4
<問題要旨>
日本・韓国・アメリカ・ドイツの「政府雇用者(公務員)の割合」を比較したグラフと、その国々の政治制度(連邦制かどうか)や地方自治に関する説明をもとに、空欄に当てはまる語句を組み合わせる問題です。州政府の権限が強い国では地方公務員の割合が相対的に大きくなるなどの傾向を踏まえて判断します。
<選択肢>
① ア=「地方」 イ=「地方」 ウ=「大きな」
グラフを見ると、連邦制をとるアメリカなどは州政府を含む地方公務員が多い傾向にありますが、韓国の場合は連邦制でなく中央集権的であるため、この組合せは説明文と合いません。
② ア=「地方」 イ=「地方」 ウ=「小さな」
日本が「小さな政府」かどうかなど、説明文と合致しない箇所が出てきます。
③ ア=「地方」 イ=「中央」 ウ=「大きな」
韓国は単一制で、政府雇用者の中でも中央の割合が大きいという文脈からすると、イを「中央」とする考え方は一部合致しますが、全体の流れでは不備があります。
④ ア=「地方」 イ=「中央」 ウ=「小さな」
韓国では「地方」よりも中央政府公務員の割合が大きい(=アに「地方」)と表現し、イには「中央」を分類。日本はその中で政府の規模が相対的に小さい国だと説明文中で述べられているため、ウに「小さな」が入ると自然です。これが最も整合するため正解です。
⑤~⑧
上記と類似の理由で、説明文やグラフの内容と整合しない組合せになります。
問16:正解3
<問題要旨>
日本の地方公共団体における議会・首長・有権者の制度に関し、どのような権限や選挙制度があるかを確認する問題です。地方自治法が規定する「首長に対する不信任決議」「議会と首長を別々に選ぶ二元代表制」「有権者が首長や議会に対し請求できる権限」などが論点となります。
<選択肢>
①「地方議会は、首長に対して不信任決議をすることができない。」
実際には地方議会は首長に対して不信任決議を行うことが可能です。誤りです。
②「首長は、有権者がその解職を請求できる対象に含まれていない。」
条例制定や議会解散と同様、首長の解職(リコール)も有権者が請求可能です。誤りです。
③「有権者は、地方議会議員と首長をそれぞれ別の選挙で選ぶ。」
地方自治法上、議会議員と首長はそれぞれ独立した選挙で選出されるため、これは正しい記述です。
④「有権者は、事務の監査請求を首長に対して行う。」
監査請求の相手方は「監査委員」であり、直接首長に対して行うわけではありません。よって誤りです。
問17:正解3
<問題要旨>
日本の刑事司法制度に関する基本的な原則を問う問題です。罪刑法定主義や推定無罪の原則、刑事裁判の当事者主義的手続(検察官・被告人双方が証拠や証人を尋問できる)などが論点になります。
<選択肢>
①「慣習によれば、ある行為について刑罰規定のない時点でその行為を行った場合も、その後に刑罰規定が制定されれば遡って処罰される。」
罪刑法定主義に反するため誤りです。
②「検察官に起訴された被告人は、制度上、無罪の証明をしない限り有罪の判決を受けることになっている。」
推定無罪の原則に反します。誤りです。
③「一定の事件について、犯罪被害者やその遺族は、刑事裁判に参加し、証人への尋問や被告人への質問を行うことが認められている。」
被害者参加制度により、一定の範囲で被害者や遺族等が公判に参加できる仕組みが存在します。これは正しい記述です。
④「憲法によれば、日本の刑事裁判において被告人の無罪判決が確定しても、その者の有罪を示す証拠が新たに発見されれば、同一の犯罪について再び審理することが認められている。」
一事不再理の原則により、同一事件については再度訴追できません。誤りです。
問18:正解8
<問題要旨>
損害賠償をめぐる裁判上の解決か和解かを選ぶ当事者の利得・損失を数値化して比較し、その結果をもとに「どの条件なら和解を選ぶのか」を考える問題です。裁判までにかかる費用・和解にかかる費用などを変数として当事者がどちらを選好するかを数式で示します。
<選択肢の概要>
(1)~(9)まで「ア」「イ」の記述(和解を選ぶ/選ばない)や「ウ」の数値(P=60, Q=40, R=20)をどう組み合わせるかを問う内容です。
- アに入る文言A:「下回るので和解を選択しない」
- アに入る文言B:「上回るので和解を選択する」
- イに入る文言C:「上回るので和解を選択する」
- イに入る文言D:「下回るので和解を選択しない」
問題文の設定では、原告・被告とも損失や利益を天秤にかけ、訴訟費用 X=100、和解費用 Y が一定条件(Yがどこまで下がるか)で変化するとしています。最終的に両者が和解を選ぶかどうかを計算すると、(8)の「ア=B、イ=C、ウ=Q」が最も論理的整合を示すパターンになります。
したがって
- アは「上回るので(裁判で得られる予想利益を)下回らない=和解を選択する」
- イも類似の判断で「上回るので和解を選択する」
- ウがQ=40 … こうした費用の設定が本文中の条件に合致する
これらの組合せが最も条件を満たすため、選択肢8が正解です。
問19:正解4
<問題要旨>
公害をめぐる損害賠償責任が認められるまで長い時間がかかる理由や、被害者救済が困難になる要因などを題材にしています。ここでは特別法や救済制度として「公害健康被害補償法」や「環境基本法」などが例示され、過失の立証が不要な「無過失責任」制度がある法律もあるかどうかが問われます。
<選択肢>
① ア=「故意」 イ=「環境基本法」
「故意が認められなければ…」は公害賠償で問題となる要件としては不適切です。公害訴訟では「過失」の立証が主題となり、故意は通常そこまで論じられません。
② ア=「故意」 イ=「公害健康被害補償法」
アに「故意」ではやはり不自然です。
③ ア=「過失」 イ=「環境基本法」
環境基本法は環境保全の基本理念や行政計画の策定を定めるもので、直接的な被害者救済制度を規定する法律ではありません。
④ ア=「過失」 イ=「公害健康被害補償法」
公害健康被害補償法は公害被害者を救済するために、健康被害を受けた者の補償や医療費の給付などを行う法律です。過失の有無にかかわらず企業側が一定の負担を負う仕組みがあり、会話文の「被害者救済制度を定めた法律」の例として適切です。さらにアが「過失」であれば「過失が認められないと損害賠償請求が難しい」という会話の文脈にも合致します。よって正解です。
問20:正解3
<問題要旨>
情報公開制度や特定秘密保護法、個人情報保護法、通信傍受法など、日本の情報に関する法制度がテーマです。行政機関が開示請求を受けた場合に情報を開示する義務、国家安全保障上の秘密の取扱い、個人情報の開示や訂正請求、第三者のパスワード無断使用の禁止など、それぞれの制度を正しく把握しているかを問います。
<選択肢>
①「情報公開制度により、行政機関は開示請求を受けたとき、いかなる場合も情報を開示しなければならない。」
実際には不開示情報にあたる場合(個人のプライバシーや国防上の機密など)は開示を拒否できるため「いかなる場合も」とはなりません。誤りです。
②「特定秘密保護法により、防衛・外交などの安全保障に関わる秘匿性の高い情報を漏えいする行為が禁じられているが、罰則は設けられていない。」
同法には厳格な罰則規定があります。誤りです。
③「個人情報保護法により、自己の個人情報の開示や訂正などを一定の民間事業者に対して求めることが認められている。」
個人情報保護法では「保有個人データ」に関し、開示請求・訂正請求・利用停止請求等の権利が定められています。正しい記述です。
④「通信傍受法により、アクセス制限がされているコンピュータに対し、私人物のパスワードを無断使用してアクセスすることが禁止されている。」
これは不正アクセス禁止法の規定に近い説明であり、通信傍受法は捜査機関が犯罪捜査のため通信を傍受する手続きを定める法律です。記述とは異なるため誤りです。
第4問
問21:正解2
<問題要旨>
会話文Ⅰでは、日本の経常収支の黒字項目を例にしながら、A国における輸出収入だけでなく、海外からの利子や配当などの受取も黒字要因になる点に言及しています。また、海外旅行者が現地で支払う宿泊代がどの収支項目に入るかを確認する問題です。輸出入に該当する「貿易収支」と、旅行・運輸・通信などサービス取引を扱う「サービス収支」、さらに利子・配当などを計上する「第一次所得収支」や無償資金協力などの「第二次所得収支」があるという国際収支統計の構造を正しく押さえることがポイントです。
<選択肢>
① ア=「第一次所得収支」,イ=「貿易収支」
第一次所得収支は、主に海外に投資した資金からの利子・配当などが該当し、モノの輸出入や旅行代金とは関係しません。誤りです。
② ア=「第一次所得収支」,イ=「サービス収支」
会話文では、海外からの利子や配当が経常収支の黒字を支えていることを指す部分が「ア」として示唆され、旅行者の宿泊代はサービス収支に含まれます。よってこれがもっとも自然です。
③ ア=「第二次所得収支」,イ=「貿易収支」
第二次所得収支は、無償資金援助や送金など対価を伴わない資金のやりとりであり、利子・配当のような金融取引の対価とは合致しません。誤りです。
④ ア=「第二次所得収支」,イ=「サービス収支」
「ア」が第二次所得収支では会話文の内容(海外からの利子・配当による黒字)と符合しません。誤りです。
問22:正解4
<問題要旨>
日本の政府開発援助(ODA)に関する特徴や現状を問う問題です。政府開発援助がどのような形態で実施されているか、二国間援助と国際機関への拠出を含む多国間援助などを正しく把握しているかが問われます。
<選択肢>
①「被援助国への贈与に限定している。」
ODAには有償資金協力(政府貸付)なども含まれるため、贈与(無償資金協力)だけに限定されているわけではありません。誤りです。
②「援助額は、対GNI比率で1%を超えている。」
日本のODA実績は対GNI比0.2〜0.3%前後にとどまることが多く、1%を大きく下回っています。誤りです。
③「対象は、医療・教育・生活関連分野の支援に限定している。」
ODAの使途は社会開発分野だけでなく、インフラ整備や防災など幅広い分野に及びます。限定されていません。誤りです。
④「二国間援助に加え、国際機関への出資・拠出も行っている。」
日本はUNICEFや世界銀行、アジア開発銀行などの国際機関にも積極的に資金拠出を行ってきました。二国間援助以外に多国間援助を行う点もODAの特徴です。よって正しい記述です。
問23:正解4
<問題要旨>
エネルギー・資源に関する用語や出来事を問う問題です。石炭から石油へのエネルギー転換に伴う産業や生活様式の変化を示す「オイルショック」や、再生可能エネルギー、可採年数などの概念を正しく理解しているかが問われています。
<選択肢>
①「情報通信技術を活用して…クリーン開発メカニズムと呼ぶ」
クリーン開発メカニズム(CDM)は京都議定書のしくみの一つであり、ICTの活用や需給管理の効率化を直接意味するわけではありません。誤りです。
②「主たるエネルギー資源が石炭から石油へ転換したことに伴い……オイル・ショックという」
オイル・ショックは産油国の協調による原油価格高騰などが引き金であり、石炭→石油への転換そのものを指すわけではありません。誤りです。
③「動植物から由来する有機物をもとに……一次エネルギーと言う」
バイオマス資源などを一次エネルギーに数えることはあるが、問題文の文脈では直接的に「動植物由来=再生可能エネルギー」を一次エネルギーと呼ぶ説明が適切かどうかの疑義があり、また選択肢自体が曖昧です。
④「石油などの枯渇性資源の確認可採埋蔵量を、その年の生産量で割った指標を可採年数と言う」
可採年数は「確認埋蔵量÷年間生産量」で算出する指標としてよく知られています。これが正しい記述です。
問24:正解3
<問題要旨>
会話文Ⅱで言及された「国際機関」について、代表的な国際組織(UNEP・ILO・OECD・UNHCRなど)の役割を問う問題です。環境・労働・貿易・難民支援といった分野ごとに、どの機関が担当かを正しく把握しているかが求められます。
<選択肢>
①「人間環境宣言で定められた目標を実現するために設立されたのは国連環境計画(UNEP)である」
国連環境計画(UNEP)はスウェーデン・ストックホルムで開催された国連人間環境会議(1972年)を受けて設立されたため、これは妥当です。
②「労働者の権利保障や労働条件…国際労働機関(ILO)である」
ILOは労働条件の改善や国際的な労働基準の設定を担う機関なので妥当です。
③「南北格差の是正には援助より貿易を重視すべき…経済協力開発機構(OECD)である」
OECDは先進国の政策調整や経済研究を行う機関であり、「南北格差是正のため援助より貿易を重視すべき」という文脈はWTOやUNCTADなどの取り組みに近い議論です。OECDは途上国支援と貿易振興を本旨とする組織ではなく、そこがやや誤りのポイントとなります。
④「難民の国際的保護や本国への自発的な帰還を支える目的…国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)」
UNHCRは難民保護や帰還支援、定住支援を行う国連機関です。正しい内容です。
よって③が適切でない記述となり、これが正解です。
問25:正解1
<問題要旨>
地球温暖化防止のための国際的な枠組み(京都議定書とパリ協定など)を比較し、どの国に対して温室効果ガスの排出削減義務を課すか、また先進国・開発途上国の役割をどう考えるかを問う問題です。
- 京都議定書:主に先進国のみに削減義務
- パリ協定:すべての締約国に削減義務
<選択肢>
①「ア=P, イ=…, ウ=R」などのうち、「開発途上国に対して排出削減を求めると経済発展の妨げになる」という意見(P)を理由に、京都議定書では先進国のみ義務づけされた。しかしパリ協定は開発途上国も対象とし、その背景には世界全体のCO₂排出量に占める途上国の割合が半数を超えていること(イ)などがある。さらに、先進国が途上国に対し資金や技術協力を提供(ウ=R)する仕組みが設けられている――これらの組合せが最も整合的です。
選択肢1(ア=P, イ=Q, ウ=R)がその趣旨を正しく組み合わせているため、これが正解となります。
問26:正解5
<問題要旨>
会話文Ⅲで登場するA国のインフレ推移や為替相場の変化を例に、(X)が「ルント高・ドル安」なのか「ルント安・ドル高」なのか、(Y)が「抑制」か「拡大」かなどを検討し、さらに(Z)が「固定相場制」か「変動相場制」かを判断する問題です。
- 会話では輸入物価が急騰し「ルント安・ドル高」の状況を示唆
- 物価上昇が続いているため、財政支出を抑えるなど「インフレ抑制策(緊縮財政)」を採用
- 最終的には新通貨に移行し、為替を安定させるために「固定相場制」を採用するか「変動相場制」を採るか……本文では「新ルント」への通貨切り替えの信頼確保策として、最終的にある程度固定的なレートを維持していく可能性が示唆されている
<選択肢>
①~④,⑥~⑧
いずれも会話の具体的経緯(ルントの価値が下がりドルの価値が上がる、政府がインフレ対策として緊縮財政などの「抑制」を採る、為替制度を固定相場制に近い形で安定化させる)に合わない組合せが含まれます。
⑤「X=イ(ルント安・ドル高), Y=カ(抑制), Z=サ(固定相場制)」
文脈と整合するのはこのセットとなり、最も自然に読み取れます。よって正解です。
問27:正解3
<問題要旨>
インフレが進行した場合に生じる影響を、多角的に考察する問題です。インフレによって年金生活者の実質購買力が下がる、実質金利の低下によって借金負担が軽くなる可能性がある、などを正しく理解する必要があります。
<選択肢>
①「アとイとウ」
選択肢アは「年金の固定額支給だと生活水準が低下する」、イは「金利が同じなら貯金の実質価値が目減りする」、ウは「政府の過去の国債返済負担が軽くなる」という内容です。3つすべてを選ぶかどうかが問われます。
②「アとイ」
ウを除外すると、政府の債務負担に与える影響が考慮されません。
③「アとウ」
固定額の年金生活者は不利になる(ア)と、借金の返済負担が軽減される(ウ)を選ぶと、家計や政府負債に対する影響をバランスよく押さえており、これが妥当です。
④「イとウ」
年金暮らしへの影響(ア)を無視してしまっています。
⑤~⑧
どれも誤った組み合わせとなり、本文の指摘と合致しません。
以上より、アとウの2つを選択する③が正解となります。
第5問
問28:正解3
<問題要旨>
自治体が行う政策決定に対し、住民運動として異議を示したり、手続きの妥当性を疑問視する事例を列挙して、そのうち「政策決定までの過程に対する異議の表明」がすべて含まれる組合せを問う問題です。具体的には、地域開発や公共事業の計画に対し、住民が環境アセスメントの不備や住民投票などを求めるケースが選択肢で示されています。
<選択肢>
ア:農地造成のため堤防を建設する計画 → 環境アセスメントに問題があるとしてやり直しを首長に要求
イ:渋滞解消のため道路建設を計画 → 公聴会などで住民意見を聴取せず進めることに異議を申し立て、撤回を首長に要求
ウ:治水対策のためダム建設 → 住民投票の実施を首長に要望
(1) アとイとウ
3つすべてを一度に組み合わせたものですが、問題文が指す「政策決定までの過程に対する異議表明が含まれる事例」はアとウのみと解釈するのが適当かどうか検討が必要です。
(2) アとイ
イも計画の撤回を求める事例ですが、公聴会で意見を聞くかどうかという過程と整合します。ただしウを除外してよいかどうか検討が必要です。
(3) アとウ
アは環境アセスメントの見直しを求めており、ウはダム建設の是非を住民投票で問うよう求めるなど、いずれも「政策決定の過程」への異議表明が明確です。問題文が示す「過程への異議」が確実に含まれる2つの事例といえます。よってこれが正解です。
(4) イとウ
イは住民の意見を聴く場が設けられず撤回を求める動きで、ウと同様に過程への異議にあたる可能性もありますが、設問の文脈から最も適切な組合せはアとウと読み取る方が自然です。
(5)~(8)
いずれもア・イ・ウを適切に組み合わせず、過程への異議すべてを網羅するには不十分か、あるいは関係のない事例が混在しているため誤りです。
問29:正解3
<問題要旨>
「関係人口」に着目した資料(資料1・資料2)をもとに、会話文中の[A]・[B]に入る記述の組合せを問う問題です。定住人口だけでなく、外部から多様な形で地域に関わる人々(関係人口)が増えることで地域づくりに好影響をもたらすという見解が示されており、さらに地域との関わりを続ける理由を示す数値データを踏まえた説明が行われています。
<選択肢(A・Bに入る文言)>
ア:小都市や町村における「住民自らが……」の回答率が全体に比べて低く、外部人材の促進を求める回答が高い
イ:地域づくりは「行政が中心……」と回答したのは大都市が全体比で高く……
ウ:生きがいを感じる……回答した人の割合が「直接寄与型」で最も高い……
エ:収入源となっている……回答した人の割合が「就労型」で最も高い……
オ:楽しい、リフレッシュできる……回答した人の割合は…… など
問題文によれば、[A]に入るのは地域別(大都市・中都市・小都市・町村)の比較に関する説明(ア or イ)で、[B]には関係人口のタイプ別(直 接寄与型・就労型・趣味・消費型など)で「地域との関わりを続けたい理由」の傾向を示すもの(ウ・エ・オ)です。正解3は「A=ア、B=オ」の組合せが会話文に最も合致し、各資料のデータ傾向とも整合します。
問30:正解2
<問題要旨>
関係人口が地域にもたらす効果として、資料内ではA「地域資源の再発見」・B「専門的な能力の移転」・C「地域社会の運営体制の変化」の3点が提示されています。具体的な事例ア・イ・ウを見て、それらにどの効果が表れているかを判別し、「A~Cすべてが表れる事例」の組合せを選ばせる問題です。
<選択肢(ア・イ・ウの事例要旨)>
ア:古民家や商店街の活性化の糸口を関係人口が示し、自治体や町内会、商店街が連携
イ:観光業の振興をワークショップで検討……関係人口が地域の家庭料理のノウハウを提供
ウ:地域住民にとって身近だった海岸林の保全を、関係人口が情報提供して一緒に取り組む仕組みをつくる
(1) アとイとウ
3つすべて入れる組合せですが、それがA~Cの全効果に該当するかを検証する必要があります。
(2) アとイ
アでは古民家再生による地域資源の再発見(A)や、商店街と専門家が組むことで知識やノウハウを生かせる(B)が見られ、イでも空き店舗を活用して新たな業態を試し、地域社会の仕組みが一部変化(C)する可能性があります。結果的にA~Cすべて含まれる例として読み取りやすく、これが正解とされます。
(3) アとウ
ウの事例では、海岸林保全という資源の再発見や運営体制への影響もあり得ますが、イに見られるような商店街の専門的ノウハウ移転といった要素は含みにくいかもしれません。
(4) イとウ
類似の理由で、アを除外しているためA~Cすべてを網羅するか疑問です。
(5)~(8)
いずれもA~Cすべてに対応する具体的事例を一括して含む形にならず、最も適切なのは(2)となります。
問31:正解4
<問題要旨>
「地域内外の多様な担い手が連携し、地域の諸資源を活用しながら独自の文化を振興する」観点に基づく事例がどれかを問う問題です。具体的には、外部の人材をうまく呼び込み、地域住民と協力して祭りやNPO活動を盛り上げるなど、地域資源を活かしつつ相互に利益を高め合う事例が挙げられます。逆に、外部資本が安易に参入して歴史的景観を損なうだけの例などは、この観点にそぐわないと考えられます。
<選択肢(ア・イ・ウの事例要旨)>
ア:ある土地所有者が大手不動産会社と契約しマンションを建設 → 街の歴史的景観が失われた
イ:古くからの祭りが町おこし組織により再活性化 → 地域外からも出店や展示を募ることでにぎわいを取り戻す
ウ:地域住民と地域外NPOが協働 → 伝統工芸品づくりや里山保全活動をともに進める
(1) アとイとウ
アは外部資本の入り方が地域の景観を破壊する例で、観点と逆行する面があるため含むのは適切でない。
(2) アとイ
アは観点と衝突するため不適当です。
(3) アとウ
同様にアに問題がある。
(4) イとウ
イは古い祭りが再興し、地域外からの参加者や出店者と連携してにぎわいを取り戻した例。ウは地域住民と外部NPOが協力して地域資源の活用や文化振興を実現している例。どちらも「多様な担い手が連携し、地域資源を活用する」という観点に合致します。よってこれが正解です。
(5)~(8)
いずれもアを含むか、あるいは必要な事例を欠くため、(4)には及びません。