2017年度 大学入試センター試験 本試験 化学 解答・解説

2017年度 大学入試センター試験 本試験「化学」の解答と解説です。全設問の正解と考え方を一問ずつ解説し、公式の解答PDFもあわせて掲載しています。大学受験の森が独自に作成した、無料で読める解説です。

目次
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解答

解説

2017年度 大学入試センター試験 本試験「化学」の解答・解説です。第1問〜第5問が必答(24+24+24+19+4=95点)、第6問と第7問はどちらか1問を選択(5点)で、合計100点。解答番号は大問ごとに1に戻ります。

本記事では第6問・第7問の両方を解説していますので、選ばなかったほうの復習にも使ってください。設問ごとにアコーディオンを開くと、<問題要旨><考え方>と計算の流れが読めます。

第1問 物質の構成と状態(結晶・化学結合・気体・状態図・蒸気圧・凝固点降下)

理論化学の前半分野からの小問集合。問5の蒸気圧と問6の凝固点降下は、式を立てる前に「何が一定か」を確認するのが近道です。

問1:正解 ④,③(配点2,2)

<問題要旨>
a 固体が分子結晶のものを選ぶ(黒鉛/ケイ素/ミョウバン/ヨウ素/白金)。
b 分子が非共有電子対を4組もつものを選ぶ(塩化水素/アンモニア/二酸化炭素/窒素/メタン)。

<考え方>
a は結晶の分類、b は電子式を書いて非共有電子対を数えます。

a
 黒鉛・ケイ素 … 共有結合の結晶
 ミョウバン … イオン結晶
 ヨウ素 … 分子結晶 ←
 白金 … 金属結晶

b 電子式で非共有電子対を数える。
 HCl … Cl に3組
 NH₃ … N に1組
 CO₂(O=C=O)… O 1個につき2組で計4組 ←
 N₂(N≡N)… N 1個につき1組で計2組
 CH₄ … 0組
問2:正解 ②(配点4)

<問題要旨>
面心立方格子の結晶構造をもつ金属の原子半径を r とするとき、単位格子一辺の長さ a を表す式は。

<考え方>
面心立方格子では、原子は「面の対角線」に沿って接しています。

面心立方格子で原子が接するのは面の対角線方向。面の対角線には原子が
 半径 r + 直径 2r + 半径 r = 4r
分だけ並ぶ。一辺 a の正方形の対角線は √2 a だから
 √2 a = 4r
 → a = 4r/√2 = 2√2 r
(体心立方格子なら √3 a = 4r。混同しないこと。)
問3:正解 ⑥(配点4)

<問題要旨>
図2は温度T₁(実線)と温度T₂(破線)における、気体分子の速さとその速さをもつ分子の数の割合のグラフである。T₁とT₂の関係は T₁[ア]T₂ である。変形しない密閉容器中では、単位時間に気体分子が器壁に衝突する回数は、分子の速さが大きいほど[イ]なる。これは、温度をT₁からT₂へと変化させたときに、容器内の圧力が[ウ]なる現象と関連している。

<考え方>
分布曲線は、温度が高いほど右へ広がり、ピークは低くなだらかになります。

[ア]図2でT₂(破線)の方がピークが右(速い側)にあり、山が低く広い。分布が高速側にずれているのは高温のとき。したがって T₁ < T₂。

[イ]分子が速いほど、単位時間に器壁へたどり着く回数は多くなる。

[ウ]体積一定のまま T₁ → T₂ と温度を上げると、衝突回数も1回あたりの力積も増えるので、圧力は高くなる。
問4:正解 ④,③(配点2,2)

<問題要旨>
図3は温度と圧力に応じて二酸化炭素がとりうる状態を示す図で、A、B、C は固体・液体・気体のいずれか。臨界点以下の温度と圧力において、a 温度一定の条件、b 圧力一定の条件のそれぞれで、気体の二酸化炭素を液体に変える操作を選ぶ(T_T と P_T は三重点の温度と圧力)。

<考え方>
まず A・B・C がどの状態かを決めます。

状態図の読み方から
 A(低圧・高温側)… 気体
 B(高圧・低温側)… 固体
 C(三重点より上、臨界点まで)… 液体

a 温度一定で気体(A)から液体(C)へ移るには、三重点より高い温度で圧力を上げればよい。T_T より低い温度で圧力を上げると固体(B)になってしまう。
 → T_T より高い温度で、圧力を高くする。

b 圧力一定で気体(A)から液体(C)へ移るには、三重点より高い圧力で温度を下げればよい。P_T より低い圧力では、冷やすと直接固体になる(昇華の逆)。
 → P_T より高い圧力で、温度を低くする。
問5:正解 ⑥(配点4)

<問題要旨>
ピストン付きの密閉容器に窒素と少量の水を入れ、27 ℃ で十分な時間静置したところ、圧力が 4.50 × 10⁴ Pa で一定になった。密閉容器の容積が半分になるまで圧縮して 27 ℃ で十分な時間静置すると、容器内の圧力は何 Pa になるか。ただし液体の水は常に存在し、その体積は無視でき、窒素は水に溶解しない。27 ℃ の水の蒸気圧は 3.60 × 10³ Pa とする。

<考え方>
全圧を「窒素の分圧」と「水蒸気圧」に分け、水蒸気圧は温度だけで決まることを使います。

はじめの全圧の内訳
 水蒸気:3.60 × 10³ Pa(27 ℃ の蒸気圧)
 窒素 :4.50 × 10⁴ − 0.36 × 10⁴ = 4.14 × 10⁴ Pa

体積を半分にすると、窒素はボイルの法則で分圧が2倍
 4.14 × 10⁴ × 2 = 8.28 × 10⁴ Pa
液体の水が残っているので、水蒸気圧は 3.60 × 10³ Pa のまま。

全圧 = 8.28 × 10⁴ + 0.36 × 10⁴ = 8.64 × 10⁴ Pa
問6:正解 ②(配点4)

<問題要旨>
モル質量 M〔g/mol〕の非電解質の化合物 x〔g〕を溶媒 10 mL に溶かした希薄溶液の凝固点は、純溶媒の凝固点より Δt〔K〕低下した。この溶媒のモル凝固点降下が K_f〔K・kg/mol〕のとき、溶媒の密度 d〔g/cm³〕を表す式は。

<考え方>
凝固点降下の式は「質量モル濃度(溶媒 1 kg あたりの mol)」で立てます。単位に注意。

溶質の物質量は x/M〔mol〕。
溶媒 10 mL の質量は 10d〔g〕= 10d/1000 = 0.01d〔kg〕。

質量モル濃度は
 m = (x/M) / (0.01d) = 100x/(Md)
凝固点降下の式 Δt = K_f m より
 Δt = 100 x K_f /(M d)
 → d = 100 x K_f /(M Δt)

第2問 物質の変化と平衡(結合エネルギー・化学平衡・反応速度・緩衝液・電気分解・酸化還元)

理論化学の後半分野。問3のグラフは「全体のグラフから初濃度、初期のグラフから速度」と役割が分かれています。

問1:正解 ④(配点4)

<問題要旨>
NH₃(気)1 mol 中の N−H 結合をすべて切断するのに必要なエネルギーは何 kJ か。ただし H−H および N≡N の結合エネルギーはそれぞれ 436 kJ/mol、945 kJ/mol であり、NH₃(気)の生成熱は (3/2)H₂(気)+(1/2)N₂(気)= NH₃(気)+ 46 kJ で表されるものとする。

<考え方>
「反応熱 = 生成物の結合エネルギーの和 − 反応物の結合エネルギーの和」で立てます。

求めたい N−H 3本ぶんの結合エネルギーを Q とする。
生成熱の式より
 Q − { (3/2)×436 + (1/2)×945 } = 46
 (3/2)×436 = 654
 (1/2)×945 = 472.5
 Q = 46 + 654 + 472.5 = 1172.5 ≒ 1170 kJ
(N−H 1本あたりは約 391 kJ/mol。選択肢②の 391 はここに引っかけている。)
問2:正解 ③(配点3)

<問題要旨>
2NO₂(気)= N₂O₄(気)+ 57 kJ で表される可逆反応が、ピストン付きの密閉容器中で平衡状態にある。この反応に関する記述として誤りを含むものを選ぶ。

<考え方>
ルシャトリエの原理を一つずつあてはめます。

① +57 kJ なので正反応は発熱反応。正しい。
② 圧力一定で加熱すると、吸熱方向(逆反応)へ移動して NO₂ が増える。正しい。
③ 温度一定で体積を半分に圧縮すると圧力が上がり、分子数の減る方向(2NO₂ → N₂O₄、正反応)へ移動する。したがって NO₂ の分子数は減少する。「増加する」は誤り。 ←
④ NO₂ を加えれば正反応が進み、N₂O₄ も増える。正しい。
⑤ 平衡状態の定義そのもの。正しい。
問3:正解 ⑤,③(配点3,2)

<問題要旨>
ある濃度の過酸化水素水 100 mL に、触媒としてある濃度の塩化鉄(III)水溶液を加え 200 mL とした。発生した酸素の物質量を時間を追って測定したところ、反応初期と反応全体では図1と図2のようになり、過酸化水素は完全に分解した。
a 混合する前の過酸化水素水の濃度は何 mol/L か。
b 最初の20秒間における、混合水溶液中の過酸化水素の平均の分解速度は何 mol/(L・s) か。

<考え方>
a は「最後まで反応した量」、b は「最初の20秒の量」を読み取ります。体積が 100 mL と 200 mL で違う点に注意。

2H₂O₂ → 2H₂O + O₂ (H₂O₂ は O₂ の2倍の物質量)

a 図2の頭打ちの値より、発生した O₂ は 0.050 mol。
 分解した H₂O₂ = 0.050 × 2 = 0.100 mol
 これはもとの過酸化水素水 100 mL 中の量なので
 0.100 mol ÷ 0.100 L = 1.0 mol/L

b 図1より、20 s で発生した O₂ は 0.0040 mol。
 分解した H₂O₂ = 0.0080 mol
 混合後の体積は 200 mL = 0.200 L だから濃度の減少は
 0.0080 ÷ 0.200 = 0.040 mol/L
 平均分解速度 = 0.040 / 20 = 2.0 × 10⁻³ mol/(L・s)
問4:正解 ①(配点4)

<問題要旨>
0.1 mol/L の酢酸水溶液 100 mL と、0.1 mol/L の酢酸ナトリウム水溶液 100 mL を混合した。この混合水溶液に関する記述 a〜c の正誤の組合せを選ぶ。
a 混合水溶液中では、酢酸ナトリウムはほぼ全て電離している。
b 混合水溶液中では、酢酸分子と酢酸イオンの物質量はほぼ等しい。
c 混合水溶液に少量の希塩酸を加えても、水素イオンと酢酸イオンが反応して酢酸分子となるので、pH はほとんど変化しない。

<考え方>
弱酸とその塩を同量ずつ混ぜた「緩衝液」の典型です。

a 酢酸ナトリウムは強電解質なので、水中でほぼ完全に電離する。正。

b もとの物質量は酢酸 0.01 mol、酢酸ナトリウム 0.01 mol で等しい。酢酸はほとんど電離せず、酢酸イオンもほとんど加水分解しないので、混合後も酢酸分子と酢酸イオンはほぼ 0.01 mol ずつ。正。

c 酸を加えれば CH₃COO⁻ + H⁺ → CH₃COOH、塩基を加えれば CH₃COOH + OH⁻ → CH₃COO⁻ + H₂O が起こり、pH の変化は小さい。これが緩衝作用。正。
問5:正解 ④(配点4)

<問題要旨>
陽イオン交換膜で仕切られた電気分解実験装置に塩化ナトリウム水溶液を入れ、電気分解を行った。陽極(炭素)と陰極(白金)で発生する気体と、陽イオン交換膜を通過するイオンの組合せを選ぶ。

<考え方>
イオン交換膜法による水酸化ナトリウムの工業的製法そのものです。

陽極(酸化):2Cl⁻ → Cl₂ + 2e⁻ → 塩素が発生
 (塩化物イオンの濃度が高いので、水の酸化より先に起こる)
陰極(還元):2H₂O + 2e⁻ → H₂ + 2OH⁻ → 水素が発生
 (Na⁺ は水溶液中では還元されない)

陽イオン交換膜は陽イオンだけを通すので、陽極側から陰極側へ Na⁺ が移動する。陰極側では Na⁺ と OH⁻ から水酸化ナトリウムが濃縮される。
問6:正解 ②(配点4)

<問題要旨>
二酸化硫黄は、硫化水素と反応するときは[ア]としてはたらく。0 ℃、1.013 × 10⁵ Pa で 14 mL の二酸化硫黄を 0.010 mol/L の硫化水素水溶液 200 mL に少しずつ通じて、二酸化硫黄を完全に反応させると、硫黄と水のみが生成した。このとき残った硫化水素の物質量は[イ]mol である。

<考え方>
まず反応式を書き、SO₂ の S の酸化数がどう変わるかを見ます。

反応式は
 SO₂ + 2H₂S → 3S + 2H₂O

[ア]S の酸化数は SO₂ で +4、生成物の S で 0。下がっているので SO₂ は酸化剤としてはたらく。
(SO₂ は相手によって酸化剤にも還元剤にもなる。ここが問われている。)

[イ]SO₂ = 0.014 / 22.4 = 6.25 × 10⁻⁴ mol
 反応式より消費される H₂S はその2倍
 2 × 6.25 × 10⁻⁴ = 1.25 × 10⁻³ mol
 はじめの H₂S = 0.010 × 0.200 = 2.0 × 10⁻³ mol
 残り = 2.0 × 10⁻³ − 1.25 × 10⁻³ = 7.5 × 10⁻⁴ mol

第3問 無機物質(身近な無機物質・触媒反応・気体の精製・金属の定量・イオン化傾向)

無機分野。知識で決まる問題が中心ですが、問4の硫化物の沈殿と問6のイオン化傾向は手を動かす必要があります。

問1:正解 ①・⑥(配点4/各2、順序は問わない)

<問題要旨>
身近な無機物質に関する記述として誤りを含むものを二つ選ぶ(鉛の最大酸化数/粘土/ソーダ石灰ガラス/ニューセラミックス/銅のさび/次亜塩素酸塩/硫酸バリウム)。

<考え方>
酸化数と、酸化・還元のどちらの作用かの2点が狙われています。

① 鉛は PbO₂(酸化鉛(IV))をつくるので、とりうる最大の酸化数は +4。「+2」は誤り。 ←
② 粘土は陶磁器やセメントの原料。正しい。
③ ソーダ石灰ガラスは規則性のないアモルファス。正しい。
④ 高純度の原料を精密に制御して焼き固めたものがニューセラミックス。正しい。
⑤ 銅は湿った空気中で緑青(塩基性炭酸銅)を生じる。正しい。
⑥ 次亜塩素酸塩がもつのは強い酸化作用。「還元作用」は誤り。 ←
⑦ 硫酸バリウムは水に溶けにくく、X線撮影の造影剤に使われる。正しい。
問2:正解 ②(配点4)

<問題要旨>
遷移元素の単体や化合物を用いた触媒反応に関する記述として、下線部に誤りを含むものを選ぶ(塩素化/ハーバー・ボッシュ法/接触法/オストワルト法/自動車の三元触媒)。

<考え方>
工業的製法の「条件」まで覚えているかが問われています。

① 鉄粉を触媒としてベンゼンに塩素を作用させるとクロロベンゼン。正しい。
② ハーバー・ボッシュ法は、四酸化三鉄を主成分とする触媒を用い、高温・高圧(およそ 400〜600 ℃、100〜1000 気圧)で反応させる。「常圧で」は誤り。 ←
③ 接触法:V₂O₅ 触媒で SO₂ → SO₃、濃硫酸に吸収させて発煙硫酸とし、希硫酸で薄めて濃硫酸。正しい。
④ オストワルト法:白金触媒で NH₃ を酸化して NO とし、さらに NO₂ を経て硝酸。正しい。
⑤ 三元触媒(ロジウム・パラジウム・白金)で CO・炭化水素・NOx を CO₂・N₂・H₂O に変える。正しい。
問3:正解 ⑤(配点4)

<問題要旨>
気体Aに、わずかな量の気体Bが不純物として含まれている。液体Cにこの混合気体を通じて気体Bを取りのぞき、気体Aを得たい。気体A、Bおよび液体Cの組合せとして適当でないものを選ぶ。

<考え方>
「Bだけが吸収され、Aは吸収されない」かどうかを1組ずつ確かめます。

① CO に HCl … 水は HCl をよく溶かし、CO は溶かさない。適当。
② O₂ に CO₂ … 石灰水は CO₂ を吸収して CaCO₃ を沈殿させる。O₂ は吸収されない。適当。
③ N₂ に SO₂ … 酸性の SO₂ は NaOH 水溶液に吸収される。N₂ は吸収されない。適当。
④ Cl₂ に水蒸気 … 濃硫酸は乾燥剤としてはたらき、Cl₂ とは反応しない。適当。
⑤ NO₂ に NO … 水に通すと 3NO₂ + H₂O → 2HNO₃ + NO で、取り出したい NO₂ 自身が吸収されてしまう。しかも NO は水に溶けない。適当でない。 ←
問4:正解 ⑦(配点4)

<問題要旨>
銅と亜鉛の合金である黄銅 20.0 g を酸化力のある酸で完全に溶かし、水溶液にした。この溶液が十分な酸性であることを確認した後、過剰の硫化水素を通じたところ、純粋な化合物の沈殿 19.2 g が得られた。この黄銅中の銅の含有率(質量パーセント)は何%か。

<考え方>
「十分な酸性で」という一言が決め手。ZnS は酸性では沈殿しません。

酸性条件で H₂S により沈殿するのはイオン化傾向の小さい金属の硫化物。
 Cu²⁺ + S²⁻ → CuS↓(黒色)
 Zn²⁺ は酸性では沈殿しない(中性〜塩基性なら ZnS が沈殿する)
したがって沈殿は CuS のみ。

CuS の式量 = 64 + 32 = 96
 19.2 / 96 = 0.200 mol
銅も 0.200 mol だから
 0.200 × 64 = 12.8 g
含有率 = 12.8 / 20.0 × 100 = 64 %
問5:正解 ②(配点4)

<問題要旨>
酸化マンガン(IV) 1.74 g がすべて濃塩酸と反応したときに生じる無極性分子の気体の体積は、0 ℃、1.013 × 10⁵ Pa で何 L か。

<考え方>
「無極性分子の気体」という条件が、発生する2種類の気体を1つに絞ります。

反応式は
 MnO₂ + 4HCl → MnCl₂ + Cl₂ + 2H₂O
この反応では塩素のほかに塩化水素が混じって出てくるが、HCl は極性分子。無極性分子の気体は Cl₂ のほう。

MnO₂ の式量 = 55 + 16 × 2 = 87
 1.74 / 87 = 0.0200 mol
反応式より Cl₂ も 0.0200 mol
 0.0200 × 22.4 = 0.448 ≒ 0.45 L
問6:正解 ⑥(配点4)

<問題要旨>
シャーレに食塩水で湿らせたろ紙を敷き、この上に表面を磨いた金属板A〜Cを並べた。検流計の黒端子と白端子をそれぞれ異なる金属板に接触させ、検流計を流れた電流の向きを記録すると表1のようになった(A・B のとき B から A、B・C のとき B から C、A・C のとき A から C)。金属板A〜Cの組合せを選ぶ。

<考え方>
電池では、イオン化傾向の大きい金属が負極。外部回路の電流は正極から負極へ流れます。

外部回路を流れる電流は、正極(イオン化傾向の小さい金属)から負極(イオン化傾向の大きい金属)へ向かう。つまり「電流が出ていく側」がイオン化傾向の小さい金属。

 B から A → B < A(イオン化傾向)
 B から C → B < C
 A から C → A < C

まとめると C > A > B。
選択肢の3金属はマグネシウム > 亜鉛 > 銅 の順だから
 C = マグネシウム、A = 亜鉛、B = 銅

第4問 有機化合物(不飽和炭化水素・エステル・芳香族の合成経路・元素分析・界面活性剤)

有機分野。問3の合成経路は流れ図を上から順にたどれば確実に取れます。問5は「セッケンの弱点」を実験で確かめる設定。

問1:正解 ①(配点3)

<問題要旨>
エチレン(エテン)とアセチレンに共通する記述として誤っているものを選ぶ。

<考え方>
「両方に当てはまるか」を1つずつ確認します。

① 水が付加すると、エチレンからはエタノール、アセチレンからはビニルアルコールを経てアセトアルデヒドが生じる。両者に共通ではないので誤り。 ←
② エチレンはポリエチレン、アセチレンはポリアセチレンになる。共通。
③ 十分な水素と反応させれば、どちらもエタン C₂H₆ になる。共通。
④ エチレンは平面形、アセチレンは直線形で、いずれもすべての原子が同一平面上にある。共通。
⑤ どちらも水に溶けにくいので水上置換で捕集できる。共通。
問2:正解 ④(配点4)

<問題要旨>
分子式が C₅H₁₀O₂ のエステルAを加水分解すると、還元作用を示すカルボン酸BとともにアルコールCが得られた。Cの構造異性体であるアルコールは、C自身を含めていくつ存在するか。

<考え方>
「還元作用を示すカルボン酸」でBが1つに決まります。

カルボン酸のうち還元作用(銀鏡反応・フェーリング液の還元)を示すのは、分子内にホルミル基をもつギ酸 HCOOH だけ。したがって B = HCOOH。

エステル A(C₅H₁₀O₂)= HCOOH + C の脱水物だから
 C = C₄H₉OH(ブタノール、C₄H₁₀O)

C₄H₁₀O のアルコールの構造異性体は
 1-ブタノール
 2-ブタノール
 2-メチル-1-プロパノール
 2-メチル-2-プロパノール
の4つ。(エーテルは数えない。)
問3:正解 ③,①,⑦,⑧(配点1,1,1,1)

<問題要旨>
図1は、ベンゼンから p-ヒドロキシアゾベンゼンを合成する反応経路を示したものである。化合物A〜Dとして最も適当なものを選ぶ。

<考え方>
左の経路はフェノールの製法(スルホン化+アルカリ融解)、右の経路はアニリンからのジアゾ化です。

【左の経路】
 ベンゼン + 濃H₂SO₄(加熱)→ ベンゼンスルホン酸 … 化合物A = ③
 A + NaOH → ベンゼンスルホン酸ナトリウム
 → アルカリ融解(NaOH)→ ナトリウムフェノキシド … 化合物B = ①

【右の経路】
 ベンゼン + 濃HNO₃, 濃H₂SO₄ → ニトロベンゼン … 化合物C = ⑦
 C + Sn, HCl のあと NaOH → アニリン
 アニリン + NaNO₂, HCl(0 ℃、ジアゾ化)→ 塩化ベンゼンジアゾニウム … 化合物D = ⑧

最後に B(ナトリウムフェノキシド)と D(塩化ベンゼンジアゾニウム)のカップリングで p-ヒドロキシアゾベンゼンができる。
問4:正解 ③(配点4)

<問題要旨>
化合物Aは、ブタンと塩素の混合気体に光をあてて得られた生成物の一つであり、ブタン分子の水素原子1個以上が同数の塩素原子で置換された構造をもつ。ある量の化合物Aを完全燃焼させたところ、二酸化炭素が 352 mg、水が 126 mg 生成した。化合物Aは1分子あたり何個の塩素原子をもつか。

<考え方>
C と H の物質量の比を出せば、置換された数がわかります。

CO₂ 352 mg = 0.352 / 44 = 0.00800 mol → C 0.00800 mol
H₂O 126 mg = 0.126 / 18 = 0.00700 mol → H 0.0140 mol

C : H = 0.00800 : 0.0140 = 4 : 7

化合物Aは炭素数4のまま(置換反応なので)だから、1分子中に H は7個。もとのブタン C₄H₁₀ の H 10個のうち
 10 − 7 = 3 個
が塩素に置き換わっている。すなわち C₄H₇Cl₃。
問5:正解 ⑥,⑤(配点2,2)

<問題要旨>
実験I:ビーカーにヤシ油(油脂)をとり、水酸化ナトリウム水溶液とエタノールを加えた後、均一な溶液になるまで温水中で加熱した。この溶液を飽和食塩水に注ぎよく混ぜると、固体が生じた。
実験II:実験Iで得られた固体の 0.5% 水溶液 5 mL を試験管アに、硫酸ドデシルナトリウムの 0.5% 水溶液 5 mL を試験管イに入れ、それぞれに 1 mol/L の塩化カルシウム水溶液を 1 mL ずつ加えて観察した。
a 実験Iで固体が生じたのはどのような反応あるいは現象か。
b 実験IIで観察された試験管ア・イ内の様子の組合せを選ぶ。

<考え方>
実験Iはセッケンの製法、実験IIはセッケンと合成洗剤の違いを見る実験です。

a 油脂を NaOH で加水分解する反応そのものは「けん化」だが、設問が問うているのは「飽和食塩水に注いだときに固体が生じた」理由。多量の Na⁺ により、コロイドとして溶けていたセッケンが溶けきれなくなって分離する現象で、これを塩析という。

b 試験管ア(セッケン = 高級脂肪酸ナトリウム)
  Ca²⁺ と反応して水に溶けない脂肪酸カルシウムを生じる → 白濁した
 試験管イ(硫酸ドデシルナトリウム = 合成洗剤)
  カルシウム塩も水に溶けるので変化しない → 均一な溶液であった
(硬水でもセッケンは泡立たないが合成洗剤は使える、という違いの実験。)

第5問 高分子化合物(縮合重合・高分子の性質)

高分子分野からの小問2題(配点4点)。用語の定義を正確に押さえていれば即答できます。

問1:正解 ①(配点2)

<問題要旨>
単量体と、その単量体が脱水縮合した構造をもつ高分子化合物の組合せとして誤っているものを選ぶ。

<考え方>
「脱水縮合したものか」という条件が効いています。

① カプロラクタム → ナイロン6 は、環状のカプロラクタムが開環重合してできる。水がとれる縮合ではないので誤り。 ←
② 尿素とホルムアルデヒド → 尿素樹脂。付加縮合(水がとれる)。正しい。
③ グルコース → デンプン。脱水縮合。正しい。
④ エチレングリコールとテレフタル酸 → ポリエチレンテレフタラート。縮合重合。正しい。
(ナイロン66 なら、アジピン酸とヘキサメチレンジアミンの縮合重合。)
問2:正解 ②(配点2)

<問題要旨>
高分子化合物に関する記述として誤りを含むものを選ぶ。

<考え方>
平均分子量の定義と、コロイドの分類がポイント。

① 2種類以上の単量体を重合させたものが共重合体。正しい。
② 合成高分子は重合度がそろわないため、分子量は分布をもつ。平均分子量はその平均値であって、「分子数の最も多い高分子の分子量」ではない。誤り。 ←
③ デンプンのように分子1個がコロイド粒子の大きさをもつものを分子コロイドという。正しい。
④ DNA の塩基は A・G・C・T、RNA は A・G・C・U。共通するのは A・G・C の3種類。正しい。

第6問〔選択問題〕 合成高分子(重合体と単量体・生分解性高分子)

第6問と第7問はどちらか1問を選択します(配点5点)。こちらは合成高分子。単量体の構造をきちんと書けるかが問われます。

問1:正解 ③(配点2)

<問題要旨>
重合体と、それを合成するために用いる単量体の組合せとして誤っているものを選ぶ。

<考え方>
重合体の繰り返し単位から、単量体をさかのぼって書き出します。

① [−CF₂−CF₂−]ₙ の単量体はテトラフルオロエチレン F₂C=CF₂。正しい(ポリテトラフルオロエチレン)。
② [−CH₂−CH(CH₃)−]ₙ の単量体はプロペン H₂C=CHCH₃。正しい(ポリプロピレン)。
③ [−CH₂−C(CH₃)=CH−CH₂−]ₙ は、二重結合が残っていることからジエンの1,4-付加重合とわかる。単量体はイソプレン CH₂=C(CH₃)−CH=CH₂。示されている CH₃−C(CH₃)=CH−CH₃(2-メチル-2-ブテン)は二重結合が1個しかなく、重合してこの構造にはならない。誤り。 ←
④ ベンゼン環が架橋した構造で、単量体はスチレンと p-ジビニルベンゼン。正しい(イオン交換樹脂の母体)。
問2:正解 ③(配点3)

<問題要旨>
ポリ乳酸は生分解性高分子の一種であり、自然界では微生物によって最終的に水と二酸化炭素に分解される。ポリ乳酸 6.0 g が完全に分解されたとき、発生する二酸化炭素の 0 ℃、1.013 × 10⁵ Pa における体積は何 L か。ただしポリ乳酸は、繰り返し単位(式量72)のみからなるものとする。

<考え方>
繰り返し単位に炭素が何個あるかを数えるだけです。

繰り返し単位は[−O−CH(CH₃)−CO−]で、C₃H₄O₂(式量 12×3 + 1×4 + 16×2 = 72)。炭素は1単位あたり3個。

繰り返し単位の物質量
 6.0 / 72 = 0.0833 mol
炭素はその3倍だから、生じる CO₂ も
 0.0833 × 3 = 0.250 mol

標準状態の体積は
 0.250 × 22.4 = 5.6 L

第7問〔選択問題〕 天然高分子(ペプチドの電気泳動・二糖の還元性)

第6問との選択問題(配点5点)。こちらは天然高分子。側鎖にある −NH₂ と −COOH の数を数えるだけで問1は決まります。

問1:正解 ①(配点2)

<問題要旨>
3種類のジペプチドA〜Cの水溶液を、pH 6.0 の緩衝液で湿らせたろ紙に別々につけ、直流電圧をかけて電気泳動を行った。陰極側へ移動したもの、ほとんど移動しなかったもの、陽極側へ移動したものの組合せを選ぶ。

<考え方>
ジペプチドの主鎖の −NH₂ と −COOH は打ち消し合うので、側鎖の数だけを比べます。

主鎖の末端にある −NH₂(+に帯電)と −COOH(−に帯電)は1個ずつあり、打ち消し合う。決め手は側鎖。

ジペプチドA:側鎖に −NH₂(リシンに由来)が1個。−OH(チロシンに由来)は電荷をもたない。
 → 全体として正に帯電 → 陰極側へ移動

ジペプチドB:側鎖に −COOH(グルタミン酸に由来)1個と −NH₂ 1個。打ち消し合う。
 → ほぼ電気的に中性 → ほとんど移動しない

ジペプチドC:側鎖に −COOH 1個。
 → 全体として負に帯電 → 陽極側へ移動
問2:正解 ③(配点3)

<問題要旨>
ある量のマルトース(分子量 342)を酸性水溶液中で加熱し、すべてを単糖Aに分解した。冷却後、炭酸ナトリウムを加えて中和した溶液に、十分な量のフェーリング液を加えて加熱したところ Cu₂O の赤色沈殿 14.4 g が得られた。もとのマルトースの質量として最も適当な数値を選べ。ただし単糖Aとフェーリング液との反応では、単糖A 1 mol あたり Cu₂O 1 mol の赤色沈殿が生じるものとする。

<考え方>
「マルトース1分子 → グルコース2分子」の 1:2 を忘れないこと。

Cu₂O の式量 = 64 × 2 + 16 = 144
 14.4 / 144 = 0.100 mol

単糖A(グルコース)1 mol あたり Cu₂O 1 mol だから
 グルコース = 0.100 mol

マルトース 1 mol は加水分解でグルコース 2 mol になるので
 マルトース = 0.100 / 2 = 0.0500 mol
 0.0500 × 342 = 17.1 g

※ 本記事の解答・解説は当サイトが独立に作成したものです。公式の正解および配点は大学入試センターの発表をご確認ください。

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